
TimeValue株式会社では、広告運用・クリエイティブ制作・LP改善・データ分析・AI導入までを支援する「KAIZEN」を提供しています。
目次
全国に販売したい製品があるのに、営業担当者が訪問できる工務店は限られる。オンラインショップを用意しても、製品の必要性を知らない人は検索せず、知った人もいつもの商社へ発注する。建築資材メーカーのWebマーケティングでは、広告のクリックから自社ECの購入までだけを見ていると、顧客の実際の購買経路を捉え切れません。
奥地建産の公表事例を手掛かりに、少人数営業と広告を組み合わせる判断を考えます。焦点は、問い合わせを大量に集めることだけではありません。どの現場で製品が役立つかを理解してもらい、採用条件を確認し、購入しやすい経路へ進めることです。広告が担う認知と、営業や流通が担う採用支援を分けて設計します。
売上比148%を、広告だけの増加率にしない

Google公式事例は、営業3人の奥地建産が検索・ディスプレイ広告を活用し、オリジナル製品の売上比148%(2021〜2023年)を公表しています。広告単独の増分や費用は非開示です。出典:Google「奥地建産」成功事例(公式事例)。
「売上比148%」を「148%増」と言い換えないことが重要です。また、この数値から広告費用対効果や利益の改善までは分かりません。公表された結果は参考にしつつ、自社では何が採用を妨げ、どの経路で注文が発生するかを確かめる必要があります。以下は同社の施策の追加説明ではなく、建築資材を扱う読者のための独自の実践分析です。
メーカーの売上には、直接購入、商社経由、販売店経由など複数の商流が関わります。広告を見た工務店が既存の仕入先へ問い合わせることも考えられます。そのとき、広告管理画面に購入が出ないことと、広告が役立っていないことは同じではありません。ただし、見えない売上を都合よく全て広告の成果に含めることも避けます。
営業の訪問先を増やす前に、誰のどの判断を助けるか
工務店向けの製品であっても、知る人、仕様を選ぶ人、現場で使う人、発注する人が同じとは限りません。広告で製品名を伝えるだけでは、誰が何を判断すべきかが曖昧になります。設計段階の比較、施工時の使い勝手、仕入れの条件など、相手の仕事に応じた疑問を分けて整理します。
例えば、施工担当者が興味を持っても、使用条件を確認する資料がなければ採用へ進めません。購買担当者が注文先を探していても、配送や最低注文単位が分からなければ手続きが止まります。Web上で一般的な確認を済ませられるようにし、個別の条件が必要な案件へ営業の時間を使う役割分担を考えます。
営業の負担を減らすために、問い合わせを全て自己解決へ寄せる必要はありません。現場条件によって回答が変わるものは、相談へ進める導線を残します。一般情報を読むべき人と、担当へ条件を伝えるべき人が分かれることが重要です。「詳しくはお問い合わせください」だけでは、同じ基礎質問が繰り返され、少人数営業の負荷が増えます。
問い合わせの履歴から、説明が繰り返される項目と、毎回個別判断が必要な項目を分けてみます。前者はページや資料へ、後者は相談フォームの確認項目へ反映できます。担当者の経験をそのまま長文記事にするのではなく、顧客が採用前に必要とする判断に組み替えることが、Webの役割になります。
製品名を知らない顧客に、使用場面から伝える
新しい資材や付加価値型の製品では、顧客が製品名を検索できない場合があります。そのため、用途や現場の課題から製品を知る入口を検討します。どの工程で、どのような困り事があり、どの条件のときに検討対象になるかを示します。ただし、不安を過度にあおったり、あらゆる現場に必要であるように見せたりしないことが前提です。
広告の画像や短い文では、一つの使用場面に絞ります。複数の利点を並べるより、対象の工程と確認したい条件が分かる方が、その後のページへつながります。現場写真を使うなら、製品の位置や作業の流れが分かる構図を選びます。掲載許諾や、撮影した現場の条件が一般的な性能保証と誤解されないかも確認します。
