
マーケティング業務という言葉が、大きすぎるからです。
作業の単位まで分解しないと、置き換わる部分と残る部分が区別できません。
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目次
目次
- 業務の棚卸しをせずに議論すると、話が噛み合わないのはなぜか
- 作業の単位まで下ろす
- 置き換わりやすい作業には、どんな性質があるのか
- 手順が決まっている
- 残る業務は、どういうものか
- 社外との関係を扱う業務
- 人員の計画を、どう組み直すのか
- 残る業務の量を先に数える
- 代理店との関係は、どう変わるのか
- 作業の委託の価値が下がる
- どこから着手するのが適切なのか
- 時間の配分から選ぶ
- この議論で、見誤りやすいところ
- 技術と定着の速度は違う
- 業務の見直しを、どう進めるか
- 記録の粒度を決める
- よくある質問
- まとめ
マーケティング業務という言葉が、大きすぎるからです。
作業の単位まで分解しないと、置き換わる部分と残る部分が区別できません。
業務の棚卸しをせずに議論すると、話が噛み合わないのはなぜか
マーケティング業務という言葉が、大きすぎるからです。
作業の単位まで分解しないと、置き換わる部分と残る部分が区別できません。
どの業務が置き換わるかという議論は、抽象的なまま進みがちです。
分析は置き換わる、企画は残る、といった大まかな話で終わります。
実際には、分析の中にも置き換わらない作業があり、企画の中にも置き換わる作業があります。
作業の単位まで下ろす
分析という言葉には、データの抽出、集計、解釈、報告の作成が含まれます。
このうち、抽出と集計は置き換わる余地が大きく、解釈は残ります。
判断が入る作業は残る
責任を伴う判断は、人が行います。
その判断の材料を用意する作業は、置き換わる余地があります。
業務の分解の例
| 大きな括り | 含まれる作業 | 性質 |
|---|---|---|
| 分析 | 抽出、集計、解釈、報告の作成 | 作業ごとに違う |
| 企画 | 情報収集、案の作成、選定、承認 | 作業ごとに違う |
| 制作 | 構成、下書き、確認、公開 | 作業ごとに違う |
| 運用 | 設定、監視、調整、報告 | 作業ごとに違う |
| 代理店の管理 | 依頼、確認、評価、契約 | 作業ごとに違う |
棚卸しの目的は、人員計画にある
どの作業が置き換わるかを知る目的は、人員と予算の計画です。技術の評価ではありません。
置き換わりやすい作業には、どんな性質があるのか
手順が決まっていて、結果の良し悪しが判定できる作業です。
判定の基準がない作業は、任せても品質が確認できません。
置き換わりやすさは、作業の性質で決まります。
手順が決まっている
同じ手順を繰り返す作業は、置き換わりやすくなります。
集計、転記、形式の変換。
結果を判定できる
出てきた結果が正しいかを、確認できる作業です。
確認できない作業は、任せた結果の質が分かりません。
作業の性質と、置き換わりやすさ
| 性質 | 置き換わりやすさ | 例 |
|---|---|---|
| 手順が決まっている | 高い | 集計と転記 |
| 結果を判定できる | 高い | 計算と形式の変換 |
| 判断の基準が明文化できる | 中程度 | 条件による分岐 |
| 文脈の理解が必要 | 低い | 顧客の状況の解釈 |
| 責任を伴う判断 | 低い | 予算の配分の決定 |
| 関係者との調整 | 低い | 部門間の合意形成 |
判断の基準が明文化できるか
明文化できる判断は、任せられる余地があります。
明文化できない判断は、人が行います。
責任の所在が変わらない
作業を任せても、結果の責任は自社に残ります。責任を伴う判断そのものは、移せません。
残る業務は、どういうものか
社外との関係、社内の合意形成、そして何を目指すかを決める作業です。
どれも、情報の処理ではなく関係の処理にあたります。
残る業務の共通点を整理します。
社外との関係を扱う業務
顧客との商談、代理店との交渉、取引先との調整。
相手がいる業務は、関係の継続を含みます。
社内の合意を作る業務
予算の獲得、他部門との調整、経営への説明。
これらは、組織の中での立場と信頼に依存します。
残る業務の種類
| 種類 | 具体的な内容 | 残る理由 |
|---|---|---|
| 社外との関係 | 顧客と代理店との交渉 | 関係の継続が要る |
| 社内の合意形成 | 予算の獲得と部門間の調整 | 立場と信頼に依存する |
| 目標の設定 | 何を目指すかの決定 | 事業の判断 |
| 異常時の判断 | 想定外の事態への対応 | 前例がない |
| 責任を伴う承認 | 公開と支出の決定 | 責任の所在 |
異常時の対応
前例のない事態への対応は、判断の材料が揃いません。
この状況で決めるのは、人の役割として残ります。
残る業務の比重が上がる
置き換わる作業が減ると、残る業務の比重が相対的に上がります。その業務ができる人材の価値が高まります。
人員の計画を、どう組み直すのか
