システム開発の問い合わせは届いているのに、電話をすると個人事業主か学生で、商談になりません。
原因は入札でもLPでもなく、誰を入口で落とすかを決めていないことにあります。
この記事では、受託開発の会社が12週間でCPLを30%下げ、商談化率を13.8%から42.3%へ動かすまでを、効かなかった打ち手も含めて追います。
CPLの高騰は、フォームの入口で誰を落とすかを決めると動きます。
予算レンジと従業員規模を必須にした結果、CV数は10%減りましたが、商談化率は13.8%から42.3%になりました。
- 最初の2週間は配信を動かさず、検索語句と問い合わせの中身を数えるだけに使う
- リードの数ではなく、企業規模と予算感でフォームの入口を絞る
- 部分一致の拡大とフォーム設問の削減は、どちらも商談化率を下げた
※本記事の数値は、実案件で起きやすい状況を一般化したモデルケース(シミュレーション)です。特定企業の実績ではありません。
目次
- 3か月で動いたのは、リードの数ではなく商談化率でした
- 着手前に何が起きていたかを、前提とあわせて開示します
- Week1〜2:配信を止めたまま、検索語句とCVの中身を数える
- Week3〜4:フォームに予算レンジと従業員規模を足す
- Week5〜6:効かなかった打ち手を2つ、先に書きます
- Week7〜12:広告文に規模を書き、商談単価で配分し直す
- 効かないケースと、やってはいけない対処
- 同じ進め方を自社で再現するための、週次の型
- よくある質問
- まとめ
3か月で動いたのは、リードの数ではなく商談化率でした
12週間で動いた数字のうち、事業に効いたのは商談化率でした。
13.8%から42.3%へ、28.5ポイント上がっています。
CPLは85,500円から60,000円で、下げ幅は30%です。
当初の目標だった36,000円には届いていません。
それでも商談単価は620,000円から141,800円へ、4分の1以下になりました。
この差を生んだのは、リードの増加ではありません。
月のCV数は、むしろ29件から26件へ減っています。
3か月でやったことの大半は、入札の調整ではなく、誰を入口で落とすかを決める作業でした。
表1|Before/After(モデル試算・月次換算)
| 指標 | Before(Week0) | After(Week12) | 変化 |
|---|---|---|---|
| 月間広告費 | 2,480,000円 | 1,560,000円 | -37.1% |
| CPL | 85,500円 | 60,000円 | -29.8% |
| CV数 | 29件 | 26件 | -10.3% |
| 商談化率 | 13.8% | 42.3% | +28.5pt |
| 商談数 | 4.0件 | 11.0件 | +175.0% |
| 商談単価 | 620,000円 | 141,800円 | -77.1% |
| 平均案件単価 | 3,800,000円 | 9,600,000円 | +152.6% |
※モデルケースの数値です。商談数は月次換算のため小数を含みます。
最も動いていない指標はCPLですが、その目標36,000円は案件単価380万円を前提に2年前へ置かれた値でした。
案件単価が960万円になった時点で、許容できるCPLも変わります。
Week12では、目標を商談単価150,000円へ引き直しました。
広告費も37%減っています。
無駄な配信を止めた分だけ、月の消化額が落ちたためです。
着手前に何が起きていたかを、前提とあわせて開示します
前提が違えば、同じ打ち手でも結果は変わります。
数値を自社に当てはめる前に、条件を確認してください。
このモデルケースの前提
- 業種:受託開発・SIer(業務システム、基幹システム刷新、Webアプリ開発)
- 月間広告予算:150〜250万円レンジ。着手時は248万円
- 媒体構成:Google検索広告が約8割、Meta広告が約2割
- CV定義:問い合わせ(相談フォーム)と資料請求(会社案内・実績集)の2種類
- 体制:営業3名。マーケティング専任は不在で、役員が兼務
- 商談の定義:要件と予算感を聞き取り、提案の場を設定できた件数
広告に割ける時間は週2〜3時間しかなく、打ち手は週2つまでに絞っています。
もうひとつは、CVが2種類あることです。
問い合わせと資料請求では商談化率が3倍以上違うのに、1本の数字にまとめられていました。
POINT
CV定義が2種類以上ある場合、合算したCPLは判断材料になりません。
分けて数えるところから始めてください。
社内では、月29件という件数から「問い合わせは来ている」と認識されていました。
ところが営業側の実感は逆です。
「電話しても法人ではない」「予算を聞くと話が終わる」という声が続いていました。
営業会議ではリードの質が議題に上がる一方、広告の会議で報告されるのはCV数とCPLだけです。
この2つの会議が、つながっていませんでした。
クリックからCVへの転換率は1.15%で、低い水準ではありません。
