マーケチームの評価制度をどう作るか

成果が出るまでの時間と、外部要因の影響が職種ごとに違うからです。
全員を同じ数字で評価すると、努力と結果の対応が崩れます。
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目次
目次
- マーケティングの評価が、なぜ揉めるのか
- 成果が出るまでの時間が施策で違う
- 成果と行動を、どう配分するのか
- 成果で評価する部分
- 個人の評価と、チームの評価をどう分けるのか
- 個人だけで評価したときに起きること
- 職能ごとに、評価の軸は変わるのか
- 運用を担う人
- 目標が期中に変わったとき、評価はどうするのか
- 変更の手続きを先に決める
- 外部要因の影響を、どう扱うのか
- 市場の変動を並べる
- 評価の運用で起きやすい問題
- 評価の理由が伝わっていない
- 準備に入る前に決めること
- 目標の点検の進め方
- よくある質問
- まとめ
成果が出るまでの時間と、外部要因の影響が職種ごとに違うからです。
全員を同じ数字で評価すると、努力と結果の対応が崩れます。
マーケティングの評価が、なぜ揉めるのか
成果が出るまでの時間と、外部要因の影響が職種ごとに違うからです。
全員を同じ数字で評価すると、努力と結果の対応が崩れます。
マーケティングチームの評価は、営業に比べて設計が難しい領域です。
数字が取れないからではなく、数字の意味が一定でないためです。
成果が出るまでの時間が施策で違う
広告の入札調整は、翌週に結果が出ます。
検索からの流入を増やす取り組みは、半年から一年かかります。
同じ半期で評価すると、時間のかかる施策を担当した人が不利になります。
外部要因の影響が大きい
市場の伸びや検索の環境の変化は、個人の努力では動かせません。
電通が2026年3月5日に公表した資料では、2025年のインターネット広告費が4兆459億円で前年比110.8%でした。
市場が伸びている年に前年比で数字が伸びても、それが個人の成果とは限りません。
評価が揉める原因と、現れ方
| 原因 | 現れ方 | 必要な手当て |
|---|---|---|
| 成果までの時間差 | 長期の施策が評価されない | 評価の期間を施策に合わせる |
| 外部要因 | 市場の変化が個人の評価に乗る | 市場の変動を控除して見る |
| 職能の違い | 同じ指標で比べられない | 職能ごとに軸を変える |
| 共同の成果 | 誰の貢献か分からない | チームと個人を分ける |
| 期中の方針変更 | 目標が動く | 変更時の扱いを事前に決める |
評価されない状態が続くと、行動が偏る
短期で数字の出る施策ばかりが選ばれるようになります。時間のかかる取り組みは、誰も手を挙げなくなります。評価の設計は、そのまま施策の選ばれ方を決めます。
成果と行動を、どう配分するのか
成果だけで評価すると、外部要因の影響がそのまま個人に乗ります。
行動だけで評価すると、成果につながらない作業が増えます。
評価の対象は、大きく二つに分かれます。
どちらか一方に寄せると、別の問題が生まれます。
成果で評価する部分
担当している指標の達成度です。
自分の判断で動かせる範囲の数字に限ります。
動かせない数字を成果に含めると、評価が運任せになります。
行動で評価する部分
決めた手順を実行したか、検証を計画どおり行ったか、記録を残したか。
成果が出るまでに時間がかかる施策では、行動の評価が意味を持ちます。
職位ごとの、成果と行動の配分
| 職位 | 成果の比重 | 行動の比重 | 理由 |
|---|---|---|---|
| 責任者 | 高い | 低い | 配分と優先順位に責任がある |
| チームの管理者 | 中程度 | 中程度 | 体制の運用も職務に含む |
| 担当者 | 中程度 | 中程度 | 判断の範囲が限定的 |
| 入社1年目 | 低い | 高い | 成果が経験に左右される |
| 専門職 | 中程度 | 中程度 | 技術の蓄積も評価対象 |
行動の評価は、記録があって成立する
行動を評価するには、何をやったかの記録が要ります。
記録が残っていない行動は、評価の対象にできません。
記録を残す作業自体を、行動の評価項目に含めます。
配分は職位で変え、期の途中で変えない
