
部門ごとに別の基準で使っているからです。
営業は取引額、マーケティングは獲得効率、経営は利益を見ており、同じ顧客を指していません。
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目次
目次
- 優良顧客という言葉が、社内で通じていないのはなぜか
- 部門ごとに違う基準
- 優良の判定に、どの数字を使うのか
- 取引額だけで見た場合
- 将来の価値を、どこまで見込みに入れるのか
- 見込みを混ぜると、判定が崩れる
- 定義を決めると、獲得の狙いはどう変わるのか
- 優良顧客の共通条件を探す
- 既存顧客への投資は、どう配分するのか
- 対応の水準を分ける
- 定義は誰が決めて、いつ見直すのか
- 決める場を作る
- 定義を決めるときに、外れやすい判断
- 割合を先に決めてしまう
- 優良顧客の定義づくりを、どう始めるか
- 対応工数の代わりに使える数字
- よくある質問
- まとめ
部門ごとに別の基準で使っているからです。
営業は取引額、マーケティングは獲得効率、経営は利益を見ており、同じ顧客を指していません。
優良顧客という言葉が、社内で通じていないのはなぜか
部門ごとに別の基準で使っているからです。
営業は取引額、マーケティングは獲得効率、経営は利益を見ており、同じ顧客を指していません。
優良顧客を増やすという方針は、たいていの会社に存在します。
その方針が実行に落ちないのは、優良の定義が共有されていないからです。
部門ごとに違う基準
営業から見た優良顧客は、取引額が大きい相手です。
マーケティングから見ると、獲得にかかった費用に対して回収が大きい相手です。
経営から見ると、利益率が高く、支払いが確実な相手です。
この三つは、同じ顧客名簿を出しても一致しません。
部門ごとの優良の見方
| 部門 | 見ている数字 | 上位に来る顧客 |
|---|---|---|
| 営業 | 年間の取引額 | 大口だが手間もかかる相手 |
| マーケティング | 獲得費用に対する回収 | 効率よく取れた相手 |
| 経営 | 利益率と回収の確実性 | 手離れがよい相手 |
| カスタマー部門 | 問い合わせの少なさ | 運用が安定した相手 |
| 事業企画 | 成長の見込み | 今は小さいが伸びる相手 |
定義が曖昧なまま、施策が組まれる
定義がないまま優良顧客に似た層を狙うと決めると、誰に向けて配信するのかが決まりません。
結果として、いまの受注全体の平均に近い層を狙うことになります。
定義を決めるのは、名簿を作るためではない
定義の目的は、獲得の狙いを絞ることと、既存顧客への投資を配分することです。名簿を作って終わりにすると、分類の資料が増えるだけです。
優良の判定に、どの数字を使うのか
取引額だけでは足りません。
継続期間、利益率、手間の量を組み合わせないと、実態とずれます。
単一の数字で優良を決めると、望ましくない顧客が上位に来ます。
取引額だけで見た場合
金額が大きくても、値引き率が高く、対応の手間が大きい顧客があります。
この顧客を優良として増やしにいくと、収益は伸びません。
継続期間を入れる
同じ年間取引額でも、1年で終わる相手と5年続く相手では価値が違います。
継続期間を入れると、順位が入れ替わります。
手間の量を入れる
対応工数は記録されていないことが多い数字です。
問い合わせの件数、訪問の回数、個別対応の有無で代替できます。
判定に使う数字と、入手のしやすさ
| 数字 | 入手のしやすさ | 入れると変わること |
|---|---|---|
| 年間取引額 | 容易 | 規模の大きさが反映される |
| 継続期間 | 容易 | 短期の大口が下がる |
| 値引き率 | 中程度 | 実質の単価が反映される |
| 対応工数 | 難しい | 手間のかかる相手が下がる |
| 紹介の有無 | 中程度 | 波及効果が反映される |
