無料相談でいただく質問は、業種が違っても驚くほど似ています。
「いくらから始めればいいか」「このCPAは高いのか」「今の代理店で合っているのか」。
どれも相場を聞く形ですが、答えは外の平均値ではなく自社の数字の中にあります。
相談の場で実際にお答えしている内容を、判断の手順ごと5つ分書き出します。
CV1件に払える上限を先に出せば、予算もCPAの是非も外注範囲も、その場で判断できます。
5つの相談は、すべてこの1点に戻ります。
- 予算は金額から決めず、許容CPAと必要CV数から逆算する
- CPAの高い安いは相場ではなく、自社のLTVでしか決まらない
- 代理店の評価は、成果の良し悪しではなく情報が出てくるかで決まる
※本記事の数値は、実案件で起きやすい状況を一般化したモデルケース(シミュレーション)です。特定企業の実績ではありません。
目次
- 相談の中身は、だいたい5つに収れんします
- 相談1:広告費はいくらから始めればいいですか
- 相談2:代理店に任せているが、成果が出ているのか分からない
- 相談3:CPAが高いのですが、これって高いんでしょうか
- 相談4:問い合わせは来るのに、受注につながりません
- 相談5:内製すべきか、外注すべきか
- 5つに共通するのは、自社の数字が手元に無いこと
- 効かないケースと、やってはいけない対処
- よくある質問
- まとめ
相談の中身は、だいたい5つに収れんします
年間に数十件の無料相談をお受けしていますが、最初の10分で出る話は決まっています。
上の5つで8割以上を占めます。
業種も予算規模も違うのに、詰まる場所だけが同じです。
担当者の力量ではなく、流通する情報が金額と相場に偏っているからです。
その数字が自社に当てはまるかを判定する手順は、ほとんど書かれていません。
相談の場でやっているのは、相場を答えることではなく、自社の数字で逆算する手順を一緒に通すことです。
以下、相談ごとに、言葉の裏で起きていること、最初に確認する数字、判断が分かれる条件の順で書きます。
相談1:広告費はいくらから始めればいいですか
5つのうち、最も多くいただく相談です。
そして、最も答えがずれやすい相談でもあります。
質問の形は金額ですが、聞かれているのは「いくら出せば失敗しないか」です。
月30万円くらいから、と返しても不安は消えません。
金額を先に決めると、予算に収まるよう目標のほうを後から調整することになります。
CPAがいくらなら成功と呼べるのかが決まらないまま、配信だけが始まります。
3か月後に残るのは「思ったほどではない」という感想だけで、続けるか止めるかも決められません。
最初に確認するのは、CV1件に払える上限
相談の場では金額の話をいったん止め、平均受注単価、粗利率、平均継続期間、商談からの受注率をお聞きします。
この4つがあれば、CV1件に払える上限はその場で出ます。
出てこない場合、予算の話を進めても意味がありません。
表1|許容CPAの逆算(モデル試算)
| 項目 | 値 | 考え方 |
|---|---|---|
| 年間受注単価 | 600,000円 | 初年度の契約金額 |
| 粗利率 | 60% | 原価と提供コストを引いた後 |
| 平均継続期間 | 2年 | 解約までの平均 |
| LTV粗利 | 720,000円 | 600,000 × 60% × 2年 |
| 許容CAC | 216,000円 | LTV粗利の30%を獲得に充てる |
| 商談から受注 | 25% | 4件商談して1件受注 |
| CVから商談 | 30% | 問い合わせ10件で商談3件 |
| 許容CPA | 16,200円 | 216,000 × 25% × 30% |
※【モデル試算】自社の数値に置き換えて計算してください。許容CACの比率は、回収したい期間によって20〜40%の幅で設定します。
この会社の許容CPAは16,200円です。
CPAが2万円なら赤字方向、1万円なら利益が出る方向と判定できます。
ここまで出せば予算は自動的に決まります。
月に3件受注したいなら、3件 ÷ 25% ÷ 30% でCVは40件、40件 × 16,200円で約65万円です。
分かれ目は、週あたりのCV数が足りるかどうか
自動入札は、一定量のCVが溜まって初めて配信先の精度が上がります。
目安として、週に10件前後のCVが取れていれば週次で判断ができます。
週3件しか取れない場合、前週比が倍になっても偶然の範囲です。
判断は月次に落ちるため、検証の速度はそのまま3分の1になります。
逆算した最低ラインに自社の予算が届かない場合、選択肢は3つです。
