マーケと情シスの連携

判断の基準が違うからです。
マーケティングは機会を逃さないことを、情報システムは事故を起こさないことを優先します。
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目次
目次
- マーケティングの施策が情報システム部門で止まるのはなぜか
- 片方は機会損失を、片方は事故を数える
- 両部門が見ているものは、どう違うのか
- 導入は一度、運用は続く
- サイトに手を入れるとき、何が論点になるのか
- 足す仕組みの数が、積み上がる
- ツールを導入するとき、審査は何を見ているのか
- 機能の説明を厚くしても、審査は進まない
- 顧客のデータを扱うとき、どこで線を引くのか
- 渡す場面を、先に列挙しておく
- 先に決めておくと、毎回の審査が軽くなるもの
- 範囲を決めて、その中は届出だけにする
- 外部の代理店が関わるときは、何が変わるのか
- 代理店の依頼を、そのまま通さない
- 情シスとつなぐ順序
- 棚卸しを、交渉の材料にする
- よくある質問
- まとめ
判断の基準が違うからです。
マーケティングは機会を逃さないことを、情報システムは事故を起こさないことを優先します。
マーケティングの施策が情報システム部門で止まるのはなぜか
判断の基準が違うからです。
マーケティングは機会を逃さないことを、情報システムは事故を起こさないことを優先します。
計測の設定を1つ入れるだけで数週間かかる。
ツールを1つ導入するのに半年かかる。
こうした状況は、担当者の怠慢ではなく、部門の役割の違いから生まれます。
片方は機会損失を、片方は事故を数える
マーケティングは、遅れた分だけ機会を失うと考えます。
情報システムは、1件の事故が事業全体に及ぶと考えます。
どちらも部門としては正しい判断です。
止まっているのではなく、優先順位が低い
情報システム部門は、社内のあらゆる部署からの依頼を受けています。
マーケティングの依頼は、業務システムの障害対応より優先度が下がります。
止められているのではなく、順番待ちであることが多くあります。
両部門の判断の違い
| 論点 | マーケティングの見方 | 情報システムの見方 |
|---|---|---|
| 速さ | 遅れると機会を失う | 急ぐと確認が抜ける |
| 新しいツール | 試してみないと分からない | 導入したら運用が続く |
| 外部への接続 | できることが増える | 情報が外に出る経路が増える |
| データの収集 | 多いほど判断の精度が上がる | 保有するほど責任が増える |
| 設定の変更 | 小さな変更 | 影響範囲の確認が要る |
依頼の出し方で、所要期間が変わる
同じ内容でも、情報が揃っている依頼は早く進みます。
何を確認したいかを先に把握しておくと、往復が減ります。
対立ではなく、情報の非対称
両部門が争っているわけではありません。相手が何を確認する必要があるかを、互いに知らない状態です。
両部門が見ているものは、どう違うのか
時間の単位と、責任の範囲が違います。
マーケティングは四半期で、情報システムは数年の単位で考えます。
依頼が通りにくい背景には、時間の見方の差があります。
導入は一度、運用は続く
マーケティングにとって、ツールの導入は1回の作業です。
情報システムにとっては、その後の運用、更新、障害対応が続きます。
責任は、部門をまたいで移らない
情報が外に出る事故が起きたとき、責任を問われるのは情報システム部門です。
導入を求めた部門ではありません。
この非対称が、慎重な判断の理由になります。
時間の見方の違い
| 対象 | マーケティングが見る期間 | 情報システムが見る期間 |
|---|---|---|
| ツールの導入 | 導入までの数週間 | 導入後の数年 |
| 計測の設定 | 設定した直後の数字 | 設定が残り続ける影響 |
| 外部との接続 | 接続している期間 | 解約後のデータの残り方 |
| データの蓄積 | 分析に使う期間 | 保管と削除の責任が続く期間 |
| 担当者の交代 | 引き継ぎの期間 | 設定を誰も知らなくなるリスク |
誰も知らない設定が、いちばん困る
