少人数のマーケチームが取るべき戦い方

人数ではなく、抱えている施策の数です。
3人で12の施策を回している状態は、人を1人足しても解決しません。
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目次
目次
- 少人数のチームが疲弊するのは、人数のせいなのか
- 量が多い場合と、種類が多い場合
- 同時に動かせる施策の本数には、上限がある
- 判断の時間は、作業の時間より長い
- 何を捨てるかを、どの基準で決めるのか
- 時間あたりの成果で並べ替える
- 人数が少ないほうが有利になる場面は、どこか
- 速さが効く領域を選ぶ
- 外部に出すとき、少人数のチームは何を手元に残すのか
- 出してよいのは、実行と制作
- 1人が抜けたときに止まらない状態を、どう作るのか
- 止まると困るものを、先に3つ選ぶ
- 人を増やす判断は、どの数字で下すのか
- 先に、減らした実績を作る
- 絞り込みをどこから始めるか
- 消費時間の記録は、1か月で足りる
- よくある質問
- まとめ
人数ではなく、抱えている施策の数です。
3人で12の施策を回している状態は、人を1人足しても解決しません。
少人数のチームが疲弊するのは、人数のせいなのか
人数ではなく、抱えている施策の数です。
3人で12の施策を回している状態は、人を1人足しても解決しません。
マーケティング部門が2人から4人という会社は多くあります。
その規模で手が足りないという声が出るとき、原因は2つに分かれます。
量が多いのか、種類が多いのかです。
量が多い場合と、種類が多い場合
同じ作業を大量にこなしている状態なら、人を増やすか外に出すことで解けます。
種類が多い状態は、人を増やしても解けません。
新しく入った人も、同じように多種類を抱えるからです。
種類が増える経路
施策は、やめる判断をしない限り増え続けます。
始めるときには稟議があり、やめるときには誰も止めません。
結果として、効いているか分からない施策が積み上がります。
施策が増える理由と、残り続ける理由
| きっかけ | 増えた理由 | やめられない理由 |
|---|---|---|
| 新しい媒体が出た | 試してみようとなった | 完全に成果がゼロではない |
| 他部署からの依頼 | 断る根拠がなかった | 依頼元が社内にいる |
| 経営の思いつき | 指示だった | やめる判断を誰も出さない |
| 競合がやっていた | 遅れたくなかった | やめると遅れたように見える |
| 過去の担当者の置き土産 | 引き継いだ | 止める理由を説明できない |
本数を数えるところから始める
いま動いている施策を、担当者ごとに全部書き出します。書き出すと、多くの場合は想定より多い数になります。この数が、疲弊の実態です。
同時に動かせる施策の本数には、上限がある
1人あたり、判断を伴う施策は3つ前後が限界です。
それを超えると、どの施策も様子見のまま放置されます。
施策には、手を動かすだけのものと、判断を伴うものがあります。
後者は、数字を見て次の一手を決める時間が要ります。
判断の時間は、作業の時間より長い
配信を止める、予算を移す、訴求を変える。
こうした判断は、数字を並べて仮説を立てる時間が必要です。
作業自体は短くても、判断には時間がかかります。
上限を超えると、放置が起きる
抱えている施策が多いと、数字が悪いものから順に後回しになります。
悪い施策ほど、原因を調べる時間が要るからです。
結果として、悪い施策が長く残ります。
1人が持てる施策の目安
| 施策の性質 | 1人あたりの目安 | 超えたときに起きること |
|---|---|---|
| 数字を見て毎週判断するもの | 2から3 | 悪い施策が後回しになる |
| 月1回の確認で足りるもの | 5から8 | 見落としが出る |
| 進行の管理だけのもの | 10前後 | 期日の遅れが増える |
| 外部に委託しているもの | 5前後 | 報告を読む時間が足りなくなる |
| 立ち上げ中のもの | 1 | 他が止まる |
立ち上げは、1つずつ