- 媒体を1つに絞る1媒体1キャンペーンに集約します。同じ予算でも1つあたりのCV数が増え、判断が回ります。
- CVの定義を手前に置く資料ダウンロードもCVに入れます。件数は増えますが商談化率は下がるため、目標は分けて持ちます。
- 判断サイクルを月次にする週次の調整をあきらめ、月単位で見ます。少額から始める場合は、この形が現実的です。
相談2:代理店に任せているが、成果が出ているのか分からない
2番目に多い相談です。
「レポートは毎月もらっているが、良いのか悪いのか判断できない」という言い方をされます。
この相談に、レポートの読み方はお教えしていません。
問題はその手前にあるからです。
「良い」と判断するには、目標値か過去の自社か他の選択肢か、比較対象が要ります。
ところが目標CPAが代理店の提案のままだと、達成の判定も相手の設定次第になります。
レポートが読めない原因は読み手の側ではなく、比較する材料が渡されていないことです。
最初に確認するのは、所有権・生データ・CV定義
相談の場で最初に聞くのは、成果の話ではありません。
次の3つを持っているかどうかです。
発注側が持っておくべき3つの情報
- アカウントの所有権。自社名義で、管理者権限を持っている
- 生データへのアクセス。キーワード単位と広告単位の数字を自分で見られる
- CV定義の把握。何がCVとして計測されているかを、重複まで含めて説明できる
所有権が無いまま解約すると、配信データと学習が失われ、次の代理店がゼロから始めます。
取り戻すのが最も難しいのも、この項目です。
一方、実務で一番効くのはCV定義で、一番見落とされてもいます。
よくあるのは、電話タップ、フォーム送信、サンクスページ到達が二重に計上されているケースです。
1人の問い合わせが2件3件として数えられ、CPAは見た目上、半分になります。
悪意が無くても、初期設定の積み残しで普通に起こります。
注意
CV定義の確認を「代理店への不信」と受け取られないよう、聞き方には配慮が必要です。
成果を疑うのではなく、社内報告のために内訳を知りたい、という入り方が実務では通りやすいです。
分かれ目は、聞いたときに出てくるかどうか
代理店を評価する最も確実な方法は、生データを見せてほしいと依頼して、その反応を見ることです。
翌営業日までに閲覧権限が付与されれば、まず問題ありません。
やり取りの内容が、そのまま透明性の水準を示します。
レポートで代替しようとする、権限付与を先延ばしにする、という反応が出ることもあります。
理由が何であれ、中身が見えない状態は変わりません。
成果が悪くても情報が出る代理店は直せますが、情報が出ない相手は直しようがありません。
自社の許容CPAを、その場で一緒に出します
TimeValue株式会社では、無料マーケティング診断を毎月10社限定で実施しています。
- 自社のLTVから逆算した許容CPA
- 週次で判断が回るために必要な月予算のライン
- 今の配信が、その許容内に収まっているかの判定
オンライン30〜45分/資料の事前提出は不要です。
相談3:CPAが高いのですが、これって高いんでしょうか
この質問には、相場で答えることができません。
正確には、相場で答えると判断を誤らせます。
CPAの許容範囲は商材の経済性で決まり、単価と継続期間が違えば許容値は数倍変わるからです。
平均より安いCPAでも、自社の許容を超えていれば赤字です。
逆に業種平均の倍のCPAでも、LTVが十分に大きければ投資として成立します。
同じCPA8,000円でも、判断が真逆になる2社
表2|CPA8,000円が高いか安いかは、LTVで決まる(モデル試算)
| 項目 | A社 | B社 |
|---|---|---|
| 年間受注単価 | 300,000円 | 1,200,000円 |
| 粗利率 | 70% | 65% |
| 平均継続期間 | 1年 | 3年 |
| LTV粗利 | 210,000円 | 2,340,000円 |
| 許容CAC(LTV粗利の30%) | 63,000円 | 702,000円 |
| 商談から受注 | 25% | 25% |
| CVから商談 | 30% | 30% |
| 許容CPA | 4,725円 | 52,650円 |
| 実際のCPA8,000円の評価 | 許容の1.7倍。下げる必要がある | 許容の15%。むしろ投資を増やせる |
※【モデル試算】商談化率と受注率を同一にして、LTVの差だけが見えるようにしています。実際は両社でこの比率も異なります。
差を生んでいるのは継続期間です。
1年と3年の違いが、許容CPAを11倍に広げています。
A社がやるべきは入札調整ではなく、継続期間を延ばすか受注単価を上げるかです。
