
社内での判断が、連絡の数か月前に終わっているからです。
連絡は決定の通知であって、相談ではありません。
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目次
目次
- 解約の連絡が来た時点で、手遅れになっているのはなぜか
- 決定までの過程は、外からは見えない
- 予兆は、どこに現れるのか
- 利用の記録
- 予兆の基準を、どうやって決めるのか
- 解約した顧客を遡って見る
- 予兆を掴んだ後、誰が何をするのか
- 接触の目的を、状況の確認にする
- どの顧客の予兆を優先して追うのか
- 契約額の大きい顧客
- 予兆の仕組みは、誰が作って誰が持つのか
- 役割を分ける
- 予兆の運用で、空回りする原因
- 警報が多すぎる
- 離反の予兆を掴む仕組みを、どう立ち上げるか
- 遡れる記録がない場合
- よくある質問
- まとめ
社内での判断が、連絡の数か月前に終わっているからです。
連絡は決定の通知であって、相談ではありません。
解約の連絡が来た時点で、手遅れになっているのはなぜか
社内での判断が、連絡の数か月前に終わっているからです。
連絡は決定の通知であって、相談ではありません。
解約の申し出を受けてから引き止めに動く体制は、多くの会社にあります。
その引き止めが成功する確率は高くありません。
理由は単純で、相手の社内ではすでに代替の手配が終わっているからです。
決定までの過程は、外からは見えない
不満が溜まる。
社内で話題になる。
代替を探す。
比較する。
決裁を取る。
この段階を経て、連絡が来ます。
最初の不満から連絡まで、数か月かかることがあります。
その間、自社の窓口には何も伝わりません。
解約が決まるまでの段階
| 段階 | 相手の社内で起きること | 自社に届く情報 |
|---|---|---|
| 不満の発生 | 担当者が問題を認識 | ほぼ届かない |
| 社内での共有 | 上長や関係者に話す | 届かない |
| 代替の検討 | 他社の情報を集める | 届かない |
| 比較と決裁 | 条件を比べて承認を取る | 届かない |
| 解約の連絡 | 通知として伝える | ここで初めて届く |
引き止めの条件が、不利になる
決定後に引き止めると、値引きか追加の提供が条件になります。
この条件で残っても、収益は落ちます。
そして同じ相手が、翌年も同じ交渉をします。
予兆を見るのは、解約理由の分析とは別の作業
解約した相手に理由を聞くのは、事後の分析です。予兆を見るのは、まだ契約が続いている相手の状態を見る作業です。この二つは、使うデータも担当も違います。
予兆は、どこに現れるのか
利用の記録と、接点の記録の二か所です。
どちらも自社側にあるので、相手に聞かずに見られます。
予兆は、相手の態度ではなく記録に現れます。
利用の記録
使われる頻度、使う人の数、使われる機能の範囲。
これらが減り始めるのが、最も早い合図です。
契約は続いていても、使われていない状態が数か月続けば、更新の理由がなくなります。
接点の記録
問い合わせの内容と頻度、定例の出席者、返信の速度。
担当者が変わったときも、注意すべき合図です。
支払いの記録
支払いの遅延や、契約内容の縮小の打診。
これらは後期の合図で、この時点では検討が進んでいます。
予兆の現れる場所と、時期の早さ
| 現れる場所 | 具体的な変化 | 気づける時期 |
|---|---|---|
| 利用の記録 | 頻度と利用人数の減少 | 早い |
| 問い合わせ | 件数の急減または急増 | 早い |
| 定例の場 | 出席者の変化と欠席 | 中程度 |
| 担当者 | 交代と引き継ぎの不足 | 中程度 |
| 契約 | 縮小の打診と条件の確認 | 遅い |
| 支払い | 遅延と照会の増加 | 遅い |
問い合わせが減るのは、良い合図ではない
問い合わせが減ったとき、順調に使われていると解釈されがちです。使われなくなっているために減っている場合があります。利用の記録と併せて見ないと、判断を誤ります。
予兆の基準を、どうやって決めるのか
過去に解約した顧客が、解約の数か月前にどうなっていたかを調べます。
その変化の大きさが、そのまま基準になります。
基準を想像で決めると、警報が鳴りすぎるか、鳴らないかのどちらかになります。
解約した顧客を遡って見る
過去1年に解約した顧客について、解約の6か月前から月ごとの利用状況を並べます。
継続している顧客の同じ期間と比べます。
差が出た指標だけを使う
解約した顧客と継続した顧客で、動きが変わらない指標は基準に使えません。
差が出た指標を2つか3つ選びます。
基準を作るときの比較の仕方
| 比較の対象 | 見る期間 | 確かめること |
|---|---|---|
| 解約した顧客 | 解約の6か月前から | どの指標がいつ動いたか |
| 継続した顧客 | 同じ期間 | 同じ指標が動いていないか |
| 解約した顧客の同業 | 同じ期間 | 業種特有の変動か |
| 契約を拡大した顧客 | 同じ期間 | 逆方向の動き |
| 新規の顧客 | 契約から6か月 | 立ち上がりの違い |
季節変動を除く
