システム開発会社のマーケと営業の連携|対立が起きる理由と解き方

引き合いを渡す場面と、案件を受けるかどうかを決める場面です。
売上を取りたい側と、工数と品質を守りたい側で、判断の基準が違います。
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目次
目次
- システム開発会社で、部門間の摩擦はどこに出るのか
- 摩擦が表に出る場面
- 引き合いを渡す側と受ける側で、何が食い違うのか
- それぞれが見ているもの
- 開発部門が受けたがらない案件には、何が共通しているのか
- 見通しが立たない案件の特徴
- 受けてよい案件の条件を、誰が決めるのか
- 条件として書く項目
- 部門をまたいで置く数字は、何がふさわしいのか
- 候補の比較
- 情報を回す場を、どう作り直すのか
- 3つの層に分ける
- 案件の押しつけ合いが起きる構造を、どう解くのか
- 断った案件を記録する
- 三者の噛み合わせを、どこから直すのか
- 見る数字を決める
- よくある質問
- まとめ
引き合いを渡す場面と、案件を受けるかどうかを決める場面です。
売上を取りたい側と、工数と品質を守りたい側で、判断の基準が違います。
システム開発会社で、部門間の摩擦はどこに出るのか
引き合いを渡す場面と、案件を受けるかどうかを決める場面です。
売上を取りたい側と、工数と品質を守りたい側で、判断の基準が違います。
受託の開発では、獲得と営業と開発が別の論理で動きます。
獲得は件数を、営業は受注金額を、開発は工数と品質を見ます。
この3つは、同じ案件に対して違う評価を下します。
安く早く作れという条件の案件は、営業からは受注として歓迎され、開発からは避けたい案件になります。
摩擦が表に出る場面
部門間で判断が割れる場面
| 場面 | 獲得と営業の見方 | 開発の見方 |
|---|---|---|
| 条件の厳しい案件 | 受注金額として計上したい | 工数と品質の面で受けたくない |
| 不慣れな領域の案件 | 新しい領域として挑戦したい | 見積もりの精度が出ない |
| 短納期の案件 | 顧客の要望に応えたい | 他の案件に影響する |
| 小規模な案件 | 件数として積み上げたい | 管理の手間が割に合わない |
| 要件が曖昧な案件 | まず受注したい | 後から工数が膨らむ |
摩擦の中身は、条件の不在
受けてよい案件の条件が決まっていないと、案件ごとに議論が起きます。
毎回の交渉になり、決まるまでに時間がかかります。
そのあいだ、相手は待たされています。
摩擦をなくすのではなく、判断を速くする
部門の見方が違うこと自体は、健全な状態です。問題は、違いがあるまま判断の基準がないことです。基準を作れば、違いがあっても判断は速く進みます。
引き合いを渡す側と受ける側で、何が食い違うのか
良い引き合いの定義が違います。
渡す側は件数と規模を見て、受ける側は要件の固まり具合と粗利を見ます。
獲得の担当が良い引き合いだと考えるものと、営業や技術が良いと考えるものは一致しません。
この食い違いが、質が悪いという指摘になって表れます。
それぞれが見ているもの
良い引き合いの基準の違い
| 部門 | 重視する点 | 理由 |
|---|---|---|
| 獲得 | 件数と規模と獲得費用 | 評価の対象がそこにある |
| 営業 | 受注の見込みと決裁の経路 | 受注金額で評価される |
| 技術 | 要件の固まり具合と領域 | 工数と品質の責任を負う |
| 経営 | 粗利と枠の埋まり方 | 利益と稼働に責任を負う |
評価の設計が行動を決める
獲得の担当が件数で評価されていれば、件数を作る動きが出ます。
姿勢の問題ではなく、評価の設計の問題です。
評価を変えないまま、質を上げろと言っても変わりません。
片方だけを直しても解けない
獲得の評価に質の条件を足しても、営業が受注金額だけで評価されていれば摩擦は残ります。