広告の外に答えがある、という結論は珍しくありません。
B社は逆で、CPAを気にして予算を絞っていること自体が機会損失です。
CPAが2万円でも、取れる件数を増やしたほうが利益は増えます。
POINT
許容CACをLTV粗利の何%に置くかは、資金の回収スピードで決まります。
手元資金に余裕がなければ20%、投資フェーズなら40%まで許容する、という設計になります。
分かれ目は、LTVの数字が出せるかどうか
この逆算ができない会社の共通点は、継続期間と解約率を誰も測っていないことです。
受注は営業、解約はカスタマーサクセスと分かれていると、つながった数字が存在しません。
ただ、厳密な集計は要りません。
直近1年の解約件数と契約件数から概算すれば、判断には十分です。
相談4:問い合わせは来るのに、受注につながりません
件数としては3番目ですが、相談の深刻度は最も高い種類です。
広告費は出ているのに、売上が動いていないからです。
そしてこの相談の多くは、広告の前後の工程に原因があります。
比率ではなく、実数のまま上から並べる
最初にやるのは、工程ごとの件数を上から順に並べることです。
比率で見るとどの工程も少し悪く見えますが、実数にすると落ちている場所が1か所に絞れます。
実務で一番多いのは、問い合わせは多いのに商談にならない型で、原因はほぼ検索語句にあります。
「無料」「安い」「自分で」を含むクエリからの問い合わせは、商談に進みにくくなります。
情報収集の段階であって、導入検討ではないからです。
この場合、安く取れているのでCPAはむしろ良く見えます。
ところが営業側では、話にならない問い合わせが増えたという感覚になります。
意外に効くのは、初回連絡までの時間
切り分けの中で最も低コストで効くのが、初回接触までの速度です。
段取りを変えるだけなので、費用はかかりません。
フォーム送信から24時間以上空くと、接触率は明確に落ちます。
比較検討中の相手は、その間に他社と話しているからです。
POINT
受注に届かない原因が広告の外にあるとき、それを正直に伝えるかどうかが代理店の分かれ目です。
広告の改善提案だけを返す相手は、自社の売上のほうを見ていません。
この相談だけは、営業担当の同席をお願いすることがあります。
広告側の数字だけでは、壊れている場所が決まらないためです。
相談5:内製すべきか、外注すべきか
この相談は二択で聞かれますが、二択で答えるとどちらでも問題が残ります。
広告運用と呼ばれている仕事は、実際には5つ以上の業務の束です。
戦略設計、アカウント構築、入札調整、クリエイティブ制作、計測設計、予算配分の判断で、必要なスキルも頻度も違います。
一括で内製にすると専任者を1人置いても手が回らず、一括で外注にすると判断まで外に出ます。
そのため、まず業務を分解して機能ごとに振り分けます。
クリエイティブとLP改善は、量を外に出し方向性を社内が持つ併用型が現実的です。
判断を外に出すと、予算は増える方向に傾く
外注で最も避けるべきなのは、予算を増やすか減らすかの判断を代理店側に置くことです。
手数料が広告費の割合で決まる契約では、予算が増えると代理店の売上も増えます。
悪意が無くても、増やす提案のほうが出やすく、撤退の提案は出にくくなります。
固定報酬にするか、成果連動の指標を商談数や受注数に置けば緩和はできます。
ただ、根本的な解決は判断を社内に残すことです。
注意
内製化を「コスト削減」として始めると、たいてい失敗します。
手数料は浮きますが、人件費と学習コストのほうが大きく、判断の速度も最初は落ちます。
内製化が機能するのは、判断の速度を上げたいときだけです。
判断が遅れて機会を逃した場面が思い当たらなければ、今の形のままで問題ありません。
5つに共通するのは、自社の数字が手元に無いこと
5つを並べると、どれも自社の数字を使えば答えが出る質問だと分かります。
予算は許容CPAと必要CV数から、CPAの高い安いは自社のLTVから判定できます。
受注に届かない原因も、工程別の実数を並べれば絞れます。
では、なぜ手元に無いのか。
集計されていないのではなく、つながっていないだけです。
CV数は媒体の管理画面、商談数は営業のCRM、受注金額は会計システム、解約率はカスタマーサクセスの管理表にあります。
4か所に分かれていると、1本の線として見る人が誰もいません。
相談の場でやっているのは、この4か所を30分で1本につなぐ作業です。
桁さえ合っていれば、やるべきことは同じになります。
相談の前に、これだけ手元にあると早い
相談用の資料を作っていただく必要はありません。
スプレッドシートのまま、メモのままで構いません。