新しい取り組みの立ち上げは、通常の施策の数倍の時間を使います。同時に2つ立ち上げると、どちらも中途半端になります。少人数のチームでは、立ち上げは順番に並べます。
何を捨てるかを、どの基準で決めるのか
成果の大きさではなく、手放したときに戻る時間で選びます。
少人数の制約は金額ではなく、判断に使える時間です。
削る対象を成果が小さいもので選ぶと、判断がつきません。
どの施策も、多少は成果が出ているからです。
時間あたりの成果で並べ替える
施策ごとに、月に使っている時間を書き出します。
その時間で割った成果を並べると、順位が変わります。
金額としては大きいのに、時間を大量に食っている施策が見えます。
捨てる順番の決め方
| 区分 | 時間の消費 | 成果 | 扱い |
|---|---|---|---|
| 時間を使わず成果が出る | 少ない | 大きい | 継続する |
| 時間を使うが成果も大きい | 多い | 大きい | 外部に出すか、手順を減らす |
| 時間を使うのに成果が小さい | 多い | 小さい | 真っ先に止める |
| 時間を使わず成果も小さい | 少ない | 小さい | 当面は放置してよい |
| 時間が読めない | 不定 | 不明 | 測れる形にするか、止める |
時間を使わず成果も小さいものは、急いで止めなくてよい
削減の議論では、成果の小さいものから消したくなります。
時間を食っていないなら、止める作業のほうが手間です。
優先するのは、時間を食っているものです。
止めるときに、社内の依頼元へ何を示すか
他部署から依頼された施策を止めるときは、その施策に使っていた時間と、その時間を何に振り向けるかを示します。成果が出ていないという説明だけでは、合意が取りにくくなります。
人数が少ないほうが有利になる場面は、どこか
判断から実行までの距離が短いことです。
大きな組織が数週間かける意思決定を、数日で回せます。
少人数のチームは、大きな組織と同じやり方では勝てません。
勝てる土俵を選びます。
速さが効く領域を選ぶ
媒体の仕様変更や、新しい配信面が出たとき。
大きな組織は検討に時間を使います。
少人数なら、小さく試して結果を見るまでを数週間で終えられます。
環境の変化は、いま多い
媒体の側の変化は、この数年で速くなっています。
LINEヤフーは2025年9月25日に統合を発表し、2026年4月1日にリリースしています。
OpenAIのChatGPT広告は日本での表示開始が2026年6月19日、セルフサーブの開放が6月29日ごろでした。
新しい配信面が出た直後は、参入する企業が少なく、条件が緩い時期があります。
この時期に動けるかどうかで差がつきます。
少人数が取りにいける領域
| 領域 | 有利な理由 | 大きな組織が遅れる理由 |
|---|---|---|
| 新しい配信面の早期検証 | 小さく試せる | 社内の審査に時間がかかる |
| 特定の顧客層への集中 | 全方位を狙わなくてよい | 全社の目標が大きい |
| 訴求の高速な入れ替え | 決裁が短い | 承認の階層が多い |
| 既存顧客への深耕 | 接点が少数で済む | 部門が分かれている |
| 現場に近い情報の反映 | 人数が少なく伝わる | 情報が階層を通る |
全方位に出ない
少人数で全媒体、全商材を扱おうとすると、どこにも十分な時間が割けません。主力の1つか2つに絞り、それ以外は維持だけにします。
外部に出すとき、少人数のチームは何を手元に残すのか
何を測るかの決定と、配分の決定です。
この2つを外に出すと、判断の材料が社内に残りません。
人数が足りない以上、外部の力を使うことになります。
ただし、出す範囲を誤ると、チームは小さいまま判断もできなくなります。
出してよいのは、実行と制作
配信の設定、制作、レポートの作成。
これらは外に出しても、判断の力は落ちません。
出してはいけないのは、測る対象の決定
何を成果とみなすか、どの数字を見るか。
これを外部に決めさせると、報告は受け取る側が検証できないものになります。
手元に残すものと、出すものを、項目ごとに見ていきます。
成果の定義については、手元に残すかは残す、理由は定義が変わると比較ができなくなる。
予算の配分の決定については、手元に残すかは残す、理由は事業の優先順位と直結する。
