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依存そのものより、依存によって判断が自由でなくなることが問題です。
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目次
目次
- 一社依存は、どの水準から事業の問題になるのか
- 依存の水準と、起きること
- どこまで下げるのを目標にするのか
- 分母を増やす
- 依存先以外の顧客を、どこから取るのか
- 同じ条件で買える層を探す
- 依存先に、どう説明するのか
- 伝え方の考え方
- 分散のための投資は、どこから出すのか
- 枠として切る理由
- 依存先を失ったときに備えて、何を用意しておくのか
- 備えの内容
- 分散を進める途中で起きる問題
- 起きやすい問題
- 分散の計画を立てるまでの手順
- 見る数字を決める
- よくある質問
- まとめ
売上の3割を超えたあたりから、交渉の条件が相手に握られます。
依存そのものより、依存によって判断が自由でなくなることが問題です。
一社依存は、どの水準から事業の問題になるのか
売上の3割を超えたあたりから、交渉の条件が相手に握られます。
依存そのものより、依存によって判断が自由でなくなることが問題です。
特定の取引先に売上が集中している状態は、効率の面では合理的です。
営業の手間が少なく、関係も安定しています。
問題は、その関係が変わったときに事業が続かないことです。
依存の水準と、起きること
売上に占める最大顧客の割合と、起きること
| 割合 | 事業への影響 | 判断への影響 |
|---|---|---|
| 1割以下 | 影響は限定的 | 自由に判断できる |
| 1割から3割 | 失うと痛いが耐えられる | 多少の配慮が入る |
| 3割から5割 | 失うと事業計画が崩れる | 条件を断りにくい |
| 5割以上 | 失うと事業が成り立たない | 相手の方針に従わざるをえない |
| 特定の1社が過半 | 実質的に下請けの構造 | 自社の戦略が持てない |
依存が判断を縛る形
値上げを言い出せない。
条件の悪い案件を断れない。
他社との取引を制限される。
こうした状態が、依存の実質的なコストです。
チャネルへの依存も同じ構造
顧客ではなく、特定の販売経路や媒体に依存している場合も同じです。
その経路の条件が変われば、獲得が止まります。
依存の対象は、顧客だけとは限りません。
依存を数字で確認する
売上の上位5社の構成比を、年度ごとに並べます。上がっているのか下がっているのかで、方向が分かります。この確認をしていない事業が多くあります。
どこまで下げるのを目標にするのか
ゼロにするのではなく、失っても事業が続く水準まで下げます。
現実的には、最大の取引先を2割から3割の範囲に収める形が目安になります。
依存から抜けるといっても、既存の取引を減らすわけではありません。
既存を維持しながら、他が増えることで比率が下がる形が基本です。
分母を増やす
既存の取引先からの売上を減らすと、全体の売上が落ちます。
既存を維持し、他からの売上を増やして比率を下げます。
つまり、依存からの脱却は成長と同じ作業になります。
依存を下げる2つの経路
| 経路 | 中身 | 事業への影響 | 期間 |
|---|---|---|---|
| 他からの売上を増やす | 新規の取引先を開拓 | 売上が増える | 1年から3年 |
| 既存からの売上を減らす | 取引を縮小する | 売上が落ちる | 即時 |
| 既存の取引の質を変える | 条件のよい案件に絞る | 売上は横ばい | 1年程度 |
| 別の商材で他に出る | 新しい市場に出る | 売上が増える | 2年以上 |
目標の水準を決める
最大の取引先を失っても、固定費を賄えるか。
この基準で水準を決めます。
業種や固定費の構造によって、適切な水準は変わります。
期間を決める
依存の解消には時間がかかります。
1年で解消しようとすると、既存を切る以外の方法がなくなります。
3年程度の計画として組みます。
途中の目標を置く
3年の計画には、毎年の途中の目標を置きます。新規の取引先の件数、新規からの売上額、最大顧客の構成比。この3つを年ごとに置きます。
