
対象が数百から数千しかないため、効率の指標が機能しません。
CPAを下げる発想ではなく、対象に何回届いたかで管理します。
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目次
目次
- 母数が小さい市場では、何が普通と違うのか
- 件数が少ないと、率が揺れる
- 指標は、何に置き換えるのか
- 置き換えの内容
- 対象のリストは、どう作るのか
- 一覧の作り方
- 配信は、どう設計するのか
- 届け方の選択肢
- 対象に届ききった後は、何をするのか
- 届ききった後の3つの課題
- ニッチ市場で費用をかけすぎていないかを、どう確かめるのか
- 対象1社あたりで考える
- ニッチ市場でやってしまいがちな判断
- 起きやすい判断の誤り
- ニッチ市場の設計に入る順序
- 見る数字を決める
- よくある質問
- まとめ
対象が数百から数千しかないため、効率の指標が機能しません。
CPAを下げる発想ではなく、対象に何回届いたかで管理します。
母数が小さい市場では、何が普通と違うのか
対象が数百から数千しかないため、効率の指標が機能しません。
CPAを下げる発想ではなく、対象に何回届いたかで管理します。
ニッチ市場の事業では、獲得の考え方を作り直す必要があります。
広い市場で使われる指標が、そのままでは使えないからです。
件数が少ないと、率が揺れる
月の問い合わせが5件の事業で、CVRの変動を議論しても意味がありません。
1件増えるだけで20%動きます。
率で判断すると、偶然の変動に反応して施策を変え続けることになります。
対象が有限であることの意味
広い市場とニッチ市場の違い
| 観点 | 広い市場 | ニッチ市場 |
|---|---|---|
| 対象の数 | 事実上無限 | 数百から数千 |
| CPAの扱い | 下げれば件数が増える | 下げても対象が増えない |
| 配信の広げ方 | 広げれば届く | 広げても対象外に当たる |
| 指標の安定 | 件数が多く安定 | 少なく揺れる |
| 関係の重み | 1件の重みが小さい | 1件を失う影響が大きい |
効率を追うと、機会を失う
対象が有限なので、CPAを下げるために配信を絞ると、届かない対象が残ります。
その対象は、他社に取られます。
ニッチ市場では、効率よりも到達を優先する局面があります。
対象の数を最初に推定する
事業の設計の前に、対象が何社あるのか、何人いるのかを推定します。業種と規模と地域で絞り、公開されている統計から概数を出します。この数が、事業の上限になります。
指標は、何に置き換えるのか
CPAとCVRではなく、到達率と接触回数と認知の状態に置き換えます。
対象が有限なら、そのうち何割に何回届いたかが進捗になります。
ニッチ市場での指標は、効率ではなく網羅で組みます。
誰に届いていないかが、次の打ち手を決めます。
置き換えの内容
ニッチ市場での指標の置き換え
| 広い市場での指標 | ニッチ市場での置き換え | 測り方 |
|---|---|---|
| CPA | 対象1社あたりの年間接触コスト | 年間費用を対象数で割る |
| CVR | 対象のうち接触できた割合 | 接触した社数を対象数で割る |
| 獲得件数 | 商談に至った対象の累計 | 累計で数える |
| インプレッション | 対象1社あたりの接触回数 | 配信データと対象リストの照合 |
| リード単価 | 対象1社を認知させるコスト | 認知調査か指名検索で代用 |
累計で見る
月次の件数で見ると、少なすぎて判断できません。
累計の到達数と、残りの未接触数で見ます。
未接触が減っていれば、進んでいます。
接触回数を管理する
対象が少ないので、同じ相手に何度も届けることになります。
何回接触したかを記録します。
回数が不足している対象を次の配信で優先します。
認知の状態を代替指標で見る
大がかりな認知調査ができない規模の事業もあります。その場合は、指名検索の件数と、商談時に自社を知っていた割合で代用します。商談の冒頭で、どこで知ったかを毎回記録します。
対象のリストは、どう作るのか
広告の配信条件ではなく、実在する対象の一覧として作ります。
一覧があると、届いた対象と届いていない対象が分かります。