同じチームでも、職位によって成果の比重を変えます。期の途中で配分を変えると、何を目指せばよいかが分からなくなります。
個人の評価と、チームの評価をどう分けるのか
マーケティングの成果は共同で出るため、個人だけで評価すると担当の取り合いが起きます。
チームの成果を基礎に置き、個人の貢献を上乗せで見ます。
一つの受注に、複数の施策が関わります。
どの施策の貢献かを厳密に配分するのは、実務では困難です。
個人だけで評価したときに起きること
成果が測りやすい施策の担当を、全員が希望します。
測りにくい施策は、誰も引き受けなくなります。
担当の割り当てが、評価の有利不利で決まるようになります。
チームだけで評価したときに起きること
個人の努力が評価に反映されません。
成果を出している人ほど、不公平感を持ちます。
評価の対象と、配分の考え方
| 対象 | 評価の材料 | 全体に占める割合の考え方 |
|---|---|---|
| チームの成果 | 部門の目標の達成度 | 全員に共通で反映する |
| 個人の担当指標 | 担当範囲の達成度 | 担当の裁量の大きさで決める |
| 個人の行動 | 計画の実行と記録 | 職位で比重を変える |
| 他部署からの評価 | 営業や商品部門の声 | 補足として扱う |
| 知見の共有 | 記録や勉強会への貢献 | 加点として扱う |
知見の共有を加点にする
自分の知見を共有すると、自分の相対評価が下がる仕組みだと、共有は起きません。
共有そのものを評価項目に入れると、この逆転が防げます。
他部署からの評価は補足にとどめる
営業部門からの評価を取り入れる場合、主たる評価にはしません。リードの質は、マーケティング側だけで決まるものではないためです。
職能ごとに、評価の軸は変わるのか
変わります。
運用、制作、分析では、成果が出るまでの時間も、影響できる範囲も違います。
同じチームでも、担当する職能によって評価の軸を分けます。
運用を担う人
判断の速さと、配分の妥当性が問われます。
成果は比較的早く出るため、成果の比重を持たせやすい職能です。
ただし、予算の増減という外部の判断に左右されます。
制作を担う人
制作物の成果は、配信の条件によって変わります。
何案作ったかではなく、検証の設計に関わったかを見ます。
成果が出なかった案も、検証の材料として扱います。
分析を担う人
分析そのものは成果ではありません。
分析の結果が判断に使われたかを見ます。
使われなかった分析が多い場合、分析の質か、伝え方に課題があります。
職能と、評価の軸
| 職能 | 主に見るもの | 成果が出るまでの時間 |
|---|---|---|
| 運用 | 配分の判断と成果指標 | 短い |
| 制作 | 検証の設計と改善への寄与 | 中程度 |
| 分析 | 判断に使われた件数 | 中程度 |
| 計測とデータ整備 | 定義の整合と稼働の安定 | 長い |
| 長期の集客施策 | 計画の実行と先行指標 | 長い |
長期の施策を担う人の扱い
成果が出るまでに一年かかる取り組みでは、先行指標を評価に使います。先行指標が何かを、期初に合意しておきます。合意がないまま期末に評価すると、材料がありません。
目標が期中に変わったとき、評価はどうするのか
変更の理由と時期を記録し、変更前の期間は当初の目標で評価します。
遡って目標を置き換えると、評価の根拠が消えます。
事業の方針が変われば、マーケティングの目標も変わります。
評価の設計は、この変更を前提に組みます。
変更の手続きを先に決める
誰が、いつまでに、何を根拠に変更を決めるか。
この手続きを期初に決めておくと、変更そのものが不信の原因になりません。
期間を区切って評価する
変更前と変更後で期間を分け、それぞれの目標で評価します。
一つの期を一つの目標で評価しようとすると、どちらかに無理が出ます。
目標変更の型と、評価の扱いを、項目ごとに見ていきます。
事業方針の変更については、背景は会社の戦略が変わった、評価での扱いは期間を区切って別々に評価。
市場環境の変化については、背景は外部の条件が大きく動いた、評価での扱いは影響分を控除して評価。
予算の増減については、背景は投資判断が変わった、評価での扱いは目標値を比例して調整。
