
レンタカーのWeb集客が検索広告で頭打ちになったら、予約導線の不足を直したうえで、旅行計画中の人との接点をSNSで広げることを検討します。判断基準は投稿の反応だけでなく、料金確認、予約完了、実際の利用売上です。予約直前の検索だけを追い続けると、新しく選んでもらう機会を増やしにくくなります。
そこで考えたいのが、旅行の計画段階で利用方法を知ってもらい、必要になったときに自社を選べる状態を作ることです。SNSで旅先の関心をつかみ、検索で条件を調べ、多言語のサイトで不安を解消して予約する。それぞれの接点を、同じ旅行計画の続きとして設計します。
本記事では、バジェット・レンタカーの訪日客向けSNS施策について、支援会社ペンシルが公表した事例を紹介します。そのうえで、検索、SNS、サイト、再訪促進を組み合わせる具体策を解説します。第三者の支援事例であり、TimeValueの実績ではありません。公表成果をそのまま自社の目標値にせず、対象市場と予約までの条件を確かめてください。
目次
バジェット・レンタカーの事例で確認できること

ペンシルの公式事例では、イデックスオート・ジャパンが展開するバジェット・レンタカーは、訪日客の獲得が検索中心で頭打ちになっていたと説明されています。台湾・香港を主な対象に、公式ファンページでの発信と利用者とのコミュニケーション、Facebook・Instagram広告を組み合わせました。
公表成果は、従来に比べCPAが3分の1、CVRが1.6倍、顧客獲得数が3倍です。出典:ペンシルのバジェット・レンタカー成功事例。同内容は2020年6月10日付の同社公開資料(資料内P.20)にも掲載されており、現在の媒体仕様や市場状況を示す最新の実証値ではありません。
具体的な比較期間、広告費、獲得件数、CVRの分母とコンバージョンの詳細は公表ページから確認できません。全店舗の売上が3倍になったという数値ではなく、SNSだけの増分効果を切り出した実験とも説明されていません。資料の数値は条件を含めて参考にし、現在の自社で検証する必要があります。
参考にしたいのは、検索広告を別の広告に置き換えるだけでなく、投稿や対話を含めて接点を広げた点です。以下は自社への応用案であり、事例企業の実施内容や成果として記載するものではありません。
検索広告が伸びない理由を、需要と予約導線に分ける

検索広告の獲得が止まったとき、予算不足と決めつける前に、どこで人数が減っているかを確認します。対象の検索自体が少ないのか、広告が表示されてもクリックされないのか、サイトへ来ても予約を始めないのかで、必要な対策は変わります。
検索されているのにクリックされない場合は、出発地、受取場所、利用期間などの検索意図と訴求が合っているかを見ます。安さを訴求しているのに追加料金の条件が分からない、空港で借りたいのに店舗の位置が不明といった状態では、比較の段階で選ばれにくくなります。自社が実際に応えられる条件を広告にも反映します。
訪問はあるのに予約が増えない場合は、料金確認から予約開始までを利用者と同じ端末でたどります。SNSで見たプランをサイト内で探し直させていないか、言語を切り替えるとトップページへ戻っていないか、利用条件が予約直前まで分からないままになっていないかを確認してください。
一方、既存の対象市場で予約直前の検索を十分に拾えているなら、新しい需要との接点を作る余地があります。旅行の行き先や移動手段を決める段階に働きかけるため、地域の過ごし方を伝えるコンテンツやSNSの出番になります。予約導線に問題が残る状態で流入だけを増やさないことが重要です。
訪日客向けでも、国名だけで利用者をまとめない

