
広告の管理画面に出るCVは、広告がなくても起きた分を含んでいるからです。
足し算の数字しか持っていないため、引き算の答えが出せません。
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目次
目次
- 広告を止めたときの売上が分からないのは、なぜか
- 計上されるCVと、増えたCVは違う
- 止めなくても分かる部分は、どこまでか
- 経路別に売上を分類する
- 停止テストは、どう設計するのか
- 止める範囲を区切る
- 地域や対象を分けるとき、何に注意するのか
- 事前の期間で傾向を揃える
- テスト期間中に、どの数字をどう読むのか
- 見る対象を入れ替える
- テストのリスクを、どう抑えるのか
- 上限を決めて規模を選ぶ
- モデルで推定する方法には、どんな限界があるのか
- モデルを使った推定
- 運用に入る前に決めること
- 見る数字を決める
- よくある質問
- まとめ
広告の管理画面に出るCVは、広告がなくても起きた分を含んでいるからです。
足し算の数字しか持っていないため、引き算の答えが出せません。
広告を止めたときの売上が分からないのは、なぜか
広告の管理画面に出るCVは、広告がなくても起きた分を含んでいるからです。
足し算の数字しか持っていないため、引き算の答えが出せません。
広告の成果は、配信した期間の数字としてしか記録されていません。
配信しなかった場合にどうなったかは、どこにも残っていません。
計上されるCVと、増えたCVは違う
広告経由として計上されたCVの中には、広告がなくても別の経路で発生したものが混ざります。
指名検索への出稿や、既にサイトを訪れたことのある人への配信では、この割合が高くなります。
管理画面の数字をそのまま止めた場合の損失とみなすと、実態より大きく見積もることになります。
広告経由CVに含まれるもの
| CVの性質 | 広告がなくても起きたか | 計上のされ方 |
|---|---|---|
| 広告で初めて知って申し込んだ | 起きない | 広告の成果 |
| 他で知って社名で検索し広告を踏んだ | 起きる | 広告の成果として計上 |
| 再訪問の途中で広告を踏んだ | 多くは起きる | 広告の成果として計上 |
| 紹介で来て広告を踏んだ | 起きる | 広告の成果として計上 |
| 配信を見ただけで後日直接訪問 | 一部起きない | 計上されないことがある |
計測の前提も変わっている
GA4では2026年6月15日より、広告データ共有の可否が同意モードのad_storageのみで決まる形になりました。
Googleは2025年10月17日に、Privacy Sandbox関連技術の大半を終了すると発表しています。
経路の記録が取りにくくなるほど、記録に頼った判断の精度は下がります。
分からないまま止められない状態が続く
止めた場合の影響が分からないと、予算の交渉も、配分の変更もできません。年間予算の大半を占める支出について、外せない理由が説明できない状態になります。
止めなくても分かる部分は、どこまでか
経路別の売上構成を出せば、おおよその下限は見えます。
ただし広告の間接的な寄与は、止めてみないと分かりません。
いきなり停止テストに進む必要はありません。
既存のデータから分かる範囲を先に固めます。
経路別に売上を分類する
指名検索、直接流入、紹介、既存顧客からの追加受注、広告。
これらに受注を分類し、金額の構成比を出します。
広告以外の経路の合計が、当面残る売上の下限になります。
既存データから分かることと、分からないこと
| 分かること | 方法 | 限界 |
|---|---|---|
| 経路別の売上構成 | 受注の初回接点を分類 | 初回接点の記録精度に依存 |
| 指名検索の量 | 検索回数の記録 | 購買と採用が混ざる |
| 広告停止時に確実に残る分 | 広告以外の経路の合計 | 過小に出る |
| 広告が間接的に生んだ分 | 分からない | 停止テストが要る |
