Google広告からの問い合わせは止まっていないのに、CPLだけが上がり続けている。
検索語句を開くと、求職者や学生、同業の調査らしき語が並んでいる。
受託開発・SIer・SES・パッケージベンダーの広告では、珍しい状況ではありません。
原因が1つに決まらないため、手当たり次第に触って悪化させるケースが多くあります。
この記事では、CPLが高騰したときに何をどの順番で確認するかを7つに整理します。
最初に触るのは入札でも広告文でもありません。
計測が正しいかを確かめ、次に検索語句から発注者ではない層を外します。
- 確認は7つの順番で行う。順番を飛ばすと、変化の理由を特定できなくなる
- CPLは途中の指標にすぎない。商談化率と商談単価まで持たないと判断を誤る
- IT・システム開発では、検索語句に求人と学習の意図が混ざりやすい
※本記事の数値は、実案件で起きやすい状況を一般化したモデルケース(シミュレーション)です。特定企業の実績ではありません。
目次
- CPLが上がったとき、確認する順番は決まっています
- CPLだけを見て判断すると、打ち手を間違えます
- 点検1:計測が正しいかを、いちばん先に確かめる
- 点検2と3:検索語句とマッチタイプを見直す
- 点検4:指名検索が、どのキャンペーンに計上されているか
- 点検5と6:広告文とLPとフォームで、来る人を選ぶ
- 症状から、最初に手をつける場所を決める
- 効かないケースと、やってはいけない対処
- よくある質問
- まとめ
CPLが上がったとき、確認する順番は決まっています
CPLが上がったという報告を受けたとき、最初に触るべきは入札ではありません。
その数字が信用できるかを、先に確かめます。
計測がずれていれば、CPLは実態と無関係に上下します。
そこを飛ばして入札を下げると、翌週の変化を説明できなくなります。
原因は単独では起きません。
検索語句の劣化と競合入札の激化は、たいてい同時に進みます。
7つの順番は、確認コストの低さと、間違えたときの手戻りの大きさで並べています。
計測と検索語句は、広告費を動かさずにその日のうちに見られます。
一方で、LPの改修やフォームの再設計は工数がかかります。
先に着手すると、原因が別だったときの損失が大きくなります。
表1|7つの確認順序と、着手にかかるコスト
| 順序 | 見る場所 | 確認にかかる時間 | 結果が出るまで |
|---|---|---|---|
| 1 | コンバージョン計測の設定 | 1〜3時間 | 即日〜3日 |
| 2 | 検索語句レポート | 2〜4時間 | 1〜2週間 |
| 3 | マッチタイプと自動拡張 | 1〜2時間 | 2〜3週間 |
| 4 | キャンペーン構成と指名の扱い | 2〜4時間 | 2〜4週間 |
| 5 | 広告文とLPのファーストビュー | 3〜10日 | 3〜4週間 |
| 6 | フォームの項目設計 | 3〜7日 | 4〜8週間 |
| 7 | オークション分析と市場要因 | 1〜2時間 | — |
※所要時間と期間は【モデル試算】です。アカウント規模、CV数、社内の承認フローによって変わります。
現実的には、1と2を最初の週に済ませます。
3以降は、結果を2週間観測してから決めます。
CPLだけを見て判断すると、打ち手を間違えます
CPLは、広告費をコンバージョン数で割った値です。
その分母に何を数えているかで、意味がまったく変わります。
受託開発の問い合わせには、性質の違う相手が同居します。
発注検討中の情報システム部門と、独学中の個人が同じ1件です。
同じ分母に入れたままCPLを下げると、単価の安い後者が増えます。
表2|同じCPLでも、事業へのインパクトは変わる【モデル試算】
| パターン | CV数 | CPL | 商談化率 | 商談数 | 商談単価 |
|---|---|---|---|---|---|
| A:部分一致を広げてCV数を増やした | 52件 | 32,700円 | 8% | 4.2件 | 404,800円 |
| B:手を入れる前の状態 | 34件 | 50,000円 | 16% | 5.4件 | 314,800円 |
| C:除外とフォームを整えた | 27件 | 63,000円 | 37% | 10.0件 | 170,000円 |
※【モデル試算】です。月間広告費はいずれも1,700,000円。CPLが最も低いAが、商談単価では最も高くなります。
表2のAは、CPLだけを見れば最も優秀です。
しかし商談単価ではCの2.4倍で、得られる商談は6件近く少なくなります。
IT・システム開発でCPLが弱い指標になる理由
1つ目は、受注単価の幅が広いことです。
