
新規獲得はマーケ、既存の維持は営業かサポート、その間にある追加提案は空白になりがちです。
担当が決まっていないから、提案の件数が積み上がりません。
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目次
目次
- 既存顧客への単価向上が、誰の仕事にもなっていない
- 空白が生まれる仕組み
- 提案する材料は、どこから出てくるのか
- 2種類の材料
- 誰が提案するのが適しているのか
- 種類ごとの担当
- 案内の頻度は、どこまで上げてよいのか
- 頻度と反応の関係
- 既存顧客に広告を当てるべきかどうか
- 除外する場合
- 提案が断られたときに、何を残すのか
- 記録する内容
- 単価向上の取り組みが逆効果になる場合
- 逆効果になる進め方
- 単価を上げる仕組みを据えるまで
- 見る数字を決める
- よくある質問
- まとめ
新規獲得はマーケ、既存の維持は営業かサポート、その間にある追加提案は空白になりがちです。
担当が決まっていないから、提案の件数が積み上がりません。
既存顧客への単価向上が、誰の仕事にもなっていない
新規獲得はマーケ、既存の維持は営業かサポート、その間にある追加提案は空白になりがちです。
担当が決まっていないから、提案の件数が積み上がりません。
既存顧客の単価を上げる取り組みは、多くの組織で誰の目標にもなっていません。
新規の獲得件数と、既存の解約率には目標があります。
その間の追加提案には、目標も担当もないことがあります。
空白が生まれる仕組み
マーケティング部門の指標は新規のリード数です。
営業の指標は新規の受注です。
サポートの指標は解約率と対応の品質です。
既存への追加提案は、どの指標にも直接つながりません。
既存顧客への提案が止まる場所
| 止まる理由 | 起きていること | 対応の方向 |
|---|---|---|
| 担当が決まっていない | 誰も提案しない | 担当と目標を決める |
| 提案する機会がない | 接触が問い合わせ対応のみ | 定期的な接点を作る |
| 提案する材料がない | 何を提案すべきか分からない | 利用状況から候補を出す |
| 営業の関心が新規にある | 新規のほうが評価される | 評価の指標を変える |
| 嫌われるのを恐れる | 売り込みと思われたくない | 提案の形式を変える |
新規より効率が高いことが多い
既存顧客は、自社を知っていて、取引の実績があります。
説明のコストが低く、決裁の経路も分かっています。
同じ受注額を得るための費用は、新規より小さくなることが一般的です。
それでも新規が優先される理由
新規は目に見えて増えます。既存の単価向上は、既存の売上に混ざって見えにくくなります。分けて集計する仕組みがないと、成果として認識されません。
提案する材料は、どこから出てくるのか
利用状況と、取引していない領域の一覧からです。
思いつきで提案すると、断られて次の提案がしにくくなります。
既存顧客への提案で最も重要なのは、提案の中身ではなく、提案のきっかけです。
何を根拠に提案するかが決まっていないと、営業は動きません。
2種類の材料
いま使っているものの状況から出るもの。
まだ取引していない領域から出るもの。
この2つに分けて整理します。
提案の材料の出どころ
| 出どころ | 材料の内容 | 提案の形 |
|---|---|---|
| 利用量の増加 | 契約の範囲を超えつつある | 上位の契約への変更 |
| 利用の偏り | 使っていない機能や領域がある | 活用の提案か、別商材 |
| 取引のない部署や拠点 | 同じ会社の別の場所 | 横展開の提案 |
| 契約や設備の更新時期 | 更新の時期が近い | 更新に合わせた見直し |
| 顧客の事業の変化 | 事業の拡大や方針の変更 | 新しい課題への提案 |
取引していない領域を可視化する
顧客ごとに、自社の商材のうち何を買っていて何を買っていないかを一覧にします。
この一覧が、提案の候補になります。
一覧を作るだけで、提案の件数が増えることがあります。
利用状況を記録する仕組み
利用の状況が記録されていない事業では、材料が作れません。
何をどれだけ使っているかを、定期的に記録する仕組みを作ります。
サポートへの問い合わせ内容も、材料になります。
顧客の事業の変化を捕まえる