| 停止後の減り方の速さ | 分からない | 停止テストが要る |
下限としてしか使えない
広告以外の経路として記録された受注の中にも、過去に広告で接触した相手が含まれます。
そのため、この数字は残る売上の下限です。
実際にはこれより多く残ります。
記録の精度を先に確認する
初回接点の記録が営業任せになっていると、分類の精度が上がりません。受注時の記録項目を揃えることが、前段の作業になります。
停止テストは、どう設計するのか
全面停止ではなく、範囲を区切って止めます。
比較できる相手を残さないと、季節要因と区別がつきません。
広告を全部止めて売上を見るやり方は、情報量の割に危険が大きい方法です。
止める範囲を区切る
地域、配信の対象、媒体、商材のいずれかで区切ります。
止めた範囲と止めなかった範囲を比べることで、季節の影響を除けます。
区切り方と、その特徴
| 区切る対象 | 比較のしやすさ | 事業への影響 | 向く事業 |
|---|---|---|---|
| 地域 | 高い | 地域単位で限定 | 全国に需要がある |
| 媒体 | 中くらい | 他媒体に流れる可能性 | 複数媒体を使っている |
| 配信対象の層 | 中くらい | 層の偏りが出る | 対象を分けられる |
| 商材 | 中くらい | 商材間で差がある | 複数商材を扱う |
| 期間のみ | 低い | 全社に及ぶ | 他に方法がない場合 |
期間を決める
検討期間が長い商材では、止めた影響が出るまでに時間がかかります。
最初の接点から受注までの中央値と同じ長さを、最低限の期間に置きます。
短すぎる停止では、何も起きないという誤った結論になります。
止めるのは1つだけにする
停止と同時に他の施策を変えると、原因が分かりません。テスト期間中は、他の変更を凍結します。
地域や対象を分けるとき、何に注意するのか
分けた2つの群が、もともと同じ傾向を持っていることを確認します。
確認せずに分けると、差が出ても原因が分かりません。
分割の設計が雑だと、テストの結果を信用できません。
事前の期間で傾向を揃える
止める前の6か月から12か月について、2つの群の売上推移を並べます。
同じように動いていれば、比較の相手として使えます。
動きが違う群を比べても、差の原因が特定できません。
分割で確認すること
| 確認する点 | 方法 | 満たせない場合 |
|---|---|---|
| 事前の推移が似ている | 過去6から12か月を比較 | 群の組み合わせを変える |
| 規模が近い | 売上と商談数を比較 | 規模で補正して比較 |
| 季節性が同じ | 前年同期を比較 | 同じ季節性の群を選ぶ |
| 競合の状況が近い | 出稿状況を確認 | 差を記録しておく |
| 配信が混ざらない | 配信設定を確認 | 区切り方を変える |
配信が混ざらないようにする
地域で分けても、配信先が厳密に分かれないことがあります。
OpenAIがChatGPTで提供する広告では、日本の地域指定は都道府県単位です。
媒体ごとに指定できる粒度が違うため、区切り方は媒体の仕様に合わせます。
規模の小さい群では判断できない
分けた結果、片方の群のCV数が少なすぎると、差が偶然の範囲に収まります。判断に必要な件数を先に見積もり、足りないなら区切り方を変えます。
テスト期間中に、どの数字をどう読むのか
広告経由のCVではなく、全体の受注と売上を見ます。
広告を止めれば広告経由のCVは当然ゼロになるため、読む意味がありません。
停止テストで見る数字は、通常の運用で見る数字と違います。
見る対象を入れ替える
停止テストで見る数字を、項目ごとに見ていきます。
全体の受注件数については、見る意味は最終的な影響、読み方は止めた群と残した群の差。
全体の問い合わせ数については、見る意味は入口への影響、読み方は減り方の速さ。
指名検索の回数については、見る意味は認知への影響、読み方は即座には減らない。
直接流入の数については、見る意味は既存の認知の量、読み方は広告の影響を受けにくい。
