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財務は、後から突き合わせられる数字でしか判断しません。
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目次
目次
- CFOがマーケティングの説明を疑うのは、なぜか
- 検証できるかどうかが、信用の基準
- CFOが見ているのは、どの数字か
- 支出の時期と、回収の時期のずれ
- 費用として見られるか、投資として見られるか
- 会計上の扱いは、変えられない
- キャッシュの出入りの時期を、どう示すのか
- 支出の時期は、施策によって違う
- 部門の指標を、財務の言葉にどう置き換えるのか
- 対応関係を、あらかじめ決めておく
- CFOが受け付けない説明の型
- 前年比だけの説明
- 一度信用を失った後、どう立て直すのか
- 精度の実績を、積み直す
- 説明を組み立て直す手順
- 集計の方法を、経理と合わせる
- よくある質問
- まとめ
検証できない数字が含まれているからです。
財務は、後から突き合わせられる数字でしか判断しません。
CFOがマーケティングの説明を疑うのは、なぜか
検証できない数字が含まれているからです。
財務は、後から突き合わせられる数字でしか判断しません。
マーケティングの投資は、財務の立場から見ると扱いにくい支出です。
金額は大きく、効果の確認が遅れ、自己申告の数字が多く含まれます。
検証できるかどうかが、信用の基準
財務が扱う数字は、会計の記録と突き合わせられます。
マーケティングが出す成果の件数は、部門の集計です。
その集計を、会計の数字とどう対応させるかが示されていないと、判断の材料になりません。
数字が良いことより、数字が追えることが優先される
効果が出ているという説明より、どう測ったかの説明のほうが重視されます。
測り方が説明できていれば、結果が悪くても議論はできます。
財務が確認しようとしていること
| 確認すること | マーケティングが示すべきもの |
|---|---|
| その数字はどう作られたか | 集計の定義と対象期間 |
| 会計上の数字とどう対応するか | 受注や売上との突き合わせ |
| 支出はいつ発生するか | 月ごとのキャッシュの出方 |
| 効果はいつ現れるか | 回収の時期 |
| 外れた場合はどうなるか | 未達時の前提と対応 |
同じ数字を、毎回同じ方法で出す
期ごとに集計の方法が変わると、比較ができません。
方法を固定し、変更した場合は過去に遡って再集計します。
費用対効果の比率だけでは、判断できない
比率は分母が動くと意味が変わります。金額と時期を添えないと、財務の判断には使えません。
CFOが見ているのは、どの数字か
キャッシュの出入りの時期と、期間ごとの損益と、資金の使い道の優先順位です。
成果の件数そのものではありません。
財務の視点は、事業部門とは異なる軸で構成されています。
支出の時期と、回収の時期のずれ
マーケティングの支出は今期、回収は来期以降になることがあります。
このずれが、期間ごとの損益に影響します。
財務が重視する4つの観点
| 観点 | 内容 | マーケティングが用意するもの |
|---|---|---|
| キャッシュ | いつ出て、いつ戻るか | 月ごとの支出と回収の見込み |
| 期間損益 | どの期の費用になるか | 支出の計上時期 |
| 資金の優先順位 | 他の投資と比べてどうか | 回収期間と確実性 |
| リスク | 外れたときの影響 | 未達時の金額と対応 |
他の投資との比較にさらされる
マーケティングの投資は、設備投資や人材への投資と同じ資金を取り合っています。
比較される基準は、回収の期間と、確実性です。
確実性が、金額の大きさより効くことがある
回収の期間が同じなら、確実性の高いほうが選ばれます。
過去の実績で精度が示せていると、この点で有利になります。
市場の環境を、参考として添える
