
記録の起点が問い合わせだからです。
問い合わせの前に何が起きて相手が動き出したのかは、どこにも保存されていません。
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目次
目次
- 検討が始まった瞬間が、社内に残らないのはなぜか
- 記録が始まる位置が、実際の起点より後ろにある
- きっかけは、社内で起きるものと外から来るものに分かれる
- 社内で発生するきっかけ
- きっかけは、いつ誰に聞くのが確実か
- 最初に動いた人を特定する
- 語られたきっかけを、記録で裏づける
- 照合に使える記録
- きっかけの種類で、当てる手段が変わる
- 待ち受け型の手段
- きっかけが起きる時期に、予算を寄せる
- 発生の山を探す
- きっかけの読み違いは、どこで起きるか
- 最後の接点を原因と見る
- きっかけの調査を、どこから始めるか
- 固定する3問を決める
- よくある質問
- まとめ
記録の起点が問い合わせだからです。
問い合わせの前に何が起きて相手が動き出したのかは、どこにも保存されていません。
検討が始まった瞬間が、社内に残らないのはなぜか
記録の起点が問い合わせだからです。
問い合わせの前に何が起きて相手が動き出したのかは、どこにも保存されていません。
広告の効果測定は、問い合わせから遡って組み立てられています。
最後にクリックされた広告、その前に見たページ、流入したチャネル。
この経路は記録されます。
しかし相手の中でそろそろ何とかしないといけないと決まった瞬間は、この経路の外側にあります。
検索する前に、すでに動機は出来上がっています。
記録が始まる位置が、実際の起点より後ろにある
検討開始から問い合わせまでに、数週間から数か月の空白があります。
この空白の中で相手が何を経験したかを、自社は知りません。
知らないまま、空白の後ろ側だけを見て予算を配分しています。
検討開始の記録が残らない場所
| 段階 | 相手に起きていること | 自社に残る記録 |
|---|---|---|
| 課題の発生 | 社内で問題が顕在化する | 何も残らない |
| 情報の収集開始 | 同僚や知人に聞く | 何も残らない |
| 検索の開始 | 一般名詞で調べ始める | 流入としてのみ残る |
| 比較の開始 | 候補を並べる | 一部の接触が残る |
| 問い合わせ | 連絡してくる | ここから全部残る |
空白を埋めないと、投資の順番が決まらない
問い合わせ直前の接点だけを見ると、指名検索やリターゲティングの数字が良く見えます。
これらは、すでに動き出した相手を刈り取っているだけです。
動き出す相手の総数を増やす手段には、投資の根拠が付きません。
きっかけを掴むのは、営業の仕事ではない
営業は、目の前の案件を進めるために話を聞きます。なぜ今なのかは聞いても、記録に残す動機がありません。マーケティング側が、意図を持って集めない限り集まりません。
きっかけは、社内で起きるものと外から来るものに分かれる
発生源が違えば、当てられる手段も変わります。
社内で起きるきっかけは予測しにくく、外から来るきっかけは自社で作れます。
きっかけを一括りにすると、打ち手に翻訳できません。
どこで発生したのかで分けます。
社内で発生するきっかけ
人事異動、組織改編、期初の方針決定、既存の取引先とのトラブル。
これらは相手の社内事情なので、自社からは見えません。
発生のタイミングだけは、業界の慣習からある程度推測できます。
外から来るきっかけ
法令や業界ルールの変更、競合の動き、取引先からの要請、メディアでの話題化。
これらは複数の企業に同時に効きます。
自社が情報の出し手になることで、きっかけそのものを作れる場合があります。
きっかけの発生源と現れ方
| 発生源 | 例 | 自社から働きかけられるか |
|---|---|---|
| 相手の社内事情 | 担当者の交代、期初の方針変更 | できない |
| 相手の事業の変化 | 拠点の増加、新商材の立ち上げ | 部分的にできる |
| 外部環境の変化 | ルール変更、市場の縮小 | 情報提供の形でできる |