海外向けの配信では、国・地域別に同じ広告を翻訳するだけになりがちです。しかし、初めて日本で運転する人と、何度も利用している人では、知りたい情報が異なります。旅行計画の具体性や利用経験を手がかりに、届ける内容を考えます。
初めての利用を検討する人には、どこで受け取り、料金に何が含まれ、事前に何を確認すべきかを説明する入口が必要です。リピーターには、希望の地域で探しやすいことや、前回と違う旅の楽しみ方などが判断材料になる可能性があります。これは国籍から関心を決めつけるのではなく、検索語や閲覧内容、本人が選んだ条件から確かめる仮説です。
はじめの対象は、サイトと言語対応が整い、自社の強みを伝えやすい市場に絞ります。広告だけを現地語にしても、料金、利用条件、予約確認が読めなければ検討が止まります。予約まで同じ言語で理解できるかを確認したうえで、配信を広げる順序を決めます。
運転免許や必要書類の条件は、マーケティング上の都合で簡略化してはいけません。自社の正式な案内と公的情報を確認できる場所へ案内し、対象者によって違う要件を一律に保証しないことが大切です。本記事では個別の運転資格を判断せず、予約前に正確に確認できる導線の必要性を扱います。
SNSは車の写真だけでなく、旅の使い方を見せる

SNSで発信する内容は、車両紹介やキャンペーンだけに限りません。旅行者が「この旅なら車があると便利だ」と具体的に考えられる情報を用意します。たとえば、公共交通との違いを確認できる移動計画、複数の立ち寄り先を巡る過ごし方、荷物がある場合の車種選びなどが候補です。
ただし、移動時間や駐車条件を都合よく短く見せないようにします。観光地の情報は確認時点を示し、現地の営業状況や交通条件が変わることも考慮します。走行しながらの撮影を促すような表現を避け、安全に体験できる内容にしてください。投稿で高めた期待を実際の利用条件と一致させることが、予約後の不満を抑える土台になります。
一つの投稿で説明しきれない内容は、関連する記事へ案内します。旅のモデルコースなら、その地域で借りられる店舗やプランの確認へ進めるようにします。すべての投稿を予約ボタンへ直結させる必要はなく、まだ行き先を検討している人には、旅程や料金を比較できる次の情報が必要です。
反応のよかった投稿を広告化するときも、いいね数だけで選ばないようにします。景色の美しさだけで反応した人と、レンタカーを使った旅を検討した人は異なります。関連ページへの訪問、料金確認、予約開始の動きを確かめ、自社のサービスを選ぶ理由が伝わった素材を試します。
SNSで寄せられる質問を、検索で見つかる説明へ変える

投稿への質問や予約前の相談には、サイトで足りない説明の手がかりがあります。空港から店舗までの行き方、車種ごとの荷物の目安、家族で利用するときの選び方など、繰り返し聞かれる内容を確認します。個別のやり取りをそのまま公開せず、個人情報を含まない一般的な疑問として整理します。
その疑問には、SNS上で答えるだけでなく、サイトの該当ページにも説明を追加します。店舗の場所なら店舗ページ、料金の内訳なら料金ページ、車種の選び方なら比較コンテンツへ載せると、次に同じ疑問を持った人が検索からたどり着けます。似た内容の記事を増やすより、既存の説明を充実させる方が適切な場合もあります。
SEOで狙うテーマも、一般的な観光ワードを大量に集めるところから始める必要はありません。自社の対応地域や利用シーンに関係し、記事を読んだ後に料金や店舗を確認する理由があるかを考えます。観光情報は読まれているのに予約検討へ進まないなら、検索意図と販売商品の距離を見直します。
記事からのリンクは、関連性を説明して配置します。「こちら」だけでなく、どの地域の料金を確認できるのか、何を比較できるのかを示します。SNSと検索で同じ疑問に別の答えを出さないよう、最新条件を示すページを明確にしておきます。
多言語ページは、予約に必要な情報の不足をなくす