電通の2025年 日本の広告費では、総広告費が8兆623億円で前年比105.1%、インターネット広告費が4兆459億円で前年比110.8%、構成比50.2%でした。市場の動きは、自社の投資判断の背景として使えます。
費用として見られるか、投資として見られるか
会計上はほとんどが費用ですが、説明の枠組みは投資として組めます。
回収の期間を示すことで、費用と投資の議論が分かれます。
会計上の扱いと、判断の枠組みは別のものです。
会計上の扱いは、変えられない
広告の支出は、発生した期の費用として扱われます。
これを変えることはできません。
判断の枠組みとして、回収の期間を示す
会計上は費用でも、投じた額がいつ戻るかを示せば、投資として議論できます。
回収の期間が示せない支出は、単なる費用として扱われます。
説明の枠組みの違い
| 枠組み | 示すもの | 受け取られ方 |
|---|---|---|
| 費用として説明 | 今期いくらかかるか | 削減の対象 |
| 投資として説明 | いくら投じ、いつ、いくら戻るか | 配分の対象 |
| 成果の報告 | 何件取れたか | 部門の活動報告 |
| 効率の報告 | 比率がどう改善したか | 部門の改善報告 |
回収の期間が長い支出は、別に扱う
ブランドへの投資のように、回収の期間が長いものがあります。
獲得の投資と同じ枠で説明すると、効率が悪く見えます。
枠を分けて、評価の方法も分けます。
回収が示せない支出を、無理に投資として説明しない
回収の道筋が示せないものを投資として出すと、説明の全体が疑われます。測定の環境の整備のように、判断の精度を上げるための支出は、その目的で説明します。
キャッシュの出入りの時期を、どう示すのか
月ごとに、支出と回収を並べた表で示します。
年間の総額だけでは、資金の計画が立てられません。
財務にとって、年間の総額は判断の材料として粗すぎます。
支出の時期は、施策によって違う
媒体費は月ごとに均等に近い形で発生します。
制作費や調査費は、特定の月にまとまって発生します。
契約の支払いは、年に1回や四半期ごとのことがあります。
月ごとに示す項目
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 月ごとの支出 | 媒体費、制作費、その他の支出を分けて |
| 支出の性質 | 継続的なものか、一度きりか |
| 契約による支払いの時期 | 年契約の支払い月 |
| 回収の見込み | 受注が計上される時期 |
| 回収までの期間 | 接点から売上計上までの月数 |
回収の時期は、受注までの期間から出す
接点から受注までに4か月かかる商材なら、今月の支出の回収は4か月後から始まります。
この期間を、商材ごとに示します。
数字は説明のための仮の値です
たとえば4月に1,000万円を投じ、受注までの期間が4か月なら、8月以降に売上が立ちます。
受注が200件、単価100万円、粗利率40%なら、粗利は8,000万円です。
この場合の回収の期間は、支出から見て4か月後から始まることになります。
実績との差を、毎月出す
計画と実績の差を毎月示すと、精度に対する信用が積み上がります。差が出たときに、原因を添えます。
部門の指標を、財務の言葉にどう置き換えるのか
件数と比率を、金額と期間に直します。
置き換えるのではなく、最初から金額と期間で作ります。
財務向けの資料で部門の指標を使うと、解説が必要になります。
解説が必要な資料は、判断の材料になりません。
対応関係を、あらかじめ決めておく
部門の指標と、財務の言葉の対応を表にします。
一度作れば、毎回の資料作成が速くなります。
指標の対応を、項目ごとに見ていきます。
獲得費用については、財務向けの表現は1顧客を得るのにかかった費用、接続する先は粗利との比較。
広告費用対効果については、財務向けの表現は投じた額が売上として戻った倍率、接続する先は売上。
顧客生涯価値については、財務向けの表現は1顧客から回収できる粗利の累計、接続する先は回収期間。
リード件数については、財務向けの表現は営業が今期取り組める案件の数、接続する先は受注見込み。