条件の合わない案件でも、営業は受けたくなります。
評価の変更は期の区切りで行う
期の途中で評価の指標を変えると、それまでの努力が否定されたと受け取られます。変更は期の区切りに合わせ、理由を先に説明します。
開発部門が受けたがらない案件には、何が共通しているのか
工数の見通しが立たないことです。
金額の大小ではなく、どれだけかかるか分からない案件が避けられます。
開発の側が難色を示す案件には、共通する性質があります。
これを整理しておくと、獲得の段階で確認すべき項目が決まります。
見通しが立たない案件の特徴
工数の見通しが立たない要因
| 要因 | 起きること | 獲得の段階で確認できること |
|---|---|---|
| 要件が固まっていない | 作るものが変わり続ける | 資料の有無と検討の段階 |
| 既存のシステムの情報がない | 調査に工数がかかる | 現行のシステムの資料の有無 |
| 関与者が多い | 合意に時間がかかる | 決裁の経路と関与する部門 |
| 不慣れな技術 | 調査と習得の時間が必要 | 使用する技術の指定の有無 |
| 納期が先に決まっている | 調整の余地がない | 納期の根拠と調整の可否 |
確認の項目を獲得の段階に移す
これらは、提案の段階で分かると遅すぎます。
初回の問い合わせや面談の時点で確認する項目に組み込みます。
確認できた情報を、技術に渡す形にします。
受けたくない理由を記録する
開発が難色を示した案件について、理由を記録します。
特定の理由が集中していれば、獲得の対象か訴求に原因があります。
要件定義を切り出す選択肢を持つ
要件が固まっていない案件を、要件定義の契約として切り出す方法があります。この選択肢があると、断るか受けるかの二択にならなくなります。
受けてよい案件の条件を、誰が決めるのか
営業と開発の上位者が一緒に決めます。
現場の交渉に任せると、案件ごとに判断が変わります。
条件を決めずに運用していると、判断が属人的になります。
同じような案件でも、担当者によって受けたり断ったりします。
条件として書く項目
受注の可否を決める条件の項目
| 項目 | 決める内容 | 例外の扱い |
|---|---|---|
| 技術の領域 | 対応する領域の一覧 | 新領域の開拓枠を置く |
| 案件の規模 | 下限と上限 | 既存顧客は下限を緩める |
| 粗利率 | 下限の水準 | 継続の見込みで調整する |
| 納期 | 着手できる時期の条件 | 協力会社で対応可能か |
| 要件の状態 | 要件定義からの支援の可否 | 有償での支援を提案する |
例外を判断する人を決める
条件に合わないが受けたい案件は必ず出ます。
誰が例外を判断するかを決めておかないと、毎回議論になります。
判断の権限と、事後の共有の形を決めます。
条件を獲得の設定に反映する
条件が決まったら、それを獲得の側にも反映します。
配信の対象、訴求の内容、問い合わせで確認する項目。
条件と獲得の設定がずれていると、条件外の相談が来続けます。
条件の見直しの時期を決める
体制が変われば、受けられる案件の条件も変わります。四半期に一度、条件が実態に合っているかを確認します。
部門をまたいで置く数字は、何がふさわしいのか
提案に進んだ案件の金額です。
獲得と営業と技術の3つが関わって初めて動く数字だからです。
部門ごとの目標をなくす必要はありません。
その上に、3つの部門が関わる数字を1つ置きます。
候補の比較
部門共通の指標の候補を、項目ごとに見ていきます。
提案に進んだ案件の金額については、関わる部門は獲得と営業と技術、置いたときの効果は条件の合う案件が増える方向に動く。
受注金額については、関わる部門は営業と技術、置いたときの効果は獲得の貢献が見えにくい。
案件ごとの粗利については、関わる部門は営業と技術と経営、置いたときの効果は受けた後の質まで見る。
条件に合う引き合い件数については、関わる部門は獲得と営業、置いたときの効果は入口の質の議論が進む。