| 支払いの遅延 | 容易 | 回収の確実性が反映される |
全部を入れようとしない
数字を増やすほど、判定は精緻になりますが、運用が止まります。入手できる数字のうち、順位が最も入れ替わるものを2つか3つ選びます。
将来の価値を、どこまで見込みに入れるのか
見込みを入れると、判定が主観的になります。
実績で判定し、将来性は別の枠として扱うほうが扱いやすくなります。
いまは小さいが将来伸びる顧客をどう扱うかは、必ず議論になります。
見込みを混ぜると、判定が崩れる
将来の成長を織り込むと、営業の期待値が数字に入ります。
期待値は人によって違うので、判定の基準として機能しません。
別の枠として持つ
実績による優良の分類とは別に、成長見込みの分類を持ちます。
二つの軸で並べると、投資の配分が決まります。
実績と見込みの組み合わせ
| 現在の実績 | 成長の見込み | 投資の方針 |
|---|---|---|
| 高い | 高い | 最優先で関係を深める |
| 高い | 低い | 現状の維持に留める |
| 低い | 高い | 育てる投資を試す |
| 低い | 低い | 対応を標準化する |
| 判定不能 | 不明 | まず実績を測る |
見込みの根拠を記録する
なぜ伸びると考えるのかを、記録に残します。
相手の事業計画、業界の動き、組織の拡大。
根拠がないものは、見込みの枠にも入れません。
見込みの枠には期限を置く
3年伸びなければ、実績の分類に戻します。期限を置かないと、見込みの枠が滞留します。
定義を決めると、獲得の狙いはどう変わるのか
優良顧客と似た条件の層に、配分を寄せられるようになります。
似ている条件が特定できない場合は、定義が粗すぎます。
定義を決める目的の一つが、獲得の狙いを絞ることです。
優良顧客の共通条件を探す
業種、規模、導入の経緯、初回の契約内容。
優良に分類された顧客に共通するものを探します。
共通点が見つからない場合、優良の定義が事業の実態と合っていません。
見つかった条件を、配信の条件に翻訳する
業種や規模は、配信対象として指定できることがあります。
導入の経緯や課題の種類は、検索される言葉や閲覧される内容を通じて間接的に当てます。
優良の条件と、獲得への反映
| 見つかった条件 | 獲得への反映 | 確かめ方 |
|---|---|---|
| 特定の業種に集中 | その業種への配分を増やす | 業種別の受注単価 |
| 一定以上の規模 | 規模の条件を配信に加える | 規模別の継続期間 |
| 特定の課題が発端 | その課題を扱う情報を増やす | 初回接点の内容 |
| 複数拠点を持つ | 拠点数を絞り込みに使う | 拠点数別の取引額 |
| 紹介経由が多い | 紹介の仕組みに投資する | 経路別の継続期間 |
条件を絞りすぎると、母数が足りなくなる
優良の条件をすべて満たす相手は、市場に少数しかいません。条件の一部だけを満たす層まで広げて、配分の対象にします。
既存顧客への投資は、どう配分するのか
優良に分類された顧客へ、手厚い対応を寄せます。
全顧客に同じ対応をすると、手間のかかる相手に工数が偏ります。
定義のもう一つの目的が、既存顧客への投資の配分です。
対応の水準を分ける
専任の担当を置くか、標準の対応にするか。
定例の場を持つか、問い合わせ対応に留めるか。
分類に応じて、あらかじめ決めておきます。
分類を顧客に伝えない
社内の分類であり、顧客に開示するものではありません。
伝えると、下位に分類された顧客との関係が壊れます。
分類別の対応の水準を、項目ごとに見ていきます。
最上位については、担当の置き方は専任を置く、接点の頻度は月次の定例。
上位については、担当の置き方は主担当を決める、接点の頻度は四半期の定例。
標準については、担当の置き方はチームで対応、接点の頻度は問い合わせ対応。
下位については、担当の置き方は標準の窓口、接点の頻度は問い合わせ対応。
