
受注の成立が、市場に出る物件という自社の外側の条件に左右されるからです。
費用をかけた月と受注が立つ月がずれるため、単純な月割りでは予算が組めません。
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目次
目次
- リノベーションの広告予算が、期初に決めきれない理由
- ずれが二重に起きる
- 出せる広告費の上限は、どの数字から出すのか
- 一件あたりの粗利を、収益の種類ごとに足す
- 着工できる件数を超える予算に、意味があるか
- 受けられる件数は、設計と現場の体制で決まる
- 物件を探す層への投資を、どこまで予算に入れるか
- 当期の受注を狙う費用と、先の受注を作る費用を分ける
- 年間の予算を、期中のどこで組み替えるのか
- 見直しの材料を、先に決めておく
- 経営に予算を説明する1枚に、何を載せるか
- 未達のリスクを先に出す
- 予算を削ることが決まったとき、どこから減らすのか
- 削る前に、効いていない経路を特定する
- リノベーションの予算編成を組み立てる手順
- 逆算の例で確認する
- よくある質問
- まとめ
受注の成立が、市場に出る物件という自社の外側の条件に左右されるからです。
費用をかけた月と受注が立つ月がずれるため、単純な月割りでは予算が組めません。
リノベーションの広告予算が、期初に決めきれない理由
受注の成立が、市場に出る物件という自社の外側の条件に左右されるからです。
費用をかけた月と受注が立つ月がずれるため、単純な月割りでは予算が組めません。
広告費を決める作業は、本来なら一件あたりの粗利と目標の件数から出ます。
物件の売買と工事がセットになる事業では、この計算の途中に読めない要素が入ります。
ずれが二重に起きる
一つ目のずれは、費用と受注のあいだの時間です。
二つ目は、費用と着工のあいだの時間です。
工事の売上が立つのは着工のさらに先なので、三段階のずれを抱えることになります。
リノベーションで費用と収益の時期がずれる構造
| かかる費用 | 発生する時期 | 対応する収益 | 収益の時期 |
|---|---|---|---|
| 広告費 | 集客した月 | 工事の粗利 | 数か月から一年以上あと |
| 相談の対応の人件費 | 相談が来た月 | 同上 | 同上 |
| 物件の探索と同行の費用 | 探索の期間中 | 仲介の収益と工事の粗利 | 成約後 |
| 設計と見積の工数 | 提案の期間中 | 工事の粗利 | 契約後 |
前年比で決めると、外側の条件の変化を織り込めない
前年と同じ費用で同じ受注が取れる保証はありません。
物件の出方や金利の環境が変われば、同じ費用で通る関門の数が変わります。
前年比は出発点にはなりますが、根拠にはなりません。
だから、上限と下限を先に出す
いくらまでなら出せるかという上限。これ以下だと機会を逃すという下限。この幅の中で、期中に動かせる形にしておきます。
出せる広告費の上限は、どの数字から出すのか
工事の粗利と仲介の収益を足した、一件あたりの粗利から出します。
工事の請負金額から出すと、原価の重さを見落とします。
一件あたりの請負金額は大きく見えますが、資材と職人の費用が乗っています。
広告費の原資になるのは、そこを引いたあとの金額です。
一件あたりの粗利を、収益の種類ごとに足す
工事の請負から出る粗利が中心です。
物件の売買を自社で扱うなら、そこからの収益も足します。
設計の費用を別に受け取る形なら、それも含めます。
リノベーションで一件あたりの粗利を組み立てる要素
| 要素 | 見る内容 | 注意する点 |
|---|---|---|
| 工事の粗利 | 請負金額から材料費と外注費を引いた額 | 想定外の工事が出ると圧縮される |
| 物件の売買から得る収益 | 扱い方によって有無が変わる | 自社で扱わない場合はここが立たない |
| 設計と監理の費用 | 別立てで受け取る場合 | 工事に含めているなら二重に数えない |
| 引き渡し後の工事 | 追加の依頼が発生する場合 | 確度が低いので上限には入れない |
上限は、粗利に対する比率で決める
一件あたりの粗利のうち、何割までを獲得の費用に充てるか。
この比率を経営と合意すると、目標の件数が変われば予算が自動で決まります。
金額を先に決めると、件数が変わったときに根拠が消えます。
相談の対応にかかる人の費用も含めて考える