多言語対応で確認したいのは、文章が翻訳されているかだけではありません。料金の表示、期間の選び方、店舗名、補償の説明、予約完了後の案内まで、一連の判断ができるかです。日本語サイトでは当然として省いている説明が、初めて使う人にとって必要な場合があります。
価格訴求をするなら、対象の期間や車種、基本料金に含まれる範囲を着地先ですぐ確認できるようにします。最安値だけを大きく見せ、条件を予約の終盤で知らせる構成は避けます。追加の選択肢がある場合も、何を選ぶと何が変わるかを、正式なサービス内容に沿って伝えます。
車種の紹介では、名称や外観だけでなく、人数や荷物に関する判断材料を示します。ただし、画像だけを根拠に搭載可能量を断定しないようにしてください。自社で確認した目安と条件を明記し、写真に含まれない制約を補足します。予約後に初めて使いにくさが分かる状態を減らすための情報です。
予約画面へ進むと別言語になる、前の画面の条件が消える、エラーの理由が読めないといった状態は、広告では解決しません。流入が多い言語と端末から優先して確認します。大規模な刷新を待たず、必要な説明を見つけやすくし、案内先の食い違いを直すところから着手できます。
もう一つ確認したいのが、スマートフォンで写真や文字を読んだ後に、比較した条件を見失わないかという点です。SNSから訪問した画面を実際に開き、料金欄、車種の説明、予約ボタンまで進んでみます。案内を追加するほど長いページになる場合は、知りたい項目へ移動できる見出しやリンクを用意します。
条件を減らして簡単に見せるのではなく、判断に必要な順序で説明することが重要です。最初に利用場所と日程、次に選択可能な車種と料金、最後に詳しい条件を確認できるなど、自社の予約方式に合う並びを考えます。どこまで確認すると予約手続きに入るのかも、ボタン周辺で伝えてください。
旅行の検討期間に合わせて、再訪する理由を作る

初回の訪問で利用日が決まっていなければ、その場で予約しないこともあります。こうした人に値引きだけを繰り返すより、次に必要になる情報を用意します。希望する地域のプラン比較や、車種選びの説明へ戻れる導線があると、検討を続けやすくなります。
メールなどで継続的に案内する場合は、本人が希望した範囲に沿って内容と頻度を決めます。行き先の情報を希望した人には、その地域での利用に関係する内容を届けます。すでに予約した人には新規獲得の広告や案内を過度に続けず、利用前の確認に必要な情報を分けて提供します。
再訪施策を評価するときは、もともと戻る予定だった人まで、すべて施策で増えたと考えないことが大切です。可能なら条件の近い配信対象と非配信対象で予約率を比較します。比較が難しい場合も、配信期間、対象、費用、予約完了までの時間を残し、全体の変化と並べて判断します。
レンタカーは旅行日程の影響を受けるため、検討の時間が短い人と長い人を混ぜると判断を誤りやすくなります。直近利用の人には予約条件の確認を、先の旅行を考える人には比較材料を届けるなど、本人が示した意向をもとに案内の役割を分けます。
CTR・CVR・CPAを、予約と売上につなげて読む

SNS施策の入口では、表示に対してリンクがクリックされた割合であるCTRを確認します。ただし、媒体でいうクリックに画像拡大などが含まれる場合、サイトへ来た人数とは一致しません。どのクリックを数えているかを確認し、サイト到達後の行動と分けて見ます。
サイトでは、料金確認、予約開始、予約完了を分けて計測します。CVRは、対象の訪問に対してどの完了を数えた率かを明確にします。広告クリックを分母にした率と、セッションを分母にした率をそのまま比較しないようにしてください。公表事例のCVRに詳細な分母がないなら、自社の率と数値の大小を競わせることはできません。
予約CPAは、対象施策の費用を予約完了件数で割った値です。投稿制作や多言語コンテンツの費用を含む評価をする場合は、広告費だけのCPAとは区別します。各広告媒体が同じ予約を成果として計上することもあるため、媒体別の成果を足した値を全社の予約数にしないようにします。
予約が増えても、取消しや利用単価の変化によって売上の伸びは異なります。予約時点の見込額と、実際の利用に伴う確定売上を分け、施策別・対象期間別に確認します。値引きを使った場合は費用と利益への影響も見ることで、安く予約を取れた施策と、事業を伸ばした施策を区別できます。
集客の量と、予約を決める情報の両方を改善する