相談前の準備チェックリスト
- 直近12か月の受注件数(合計で構いません)
- 平均受注単価と、分かれば粗利率
- 平均的な継続期間、または年間の解約件数
- 直近3か月の問い合わせ件数と、商談になった件数
- 配信中なら、月の広告費とCV数
- 代理店と契約中なら、直近3か月の月次レポート
すべて揃っていなくても構いません。
欠けている項目が何かが分かること自体が、最初の収穫になります。
効かないケースと、やってはいけない対処
ここまでの手順が、そのままでは効かない状況も3つあります。
1つ目は、サービス開始から半年以内で解約データがまだ無い場合です。
継続期間が読めないため、LTVではなく初回取引の粗利だけで許容CACを置きます。
計算上の許容CPAは小さくなりますが、確定していない未来の売上を前提に投資するよりは安全です。
2つ目は、受注までの期間が1年を超える商材です。
CPAと受注を同じ期間で結べないため、広告の評価は有効商談数までで区切ります。
3つ目は、CVが月に数件しか出ない規模です。
1件の増減でCVRもCPAも倍近く動くため、数字より個別の内容を見るほうが確実です。
やってはいけない対処
最も損失が大きいのは、CPAだけを目標に置いて、代理店にその数字を下げさせることです。
CPAは、単価の安いCVを増やすだけで下がります。
資料ダウンロードの比率を上げれば、数字の上では改善します。
ところが商談数は増えず、営業の工数だけが増えて生産性は落ちます。
表3|やりがちな対処と、実際に起きること
| やりがちな対処 | 実際に起きること | 代わりにやること |
|---|---|---|
| CPAを一律で下げるよう指示する | 安いCVに配信が寄り、商談数が減る | CVの種類別に目標を分け、商談単価で評価する |
| 業種平均のCPAを目標値に置く | 自社の経済性と無関係な基準で判断してしまう | LTV粗利から許容CPAを逆算する |
| 成果が出ないので代理店を変える | 情報が出ない構造は変わらず、同じ状態が再発する | 契約に所有権とデータ共有の条件を書く |
| 予算を一気に2倍にする | 学習がリセットされ、CPAが一時的に跳ね上がる | 2〜3週ごとに20〜30%ずつ増やす |
※いずれも、短期的には数字が良く見えることがあります。3か月後の商談数で判定してください。
最後の行を補足します。
予算を一気に倍にすると配信対象が広がり、CPAは一時的に上がって落ち着くまで2週間ほどかかります。
増額は20〜30%ずつ、2〜3週の間隔を空けるほうが安定します。
よくある質問
LTVや商談化率の数字が社内に無いのですが、相談しても意味がありますか。
意味があります。数字が無いこと自体を、最初の課題として特定できるからです。相談では受注件数と契約金額から概算のLTVをその場で作り、商談化率も直近3か月の実数から割り出します。精度が粗くても判断の向きは変わりません。集計の仕組みを整えるのは、その後で構いません。
今の代理店に不満があるのですが、変えるべきかどうか相談できますか。
できます。ただ、その前に確認することが3つあります。広告アカウントが自社名義か、生データを閲覧できるか、CV定義を把握しているかです。揃っていない場合、代理店を変えても同じ状態が再発します。逆に揃っていれば、今の代理店を続けながら改善を要求する選択もできます。
CPAが業種平均より低いのに、売上が増えません。何が起きていますか。
CVの中身が、商談につながらない種類に偏っている可能性が高い状態です。資料ダウンロードや無料相談の申し込みは、問い合わせより安く取れます。その比率が上がるとCPAは下がりますが、商談数は増えません。CVの種類別に商談化率を出し、差が大きければ目標を分けて設計し直します。
まとめ
- 広告費は金額から決めず、許容CPAと必要CV数から逆算する
- 代理店の評価は成果の良し悪しではなく、情報が出てくるかどうかで決まる
- CPAの高い安いは相場では決まらず、自社のLTVでしか判定できない
- 受注に届かない原因は、工程別の実数を並べれば1か所に絞れる
- 内製か外注かは一括で決めず、機能ごとに振り分け、判断だけは社内に残す
5つの相談は形が違うだけで、答えを出す手順は同じです。
自社の数字を受注まで分解して、CV1件に払える上限と照らすだけで、判断はその場でつきます。
30分で、自社の許容CPAと詰まっている工程をお返しします
KAIZENは、計測設計からクリエイティブ、LP改善、媒体運用までを一括で担当する支援です。
数字は集計前の生データのまま共有し、予算配分と撤退の判断は御社に残したまま進めます。