提案の工数あたりの受注金額については、関わる部門は全部門、置いたときの効果は効率の観点が入る。
提案に進んだ金額を選ぶ理由
獲得が条件に合う引き合いを集め、営業が話を進め、技術が対応できると判断して初めて、提案に進みます。
3つのどれかが欠けると、この数字は動きません。
数字の出所を一本化する
部門ごとに別の管理表を使っていると、同じ名前の数字でも値が違います。
どの記録を正とするかを決めます。
評価に一部を反映する
共通の数字を置いても、評価に反映されなければ行動は変わりません。評価の一部に組み込むか、達成時の扱いを決めておきます。
情報を回す場を、どう作り直すのか
扱う内容で場を分けます。
個別の案件の判断と、傾向の議論と、条件の見直しは、それぞれ別の周期で行います。
会議を増やしても、連携は良くなりません。
何を扱うかを分けて、必要な人だけが出る形にします。
3つの層に分ける
場の種類と、扱う内容を、項目ごとに見ていきます。
週次については、出席者は営業と技術の実務担当、扱う内容は個別の案件の受ける受けないの判断。
月次については、出席者は各部門の責任者、扱う内容は入口別の率と失注の傾向。
四半期については、出席者は責任者と経営、扱う内容は受注の条件と枠の見通しの見直し。
半期については、出席者は全部門、扱う内容は評価の指標の組み替え。
週次の場で個別案件を扱う
率の議論を週次でしても、母数が足りず振れるだけです。
週次では、判断待ちの案件を名指しで処理します。
この場があると、判断に数日かかる状態がなくなります。
月次で傾向を見る
入口ごとの面談化率、提案に進んだ比率、失注の理由の内訳。
ここまで降りないと、翌月の獲得の設定が決まりません。
資料の作成を軽くする
会議のたびに資料を作り直していると続きません。見る項目を固定し、数字だけが入れ替わる形にします。
案件の押しつけ合いが起きる構造を、どう解くのか
断った案件の金額を可視化します。
断ることが損失として見えるようになると、議論が供給側の体制に移ります。
条件が合わない案件を断ると、その案件は数字として残りません。
残らないため、断ったことによる損失も見えません。
断った案件を記録する
断った案件の記録項目を、項目ごとに見ていきます。
件数については、記録する内容は月ごとの断った件数、使い方は傾向の把握。
金額については、記録する内容は概算での受注見込み額、使い方は機会損失の把握。
理由については、記録する内容は領域か規模か時期か、使い方は体制の課題の特定。
入口については、記録する内容はどこから来たか、使い方は獲得の設定の見直し。
再打診の可否については、記録する内容は時期を変えれば受けられるか、使い方は後から戻す判断。
記録が議論を変える
断った金額が大きいことが分かると、議論が変わります。
質の押しつけ合いから、採用や協力会社の確保の議論に移ります。
押しつけ合いの多くは、情報の不足から起きる
技術が受けたくないと判断する理由が、獲得の側に伝わっていません。
獲得の側も、なぜその相談を集めたかを説明していません。
理由を記録して共有するだけで、摩擦は減ります。
責任の所在を明確にしすぎない
誰の責任かを追及する形にすると、記録が残らなくなります。記録を集めることを優先し、評価には使わない期間を設けます。
三者の噛み合わせを、どこから直すのか
受けてよい案件の条件を文書にするところからです。
条件がないまま仕組みを作っても、判断は属人的なままです。
連携の改善は、会議や仕組みの前に、条件と言葉を揃える作業から始まります。
噛み合わせを直す順番を、項目ごとに見ていきます。
1については、やることは受けてよい案件の条件を営業と技術で決める、期間の目安は3週間。
2については、やることは条件に合う引き合いと提案の定義を揃える、期間の目安は2週間。
3については、やることは断った案件の記録の項目と経路を作る、期間の目安は2週間。
