
獲得を増やしても、受注できる量に上限があるからです。
人が増えなければ売上は伸びないため、獲得の予算は採用の計画とつながります。
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目次
目次
- システム開発会社の予算が、他の業種と違う置き方になるのはなぜか
- 予算の議論に採用が入る理由
- 獲得にかけてよい上限を、どこから出すのか
- 粗利で計算する
- マーケティングの費用と採用の費用を、どう並べて見るのか
- どちらに配分すべきかの判断
- 提案の工数を、費用としてどう扱うのか
- 提案の工数を可視化する
- 期の前半と後半で、配分をどう変えるのか
- 枠の埋まり方を先に見る
- 受託の予算が足りないとき、何から削るのか
- 削る順番の考え方
- 経営への説明で、何を確認されるのか
- 1枚に載せる内容
- 予算の枠組みを、どう組み立てるのか
- 見る数字を決める
- よくある質問
- まとめ
獲得を増やしても、受注できる量に上限があるからです。
人が増えなければ売上は伸びないため、獲得の予算は採用の計画とつながります。
システム開発会社の予算が、他の業種と違う置き方になるのはなぜか
獲得を増やしても、受注できる量に上限があるからです。
人が増えなければ売上は伸びないため、獲得の予算は採用の計画とつながります。
多くの業種では、獲得を増やせば売上が増えます。
受託の開発では、その前に手がける人の制約があります。
引き合いが2倍になっても、投入できる工数が変わらなければ受注は増えません。
増えるのは、断る案件と、そこに使った提案の工数です。
予算の議論に採用が入る理由
売上を伸ばす手段は、工数を増やすか、単価を上げるかの2つです。
工数を増やすには、採用するか、協力会社を使うか、育成するかになります。
獲得の予算だけを議論しても、売上の上限は動きません。
売上を伸ばす手段と、必要な投資
| 手段 | 必要な投資 | 効果が出るまで |
|---|---|---|
| 獲得を増やす | マーケティングの費用 | 数か月 |
| 単価を上げる | 提案力と領域の専門性 | 半年以上 |
| 人を増やす | 採用の費用と育成の期間 | 半年以上 |
| 協力会社を使う | 調達と管理の工数 | 数週間から数か月 |
| 請求できる工数の比率を上げる | 社内の業務の整理 | 数か月 |
順序を間違えると、どちらも無駄になる
先に人を増やして案件が足りないと、稼働が空きます。
先に獲得を増やして人が足りないと、断ることになります。
この2つの計画を、同じ会議で並べて議論します。
予算の議論の前に、上限を確認する
稼働可能な工数から売上の上限を出します。その上限に対して、現在どこまで埋まっているかを確認します。埋まり方によって、獲得に使うべき金額が変わります。
獲得にかけてよい上限を、どこから出すのか
1件の案件が生む粗利から出します。
受注金額ではなく、工数を差し引いた後の粗利が基準になります。
受注金額を基準に獲得の上限を決めると、粗利の薄い案件でも予算を使うことになります。
粗利で計算する
案件の受注金額から、投入する工数の原価と、外注の費用を引きます。
残った粗利の一部を、獲得に充てられる上限とします。
受託で獲得上限を出すために要る数字
| 数字 | 出し方 | 注意点 |
|---|---|---|
| 平均受注金額 | 領域別と規模別に出す | 全社平均は使わない |
| 案件あたりの投入工数 | 過去の実績から出す | 見積もりではなく実績 |
| 技術者の原価 | 人件費と間接費を含めた単価 | 協力会社は別に出す |
| 案件あたりの粗利 | 受注金額から原価と外注費を引く | 要件の膨張分を含める |
| 獲得に充てる比率 | 経営が決める配分 | 継続の見込みで変える |
継続する案件と、一回で終わる案件を分ける
保守の契約が続く案件と、納品して終わる案件では、獲得に使える額が違います。
継続が見込める案件では、初回の粗利だけで判断しません。
領域ごとに上限を変える
得意な領域では見積もりの精度が高く、粗利も安定します。