案件単価が20倍違えば、許容できるCPLも20倍違います。
2つ目は、受注までの期間が長いことです。
3か月から1年かかる案件では、当月のCPLと受注が対応しません。
3つ目は、問い合わせてくる担当者と、予算を持つ人が別であることです。
POINT
CPLを捨てる必要はありません。日次の監視指標としては使えます。ただし、施策の採否を決める判断指標は商談化率と商談単価に移します。CPLが上がっても商談単価が下がっているなら、その施策は続けます。
商談単価まで持つために、最低限そろえる列
- 問い合わせ日と問い合わせID
- 流入元(キャンペーン単位まで)
- フォームで取得した予算レンジと従業員規模
- 商談化した/しなかったの判定
- 失注した場合の理由区分
この5列で、キャンペーン別の商談化率が出せます。
差が10ポイント以上あれば、予算配分を変える根拠になります。
点検1:計測が正しいかを、いちばん先に確かめる
計測のずれは、CPLを両方向に動かします。
重複していれば低く見え、欠損していれば高く見えます。
受託開発で多いのは重複です。
Googleタグの直接設置とタグマネージャの両方が生きている構成は、よくあります。
症状から逆算する方法が、いちばん早い確認です。
広告管理画面のCV数と、実際に届いたメールの件数を数えるだけです。
この2つが1.5倍以上ずれていたら、計測を疑います。
電話コンバージョンと二重送信の扱い
電話CVが未計測だと、リードが分母から抜けるためCPLは高く出ます。
一方で、電話CVをそのまま足すと重複が起きます。
フォームで問い合わせたあとに電話をかける人がいるためです。
注意
電話CVを追加した直後は、分母が増えるためCPLが下がります。この下がり方を施策の効果と読むと、そのあとの判断がずれます。計測を変えた週は、前後の比較から除外してください。
二重送信は、フォームの実装で防ぐか、計測側を「1回」に設定します。
点検2と3:検索語句とマッチタイプを見直す
計測が正しいと確認できたら、次は検索語句レポートです。
IT・システム開発では、ここに最大の漏れがあります。
理由は、同じ語が求人検索と発注検索の両方で使われるからです。
受託開発のアカウントでは、クリックの3〜6割が発注意図のない語に流れている状態が珍しくありません。
直近90日の検索語句をエクスポートし、上位200語を目視します。
除外キーワードは4つに分けて考える
除外を「不要な語を消す作業」と捉えると、判断が雑になります。
語によって外し方のレベルが違うためです。
除外の4分類
- A:完全に無関係(求人/転職/年収/志望動機/未経験)→アカウント単位で即時除外
- B:学習・独学(作り方/独学/入門/サンプルコード)→アカウント単位で除外
- C:同業・調査(ランキング/一覧/評判/口コミ)→キャンペーン単位で除外
- D:対応外の規模と領域(個人/副業/格安/ノーコード)→フレーズ一致で部分除外
AとBは、迷わず外して構いません。
受託開発の広告で、これらが商談になる確率はほぼゼロです。
CとDは、判断が要ります。
迷ったら、その語から来たCVが過去3か月で商談化しているかを見ます。
POINT
除外リストは「消す」ではなく「分ける」ために作ります。求人系は完全除外、比較系は別キャンペーンに切り出して入札を下げる、と扱いを変えられます。すべて同じリストに入れると、あとから見直せなくなります。
語が湧き続けるなら、マッチタイプを疑う
除外リストを整えても、語が湧き続ける場合があります。
その多くは、マッチタイプと自動拡張の設定が原因です。
部分一致は、同じ意味を持つ語まで配信対象にします。
IT・システム開発の語は、この判定が外れやすい領域です。
部分一致は悪い設定ではなく、運用の頻度が足りないアカウントで壊れやすい設定です。
週1回、語句を見て除外を足せるなら機能します。
月1回しか触らないなら、フレーズ一致に寄せます。
マッチタイプまわりで確認する設定
- 推奨事項の自動適用が、項目ごとにオンになっていないか
- P-MAXやデマンドジェネレーションが、検索面に広がっていないか
- 過去に商談化した語が、完全一致で保護されているか
検索語句の何割が発注意図のない語なのか、まだ数えていない方へ
TimeValue株式会社では、無料マーケティング診断を毎月10社限定で実施しています。
- 広告CV数とフォーム受信実数に乖離があるかどうか
- 求人・学習・同業の語がクリックの何割を占めているか
- 指名検索が、どのキャンペーンに吸われているか
オンライン30〜45分/資料の事前提出は不要です。
点検4:指名検索が、どのキャンペーンに計上されているか
