
分母をどう定義したかで、同じ会社でも数字が何倍も変わります。
認知率を報告するときは、必ず分母の定義と一緒に出します。
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目次
目次
- 認知率という数字は、誰の中での割合なのか
- 分母の広さで数字が決まる
- 母集団をどう定義するのか
- 四つの条件で絞る
- 助成と非助成のどちらを正とするのか
- 助成は、選択肢を見せて聞く
- 何人に聞けば足りるのか
- 全体の推移だけなら、少ない標本で足りる
- どのくらいの頻度で測るのか
- 年1回を基本にする
- 調査の費用をどう見積もるのか
- 該当者を探す手間が大半を占める
- 出た数字を社内でどう扱うのか
- 評価指標に置かない
- 調査を発注する前に固めること
- 競合の社名を先に決める
- よくある質問
- まとめ
分母をどう定義したかで、同じ会社でも数字が何倍も変わります。
認知率を報告するときは、必ず分母の定義と一緒に出します。
認知率という数字は、誰の中での割合なのか
分母をどう定義したかで、同じ会社でも数字が何倍も変わります。
認知率を報告するときは、必ず分母の定義と一緒に出します。
認知率が40%だという報告があったとき、その数字だけでは何も判断できません。
誰に聞いた中での40%かで、意味がまったく違います。
分母の広さで数字が決まる
全国の成人に聞けば、多くの会社の認知率は数パーセントになります。
特定の業種の特定の職種に聞けば、同じ会社が数十パーセントになります。
どちらも正しい数字ですが、比べられません。
事業の判断に使うのは、狙う範囲での数字
投資の判断に使うのは、自社が顧客にしたい範囲での認知率です。
全国での数字は、報告としては見栄えがしても、判断の材料になりません。
認知率の定義の違い
| 分母の取り方 | 出る数字の傾向 | 使いどころ |
|---|---|---|
| 全国の成人 | 低く出る | 一般向けの商材 |
| 特定の業種 | 中くらい | 業種を絞った事業 |
| 特定の業種と職種 | 高く出る | BtoBの事業 |
| 決裁の権限を持つ層 | 事業に最も近い | 投資の判断 |
| 既存顧客の近い層 | 高く出る | 参考値にとどめる |
過去の数字と比べられる形にする
認知率は、単年の数字より推移に意味があります。
分母の定義を変えると、推移が途切れます。
最初に決めた定義を、数年にわたって維持します。
出稿の効果の切り分けは、別の設計になる
出稿によって何ポイント上がったかを取り出すには、接触した群と接触しなかった群を比べる設計が要ります。ここで扱うのは、水準そのものを定期的に測る調査のほうです。
母集団をどう定義するのか
業種、企業の規模、職種、決裁への関与の四つで絞ります。
絞るほど事業に近い数字になりますが、該当者を集める費用が上がります。
母集団の定義は、調査の費用と数字の使い道の両方を決めます。
四つの条件で絞る
どの業種か、どの規模の企業か、どの職種か、決裁にどう関わるか。
この四つを組み合わせて、自社が顧客にしたい層を表現します。
条件を足すほど、該当する人の割合が下がります。
該当者の出現率が費用を決める
調査では、条件に合う人を探すために多くの人に声をかけます。
条件が厳しいほど、声をかける人数が増えます。
費用は、最終的な回答数ではなく、探す手間で決まります。
母集団の切り方
| 絞る条件 | 事業への近さ | 費用への影響 |
|---|---|---|
| 業種のみ | 遠い | 安い |
| 業種と企業規模 | 中くらい | 中くらい |
| 業種と規模と職種 | 近い | 高い |
| 決裁への関与を追加 | 最も近い | 最も高い |
| 地域を限定 | 事業による | 地域によって変わる |
二段階に分ける方法
広めの母集団で全体を測り、その中で条件に合う層だけを取り出して集計する方法があります。
細かい層の標本は少なくなりますが、費用を抑えられます。
層別の数字を使うなら、層ごとに必要な標本を確保します。
定義を文書にして残す
業種の分類、規模の区切り、職種の呼び方。これらの定義を文書にしておかないと、次回の調査で同じ層を再現できません。