転換率については、財務向けの表現は接点1,000件あたりの商談数、接続する先は営業の工数。
粗利で示す
売上で示すと、原価が含まれたままの数字になります。
財務は粗利で見るので、粗利に直してから出します。
件数は、金額に直せるものだけ残す
リードの件数は、受注率と単価を掛ければ金額に直せます。
直せない件数は、財務向けの資料には載せません。
単位を、資料全体で統一する
同じ資料の中で万円と百万円が混ざると、読み違いが起きます。単位を1つに統一します。
CFOが受け付けない説明の型
比較の対象が示されていない説明と、上振れだけを並べた説明です。
どちらも、判断ではなく承認を求める形になっています。
同じ内容でも、説明の型によって受け取られ方が変わります。
前年比だけの説明
前年比120%という数字には、市場の変化が含まれていません。
市場が伸びているときの120%と、縮小しているときの120%は難易度が違います。
通りにくい説明と、通る説明を、項目ごとに見ていきます。
前年比で示すについては、なぜ通らないかは市場の変化が含まれない、通る形は市場の伸びと並べる。
比率だけで示すについては、なぜ通らないかは分母が分からない、通る形は金額と期間を添える。
上振れの前提だけについては、なぜ通らないかは外れたときの説明がない、通る形は未達時の影響も出す。
他社の事例を根拠にするについては、なぜ通らないかは自社の数字ではない、通る形は自社の実績から出す。
必要性だけを訴えるについては、なぜ通らないかは判断の材料がない、通る形は複数の案と、それぞれの結果。
選択肢を複数出す
1つの案だけを出すと、承認か却下の二択になります。
規模の違う案を2つか3つ出すと、配分の議論になります。
未達の可能性を、先に出す
上振れの前提だけを並べると、外れたときに信用を失います。
どの前提が崩れると未達になるかを、あらかじめ書きます。
他社の事例を、根拠にしない
他社の実績は参考にはなりますが、自社の判断の根拠にはなりません。根拠は、自社の過去の実績から作ります。
一度信用を失った後、どう立て直すのか
小さな約束を、期限どおりに果たすことからです。
大きな計画を出し直しても、精度への疑いは消えません。
過去に計画が大きく外れていると、次の提案の前提が疑われます。
精度の実績を、積み直す
小さな金額で、達成できる見込みの計画を出します。
それを期限どおりに達成した記録を、数回積みます。
信用の立て直しの段階を、項目ごとに見ていきます。
第1段階については、やることは四半期の小さな計画を出し、達成する、期間は3か月。
第2段階については、やることは計画と実績の差を毎月報告する、期間は継続。
第3段階については、やることは差の原因を先に予告できるようにする、期間は6か月。
第4段階については、やることは中規模の投資の提案を出す、期間は6か月以降。
第5段階については、やることは年間の計画への関与を求める、期間は1年以降。
差の原因を、先に予告する
計画から外れそうだと分かった時点で、事前に伝えます。
事後に報告するより、精度への評価が上がります。
過去の失敗の総括を、一度だけ行う
何が起きたかを整理して示します。
責任の所在を特定する形にすると、社内の協力が止まります。
何が起きたかと、同じことが起きない理由の2点に絞ります。
立て直しには、1年かかる
四半期の実績を4回積んで、初めて傾向として見られます。短期で結果を求めず、同じ形の報告を繰り返します。
説明を組み立て直す手順
自社の数字を、金額と期間の形で出すところからです。
指標の言い換えは、その後の作業です。
財務向けの説明の準備は、資料の作り方より前に、数字の整備から始まります。
財務との対話を組む順序を、項目ごとに見ていきます。
1については、やることは過去12か月の受注件数、単価、粗利率を出す、期間の目安は2週間。
2については、やることは接点から受注までの期間を商材ごとに出す、期間の目安は2週間。
3については、やることは部門の指標と財務の言葉の対応表を作る、期間の目安は1週間。
4については、やることは月ごとの支出と回収の見込みの表を作る、期間の目安は2週間。