顧客が新しい事業を始めた、拠点を増やした、組織を変えた。こうした変化は、提案の機会になります。公開情報を定期的に見る担当を決めておきます。
誰が提案するのが適しているのか
提案の種類によって違います。
契約の変更は営業、活用の提案はサポート、新しい商材の案内はマーケティングが向きます。
既存顧客への提案をすべて営業に任せると、営業の時間が足りません。
提案の種類によって、担当を分けます。
種類ごとの担当
提案の種類と、適した担当
| 提案の種類 | 適した担当 | 理由 |
|---|---|---|
| 上位の契約への変更 | 営業 | 価格の交渉が発生する |
| 使っていない領域の活用 | サポート | 利用状況を把握している |
| 別の商材の案内 | マーケティング | 一斉の案内で足りる |
| 別の拠点や部署への展開 | 営業 | 新しい関係を作る必要がある |
| 更新時期に合わせた見直し | 営業 | 契約の手続きが伴う |
一斉の案内で足りるもの
すべての提案を個別に行う必要はありません。
新しい商材の案内や、事例の共有は、一斉の案内で足ります。
反応があった顧客に営業が接触する形にすると、営業の時間が有効に使えます。
サポートが提案に関わることの難しさ
サポートに提案をさせると、顧客からの信頼が変わることがあります。
困ったときに相談する相手が、売り込みをしてくる相手になるからです。
サポートが行うのは活用の提案までとし、価格の話は営業に渡す線引きにします。
担当ごとに目標を置く
誰が何件提案するかを、目標として置きます。受注額ではなく提案件数を目標にすると、動き始めます。受注額は結果として後からついてきます。
案内の頻度は、どこまで上げてよいのか
顧客の業務の周期に合わせます。
頻度を上げるほど反応率が下がり、一定を超えると関係そのものが消耗します。
既存顧客への案内は、費用が小さいため頻度を上げたくなります。
ただし、既存顧客の関心は有限です。
頻度と反応の関係
案内の頻度を上げると、1回あたりの反応率は下がります。
総数としては増えることもありますが、ある点を超えると総数も減ります。
さらに超えると、配信の停止や関係の悪化が起きます。
案内の種類と、適した頻度
| 案内の種類 | 頻度の目安 | 判断の基準 |
|---|---|---|
| 個別の提案 | 四半期に1回程度 | 顧客の状況が変わる周期 |
| 一斉の商材案内 | 月に1回以下 | 関心を持たれる情報量 |
| 業界や事例の情報 | 月に1回から2回 | 読む価値があるか |
| 更新や契約の連絡 | 時期に応じて | 必要な時期のみ |
| サポートからの活用の提案 | 随時 | 利用状況に応じて |
反応率を追いかける
案内ごとの反応率を記録します。
下がり続けているなら、頻度か内容に問題があります。
配信の停止の件数も、同じように見ます。
顧客の業務の周期に合わせる
予算の編成時期、期末、繁忙期。
顧客の業務の周期に合わせて案内の時期を決めます。
繁忙期に提案しても、検討されません。
同じ顧客への重複を避ける
営業、サポート、マーケティングがそれぞれ案内を出すと、同じ顧客に短期間で複数の連絡が届きます。誰がいつ接触したかを共有する仕組みを作ります。
既存顧客に広告を当てるべきかどうか
配信の除外をするか、専用の訴求を当てるかを、商材ごとに決めます。
何も設定していない状態が、最も無駄が出ます。
既存顧客は、広告の配信対象として2つの扱いがありえます。
除外するか、別の訴求で当てるかです。
除外する場合
すでに取引している顧客に、新規向けの広告が当たっても意味がありません。
費用が無駄になるだけでなく、既存顧客に新規向けの条件が見えることで不満につながることもあります。
既存顧客への広告の扱いを、項目ごとに見ていきます。
一度買えば当面不要については、扱いは除外する、理由は当てても購入しない。
繰り返し購入するについては、扱いは専用の訴求を当てる、理由は再購入の促進になる。
複数の商材があるについては、扱いは未購入の商材を訴求、理由は横展開の機会。
拠点や部署が多いについては、扱いは除外しない、理由は別の部署に届く可能性。
契約の更新があるについては、扱いは更新時期に合わせて当てる、理由は更新の意思決定に関わる。
専用の訴求を当てる場合