広い市場では、対象は条件で表現されます。
ニッチ市場では、対象を名前で数えられます。
この違いが、打ち手の精度を変えます。
一覧の作り方
対象リストの作り方
| 情報源 | 得られるもの | 注意点 |
|---|---|---|
| 業界団体の会員名簿 | 網羅性が高い | 公開範囲を確認する |
| 展示会の出展者一覧 | 活動している事業者 | 出展していない対象が漏れる |
| 公的な統計と事業所情報 | 規模の分布 | 個別の事業者名は限られる |
| 自社の商談履歴 | 過去に接触した対象 | 接触していない対象が漏れる |
| 業界誌と専門メディア | 動きのある事業者 | 偏りがある |
個人情報の扱いを確認する
対象リストを作る際、個人に関する情報を扱う場合があります。
取得の方法と利用の範囲について、掲載時点の最新の公式ガイドラインで確認してください。
自治体や業界で運用が異なる場合は、窓口で確認してください。
一覧に接触の履歴を持たせる
いつ、どの経路で、何回接触したか。
商談に至ったか、失注したか、いつ再度接触するか。
この履歴が、対象リストの価値を作ります。
営業のリストと統合する
マーケティングの対象リストと、営業が持っているリストが別々だと、二重に接触します。1つのリストにまとめ、どちらの部門が接触したかを記録します。
配信は、どう設計するのか
広げるのではなく、対象に確実に届く形に絞ります。
広げると、対象外への配信費用が増えるだけです。
ニッチ市場の配信では、機械に任せて広げる設計が合いません。
対象が有限で、その外側に当てても価値がないからです。
届け方の選択肢
ニッチ市場での接点の作り方
| 手段 | 向いている場面 | 限界 |
|---|---|---|
| 指名と近接キーワードの検索 | 需要が顕在化している | 検索する人しか届かない |
| 対象リストを使った配信 | 対象が特定できている | リストの規模が要件を満たすか |
| 業界の専門メディア | 業界内での認知 | 掲載枠が限られる |
| 展示会と業界イベント | 直接の接触 | 年に数回しかない |
| 既存顧客からの紹介 | 信頼が前提 | 件数が読めない |
| 営業からの直接の接触 | 確実に届く | 工数がかかる |
リストを使った配信の制約
広告媒体で対象リストを使う場合、一定の件数がないと配信できないことがあります。
OpenAIがChatGPT広告で公表している条件では、カスタムオーディエンスに25,000件以上のマッチが必要とされています。
ニッチ市場の対象数では、この要件を満たせないことがあります。
どの媒体でどれだけの件数が必要かを、設計の前に確認します。
検索だけに頼らない
検索する人しか届かない手段に頼ると、検索していない対象に永久に届きません。
ニッチ市場では、対象の多くが常時検索しているわけではありません。
検索以外の接点を必ず組み合わせます。
営業の直接接触を手段として数える
対象が数百であれば、営業が全件に接触することが現実的な選択になります。広告と営業を別の話として扱わず、同じ到達の計画に入れます。
対象に届ききった後は、何をするのか
接触の回数と時期の設計に切り替えます。
対象が増えないので、次は同じ対象への頻度と、需要が出る時期の捕捉が課題になります。
ニッチ市場の事業は、いずれ対象に届ききります。
そこからが、本来の設計の始まりです。
届ききった後の3つの課題
いつ需要が出るかを捕まえること。
出たときに最初に思い出されること。
既存の対象との取引を深めること。
到達後の打ち手を、項目ごとに見ていきます。
需要の発生を捕まえるについては、打ち手は更新時期や設備の周期を記録する、測る数字は接触から商談までの期間。
最初に思い出されるについては、打ち手は定期的な情報の提供を続ける、測る数字は指名検索と直接の問い合わせ。
取引を深めるについては、打ち手は既存対象への追加提案、測る数字は1対象あたりの取引額。
対象を広げるについては、打ち手は隣接する業種や地域に出る、測る数字は新しい対象数の増加。
紹介を増やすについては、打ち手は既存顧客からの紹介の仕組み、測る数字は紹介経由の件数。
需要の周期を記録する