指名検索は、すでに社名を知っている人が検索するためCPLが桁違いに低くなります。
典型的なのは、P-MAXが指名検索を吸っているケースです。
P-MAXは検索面にも配信されるため、社名検索を拾います。
結果としてP-MAXのCPLだけが低く出ますが、予算を増やしても新規は増えません。
図5の2つの状態は、事業としてはまったく同じです。
全体CPLも新規商談数も変わらず、違うのは数字の見え方だけです。
それでも分離が必要なのは、次に手を打つ場所が変わるからです。
指名を分離する手順
- 指名語のリストを作る社名、サービス名、英字表記とカタカナ表記、よくある誤記を含めます。
- 指名専用キャンペーンを完全一致で作る予算は小さくて構いません。指名検索の量は、そもそも限られています。
- P-MAXと一般キャンペーンから指名語を除外するアカウント単位のブランド除外、または除外キーワードリストで対応します。
- 2週間観測し、一般CPLを目標と比較するここで初めて、一般キーワードの本当のCPLが見えます。
注意
指名を分離すると、一般キャンペーンのCPLが跳ね上がって見えます。悪化したのではなく、隠れていた実態が出ただけです。ここで一般キャンペーンを止めると、指名検索を生んでいた入口を自分で閉じることになります。
点検5と6:広告文とLPとフォームで、来る人を選ぶ
ここまでで、来る人の質は整理できます。
次は、来た人に何を伝えているかです。
受託開発のLPで多いのは、技術スタックの一覧はあっても、案件規模の記載がないことです。
その結果、最低受注額が1,000万円でも、50万円の予算の会社が問い合わせます。
対応規模を明記すると、CV数は41件から34件に減り、商談化率は11%から16%に上がります。
CPLは42,300円から51,000円へ悪化し、商談単価は385,000円から319,000円へ改善します。
どちらを採用するかは、目標指標をどう置いたかで決まります。
CPLを目標にしている限り、この施策は却下されます。
広告文とLPで先に伝える3つの情報
- 対応できる案件規模(最低受注額または人月レンジ)
- 得意な領域(業務システム/Webサービス/基幹/組込みなど)
- 関われる工程(要件定義から/設計以降/運用保守のみ)
この3つは、営業が初回商談の冒頭で確認する項目です。
説明文ではなく見出しに入れないと、絞り込みは働きません。
この施策は、CTRを下げます。
実施前に、CTRの低下を許容する旨を関係者と合意しておきます。
フォームは、足す前に減らす
追加を検討する項目は、予算レンジ、従業員規模、稼働希望時期の3つです。
ただし、設問を増やす前に入力形式を見直します。
自由記述を1つ増やすより、選択式を3つ増やすほうが軽くなります。
フォームの整理順
- 自由記述は「ご相談内容」の1つに絞る
- 予算・規模・時期は、すべて選択式にする
- 必須項目は、企業名・氏名・メール・電話の4つまで
- 確認画面を挟まず、1画面で完結させる
- 予算レンジには「未定」の選択肢を残す
「未定」を落とすと、絞り込みたくない層から先に離脱します。
大企業の情報システム部門は、初期段階で予算を持っていません。
「未定」を選んだ相手は除外せず、従業員規模で優先度を判断します。
症状から、最初に手をつける場所を決める
7つを、症状から引けるようにまとめます。
まず、広告費が増えたのか、CV数が減ったのかを分けます。
表3|症状別の判断基準と、最初に見る場所
| 症状 | 最初に見る場所 | やること | 判断までの目安 |
|---|---|---|---|
| CPLが上がり、CV数も減った | 計測とLP | タグ発火とフォーム受信実数を突合する | 3〜7日 |
| CPLが上がり、CV数は横ばい | オークション分析 | 重複率と損失シェアの内訳を見る | 1〜2週間 |
| CPLは横ばい、商談化率が落ちた | 検索語句 | 90日分を分類し、AとBを共有除外に入れる | 2〜4週間 |
| CPLが下がり、商談数も減った | マッチタイプ | 部分一致の拡張範囲を確認し、絞る | 2〜3週間 |
| 特定キャンペーンだけCPLが極端に低い | 指名の帰属先 | 指名語を分離し、除外を設定する | 2週間 |
| 問い合わせは来るが規模が合わない | 広告文とLPとフォーム | 対応規模を明記し、予算レンジを追加する | 4〜8週間 |
※判断までの目安は【モデル試算】です。症状は、CPLの変化とクリック数・CPCの推移を並べて判定します。CV数が少ないアカウントでは、期間を長めに取ってください。
複数に当てはまる場合は、判断までの目安が短いほうから着手します。
