
新規獲得と契約後の支援は目標が違い、どちらの部署の評価にも既存顧客の売上が入っていないからです。
評価に入っていない仕事は、誰も継続しません。
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目次
目次
- 既存顧客への接点が、部署の間で宙に浮くのはなぜか
- 目標の形が違う
- カスタマーサクセスは、何をする部署なのか
- 受け身か、こちらから動くか
- マーケティングが既存顧客に関わるのは、どこまでか
- 一対多で担える範囲
- 分担の線は、何で引くのか
- 2つの軸で分ける
- 予算と人員は、どちらに置くのか
- 同じ枠に入れると起きること
- 目標を、どう分けて持つのか
- 動かせるかどうかで割り当てる
- 分担でよく起きる問題と、外部に任せる場合
- 名前だけが変わる状態
- 分担を決めるまでの進め方
- 棚卸しで分かること
- よくある質問
- まとめ
新規獲得と契約後の支援は目標が違い、どちらの部署の評価にも既存顧客の売上が入っていないからです。
評価に入っていない仕事は、誰も継続しません。
既存顧客への接点が、部署の間で宙に浮くのはなぜか
新規獲得と契約後の支援は目標が違い、どちらの部署の評価にも既存顧客の売上が入っていないからです。
評価に入っていない仕事は、誰も継続しません。
既存顧客に向けた活動は、必要だと全員が認識しています。
それでも進まないのは、担当が決まっていないからではなく、評価の設計が抜けているからです。
目標の形が違う
マーケティングは件数と単価で評価されます。
営業は受注で評価されます。
サポートは対応の速さと解決率で評価されます。
既存顧客の継続や拡大は、このどれにも当てはまりません。
どの部署も、やれば負担が増え、やらなくても評価は下がりません。
情報が分断されている
契約前の行動の記録はマーケティングが持っています。
契約時のやりとりは営業が持っています。
契約後の利用状況はサポートか事業部が持っています。
情報の所在と、分断が生む問題
| 情報 | 持っている部署 | つながっていないと起きること |
|---|---|---|
| 契約前の関心と比較検討の経緯 | マーケティング | 導入後に同じ説明を繰り返す |
| 契約時の約束と期待 | 営業 | 期待とのずれに気づけない |
| 利用状況と問い合わせ | サポート | 離脱の兆候を見逃す |
| 継続と解約の結果 | 事業部 | 獲得の設計に反映されない |
景気の変動で削られる側にある
Macbee Planetが2025年12月に実施した調査では、翌年の削減対象としてBtoCでCRM・リテンションを挙げた回答が40.7%ありました。担当が曖昧な活動は、削減の判断が最も早く下ります。
カスタマーサクセスは、何をする部署なのか
顧客が契約の目的を果たす状態を作り、その結果として継続と拡大を生む部署です。
問い合わせに答える部署ではありません。
呼び方だけを導入して、実態はサポートの延長になっている例があります。
何が違うのかを、仕事の起点で区別します。
受け身か、こちらから動くか
サポートは、顧客からの問い合わせが起点です。
カスタマーサクセスは、顧客の利用状況を見てこちらから動きます。
起点が違うため、必要な人材も評価の指標も変わります。
営業との違い
営業は契約を取るまでを担います。
カスタマーサクセスは、契約後に顧客が成果を出すまでを担います。
この2つを同じ人が持つと、受注の月末に後者が止まります。
3つの役割の違い
| 役割 | 起点 | 評価される数字 | 必要な能力 |
|---|---|---|---|
| サポート | 顧客からの連絡 | 解決率と応答の速さ | 正確さ |
| カスタマーサクセス | 利用状況の変化 | 継続率と拡大の額 | 課題の発見 |
| 営業 | 案件の発生 | 受注件数と金額 | 交渉 |
| マーケティング | 市場と見込み客 | 獲得件数と単価 | 設計と分析 |
