
相手は価格の絶対額ではなく、何と比べた金額かで判断しています。
比較の対象を自社が示していないと、相手が勝手に選んだ基準で測られます。
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目次
目次
- 価格そのものより、価格の見え方が結果を分けるのはなぜか
- 相手が持ち込む基準
- 納得感が決まるのは、価格を見せる前か後か
- 順序が結果を変える
- 金額の根拠を、どこまで開示するのか
- 費目で示す場合
- 業種によって、納得の作り方はどう変わるのか
- 承認の段数が多い相手
- 高いと言われたとき、何を確かめるのか
- 三つの意味
- 価格を上げる場合、納得感はどう保つのか
- 既存顧客と新規で、順序を分ける
- 納得感の議論で、混同されやすいこと
- 安いことと、納得していることは違う
- 価格の説明を組み直す順番
- 比較の対象は、失注案件から取れる
- よくある質問
- まとめ
相手は価格の絶対額ではなく、何と比べた金額かで判断しています。
比較の対象を自社が示していないと、相手が勝手に選んだ基準で測られます。
価格そのものより、価格の見え方が結果を分けるのはなぜか
相手は価格の絶対額ではなく、何と比べた金額かで判断しています。
比較の対象を自社が示していないと、相手が勝手に選んだ基準で測られます。
高いという反応は、金額に対する評価ではありません。
何かと比べて高い、という相対的な評価です。
その何かを自社が用意していない場合、相手は自分で持っている基準を当てます。
その基準は、多くの場合、自社にとって不利なものです。
相手が持ち込む基準
最も安い競合の価格。
前に使っていたものの価格。
社内で作った場合の見積もり。
何もしなかった場合の費用、つまりゼロ円。
このうちゼロ円との比較が、最も厳しい基準になります。
何もしないことの損失が見えていないと、投資はすべて上乗せに見えます。
相手が使う比較の基準
| 比較の対象 | 自社にとっての有利不利 | 対処 |
|---|---|---|
| 最安の競合 | 不利 | 比較の軸を価格以外に足す |
| 前に使っていたもの | 状況による | 移行にかかる費用も並べる |
| 内製した場合 | 不利になりやすい | 必要な人員と期間を具体化 |
| 何もしない場合 | 最も不利 | 現状のまま続けた損失を示す |
| 同規模他社の相場 | 有利になりうる | 相場の水準を示す |
納得感は、金額を下げても上がらない
値引きは、高いという評価そのものは変えません。基準が動いていないので、下げた金額でまた同じ比較が起きます。納得感を作るのは、比較の基準を動かす作業です。
納得感が決まるのは、価格を見せる前か後か
前です。
価格を提示した時点で、判断の基準はすでに相手の中で固まっています。
価格の説明に時間をかけるのは、提示した後です。
しかし判断は、提示より前の段階で形作られています。
順序が結果を変える
何が課題で、放置するといくら失うのか。
この話をした後に金額を出すのと、金額を出してから効果を説明するのとでは、同じ数字でも受け取られ方が変わります。
早く価格を出せと言われたとき
相手は比較のために早く数字を欲しがります。
ここで断ると、候補から外れることがあります。
幅のある概算を出し、幅が決まる要因を同時に伝える形が現実的です。
価格提示の順序と、起きること
| 提示の順序 | 相手の受け取り方 | 起きやすいこと |
|---|---|---|
| 課題の確認より前 | 金額だけで比較される | 安い順に並べられる |
| 課題の確認の後 | 投資額として見られる | 内容の質問が増える |
| 効果の説明の後 | 回収の期間で見られる | 社内稟議が通りやすい |
| 比較候補が出揃った後 | 他社との差額で見られる | 値引き交渉になる |
概算を出す際の幅の決め方