| 取引関係の問題 | 既存先への不満、契約更新期 | できる |
| 第三者からの推奨 | 同業他社の事例、知人の紹介 | 間接的にできる |
分けたうえで、自社が関与できる範囲を確認する
きっかけの大半は、自社が作ったものではありません。そこに落胆する必要はありません。関与できない領域には、発生したときに気づく仕組みを置けば足ります。
きっかけは、いつ誰に聞くのが確実か
受注直後に、社内で最初に動いた人へ聞きます。
窓口担当者は途中から参加していることがあり、発端を知らない場合があります。
聞く相手と時機を間違えると、後付けの説明が返ってきます。
最初に動いた人を特定する
問い合わせをしてきた人が、社内で最初に問題意識を持った人とは限りません。
上司の指示で調べ始めたのか、自分で気づいたのか。
この一問を入れるだけで、遡る先が変わります。
記憶が薄れる前に聞く
検討開始から受注まで数か月かかっている場合、当時の状況は本人の中でも整理し直されています。
受注直後であれば、まだ細部が残っています。
時間が空くほど、きれいな筋書きに置き換わります。
きっかけを聞く相手と時機
| 相手 | 聞ける内容 | 適した時機 |
|---|---|---|
| 社内で最初に動いた人 | 発端そのもの | 受注直後 |
| 窓口担当者 | 検討の進み方 | 受注直後 |
| 決裁者 | 承認した理由 | 受注から1か月以内 |
| 失注した相手 | 動いた理由と止まった理由 | 失注から2週間以内 |
| 契約更新の顧客 | 当時を振り返った説明 | 更新の商談時 |
失注した相手にも、きっかけはある
失注は、きっかけがなかったという意味ではありません。動き出したが、自社が選ばれなかっただけです。きっかけの調査としては、受注と同じ価値があります。
語られたきっかけを、記録で裏づける
本人の説明は、後から整理された物語になりがちです。
社内の接触記録と突き合わせると、実際の起点が前後にずれていることが分かります。
インタビューで得た内容を、そのまま採用しません。
自社側に残っている記録と照合します。
照合に使える記録
初回の流入日時、資料請求の履歴、メールの開封、展示会での名刺交換。
これらは日付が残ります。
本人が3か月前に調べ始めたと言っていても、記録上は1年前に接触している場合があります。
申告と記録の突き合わせ方
| 申告された内容 | 照合する記録 | ずれが示すこと |
|---|---|---|
| 調べ始めた時期 | 初回流入の日付 | 検討が実際はもっと長い |
| 知った経路 | 流入チャネルの履歴 | 認知と検討開始が別物 |
| 比較した社数 | 問い合わせ前の閲覧ページ | 比較が浅い、または深い |
| 社内で決めた時期 | 問い合わせから商談までの間隔 | 社内調整に要した時間 |
ずれたときに、どちらを採るか
記録は、接触した事実しか示しません。
本人の意識としていつ動き出したかは、本人の申告にしかありません。
両方を残し、片方だけで結論を出さないようにします。
件数が少ないうちは、傾向を断定しない
数件のインタビューで見えたものは仮説です。同じ問いを四半期分ためてから、頻度の高いきっかけを絞ります。
きっかけの種類で、当てる手段が変わる
社内事情が発端なら、発生を待ち受ける設計にします。
外部環境が発端なら、自社が最初に説明する側に回ります。
きっかけを分類したら、それぞれに合う手段を割り当てます。
待ち受け型の手段
相手の社内で何かが起きたとき、思い出してもらう必要があります。
名前を知られていること、探したときに見つかることが条件になります。
ここに効くのは、継続的な露出と、検索されたときの受け皿です。
働きかけ型の手段
外部環境の変化は、複数の企業に同時に影響します。
その変化が自社の顧客層にとって何を意味するかを、最初に説明した会社が相談先になります。
ここに効くのは、変化の解説と、影響範囲を示す情報です。
きっかけ別の当て方を、項目ごとに見ていきます。
担当者の交代については、主な手段は継続露出と指名時の受け皿、効果が出るまでは長い。