ニッチ市場では、需要が出る時期に規則性があることが多くあります。
設備の更新周期、契約の更新月、予算の編成時期。
対象ごとにこの時期を記録すると、接触の計画が立ちます。
情報提供を続ける意味
需要が出たときに思い出されるには、継続的な接触が要ります。
売り込みではなく、業界の情報として届ける形が続きます。
頻度は、対象の業務の周期に合わせます。
対象を広げる判断
対象に届ききり、取引も深めた後は、対象そのものを広げるしかありません。隣接する業種か、隣接する地域か、隣接する商材かを選びます。この判断は事業の判断になります。
ニッチ市場で費用をかけすぎていないかを、どう確かめるのか
対象1社あたりの年間の接触コストを、想定される取引額と比べます。
CPAではこの判断ができません。
ニッチ市場の広告費は、対象の数で割って考えます。
そうすると、かけている費用が妥当かが判断できます。
対象1社あたりで考える
対象1社あたりの計算の組み立てを、項目ごとに見ていきます。
対象1社あたりの年間接触コストについては、計算は年間の獲得費用を対象数で割る、使い方は費用の妥当性。
1対象あたりの想定取引額については、計算は平均取引額と取引期間の見込み、使い方は上限の目安。
何年で回収するかについては、計算は接触コストの累計と取引額の比較、使い方は投資期間の判断。
未取引対象の残数については、計算は対象数から取引実績のある数を引く、使い方は伸びしろ。
1社あたりの商談化までの期間については、計算は初回接触から商談までの平均、使い方は計画の期間。
回収の期間を長く取る
ニッチ市場では、1社との取引が長期にわたることが多くあります。
初年度の採算で判断すると、投資の水準を誤ります。
取引の継続期間を見込んだ回収期間で判断します。
対象数を超える費用はかけない
対象が500社で、1社あたりの年間取引額が100万円なら、市場の上限は年5億円です。
この規模に対して過大な費用をかけても、回収できません。
市場の上限を先に出しておくと、費用の判断ができます。
数字は仮の値として扱う
数字は説明のための仮の値です。実際の対象数と取引額を入れて、自社の上限を計算します。
ニッチ市場でやってしまいがちな判断
広い市場と同じ指標で評価することと、対象を広げて規模を作ろうとすることです。
どちらも、ニッチであることの利点を失わせます。
ニッチ市場の事業は、社内で規模の小ささを問われます。
その圧力から、市場に合わない打ち手を選ぶことがあります。
起きやすい判断の誤り
ニッチ市場での判断の誤りを、項目ごとに見ていきます。
CPAの目標を広い市場と揃えるについては、そのときの動機は比較しやすい、起きることは対象への到達が止まる。
配信を広げて件数を作るについては、そのときの動機は数字を伸ばしたい、起きることは対象外への費用が増える。
月次のCVRで施策を変えるについては、そのときの動機は改善したい、起きることは偶然の変動に振り回される。
対象を安易に広げるについては、そのときの動機は規模を作りたい、起きることは強みが効かない市場に出る。
値下げで件数を増やすについては、そのときの動機は成長を示したい、起きることは市場全体の単価が下がる。
対象を広げる判断の条件
対象を広げること自体は選択肢です。
ただし、いまの対象に届ききっているかを先に確かめます。
届ききっていない状態で広げると、どちらも中途半端になります。
社内への説明の組み立て
ニッチ市場の事業は、件数では評価されません。
到達率、取引実績のある対象の割合、1対象あたりの取引額。
この3つで進捗を説明する形を作ります。
評価の頻度を落とす
指標が揺れるため、月次で評価すると判断を誤ります。四半期か半期での評価に切り替えます。
ニッチ市場の設計に入る順序
対象の数を推定し、リストを作り、到達の計画を引きます。
この3つがない状態で配信を設計しても、届いたかどうかが分かりません。
ニッチ市場での取り組みは、配信の設計よりリストの整備が先になります。
設計に入るまでの作業を、項目ごとに見ていきます。
1については、やることは業種と規模と地域で対象を定義する、期間の目安は1週間、担当は事業責任者。
2については、やることは公開情報から対象の概数を推定する、期間の目安は2週間、担当はマーケ。