幅が広すぎると、上限で警戒されます。狭すぎると、後で追加が出たときに信頼を失います。幅の上下がどの条件で決まるかを、同時に伝えます。
金額の根拠を、どこまで開示するのか
内訳の粒度は、相手の稟議で必要な粒度に合わせます。
原価の構造まで開示する必要はありませんが、何にいくらかかるかは示します。
価格の根拠を求められたとき、二つの答え方があります。
何にいくらかかるかを示すか、何が得られるかを示すかです。
費目で示す場合
初期費用、月額、オプション、人が動く分。
この分解は、相手の経理が予算の枠に当てるときに使われます。
分解しないと、枠に入れられません。
成果で示す場合
費用に対して何が返るかを示す方法です。
ただし成果の見込みを数字で出すと、未達のときに問題になります。
見込みを出すなら、前提条件を必ず併記します。
根拠の示し方と、適する場面
| 示し方 | 適する相手 | 注意すること |
|---|---|---|
| 費目の内訳 | 経理と予算の担当 | 原価構造までは示さない |
| 作業量の内訳 | 実務の責任者 | 工数の見積もりの根拠が要る |
| 効果の見込み | 上長と役員 | 前提条件を必ず併記 |
| 他社との比較 | 検討中の担当者 | 比較の軸を明示する |
| 段階的な導入案 | 予算枠が足りない場合 | 後半の費用も示す |
値引きの根拠も開示の対象になる
値引きをした場合、なぜ下がったのかを説明できないと、元の価格の信用が落ちます。数量、期間、時期のどれが理由かを示します。理由なく下がる価格は、最初から高かったと受け取られます。
業種によって、納得の作り方はどう変わるのか
検討期間の長さと、社内の承認の段数で変わります。
段数が多い相手ほど、金額より説明のしやすさが効きます。
同じ商材でも、相手の業種や規模で納得の作られ方が違います。
承認の段数が多い相手
大企業では、金額が上がるほど承認者が増えます。
最終の承認者は、その分野に詳しくありません。
ここでは、一文で説明できる形になっているかが効きます。
意思決定が速い相手
少人数の組織では、判断が一人で完結します。
ここでは、金額の妥当性より、すぐ始められるかが効きます。
相手の組織と、効く材料
| 相手の性質 | 判断の速さ | 効く材料 |
|---|---|---|
| 承認の段数が多い | 遅い | 一文で説明できる要約と比較表 |
| 専門部署がある | 中程度 | 技術的な条件と運用の設計 |
| 意思決定が一人 | 速い | 開始までの期間と最小の構成 |
| 毎年予算を組む | 時期依存 | 期の枠に合う金額の刻み方 |
| 外部委託の経験が多い | 速い | 他社との違いが分かる軸 |
規制のある業種では、確認の工程が入る
医療や金融など、表現や取り扱いに制約のある業種では、社内の審査が入ります。この工程の分だけ期間が延びます。制約の内容は、掲載時点の最新の公式ガイドラインで確認してください。
高いと言われたとき、何を確かめるのか
予算の枠に入らないのか、投資の価値が伝わっていないのかを分けます。
この二つは対処が正反対です。
高いという言葉には、少なくとも三つの意味があります。
どれなのかを確かめないまま値引きすると、間違った対処になります。
三つの意味
予算の枠に物理的に入らない。
価値は分かるが、他の投資と比べて優先度が低い。
そもそも価値が伝わっていない。
一つ目なら、金額の刻み方や時期の調整で解けます。
二つ目は、他の投資との比較の話になります。
三つ目は、値引きしても解決しません。
高いと言われた理由と、次の一手を、項目ごとに見ていきます。
予算の枠に入らないについては、確かめ方は枠の金額を聞く、次の一手は段階的な構成か時期の調整。
他の投資と競合については、確かめ方は何と比べているかを聞く、次の一手は比較の軸を事業の数字に寄せる。
価値が伝わっていないについては、確かめ方は何のために導入するかを聞き直す、次の一手は課題の確認からやり直す。
社内で説明できないについては、確かめ方は承認者と観点を聞く、次の一手は説明用の材料を渡す。