置くかどうかは、取引の形で決まる
一度売って終わる取引では、専任を置く意味が小さくなります。継続的に課金する形や、繰り返し購入する形では、置く価値が大きくなります。取引の形を無視して組織だけ真似ると、仕事の内容が定まりません。
マーケティングが既存顧客に関わるのは、どこまでか
一対多で届けられる範囲までです。
個別の状況に応じた対応は、顧客に近い部署が持ちます。
既存顧客への接点をすべてカスタマーサクセスに寄せると、人手が足りなくなります。
一対多で届く部分は、マーケティングの仕組みで担えます。
一対多で担える範囲
利用の促進を目的とした案内、新しい機能や商品の告知、事例の共有。
これらは顧客ごとに変える必要がありません。
人数に比例して費用が増えない形で提供できます。
個別の対応が必要な範囲
契約の更新の交渉、利用が止まった顧客への働きかけ、拡大の提案。
これらは相手の状況によって内容が変わります。
仕組みで届けると、的外れな内容になり信用を落とします。
接点の種類と、担う部署
| 接点の種類 | 内容が顧客ごとに変わるか | 担う部署 |
|---|---|---|
| 利用促進の案内 | 変わらない | マーケティング |
| 新商品や機能の告知 | 変わらない | マーケティング |
| 事例や活用方法の共有 | 変わらない | マーケティング |
| 利用が止まった顧客への連絡 | 変わる | 顧客に近い部署 |
| 更新の交渉と拡大の提案 | 変わる | 営業または顧客に近い部署 |
境界でぶつかりやすい場所
拡大の提案は、一対多の案内から始まり個別の対応に移ります。どこで引き継ぐかを決めていないと、二重に連絡するか、どちらもしないかになります。引き継ぐ条件を、行動の記録で定義します。
分担の線は、何で引くのか
顧客の人数と、1顧客あたりの取引額で引きます。
取引額の大きい少数は個別に、小さい多数は仕組みで担います。
分担を役職や部署の名前で決めると、例外が出るたびに議論が戻ります。
数字で線を引くと、判断が自動化できます。
2つの軸で分ける
1つ目は、その顧客からの年間取引額です。
2つ目は、離脱したときの影響の大きさです。
影響が大きい顧客は、取引額が中程度でも個別の対応に含めます。
線の位置は、人員から逆算する
個別に対応できる顧客数には上限があります。
担当1人が見られる数に人数を掛けたものが、個別対応の枠です。
枠に収まるように、取引額の線を決めます。
分担の線の引き方
| 顧客の層 | 対応の形 | 主な担当 | 接触の頻度 |
|---|---|---|---|
| 取引額が大きい上位 | 個別の担当をつける | カスタマーサクセスまたは営業 | 月次 |
| 取引額が中程度 | 型どおりの手順で支援 | カスタマーサクセス | 四半期 |
| 取引額が小さい多数 | 仕組みで一斉に届ける | マーケティング | 随時 |
| 利用が止まった顧客 | 層に関わらず個別に確認 | 顧客に近い部署 | 発生時 |
線を動かすときのルール
顧客数が増えると、個別対応の枠が足りなくなります。線を上げるか、人を増やすかの判断になります。期中に線を動かすと担当が入れ替わるため、期の区切りで見直します。
予算と人員は、どちらに置くのか
既存顧客向けの予算は、獲得予算とは別の枠として切り出します。
同じ枠に入れると、短期の成果が見える獲得側に流れます。
予算の置き方は、分担の議論より結果に効きます。
枠が分かれていなければ、分担を決めても実行されません。
同じ枠に入れると起きること
獲得の成果はその月に見えます。
既存顧客への投資の成果は数か月後に見えます。
同じ枠で運用すると、期中の判断は必ず獲得側に寄ります。
枠の大きさをどう決めるか
既存顧客からの売上が全体に占める割合を出します。
その割合に対して、既存顧客向けの支出が極端に小さければ、配分がゆがんでいます。
売上の構成と支出の構成を並べるだけで、議論の材料になります。
予算の置き方と、起きることを、項目ごとに見ていきます。