問題はその先にあります。
CV29件のうち、商談まで進んだのは4件だけでした。
残る25件は、1件あたり30分としても月12時間以上を消しています。
注意
「問い合わせは来ている」という認識は、改善を遅らせます。
件数ではなく、商談化率と商談単価を先に出してください。
Week1〜2:配信を止めたまま、検索語句とCVの中身を数える
最初の2週間は、配信設定をひとつも変えていません。
変更を入れると、比較対象が消えるためです。
Week1でやったのは、過去90日の検索語句レポートを出すことだけです。
クリック上位200語で、全クリックの81%を占めていました。
この200語を「発注意図あり」「情報収集」「対象外」の3つに分類します。
対象外の語が、クリックの58%と費用の52%を占めていました。
対象外に入ったのは、独学・副業・求人・転職に関する語です。
いずれも、発注する立場にない人の検索でした。
注意したいのは、その対象外の語からもCVが9件出ていることです。
自動入札はCVが出る場所に予算を集めるため、むしろその方向へ寄っていました。
Week2では、直近1か月のCV29件を1件ずつ開き、入力内容を確認しました。
Week2で確認した4項目と、その結果
- 法人ドメインのメール:29件中11件
- 会社名の記載あり:29件中14件
- 相談内容が50字以上:29件中9件
- 電話番号の入力あり:29件中12件
4項目すべてを満たしていたのは6件で、商談になった4件はすべてこの中に入っていました。
増やすべきなのはCV数ではなく、この6件に近い問い合わせの比率です。
Week2の変更も配信側にはありません。
やったのは、除外キーワードを142語まで書き出す作業だけです。
内訳は求人・転職系が54語、学習・独学系が48語、残る40語が無料ツール系と同業の社名でした。
POINT
検索語句とCVの中身は、別々に見ても意味が薄いものです。
どの語から入った人がどんな問い合わせを書いたかまで、突き合わせてください。
Week3〜4:フォームに予算レンジと従業員規模を足す
Week3で、初めて設定を変えました。
変更は2つだけです。
1つ目は、除外キーワード142語の適用です。
キャンペーン単位ではなく、アカウント単位のリストとして入れました。
2つ目が、フォームの設問追加です。
「想定している予算レンジ」と「従業員規模」の2問を、必須項目として足しました。
予算レンジは500万円未満から未定までの4択、従業員規模は10名未満から300名以上までの4択です。
この変更には、社内で反対がありました。
「項目を増やせばCVが減る」という指摘は、実際その通りです。
表2|フォーム設問を追加した前後(Week2 → Week4・モデル試算・週次)
| 指標 | Week2(追加前) | Week4(追加後) | 変化 |
|---|---|---|---|
| フォーム到達数 | 168 | 119 | -29.2% |
| フォーム完了率 | 4.3% | 4.4% | +0.1pt |
| CV数 | 7.3件 | 5.3件 | -27.4% |
| うち法人ドメイン | 2.8件 | 4.1件 | +46.4% |
| 商談数 | 1.0件 | 1.5件 | +50.0% |
| 商談化率 | 13.7% | 28.3% | +14.6pt |
※モデルケースの週次換算値です。除外の適用と設問追加を同時に行ったため、効果は分離できていません。
結果は、想定と少しずれました。
CV数は27%減りましたが、フォーム完了率はほとんど動いていません。
減ったのは、除外キーワードの適用でフォームに到達する人が29%減ったためです。
設問で落ちた人と、除外で来なくなった人は、ほぼ同じ層だったと考えられます。
減ったCVの中身も、従業員10名未満かつ予算未定の層に集中していました。
CV数が27%減った一方で、商談数は週1.0件から1.5件へ増えました。
件数の議論から商談数の議論に切り替わったことで、社内の反対はほぼ収まります。
ただし、この時点でCPLは悪化しています。
Week4のCPLは79,200円で、Week2の76,400円より上がりました。
広告費の減り方が、CVの減り方に追いついていなかったためです。
注意
除外の適用とフォーム変更を同じ週に入れると、効果を分離できません。
同時に入れる場合、後から「どちらが効いたか」は答えられなくなります。
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Week5〜6:効かなかった打ち手を2つ、先に書きます
この12週間で、明確に失敗した打ち手が2つあります。
どちらも「CV数を戻したい」という動機から出たものです。
Week5は、部分一致の拡大でした。
母数が足りないという仮説から、主要キーワード18語を完全一致から部分一致へ広げます。
10日後、CV数は週7.1件まで戻りました。
一方で商談数は1.5件から1.4件へ減っています。
