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目次
目次
- 市場の数字を集めると、都合のよい数字だけが残るのはなぜか
- 探し方が結論に従う
- どの種類の出典が、どんな判断に使えるのか
- 継続的に公表される統計
- 市場の規模を、どう読むのか
- 総額の推移
- 自社の業種に関する数字が見つからない場合
- 隣接する領域の数字を使う
- データを買う場合、何を確認するのか
- 調査の方法と対象
- 集めた数字を、社内でどう扱うのか
- 出典を必ず付ける
- 市場の数字の扱いで、判断を誤らせるもの
- 市場の伸びと自社の伸びを同一視する
- 情報源の整備を、どう進めるか
- 出典が辿れない数字を外す
- よくある質問
- まとめ
結論を決めてから探しているからです。
稟議を通すために集めると、通る数字だけが集まります。
市場の数字を集めると、都合のよい数字だけが残るのはなぜか
結論を決めてから探しているからです。
稟議を通すために集めると、通る数字だけが集まります。
予算の申請や、新しい取り組みの提案では、市場の数字が添えられます。
その数字は、多くの場合、提案を通すために探されたものです。
探し方が結論に従う
伸びている市場であることを示したい。
この前提で探すと、伸びている数字が見つかります。
同じ市場について、別の切り口では縮小している数字もあります。
出典の確認が省かれる
引用された数字が、どの調査のどの設問から来たのか。
これを確認しないまま使われることがあります。
数字の使われ方の問題
| 問題 | 起きること | 防ぎ方 |
|---|---|---|
| 結論に合う数字だけを集める | 判断が歪む | 反対の数字も探す |
| 出典を確認しない | 誤った数字が広がる | 一次の出典に当たる |
| 調査の対象を確認しない | 自社と条件が違う | 対象と時期を確認する |
| 古い数字を使い続ける | 実態と離れる | 公表の時期を確認する |
| 加工された数字を使う | 元の意味が変わる | 元の資料を確認する |
反対の数字を探す習慣
提案を通す数字と同じ労力で、提案に不利な数字も探します。
両方を並べて判断するほうが、後から問題になりません。
数字がない場合の書き方
根拠となる数字が見つからない場合、数字を作りません。一般的な傾向として書くか、自社の実績から書きます。
どの種類の出典が、どんな判断に使えるのか
業界団体や公的機関の統計は規模の把握に、個別の調査は傾向の把握に使います。
用途を取り違えると、数字の精度を誤解します。
出典には、性質の違いがあります。
継続的に公表される統計
同じ方法で毎年公表される統計は、推移の把握に使えます。
単年の数字より、推移のほうが判断に役立ちます。
個別の調査
特定の時期に、特定の対象に行われた調査です。
対象の選び方によって、結果が変わります。
企業が公表する数字
自社の製品や取り組みの効果として公表される数字です。
条件が限定されている場合があります。
出典の種類と、使える判断
| 出典の種類 | 使える判断 | 注意すること |
|---|---|---|
| 継続的な統計 | 市場の規模と推移 | 定義の変更の有無 |
| 業界団体の集計 | 業界内の構成 | 会員企業に限られる場合 |
| 個別の調査 | 傾向の把握 | 対象と回答数の確認 |
| 企業が公表する数字 | 参考程度 | 条件が限定される |
| 自社の実績 | 自社の判断 | 外部との比較はできない |
対象と回答数を確認する
調査の対象が誰で、何人に聞いたのか。
これを確認しないと、数字の意味が分かりません。
時期を確認する
数年前の調査を、現在の状況として使わないようにします。特に変化の速い領域では、1年でも状況が変わります。
市場の規模を、どう読むのか
総額の推移と、内訳の推移を分けて読みます。
総額が伸びていても、自社が属する領域が縮んでいることがあります。
市場の規模の数字は、そのまま自社の判断には使えません。
総額の推移
電通が2026年3月5日に発表した2025年の日本の広告費では、総広告費が8兆623億円で前年比105.1%でした。
インターネット広告費は4兆459億円で前年比110.8%、構成比50.2%で初めて過半数を超えています。
マスコミ四媒体は2兆2,980億円で前年比98.4%でした。
内訳の推移
電通デジタルの2026年3月5日の集計では、インターネット広告媒体費3兆3,093億円のうち、運用型が2兆9,352億円で構成比88.7%でした。
ビデオ広告は1兆275億円で構成比30%、前年比121.8%となり初めて1兆円を超えています。
ソーシャル広告は1兆3,067億円で構成比39.5%です。
市場の数字を読む段階
| 段階 | 見る数字 | 判断に使えること |
|---|---|---|
| 総額 | 市場全体の規模と伸び | 市場の方向 |
| 領域別 | 自社が属する領域 | 自社の前提 |
| 構成比 | 領域ごとの割合 | 配分の参考 |
| 伸び率 | 領域ごとの変化 | 投資の方向 |