広告費だけを見ると、実際の獲得の費用を見誤ります。相談の対応と物件の同行には、経験のある担当の時間がかかります。その時間を費用に換算して、合計で上限に収まるかを見ます。
着工できる件数を超える予算に、意味があるか
ありません。
工事の枠が埋まっているのに集客を続けると、待たせるか断ることになり、評判を損ないます。
予算の議論は、集めたい件数の話から始まりがちです。
先に確かめるのは、受けられる件数です。
受けられる件数は、設計と現場の体制で決まる
同時に進行できる案件の数には限りがあります。
設計の担当が抱えられる件数、現場を管理する担当が回れる現場の数。
どちらかが上限になります。
リノベーションで工事の枠と予算の関係
| 工事の枠の状況 | とるべき予算の方針 | 集客で狙うもの |
|---|---|---|
| 枠に余裕がある | 上限まで使う | 件数を増やす |
| 枠がほぼ埋まっている | 費用を絞る | 単価の高い案件と確度の高い層 |
| 枠が埋まって待ちが出ている | 新規の集客を止める | 既存の待ちの顧客の維持 |
| 枠を増やす計画がある | 増える時期の手前から使う | 増える分の前倒しの集客 |
枠を増やす判断と、予算の判断はセットにする
集客を増やしたいなら、受ける体制を先に増やします。
体制が増える時期の手前から集客を厚くします。
順番が逆だと、集めた相談を取りこぼします。
待ちが出ることを、悪いことと決めつけない
着工の待ちが適度にあると、価格の交渉で譲らずに済みます。どのくらいの待ちを許容するかを、経営として決めておきます。
物件を探す層への投資を、どこまで予算に入れるか
別枠にします。
受注までの期間が読めない層への費用を、当期の受注で評価すると判断を誤ります。
物件を探す段階の顧客は、今期の受注にならないことがあります。
それでも接点を切ると、決めるときに他社に行きます。
当期の受注を狙う費用と、先の受注を作る費用を分ける
すでに物件を持つ層や契約済みの層に向けた費用は、当期の受注に効きます。
探す段階の層に向けた費用は、翌期以降に効きます。
同じ枠で管理すると、期末に必ず後者が削られます。
リノベーションで予算を性質ごとに分ける
| 枠 | 対象 | 評価する時期 | 評価する数字 |
|---|---|---|---|
| 当期の受注を狙う枠 | 物件を持つ層と契約済みの層 | 当期 | 工事の契約件数と獲得費用 |
| 先の受注を作る枠 | 物件を探す層と情報を集める層 | 翌期以降 | 接点の維持数と再訪の率 |
| 名前を知ってもらう枠 | 地域と条件で重なる層 | 年単位 | 社名での検索の件数 |
| 既存の顧客への枠 | 引き渡し済みの顧客と紹介 | 随時 | 紹介の件数 |
探す層への費用は、上限を決めて固定する
読めない層への投資は、上限を決めないと膨らみます。
全体の何割までと決めて、その中で運用します。
成果が見えないから削るのではなく、決めた枠の中で続けます。
探す層の接点は、人の時間を使わない形にする
情報の配信や事例の更新など、自動で届く形に寄せます。担当が個別に追いかけると、費用が読めなくなります。
年間の予算を、期中のどこで組み替えるのか
四半期ごとです。
物件の出方と工事の枠の状況は、四半期の単位で変わります。
期初に決めた配分を一年動かさないと、環境の変化に追いつけません。
かといって毎月動かすと、成果が出る前に判断してしまいます。
見直しの材料を、先に決めておく
何を見て組み替えるかを期初に決めます。
その場で材料を探すと、声の大きい意見が通ります。
リノベーションで四半期ごとに確認する材料を、項目ごとに見ていきます。
工事の枠の充足率については、組み替えの判断は埋まっているなら集客を絞る、動かす先は単価の高い層と既存の顧客。
物件を持つ層の比率については、組み替えの判断は下がっているなら当期の受注が危ない、動かす先は物件を持つ層に届く配信へ。
獲得費用の推移については、組み替えの判断は粗利に対する比率が上がっている、動かす先は効いている経路へ寄せる。
相談から候補への率については、組み替えの判断は下がっているなら訴求が合っていない、動かす先は訴求の作り直しに費用を回す。
季節の要因については、組み替えの判断は動きが出る時期の手前か、動かす先は手前に厚く置く。
削るときの順番を、先に決めておく