利用が減る時期が、業種の繁閑によるものである場合があります。
前年の同じ月と比べることで、この変動を除きます。
件数が少ない場合
解約件数が年に数件しかない場合、統計的な基準は作れません。その場合は、利用が一定水準を下回ったという単純な条件で運用します。
予兆を掴んだ後、誰が何をするのか
営業やカスタマー部門が、売り込みではない形で接触します。
解約を止めに行く動きだと伝わると、相手は身構えます。
警報が鳴っても、動く人と動き方が決まっていなければ意味がありません。
接触の目的を、状況の確認にする
利用が減っている理由を聞きます。
社内の体制が変わったのか、使い方が分からなくなったのか、他の手段に移ったのか。
理由によって、次の手が変わります。
理由ごとの対処
使い方が分からない場合は、支援で解決します。
体制が変わった場合は、新しい担当者との関係を作り直します。
他の手段に移った場合は、引き止めは難しくなります。
予兆の理由と、打てる手
| 確認された理由 | 対処 | 見込み |
|---|---|---|
| 使い方が分からない | 操作の支援と教育 | 回復しやすい |
| 担当者が交代した | 新担当との関係構築 | 回復しやすい |
| 社内の体制が変わった | 新しい用途の提案 | 状況次第 |
| 効果が出ていない | 成果の見直しと改善 | 時間がかかる |
| 他の手段に移行済み | 条件の見直しの提案 | 回復は難しい |
| 予算の削減 | 契約構成の変更提案 | 状況次第 |
動く期限を決める
警報が鳴ってから何営業日以内に接触するか。
決めておかないと、警報が滞留します。
記録を残す
接触の結果と、その後の利用の変化を記録します。記録がないと、どの対処が効いたのかが分かりません。
どの顧客の予兆を優先して追うのか
契約額と、失ったときの影響の大きさで決めます。
全顧客を同じ密度で見ると、監視の工数が合いません。
予兆の監視には工数がかかります。
配分を決めないと、続きません。
契約額の大きい顧客
失ったときの影響が大きい相手は、人が見ます。
月次で利用の状況を確認し、定例の場で状態を把握します。
件数の多い層
一件あたりが小さく件数が多い層は、人が全部見るのは無理です。
条件に合致したときだけ通知が出る形にします。
顧客の層と、監視の密度を、項目ごとに見ていきます。
契約額が大きいについては、監視の方法は人が月次で確認、接触の担当は専任の担当。
中規模については、監視の方法は条件に該当したら確認、接触の担当は主担当。
小規模で多数については、監視の方法は条件に該当したら通知、接触の担当は窓口が対応。
新規の立ち上がり期については、監視の方法は人が確認、接触の担当は主担当。
すでに縮小を打診については、監視の方法は人が確認、接触の担当は上長を含めて対応。
新規契約の初期は、別扱いにする
契約から数か月は、利用が立ち上がらないまま終わる例が出ます。
この期間は、予兆ではなく立ち上がり支援の対象として見ます。
監視の工数を見積もる
監視にかかる工数と、防げた解約の金額を比べます。割に合わない層は、監視の対象から外します。
予兆の仕組みは、誰が作って誰が持つのか
カスタマー部門と営業の共同で持ちます。
マーケティングだけで作ると、警報が鳴っても動く人がいません。
予兆の仕組みは、データの整備と現場の運用の両方が要ります。
役割を分ける
指標の設計と集計は、データを扱う側の作業です。
警報への対応は、顧客に接する側の作業です。
どちらか一方だけでは動きません。
予兆の仕組みで決める役割を、項目ごとに見ていきます。
使う指標の選定については、担当はデータ担当と現場、決裁は事業責任者。
基準の設定については、担当はデータ担当、決裁は事業責任者。
警報の通知先については、担当は現場、決裁は事業責任者。
接触の期限については、担当は現場、決裁は事業責任者。
対処の記録については、担当は接触した担当、決裁はなし。
基準の見直しについては、担当はデータ担当と現場、決裁は事業責任者。
投資の規模を決める
既存の記録で運用を始められる場合があります。
新たな仕組みの導入が必要な場合は、防げる解約の金額から逆算します。
年間の解約金額に対して、監視の仕組みの費用が見合うかを確認します。
外部に任せられる範囲
データの集計や通知の仕組みは、外部に委託できます。顧客への接触と、その判断は自社が行います。顧客データを外部で扱う場合の要件は、掲載時点の最新の公式ガイドラインで確認してください。
予兆の運用で、空回りする原因
警報が多すぎて、誰も見なくなることです。
基準を緩めに設定すると、対象が半数を超えて運用が止まります。
仕組みを作った後に起きる問題には、型があります。
警報が多すぎる
基準を緩くすると、多くの顧客が該当します。
対応する側の容量を超えると、警報そのものが無視されます。
警報が的中しない
該当した顧客が、その後も継続する。
この状態が続くと、現場が基準を信用しなくなります。
運用が止まる原因と、直し方を、項目ごとに見ていきます。
基準が緩いについては、現れ方は対象が多すぎる、直し方は閾値を上げる。
基準が厳しいについては、現れ方は鳴ったときには手遅れ、直し方は早い段階の指標を足す。