減らす前に、残る業務に必要な人数を数えます。
減らしてから考えると、残る業務が回らなくなります。
人員の計画は、削減から始めると失敗します。
残る業務の量を先に数える
社外との関係、社内の合意形成、判断。
これらに、いま何人分の時間が使われているか。
置き換わる作業に使われている時間
集計や転記に使われている時間を測ります。
この時間が、再配分できる分になります。
人員計画の組み方
| 段階 | やること | 注意すること |
|---|---|---|
| 1 | 作業ごとの時間の配分を測る | 実態を測る |
| 2 | 置き換わる作業の時間を集計する | 過大に見積もらない |
| 3 | 残る業務の必要人数を出す | 現状で足りているか確認する |
| 4 | 再配分できる時間を計算する | 教育の時間を含める |
| 5 | 採用と配置の計画を作る | 移れる人と移れない人を分ける |
移れる人と、移れない人を分ける
集計を担当していた人が、判断や交渉に移れるとは限りません。
必要な能力が違います。
教育の期間を計画に入れる
役割の変更には、教育の期間が要ります。その期間の生産性の低下も、計画に含めます。
代理店との関係は、どう変わるのか
作業の委託から、判断の支援へと重心が移ります。
作業だけを委託する契約は、費用の根拠が弱くなります。
外部への委託の内容も、同じ影響を受けます。
作業の委託の価値が下がる
設定や集計の作業を委託していた部分は、費用の根拠が弱くなります。
同じ費用を払う理由の説明が求められます。
判断の支援の価値が上がる
媒体の変化への対応、戦略の助言、実行の設計。
これらは委託の価値が残ります。
委託の内容と、価値の変化を、項目ごとに見ていきます。
設定と入稿の作業については、価値の変化は下がる、契約の見直しは費用の根拠を確認。
集計と報告の作成については、価値の変化は下がる、契約の見直しは自動化との比較。
媒体の変化への対応については、価値の変化は上がる、契約の見直しは範囲を明確にする。
戦略と配分の助言については、価値の変化は上がる、契約の見直しは成果の定義を決める。
実行の設計と検証については、価値の変化は上がる、契約の見直しは責任の範囲を決める。
内製化の検討が増える
Testifyが2026年5月に実施した調査では、全面委託している企業の8割超が1年以内のインハウス化を計画または検討していました。
決定と予定が52.9%、積極検討が32.8%です。
動機はノウハウ蓄積が56.7%、コスト削減が46.7%でした。
内製化の障壁
同じ調査では、障壁として教育時間と知見不足が44.8%、媒体アップデートへの追随困難が40.3%、人材採用が36.7%でした。作業が置き換わっても、この障壁は残ります。
どこから着手するのが適切なのか
時間を多く使っていて、判定が容易な作業からです。
判定できない作業から始めると、品質の問題に気づけません。
着手の順序を決めます。
時間の配分から選ぶ
最も多くの時間を使っている作業から見ます。
時間が短い作業を効率化しても、影響が小さくなります。
判定の容易さで選ぶ
結果が正しいかを確認できる作業から始めます。
確認できない作業は、後に回します。
着手の優先順位の付け方を、項目ごとに見ていきます。
時間が長く判定が容易については、優先度は最優先、理由は効果が大きく確認できる。
時間が短く判定が容易については、優先度は次、理由は効果は小さいが安全。
時間が長く判定が困難については、優先度は慎重に判断、理由は確認の体制を先に作る。
時間が短く判定が困難については、優先度は後回し、理由は効果に対して手間が大きい。
責任を伴う判断を含むについては、優先度は対象外、理由は人が行う。
社内での使い方の規則
社内で使う範囲と、扱ってよい情報の種類を決めます。
規則がないまま広がると、後から統制が難しくなります。
機密の情報の扱い
顧客の情報や社内の機密を扱う場合、利用の可否を先に決めます。要件は、掲載時点の最新の公式ガイドラインで確認してください。
この議論で、見誤りやすいところ
置き換わる速度を過大に見ることです。
技術の進歩の速さと、組織の中で定着する速さは別のものです。
変化の速度について、見誤りやすい点があります。
技術と定着の速度は違う
技術が使えることと、組織の中で日常的に使われることの間には差があります。
規則の整備、教育、業務の変更に時間がかかります。
人員の削減を先に決めない
置き換わる想定で人員を減らすと、定着しなかった場合に業務が回りません。
定着を確認してから、配置を変えます。
この議論で起きる見誤りを、項目ごとに見ていきます。
置き換わる速度の過大評価については、起きることは人員計画が先走る、対処は定着を確認してから配置を変える。
業務の括りが粗いについては、起きることは議論が噛み合わない、対処は作業の単位まで分解する。
判定できない作業に任せるについては、起きることは品質の問題に気づけない、対処は判定の基準がある作業から。
残る業務の量を見積もらないについては、起きることは残った業務が回らない、対処は先に必要人数を出す。