見込みの枠については、担当の置き方は主担当を決める、接点の頻度は半期の確認。
下位を切り捨てる話ではない
分類は、手間の配分を決めるものです。
下位の顧客にも標準の対応は維持します。
標準を下げると、評判の問題になります。
対応の水準に費用を割り当てる
分類ごとの対応にいくらかかるかを見積もります。見積もらないと、最上位への対応が青天井になります。
定義は誰が決めて、いつ見直すのか
経営と各部門で合意して決め、年に一度見直します。
マーケティング単独で決めると、営業の現場で使われません。
定義は、部門をまたぐ約束です。
決める場を作る
営業、マーケティング、カスタマー部門、経営企画。
この四者で、使う数字と閾値を決めます。
一部門で決めると、他部門は別の基準を使い続けます。
閾値を決めるときの進め方
既存顧客を並べて、上位何割を優良とするかを先に決めます。
金額の絶対値で決めると、事業の規模が変わったときに合わなくなります。
定義を決める場と、決める内容を、項目ごとに見ていきます。
判定に使う数字については、決める場は四部門の合意、見直しの頻度は年次。
各数字の重みについては、決める場は四部門の合意、見直しの頻度は年次。
優良とする範囲については、決める場は経営の承認、見直しの頻度は年次。
分類別の対応の水準については、決める場は各部門、見直しの頻度は半期。
見込み枠の期限については、決める場は経営の承認、見直しの頻度は年次。
期中に定義を変えない
期の途中で定義を変えると、施策の評価ができなくなります。
変えるなら、過去の分類も新しい定義で付け直します。
外部に分析を任せる場合
顧客データの分析を外部に任せることはできます。どの数字を使い、どこで線を引くかは自社が決めます。顧客データを外部に渡す場合の取り扱いは、掲載時点の最新の公式ガイドラインで確認してください。
定義を決めるときに、外れやすい判断
上位2割が売上の大半を占めるという経験則を、そのまま基準にすることです。
自社の分布を確かめずに割合を決めると、実態と合いません。
優良顧客の議論には、いくつか定番の思い込みがあります。
割合を先に決めてしまう
上位2割という数字を先に置いて、そこに合う顧客を選ぶ進め方があります。
自社の顧客の分布が、その形になっているとは限りません。
先に分布を見てから、線を引く位置を決めます。
大口と優良を同じものと扱う
取引額が大きい顧客が、利益に貢献しているとは限りません。
値引き率と対応工数を入れると、順位が変わります。
定義の作業で起きる外し方を、項目ごとに見ていきます。
割合を先に決めるについては、起きることは実態と合わない線引き、防ぎ方は分布を見てから決める。
取引額だけで判定するについては、起きることは手間の大きい相手が上位に来る、防ぎ方は値引き率と工数を入れる。
将来性を実績に混ぜるについては、起きることは期待値で順位が動く、防ぎ方は見込みは別枠で持つ。
分類を顧客に伝えるについては、起きることは下位との関係が壊れる、防ぎ方は社内のみで扱う。
一度決めて固定するについては、起きることは市場の変化に追随できない、防ぎ方は年次で見直す。
分類の結果が意外だった場合
想定と違う顧客が上位に来ることがあります。これは判定が間違っているのではなく、認識が実態とずれていた可能性があります。数字を疑う前に、その顧客の取引の中身を確かめます。
優良顧客の定義づくりを、どう始めるか
既存顧客を1枚に並べることからです。
並べる前に定義を議論すると、抽象的な話で終わります。
議論から始めず、データを並べてから議論します。
定義を固めるまでの作業を、項目ごとに見ていきます。
1については、やることは既存顧客の年間取引額と継続期間を並べる、期間の目安は2週間。
2については、やることは値引き率と支払い状況を追加する、期間の目安は2週間。
3については、やることは対応工数の代替になる数字を探す、期間の目安は2週間。