過去に入れた計測の仕組みが、何のためのものか分からなくなる。
この状態が情報システム部門にとって最も扱いにくくなります。
だから、新しいものを入れるときに用途と期限を求められます。
期限を添えると、通りやすくなる
いつまで使うか、使わなくなったらどうするかを添えます。これだけで、判断の負荷が下がります。
サイトに手を入れるとき、何が論点になるのか
表示の速度と、動作への影響と、情報が外に出る経路です。
計測の仕組みを足すことは、この3つすべてに関わります。
自社サイトへの変更は、最も頻繁に発生する依頼です。
足す仕組みの数が、積み上がる
計測や広告のための仕組みは、1つずつは小さなものです。
数年経つと、何十も入っている状態になります。
表示が遅くなり、どれが必要か分からなくなります。
サイトへの変更で確認されること
| 確認すること | マーケティング側が用意するもの |
|---|---|
| 何のために入れるか | 用途と、それがないと何ができないか |
| いつまで使うか | 期限と、使わなくなったときの手順 |
| どこに情報が送られるか | 接続先と、送られる内容 |
| 表示への影響 | 読み込みの方式と想定される影響 |
| 既存のものと重複しないか | 現在入っている仕組みの一覧 |
一覧を持っているのは、どちらか
いま何が入っているかの一覧を、マーケティング側が持っていないことがあります。
持っていないと、重複の確認ができません。
一覧の維持を、どちらの部門が担うかを決めます。
棚卸しを、定期の作業にする
年に1回、入っている仕組みを全部並べて、使っていないものを外します。この作業を定例にすると、新しい依頼が通りやすくなります。
ツールを導入するとき、審査は何を見ているのか
情報がどこに保管され、誰が触れ、解約時にどうなるかです。
機能の良し悪しは、審査の論点ではありません。
ツールの導入が長引くのは、審査の項目を知らないまま申請するからです。
機能の説明を厚くしても、審査は進まない
申請の資料に機能の比較を並べても、審査の判断材料にはなりません。
求められているのは、情報の扱いに関する項目です。
導入の審査で見られる項目
| 項目 | 確認される内容 |
|---|---|
| 情報の保管場所 | どこに保管されるか |
| 接続する範囲 | 自社のどの情報につながるか |
| 権限の管理 | 誰が何を見られるか、権限を管理できるか |
| 解約時の扱い | 解約後にデータがどうなるか |
| 提供元の体制 | 障害時の連絡と対応の仕組み |
| 既存のツールとの重複 | 同じ用途のものがすでにないか |
提供元に、先に確認しておく
上の項目は、提供元に聞けば分かります。
申請の前に揃えておくと、審査の往復が1回で済みます。
既存のツールとの重複を、自分で確認する
社内にすでに同じ用途のツールがあることがあります。
部署ごとに別のものを契約している状態は珍しくありません。
先に確認すると、審査が不要になることもあります。
重複していた場合の扱いを、決めておく
既存のものを使うか、新しいものに一本化するか。この判断は、契約の時期と費用で決まります。
顧客のデータを扱うとき、どこで線を引くのか
自社が保有するデータを外部に渡す場面が、最も確認の要る局面です。
渡す前に、社内の取り決めと外部の条件の両方を確認します。
広告の配信では、自社が持つ顧客のデータを使う場面があります。
この領域は、両部門で認識を揃えておく必要があります。
渡す場面を、先に列挙しておく
どの施策で、どのデータを、どこに渡すか。
これを一覧にしておくと、都度の確認が不要になります。
確認が必要になる場面を、項目ごとに見ていきます。
自社の顧客データを媒体に渡すについては、確認することは渡す範囲と、取得時の説明との整合。
外部のツールに顧客情報を連携するについては、確認することは保管場所と権限の管理。
代理店にデータを共有するについては、確認することは再委託の範囲と秘密保持。
計測の同意の扱いを変更するについては、確認することは取得している同意の内容との整合。
海外の事業者のサービスを使うについては、確認することはデータの保管先。