期の途中で予算が削られることは起こります。
そのときにどこから削るかを決めておかないと、最も効いている経路から削られます。
削る順番は、先の受注を作る枠より、効いていない経路の当期の枠が先です。
一度止めた経路は、すぐには戻らない
情報の配信や事例の発信は、止めると積み上げが消えます。再開しても元の水準に戻るまで時間がかかります。削る判断のときに、この回復にかかる時間も一緒に示します。
経営に予算を説明する1枚に、何を載せるか
工事の枠、必要な契約件数、そこから逆算した費用、そして未達のリスクです。
費用の総額だけを出すと、なぜその額なのかが説明できません。
予算の稟議で問われるのは、金額の妥当性ではなく、その金額で何が起きるかです。
数字のつながりを1枚で見せます。
リノベーションの予算を経営に説明する構成を、項目ごとに見ていきます。
年間に着工できる件数については、中身は設計と現場と合意した上限、説明する意味は集客の目標の根拠。
必要な工事の契約件数については、中身は着工の上限と時期のずれから逆算、説明する意味は集客の対象の規模。
一件あたりの粗利については、中身は工事と売買を合算した額、説明する意味は費用の原資。
粗利に対する獲得費用の比率については、中身は経営と合意した上限、説明する意味は予算の総額の根拠。
枠の内訳については、中身は当期の枠と先の受注を作る枠、説明する意味は削られたときの影響の説明。
未達になる条件については、中身はどの率が下がると届かないか、説明する意味はリスクの共有。
未達のリスクを先に出す
達成する前提だけを示すと、未達のときに説明がつきません。
物件の申し込みの通過率がどこまで下がると目標に届かないか。
先に数字で示しておくと、期中の報告が議論になります。
役職によって、知りたいことが違う
経営層は費用と成果の関係を見ます。
現場を持つ責任者は、成果が動かなかったときの原因の説明を求めます。
Testifyが2026年5月に実施した調査でも、代理店への不満の内容は役職で分かれ、経営層は費用が成果に見合わないが最も多く、マーケティング責任者は成果不振の説明が不十分が最も多いという結果でした。
費用の単位を、件数に翻訳する
総額の話は判断しにくいものです。一件の着工を作るのにいくらかかるか、という単位に翻訳します。
予算を削ることが決まったとき、どこから減らすのか
当期の受注に効いていない経路からです。
先の受注を作る枠を最初に削ると、翌期の受注が消えます。
削減の議論は、金額の大きいところから始まりがちです。
金額ではなく、効き方で順番を決めます。
リノベーションで予算を削る順番を、項目ごとに見ていきます。
1については、削る対象は効いていない配信の経路、削ったときの影響はほとんどない、回復にかかる時間はすぐ。
2については、削る対象は対応範囲の外への配信、削ったときの影響は相談が減るが成約は変わらない、回復にかかる時間はすぐ。
3については、削る対象は当期の枠の中で単価の高い経路、削ったときの影響は件数が減る、回復にかかる時間は数週間。
4については、削る対象は名前を知ってもらう枠、削ったときの影響は当期の影響は小さい、回復にかかる時間は半年以上。
5については、削る対象は先の受注を作る枠、削ったときの影響は翌期の受注が減る、回復にかかる時間は一年以上。
6については、削る対象は既存の顧客への枠、削ったときの影響は紹介が減る、回復にかかる時間は長期。
削る前に、効いていない経路を特定する
経路ごとに、工事の契約に至った件数を出します。
相談の件数だけで判断すると、件数は多いが契約にならない経路を残してしまいます。
削減の影響を、時期で説明する
いま削ると、いつの受注が減るか。
この翻訳をしないと、削減の判断が軽くなります。
削減の提案には、影響が出る時期を必ず添えます。
削減とセットで、受ける体制も見直す
集客を減らすなら、工事の枠も見直します。集客だけ減らして体制を維持すると、固定費が重くなります。
リノベーションの予算編成を組み立てる手順
一件あたりの粗利を、工事と売買を合算して確定させることから始めます。
原資が決まらないと、上限が出せません。
予算を組む作業は、金額を決める前の準備で決まります。
準備を飛ばすと、前年比の議論に戻ります。
リノベーションの予算編成を進める順番を、項目ごとに見ていきます。
1については、やることは一件あたりの粗利を工事と売買に分けて確定する、期間の目安は3週間。