4については、やることは四部門で使う数字と重みを決める、期間の目安は2週間。
5については、やることは線を引く位置を分布から決める、期間の目安は1週間。
6については、やることは分類別の対応の水準を決める、期間の目安は3週間。
対応工数の代わりに使える数字
工数の記録がない場合、問い合わせ件数や訪問回数で代替します。
完全ではありませんが、順位の傾向は掴めます。
見る数字を決める
数字は説明のための仮の値です。
顧客100社のうち上位15社で売上の半分を占め、そのうち5社は値引き率が高く利益がほとんど出ていない、という状態が見えることがあります。
優良の分類が効いているかを見る数字を、項目ごとに見ていきます。
優良に分類された顧客の継続率については、見る頻度は四半期、使いどころは定義の妥当性。
優良と似た条件の新規獲得件数については、見る頻度は四半期、使いどころは獲得への反映。
分類別の対応にかかった工数については、見る頻度は半期、使いどころは配分の妥当性。
見込み枠から実績に移った件数については、見る頻度は年次、使いどころは育成の効き方。
分類の順位が入れ替わった件数については、見る頻度は年次、使いどころは定義の安定性。
分類の結果を営業に返す
分析して終わりにせず、営業の担当者に分類を共有します。
共有しないと、対応の水準が変わりません。
定義の文書を残す
どの数字を、どの重みで使い、どこで線を引いたか。
記録がないと、担当が変わったときに基準が変わります。
優良顧客の定義で判断に迷う場合は、無料相談で現状の顧客構成を一緒に見てもらうところから始められます。獲得と既存対応の配分ごと見直す段階ならWeb集客改善サービスもあります。
よくある質問
優良顧客は取引額で決めてよいですか
取引額だけで決めると、値引き率が高く対応の手間が大きい相手が上位に来ます。継続期間と値引き率を加えると順位が変わります。対応工数は記録がない場合、問い合わせ件数や訪問回数で代替します。
将来伸びそうな顧客はどう扱いますか
実績による分類とは別の枠で持ちます。成長の見込みを実績の判定に混ぜると、営業の期待値が数字に入って基準として機能しなくなります。見込み枠には期限を置き、伸びなければ実績の分類に戻します。
上位2割を優良とすればよいですか
割合を先に決めると実態と合いません。自社の顧客の分布を先に見て、線を引く位置を決めます。分布が経験則どおりの形になっているとは限りません。
分類を顧客に伝えてもよいですか
社内の分類であり、開示するものではありません。伝えると下位に分類された顧客との関係が壊れます。分類は手間の配分を決めるもので、標準の対応は全顧客に維持します。
定義は誰が決めますか
営業、マーケティング、カスタマー部門、経営企画の合意で決めます。マーケティング単独で決めると、営業の現場で別の基準が使われ続けます。見直しは年に一度で、期中には変えません。
まとめ
- 部門ごとに別の基準で使っているからです。営業は取引額、マーケティングは獲得効率、経営は利益を見ており、同じ顧客を指していません
- 取引額だけでは足りません。継続期間、利益率、手間の量を組み合わせないと、実態とずれます
- 見込みを入れると、判定が主観的になります。実績で判定し、将来性は別の枠として扱うほうが扱いやすくなります
- 優良顧客と似た条件の層に、配分を寄せられるようになります。似ている条件が特定できない場合は、定義が粗すぎます
- 優良に分類された顧客へ、手厚い対応を寄せます。全顧客に同じ対応をすると、手間のかかる相手に工数が偏ります
- 経営と各部門で合意して決め、年に一度見直します。マーケティング単独で決めると、営業の現場で使われません
- 上位2割が売上の大半を占めるという経験則を、そのまま基準にすることです。自社の分布を確かめずに割合を決めると、実態と合いません
- 既存顧客を1枚に並べることからです。並べる前に定義を議論すると、抽象的な話で終わります