同意の扱いは、外部の方針で変わる
計測や広告のデータ共有の条件は、提供元の方針変更で変わります。
GA4では、2026年6月15日より広告データ共有の可否が同意モードのad_storageのみで決まる形になりました。
同意モードを実装していない場合、ad_storageはgrantedが既定として扱われます。
こうした変更があると、自社の設定が意図と合っているかを確認する必要が出ます。
変更の通知を誰が受け取り、誰が判断するかを決めておきます。
制度の確認は、公式の情報で行う
個人に関わるデータの取り扱いの要件は、掲載時点の最新の公式ガイドラインで確認してください。業種や取り扱う情報によって条件が異なるため、自社の状況に当てはめた確認が必要です。
先に決めておくと、毎回の審査が軽くなるもの
基準と、事前に承認された範囲です。
案件ごとに一から審査すると、毎回同じ時間がかかります。
連携の改善は、個別の依頼を早くすることではありません。
審査そのものを減らすことです。
範囲を決めて、その中は届出だけにする
金額、接続の範囲、扱うデータの種類。
この3つで基準を作り、範囲内なら届出だけで進める形にします。
事前に決めておく取り決めを、項目ごとに見ていきます。
届出だけで進められる範囲については、内容の例は既存ツール内の設定変更、効果は都度の審査が不要になる。
簡易な確認で進められる範囲については、内容の例は顧客情報を扱わないツールの追加、効果は数日で進む。
正式な審査が必要な範囲については、内容の例は顧客情報を外部に渡す施策、効果は時間を見込んで計画する。
一覧の維持の担当については、内容の例はサイトに入っている仕組みの管理、効果は重複を防ぐ。
定期の棚卸しの時期については、内容の例は年1回、効果は不要なものが残らない。
窓口を1人に決める
両部門にそれぞれ窓口を置きます。
依頼のたびに担当が変わると、前提の説明から始まります。
定例の場を、月に1回持つ
依頼が発生してから接触するのではなく、定期的に予定を共有します。先の計画が分かっていれば、情報システム側も工数を確保できます。
外部の代理店が関わるときは、何が変わるのか
確認の対象が1つ増えます。
代理店が使う仕組みや接続も、自社の審査の対象になります。
代理店に運用を任せていると、設定の変更は代理店から依頼されます。
この場合、社内の審査をどう通すかが問題になります。
代理店の依頼を、そのまま通さない
代理店から来た依頼を、マーケティング部門が中身を理解せずに情報システムへ回すことがあります。
この形だと、確認の質問に答えられず往復が増えます。
代理店が関わるときの整理を、項目ごとに見ていきます。
依頼された設定の用途については、誰が確認するかはマーケティングが代理店に確認する。
接続先と送られる内容については、誰が確認するかはマーケティングが代理店に確認する。
既存のものとの重複については、誰が確認するかはマーケティングが一覧で確認する。
情報の取り扱いの条件については、誰が確認するかは情報システムが審査する。
代理店の再委託先の有無については、誰が確認するかはマーケティングが契約で確認する。
アカウントの権限を、誰が管理するか
代理店に付与している権限の管理は、マーケティング部門の責任範囲です。
担当が交代したときに、不要な権限が残らない仕組みを作ります。
依頼の様式を、代理店に指定する
情報システムが確認する項目を、代理店への依頼様式に組み込みます。代理店の側で情報を揃えてもらえば、社内の往復が減ります。
情シスとつなぐ順序
いま何が入っているかの一覧を作るところからです。
現状が把握できていない状態では、基準の議論ができません。
連携の改善は、依頼を早くしてもらう交渉ではありません。
確認に必要な情報を、先に用意する仕組みを作る作業です。
情シスとつなぐ順序を、項目ごとに見ていきます。
1については、やることはサイトに入っている計測と広告の仕組みを一覧にする、期間の目安は2週間。
2については、やることは部門で契約しているツールを全部書き出す、期間の目安は1週間。
3については、やることは使っていないものを特定し、外す、期間の目安は1か月。