2については、やることは年間に着工できる件数を設計と現場と合意する、期間の目安は3週間。
3については、やることは粗利に対する獲得費用の上限の比率を経営と合意する、期間の目安は2週間。
4については、やることは予算を性質ごとの枠に分けて配分する、期間の目安は2週間。
5については、やることは四半期ごとの見直しの材料と削減の順番を決める、期間の目安は2週間。
6については、やることは未達になる条件を数字で示して共有する、期間の目安は1週間。
逆算の例で確認する
数字は説明のための仮の値です。
一件あたりの粗利が300万円で、獲得の費用の上限を粗利の12%と合意したなら、一件あたり36万円が上限になります。
年間の着工が48件なら、年間の予算は1,728万円という枠が出ます。
予算の執行を見る数字を決める
リノベーションの予算の使われ方を点検する数字を、項目ごとに見ていきます。
枠ごとの消化率については、頻度は毎月、判断の目安は当期の枠だけが先行していないか。
契約一件あたりの獲得費用については、頻度は毎月、判断の目安は合意した上限に対する位置。
経路ごとの契約への到達率については、頻度は四半期、判断の目安は削る候補の特定。
物件を持つ層への配分比率については、頻度は毎月、判断の目安は当期の受注の見通し。
相談の対応にかかった時間については、頻度は四半期、判断の目安は人の費用を含めた実際の獲得費用。
翌期に持ち越す接点の数については、頻度は四半期、判断の目安は先の受注を作る枠の成果。
消化率だけで評価しない
使い切ったかどうかは、成果とは関係ありません。
枠を余らせても、上限の比率の中で必要な件数が取れていれば問題ありません。
前提が崩れたら、期中でも組み直す
工事の体制が変わったとき、物件の市場が大きく動いたとき。
この2つは、四半期を待たずに組み直す条件として決めておきます。
リノベーションの広告費の適正な水準が判断できない場合は、無料相談で現状の数字を一緒に整理するところから始められます。予算の組み立てごと見直す段階ならWeb集客改善サービスもあります。
よくある質問
リノベーションの広告予算は何から決めますか
工事と物件の売買を合算した一件あたりの粗利です。そこに経営と合意した比率をかけて一件あたりの上限を出し、年間に着工できる件数をかけて総額にします。請負金額から出すと原価の重さを見落とします。
前年比で決めてはいけませんか
出発点にはなりますが根拠になりません。物件の出方や金利の環境が変われば、同じ費用で通る関門の数が変わります。粗利と着工できる件数から出した数字と突き合わせてください。
物件を探している層への費用はどう扱いますか
当期の受注を狙う枠とは別枠にして、上限を決めて固定します。同じ枠に入れると期末に必ず削られ、翌期の受注が消えます。評価も当期ではなく接点の維持数で見ます。
工事の枠が埋まっているとき広告は止めるべきですか
新規の集客は絞ります。ただし完全に止めると再開に時間がかかるため、名前を知ってもらう枠と既存の顧客への枠は残します。絞った分は単価の高い案件と確度の高い層に寄せます。
予算を削れと言われたらどこから減らしますか
効いていない配信の経路と、対応範囲の外への配信からです。先の受注を作る枠を先に削ると翌期の受注が減ります。削減の提案には、影響が出る時期を必ず添えてください。
まとめ
- 受注の成立が、市場に出る物件という自社の外側の条件に左右されるからです。費用をかけた月と受注が立つ月がずれるため、単純な月割りでは予算が組めません
- 工事の粗利と仲介の収益を足した、一件あたりの粗利から出します。工事の請負金額から出すと、原価の重さを見落とします
- ありません。工事の枠が埋まっているのに集客を続けると、待たせるか断ることになり、評判を損ないます
- 別枠にします。受注までの期間が読めない層への費用を、当期の受注で評価すると判断を誤ります
- 四半期ごとです。物件の出方と工事の枠の状況は、四半期の単位で変わります
- 工事の枠、必要な契約件数、そこから逆算した費用、そして未達のリスクです。費用の総額だけを出すと、なぜその額なのかが説明できません
- 当期の受注に効いていない経路からです。先の受注を作る枠を最初に削ると、翌期の受注が消えます
- 一件あたりの粗利を、工事と売買を合算して確定させることから始めます。原資が決まらないと、上限が出せません