検索語句には「システム開発 未経験」「開発会社 ランキング 無料」といった語が戻っていました。
除外リスト142語は、これらの新しい語をカバーしていません。
CPLは79,200円から91,400円へ悪化し、10日で完全一致へ戻しました。
部分一致の拡大は、除外リストの整備が追いつく速度を超えた時点で質を戻します。
使ってはいけない、という話ではありません。
ただし、検索語句を週次で見る人がいない体制では成立しません。
Week6は、フォーム側での巻き返しです。
予算レンジと従業員規模を、必須から任意に変更しました。
戻ったのは数だけでした。
CV数は週5.3件から6.8件へ増え、商談化率は28.3%から16.2%へ落ちています。
任意にすると、予算レンジの回答率は31%まで下がりました。
回答がなければ営業側で優先度を付けられず、結局は電話で聞き直すことになります。
それでは設問を置いた意味がないため、12日で必須に戻しました。
2つの失敗に共通しているのは、CV数を見て動かし、CV数で判断したことです。
そこでWeek6の末に、週次で報告する指標をCV数から商談数と商談単価へ切り替えました。
報告する数字が変われば、提案される打ち手も変わります。
Week7〜12:広告文に規模を書き、商談単価で配分し直す
Week7からは、入口の言葉を変えます。
フォームで落とすのではなく、クリック前に伝える方向です。
Week4〜6に生まれた商談11件のうち、9件が費用・比較・依頼のいずれかを含む語から入っていました。
そこでキーワードを42語から19語まで絞ります。
費用・料金が7語、比較・選び方が6語、依頼・外注が6語という構成です。
外したのは技術名の単独語、用語解説系、汎用の広い語でした。
Week8では、広告文を書き換えます。
見出しに「500万円〜」「従業員50名以上の企業向け」を入れました。
CTRは2.9%から2.4%へ下がり、CVRは1.7%から2.1%へ上がっています。
クリックしない判断を、相手が広告の段階でしてくれた状態です。
Week8の終わりに週次CPLは91,400円から64,800円へ下がり、商談化率は35.1%になりました。
Week9の観測は、資料請求の側です。
資料請求からの商談化率は6.2%で、問い合わせの35.1%と5倍以上の差がありました。
送っていた資料が会社案内と実績集で、検討中の人には判断材料にならなかったためです。
そこで資料を「開発会社に依頼する前に社内で決めておく10項目」へ差し替えました。
3週間後、資料請求からの商談化率は18.4%になっています。
Week10では、Metaを整理します。
リード獲得広告に月48万円を使い、CVは月11件、CPLは43,600円でした。
Google検索より安く見えていましたが、商談は3か月でゼロ件です。
入力が2タップで終わるため、検討度合いが読めません。
Metaのリード獲得広告は停止し、予算48万円をリターゲティングと検索側へ振り替えました。
検討が3〜6か月かかる商材では、安いCPLがそのまま安い商談単価にはつながりません。
最後の2週間は、配分の話です。
CPLで並べると最も安いのは用語解説系でしたが、商談単価では順位が逆転しました。
用語解説系の商談単価は、費用・比較系の3.4倍です。
そこで予算を16万円から6万円へ下げました。
ゼロにしなかったのは、指名検索の増加につながっているためです。
指名検索の商談単価33,300円は、全キャンペーンで最も低い水準でした。
Week12では、目標CPL36,000円を廃止し、目標商談単価150,000円に切り替えます。
案件単価960万円、受注率18%なら商談1件の期待値は約173万円、粗利率30%として期待粗利は約52万円です。
そのうち広告費へ配分できる上限を、当面29%として150,000円に置きました。
指標をCPLから商談単価に変えたことで、キャンペーンの評価が営業の実感と一致しました。
効かないケースと、やってはいけない対処
この進め方は、すべての状況で機能するわけではありません。
合わない条件を、先に書きます。
1つ目は、月間の問い合わせ件数が少ない場合です。
月5件未満だと、分類しても層の偏りが判定できません。
この場合は、フォームを絞る前に接点の数を増やす必要があります。
2つ目は、商談の定義が社内にない場合です。
「話を聞いた」と「提案の場を作れた」のどちらを数えるかで、率は倍以上変わります。
3つ目は、受注までのリードタイムが長い場合です。
基幹システムの刷新では、受注まで9〜18か月かかることがあります。
12週間で受注数は動かないため、判定は商談数と商談単価までにとどめてください。
表3|症状別に、最初に触る場所
| いまの症状 | 確認する数字 | 最初に触る場所 | 触ってはいけない場所 |
|---|---|---|---|
| CV数は多いが商談にならない | 法人ドメイン率、商談化率 | フォームの設問と除外キーワード | 入札単価、予算の増額 |