交渉の前振りについては、確かめ方は条件の提示を待つ、次の一手は条件を明示して応じるか決める。
値引きに応じる場合の条件
金額を下げるなら、相手からも何かを得ます。契約期間、支払い条件、事例としての公開、紹介。何も得ずに下げると、次の商談でも同じことが起きます。
価格を上げる場合、納得感はどう保つのか
提供する内容の変化と、値上げの時期を先に伝えます。
黙って上げると、既存顧客は理由を価格以外に求めます。
費用の上昇は、多くの事業で起きています。
価格の見直しは避けられませんが、伝え方で結果が変わります。
既存顧客と新規で、順序を分ける
新規の提示価格を先に上げ、既存は次の更新から。
この順序にすると、既存顧客には猶予が生まれます。
同時に上げると、既存顧客の離反が集中します。
理由を費用の上昇だけにしない
原価が上がったという説明は、相手にとって自社の事情です。
提供する内容がどう変わるのかを併せて示します。
値上げを伝える手順を、項目ごとに見ていきます。
1については、やることは値上げの幅と時期を社内で決める、相手は社内。
2については、やることは既存顧客への通知の文面を作る、相手は社内。
3については、やることは新規の提示価格を先に切り替える、相手は新規。
4については、やることは既存顧客に更新時期の前に通知する、相手は既存。
5については、やることは離反した場合の対応を決めておく、相手は社内。
離反の見込みを先に置く
値上げをすれば、一定数は離れます。何パーセントまでなら許容するかを、先に決めておきます。決めていないと、離反が出た時点で値上げが撤回されます。
納得感の議論で、混同されやすいこと
納得感と、安さは別のものです。
価格に納得している顧客が、最も安い会社を選んでいるとは限りません。
価格の話をすると、議論が値下げに収束しがちです。
前提を整理しておきます。
安いことと、納得していることは違う
安いという理由で選ばれた顧客は、より安い選択肢が出た時点で離れます。
納得して選ばれた顧客は、金額差があっても残ります。
この違いは、継続率の差として後から出てきます。
価格表を公開するかどうか
公開すると、比較の土俵に乗りやすくなります。
同時に、金額だけで足切りされる相手も増えます。
公開の可否は、商材の性質と、問い合わせの量で決まります。
価格の扱いで混同されることを、項目ごとに見ていきます。
安ければ納得されるについては、実際のところは安さは比較の一軸でしかない、判断の基準は継続率で確かめる。
値引きで納得感が上がるについては、実際のところは基準が動かないため上がらない、判断の基準は再交渉の頻度で確かめる。
価格公開は不利については、実際のところは問い合わせの質が変わる、判断の基準は商談化率で確かめる。
高いは常に拒否については、実際のところは三つの異なる意味がある、判断の基準は理由を聞いて分ける。
同業の相場に合わせるべきについては、実際のところは相場は比較の基準の一つ、判断の基準は自社の提供内容との対応。
営業個人の裁量を、どこまで認めるか
値引きの裁量を営業個人に持たせると、価格がばらつきます。ばらつきは、顧客どうしが情報交換したときに問題になります。裁量の幅と、承認が要る水準を決めておきます。
価格の説明を組み直す順番
比較の基準が何になっているかを調べるところからです。
基準が分からないまま金額を触ると、同じ議論が繰り返されます。
価格そのものを変える前に、比較の構造を確かめます。
価格の説明を作り直す段取りを、項目ごとに見ていきます。
1については、やることは失注案件で何と比較されたかを集める、期間の目安は3週間。
2については、やることは高いと言われた理由を三つに分類する、期間の目安は2週間。
3については、やることは提示の順序を確認し、課題の確認を前に置く、期間の目安は2週間。
4については、やることは社内向けの費目の内訳を整える、期間の目安は2週間。