5については、やることは回収の期間が示せる支出と、示せない支出を分ける、期間の目安は1週間。
6については、やることは規模の違う案を2つか3つ用意する、期間の目安は2週間。
7については、やることは未達時に崩れる前提を各案に添える、期間の目安は1週間。
8については、やることは毎月、計画と実績の差を同じ形で報告する、期間の目安は継続。
集計の方法を、経理と合わせる
粗利率の計算や、売上の計上の時期は、経理の定義に合わせます。
定義が違うと、同じ話をしていても数字が合いません。
見る数字を決める
数字は説明のための仮の値です。
たとえば年間の媒体費と関連費用が1億5,000万円、新規の受注が500件、平均単価300万円、粗利率40%とします。
売上は15億円、粗利は6億円で、投じた1億5,000万円に対して粗利は4倍です。
接点から受注までが4か月なら、回収は支出から4か月後以降に始まります。
財務が見る数字を、項目ごとに見ていきます。
月ごとの支出額については、見る頻度は月次、財務にとっての意味はキャッシュの出方。
月ごとの受注金額と粗利については、見る頻度は月次、財務にとっての意味は回収の実績。
投じた額に対する粗利の倍率については、見る頻度は四半期、財務にとっての意味は投資の効率。
回収が始まるまでの期間については、見る頻度は四半期、財務にとっての意味は資金が拘束される期間。
計画と実績の差と、その原因については、見る頻度は月次、財務にとっての意味は予測の精度。
精度そのものを、指標として持つ
計画と実績の差の大きさを、指標として追います。
この差が小さくなっていることが、信用の根拠になります。
同じ形式を、1年続ける
形式を変えると、比較ができません。
決めた形式を、少なくとも1年は変えずに使います。
財務との議論が噛み合わない場合は、無料相談で現状の数字の出し方を見てもらうところから始められます。投資の示し方ごと見直す段階ならWeb集客改善サービスもあります。
よくある質問
CFOにマーケティングの効果をどう説明すればよいですか
効果が出ているという説明より、どう測ったかの説明のほうが重視されます。集計の定義と対象期間、会計上の数字との対応、支出と回収の時期を先に示してください。
比率で説明してはいけませんか
比率は分母が動くと意味が変わるため、単独では判断の材料になりません。投じた金額と、いつ、いくらの粗利として戻るかという形に直してください。
マーケティングの支出を投資として扱ってもらえますか
会計上は発生した期の費用ですが、回収の期間を示せば判断の枠組みとしては投資として議論できます。回収の道筋が示せない支出は、無理に投資として説明しないでください。
前年比で説明すると通りません
前年比には市場の変化が含まれていません。市場全体の伸びと並べたうえで、規模の違う案を2つか3つ出し、それぞれで何ができるかを示してください。
過去に計画が外れて信用がありません
大きな計画を出し直しても疑いは消えません。四半期の小さな計画を出して達成する記録を数回積み、計画と実績の差を毎月同じ形で報告し、外れそうな場合は事前に予告してください。
まとめ
- 検証できない数字が含まれているからです。財務は、後から突き合わせられる数字でしか判断しません
- キャッシュの出入りの時期と、期間ごとの損益と、資金の使い道の優先順位です。成果の件数そのものではありません
- 会計上はほとんどが費用ですが、説明の枠組みは投資として組めます。回収の期間を示すことで、費用と投資の議論が分かれます
- 月ごとに、支出と回収を並べた表で示します。年間の総額だけでは、資金の計画が立てられません
- 件数と比率を、金額と期間に直します。置き換えるのではなく、最初から金額と期間で作ります
- 比較の対象が示されていない説明と、上振れだけを並べた説明です。どちらも、判断ではなく承認を求める形になっています
- 小さな約束を、期限どおりに果たすことからです。大きな計画を出し直しても、精度への疑いは消えません
- 自社の数字を、金額と期間の形で出すところからです。指標の言い換えは、その後の作業です