クリエイティブは毎週差し替えているのに、CVRが0.8%から動かない。
LPは3年前に作ったまま、誰も手を入れていない。
起きているのは訴求の問題ではなく、遷移先の通過率の問題です。
この記事では、Meta広告だけで新規を取る自社ECが、LPを5か所に分けて12週間で直していく流れを、効かなかった変更も含めて順に書きます。
直す順番は「効きそうな順」ではなく、影響範囲の広さと、単独で検証できるかどうかで決めます。
この順番にしたことで、12週でCVRは0.80%から1.90%まで動きました。
- 最初の2週間はLPを変えず、スクロール到達率とフォームの離脱位置とLCPを数えるだけに使う
- 速度・ファーストビュー・オファー・証拠・フォームの5か所を、1回に1つずつ変えて検証する
- コピーの言い回しやボタンの色は、いまの流入量では有意差を出せない。テストの候補から外す
※本記事の数値は、実案件で起きやすい状況を一般化したモデルケース(シミュレーション)です。特定企業の実績ではありません。
目次
- 12週間でCVRは0.80%から1.90%になりました
- 最初の2週間は、LPを1行も変えずに数えました
- 直す順番は、効きそうな順ではなく検証できる順で決めます
- Week3〜6:速度とファーストビューで、CVRは1.17%まで動きました
- Week7〜8:判定できないテストに、2週間を使いました
- Week9〜12:オファーとフォームで、1.90%に届きました
- 効かないケースと、やってはいけない対処
- 自社で回すための、週次の型
- よくある質問
- まとめ
12週間でCVRは0.80%から1.90%になりました
12週間でCVRは0.80%から1.90%になりました。
CPAは9,010円から4,120円で、下げ幅は54.3%です。
CPAが許容上限を下回ったので、広告費は320万円から420万円に増やしました。
ただし、1回の変更でCVRを最も動かしたのは、最後に手を付けたフォームでした。
入力項目を7つから4つに減らしただけで、CVRは1.51%から1.90%になっています。
LP刷新が失敗する最大の理由は、変更が悪いことではなく、変更の良し悪しを判定できないまま次に進むことです。
表1|Before/After(モデル試算・月次)
| 指標 | Before(Week0) | After(Week12) | 変化 |
|---|---|---|---|
| 月間広告費 | 320万円 | 420万円 | +31.3% |
| CVR(LPセッション基準) | 0.80% | 1.90% | +1.10pt |
| CPA(初回購入) | 9,010円 | 4,120円 | -54.3% |
| 直帰率(モバイル) | 72.4% | 51.8% | -20.6pt |
| カート到達率 | 2.10% | 3.83% | +1.73pt |
| フォーム完了率 | 38.1% | 49.5% | +11.4pt |
| LCP(モバイル・75パーセンタイル) | 4.3秒 | 2.1秒 | -2.2秒 |
| 月間CV数 | 355件 | 1,020件 | +187% |
※すべて【モデル試算】。前提は、初回1,980円・2回目以降4,980円の定期便、Meta広告のみ、モバイル比率92%、月間LPセッション44,400、許容CPA上限9,500円です。CVRはカート到達率×フォーム完了率で整合させています。
広告の買い方は、12週間ほとんど変えていません。
CPAが半分近くまで下がったのは、LP側の通過率が2倍以上になったからです。
POINT
毎週クリエイティブを差し替えても数字が動かないなら、広告側でできることは終わっています。
次に疑うのは、遷移先の通過率です。
最初の2週間は、LPを1行も変えずに数えました
Week1とWeek2は、LPにも広告にも手を入れていません。
予算とクリエイティブと入札を固定しました。
広告側の指標は悪くありませんでした。
CTRは1.42%、CPCは72円で、クリックまでは買えていた状態です。
スクロール到達率を出すと、落ちている場所は2か所に集中していました。
ファーストビューで滞在3秒未満の離脱が38%、価格表までの区間で61.0%が24.1%に落ちます。
フォームは、到達さえすれば38.1%が完了していました。
離脱の内訳は、電話番号欄で18%、生年月日欄で11%、住所欄で9%です。
Week2は、モバイルの読み込み時間を実機と実回線で測りました。
LCPは75パーセンタイル値で4.3秒です。