遷移先は、その使用場面の説明から始めます。広告では特定の工程を見せたのに、トップページで全製品を探し直させると、関心のつながりが切れます。用途、適用条件、採用前の確認事項、購入・相談方法の順に情報を置くと、初めて知った人が何をすればよいかを理解しやすくなります。
使用場面の説明では、製品ができることと、現場側で必要な対応を分けます。製品だけで完結しない品質や施工条件があるなら、それを隠さず伝えます。期待を高める表現でクリックを増やしても、実際の現場で使えなければ受注につながりません。対象条件が分かる説明は、不要な問い合わせを減らすだけでなく、適合する顧客の検討を進める役割があります。
検索広告では、調べている目的に応じて入口を分ける
検索語には、製品の購入先を探すもの、仕様を確認するもの、現場の問題の解決方法を調べるものなどが混ざります。これらを全て同じ購入ページへ送ると、まだ必要性を理解していない人には説明が不足し、購入したい人には手順が遠くなります。検索の目的に応じて、用途説明、仕様確認、購入案内の入口を分ける設計が考えられます。
購入意向が明確な入口では、製品の型番、注文単位、納期の確認方法、配送の扱い、購入経路などを見つけやすくします。自社ECで販売している場合でも、全ての条件を確定表示できるとは限りません。在庫や配送先によって変わる項目は、どこで確認するかを示します。広告文で即納を約束するなら、実際に対応できる条件の裏付けが必要です。
課題を調べる入口では、すぐ購入を迫るより、その課題に製品が適用できるかを説明します。一般的な解決方法を知りたい人もいるため、閲覧を全て見込み客として扱わないようにします。採用に必要な条件を理解した人が、仕様資料や相談へ進める流れを用意します。閲覧数が多い記事と、購入に近いページでは役割を分けて評価します。
検索語と実際の問い合わせ内容を突き合わせると、広告の対象が合っているかを確認できます。業務用製品を扱っているのに個人の小口相談が続く場合や、対応外の施工方法の質問が多い場合は、対象を明示する余地があります。単に検索語を狭めるだけでなく、広告とページのどちらで誤解が生まれたかを見ます。
仕様の説明と施工の判断を、混同させない
建築資材のページでは、材質や寸法を載せれば十分とは限りません。適用できる部位、組み合わせる材料、施工手順、保管上の条件など、採用の可否を左右する情報が必要になる場合があります。どの情報を掲載すべきかは製品ごとに異なるため、自社の技術資料と照合して整理します。根拠のない性能や安全性の断定は避けます。
特定の試験結果を示すときは、試験条件と評価対象を分かるようにします。ある条件で得られた結果を、全ての建物や施工方法に一般化しないことが重要です。説明を短くするために条件を削るより、概要の近くに確認先を置き、採用前に必要な情報へたどり着けるようにします。広告の短い表現にも同じ整合性が必要です。
施工例を掲載する場合も、採用された事実と、効果を確認した事実を分けます。現場写真があるからといって、長期の性能や不具合の防止を実証したことにはなりません。読者が知りたいのは、その現場と自分の現場の条件が近いかです。掲載できる範囲で用途と条件を整理し、個別確認が必要な点を示します。
営業へ相談する際の準備も案内します。対象箇所、使用予定の材料、数量、必要時期など、初回に分かると回答しやすい項目を示します。図面や写真に機密情報が含まれる場合は、適切な送付方法を案内します。何でもチャットやフォームへ添付させるのではなく、自社の受領手順と利用目的を明確にしておくことが必要です。
自社ECと既存の仕入先を、顧客が選べるようにする

メーカーがECを持つ場合、全ての顧客を自社ECへ集めたくなることがあります。しかし、顧客の購買手続きや継続取引の都合によっては、既存の仕入先から購入する方が進みやすい場合があります。どの経路に対応できるかを、自社の販売方針と整合させて案内します。複数の購入経路があるなら、顧客が迷わない説明が必要です。