助成と非助成のどちらを正とするのか
事業の判断に使うのは非助成のほうです。
助成での認知は水準が高く出ますが、検討の場面で思い出される状態を表していません。
認知率として報告される数字の多くは、助成による認知です。
この数字だけを見ていると、実態より高く見積もります。
助成は、選択肢を見せて聞く
社名の一覧を見せて、知っているものを選んでもらいます。
見たことがある程度の記憶でも選ばれます。
一覧に並べる社名の数や順番でも数字が変わります。
非助成は、何も見せずに聞く
用途や場面を示して、思い浮かぶ社名を挙げてもらいます。
検討の場面に近い状態を表します。
水準は低く出ますが、事業の数字との関係が強くなります。
助成と非助成の使い分け
| 種類 | 聞き方 | 出る水準 | 使いどころ |
|---|---|---|---|
| 非助成想起 | 何も見せずに挙げてもらう | 低い | 事業の判断 |
| 最初に挙がった割合 | 非助成の一番目 | 最も低い | 競合との位置関係 |
| 助成想起 | 一覧から選んでもらう | 高い | 認知の初期の進捗 |
| 内容の理解 | 事業内容を選んでもらう | 中くらい | 伝わり方の確認 |
数字は説明のための仮の値です。
助成での認知が35%ある会社でも、非助成では5%、最初に挙がる割合では1%ということが起こります。
順番を固定する
非助成を先に聞き、その後で助成を聞きます。
先に一覧を見せると、その後の非助成が測れません。
この順番は、毎回同じにします。
内容の理解も同時に取る
名前を知っているだけで、何をしている会社か分かっていない状態があります。名前を知っていると答えた人に、事業の内容を選んでもらう設問を続けます。
何人に聞けば足りるのか
見たい差の大きさから逆算します。
年ごとの変化を見るのか、層ごとの違いを見るのかで、必要な数が大きく変わります。
標本の数を先に決めると、後から見たい切り口に対応できません。
何を見たいかを先に決めます。
全体の推移だけなら、少ない標本で足りる
年ごとの全体の水準の変化だけを見るなら、数百人で判定できる場合があります。
ただし、動く幅が小さいときは誤差に埋もれます。
層ごとに見るなら、層ごとに数が要る
業種別や規模別に数字を出すなら、それぞれの層で必要な標本を確保します。
全体の標本を後から割ると、各層の誤差が大きくなりすぎます。
標本の数と見える差
| 見たいこと | 標本の考え方 | 注意するところ |
|---|---|---|
| 全体の年次の推移 | 全体で確保する | 小さい変化は見えない |
| 業種別の違い | 業種ごとに確保する | 業種の数だけ増える |
| 規模別の違い | 規模ごとに確保する | 大企業は該当者が少ない |
| 競合との比較 | 全体で確保する | 同じ設問で聞く必要がある |
| 半年ごとの推移 | 全体で確保する | 誤差より大きい変化か確認 |
誤差の幅を報告に併記する
出た数字だけを報告すると、小さい変動が変化として扱われます。
誤差の幅を数字と一緒に出し、幅の中の動きは変化として扱わないことを社内で共有します。
該当者の少ない層は、無理に分けない
大企業の決裁者のように、該当者の少ない層があります。必要な標本が集まらない層は、数字を出さずに保留にします。少ない標本の数字を報告すると、翌年の比較で振れます。
どのくらいの頻度で測るのか
年に1回か2回です。
認知率は月ごとに動く数字ではないため、短い間隔で測っても誤差の中の動きしか見えません。
測る頻度は、認知が動く速さに合わせます。
頻度を上げても、判断が早くなるわけではありません。
年1回を基本にする
投資の水準を決める判断は、期ごとに行われます。
期の予算を決める時期の前に1回測れば、判断には足ります。
大きな出稿がある期は、前後で測る
年に一度の大きな投資がある場合、その前後で測ります。
ただし前後の差には出稿以外の要因が混ざるため、差をそのまま効果として扱いません。
測る頻度の決め方を、項目ごとに見ていきます。
通常の運用については、頻度は年1回、理由は判断の周期に合う。
投資を増やす期については、頻度は年2回、理由は水準の変化を確認する。