| 自社の位置 | 自社の伸びとの比較 | 相対的な評価 |
自社の伸びと比べる
市場が110%伸びているなかでの自社の105%は、相対的には縮小です。
市場の数字は、自社の数字と比べて初めて判断に使えます。
予算の議論での使い方
市場の伸びを根拠に予算を要求する場合、自社の伸びとの関係を示します。市場の数字だけでは、自社の予算の根拠になりません。
自社の業種に関する数字が見つからない場合
隣接する業種の数字と、自社の実績を組み合わせます。
見つからないからといって、数字を作りません。
すべての業種について、公表された調査があるわけではありません。
隣接する領域の数字を使う
似た構造の業種の数字を、参考として使います。
その際、自社の業種の数字ではないことを明記します。
自社の実績から推定する
自社の顧客の構成や、受注の推移から市場の状況を推定します。
自社の数字であることを明記して使います。
数字が見つからない場合の代替
| 代替の方法 | 使える範囲 | 注意すること |
|---|---|---|
| 隣接業種の数字 | 傾向の参考 | 業種が違うと明記 |
| 自社の実績 | 自社の判断 | 外部の状況とは別 |
| 顧客への聞き取り | 定性的な傾向 | 件数を明記する |
| 業界団体への照会 | 業界内の状況 | 公表の可否を確認 |
| 独自の調査 | 自社が使う判断 | 費用と設計が必要 |
独自に調査する判断
必要な数字がなく、判断に不可欠なら、自社で調査する選択があります。
費用と設計の手間がかかるので、判断の重要度で決めます。
数字を作らない
見つからない数字を、推測で書きません。提案の資料であっても、根拠のない数字は後で問題になります。
データを買う場合、何を確認するのか
調査の方法と対象、更新の頻度、利用の範囲の三つです。
価格より、自社の判断に使える内容かどうかを先に確認します。
市場のデータを有償で購入する選択があります。
調査の方法と対象
どうやって集めた数字か。
対象は誰か。
この二つが分からないデータは、判断に使えません。
更新の頻度
年に一度更新されるのか、随時更新されるのか。
判断の頻度に合わない更新では、使えません。
購入時に確認する項目を、項目ごとに見ていきます。
調査の方法については、内容はどう集めたか。
対象と回答数については、内容は誰に何件聞いたか。
更新の頻度については、内容はいつ更新されるか。
利用の範囲については、内容は社内利用のみか、資料に引用できるか。
過去のデータについては、内容は遡って見られるか。
契約の期間と解約については、内容は途中で止められるか。
利用の範囲を確認する
購入したデータを、社外に出す資料に引用できるか。
契約で制限されている場合があります。
使い道を先に決める
どの判断に使うかを決めてから購入します。決めずに購入すると、使われないまま契約が続きます。
集めた数字を、社内でどう扱うのか
出典と時期を付けて一か所に集めます。
出典のない数字が社内を流通すると、根拠が失われます。
集めた数字の管理も、必要な作業です。
出典を必ず付ける
数字を引用するときは、調査の名称、実施の時期、対象を併記します。
併記がないと、後から確認できません。
一か所に集める
各自が個別に集めると、同じ調査を何度も探すことになります。
集めた数字を一か所に置きます。
数字の管理で決めることを、項目ごとに見ていきます。
記録する項目については、内容は数字、出典、時期、対象、担当はマーケティング。
保管の場所については、内容は誰でも見られる場所、担当はマーケティング。
引用の様式については、内容は出典の書き方、担当はマーケティング。
古い数字の扱いについては、内容はいつ差し替えるか、担当はマーケティング。
購入データの利用範囲については、内容は契約上の制限、担当は調達と法務。
古い数字を差し替える
新しい調査が出たら、古い数字を差し替えます。
差し替えないと、古い数字が社内で使われ続けます。
加工した数字は元の資料を残す
グラフにしたり、割合を計算したりした場合、元の数字も残します。加工の過程で意味が変わることがあります。
市場の数字の扱いで、判断を誤らせるもの
市場の伸びを、自社の伸びの根拠にすることです。
市場が伸びていても、自社が取れるとは限りません。
数字の使い方で、誤りやすい点があります。
市場の伸びと自社の伸びを同一視する
市場が110%伸びているから、自社も110%伸びるという前提は成立しません。
市場の伸びを誰が取っているかは、別の問題です。
構成比を自社の配分の根拠にする
市場全体の構成比が、自社の最適な配分と一致するとは限りません。
自社の顧客がどこにいるかで決まります。
数字の扱いで起きる誤りを、項目ごとに見ていきます。
市場の伸びを自社の伸びとするについては、問題は根拠にならない、正しい見方は自社の実績と比べる。
構成比を配分の根拠にするについては、問題は自社の顧客と違う、正しい見方は自社の成果で判断。
単年の数字で判断するについては、問題は変動を見落とす、正しい見方は推移を見る。
海外の数字を国内に当てるについては、問題は市場の構造が違う、正しい見方は国内の数字を探す。