依存先以外の顧客を、どこから取るのか
依存先と同じ条件で買える層からです。
まったく違う層を狙うと、商材も体制も変えることになります。
一社依存の事業では、その1社に合わせて商材と体制が最適化されています。
この資産を使えるところから広げるのが最も速い方法です。
同じ条件で買える層を探す
依存先に近い層の探し方
| 探し方 | 見るところ | 確認すること |
|---|---|---|
| 同業他社 | 依存先と同じ業種 | 競合関係で取引できるか |
| 同じ規模の別業種 | 要求の水準が近い | 用途が合うか |
| 依存先の取引先 | 供給網の上下 | 依存先との関係に影響しないか |
| 依存先の別の部署や拠点 | 同じ会社の中 | 依存の解消にはならない |
| 同じ用途の別の市場 | 使われ方が同じ | 訴求が通じるか |
同業他社への展開の注意
依存先の競合に売ることは、依存先との関係に影響します。
契約で制限されている場合もあります。
契約の内容を確認したうえで進めます。
依存先の別部署は、解消にならない
同じ会社の別の部署に広げても、1社への依存は解消しません。
むしろ関係が深まり、依存が強くなります。
分散として数えないようにします。
営業の対象の作り方
一社依存の事業では、営業が新規の開拓をしていないことが多くあります。対象の一覧を作るところから始める必要があります。この作業に数か月かかることを見込みます。
依存先に、どう説明するのか
分散を目的として伝えるのではなく、事業の成長として伝えます。
依存から抜けたいという説明は、相手に不信感を与えます。
依存先との関係を維持しながら分散を進めるには、伝え方が重要になります。
相手から見れば、自社への依存を減らす動きは離反に見えます。
伝え方の考え方
依存先への説明の組み立て
| 伝える内容 | 伝え方 | 避けるべき表現 |
|---|---|---|
| 事業の拡大 | 新しい市場に出る計画として | 依存を減らすため |
| 体制の強化 | 供給の安定につながる | 他が増えたので余力が減る |
| 商材の展開 | 新しい商材の開発として | 貴社向け以外を作る |
| 取引条件の見直し | コストの構造の変化として | 他に売れるので条件を変える |
| 納期や優先度 | 従来通り維持することを明示 | 他の案件を優先する |
依存先にとっての利点を示す
自社の経営が安定することは、依存先にとっても供給の安定につながります。
この観点で説明すると、理解を得やすくなります。
条件の交渉は、分散が進んでから
依存が高い状態で条件の交渉をすると、不利になります。
分散が一定程度進んでから交渉に入ります。
順番を間違えると、交渉が決裂して事業が傾きます。
関係の窓口を複数にする
依存先との関係が1人の担当者に依存していると、その人の異動で関係が変わります。複数の窓口と接点を持ちます。
分散のための投資は、どこから出すのか
依存先からの利益の一部を、分散のための枠として切ります。
通常の予算の中から出そうとすると、優先順位が上がりません。
新規の開拓は、既存の取引より効率が悪くなります。
同じ物差しで評価すると、着手されません。
枠として切る理由
一社依存の事業では、既存の取引の効率が極めて高い状態です。
新規の開拓の効率は、それと比べると必ず劣ります。
比較の対象にしない枠を作ります。
分散のための投資の位置づけを、項目ごとに見ていきます。
既存取引の維持については、扱い方は通常の予算、評価の物差しは利益率。
新規開拓の枠については、扱い方は依存先からの利益の一部を充当、評価の物差しは新規の取引先の件数。
新商材の開発については、扱い方は別枠として計上、評価の物差しは立ち上げの進捗。
体制の増強については、扱い方は投資として計上、評価の物差しは対応できる取引先の数。
期間については、扱い方は3年程度を見込む、評価の物差しは年ごとの構成比の変化。
金額の決め方
最大の取引先を失った場合の損失と比べます。
分散にかける費用が、その損失より小さければ、投資として成立します。
この比較を経営に示します。
効率の悪さを許容する期間を決める
