
売上が最も取り出しやすい数字だからです。
利益や将来性は計算に手間がかかるため、手元にある数字で分けた結果が残っています。
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目次
目次
- 顧客ランクが、売上の大きさだけで作られるのはなぜか
- 過去の売上は、将来を示さない
- 分ける軸は、売上か利益か将来性か
- 粗利を縦軸に置く
- ランクはいくつ作るのか
- 段数を決める条件
- 境界の線を、どこに引くのか
- 分布を先に見る
- ランクごとに、何を変えるのか
- 価格以外で差をつける
- ランクを顧客に見せるかどうか
- 見せる場合に必要になること
- ランクの運用でよく起きる問題
- 更新されない区分
- ランク設計を進める段取り
- 粗利の算出でつまずく場所
- よくある質問
- まとめ
売上が最も取り出しやすい数字だからです。
利益や将来性は計算に手間がかかるため、手元にある数字で分けた結果が残っています。
顧客ランクが、売上の大きさだけで作られるのはなぜか
売上が最も取り出しやすい数字だからです。
利益や将来性は計算に手間がかかるため、手元にある数字で分けた結果が残っています。
多くの会社に、顧客を上位と下位に分ける区分があります。
その区分が何のために作られたかを説明できる人は、少なくなっています。
過去の売上は、将来を示さない
過去1年の売上が大きい顧客が、来年も同じ規模とは限りません。
大口の一度きりの取引で上位に入っている顧客が含まれます。
その顧客に上位の待遇を続けると、費用だけが出ていきます。
売上の大きさと、利益の大きさは一致しない
値引きの大きい顧客、対応に手間のかかる顧客、支払いの条件が悪い顧客。
これらは売上が大きくても、手元に残る額が小さくなります。
売上で分けたランクは、投資先の判断には使えません。
分ける軸と、分かること
| 軸 | 計算の手間 | 分かること | 投資判断に使えるか |
|---|---|---|---|
| 過去1年の売上 | 小さい | 規模 | 限定的 |
| 粗利の額 | 中程度 | 実際の貢献 | 使える |
| 将来の見込み額 | 大きい | これからの規模 | 使える |
| 対応にかかる工数 | 大きい | 実質的な収益性 | 使える |
| 継続の期間 | 小さい | 関係の安定度 | 補助として使える |
使われていないランクは、作り直す
ランクが社内のどの判断にも使われていないなら、区分としての役目を終えています。残っている区分を修正するより、目的から作り直すほうが早くなります。
分ける軸は、売上か利益か将来性か
粗利と将来の見込みの2軸にします。
売上は規模を示すだけで、どこに資源を配るかの判断には足りません。
軸の選び方で、ランクの使い道が決まります。
1軸では、判断に必要な情報が足りません。
粗利を縦軸に置く
売上から原価と値引きを引いた額を出します。
可能であれば、対応にかかった人件費も引きます。
この数字が、その顧客から実際に得ているものです。
将来の見込みを横軸に置く
顧客の事業の規模、未購入の商品の範囲、利用の拡大の余地。
これらから、これから取引が増える余地を推定します。
推定は精密でなくてよく、3段階程度で十分です。
2軸による4つの区分
| 現在の粗利 | 将来の見込み | 区分の性質 | 資源の配り方 |
|---|---|---|---|
| 大きい | 大きい | 中核の顧客 | 最も手厚く |
| 大きい | 小さい | 維持する顧客 | 関係を保つ |
| 小さい | 大きい | 育てる顧客 | 投資する |
| 小さい | 小さい | 効率を優先する顧客 | 仕組みで対応する |
育てる顧客を見落とさない
売上の1軸で分けると、育てる顧客は下位に入ります。下位の待遇を受けた顧客は、そのまま小さいままで終わります。2軸にする最大の理由が、この層を見つけることにあります。
ランクはいくつ作るのか
3つか4つです。
5つを超えると、対応の中身を区別できなくなり、名前だけの区分になります。
段数が多いほど細かく管理できるように見えますが、運用の負担が増えます。
段数を決める条件
各ランクで、対応の中身が明確に違うこと。
この条件を満たせる数が上限です。
中身が同じなら、分ける意味はありません。
段数と、必要な人員
上位のランクには、個別の対応が伴います。
対応できる顧客数の上限が、上位ランクの人数の上限になります。
人員から逆算すると、段数と各ランクの人数が決まります。
段数ごとの運用の違い
| 段数 | 管理の手間 | 対応を区別できるか | 向く規模 |
|---|---|---|---|
| 2段階 | 小さい | 大まかにできる | 顧客数が少ない |
| 3段階 | 中程度 | できる | 多くの事業 |
| 4段階 | 中程度 | できる | 顧客層の幅が広い |
| 5段階以上 | 大きい | 難しくなる | 特殊な場合のみ |
最下位のランクの扱い