的中しないについては、現れ方は現場が無視する、直し方は実績で基準を見直す。
対応の担当が不明については、現れ方は警報が滞留する、直し方は通知先と期限を決める。
対処の記録がないについては、現れ方は効いた手が分からない、直し方は記録の項目を作る。
予兆を解約理由の分析と混同しない
解約した相手に理由を聞く作業は、基準を作るための材料になります。
ただし、予兆の運用そのものではありません。
二つを分けて、それぞれの担当を決めます。
数字だけで判断しない
利用が減っていても、相手の事業の都合である場合があります。記録は接触のきっかけであり、判定ではありません。
離反の予兆を掴む仕組みを、どう立ち上げるか
過去に解約した顧客の記録を遡ることからです。
遡れる記録がなければ、まず記録を残す形を作ります。
仕組みの設計より先に、過去の事実を確かめます。
予兆の仕組みを作る段取りを、項目ごとに見ていきます。
1については、やることは過去1年の解約顧客を一覧にする、期間の目安は1週間。
2については、やることは解約の6か月前からの利用状況を並べる、期間の目安は3週間。
3については、やることは継続顧客の同じ期間と比較する、期間の目安は2週間。
4については、やることは差が出た指標を2つか3つ選ぶ、期間の目安は1週間。
5については、やることは閾値を決め、該当件数を確認する、期間の目安は2週間。
6については、やることは通知先と接触の期限を決める、期間の目安は2週間。
遡れる記録がない場合
利用の記録を残していない場合、まず記録から始めます。
記録が6か月分たまってから、基準の設計に入ります。
見る数字を決める
数字は説明のための仮の値です。
年間の解約が20件で、そのうち半数に3か月前から利用の減少が出ていたなら、監視で拾える範囲がそこにあります。
予兆の運用を測る数字を、項目ごとに見ていきます。
警報が出た件数については、見る頻度は毎月、使いどころは基準の緩さ。
警報から接触までの日数については、見る頻度は毎月、使いどころは運用の速さ。
警報が出た顧客の継続率については、見る頻度は四半期、使いどころは基準の的中度。
警報が出ずに解約した件数については、見る頻度は四半期、使いどころは取りこぼしの量。
対処別の回復の割合については、見る頻度は半期、使いどころは効いた手の特定。
警報なしの解約を必ず数える
警報が出ないまま解約された件数が、基準の不足を示します。
この数字を見ないと、仕組みが機能しているように見えてしまいます。
基準は半年ごとに見直す
顧客の使い方も、商材の内容も変わります。
一度決めた閾値を固定すると、実態から離れます。
既存顧客の離反の兆しをどう見るかで迷う場合は、無料相談で現状の記録を一緒に見てもらうところから始められます。既存顧客への対応の設計ごと見直す段階ならWeb集客改善サービスもあります。
よくある質問
解約の予兆はどこに現れますか
利用の記録と接点の記録の二か所です。頻度と利用人数の減少が最も早い合図になります。支払いの遅延や契約縮小の打診は後期の合図で、その時点では相手の社内で検討が進んでいます。
問い合わせが減っているのは良い状態ではないのですか
使われなくなっているために減っている場合があります。順調に使われていると解釈する前に、利用の記録と併せて確認します。問い合わせの急増も、うまくいっていない合図になることがあります。
予兆の基準はどう決めますか
過去に解約した顧客の、解約6か月前からの利用状況を並べ、継続している顧客と比べます。差が出た指標を2つか3つ選び、その変化の大きさを基準にします。解約件数が少ない場合は、一定水準を下回ったという単純な条件で運用します。
予兆を掴んだら何をしますか
売り込みではなく、状況の確認として接触します。使い方が分からないのか、担当者が交代したのか、他の手段に移ったのかで対処が変わります。警報から何営業日以内に接触するかを決めておかないと、警報が滞留します。
全顧客を同じように監視すべきですか
工数が合いません。契約額が大きい顧客は人が月次で確認し、件数の多い小規模な層は条件に該当したときだけ通知が出る形にします。監視の工数と、防げた解約の金額を比べて配分を決めます。
まとめ
- 社内での判断が、連絡の数か月前に終わっているからです。連絡は決定の通知であって、相談ではありません
- 利用の記録と、接点の記録の二か所です。どちらも自社側にあるので、相手に聞かずに見られます
- 過去に解約した顧客が、解約の数か月前にどうなっていたかを調べます。その変化の大きさが、そのまま基準になります
- 営業やカスタマー部門が、売り込みではない形で接触します。解約を止めに行く動きだと伝わると、相手は身構えます
- 契約額と、失ったときの影響の大きさで決めます。全顧客を同じ密度で見ると、監視の工数が合いません
- カスタマー部門と営業の共同で持ちます。マーケティングだけで作ると、警報が鳴っても動く人がいません
- 警報が多すぎて、誰も見なくなることです。基準を緩めに設定すると、対象が半数を超えて運用が止まります
- 過去に解約した顧客の記録を遡ることからです。遡れる記録がなければ、まず記録を残す形を作ります