媒体ごとの入札や設定については、手元に残すかは出してよい、理由は手順の知見が要る。
制作物の生産については、手元に残すかは出してよい、理由は量をこなす体制が要る。
レポートの作成については、手元に残すかは出してよい、理由は集計は作業。
報告の様式の決定については、手元に残すかは残す、理由は見たいものを決めるのは発注側。
新しい取り組みの是非については、手元に残すかは残す、理由は止める判断を伴う。
委託先からの報告を読む時間も、工数として数える
外部に出しても、受け取る側の時間はゼロになりません。報告を読み、質問し、次を決める時間が要ります。委託の社数が増えると、この時間だけで手が埋まります。
1人が抜けたときに止まらない状態を、どう作るのか
全部を引き継げる状態は作れません。
止まると事業に直接効くものだけを、2人が触れる状態にします。
少人数のチームでは、1人の離脱が部門の機能停止になります。
完全な冗長化は人数的に不可能なので、対象を絞ります。
止まると困るものを、先に3つ選ぶ
出稿が止まる。
問い合わせの受け皿が壊れる。
請求や支払いが滞る。
この3つに直結する作業を特定します。
冗長化の対象の選び方を、項目ごとに見ていきます。
媒体アカウントへの接続手段については、止まったときの影響は出稿が止まる、2人目を置くかは置く。
請求と支払いの窓口については、止まったときの影響は取引が滞る、2人目を置くかは置く。
問い合わせフォームの管理については、止まったときの影響は受け皿が壊れる、2人目を置くかは置く。
制作物の入稿については、止まったときの影響は数日は止まっても回復する、2人目を置くかは置かない。
月次レポートの作成については、止まったときの影響は遅れても実害が小さい、2人目を置くかは置かない。
新規の企画については、止まったときの影響は止まっても影響が後になる、2人目を置くかは置かない。
接続手段は、個人に紐づけない
媒体や各種ツールへの接続が個人のアカウントに紐づいていると、離脱時に触れなくなります。
組織のアカウントを介して権限を付与する形にします。
引き継ぎの想定期間を、短く置く
少人数のチームでは、引き継ぎに1か月を確保する余裕がありません。2週間で渡せる範囲に、残すものを絞ります。
人を増やす判断は、どの数字で下すのか
施策の本数を減らしても時間が足りないと確認できたときです。
本数を減らす前に増員を要求すると、通りません。
増員の稟議は、忙しさでは通りません。
忙しさは、やっていることを減らせば解消するように見えるからです。
先に、減らした実績を作る
施策を絞り、時間あたりの成果で整理した記録を残します。
そのうえで足りないなら、増員の根拠になります。
増やす職能を、先に決める
同じことができる人を増やすのか、いまいない職能を入れるのか。
少人数のチームでは、後者のほうが効くことが多くなります。
増員の判断の材料を、項目ごとに見ていきます。
施策を絞ったかについては、通る場合は絞った記録がある、通らない場合は本数が減っていない。
外部に出せるものを出したかについては、通る場合は出せるものは出した、通らない場合は社内で抱えたまま。
足りないのは量か職能かについては、通る場合は職能が特定できている、通らない場合は忙しいとしか言えない。
増員後に何をするかについては、通る場合は新しく取り組む領域が決まっている、通らない場合はいまの作業を分担する。
採れなかった場合の代案については、通る場合は外部で埋める案がある、通らない場合は採れるまで待つ。
採れない前提の代案を、あわせて出す
マーケティングの人材は、採用に時間がかかります。採れなかった場合に外部で埋める案を並べると、稟議は通りやすくなります。
絞り込みをどこから始めるか
いま動いている施策を全部書き出すところからです。
数が見えていない状態では、絞る議論ができません。
最初の1か月でやることは、削る作業ではなく、数える作業です。
施策を絞る作業の順序を、項目ごとに見ていきます。
1については、やることは動いている施策を担当者ごとに全部書き出す、期間の目安は1週間。
2については、やることは施策ごとに月の消費時間を記録する、期間の目安は1か月。