広告以外の経路の商談については、見る意味は代替が起きているか、読み方は一部が移ることがある。
減り方の速さを記録する
止めた直後に急減するのか、数週間かけて緩やかに減るのか。
この形は、広告が需要を作っていたのか、既にある需要を回収していたのかを示します。
急減するなら回収型、緩やかなら需要創出型の性格が強いと読めます。
戻したときの回復も測る
テスト終了後に配信を戻したとき、元の水準まで何週間で戻るかを記録します。戻りが遅い場合、再開の判断には時間の余裕が必要だと分かります。この情報は、将来の予算削減の判断で使えます。
テストのリスクを、どう抑えるのか
影響額の上限を先に見積もり、その範囲に収まる規模で行います。
中断の条件も、開始前に決めておきます。
停止テストには、実際に売上を失う可能性があります。
実施の判断は、失う金額の上限を決めてから行います。
上限を決めて規模を選ぶ
リスクを抑える方法を、項目ごとに見ていきます。
止める範囲を小さくするについては、効果は損失額を抑える、代償は判断に必要な件数が減る。
期間を短くするについては、効果は損失額を抑える、代償は影響が出る前に終わる。
閑散期に実施するについては、効果は損失額を抑える、代償は繁忙期の挙動は分からない。
中断の条件を決めるについては、効果は大きな損失を避ける、代償は途中で終わる可能性。
事前に関係部門に共有するについては、効果は混乱を避ける、代償は準備に時間がかかる。
中断の条件を先に書く
受注が想定を超えて落ちた場合に、テストを中断する基準を決めます。
基準がないと、現場からの声で判断が揺れます。
営業と事前に合意する
広告を止めた期間は、営業に渡るリードが減ります。
理由を伝えずに実施すると、社内の信頼を損ないます。
期間、範囲、目的を事前に共有します。
閑散期に行う場合の注意
閑散期は影響額が小さい一方、もともと需要が少ない時期です。差が出にくく、判断が難しくなります。どちらの制約を取るかを、事前に決めます。
モデルで推定する方法には、どんな限界があるのか
過去のデータから推定はできますが、前提の置き方で結果が変わります。
実際に止めた結果がないと、推定の当たり外れを確かめられません。
停止テストを行わずに推定する方法もあります。
使うなら、限界を理解したうえで使います。
モデルを使った推定
広告費と売上の時系列から、各チャネルの寄与を推定する手法があります。
Googleはオープンソースのマーケティングミックスモデルとして、Meridianを提供しています。
地域単位の実験を扱うMeridian GeoXは近日公開とされています。
推定と実測の使い分けを、項目ごとに見ていきます。
経路別の売上分類については、分かることは残る売上の下限、限界は間接的な寄与は見えない、費用は低い。
モデルによる推定については、分かることは各チャネルの寄与の目安、限界は前提で結果が変わる、費用は中くらい。
地域を分けた停止テストについては、分かることは実際の影響、限界は実施期間中の損失、費用は中くらい。
全面停止については、分かることは全体の影響、限界は事業への影響が大きい、費用は高い。
推定を検証する手順を持つ
推定だけで判断すると、前提が間違っていても気づけません。
小さい範囲の停止テストを行い、推定と実測を突き合わせます。
一致していれば、次回からは推定を使えます。
データの量が前提になる
モデルによる推定には、一定の期間のデータが必要です。配信を始めて間もない場合や、配分を頻繁に変えている場合は精度が出ません。
運用に入る前に決めること
経路別の売上分類から始めます。
下限が分かってから、テストの規模を決めます。
いきなり広告を止める必要はありません。
立ち上げの運びを、項目ごとに見ていきます。
1については、やることは受注の初回接点の記録項目を揃える、期間の目安は2週間。
2については、やることは経路別に過去12か月の受注を分類する、期間の目安は1か月。
3については、やることは広告以外の経路の売上構成比を出す、期間の目安は1週間。