4については、やることは共通の指標を1つ決めて出所を一本化する、期間の目安は2週間。
5については、やることは場を週次と月次と四半期に分ける、期間の目安は2週間。
6については、やることは評価の指標を期の区切りで組み替える、期間の目安は期初に実施。
見る数字を決める
数字は説明のための仮の値です。
月に条件に合う引き合いが20件、面談12件、提案8件、受注2件で受注金額が3,000万円とします。
提案に進んだ案件の金額が月1億円なら、その推移が3部門の共通の数字になります。
三部門で同じ画面を見る数字を、項目ごとに見ていきます。
判断待ちの案件の件数については、見る頻度は毎週、誰が見るかは営業と技術の担当。
条件に合う引き合いの件数については、見る頻度は毎週、誰が見るかは獲得と営業。
提案に進んだ案件の金額については、見る頻度は毎月、誰が見るかは3部門の責任者。
断った案件の件数と金額と理由については、見る頻度は毎月、誰が見るかは3部門の責任者と経営。
案件別の粗利率と工数差については、見る頻度は案件終了時、誰が見るかは技術と経営。
枠の埋まり方の見通しについては、見る頻度は毎月、誰が見るかは全部門。
記録の形を先に変える
条件を決めても、記録の形が変わらなければ数字は出ません。
管理表の項目と選択肢を、決めた条件に合わせて作り替えます。
経営が共通の数字を使う
責任者同士で共通の数字を決めても、経営が部門ごとの数字で評価していれば元に戻ります。
経営の会議で、共通の数字から報告が始まる形にします。
部門間の噛み合わせで判断に迷う場合は、無料相談で現状の流れを見てもらうところから始められます。獲得から受注までの設計ごと見直す段階ならWeb集客改善サービスもあります。
よくある質問
営業が取ってきた案件を開発が受けたがりません。何から手をつければいいですか
受けてよい案件の条件を、営業と開発の上位者で文書にしてください。技術の領域、案件の規模、粗利率の下限、納期、要件の状態の5つが決まれば、案件ごとの交渉がなくなります。
引き合いの質について、獲得と営業で話が噛み合いません
良い引き合いの基準が違うためです。獲得は件数と規模、営業は受注の見込み、技術は要件の固まり具合と領域を見ています。どれを条件に含めるかを決めて、共通の定義にしてください。
部門共通の指標には何を置けばいいですか
提案に進んだ案件の金額です。獲得が条件に合う引き合いを集め、営業が話を進め、技術が対応できると判断して初めて動きます。どれか1つが欠けるとこの数字は動きません。
断る案件が増えていますが、問題でしょうか
断った件数と金額と理由を記録してください。金額が大きい状態が続くなら、獲得の問題ではなく供給側の体制の問題です。記録があると、議論が採用や協力会社の確保に移ります。
会議を増やせば連携は良くなりますか
数を増やすと出席者が減り、形骸化します。週次は判断待ちの個別案件、月次は入口別の率と失注の傾向、四半期は受注の条件と枠の見通しというように、扱う内容を分けてください。
まとめ
- 引き合いを渡す場面と、案件を受けるかどうかを決める場面です。売上を取りたい側と、工数と品質を守りたい側で、判断の基準が違います
- 良い引き合いの定義が違います。渡す側は件数と規模を見て、受ける側は要件の固まり具合と粗利を見ます
- 工数の見通しが立たないことです。金額の大小ではなく、どれだけかかるか分からない案件が避けられます
- 営業と開発の上位者が一緒に決めます。現場の交渉に任せると、案件ごとに判断が変わります
- 提案に進んだ案件の金額です。獲得と営業と技術の3つが関わって初めて動く数字だからです
- 扱う内容で場を分けます。個別の案件の判断と、傾向の議論と、条件の見直しは、それぞれ別の周期で行います
- 断った案件の金額を可視化します。断ることが損失として見えるようになると、議論が供給側の体制に移ります
- 受けてよい案件の条件を文書にするところからです。条件がないまま仕組みを作っても、判断は属人的なままです