新規の開拓の効率は、しばらく既存より悪いままです。
どの期間まで許容するかを先に決めます。
決めていないと、半年で止められます。
人の配置を分ける
同じ営業が既存と新規の両方を担当すると、既存が優先されます。新規の開拓を担当する人を分けます。分けられない規模であれば、時間の配分を明示します。
依存先を失ったときに備えて、何を用意しておくのか
固定費を賄える期間と、縮小した場合の事業の形です。
分散が完了する前に関係が終わることがあります。
分散の取り組みには数年かかります。
その途中で依存先との取引が終わる可能性は、常にあります。
備えの内容
依存先を失った場合に備えて決めておくことを、項目ごとに見ていきます。
固定費を賄える期間については、内容は手元資金で何か月持つか、確認の時期は半期ごと。
縮小した場合の事業の形については、内容はどの規模まで縮めれば続くか、確認の時期は年1回。
すぐに削減できる費用については、内容は変動費と削減可能な固定費、確認の時期は半期ごと。
代替の取引先の候補については、内容は接触済みの見込み先、確認の時期は四半期ごと。
契約の解除の条件については、内容は予告の期間と違約の取り決め、確認の時期は契約の更新時。
兆候を早く知る
取引の量の減少、担当者の交代、支払い条件の変更、相見積の増加。
こうした兆候を記録します。
兆候が出てから分散を始めると、間に合いません。
契約の条件を確認する
取引の終了に際して、予告の期間がどう定められているか。
確認していない場合、ある日突然終わることがあります。
契約の更新の時期に、条件を確認します。
縮小した形を事前に描いておく
依存先を失った場合、どの規模まで縮めれば事業が続くか。これを先に描いておくと、実際に起きたときの判断が速くなります。
分散を進める途中で起きる問題
新規の取引先の条件が、依存先より悪いことです。
比べて断り続けると、分散が進みません。
一社依存の事業では、依存先との取引が長年の関係の中で最適化されています。
新規の取引先は、その水準には達しません。
起きやすい問題
分散の途中で起きる問題と対応を、項目ごとに見ていきます。
新規の条件が既存より悪いについては、起きる理由は関係が浅く実績がない、対応は一定の条件までは受ける基準を決める。
新規の対応に手間がかかるについては、起きる理由は標準化されていない、対応は手順を作りながら進める。
既存の担当者が新規に消極的については、起きる理由は既存のほうが楽、対応は担当を分ける。
新規の案件で品質が落ちるについては、起きる理由は慣れていない、対応は初期の案件は体制を厚くする。
依存先の仕事が疎かになるについては、起きる理由は人が分散する、対応は既存の維持の最低限を決める。
受ける基準を決める
新規の取引をどの条件まで受けるかを決めます。
決めていないと、現場が既存と比べて断ります。
分散の初期は、条件を緩めることが必要になります。
既存の維持を疎かにしない
分散に人を割いた結果、依存先の仕事の品質が落ちることがあります。
これは最も避けるべき事態です。
既存の維持に必要な最低限の体制を、先に確保します。
件数を目標にする
新規からの売上額を目標にすると、大型の案件を待つことになります。まず取引先の件数を目標にし、額は後から追います。
分散の計画を立てるまでの手順
構成比を数え、失った場合の影響を計算し、目標の水準と期間を決めます。
この3つが揃う前に営業を動かしても、方向が定まりません。
一社依存からの脱却は、営業活動の前に、事業としての計画が要ります。
分散の計画を作る作業を、項目ごとに見ていきます。
1については、やることは過去3年の取引先別の売上構成比を並べる、期間の目安は2週間、担当は経理とマーケ。
2については、やることは最大の取引先を失った場合の影響を計算する、期間の目安は2週間、担当は経理。
3については、やることは目標の水準と3年の期間を決める、期間の目安は2週間、担当は決裁者。
4については、やることは依存先に近い条件で買える層を洗い出す、期間の目安は1か月、担当はマーケと営業。
5については、やることは分散のための投資の枠を確保する、期間の目安は1か月、担当は決裁者。
6については、やることは新規を担当する人と評価の指標を決める、期間の目安は2週間、担当は事業責任者。