既存顧客向けの訴求は、新規向けとは内容が違います。
自社を知っている前提で、別の商材や追加の提案を伝えます。
新規向けと同じ訴求を当てても、反応しません。
除外の設定にはデータの整備が要る
既存顧客のリストを広告の配信に使うには、データが整っている必要があります。
また、広告データの共有については同意の設定が関わります。
GA4では2026年6月15日より、広告データ共有の可否が同意モードのad_storageのみで決まる形になっています。
設定の状態を確認したうえで運用します。
扱いを決めずに放置しない
除外も専用の訴求も設定していない状態が、最も多く見られます。商材ごとにどちらにするかを決め、記録として残します。
提案が断られたときに、何を残すのか
断られた理由と、次に提案できる時期です。
記録がないと、同じ提案を繰り返すか、二度と提案しないかのどちらかになります。
既存顧客への提案は、断られることが前提です。
断られた後の扱いが、次の機会を作ります。
記録する内容
提案が断られたときに残す内容を、項目ごとに見ていきます。
断られた理由については、内容は予算、時期、必要性、他社、次への使い方は再提案の可否。
次に検討しうる時期については、内容は予算の時期や契約の更新、次への使い方は再提案の時期。
検討に関わった人については、内容は誰が判断したか、次への使い方は次の提案先。
条件が変われば可能性があるかについては、内容は価格や内容の条件、次への使い方は提案の形の修正。
再提案してよいかについては、内容は顧客の意向、次への使い方は接触の可否。
理由によって次が変わる
予算がないという理由なら、予算の時期に再提案できます。
必要性を感じないという理由なら、課題の認識から作り直す必要があります。
他社に決めたなら、その契約の更新時期が次の機会です。
断られた回数を管理する
同じ顧客に断られ続けると、関係が悪くなります。
断られた回数を記録し、一定回数を超えたら接触の方法を変えます。
記録の置き場所を1つにする
営業が持つ記録と、サポートが持つ記録が別々だと、活用されません。顧客ごとに1つの場所に集めます。
単価向上の取り組みが逆効果になる場合
必要のない提案を重ねたときです。
提案のたびに売り込みと受け取られると、解約の理由になります。
既存顧客への単価向上は、関係を使う取り組みです。
使いすぎると、関係そのものが減ります。
逆効果になる進め方
単価向上でやってはいけない進め方を、項目ごとに見ていきます。
利用状況を見ずに提案するについては、そのときの動機は件数を増やしたい、起きることは必要のない提案で信頼が減る。
断られた直後に再提案するについては、そのときの動機は粘りたい、起きることは関係が悪化する。
サポートの窓口で売り込むについては、そのときの動機は接点があるから、起きることは相談されなくなる。
値上げと同時に提案するについては、そのときの動機はまとめて話したい、起きることはどちらも受け入れられない。
解約の相談中に提案するについては、そのときの動機は引き止めたい、起きることは不誠実と受け取られる。
解約率と一緒に見る
単価向上の取り組みを始めたら、解約率も並べて見ます。
単価が上がっても解約が増えていれば、取り組みが関係を消耗させています。
提案しない顧客を決める
すべての顧客に提案する必要はありません。
関係が良好でない顧客、直近で問題が起きた顧客には、提案を控えます。
提案の対象から外す条件を決めておきます。
顧客にとっての利点を先に書く
提案の資料が自社の商材の説明から始まると、売り込みに見えます。顧客のいまの状況と、そこで起きている課題から書き始めます。
単価を上げる仕組みを据えるまで
未取引の領域の一覧を作り、担当を決め、提案件数を目標に置きます。
受注額を先に目標にすると、動き出しません。
既存顧客への単価向上は、仕組みを作る取り組みです。
個別の商談の話ではありません。
単価向上の取り組みを始める段取りを、項目ごとに見ていきます。
1については、やることは顧客ごとに取引のある商材とない商材を一覧にする、期間の目安は3週間、担当は営業とマーケ。
2については、やることは利用状況を記録する仕組みを整える、期間の目安は1か月、担当はサポート。
3については、やることは提案の種類ごとに担当を決める、期間の目安は2週間、担当は事業責任者。