不慣れな領域では、同じ受注金額でも粗利が薄くなります。
領域ごとに粗利率を出して、上限を分けます。
提案の工数を上限に含める
受注しなかった案件の提案工数は、獲得の費用です。広告費だけを獲得の費用として扱うと、実際の費用を過小に見積もります。
マーケティングの費用と採用の費用を、どう並べて見るのか
売上の上限を上げる投資として、同じ器で比較します。
どちらが足りないかは、稼働率と引き合いの量で判断できます。
獲得の予算と採用の予算は、別々の部門が管理していることが多くあります。
売上を伸ばす投資としては、同じ性質を持っています。
どちらに配分すべきかの判断
稼働率と引き合いの組み合わせによる判断
| 稼働率 | 条件に合う引き合い | 優先すべき投資 |
|---|---|---|
| 高い | 多い | 採用と育成 |
| 高い | 少ない | 採用を進めつつ獲得も維持 |
| 低い | 多い | 提案力と受注率の改善 |
| 低い | 少ない | 獲得 |
| 高い | 多いが断っている | 採用または協力会社の確保 |
断った案件を記録する
条件が合わずに断った案件の件数と金額を記録します。
この金額が大きいなら、獲得ではなく供給側に投資すべき状態です。
採用の費用を売上の上限で説明する
技術者を1人採用すると、年間でいくらの売上の上限が増えるか。
この形で示すと、獲得の予算と同じ土俵で比較できます。
数字は説明のための仮の値です。
一人あたりの年間請求可能工数が10か月分、単価が月100万円なら、上限は年1,000万円増えます。
育成の期間を織り込む
採用しても、すぐには請求できる工数になりません。立ち上がりまでの期間を計画に含めます。
提案の工数を、費用としてどう扱うのか
獲得の費用として集計します。
見えないまま増え続けると、獲得の効率が実態より良く見えます。
受託の獲得では、提案書と見積もりの作成に時間がかかります。
規模が大きい案件ほど、技術者が関わる時間も増えます。
提案の工数を可視化する
提案にかかる工数の内訳
| 工程 | 関わる人 | かかる時間の傾向 |
|---|---|---|
| 初回のヒアリング | 営業と技術 | 1から数時間 |
| 要件の整理 | 技術 | 数時間から数日 |
| 概算の見積もり | 技術 | 数時間から数日 |
| 提案書の作成 | 営業と技術 | 数日 |
| 提案の説明と質疑 | 営業と技術 | 数時間 |
| 追加の検討と再見積もり | 技術 | 案件により変動 |
獲得単価に提案の工数を含める
広告費と提案の工数の原価を合わせて、受注1件あたりの獲得費用を出します。
この数字を見ると、引き合いを増やすことの費用が実態に近づきます。
受注率が低いと、提案の工数が積み上がる
受注率が低いまま引き合いを増やすと、提案の工数だけが増えます。
量を増やす前に、条件に合う引き合いの比率を上げるほうが効きます。
提案の段階を分けて工数を抑える
すべての引き合いに正式な提案を出さず、概算の提示で判断する段階を挟みます。この段階で条件が合わないものを止めると、工数が減ります。
期の前半と後半で、配分をどう変えるのか
枠の埋まり方に合わせて動かします。
先の枠が埋まっている時期に獲得を増やしても、断る案件が増えるだけです。
受託の事業では、受注してから着手までに時間があります。
今の引き合いは、数か月先の枠を埋めます。
枠の埋まり方を先に見る
3か月先、6か月先の枠がどれだけ埋まっているかを月次で確認します。
埋まっている時期には、その先の時期を対象にした獲得に切り替えます。
枠の状態と、獲得の動かし方を、項目ごとに見ていきます。
3か月先まで埋まっているについては、獲得の量は維持、対象の調整は長期の案件を狙う。
3か月先が空いているについては、獲得の量は増やす、対象の調整は短期で着手できる案件。
半年先まで埋まっているについては、獲得の量は絞る、対象の調整は条件の良い案件のみ。
全体的に空いているについては、獲得の量は大きく増やす、対象の調整は規模を問わず広げる。
年度の区切りの影響