【公開データ】GoogleのCore Web Vitalsでは、2.5秒以下が「良好」、4.0秒超が「不良」とされています。
Week2で洗い出した、読み込みを遅くしていた6点
- ファーストビューの背景画像が1.8MBのPNG。表示サイズの3倍の解像度で配信
- 独自Webフォント2ファイルをサブセット化せず、全字形を読み込み
- チャットツールのタグを同期読み込みしていた
- ヒートマップツールのタグをheadの先頭に置いていた
- 口コミカルーセルのライブラリを、画面外なのに初期表示で読み込み
- 画像に幅と高さの属性がなく、CLSが0.24
この2週間で、LPの数字は1つも変わっていません。
変わったのは、どこを直せば何が動くかの見当がついたことです。
直す順番は、効きそうな順ではなく検証できる順で決めます
影響範囲が広い変更を後回しにすると、先に終わったテストの前提が崩れます。
そこで、速度 → ファーストビュー → オファーの見せ方 → 証拠の配置 → フォームの順にしました。
フォームを最後にしたのは、影響範囲が最も狭いからです。
到達するのは全体の2%程度で、上流を直さないと母数自体が増えません。
表2|検出したい改善幅と、必要サンプル数の目安(モデル試算)
| 判定に使う指標 | ベース率 | 検出したい相対改善 | 1群あたり必要サンプル | 週11,100セッションでの所要 |
|---|---|---|---|---|
| 購入完了CVR | 0.80% | +20% | 約53,000 | 約9.5週 |
| カート到達率 | 2.10% | +30% | 約9,300 | 約1.7週 |
| カート到達率 | 2.98% | +10% | 約44,000 | 約7.9週 |
| フォーム完了率 | 39.4% | +25% | 約380(フォーム到達者) | 約1.5週 |
| 購入完了CVR | 1.17% | +2%(ボタン色相当) | 約330万 | 約11年 |
※有意水準5%(両側)、検出力80%、2群等分割での概算【モデル試算】。フォーム完了率の行だけ母数はフォーム到達者です。
相対20%の改善を購入完了CVRで判定しようとすると、12週で1本しか回せません。
一方、カート到達率なら1群9,300で足ります。
主指標を購入完了CVRから中間指標に置き換えたことが、12週で複数の検証を回せた理由です。
テスト開始前に埋めておく6項目
- 変更する箇所(1テストにつき1か所)
- 主指標(カート到達率/フォーム完了率/購入完了CVRのいずれか1つ)
- ガード指標(初回購入後の2回目引上率、問い合わせ件数)
- 検出したい相対改善幅と、1群あたりの必要サンプル数
- 判定日(必要サンプル到達日と、曜日周期2回分のうち遅いほう)
- 不採用にする条件(ガード指標がどこまで下がったら戻すか)
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Week3〜6:速度とファーストビューで、CVRは1.17%まで動きました
最初に着手したのは速度です。
効きそうだから選んだのではなく、後回しにすると他のテストが成立しなくなるからです。
改修の中心は画像です。
FV背景画像1.8MBをWebPの210KBに変え、この1点だけでLCPは1.4秒縮みました。
残りはフォントのサブセット化とタグの非同期化で0.8秒、CLSは0.24から0.04です。
結果として、LCPは4.3秒から2.1秒、直帰率は72.4%から65.1%です。
CVRは0.80%から0.92%になりました。
速度改修はA/Bで分けにくい変更です。
そこで前2週間と後2週間の前後比較で見て、同じ期間に他の変更を一切入れませんでした。
ファーストビューは、広告と同じ主張に揃えます
広告クリエイティブは「初回1,980円」を主訴求にしていました。
一方でLPのファーストビューには、価格が一切書かれていません。
広告で約束したことが遷移先の1画面目に無いと、内容の良し悪し以前に離脱します。
- キャッチを広告の主訴求と同じ文言にする「初回1,980円」を、そのままファーストビューの一行目に置きました。
- 画像を使用シーンの縦構図に変える1画面に価格と条件が同時に入る構図にしました。
- 条件を3点だけ先に出す回数縛りなし、送料無料、いつでも解約可。詳細は下部に残しました。
- CTAを行動ベースの文言に変える「詳しくはこちら」から「初回1,980円ではじめる」に変更しています。