4については、やることは止める範囲と期間、中断の条件を決める、期間の目安は2週間。
5については、やることは営業と関係部門に目的と期間を共有する、期間の目安は1週間。
6については、やることはテストを実施して減り方と戻り方を記録する、期間の目安は検討期間と同等。
見る数字を決める
数字は説明のための仮の値です。
たとえば四半期の受注が2億円で、広告以外の経路が3,000万円なら、残る売上の下限は15%です。
地域を分けて片方を止め、止めた群の受注が想定より2割減にとどまったなら、間接的な寄与を含めた実際の依存度はこれより低いと読めます。
健全さを見る基準を、項目ごとに見ていきます。
経路別の受注金額構成比については、見る頻度は四半期、目安の考え方は残る売上の下限。
テスト中の全体受注については、見る頻度は週次、目安の考え方は止めた群と残した群の差。
減り方の速さについては、見る頻度はテスト中、目安の考え方は回収型か創出型かの判断。
戻したときの回復期間については、見る頻度はテスト後、目安の考え方は再開に必要な猶予。
推定と実測の差については、見る頻度はテストごと、目安の考え方は推定を使えるかの判断。
一度で終わらせない
事業の状況も媒体の環境も変わります。
年に一度、範囲を変えて実施すると、判断の材料が蓄積されます。
結果を経営と共有する形を決める
広告を止めたときの影響額は、経営が最も知りたい数字の1つです。
テストの結果を、金額と期間の形で報告できるようにします。
広告を止めたときの影響が分からない場合は、無料相談で現状の数字を一緒に整理するところから始められます。計測の仕組みごと見直す段階ならWeb集客改善サービスもあります。
よくある質問
広告を止めたときの売上は計算で出せませんか
管理画面のCVには広告がなくても起きた分が含まれるため、引き算では出せません。経路別の売上分類で残る売上の下限は出せますが、間接的な寄与は実際に止めてみないと分かりません。
全部の広告を止めて試してもいいですか
情報量の割に危険が大きい方法です。地域、媒体、配信対象、商材のいずれかで範囲を区切り、止めなかった群と比べる形にしてください。季節要因と区別できます。
テストの期間はどのくらい必要ですか
最初の接点から受注までの中央値と同じ長さを最低限の期間にしてください。検討期間より短い停止では影響が出る前に終わり、何も起きないという誤った結論になります。
テスト中は何を見ればいいですか
広告経由のCVではなく、全体の受注と問い合わせを見ます。止めた群と残した群の差、そして減り方の速さを記録してください。急減するなら回収型、緩やかなら需要を作っていた性格が強いと読めます。
モデルで推定する方法だけで判断できますか
前提の置き方で結果が変わるため、推定だけでは当たり外れを確かめられません。小さい範囲の停止テストを行って推定と実測を突き合わせ、一致を確認してから推定を使ってください。
まとめ
- 広告の管理画面に出るCVは、広告がなくても起きた分を含んでいるからです。足し算の数字しか持っていないため、引き算の答えが出せません
- 経路別の売上構成を出せば、おおよその下限は見えます。ただし広告の間接的な寄与は、止めてみないと分かりません
- 全面停止ではなく、範囲を区切って止めます。比較できる相手を残さないと、季節要因と区別がつきません
- 分けた2つの群が、もともと同じ傾向を持っていることを確認します。確認せずに分けると、差が出ても原因が分かりません
- 広告経由のCVではなく、全体の受注と売上を見ます。広告を止めれば広告経由のCVは当然ゼロになるため、読む意味がありません
- 影響額の上限を先に見積もり、その範囲に収まる規模で行います。中断の条件も、開始前に決めておきます
- 過去のデータから推定はできますが、前提の置き方で結果が変わります。実際に止めた結果がないと、推定の当たり外れを確かめられません
- 経路別の売上分類から始めます。下限が分かってから、テストの規模を決めます