ECでは、会員登録と購入を分けて見ます。登録しただけで採用が決まったとは限らず、価格や取引条件を確認するための登録も考えられます。登録後に何を確認できるか、注文までにどの手続きがあるかを分かりやすくします。登録を必須にしている場合は、必要性と利用者の負担の両方を点検します。
商社経由での発注を希望する問い合わせには、顧客が次に確認する先と必要な製品情報を案内します。単に「商社へ聞いてください」で終えると、型番や数量の伝達が不十分で検討が止まることがあります。自社で確定できる情報と、販売経路側で確認する価格・納期などを分けると、問い合わせの往復を整理できます。
流通経由の成果を把握するときは、取得できる情報の範囲を確認します。取引先に新しい個人情報や詳細な顧客データの共有を当然のように求めるのではなく、既存の取引情報や適切に共有できる集計を使います。把握できない経路は不明として残し、自社ECの成果だけを全体売上と取り違えないようにします。
少人数営業に渡す問い合わせを、対応内容で分ける
問い合わせが増えたときに営業の人数だけを問題にする前に、内容ごとの対応を整理します。在庫や注文方法の確認、一般的な仕様質問、個別現場の適用相談、販売経路の確認では、必要な担当が違います。全部を同じ窓口で受ける場合でも、最初に分類できると、専門的な回答が必要な相談へ時間を使いやすくなります。
フォームの項目は、振り分けに使う情報を優先します。製品名が分からない人にも用途から選べるようにし、購入前の質問なのか既に使用中の問い合わせなのかを区別します。全ての相談に詳細な会社情報や現場情報を求めると、簡単な確認まで負担になります。回答に必要な追加情報は、内容に応じて聞く方法もあります。
対応の速さは、受信から最初の返信までだけでなく、必要な答えに到達するまでで見ます。すぐに受付連絡を送っても、技術確認が長く止まれば顧客の採用判断は進みません。誰の確認待ちか、何が不足しているかが分かる状態にします。営業が全てを抱えるより、技術や受注担当へ適切に切り替える方が有効な場合があります。
広告の配信量も、この対応能力と合わせて調整します。問い合わせの未処理が増えているのに、獲得単価が安いからと増額すると、顧客への回答品質が下がるおそれがあります。対応が詰まる原因が定型質問ならページ改善、個別確認なら入口での条件整理、受注手続きなら購入案内の見直しというように、負担の発生源へ戻します。
売上を追うときは、採用の広がりと再注文を分ける
売上が伸びたとき、新しく採用した企業が増えたのか、既存企業の注文量が増えたのかを分けます。新規採用を狙う広告と、既存顧客の追加購入を助ける情報では役割が違うためです。企業単位の採用数、初回注文、再注文、注文金額を可能な範囲で確認すると、売上の変化を具体的に捉えられます。
初回購入が小口でも、試用や現場での確認を経て次の注文へ進む商材なら、初回だけで広告を評価しない方法が考えられます。ただし、将来の再注文を根拠なく見込んで採算を良く見せないようにします。実際に確認できた再注文と、今後の期待を分けて記録します。継続して購入した企業に共通する条件が分かれば、次の広告対象や資料改善の手掛かりになります。
売上金額の比較では、値上げ、製品構成、大口案件、供給制約の影響も確認します。金額が増えても、販売数量や採用企業数が同じとは限りません。広告を始めた時期と売上の増えた時期が重なっただけで、全てを広告効果としないことが重要です。広告の役割に近い問い合わせや新規採用の動きも合わせて見ます。
利益を考える場合は、配送や小口対応、返品・交換、技術支援などの追加負担がどこで発生するかを確認します。全国から注文が増えれば必ず効率が良くなるとは限りません。自社の販売条件と対応範囲を踏まえ、どの顧客にどの購入経路を案内するかを考えることが、広告費の配分にも関わります。
広告の直接成果と、把握できない波及を分けて検証する
自社ECの購入やフォーム問い合わせは、比較的追いやすい成果です。一方、広告を見た人が取引先経由で発注したかを、全て識別することは難しい場合があります。直接確認できた成果と、顧客から聞いた認知経路、地域別や製品別の売上変化を別々に残します。それらを単純に合計して広告経由売上を作らないようにします。