4週間かかる施策を先に始めると、その間の観測が濁ります。
点検7:競合入札は、いちばん最後に見る
1から6を確認しても下がらないときに見るのが、オークション分析です。
重複率が上がっていれば、同じ相手と当たる頻度が増えています。
順位による損失シェアが増えていれば、入札か品質で負けています。
ただし競合が増えたと分かっても、打てる手は限られます。
そこで検討するのは、戦う場所を変えることです。
「システム開発 会社」より「生産管理システム 開発 製造業」に寄せます。
注意
オークション分析を最初に見ると、外部要因で説明が終わってしまいます。競合が増えたのは事実でも、自社側に手が残っていることは多くあります。最後に置くのは、そのためです。
効かないケースと、やってはいけない対処
7つを実施しても、CPLが下がらない場合があります。
先に、効きにくいケースを整理します。
1つ目は、市場が縮小しているケースです。
検索数が前年比で3割以上落ちていれば、広告側の改善では戻りません。
2つ目は、CV数が月5件未満のケースです。
母数が小さすぎて、施策の効果と偶然が区別できません。
3つ目は、初回接触まで3日かかるなど、営業体制が追いついていないケースです。
広告の改善が効くのは、月10件以上のCVがあり、翌営業日までに接触できる体制がある場合です。
入札を一律で下げてはいけない理由
入札を一律に下げると掲載順位が落ち、CPCと同時にCTRとCVRも下がります。
結果として、CPLはあまり変わらず、配信量だけが減ります。
下げるなら、語句単位で判断します。
過去90日で商談化がゼロの語から、順に止めるのが先です。
配信を全停止する前に考えること
成果が読めないときに、いったん止める判断はよくあります。
ただしIT・システム開発では、検討期間が長いぶん代償が大きくなります。
3か月前に広告で認知した企業が、今月に指名検索してきます。
予算を削るなら、丸ごと止めず、成果の出ていない語から段階的に外します。
全停止からの再開では、学習が最初からやり直しになります。
広告の外側で、先に整えるもの
- 問い合わせから初回接触までを、翌営業日以内にする
- 商談化した/しなかったの判定を、全件で記録する
- 失注理由を、予算・時期・領域・体制の4区分で残す
- 月間CV数が5件を下回るなら、まず配信面と語を集約する
ここが整っていないと、広告側の判断材料が作れません。
よくある質問
除外キーワードを入れたら、CV数が3割減りました。戻すべきですか
戻す前に、減った3割の中身を確認してください。除外した語から来ていたCVが、過去に商談化していたかどうかが判断材料です。商談化ゼロの語を外して減った分であれば、事業への影響はありません。見るべき数字は商談数と商談単価です。除外後2週間から4週間で商談数が維持または増加しているなら、そのまま続けてください。
P-MAXは使わないほうがいいですか
使わないほうがよいとは限りません。問題は、P-MAXが指名検索を吸ったまま成果が過大に見える状態です。ブランド除外またはアカウント単位の除外リストで指名語を外し、指名専用キャンペーンを別に用意してください。そのうえで2週間から4週間観測し、新規CVがどれだけ残るかを確認します。ほとんど残らない場合は、予算を検索キャンペーンに戻す判断になります。
商談化率まで見たいのですが、CRMとの連携ができていません
自動連携は後回しで構いません。週1回、問い合わせ日・問い合わせID・流入元・予算レンジ・従業員規模・商談化判定・失注理由の7列をスプレッドシートに手入力するだけで、キャンペーン単位の商談化率は算出できます。月30件程度であれば、入力は週30分ほどです。キャンペーン間の差が確認できてから、オフラインコンバージョンのインポートを検討すれば足ります。
まとめ
- CPLが上がったら、入札ではなく計測から確認する。数字が信用できるかが先
- 検索語句は求人・学習・同業・対応外の4分類で扱い、AとBは即時に除外する
- 部分一致は設定の良し悪しではなく、週次で語句を見る体制があるかで決める
- 指名がP-MAXに吸われていると、一般キーワードの実力を見誤る
- 広告文とLPで対応規模を先に伝えると、CPLは上がり商談単価は下がる
- 判断指標はCPLではなく、商談化率と商談単価に置き換える
順番を守れば、翌週に動いた数字がどの変更によるものかを説明できるようになります。
CPLは下がったのに商談が増えない状態から、抜け出せていない場合
TimeValue株式会社のKAIZENは、広告の運用だけでなく、計測の設計から商談化までを一続きで見る支援です。
CPLではなく商談単価で判断できる状態を作るところまでが範囲です。