SNSからの訪問が増え、料金確認が増えない場合は、旅の魅力とレンタカー利用の関係が弱い可能性があります。投稿を見た人が次に何を検討したいかを考え、移動の選択肢や対象地域の店舗へつながる情報を補います。すぐに広告予算を増やすより、入口と着地先をそろえる検証が先です。
料金確認は増えたのに予約開始が増えない場合は、比較に必要な条件を見直します。予約開始後の完了率だけが低いなら、入力や言語の問題、途中で分かる費用や条件がないかを確認します。どちらも「CVRが低い」でまとめず、離脱が多い場所に対応した修正を選んでください。
広告のCTRは下がったのに予約CPAが改善することも考えられます。対象条件を明確にした結果、合わない人のクリックが減ったなら、悪化とは限りません。反対に、クリックが安くなっても予約が増えなければ、その段階で投資拡大の根拠にはなりません。
検索、SNS、メールを単独の順位表で評価するより、旅行者が次の判断へ進めたかを見ます。予約前に何度も訪問する経路では、最後のクリックだけに予算を寄せると、最初に知ってもらう機会を削りすぎる可能性があります。初回接点と最後の接点を分けて確認し、新規接点の実験枠を設けて検証します。
再現の第一歩は、一地域・一言語の予約経路から

バジェットの事例を参考にする場合も、すべての国・地域へ一度に配信する必要はありません。自社が選ばれる理由を説明でき、予約までの案内を整えられる一つの対象から始めます。対応できる地域で、旅行計画の疑問に答える記事とSNS投稿を作り、同じ内容を広告の着地先へつなげます。
改善前に、検索から来た人、SNSから来た人、新規訪問、再訪問を分けて基準値を確認します。市場の繁閑、祝日、料金変更などが重なる場合は、それも比較条件として扱います。ある月だけ予約が増えても、施策だけの成果と結論づけない姿勢が必要です。
初回の検証では、流入を増やせたか、料金を確認してもらえたか、予約が成立したかの順に確認します。増えた予約が利用売上へつながったかまで確かめたうえで、別の地域や言語へ広げます。成果の倍率ではなく、この検証のつながりを自社に移すことが、事例を実務で使う方法です。
よくある質問
バジェットの事例と同じSNSを選べばよいですか?
同じ媒体が最適とは限りません。事例は当時の台湾・香港向け施策であり、現在の利用状況や広告仕様とは区別が必要です。対象者が使う媒体と、自社が継続して発信できる内容を確認し、小さく配信して予約までの成果を検証します。
SNSの自然投稿と広告は、どちらを優先しますか?
必要な説明やリンク先が不足しているなら、先に投稿とサイトの材料を整えます。伝える内容があり到達する人数が足りないなら広告を試します。フォロワー数だけを先に目標にせず、料金確認や予約につながる役割を決めてください。
多言語ページは自動翻訳だけでも始められますか?
予約に関わる重要条件は、内容を理解できる担当者による確認が必要です。料金、利用条件、補償、必要書類などの誤訳は利用判断に影響します。翻訳方法だけで決めず、予約完了まで同じ言語で正確に確認できるかを点検してください。
予約CPAが下がったら広告を増やしてよいですか?
予約の重複計上がないか、取消し後の利用売上も伸びているかを先に確認します。値引きで利用単価が下がっている場合もあります。対象市場や時期をそろえ、増額した分の予約と利益への影響を段階的に確かめることが大切です。
参考情報
- ペンシル「株式会社イデックスオート・ジャパン 成功事例」
- ペンシル公開資料「台湾人の訪日旅行に関する意識調査」(事例掲載ページにTW2006の表記・本文20ページ。調査年月は本文5ページ)
- ペンシルの調査公開リリース(2020年6月11日)(以上2026年10月5日確認)
まとめ 検索の前後まで、旅行者が選べる情報を届ける

バジェット・レンタカーの事例は、検索中心の集客にSNSでの発信と対話を加えるという選択肢を示しています。大切なのは、SNSの反応を増やすことだけでなく、旅行の計画から料金比較、予約まで必要な情報をつなぐことです。
出典確認日:2026年10月6日。紹介した事例は各出典の公表時点の情報であり、TimeValueの支援実績ではありません。
検索広告の頭打ちや訪日客向け集客を、SNS・SEO・多言語サイト・再訪施策まで含めて見直したい方は、TimeValueへご相談ください。自社で対応できる市場と予約までの課題を整理することから、次の施策を考えましょう。
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