体制の変更については、背景は担当範囲が変わった、評価での扱いは変更後の範囲で評価。
計測の変更については、背景は指標の定義が変わった、評価での扱いは再計算して連続性を保つ。
計測の定義を変えたときの扱い
指標の定義を期中に変えると、前後の数字が比較できません。定義を変えるときは、過去のデータも新しい定義で再計算します。再計算しないまま評価すると、定義の変更が成果に見えます。
外部要因の影響を、どう扱うのか
市場全体の変動を控除して見ます。
自社だけが動かせなかったのか、市場全体が動いたのかを分けると、評価の議論が短くなります。
外部要因を評価から完全に排除することはできません。
それでも、影響の大きさを把握しておくと議論の材料になります。
市場の変動を並べる
電通が2026年3月5日に公表した資料では、2025年の総広告費が8兆623億円で前年比105.1%、マスコミ四媒体は2兆2,980億円で前年比98.4%でした。
市場全体が伸びている領域と縮んでいる領域があります。
自社の数字を、関係する市場の動きと並べて見ます。
環境の変化を記録しておく
検索からの流入は、生成AIの普及で構造的に変化しています。
Ahrefsが2026年7月16日に公表した調査では、AI Overviewsが表示される場面での日本の検索1位のCTR下落率が、2025年12月の38.0%から2026年6月には62.7%になっていました。
こうした変化は個人の努力では戻せません。
期初に想定していなかった変化は、記録して評価の材料に含めます。
外部要因の種類と、評価での扱いを、項目ごとに見ていきます。
市場全体の伸縮については、把握の方法は公表されている市場データ、評価での扱いは目標との差の説明に使う。
検索環境の変化については、把握の方法は流入の構成の推移、評価での扱いは影響分を切り分ける。
競合の動きについては、把握の方法は自社の掲載状況の変化、評価での扱いは説明の材料にとどめる。
媒体の仕様変更については、把握の方法は変更の時期と内容の記録、評価での扱いは対応の速さを評価する。
社内の要因については、把握の方法は予算や体制の変更、評価での扱いは目標を調整する。
控除しすぎない
外部要因をすべて控除すると、評価する対象がなくなります。見るのは、変化に気づいた時期と、対応の速さです。環境が変わったこと自体ではなく、対応が評価の対象になります。
評価の運用で起きやすい問題
制度を作っても、面談で伝えられなければ機能しません。
評価の理由が本人に届いていない状態が、最も多い不具合です。
評価制度は、設計より運用でつまずきます。
評価の理由が伝わっていない
点数だけが伝えられ、なぜその点数かが説明されない。
この状態では、次に何を変えればよいかが分かりません。
評価の面談では、具体的な事実を示します。
期初の合意が形式になっている
目標の設定が、紙を埋める作業になっている。
何をもって達成とするかが曖昧なまま期が進むと、期末に解釈が割れます。
評価者によって基準が違う
同じ成果でも、上長によって評価が変わる。
評価者どうしで基準を揃える場を設けます。
運用の問題と、手当てを、項目ごとに見ていきます。
理由が伝わらないについては、現れ方は次の行動が変わらない、手当ては面談で事実を示す。
期初の合意が形式的については、現れ方は期末に解釈が割れる、手当ては達成の定義を文書にする。
評価者の基準が違うについては、現れ方は部署間で不公平が出る、手当ては評価者間の調整の場を設ける。
記録がないについては、現れ方は印象で評価される、手当ては行動の記録を業務に組み込む。
処遇と連動していないについては、現れ方は評価が軽視される、手当ては反映の仕組みを明示する。
評価の結果を、次の目標設定につなげる
評価で明らかになった課題を、次の期の目標に反映します。評価と目標設定が切り離されていると、評価が年中行事になります。
準備に入る前に決めること
現在の目標が、本人の裁量で動かせる数字になっているかを確認することからです。
動かせない数字が目標になっていると、制度をどう作っても納得されません。
評価制度の設計は、目標の点検から始めます。
立ち上げの道筋を、項目ごとに見ていきます。
1については、やることは現在の目標が裁量の範囲内か確認する、期間の目安は2週間。