配信地域を比較する場合は、もともとの取引基盤や配送条件、営業活動が似ているかを確認します。広告を出した地域だけで展示会や訪問を増やしていれば、広告単独の差とは言えません。厳密な比較が難しくても、同時に行った活動を記録し、どこまで言えるかを明確にできます。見えない部分を断定で埋めないことが、次の判断を誤らないために重要です。
検証では、一度に複数の変数を大きく変えないようにします。使用場面の訴求を変えるなら、対象製品や購入条件をなるべく揃えます。購入経路の案内を変えるなら、問い合わせから注文への進行を見ます。広告のクリック率だけで勝敗を決めず、その変更が狙った段階に影響したかを確認します。
成果が少ない期間は、数値の上下だけで広告を頻繁に止めたり再開したりしないようにします。対象外の問い合わせ、ページの説明不足、購入経路の迷いなど、具体的な障害を先に直します。そのうえで通常の検討期間を踏まえて確認し、次の配分を決めます。少人数の営業体制では、検証項目を増やしすぎないことも運用を続ける条件です。
最初は、一つの用途から注文までの道筋を確かめる
全国の全ての工務店へ一度に広げるより、自社の強みが伝わりやすい一つの使用場面を選ぶ方法があります。その用途で、必要性を知る広告、適用条件を確認するページ、仕様資料、購入・相談の入口をつなげます。顧客が途中でどの情報を探しているかを見れば、次に増やすコンテンツを選びやすくなります。
公開前には、製品を知らない人、採用を検討する人、すぐ購入したい人の三つの立場でページをたどります。製品名を知らなくても用途へ進めるか、適用条件にたどり着けるか、購入先と確認方法が分かるかを確かめます。担当者にとって当たり前の情報ほど省略されやすいため、注文の前提を一つずつ確認することが有効です。
運用を始めたら、実際の問い合わせ内容で案内の順序を修正します。仕様の質問が多いなら説明を見つけにくい可能性、購入方法の質問が多いなら商流の案内が不足している可能性があります。ただし、個別の現場条件を確認したい質問まで減らそうとしないようにします。必要な相談を受け止めながら、繰り返しの説明をWebへ移すことを目指します。
よくある質問
メーカーの広告を見た工務店が商社経由で買った場合、広告成果に含められますか?
確認できる根拠と集計の目的に応じて別枠で把握します。自社ECの購入と、認知経路の聞き取りや流通売上を単純に足さないことが大切です。顧客の回答、注文経路、同時期の営業活動を残し、広告単独の増分と断定しないでください。
建築資材の広告は、製品名と現場の課題のどちらを訴求すべきですか?
購入先を探す人には製品名、まだ製品を知らない人には使用場面や課題から伝える設計が考えられます。遷移先も購入案内と用途説明を分けます。検索語と問い合わせ内容を確認し、自社の対象条件に合う検討が進んでいるかで判断します。
オンラインショップの会員登録数が増えれば、広告を増額してよいですか?
登録後の初回注文と採用確認、対応負荷まで見て判断します。価格や条件の確認だけで登録する人もいるため、登録数だけでは受注を判断できません。注文へ進まない理由と営業の未処理件数を確認してから、配信量を調整してください。
まとめ:広告を、採用判断と購入経路につなげる

少人数の営業で全国へ届けるには、広告で存在を知ってもらうだけでなく、用途の理解、仕様確認、個別相談、発注の流れを整える必要があります。奥地建産の公表数値は参考になりますが、自社の広告効果や利益を同じように見込む根拠にはなりません。
まず一つの用途で、製品を知らない人が必要性を理解し、適用条件を確かめ、購入できる経路へ進めるかを確認してください。自社ECの直接成果と流通経由の売上を区別し、新規採用と再注文を追うことで、広告と営業がそれぞれ何を担うべきかを判断しやすくなります。
TimeValue株式会社では、広告運用・クリエイティブ制作・LP改善・データ分析・AI導入までを支援する「KAIZEN」を提供しています。