5については、やることは値引きの裁量と承認の水準を決める、期間の目安は2週間。
6については、やることは説明の順序を営業で揃える、期間の目安は3週間。
比較の対象は、失注案件から取れる
受注した案件では、比較の話が出ません。
失注案件で、何と比べられて負けたかを聞きます。
この情報が、納得感を作る材料の出発点になります。
見る数字を決める
数字は説明のための仮の値です。
失注20件のうち、価格が理由と報告されたものが12件あっても、実際に他社の金額と比べていたのは5件という場合があります。
残りは、価値が伝わっていなかった案件です。
価格の納得感を測る数字を、項目ごとに見ていきます。
値引き後に受注した案件の割合については、見る頻度は四半期、使いどころは値引きへの依存度。
提示額からの平均の値引き率については、見る頻度は四半期、使いどころは価格の妥当性。
価格が理由の失注の件数については、見る頻度は四半期、使いどころは比較の基準の問題。
継続率と契約単価の関係については、見る頻度は半期、使いどころは納得して選ばれているか。
再交渉が発生した案件の割合については、見る頻度は四半期、使いどころは説明の順序の問題。
価格の情報は、社内で一元化する
営業ごとに違う説明をしていると、顧客側で矛盾が見えます。
提示の考え方と、値引きの条件を文書にして共有します。
年に一度は基準を見直す
比較の対象は市場の変化で入れ替わります。
昨年の比較表をそのまま使い続けると、実態から離れます。
価格の伝え方で判断に迷う場合は、無料相談で現状の提示の仕方を見てもらうところから始められます。提案から受注までの設計ごと見直す段階ならWeb集客改善サービスもあります。
よくある質問
高いと言われたら、まず何を確かめればよいですか
予算の枠に入らないのか、他の投資と比べて優先度が低いのか、価値が伝わっていないのかを分けます。三つ目の場合は値引きしても解決しません。理由を聞かずに金額を下げると、同じ議論が繰り返されます。
価格はいつ提示するのがよいですか
課題の確認と、放置した場合の見込みを話した後です。提示した時点で判断の基準は相手の中で固まっています。早く数字を求められる場合は、幅のある概算と、幅が決まる条件を同時に伝えます。
費用の内訳はどこまで開示しますか
相手の稟議で必要な粒度に合わせます。原価の構造までは示しませんが、初期と継続、オプションといった費目の分解は必要です。分解しないと、相手の経理が予算の枠に当てられません。
値引きをする場合に気をつけることはありますか
下がった理由を説明できる形にします。数量、期間、時期のどれが理由かを示さないと、元の価格の信用が落ちます。金額を下げるなら、契約期間や事例の公開など、相手からも何かを得ます。
値上げのときは既存顧客にどう伝えますか
新規の提示価格を先に切り替え、既存は更新時期の前に通知します。同時に上げると離反が集中します。原価上昇だけを理由にせず、提供する内容がどう変わるかを併せて示します。
まとめ
- 相手は価格の絶対額ではなく、何と比べた金額かで判断しています。比較の対象を自社が示していないと、相手が勝手に選んだ基準で測られます
- 前です。価格を提示した時点で、判断の基準はすでに相手の中で固まっています
- 内訳の粒度は、相手の稟議で必要な粒度に合わせます。原価の構造まで開示する必要はありませんが、何にいくらかかるかは示します
- 検討期間の長さと、社内の承認の段数で変わります。段数が多い相手ほど、金額より説明のしやすさが効きます
- 予算の枠に入らないのか、投資の価値が伝わっていないのかを分けます。この二つは対処が正反対です
- 提供する内容の変化と、値上げの時期を先に伝えます。黙って上げると、既存顧客は理由を価格以外に求めます
- 納得感と、安さは別のものです。価格に納得している顧客が、最も安い会社を選んでいるとは限りません
- 比較の基準が何になっているかを調べるところからです。基準が分からないまま金額を触ると、同じ議論が繰り返されます