2については、やることは職能ごとに成果と行動の配分を決める、期間の目安は2週間。
3については、やることはチームと個人の評価の割合を決める、期間の目安は1週間。
4については、やることは期中の目標変更の手続きを決める、期間の目安は1週間。
5については、やることは行動の記録の方法を業務に組み込む、期間の目安は2週間。
6については、やることは評価者間で基準を揃える場を設ける、期間の目安は1週間。
目標の点検の進め方
目標として置かれている数字を一つずつ見て、本人が動かせるかを確認します。
数字は説明のための仮の値です。
たとえば目標が5つあり、そのうち3つが予算の増減で決まる数字なら、本人の努力が評価に反映される余地は限られます。
健全さを見る指標を、項目ごとに見ていきます。
本人の裁量で動かせる目標の割合については、見る頻度は期初、目安の考え方は過半数を超えているか。
期中に変更された目標の件数については、見る頻度は期末、目安の考え方は変更の手続きが機能しているか。
評価の面談で示した事実の件数については、見る頻度は期末、目安の考え方は印象で評価していないか。
評価者間の評価の分布の差については、見る頻度は期末、目安の考え方は基準が揃っているか。
知見の共有に関する加点の件数については、見る頻度は期末、目安の考え方は共有が起きているか。
制度は少しずつ変える
評価制度を一度に大きく変えると、期の途中で混乱します。
目標の点検、配分の見直し、記録の組み込みの順に、期ごとに進めます。
決めた内容を文書にして配る
配分、評価の項目、変更の手続き。
これらを期初に文書で配り、全員が同じものを見ている状態にします。
マーケティングの評価制度の設計で判断に迷う場合は、無料相談で現状を見てもらうところから始められます。チームの運営ごと見直す段階ならWeb集客改善サービスもあります。
よくある質問
マーケティングの評価が毎回揉めるのはなぜですか
成果が出るまでの時間と外部要因の影響が職種ごとに違うためです。入札調整は翌週に結果が出ますが、検索からの流入を増やす取り組みは半年以上かかります。同じ期間で評価すると不公平が生じます。
成果と行動は、どちらで評価すべきですか
両方を職位に応じて配分します。成果だけだと外部要因がそのまま個人に乗り、行動だけだと成果につながらない作業が増えます。入社直後は行動の比重を高くし、責任者は成果の比重を高くします。
個人の貢献をどう切り分ければいいですか
厳密な切り分けは困難です。チームの成果を基礎に置き、個人の担当指標と行動を上乗せで見てください。個人だけで評価すると、測りやすい施策の担当を全員が希望するようになります。
期の途中で目標が変わった場合、評価はどうしますか
変更の理由と時期を記録し、変更前の期間は当初の目標で評価します。遡って目標を置き換えると根拠が消えます。変更の手続きは期初に決めておいてください。
市場環境の変化は評価にどう反映しますか
市場全体の変動を並べて、自社の数字と切り分けてください。ただし外部要因をすべて控除すると評価する対象がなくなります。変化に気づいた時期と対応の速さを評価の対象にします。
まとめ
- 成果が出るまでの時間と、外部要因の影響が職種ごとに違うからです。全員を同じ数字で評価すると、努力と結果の対応が崩れます
- 成果だけで評価すると、外部要因の影響がそのまま個人に乗ります。行動だけで評価すると、成果につながらない作業が増えます
- マーケティングの成果は共同で出るため、個人だけで評価すると担当の取り合いが起きます。チームの成果を基礎に置き、個人の貢献を上乗せで見ます
- 変わります。運用、制作、分析では、成果が出るまでの時間も、影響できる範囲も違います
- 変更の理由と時期を記録し、変更前の期間は当初の目標で評価します。遡って目標を置き換えると、評価の根拠が消えます
- 市場全体の変動を控除して見ます。自社だけが動かせなかったのか、市場全体が動いたのかを分けると、評価の議論が短くなります
- 制度を作っても、面談で伝えられなければ機能しません。評価の理由が本人に届いていない状態が、最も多い不具合です
- 現在の目標が、本人の裁量で動かせる数字になっているかを確認することからです。動かせない数字が目標になっていると、制度をどう作っても納得されません