7については、やることは新規の取引を受ける条件の基準を決める、期間の目安は2週間、担当は事業責任者。
見る数字を決める
数字は説明のための仮の値です。
たとえば年商8億円のうち最大顧客が4.2億円で、構成比が52.5%だとします。
3年で3割まで下げるには、他からの売上を現在の3.8億円から約8億円に増やす必要があります。
この計算をすると、目標の現実性が判断できます。
分散の進捗を確認する項目を、項目ごとに見ていきます。
最大の取引先の売上構成比については、確認の頻度は四半期、見るところは目標に向かっているか。
上位5社の合計構成比については、確認の頻度は四半期、見るところは分散が進んでいるか。
新規の取引先の件数については、確認の頻度は月次、見るところは開拓が動いているか。
新規からの売上額については、確認の頻度は四半期、見るところは規模として育っているか。
新規の案件の粗利率については、確認の頻度は四半期、見るところは条件を緩めすぎていないか。
依存先との取引量の推移については、確認の頻度は月次、見るところは関係が変化していないか。
手元資金で賄える期間については、確認の頻度は半期、見るところは備えができているか。
経営に示す内容
現在の構成比、失った場合の影響額、目標の水準、必要な投資、期間。
この5つを1枚にまとめます。
失った場合の影響額を示すことが、投資の承認につながります。
計画は3年で組み、毎年見直す
3年の計画を立て、年に一度、進捗と前提を見直します。
市場や依存先の状況が変われば、計画も変わります。
特定の取引先への依存をどこまで下げるべきか判断がつかない場合は、無料相談で取引の構成を整理するところから始められます。新しい取引先の開拓ごと組み立てる段階ならWeb集客改善サービスもあります。
よくある質問
一社依存は、どの水準から問題になりますか
売上の3割を超えたあたりから、条件の交渉が相手に握られます。5割を超えると、失った場合に事業が成り立たなくなります。まず過去3年の取引先別の構成比を並べ、方向を確認してください。
依存を下げるには、既存の取引を減らすのですか
既存を維持しながら、他からの売上を増やして比率を下げる形が基本です。既存を減らすと全体の売上が落ちます。つまり、依存からの脱却は成長と同じ作業になり、3年程度の計画として組むことになります。
新しい取引先は、どこから探せばいいですか
依存先と同じ条件で買える層からです。同業他社、同じ規模の別業種、同じ用途の別市場が候補になります。依存先の別の部署に広げても依存の解消にはならないため、分散としては数えないでください。
依存先に分散の方針を伝えるべきですか
依存から抜けたいという説明は不信感を与えます。事業の拡大や体制の強化として伝えてください。条件の交渉は分散が一定程度進んでから行わないと、不利な立場で交渉することになります。
新規の取引先の条件が、既存より悪くて受けられません
どの条件まで受けるかの基準を事業として決めてください。基準がないと、現場が既存と比べて断り続け、分散が進みません。分散の初期は条件を緩めることが必要になります。
まとめ
- 売上の3割を超えたあたりから、交渉の条件が相手に握られます。依存そのものより、依存によって判断が自由でなくなることが問題です
- ゼロにするのではなく、失っても事業が続く水準まで下げます。現実的には、最大の取引先を2割から3割の範囲に収める形が目安になります
- 依存先と同じ条件で買える層からです。まったく違う層を狙うと、商材も体制も変えることになります
- 分散を目的として伝えるのではなく、事業の成長として伝えます。依存から抜けたいという説明は、相手に不信感を与えます
- 依存先からの利益の一部を、分散のための枠として切ります。通常の予算の中から出そうとすると、優先順位が上がりません
- 固定費を賄える期間と、縮小した場合の事業の形です。分散が完了する前に関係が終わることがあります
- 新規の取引先の条件が、依存先より悪いことです。比べて断り続けると、分散が進みません
- 構成比を数え、失った場合の影響を計算し、目標の水準と期間を決めます。この3つが揃う前に営業を動かしても、方向が定まりません