獲得と同じ枠については、短期の判断は獲得に寄る、長期の効果は既存向けが縮小する。
別枠で固定については、短期の判断は枠の中で完結、長期の効果は効果が低くても続く。
別枠で四半期見直しについては、短期の判断は配分を調整できる、長期の効果は運用の手間がかかる。
売上構成に連動については、短期の判断は構成の変化に追随、長期の効果は計画が立てにくい。
人員をどちらに置くか
人員を兼任にすると、予算を分けた意味が薄れます。専任が難しい規模では、時間の配分を決めて記録します。記録がないと、実際にどれだけ投じたかが分かりません。
目標を、どう分けて持つのか
継続率は顧客に近い部署が、既存顧客からの売上は共有で持ちます。
1つの数字を両方に持たせると、責任が分散します。
目標の分け方は、分担の実効性を決めます。
動かせる部署に、動かせる数字を割り当てます。
動かせるかどうかで割り当てる
利用促進の案内の到達と反応は、マーケティングが動かせます。
更新の可否は、顧客に近い部署が動かせます。
拡大の金額は、両方が関わります。
目標の割り当てを、項目ごとに見ていきます。
利用促進の案内の反応率については、主に動かす部署はマーケティング、共有するかはしない。
一定期間後の継続率については、主に動かす部署は顧客に近い部署、共有するかはしない。
既存顧客からの売上については、主に動かす部署は両方、共有するかは共有する。
拡大の提案件数については、主に動かす部署は両方、共有するかは共有する。
解約の予兆の検知数については、主に動かす部署は顧客に近い部署、共有するかは情報は共有する。
共有指標の運用
共有する数字は、片方が動かないと責任の所在が曖昧になります。
月次で、どちらの活動がどれだけ寄与したかを並べます。
寄与が測れないなら、共有指標から外します。
獲得側に結果を戻す
どの経路から来た顧客が継続しているか。この情報をマーケティングに戻すと、獲得の設計が変わります。戻す経路がない組織では、同じ質の顧客を取り続けます。
分担でよく起きる問題と、外部に任せる場合
部署を作っただけで、仕事の内容と評価が変わっていない状態が最も多く見られます。
外部に任せる範囲は、一対多で届く部分に限るのが現実的です。
組織図を変えても、評価の設計が同じなら行動は変わりません。
名前だけが変わる状態
サポートの名称をカスタマーサクセスに変えたが、評価は応答の速さのまま。
この状態では、こちらから動く活動は生まれません。
評価の指標を継続率に変えたときに、初めて仕事の中身が変わります。
よくある状態と、実際に必要な変更を、項目ごとに見ていきます。
部署名だけ変わったについては、実際に起きていることは仕事は受け身のまま、必要な変更は評価の指標を変える。
担当は決めたが動かないについては、実際に起きていることは評価に入っていない、必要な変更は目標に組み込む。
両方が同じ顧客に連絡するについては、実際に起きていることは引き継ぎの条件がない、必要な変更は行動の記録で定義する。
どちらも連絡しないについては、実際に起きていることは境界の顧客が宙に浮く、必要な変更は例外の扱いを決める。
情報が獲得側に戻らないについては、実際に起きていることは経路が設計されていない、必要な変更は月次で共有の場を作る。
外部に委託できる範囲
一対多で届ける部分は、外部に任せやすい仕事です。個別の対応を外部に任せると、顧客の状況の理解が社内に残りません。Testifyが2026年5月に実施した調査では、代理店を全面的に委託している企業の8割超が1年以内のインハウス化を計画または検討しており、動機の最多はノウハウの蓄積で56.7%でした。顧客の理解は、外に出すと戻りにくい種類の知見です。
分担を決めるまでの進め方
現在の接点を棚卸しすることからです。
誰がいつ何を送っているかが分からないまま組織を変えると、重複と空白が残ります。
分担の設計は、組織図より先に実態の把握から始めます。
分担を決める段階を、項目ごとに見ていきます。