一つの調査だけを根拠にするについては、問題は偏りがある、正しい見方は複数の出典を見る。
海外の数字の扱い
海外の調査を国内の判断に使う場合、市場の構造の違いを考慮します。
Ahrefsが2026年7月16日に公表した調査では、AI Overviews表示時の検索1位のCTR下落率が日本で62.7%、米国で68.8%と、水準も変化の速さも異なっていました。
複数の出典を見る
一つの調査だけで判断せず、複数の出典を確認します。結果が食い違う場合は、対象と方法の違いを確認します。
情報源の整備を、どう進めるか
現在使っている数字の出典を確認することからです。
出典が辿れない数字が多ければ、そこから整理します。
新しい情報源を探す前に、いま使っている数字を確認します。
情報源を整える手順を、項目ごとに見ていきます。
1については、やることは現在の資料で使われている数字を洗い出す、期間の目安は2週間。
2については、やることはそれぞれの出典と時期を確認する、期間の目安は3週間。
3については、やることは出典が辿れない数字を資料から外す、期間の目安は1週間。
4については、やることは定期的に公表される統計の一覧を作る、期間の目安は2週間。
5については、やることは数字を集める場所と記録の様式を決める、期間の目安は2週間。
6については、やることは引用の様式を社内に周知する、期間の目安は2週間。
出典が辿れない数字を外す
出典が確認できない数字は、資料から外します。
残しておくと、社内で引用され続けます。
見る数字を決める
数字は説明のための仮の値です。
社内の資料で使われている外部の数字が50件で、出典が確認できたのが20件なら、30件が根拠のないまま流通していることになります。
情報源の管理を測る数字を、項目ごとに見ていきます。
出典が確認できる数字の割合については、見る頻度は半期、使いどころは資料の信頼性。
公表から1年以上経った数字の件数については、見る頻度は半期、使いどころは情報の鮮度。
購入しているデータの利用状況については、見る頻度は年次、使いどころは契約の妥当性。
独自に調査した件数については、見る頻度は年次、使いどころは不足している領域。
資料で数字が使われた件数については、見る頻度は半期、使いどころは数字への依存度。
購入データの利用状況を確認する
購入しているデータが使われているかを、年に一度確認します。
使われていなければ、契約を見直します。
更新の時期を把握する
定期的に公表される統計は、公表の時期を把握しておきます。
新しい数字が出たら、社内の資料を更新します。
市場のデータをどこから取るかで判断に迷う場合は、無料相談で現状の資料の根拠を一緒に見てもらうところから始められます。計画の立て方ごと見直す段階ならWeb集客改善サービスもあります。
よくある質問
市場の数字を集めると、都合のよい数字ばかりになります
結論を決めてから探しているためです。提案を通す数字と同じ労力で、提案に不利な数字も探します。両方を並べて判断するほうが、後から問題になりません。根拠となる数字が見つからない場合は、数字を作らず一般的な傾向として書きます。
どの出典を使えばよいですか
継続的に公表される統計は市場の規模と推移の把握に、個別の調査は傾向の把握に使います。個別の調査は、対象が誰で何件に聞いたのかを確認しないと数字の意味が分かりません。公表の時期も確認します。
市場が伸びていれば、自社の予算を増やす根拠になりますか
市場の伸びと自社の伸びは別です。市場が110%伸びているなかでの自社の105%は、相対的には縮小です。市場の数字は、自社の数字と比べて初めて判断に使えます。
自社の業種の数字が見つかりません
隣接する業種の数字を参考として使うか、自社の実績から推定します。どちらの場合も、自社の業種の数字ではないこと、自社の数字であることを明記します。判断に不可欠なら、自社で調査する選択もあります。
データを購入する場合、何を確認しますか
調査の方法と対象、更新の頻度、利用の範囲の三つです。購入したデータを社外に出す資料に引用できるかは、契約で制限されている場合があります。どの判断に使うかを決めてから購入しないと、使われないまま契約が続きます。
まとめ
- 結論を決めてから探しているからです。稟議を通すために集めると、通る数字だけが集まります
- 業界団体や公的機関の統計は規模の把握に、個別の調査は傾向の把握に使います。用途を取り違えると、数字の精度を誤解します
- 総額の推移と、内訳の推移を分けて読みます。総額が伸びていても、自社が属する領域が縮んでいることがあります
- 隣接する業種の数字と、自社の実績を組み合わせます。見つからないからといって、数字を作りません
- 調査の方法と対象、更新の頻度、利用の範囲の三つです。価格より、自社の判断に使える内容かどうかを先に確認します
- 出典と時期を付けて一か所に集めます。出典のない数字が社内を流通すると、根拠が失われます
- 市場の伸びを、自社の伸びの根拠にすることです。市場が伸びていても、自社が取れるとは限りません
- 現在使っている数字の出典を確認することからです。出典が辿れない数字が多ければ、そこから整理します