発注する側の予算の都合で、相談の時期が偏ることがあります。
過去の実績から、引き合いが増える時期と減る時期を把握します。
その時期に合わせて、配分を前倒しするか後ろ倒しにします。
期末の消化を避ける
予算が余ったからと期末に獲得を増やすと、着手が翌期になります。
翌期の枠を先に埋めることになり、翌期の選択肢が減ります。
配分の変更の条件を決めておく
枠の埋まり方に応じて獲得の量を動かす基準を、期初に決めておきます。都度の判断にすると、決裁に時間がかかります。
受託の予算が足りないとき、何から削るのか
受注までの期間が短い施策を残し、長い施策から削ります。
ただし削った施策の影響は、半年以上あとに出ます。
削減の判断では、効果が測りにくい施策が先に候補になります。
受託の事業では、この判断が翌期以降の引き合いを細らせます。
削る順番の考え方
施策ごとの、削減の影響が出る時期を、項目ごとに見ていきます。
運用型広告については、削った月に起きることは引き合いが即座に減る、半年後に起きることは受注が減る。
技術情報の発信については、削った月に起きることは変化はない、半年後に起きることは指名と紹介が減る。
展示会とセミナーについては、削った月に起きることは当月の変化は小さい、半年後に起きることは数か月後の相談が減る。
事例の制作については、削った月に起きることは変化はない、半年後に起きることは提案の材料が古くなる。
既存顧客への接触については、削った月に起きることは変化は小さい、半年後に起きることは追加の相談が減る。
既存顧客への接触を削らない
受託の事業では、既存顧客からの追加の依頼が受注の一定割合を占めます。
接触の頻度が下がると、他社に相談が流れます。
費用が小さいわりに、削減の影響が大きい領域です。
事例の制作を止めない
提案の場で使う材料は、事例です。
古い事例しかない状態では、提案の説得力が落ちます。
制作は継続し、公開の可否は顧客ごとに調整します。
一律の削減を避ける
全施策を一律で削ると、効果の高い施策まで薄まります。施策単位で止めるか続けるかを決めます。
経営への説明で、何を確認されるのか
その予算が、稼働の空きをどう埋めるかです。
引き合いの件数ではなく、埋まる工数と金額で説明します。
受託の事業の経営は、稼働の空きを最も気にします。
獲得の予算の説明も、この観点で組み立てます。
1枚に載せる内容
経営に示す項目を、項目ごとに見ていきます。
売上の上限については、内容は稼働可能な工数と単価から出した金額。
現在の埋まり方については、内容は3か月先と6か月先の枠の状況。
必要な受注金額については、内容は上限と現在の見込みの差。
必要な引き合いの件数については、内容は受注金額から逆算した数。
必要な予算については、内容は件数×引き合い1件あたりの獲得費用。
提案の工数については、内容は獲得に伴って発生する社内の工数。
未達のリスクについては、内容はどの前提が崩れると届かないか。
役職によって確認される点が違う
Testifyが2026年5月に実施した調査では、代理店への不満の内容が役職で分かれていました。
経営層は費用が成果に見合わないが56.3%、マーケティング責任者は成果不振の説明が不十分が53.1%です。
社内の説明でも同じ分かれ方が起きます。
経営層には費用と埋まる工数の関係を、責任者には進まなかったときの打ち手を示します。
採用の計画と並べて出す
獲得の予算だけを出すと、売上の上限が動かないことが見えません。採用の計画と並べて、どちらがどれだけ上限を動かすかを示します。
予算の枠組みを、どう組み立てるのか
請求できる工数と粗利率を確定するところからです。
この2つが出ていないと、獲得にかけてよい上限が計算できません。
予算の作業は、金額を割ることではなく、上限を計算できる状態を作ることから始まります。
予算の枠組みを作る手順を、項目ごとに見ていきます。
1については、やることは過去12か月の投入工数と請求できた工数を出す、期間の目安は2週間。
2については、やることは領域別と規模別に受注金額と粗利率を並べる、期間の目安は2週間。
3については、やることは案件1件あたりの粗利と許容獲得費用を出す、期間の目安は1週間。