4点を一度に変えたのは、1点ずつでは検出できない差にしかならないためです。
どれが効いたかは分かりませんが、まず動くかを確認する優先度が上でした。
カート到達率は2.33%から2.98%、CVRは0.92%から1.17%になりました。
必要サンプル1群9,300に対し、2週間で1群11,100に到達しています。
Week7〜8:判定できないテストに、2週間を使いました
ファーストビューが効いたので、次はコピーを磨こうという流れになりました。
CTAを「今だけ初回1,980円」に変える案です。
7日間、1群5,550セッションで回して、CVRは1.17%から1.15%でした。
数字上は下がっていますが、この差は有意ではありません。
Week8はCTAボタンの色を緑からオレンジに変え、CVRは1.19%になりました。
表2のとおり、この差の検出には1群330万セッション、いまの流入では11年かかります。
ボタンの色を変えるテストは、効かないのではなく、効いたかどうかを確認できません。
失ったのは開発工数ではなく、12週のうちの2週というテスト枠そのものでした。
この流入量で回せるA/Bテストは、5〜7本が上限です。
注意
実装コストが低い変更ほど、テスト枠を消費しやすい傾向があります。
着手する前に、期待できる相対改善幅と必要サンプル数を先に見積もってください。
Week9〜12:オファーとフォームで、1.90%に届きました
価格表はページ最下部にあり、到達率は24.1%でした。
4人に3人は、価格を見ないまま帰っていた状態です。
そこで現行を対照群に、18日間・1群約9,500セッションで2案を検証しました。
A案は、ファーストビュー直下に価格と条件の表を置く案です。
カート到達率は2.98%から3.72%、CVRは1.17%から1.47%になりました。
B案は、2回目以降4,980円をアコーディオンに隠す案です。
カート到達率は3.31%に上がりましたが、フォーム完了率が33.9%に落ちてCVRは1.12%でした。
さらに、2回目引上率が68.5%から59.2%へ9.3ポイント下がっていました。
いずれの差も、1群9,500では有意と判定できません。
それでもB案を採用しなかったのは、上振れを確認できないのにガード指標が下がる方向に動いたからです。
効果を確認できない変更を、リスクだけ取って入れる理由はありません。
注意
【公開データ】定期購入の回数条件や解約条件を、消費者が認識しにくい形で表示することは、景品表示法や特定商取引法との関係で問題になり得ます。
折りたたみや小さな注記での表示は、数字が良く出ても採用しない前提で設計してください。
口コミはA/Bをやめ、前後比較で入れました
口コミの配置変更で期待できる差は、カート到達率で+5%前後です。
表2のとおり+10%でも1群44,000セッション必要で、12週の枠には入りません。
そこでA/Bをやめ、最下部のカルーセル12件を解体して3か所に分けました。
価格表の直後、使用感の説明の直後、フォーム直前です。
基準は、疑いが生まれる位置の直前です。
「本当に縛りがないのか」は、価格を見た直後に出る疑問だからです。
カート到達率は3.72%から3.83%になりましたが、この差は確認できていません。
採用の根拠は、解約条件に関する問い合わせが月18件から6件に減ったことです。
フォームは7項目から4項目にしました
生年月日は購入と配送に不要なので削除し、フリガナは氏名から自動生成にしました。
住所は郵便番号からの自動補完、電話番号欄は数字キーボードを指定しています。
エラー表示も、送信後のまとめ表示から入力欄ごとのその場表示に変えました。
11日間、1群393件のフォーム到達者で判定しています。
フォーム完了率は39.4%から49.5%、CVRは1.51%から1.90%になりました。
POINT
ベース率が高い指標ほど、少ないサンプルで差が見えます。
流入が少ない事業ほど、フォームから手を付けると検証が回ります。
効かないケースと、やってはいけない対処
ここまでの進め方が合わないケースもあります。
- 広告とLPの主張がずれている:LPより先に、訴求ごとに遷移先を分ける
- 月間LPセッションが1万未満:A/Bでは判定できず、前後比較しか手段がない
- 価格や送料が競合と大きく離れている:LPの構成では埋まらない
- 指名検索やリピートで売上が立っている:新規LPを直しても事業インパクトが小さい
表3|月間LPセッション別の、検証方法の選び方
| 月間LPセッション | 検証方法 | 主指標 | 1テストの期間 | 最初に触る場所 |