4については、やることは両部門に窓口を1人ずつ置く、期間の目安は1週間。
5については、やることは届出だけで進める範囲の基準を決める、期間の目安は1か月。
6については、やることは顧客データを外部に渡す場面を一覧にする、期間の目安は2週間。
7については、やることは代理店への依頼様式に確認項目を組み込む、期間の目安は2週間。
8については、やることは月1回の定例を設け、先の計画を共有する、期間の目安は継続。
棚卸しを、交渉の材料にする
使っていないものを外す作業は、情報システム部門にとって利益があります。
この作業を先にやると、以降の依頼が通りやすくなります。
見る数字を決める
数字は説明のための仮の値です。
たとえば依頼から実施までの平均が28日だったとします。
このうち確認の往復に14日を使っているなら、依頼時に情報を揃えることで半分に短縮できます。
連携の詰まりを測る数字を、項目ごとに見ていきます。
依頼から実施までの平均日数については、見る頻度は四半期、何が分かるかは連携が改善しているか。
確認の往復の回数については、見る頻度は依頼ごと、何が分かるかは依頼時の情報が足りているか。
届出だけで進んだ件数の割合については、見る頻度は四半期、何が分かるかは基準が機能しているか。
サイトに入っている仕組みの数については、見る頻度は年1回、何が分かるかは不要なものが増えていないか。
使っていないツールの契約数については、見る頻度は年1回、何が分かるかは棚卸しが回っているか。
往復の回数を、記録する
日数だけでは、どこが詰まっているか分かりません。
確認の往復が何回あったかを記録すると、原因が特定できます。
半年は基準を変えない
基準を作った直後は、例外の申請が出ます。
半年は運用してみて、基準そのものの見直しは後にします。
情報システム部門との進め方で詰まっている場合は、無料相談で現状の依頼の流れを見てもらうところから始められます。計測とデータの扱いごと見直す段階ならWeb集客改善サービスもあります。
よくある質問
情報システム部門に依頼すると、なぜ時間がかかるのですか
判断の基準が違うためです。マーケティングは機会損失を、情報システムは事故と導入後の運用を数えます。加えて社内の各部署からの依頼を抱えているため、順番待ちであることも多くあります。
依頼を早く通すには何をすればよいですか
用途、いつまで使うか、どこに情報が送られるか、既存のものと重複しないかの4点を依頼時に揃えてください。この情報がないと確認の往復が発生します。
ツール導入の審査では何を見られますか
情報の保管場所、接続する範囲、権限の管理、解約時のデータの扱い、提供元の体制、既存ツールとの重複です。機能の比較を厚くしても審査は進みません。
毎回の審査を軽くする方法はありますか
金額、接続の範囲、扱うデータの種類で基準を作り、範囲内は届出だけで進める形にします。あわせて両部門に窓口を1人ずつ置き、月1回の定例で先の計画を共有してください。
代理店からの設定依頼はどう扱いますか
中身を理解せずに情報システムへ回すと確認の質問に答えられず往復が増えます。用途と接続先を代理店に確認したうえで回し、情報システムが確認する項目を代理店への依頼様式に組み込んでください。
まとめ
- 判断の基準が違うからです。マーケティングは機会を逃さないことを、情報システムは事故を起こさないことを優先します
- 時間の単位と、責任の範囲が違います。マーケティングは四半期で、情報システムは数年の単位で考えます
- 表示の速度と、動作への影響と、情報が外に出る経路です。計測の仕組みを足すことは、この3つすべてに関わります
- 情報がどこに保管され、誰が触れ、解約時にどうなるかです。機能の良し悪しは、審査の論点ではありません
- 自社が保有するデータを外部に渡す場面が、最も確認の要る局面です。渡す前に、社内の取り決めと外部の条件の両方を確認します
- 基準と、事前に承認された範囲です。案件ごとに一から審査すると、毎回同じ時間がかかります
- 確認の対象が1つ増えます。代理店が使う仕組みや接続も、自社の審査の対象になります
- いま何が入っているかの一覧を作るところからです。現状が把握できていない状態では、基準の議論ができません