新しい市場に入る期については、頻度は年2回、理由は立ち上がりを見る。
投資を止めている期については、頻度は年1回、理由は下がり方を確認する。
月ごとに見たい場合については、頻度は測らない、理由は指名検索の量で代用する。
月ごとの動きは別の数字で見る
認知の動きを月ごとに見たい場合は、調査ではなく指名検索の量を使います。
調査で月ごとに測ると、費用がかさむうえに誤差の中の動きしか出ません。
測る時期を毎年固定する
季節によって回答の傾向が変わります。毎年同じ月に測ることで、季節の影響を揃えられます。
調査の費用をどう見積もるのか
母集団の絞り込みの厳しさと、設問の数で決まります。
回答の件数だけを基準に見積もると、実際の費用と合いません。
費用の見積もりは、条件の設定で大きく変わります。
該当者を探す手間が大半を占める
条件に合う人を見つけるために、多くの人に予備の質問をします。
条件が厳しいほど、この手間が増えます。
最終的な回答数が同じでも、費用が数倍違うことがあります。
費用が変わる要因を、項目ごとに見ていきます。
母集団の絞り込みの厳しさについては、費用への影響は最も大きい、調整の余地は条件を一つ減らす。
必要な回答の件数については、費用への影響は大きい、調整の余地は層別の集計を諦める。
設問の数については、費用への影響は中くらい、調整の余地は設問を絞る。
自由に書いてもらう設問については、費用への影響は中くらい、調整の余地は集計の手間が増える。
層ごとの割り当てについては、費用への影響は中くらい、調整の余地は割り当てを緩める。
実施の期間については、費用への影響は小さい、調整の余地は急ぐと上がる。
設問を減らすと、費用も回答の質も上がる
設問が多いと、後半の回答が雑になります。
費用も上がります。
今回の判断に使わない設問は入れません。
継続することを前提に見積もる
認知率の調査は、1回だけでは判断に使えません。
数年分の費用を合わせて稟議に出します。
初年度だけの予算で始めると、翌年に継続できなくなります。
発注先を途中で変えない
調査の実施方法によって、同じ設問でも数字が変わります。発注先を変えると、推移が途切れます。変えるなら、その年は両方で測って差を記録します。
出た数字を社内でどう扱うのか
目標値としてではなく、投資の判断の材料として扱います。
認知率を部門の評価指標に置くと、数字を上げやすい設計に寄ります。
調査の数字の扱い方で、その後の投資の質が変わります。
評価指標に置かない
認知率を部門の評価に直結させると、母集団を広げる、助成で測る、条件を緩めるといった動きが出ます。
数字は上がりますが、事業は変わりません。
投資の判断に使う
現在の水準と、競合の水準と、必要な水準を並べます。
その差を埋めるのにいくらかかるかを計算し、投資の可否を判断します。
社内での数字の扱い方を、項目ごとに見ていきます。
部門の評価指標にするについては、起きることは測り方が緩む、推奨は避ける。
投資の判断の材料にするについては、起きることは議論が具体的になる、推奨は推奨。
経営への定期報告に入れるについては、起きることは推移が共有される、推奨は推奨。
未達で施策を変える根拠にするについては、起きることは短期の施策に寄る、推奨は避ける。
競合との比較に使うについては、起きることは位置関係が分かる、推奨は推奨。
競合も同じ設問で測る
自社の数字だけでは、高いか低いか判断できません。
同じ設問で競合数社も測ると、位置関係が分かります。
競合の数字は、自社の目標を置くときの基準になります。
報告は推移の形で出す
単年の数字だけを出すと、良い悪いの議論になります。数年分を並べて、傾きで報告します。
調査を発注する前に固めること
母集団の定義と設問の文言です。
この二つが固まっていない状態で発注すると、翌年に同じ調査が再現できません。
準備にかかる期間は1か月から2か月です。
発注してから決めると、実施の期間に条件の議論が入ります。
発注前に固める条件を、項目ごとに見ていきます。
1については、決めることは狙う顧客の層を業種と規模と職種で書き出す、期間の目安は2週間。
2については、決めることはその層を調査の条件として表現する、期間の目安は1週間。