1については、やることは既存顧客への接点を全部書き出す、期間の目安は2週間。
2については、やることは顧客を取引額と影響度で層に分ける、期間の目安は2週間。
3については、やることは層ごとに、対応の形と担当を決める、期間の目安は3週間。
4については、やることは既存顧客向けの予算を別枠で切り出す、期間の目安は期初。
5については、やることは目標の割り当てと共有指標を決める、期間の目安は3週間。
6については、やることは獲得側に結果を戻す場を月次で設ける、期間の目安は継続。
棚卸しで分かること
書き出すと、同じ顧客に複数の部署から連絡が行っている場合があります。
逆に、一定の層に何も届いていないことも見つかります。
この2つは、組織を変えなくても直せます。
役割ごとに持つ数字を、項目ごとに見ていきます。
案内の到達と反応については、持つ部署はマーケティング、見る頻度は毎月。
層ごとの継続率については、持つ部署は顧客に近い部署、見る頻度は毎月。
既存顧客からの売上構成比については、持つ部署は共有、見る頻度は毎月。
拡大の提案件数と成約については、持つ部署は共有、見る頻度は毎月。
獲得経路別の継続率については、持つ部署はマーケティング、見る頻度は四半期。
期初にしかできないこと
予算の枠を分けることと、目標を割り当てることは期初にしかできません。
期中に始められるのは、棚卸しと接点の整理までです。
検討の時期を、期初の予算編成から逆算して決めます。
小さく始める場合の順序
専任を置けない規模では、上位の顧客層だけを対象に個別対応を始めます。
効果が見えてから、対象を広げるか人を増やすかを判断します。
既存顧客への体制をどう組むか判断がつかない場合は、無料相談で現状を見てもらうところから始められます。部門の役割ごと見直す段階ならWeb集客改善サービスもあります。
よくある質問
カスタマーサクセスとサポートは何が違いますか
起点が違います。サポートは顧客からの問い合わせを受けて動き、カスタマーサクセスは利用状況を見てこちらから動きます。評価の指標も、解決率ではなく継続率になります。
既存顧客への接点は全部カスタマーサクセスに寄せるべきですか
一対多で届けられる範囲はマーケティングが担い、顧客ごとに内容が変わる対応を顧客に近い部署が持ちます。すべてを寄せると人手が足りなくなります。
分担の線はどこで引けばいいですか
年間取引額と離脱したときの影響の大きさで引きます。個別に対応できる顧客数には上限があるため、担当できる人数から逆算して線の位置を決めてください。
既存顧客向けの予算は別に取るべきですか
別枠にしてください。同じ枠に入れると、その月に成果が見える獲得側へ期中の判断が寄り、既存向けが縮小します。
部署を作ったのに動きが変わりません
評価の指標が以前のままである場合がほとんどです。名称を変えるだけでは受け身の仕事が続くため、継続率など動かしたい数字を評価に入れてください。
まとめ
- 新規獲得と契約後の支援は目標が違い、どちらの部署の評価にも既存顧客の売上が入っていないからです。評価に入っていない仕事は、誰も継続しません
- 顧客が契約の目的を果たす状態を作り、その結果として継続と拡大を生む部署です。問い合わせに答える部署ではありません
- 一対多で届けられる範囲までです。個別の状況に応じた対応は、顧客に近い部署が持ちます
- 顧客の人数と、1顧客あたりの取引額で引きます。取引額の大きい少数は個別に、小さい多数は仕組みで担います
- 既存顧客向けの予算は、獲得予算とは別の枠として切り出します。同じ枠に入れると、短期の成果が見える獲得側に流れます
- 継続率は顧客に近い部署が、既存顧客からの売上は共有で持ちます。1つの数字を両方に持たせると、責任が分散します
- 部署を作っただけで、仕事の内容と評価が変わっていない状態が最も多く見られます。外部に任せる範囲は、一対多で届く部分に限るのが現実的です
- 現在の接点を棚卸しすることからです。誰がいつ何を送っているかが分からないまま組織を変えると、重複と空白が残ります