最下位のランクを、切り捨てる対象として設計しないようにします。仕組みで効率よく対応する層として位置づけます。費用をかけずに関係を保つ方法を、この層のために用意します。
境界の線を、どこに引くのか
分布を見て、人数と資源の両方から決めます。
きりのよい金額で切ると、対応できる人数を超えることがあります。
境界は、金額の切りのよさではなく、運用の可能性で決めます。
分布を先に見る
顧客ごとの粗利を並べ、分布の形を確認します。
上位の数社に集中している事業と、なだらかに分かれている事業では、線の引き方が変わります。
分布を見ずに金額で切ると、上位に入る顧客が想定と大きくずれます。
人員から上限を決める
上位ランクの顧客数は、個別に対応できる人数で決まります。
先に人員の上限を出し、その人数に収まる位置に線を引きます。
数字は説明のための仮の値です。
担当1人が15社を見られる体制で3人いれば、上位ランクは45社が上限になります。
境界の決め方
| 決め方 | 利点 | 欠点 |
|---|---|---|
| 金額で切る | 説明しやすい | 人数が読めない |
| 上位からの人数で切る | 運用に合う | 金額の根拠が弱い |
| 分布の切れ目で切る | 実態に合う | 毎年位置が動く |
| 人員の上限で切る | 必ず運用できる | 顧客から見た公平性の説明が要る |
見直しの周期を決める
顧客の状態は変わります。四半期ごとに見直すと、担当が頻繁に変わり関係が安定しません。年1回か半期に1回を目安に、期の区切りで見直します。
ランクごとに、何を変えるのか
接触の頻度、対応する人、提供する情報の3つです。
価格だけを変えると、値引きの制度になってしまいます。
ランクの違いを価格で表現すると、上位の顧客の粗利が下がります。
粗利で分けた区分が、粗利を減らす仕組みになります。
価格以外で差をつける
対応の速さ、担当の付き方、情報を受け取る順番。
これらは追加の原価がかかりにくい差別化です。
上位の顧客が価値を感じる項目を、聞き取りで確認します。
下位のランクに提供するもの
下位のランクでも、関係を保つ方法はあります。
仕組みで届ける案内、自分で解決できる情報、定期的な状況の確認。
費用をかけずに、接点を切らさない設計にします。
ランクごとに変える項目を、項目ごとに見ていきます。
接触の頻度については、上位は月次、中位は四半期、下位は随時。
対応する人については、上位は専任の担当、中位は担当グループ、下位は窓口。
情報の提供については、上位は先行して個別に、中位は通常の案内、下位は公開の情報。
問い合わせの対応については、上位は優先、中位は通常、下位は通常。
価格や条件については、上位は原則同じ、中位は同じ、下位は同じ。
差をつける理由を、社内で説明できるようにする
ランクによる対応の差は、下位の顧客から見れば不公平に映ります。説明を求められたときに答えられる根拠を用意します。取引の規模に応じた体制であることを、事実として説明します。
ランクを顧客に見せるかどうか
見せる場合と見せない場合があります。
見せると次のランクを目指す動機が生まれますが、下がったときの影響も受けます。
社内の管理用の区分と、顧客に提示する制度は別のものです。
混同すると、運用が難しくなります。
見せる場合に必要になること
条件を公開する必要があります。
公開した条件は、変更のたびに告知が必要になります。
ランクが下がる顧客が出たときの扱いも、先に決めておきます。
見せない場合の運用
社内の管理用にとどめると、条件の変更が自由にできます。
一方で、上位を目指す動機は顧客側に生まれません。
対応の差が見えることで、間接的に伝わる形になります。
提示の有無による違いを、項目ごとに見ていきます。
条件の変更については、顧客に見せるは告知が必要、社内のみで管理は自由にできる。
上位を目指す動機については、顧客に見せるは生まれる、社内のみで管理は生まれない。
降格時の対応については、顧客に見せるは説明が必要、社内のみで管理は不要。
運用の手間については、顧客に見せるは大きい、社内のみで管理は小さい。
下位顧客の受け止めについては、顧客に見せるは不公平感が出やすい、社内のみで管理は表面化しにくい。
見せる制度にする場合の設計
提示する制度にするなら、条件を単純にします。複数の条件を組み合わせると、問い合わせが増えます。社内の管理用のランクと、顧客に見せる制度を別に持つ方法もあります。
ランクの運用でよく起きる問題
作ったあとに更新されず、実態と合わなくなることが最も多く起きます。
更新の担当と周期を決めていない区分は、1年で使われなくなります。
ランクは、作る作業より保つ作業のほうが続きます。
更新されない区分
設計した時点の数字で固定され、その後の変化が反映されない。
この状態になると、担当者は自分の感覚で顧客を扱うようになります。
区分があることで、かえって判断が混乱します。
部署ごとに違う区分を持つ
営業の重要顧客リストと、マーケティングの配信の層と、サポートの優先度が別々に管理されている。
同じ顧客が、部署によって違う扱いを受けます。
1つの区分を全社で使うことを、設計の条件にします。