期初の方針変更については、主な手段は時期を合わせた提案、効果が出るまでは時期依存。
外部ルールの変更については、主な手段は変化の解説と個別相談、効果が出るまでは短い。
既存取引先への不満については、主な手段は比較の材料の提供、効果が出るまでは中程度。
同業の事例を見たについては、主な手段は事例の公開と露出、効果が出るまでは中程度。
外部環境の変化は、規制に関わる場合がある
制度やルールの変更を扱うときは、条文の解釈を自社で断定しません。掲載時点の最新の公式ガイドラインで確認してください、という案内に揃えます。自治体によって運用が異なる制度は、自治体の窓口で確認してくださいと併記します。
きっかけが起きる時期に、予算を寄せる
きっかけの発生には季節性があります。
年間の予算を均等に割るのをやめ、発生が集中する時期に厚く置きます。
きっかけの種類が分かると、いつ増えるかが見えてきます。
発生の山を探す
期初、年度末、法令の施行時期、業界の展示会の前後。
自社の受注を、検討開始の月で並べ直すと山が見えます。
問い合わせの月で並べると、この山は平らにならされてしまいます。
きっかけの時期と予算の寄せ方を、項目ごとに見ていきます。
期初については、起きやすいきっかけは方針変更と新規の枠の確保、予算の置き方は前倒しで厚く。
年度末については、起きやすいきっかけは予算消化と翌期の準備、予算の置き方は提案型に寄せる。
ルール変更の直前については、起きやすいきっかけは対応の必要性が顕在化、予算の置き方は解説の露出を増やす。
展示会の前後については、起きやすいきっかけは比較検討の集中、予算の置き方は受け皿を整える。
閑散期については、起きやすいきっかけは発生が少ない、予算の置き方は認知の積み上げに回す。
均等配分をやめるときの説明
予算を月で割るのは、説明が簡単だからです。
寄せる場合は、なぜその月なのかを検討開始月の分布で示します。
根拠なく動かすと、未達のときに配分が原因にされます。
寄せすぎない範囲を決める
きっかけの山は年によってずれます。全額を山に寄せると、ずれたときに取り返せません。年間予算の一定割合は、通年で動かす枠として残します。
きっかけの読み違いは、どこで起きるか
最後の接点をきっかけと取り違えるのが最も多い誤りです。
指名検索は、きっかけの結果であって原因ではありません。
きっかけの特定は、因果を扱う作業です。
順序を間違えると、逆の結論が出ます。
最後の接点を原因と見る
問い合わせ直前に指名検索があった場合、指名検索がきっかけに見えます。
実際には、その前に何かが起きて名前を思い出しています。
指名検索の数を増やす施策を打っても、発端は増えません。
言いやすい理由が、上位に集まる
ホームページを見てという回答は、相手にとって説明が楽な答えです。
その手前で何があったかを聞かないと、ここで止まります。
きっかけの読み違いが起きる型を、項目ごとに見ていきます。
指名検索が起点については、見えている事実は直前に社名で検索、実際に起きていることはそれ以前に想起の理由がある。
広告が起点については、見えている事実は広告経由で流入、実際に起きていることはすでに探していた。
紹介が起点については、見えている事実は知人から名前を聞いた、実際に起きていることは紹介の前に課題があった。
展示会が起点については、見えている事実は会場で名刺交換、実際に起きていることは来場自体が検討の結果。
価格が起点については、見えている事実は価格を見て問い合わせ、実際に起きていることは比較の段階に入っていた。
自社が作れないきっかけを、無理に作ろうとしない
相手の社内事情は、自社の施策で発生させられません。発生したときに選ばれる準備をするのが、現実的な対応です。
きっかけの調査を、どこから始めるか
直近で受注した案件の一次情報からです。
聞く内容を固定し、四半期分ためてから傾向を出します。
一度の調査で結論を出す設計にしません。
継続して同じ問いを当て続ける形にします。
きっかけ調査の進行手順を、項目ごとに見ていきます。
1については、やることは聞く質問を3問に固定する、期間の目安は1週間。
2については、やることは直近3か月の受注案件に聞く、期間の目安は3週間。