|---|---|---|---|---|
| 1万未満 | A/Bはしない。前後比較と定性で順に入れ替える | フォーム完了率 | 4週(前後2週ずつ) | フォームと決済導線 |
| 1万〜3万 | 中間指標のみA/B。CVRでは判定しない | フォーム完了率 | 3〜4週 | 読み込み速度とフォーム |
| 3万〜10万 | 中間指標でA/B。大きい変更はCVRも参考に見る | カート到達率 | 2〜3週 | ファーストビューとオファー |
| 10万以上 | CVRで判定できる。小さい変更も検証可能 | 購入完了CVR | 2週 | 影響範囲の広い箇所から順に |
※ベースCVR1%前後、相対25%の改善を検出する場合の目安です【モデル試算】。
このモデルケースは月44,400セッションで、表3の3万〜10万の帯にあたります。
やってはいけない5つの対処
- 5か所を一度に全部変える良くなった部分と悪くなった部分が相殺され、次に何をすべきかが分かりません。
- 差が開いた時点でテストを止めるサンプルが少ないうちは偶然の差が大きく出ます。判定日まで見ないでください。
- ガード指標を置かずにCVRだけで判定するWeek9のB案がこれです。カート到達率だけを見ていれば採用していました。
- LP改修と同じ週に広告側も動かす変化がどちらの結果か判定できません。予算もクリエイティブも固定します。
- Meta側でキャンペーンを分けてLPをA/Bする配信最適化がどちらかに寄り、2群の質が揃いません。
自社で回すための、週次の型
12週間を通して、週の使い方は固定し、変えたのは扱う場所だけです。
最も飛ばされやすいのが水曜です。
判定条件を先に書かないまま始めたテストは、後から解釈が変わります。
月曜に見る7指標
- LPセッション数(モバイル/デスクトップ別)
- カート到達率
- フォーム完了率
- 購入完了CVR
- LCP(モバイル75パーセンタイル)
- 初回購入から28日後の2回目引上率
- 解約条件や定期条件に関する問い合わせ件数
最後の2つがガード指標です。
単品リピート型では、初回の数字だけを見ても事業の良し悪しが判断できません。
12週間の配分は、計測に2週、改修とテストに8週、判定待ちに2週でした。
そのうちA/Bで判定まで届いたのは、8本中3本です。
よくある質問
LPを全部作り直すのと、5か所を順に直すのはどちらが早いですか
公開までの時間だけを見れば、全面リニューアルのほうが早いことがあります。ただし公開後に数字が動かなかった場合、原因を特定する手段が残りません。5か所に分けると、どの変更が効いたかが記録として残り、2周目以降の判断が速くなります。予算に余裕がある場合でも、公開は段階的にすることをおすすめします。
流入が少なくてA/Bテストができません。どうすればいいですか
月間LPセッションが1万未満なら、A/Bは無理に行わないほうが判断を誤りません。ベース率の高い指標から手を付けてください。フォーム完了率は30〜40%台であることが多く、母数が数百でも差が見えます。表3のとおりフォームと決済導線を先に触り、判定期間を4週に延ばして、同じ期間に他の変更を入れないことを徹底します。
Meta広告のA/Bテスト機能でLPを分けてはいけないのですか
クリエイティブや配置の比較には有効ですが、LPの比較には向きません。遷移先URLを分けると配信の最適化がどちらかに寄り、2群に流れる人の質が揃わなくなるためです。CVRの差が、LPの差なのか配信対象の差なのか判定できません。URLは同一にしたままLP側で50対50に振り分けてください。
まとめ
- 最初の2週間はLPを変えず、スクロール到達率・フォーム離脱位置・LCPを数えるだけに使う
- 直す順番は、影響範囲の広さと、単独で検証できるかで決める。速度を最初に置く
- テスト開始前に、主指標・ガード指標・必要サンプル数・判定日・不採用条件を書き出す
- コピーの言い回しやボタンの色は、いまの流入量では判定できない。テスト枠を使わない
- 単品リピート型では、28日後に確定する2回目引上率をガード指標として置く
12週間で判定まで到達できたテストは、8本中3本でした。
刻みを細かくするほど何も分からなくなるので、変更は検証できる大きさまでまとめてください。
LPを直す順番と、検証設計から一緒に組み立てたい場合
TimeValue株式会社のKAIZENは、広告の運用だけでなく、遷移先の通過率まで含めて改善します。
どの指標なら判定できるかを流入量から逆算し、12週間の検証計画に落とします。