よくある問題と、対処を、項目ごとに見ていきます。
区分が更新されないについては、原因は担当と周期が未定、対処は期の区切りで見直す担当を置く。
部署ごとに違う区分があるについては、原因は目的が共有されていない、対処は全社で1つに統合する。
上位の顧客が増え続けるについては、原因は降格の条件がない、対処は条件を両方向で決める。
対応の差が実行されないについては、原因は現場に伝わっていない、対処はランクごとの運用を明文化する。
下位が放置されるについては、原因は仕組みが用意されていない、対処は一対多の接点を設計する。
降格の条件も決める
昇格の条件だけを決めると、上位が増え続けます。上位が増えると、個別対応の人員が足りなくなります。降格の条件と、降格時の伝え方を同時に決めます。
ランク設計を進める段取り
顧客ごとの粗利を出すことからです。
売上しか出ていない状態では、どの軸で分けるかの議論が進みません。
設計の前に、材料となる数字を揃えます。
粗利の算出は、経理と販売の記録を突き合わせる作業になります。
ランク設計の作業順を、項目ごとに見ていきます。
1については、やることは顧客ごとの粗利を算出する、期間の目安は4週間。
2については、やることは将来の見込みを3段階で推定する、期間の目安は3週間。
3については、やることは分布を見て段数と境界を決める、期間の目安は2週間。
4については、やることはランクごとに変える項目を決める、期間の目安は3週間。
5については、やることは人員の上限に収まるか確認する、期間の目安は2週間。
6については、やることは更新の担当と周期を決める、期間の目安は1週間。
粗利の算出でつまずく場所
値引きや返品が、顧客単位で紐づいていないことがあります。
完全な数字を待つと着手できないため、まずは概算で進めます。
精度の改善は、運用を始めてから行います。
ランク運用で見る数字を、項目ごとに見ていきます。
ランクごとの顧客数については、見る頻度は四半期、使い方は人員の上限に収まっているか。
ランクごとの粗利の合計については、見る頻度は四半期、使い方は資源配分が合っているか。
昇格と降格の件数については、見る頻度は半期、使い方は区分が動いているか。
育てる区分から中核への移動数については、見る頻度は年次、使い方は投資が効いているか。
ランクごとの継続率については、見る頻度は半期、使い方は対応の差が効いているか。
育てる区分の成果を追う
粗利は小さいが将来の見込みが大きい層に投資した結果を、年次で確認します。
この層が中核に移っていなければ、投資の方法を変えます。
ランク設計の成否が、最も分かりやすく出る場所です。
最初から完璧を目指さない
軸も段数も、運用しながら調整します。
初年度は3段階の単純な設計で始め、判断に使えるかどうかを確かめます。
使われない精緻な区分より、使われる粗い区分のほうが役に立ちます。
顧客をどう分けるべきか判断がつかない場合は、無料相談で現状を見てもらうところから始められます。既存顧客への資源配分ごと見直す段階ならWeb集客改善サービスもあります。
よくある質問
顧客ランクは売上で分けてはいけませんか
売上は規模を示すだけで、値引きや対応工数を反映しません。粗利と将来の見込みの2軸で分けると、資源をどこに配るかの判断に使えます。
ランクはいくつ作るべきですか
3つか4つです。各ランクで対応の中身が明確に違うことが条件で、5つを超えると区別ができず名前だけの区分になります。
境界の金額はどう決めますか
顧客ごとの粗利の分布を見たうえで、個別に対応できる人員の上限に収まる位置に引きます。きりのよい金額で切ると、対応できる人数を超えることがあります。
ランクごとに価格を変えるべきですか
価格で差をつけると、粗利で分けた区分が粗利を減らす仕組みになります。接触の頻度、対応する人、情報を受け取る順番で差をつけてください。
ランクを顧客に公開すべきですか
公開すると上位を目指す動機が生まれますが、条件の告知と降格時の説明が必要になります。社内の管理用の区分と、顧客に見せる制度を別に持つ方法もあります。
まとめ
- 売上が最も取り出しやすい数字だからです。利益や将来性は計算に手間がかかるため、手元にある数字で分けた結果が残っています
- 粗利と将来の見込みの2軸にします。売上は規模を示すだけで、どこに資源を配るかの判断には足りません
- 3つか4つです。5つを超えると、対応の中身を区別できなくなり、名前だけの区分になります
- 分布を見て、人数と資源の両方から決めます。きりのよい金額で切ると、対応できる人数を超えることがあります
- 接触の頻度、対応する人、提供する情報の3つです。価格だけを変えると、値引きの制度になってしまいます
- 見せる場合と見せない場合があります。見せると次のランクを目指す動機が生まれますが、下がったときの影響も受けます
- 作ったあとに更新されず、実態と合わなくなることが最も多く起きます。更新の担当と周期を決めていない区分は、1年で使われなくなります
- 顧客ごとの粗利を出すことからです。売上しか出ていない状態では、どの軸で分けるかの議論が進みません