| CV数が少なくCPLも高い | 検索語句の対象外比率 | キーワードの語群整理 | 部分一致への拡大 |
| 資料請求ばかりで商談にならない | 資料請求からの商談化率 | 資料の中身と後続の接触設計 | 資料請求の導線を消す |
| 媒体別のCPLに差が大きい | 媒体別の商談単価 | 商談単価での予算配分 | CPLが安い媒体への一括寄せ |
※判断の目安です。複数の症状が出ている場合は、上の行から順に確認してください。
注意
CV数が落ちた直後に、予算の増額・部分一致の拡大・フォーム項目の削減を同時に行わないでください。
質の低下と費用の増加が重なり、判定できる状態が3か月失われます。
やってはいけない対処を、3つ挙げます。
1つ目は、目標CPLを据え置いたまま質を上げようとすることです。
質が上がれば1件あたりの単価も上がるため、両方を同時に満たす目標設定は成立しません。
2つ目は、除外キーワードを一度作って終わりにすることです。
追加が止まると、1〜2か月で対象外の語が戻ってきます。
3つ目は、設問を「営業が知りたい順」に並べることです。
予算レンジを1問目に置くと、離脱が明確に増えます。
設問は4問までに抑え、従業員規模を先、予算レンジを後ろに置いてください。
原因そのものは、IT・システム開発のGoogle広告でCPLが高騰する原因と改善策で整理しています。
同じ進め方を自社で再現するための、週次の型
最後に、この12週間を型として整理します。
やることは4つで、順番は固定です。
観測は毎週30分で終わる作業に落とします。
仮説は「小規模の情報収集層が3割混ざっている」のように、層で書き残してください。
変更は週2つまで、判定は3週間後です。
受託開発の検討期間では、1週間で商談まで到達しません。
週次30分でやる4つの作業
- 検索語句レポートの上位50語を確認し、対象外の語を除外に追加する
- その週のCV全件について、従業員規模と予算レンジを表に転記する
- 商談数と商談単価を、キャンペーン別に更新する
- 3週間前に入れた変更の結果を、商談化率で判定する
もうひとつ重要なのは、報告する数字の順番です。
会議の1枚目に商談数と商談単価を置き、CV数とCPLは2枚目に回します。
1枚目に置いた数字が、その組織の目標になるためです。
広告と営業の会議を分けたままだと、リードの質はどちらの議題にもなりません。
週次の営業会議に、広告の1枚を差し込んでください。
他業種の進め方は、【モデルケース】BtoB SaaSでCPA高騰を解消するまでの3か月も参考になります。
よくある質問
フォームに予算の設問を足すと、CV数が減るのが怖いです
減ります。このモデルケースでも週7.3件から5.3件へ、27%減りました。ただし減った分の大半は、除外キーワードの適用で訪問自体が減ったことによるものです。フォーム完了率はほとんど変わっていません。不安があれば選択式の任意設問から始め、回答率を2週間見てください。減ってはいけないのはCV数ではなく、商談数のほうです。
最初の2週間、配信を変えないと機会損失になりませんか
2週間分の広告費は着手前と同じ条件で消化されるため、改善はその分だけ遅れます。逆に観測をせずに変更を入れると、何が効いたか分からないまま3か月が過ぎます。このモデルケースでも、Week1〜2で作った検索語句の分類と除外リスト142語が、Week3以降の判断の土台になりました。急ぐ場合でも、90日分の検索語句レポートだけは先に出してください。
CPLが目標に届かないまま終わってよいのですか
目標CPLの根拠を確認してください。このモデルケースの36,000円は、平均案件単価380万円を前提に2年前へ置かれた値でした。案件単価が960万円に変わった時点で、同じ目標を維持する理由はありません。Week12はCPL60,000円で未達ですが、商談単価141,800円は新しい目標の150,000円を下回っています。相場の考え方はBtoB SaaSのCPA相場とベンチマークが参考になります。
まとめ
- CPLが目標の2.3倍でも、原因は入札ではなくCV定義と除外の不足にあることが多い
- 最初の2週間は配信を動かさず、検索語句とCVの中身を数えるだけに使う
- フォームに予算レンジと従業員規模を足すとCV数は減るが、商談数は増える
- 部分一致の拡大とフォーム設問の任意化は、どちらも商談化率を下げた
- 広告文に対応規模と最低予算を書くと、CTRは下がりCVRは上がる
- キャンペーンの評価はCPLではなく商談単価で行い、目標も置き換える
- 変更は週2つまで、判定は3週間後。報告の1枚目に商談数を置く
12週間でCPLは30%下がり、商談化率は13.8%から42.3%になりました。
リードの数を追うのをやめた時点から、数字は動き始めています。
リードは集まるのに、商談と受注の手前で止まっている場合
KAIZENでは、広告の運用だけでなく、CV定義・フォーム設計・営業への引き渡しまで含めて改善します。
どの数字を目標に置くべきかから、設計し直します。