4については、やることは提案件数を担当ごとの目標に置く、期間の目安は1週間、担当は決裁者。
5については、やることは断られた理由を記録する形式を決める、期間の目安は1週間、担当はマーケ。
6については、やることは既存顧客への広告の扱いを商材ごとに決める、期間の目安は2週間、担当はマーケ。
7については、やることは一斉案内の頻度を決めて運用を始める、期間の目安は2週間、担当はマーケ。
見る数字を決める
数字は説明のための仮の値です。
たとえば既存顧客が150社、平均して自社の商材のうち1.4種類を買っているとします。
商材が5種類あるなら、取引していない組み合わせが多く残っています。
この空白の数が、当面の提案の母数になります。
単価向上の進み具合を見る項目を、項目ごとに見ていきます。
提案した件数については、見る頻度は月次、使い方は取り組みが動いているか。
提案からの受注件数については、見る頻度は月次、使い方は提案の質が合っているか。
既存顧客1社あたりの取引額については、見る頻度は四半期、使い方は単価が上がっているか。
取引している商材の平均数については、見る頻度は四半期、使い方は横展開が進んでいるか。
解約率については、見る頻度は月次、使い方は関係を消耗していないか。
一斉案内の反応率と配信停止数については、見る頻度は月次、使い方は頻度が適切か。
断られた理由の内訳については、見る頻度は四半期、使い方は提案の直しどころ。
提案件数を先に目標にする
受注額を目標にすると、確実に決まる提案しかしなくなります。
まず提案の件数を増やし、受注率は後から改善します。
四半期ごとに一覧を更新する
取引のある商材の一覧は、四半期ごとに更新します。
更新されていない一覧は、使われなくなります。
既存顧客のどこに提案の余地があるか分からない場合は、無料相談で取引の構成を整理するところから始められます。既存への接点ごと組み直す段階ならWeb集客改善サービスもあります。
よくある質問
既存顧客への追加提案が進みません
担当が決まっていないことが原因であることが多いです。提案の種類ごとに担当を分け、受注額ではなく提案件数を目標に置いてください。上位契約への変更は営業、活用の提案はサポート、商材の案内はマーケティングが向きます。
何を提案すればいいか分かりません
顧客ごとに取引のある商材とない商材の一覧を作ってください。この空白が提案の候補になります。あわせて利用量の増加、使っていない領域、契約の更新時期、顧客の事業の変化を材料にします。
既存顧客への案内は、どれくらいの頻度が適切ですか
顧客の業務の周期に合わせてください。個別の提案は四半期に1回程度、一斉の商材案内は月に1回以下が目安です。反応率と配信停止の件数を記録し、下がり続けているなら頻度か内容に問題があります。
既存顧客に広告が当たっているのは無駄ですか
商材によります。一度買えば当面不要なものは除外し、繰り返し購入するものや未購入の商材があるものは専用の訴求を当ててください。何も設定していない状態が最も無駄が出ます。
提案を増やすと嫌われないか心配です
利用状況を見ずに提案を重ねると、売り込みと受け取られて解約の理由になります。単価向上の取り組みを始めたら解約率を並べて見てください。関係が良好でない顧客は提案の対象から外す条件を決めておいてください。
まとめ
- 新規獲得はマーケ、既存の維持は営業かサポート、その間にある追加提案は空白になりがちです。担当が決まっていないから、提案の件数が積み上がりません
- 利用状況と、取引していない領域の一覧からです。思いつきで提案すると、断られて次の提案がしにくくなります
- 提案の種類によって違います。契約の変更は営業、活用の提案はサポート、新しい商材の案内はマーケティングが向きます
- 顧客の業務の周期に合わせます。頻度を上げるほど反応率が下がり、一定を超えると関係そのものが消耗します
- 配信の除外をするか、専用の訴求を当てるかを、商材ごとに決めます。何も設定していない状態が、最も無駄が出ます
- 断られた理由と、次に提案できる時期です。記録がないと、同じ提案を繰り返すか、二度と提案しないかのどちらかになります
- 必要のない提案を重ねたときです。提案のたびに売り込みと受け取られると、解約の理由になります
- 未取引の領域の一覧を作り、担当を決め、提案件数を目標に置きます。受注額を先に目標にすると、動き出しません