費用の削減だけを見るについては、起きることは教育と体制の費用が漏れる、対処は総額で比較する。
市場の動きとしての把握
Comexposium Japanが2025年12月に実施した調査では、2026年の予算について増加が38.5%、横ばいが50.5%でした。
AI導入済みと準備中を合わせると80.7%です。
導入は進んでいますが、予算の大幅な増減にはつながっていません。
他社の進み方を基準にしない
他社が使っているかどうかは、自社の判断の根拠になりません。自社の業務の配分と、確認の体制で決めます。
業務の見直しを、どう進めるか
1か月分の作業時間を、作業の単位で記録することからです。
記録がないと、どの作業が大きいかが分かりません。
議論の前に、現状を測ります。
業務の見直しを進める順序を、項目ごとに見ていきます。
1については、やることは1か月分の作業時間を作業の単位で記録する、期間の目安は4週間。
2については、やることは作業ごとに判定の可否を分類する、期間の目安は1週間。
3については、やることは時間が長く判定が容易な作業を3つ選ぶ、期間の目安は1週間。
4については、やることはその作業で試し、品質と時間を測る、期間の目安は8週間。
5については、やることは残る業務の必要人数を算出する、期間の目安は2週間。
6については、やることは人員と委託の配分を見直す、期間の目安は4週間。
記録の粒度を決める
作業を細かく分けすぎると、記録の負担が大きくなります。
1時間単位で、10種類程度の分類にします。
見る数字を決める
数字は説明のための仮の値です。
月160時間のうち、集計と報告の作成に50時間、判断と調整に40時間使っているなら、前者が見直しの対象になります。
見直しの進み方を測る数字を、項目ごとに見ていきます。
作業別の時間の配分については、見る頻度は四半期、使いどころは変化の把握。
判定が容易な作業の時間については、見る頻度は四半期、使いどころは見直しの対象。
品質の問題が発生した件数については、見る頻度は毎月、使いどころは任せた範囲の妥当性。
残る業務に使える時間については、見る頻度は四半期、使いどころは再配分の効果。
教育にかかった時間については、見る頻度は半期、使いどころは移行の費用。
品質の問題を記録する
任せた作業で問題が出た件数を記録します。
件数が多ければ、判定の基準が不十分です。
配分の見直しを定期的に行う
技術も業務も変わります。
半年ごとに、作業の配分を測り直します。
業務の配分をどう変えるかで判断に迷う場合は、無料相談で現状の作業の内訳を一緒に見てもらうところから始められます。体制と委託の設計ごと見直す段階ならWeb集客改善サービスもあります。
よくある質問
どの業務が置き換わるかを、どう判断しますか
業務を作業の単位まで分解して判断します。分析という括りの中にも、抽出や集計のように置き換わる余地が大きい作業と、解釈のように残る作業があります。大きな括りのままでは、議論が噛み合いません。
置き換わりやすい作業には、どんな性質がありますか
手順が決まっていて、結果の良し悪しを判定できる作業です。判定の基準がない作業は、任せても品質が確認できません。文脈の理解が必要な作業や、責任を伴う判断は残ります。
人員の計画はどう組み直しますか
減らす前に、残る業務に必要な人数を数えます。社外との関係、社内の合意形成、判断にいま何人分の時間が使われているかを測ります。集計を担当していた人が判断や交渉に移れるとは限らないので、教育の期間も計画に含めます。
代理店との関係はどう変わりますか
設定や集計の作業を委託していた部分は、費用の根拠が弱くなります。一方で、媒体の変化への対応や戦略の助言は価値が残ります。内製化を検討する企業は増えていますが、教育の時間や知見の不足という障壁は残ります。
着手はどこからすべきですか
時間を多く使っていて、結果の判定が容易な作業からです。まず1か月分の作業時間を作業の単位で記録し、どの作業が大きいかを確かめます。判定できない作業から始めると、品質の問題に気づけません。
まとめ
- マーケティング業務という言葉が、大きすぎるからです。作業の単位まで分解しないと、置き換わる部分と残る部分が区別できません
- 手順が決まっていて、結果の良し悪しが判定できる作業です。判定の基準がない作業は、任せても品質が確認できません
- 社外との関係、社内の合意形成、そして何を目指すかを決める作業です。どれも、情報の処理ではなく関係の処理にあたります
- 減らす前に、残る業務に必要な人数を数えます。減らしてから考えると、残る業務が回らなくなります
- 作業の委託から、判断の支援へと重心が移ります。作業だけを委託する契約は、費用の根拠が弱くなります
- 時間を多く使っていて、判定が容易な作業からです。判定できない作業から始めると、品質の問題に気づけません
- 置き換わる速度を過大に見ることです。技術の進歩の速さと、組織の中で定着する速さは別のものです
- 1か月分の作業時間を、作業の単位で記録することからです。記録がないと、どの作業が大きいかが分かりません