3については、決めることは設問の文言と順番を決める、期間の目安は2週間。
4については、決めることは層別に見るかを決めて必要な標本を計算する、期間の目安は1週間。
5については、決めることは競合として測る社名を決める、期間の目安は1週間。
6については、決めることは数年分の費用を含めて稟議に出す、期間の目安は2週間。
競合の社名を先に決める
比較に使う社名は、途中で変えられません。
今後数年にわたって同じ社名で測る前提で選びます。
自社が意識している相手ではなく、顧客が候補に挙げる相手を選びます。
設問を今後数年変えない前提で作る
文言を変えると、前年との比較ができなくなります。
発注の前に、社内で設問を確定させます。
調査で取る設問と用途を、項目ごとに見ていきます。
非助成想起については、取る内容は何も見せずに挙がる社名、使いどころは投資の判断の中心。
最初に挙がった社名については、取る内容は順位の把握、使いどころは競合との位置関係。
助成想起については、取る内容は一覧から選ばれた社名、使いどころは認知の広がりの確認。
事業内容の理解については、取る内容は何をしている会社と認識されているか、使いどころは伝わり方の確認。
候補に入れるかについては、取る内容は次に選ぶときの候補、使いどころは検討への接続。
情報を集める場所については、取る内容はどこで確認しているか、使いどころは接点の設計。
情報を集める場所の設問を入れる
どこで情報を集めているかを聞くと、翌年の投資先の判断に使えます。
この設問は、認知率そのものとは別に役立ちます。
結果の保管の形を決めておく
設問、母集団の条件、標本の数、実施の時期を、数字と一緒に残します。
これらが残っていないと、数年後に推移を説明できません。
認知率をどう測るかで判断に迷う場合は、無料相談で現状の測り方を見てもらうところから始められます。認知への投資ごと見直す段階ならWeb集客改善サービスもあります。
よくある質問
認知率は誰に聞けばよいですか
自社が顧客にしたい範囲の人です。業種、企業の規模、職種、決裁への関与の四つで絞ります。全国の成人に聞いた数字は報告としては見栄えがしても、投資の判断には使えません。
助成と非助成のどちらを見るべきですか
事業の判断に使うのは非助成です。助成は一覧を見せるため水準が高く出ますが、検討の場面で思い出される状態を表していません。聞く順番は必ず非助成を先にしてください。
どのくらいの頻度で測ればよいですか
年に1回か2回です。認知率は月ごとに動く数字ではないため、短い間隔で測っても誤差の中の動きしか見えません。月ごとの動きを見たい場合は指名検索の量で代用します。
費用はどこで決まりますか
母集団の絞り込みの厳しさが最も大きく影響します。条件に合う人を探す手間が費用の大半を占めるため、回答の件数が同じでも条件しだいで数倍変わります。設問の数も費用に影響します。
出た数字を部門の目標にしてもよいですか
避けてください。評価に直結させると、母集団を広げる、助成で測るといった数字を上げやすい方向に測り方が寄ります。投資の判断の材料として扱い、競合の数字と並べて位置関係を見てください。
まとめ
- 分母をどう定義したかで、同じ会社でも数字が何倍も変わります。認知率を報告するときは、必ず分母の定義と一緒に出します
- 業種、企業の規模、職種、決裁への関与の四つで絞ります。絞るほど事業に近い数字になりますが、該当者を集める費用が上がります
- 事業の判断に使うのは非助成のほうです。助成での認知は水準が高く出ますが、検討の場面で思い出される状態を表していません
- 見たい差の大きさから逆算します。年ごとの変化を見るのか、層ごとの違いを見るのかで、必要な数が大きく変わります
- 年に1回か2回です。認知率は月ごとに動く数字ではないため、短い間隔で測っても誤差の中の動きしか見えません
- 母集団の絞り込みの厳しさと、設問の数で決まります。回答の件数だけを基準に見積もると、実際の費用と合いません
- 目標値としてではなく、投資の判断の材料として扱います。認知率を部門の評価指標に置くと、数字を上げやすい設計に寄ります
- 母集団の定義と設問の文言です。この二つが固まっていない状態で発注すると、翌年に同じ調査が再現できません