4については、やることは提案の工数を集計して獲得の費用に加える、期間の目安は2週間。
5については、やることは採用の計画と並べて配分を決める、期間の目安は2週間。
6については、やることは枠の埋まり方に応じた変更の条件を決める、期間の目安は1週間。
見る数字を決める
数字は説明のための仮の値です。
平均受注金額が1,500万円、投入工数の原価と外注費が1,000万円なら、粗利は500万円です。
そのうち1割を獲得に充てるなら、許容できる獲得費用は150万円になります。
受注率が20%なら、提案1件あたりに使える額は30万円です。
予算の執行中に並べる数字を、項目ごとに見ていきます。
条件に合う引き合いの件数については、見る頻度は毎週、判断に使う場面は獲得の量の調整。
引き合い1件あたりの獲得費用については、見る頻度は毎月、判断に使う場面は配分の見直し。
提案の工数の合計については、見る頻度は毎月、判断に使う場面は受注率の改善が必要か。
3か月先と6か月先の枠の埋まり方については、見る頻度は毎月、判断に使う場面は獲得の量と対象の調整。
受注金額と粗利率については、見る頻度は毎月、判断に使う場面は案件の中身の確認。
断った案件の件数と金額については、見る頻度は四半期、判断に使う場面は供給側への投資の判断。
粗利の計算の定義を固める
技術者の原価に間接費をどこまで含めるかで、粗利率は変わります。
どちらでも構いませんが、期の途中で変えないことです。
採用の予算と合わせて稟議する
獲得の予算と採用の予算を別々に出すと、売上の上限の議論が分断されます。
同じ稟議で並べて出す形にします。
予算の根拠づくりで判断に迷う場合は、無料相談で現状の数字を一緒に整理するところから始められます。配分の設計ごと見直す段階ならWeb集客改善サービスもあります。
よくある質問
獲得の予算は、どこから計算すればいいですか
1件の案件が生む粗利からです。受注金額ではなく、投入する工数の原価と外注費を引いた後の粗利が基準になります。領域ごとに粗利率が違うため、全社平均は使わないでください。
マーケティング費と採用費は、どちらを優先すべきですか
稼働率と条件に合う引き合いの量で判断します。稼働率が高く引き合いも多いなら採用と育成、稼働率が低く引き合いも少ないなら獲得です。断った案件の金額を記録しておくと判断しやすくなります。
提案の工数は費用として扱うべきですか
獲得の費用として集計してください。広告費だけを費用とすると、獲得の効率が実態より良く見えます。受注率が低いまま引き合いを増やすと、提案の工数だけが積み上がります。
期末に予算が余ったら、獲得を増やしてもいいですか
着手が翌期になり、翌期の枠を先に埋めることになります。翌期の選択肢が減るため、余った予算は事例の制作や技術情報の発信など、先に効く投資に回すほうが向いています。
経営には何を示せばいいですか
稼働の空きをどう埋めるかです。売上の上限、3か月先と6か月先の枠の埋まり方、必要な受注金額と引き合い件数を並べてください。採用の計画と同じ稟議で出すと、上限の議論が分断されません。
まとめ
- 獲得を増やしても、受注できる量に上限があるからです。人が増えなければ売上は伸びないため、獲得の予算は採用の計画とつながります
- 1件の案件が生む粗利から出します。受注金額ではなく、工数を差し引いた後の粗利が基準になります
- 売上の上限を上げる投資として、同じ器で比較します。どちらが足りないかは、稼働率と引き合いの量で判断できます
- 獲得の費用として集計します。見えないまま増え続けると、獲得の効率が実態より良く見えます
- 枠の埋まり方に合わせて動かします。先の枠が埋まっている時期に獲得を増やしても、断る案件が増えるだけです
- 受注までの期間が短い施策を残し、長い施策から削ります。ただし削った施策の影響は、半年以上あとに出ます
- その予算が、稼働の空きをどう埋めるかです。引き合いの件数ではなく、埋まる工数と金額で説明します
- 請求できる工数と粗利率を確定するところからです。この2つが出ていないと、獲得にかけてよい上限が計算できません