3については、やることは申告内容を接触記録と突き合わせる、期間の目安は2週間。
4については、やることは失注案件にも同じ質問を当てる、期間の目安は4週間。
5については、やることは発生源で分類して件数を数える、期間の目安は1週間。
6については、やることは検討開始月で受注を並べ直す、期間の目安は1週間。
固定する3問を決める
いつ動き出したか。
何が起きて動き出したか。
社内で最初に動いたのは誰か。
この3問を、商談の記録欄に固定項目として置きます。
見る数字を決める
数字は説明のための仮の値です。
受注20件のうち、外部環境の変化が発端だったものが8件あれば、その変化を扱う情報への投資が正当化されます。
きっかけ把握の到達度を見る数字を、項目ごとに見ていきます。
発端を記録できた案件の割合については、見る頻度は毎月、使いどころは調査が回っているか。
きっかけの分類別の件数については、見る頻度は四半期、使いどころは投資先の判断。
検討開始から問い合わせまでの日数については、見る頻度は四半期、使いどころは接点設計の期間。
発生源が社外だった案件の割合については、見る頻度は四半期、使いどころは働きかけの余地。
同じきっかけの再現回数については、見る頻度は半期、使いどころは施策化の可否。
記録を営業の負担にしない
自由記述を増やすと入力されなくなります。
選択肢を用意し、当てはまらないものだけ自由記述にします。
分類は年に一度見直す
きっかけの種類は、市場の変化で入れ替わります。
選択肢を固定したまま数年使うと、実態が拾えなくなります。
検討のきっかけがどこにあるか分からない場合は、無料相談で現状の記録を一緒に見てもらうところから始められます。接点の設計ごと見直す段階ならWeb集客改善サービスもあります。
よくある質問
検討のきっかけは、どうやって聞き出せばいいですか
受注直後に、社内で最初に動いた人へ聞きます。窓口担当者は途中から参加している場合があり、発端を知らないことがあります。質問は3問程度に固定し、商談記録の項目として残します。
指名検索が増えているので、それがきっかけと考えてよいですか
指名検索は、きっかけの結果として起きる行動です。名前を思い出す理由がその前にあります。指名検索の数を増やす施策だけでは、動き出す相手の総数は増えません。
失注した相手にもきっかけを聞く意味はありますか
あります。失注は、きっかけがなかったのではなく、動き出したうえで自社が選ばれなかった状態です。きっかけの調査としては受注案件と同じ価値があります。
きっかけが自社で作れないものばかりでした
多くの場合そうなります。相手の社内事情は自社の施策では発生させられません。発生したときに思い出され、探したときに見つかる状態を作るのが現実的な対応です。
予算を特定の時期に寄せる判断は、どう説明しますか
受注を問い合わせ月ではなく検討開始月で並べ直し、発生の山を示します。問い合わせ月で見ると山が平らになるため、寄せる根拠が出ません。年によってずれるので、全額を寄せず通年の枠を残します。
まとめ
- 記録の起点が問い合わせだからです。問い合わせの前に何が起きて相手が動き出したのかは、どこにも保存されていません
- 発生源が違えば、当てられる手段も変わります。社内で起きるきっかけは予測しにくく、外から来るきっかけは自社で作れます
- 受注直後に、社内で最初に動いた人へ聞きます。窓口担当者は途中から参加していることがあり、発端を知らない場合があります
- 本人の説明は、後から整理された物語になりがちです。社内の接触記録と突き合わせると、実際の起点が前後にずれていることが分かります
- 社内事情が発端なら、発生を待ち受ける設計にします。外部環境が発端なら、自社が最初に説明する側に回ります
- きっかけの発生には季節性があります。年間の予算を均等に割るのをやめ、発生が集中する時期に厚く置きます
- 最後の接点をきっかけと取り違えるのが最も多い誤りです。指名検索は、きっかけの結果であって原因ではありません
- 直近で受注した案件の一次情報からです。聞く内容を固定し、四半期分ためてから傾向を出します