3については、やることは実在の対象リストを作り営業と統合する、期間の目安は1か月、担当はマーケと営業。
4については、やることは接触の履歴を記録する仕組みを整える、期間の目安は2週間、担当はマーケ。
5については、やることは到達の目標と接触回数の計画を引く、期間の目安は2週間、担当はマーケ。
6については、やることは検索以外の接点を1つ加える、期間の目安は1か月、担当はマーケ。
見る数字を決める
数字は説明のための仮の値です。
たとえば対象が800社、取引実績があるのが120社、過去1年に1回以上接触できたのが350社だとします。
未接触が450社あるので、当面の課題は効率ではなく到達になります。
ニッチ市場で追いかける項目を、項目ごとに見ていきます。
到達した対象の累計と割合については、見る頻度は四半期、使い方は網羅の進捗。
未接触の対象数については、見る頻度は四半期、使い方は残りの伸びしろ。
対象1社あたりの接触回数については、見る頻度は四半期、使い方は頻度が足りているか。
取引実績のある対象の割合については、見る頻度は半期、使い方は市場内での位置。
対象1社あたりの年間接触コストについては、見る頻度は半期、使い方は費用の妥当性。
商談時に自社を知っていた割合については、見る頻度は四半期、使い方は認知の状態。
リストの更新を運用に入れる
対象リストは放置すると古くなります。
四半期に一度、廃業や統合、新規参入を反映します。
社内の評価の物差しを先に変える
リストと計画ができても、評価が件数のままだと運用が続きません。
到達率を主指標として使うことを、期初に合意します。
対象がどれだけあり、どこまで届いているか分からない場合は、無料相談で現状を整理するところから始められます。接点の組み立てごと見直す段階ならWeb集客改善サービスもあります。
よくある質問
対象が少ない市場では、CPAをどう扱えばいいですか
対象が有限なので、CPAを下げても対象そのものは増えません。年間の獲得費用を対象数で割った、対象1社あたりの年間接触コストに置き換えてください。判断は想定される取引額と比べて行います。
月次のCVRが大きく振れて判断できません
件数が少ない市場では、1件の増減で率が大きく動きます。月次の率で施策を変えると偶然の変動に振り回されます。評価は四半期か半期にし、累計の到達数と未接触数で進捗を見てください。
対象のリストは、どう作ればいいですか
業界団体の名簿、展示会の出展者一覧、公的な事業所情報、自社の商談履歴を組み合わせます。個人に関する情報を扱う場合は、取得と利用の範囲について掲載時点の最新の公式ガイドラインで確認してください。
対象に届ききった後は、何をすればいいですか
接触の回数と時期の設計に切り替えます。設備の更新周期や契約の更新月を対象ごとに記録し、需要が出る時期に接触できる形を作ってください。あわせて既存の対象との取引を深めます。
規模が小さいことを社内で指摘されます
件数ではなく、到達率、取引実績のある対象の割合、1対象あたりの取引額の3つで説明してください。対象数と想定取引額から市場の上限も出しておくと、費用の妥当性の議論ができます。
まとめ
- 対象が数百から数千しかないため、効率の指標が機能しません。CPAを下げる発想ではなく、対象に何回届いたかで管理します
- CPAとCVRではなく、到達率と接触回数と認知の状態に置き換えます。対象が有限なら、そのうち何割に何回届いたかが進捗になります
- 広告の配信条件ではなく、実在する対象の一覧として作ります。一覧があると、届いた対象と届いていない対象が分かります
- 広げるのではなく、対象に確実に届く形に絞ります。広げると、対象外への配信費用が増えるだけです
- 接触の回数と時期の設計に切り替えます。対象が増えないので、次は同じ対象への頻度と、需要が出る時期の捕捉が課題になります
- 対象1社あたりの年間の接触コストを、想定される取引額と比べます。CPAではこの判断ができません
- 広い市場と同じ指標で評価することと、対象を広げて規模を作ろうとすることです。どちらも、ニッチであることの利点を失わせます
- 対象の数を推定し、リストを作り、到達の計画を引きます。この3つがない状態で配信を設計しても、届いたかどうかが分かりません