3については、やることは時間あたりの成果で並べ替える、期間の目安は1週間。
4については、やることは時間を食って成果が小さいものを止める、期間の目安は2週間。
5については、やることは依頼元のある施策の停止を説明する、期間の目安は2週間。
6については、やることは主力を1つか2つに絞り、残りは維持に落とす、期間の目安は2週間。
7については、やることは止まると困る3つの作業に2人目を置く、期間の目安は2週間。
8については、やることは残った時間で、立ち上げを1つだけ始める、期間の目安は継続。
消費時間の記録は、1か月で足りる
正確に測る必要はありません。
週の終わりに、各施策におおよそ何時間使ったかを書くだけで順位は出ます。
見る数字を決める
数字は説明のための仮の値です。
たとえば3人のチームで、判断を伴う施策が合計18本あったとします。
1人あたり3本を上限にすると9本が上限で、9本を止めるか維持に落とす対象になります。
抱えている量を測る数字を、項目ごとに見ていきます。
判断を伴う施策の本数については、見る頻度は月次、何を判断するかは上限を超えていないか。
1施策あたりの月間消費時間については、見る頻度は月次、何を判断するかは時間を食っているものはどれか。
立ち上げ中の取り組みの数については、見る頻度は月次、何を判断するかは同時に2つ以上になっていないか。
外部への委託先の社数については、見る頻度は四半期、何を判断するかは報告を読む時間が足りるか。
止まると困る作業の担当人数については、見る頻度は四半期、何を判断するかは1人だけになっていないか。
本数の上限は、成果が出ても緩めない
成果が出ると、新しい施策を足したくなります。
足すときは、必ず1本止めます。
この規律がないと、半年で元の状態に戻ります。
四半期ごとに、数え直す
書き出す作業は1回では終わりません。
四半期ごとに同じ作業を繰り返し、増えた分を確認します。
少人数で何を残すかの判断に迷う場合は、無料相談で現状の施策の数を一緒に整理するところから始められます。体制ごと見直す段階ならWeb集客改善サービスもあります。
よくある質問
少人数だと何もできないのでしょうか
全方位に出るとどこにも時間が割けませんが、判断から実行までが短いという利点があります。新しい配信面の早期検証や訴求の高速な入れ替えのように、速さが効く領域を選んでください。
1人が持てる施策は何本までですか
数字を見て毎週判断するものは2から3本が目安です。これを超えると、数字の悪い施策ほど原因を調べる時間が要るため後回しになり、悪いものが長く残ります。
何から止めればいいですか
成果の小さいものではなく、時間を使っているのに成果が小さいものからです。施策ごとに月の消費時間を1か月記録し、時間あたりの成果で並べ替えると順位が出ます。
他部署から依頼された施策を止められません
その施策に使っていた時間と、その時間を何に振り向けるかをあわせて示してください。成果が出ていないという説明だけでは合意が取りにくくなります。
増員はどう申請すればいいですか
忙しさを根拠にすると通りません。先に施策を絞った記録と外部に出せるものを出した記録を作り、足りないのが量か職能かを特定したうえで、採れなかった場合の代案まで添えてください。
まとめ
- 人数ではなく、抱えている施策の数です。3人で12の施策を回している状態は、人を1人足しても解決しません
- 1人あたり、判断を伴う施策は3つ前後が限界です。それを超えると、どの施策も様子見のまま放置されます
- 成果の大きさではなく、手放したときに戻る時間で選びます。少人数の制約は金額ではなく、判断に使える時間です
- 判断から実行までの距離が短いことです。大きな組織が数週間かける意思決定を、数日で回せます
- 何を測るかの決定と、配分の決定です。この2つを外に出すと、判断の材料が社内に残りません
- 全部を引き継げる状態は作れません。止まると事業に直接効くものだけを、2人が触れる状態にします
- 施策の本数を減らしても時間が足りないと確認できたときです。本数を減らす前に増員を要求すると、通りません
- いま動いている施策を全部書き出すところからです。数が見えていない状態では、絞る議論ができません