
人数そのものより、各承認者の手元で待っている時間の合計が原因です。
承認者が3人でも、それぞれの机で5営業日止まれば3週間かかります。
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目次
目次
- 予算の決裁に時間がかかるのは、承認者の人数が多いからなのか
- 遅いという感覚と、実際の日数を突き合わせる
- 決裁の遅れは、いくらの損失として説明できるのか
- 金額で示すときに、やってはいけないこと
- どの工程で止まっているかを、どうやって特定するのか
- 承認の後の遅れも、同じ記録で見つかる
- 承認の経路は、金額の帯でどう分けるのか
- 帯を分けるときに、同時に決めること
- 事前に予算枠を承認しておく方式は、どこまで使えるのか
- 枠を使い始めるときの決め方
- 例外の申請は、どう受け止める設計にするのか
- 例外を使った結果を、次の設計に返す
- 決裁を短くすると、何が犠牲になるのか
- 短くしてはいけない工程を、先に決める
- 決裁フローの見直しは、何から手をつければいいのか
- 変更した後に、何を見続けるのか
- よくある質問
- まとめ
人数そのものより、各承認者の手元で待っている時間の合計が原因です。
承認者が3人でも、それぞれの机で5営業日止まれば3週間かかります。
予算の決裁に時間がかかるのは、承認者の人数が多いからなのか
人数そのものより、各承認者の手元で待っている時間の合計が原因です。
承認者が3人でも、それぞれの机で5営業日止まれば3週間かかります。
決裁が遅いという話になると、まず承認者の数を減らす案が出てきます。
判子の数が日数に比例しているという前提があるからです。
実際に記録を取ると、判断そのものにかかっている時間は数分から数十分です。
日数の大半は、書類が承認者の手元で順番を待っている時間です。
待ち時間は、承認者の忙しさと、決裁を見る周期で決まります。
週に1度まとめて確認する運用であれば、それだけで平均3営業日の待ちが発生します。
この待ちは、承認者を3人から2人に減らしても3分の2にしかなりません。
一方で、見る周期を週1回から毎営業日に変えると、同じ人数のまま待ちが5分の1になります。
つまり、手をつける場所は人数ではなく周期です。
ここを取り違えると、権限の議論に時間を使った末に日数が変わらないという結果になります。
もう1つの原因は、差し戻しです。
申請の書式が承認者ごとに求める情報を満たしておらず、途中で戻されます。
差し戻された申請は、経路の最初からやり直しになることがあります。
このやり直しが1回入るだけで、所要期間は2倍近くになります。
差し戻しの理由を集計すると、多くは金額の内訳と、比較した案の有無に集中します。
どちらも申請の書式に欄を作れば防げる種類のものです。
3つ目の原因は、経路が枝分かれしていることです。
金額や部門によって誰を通すかが変わり、その判定を申請する側が自分で行っています。
判定を誤ると、後の工程で経路の間違いが発覚し、そこからやり直します。
経路の判定を申請者に委ねている限り、この種の手戻りは減りません。
ここまでの3つは、どれも制度の問題ではなく運用の問題です。
規程を書き換えなくても、周期と書式と経路の判定を直せば日数は縮みます。
逆に言えば、規程だけを書き換えても日数は縮みません。
承認の階層を1つ減らす改定を行っても、残った階層の待ち時間が長ければ効果は限られます。
誰がこの改善を担当するかも決めておいてください。
決裁の遅さは、マーケティング部門だけでも管理部門だけでも直せません。
申請の書式と経路は管理部門が持ち、止まったことで失われた金額はマーケティング部門しか出せないからです。
片方だけで進めると、書式は変わったが日数は変わらない、という結果に落ち着きます。
期初に、両部門から1人ずつ担当を出して、四半期ごとに日数を確認する場を作ってください。
場がないまま個別に働きかけると、改善は担当者の交代で止まります。
遅いという感覚と、実際の日数を突き合わせる
決裁が遅いという訴えは、平均の日数ではなく、最も遅かった1件の記憶から出てきます。
記憶に残っているのは、3週間止まった案件です。
そのため、平均を出すと現場の感覚と食い違います。
平均12営業日という数字を見せても、現場は納得しません。
必要なのは、平均ではなく分布です。
何営業日で通ったかを件数で並べると、短い山と長い尾に分かれます。
手をつけるべきは長い尾の側です。
尾に入っている案件に共通する条件を探すと、金額の帯か、特定の部門か、特定の時期に偏っていることが分かります。
決裁の日数は判断の時間ではなく、待ち時間と差し戻しの合計です。承認者の人数を減らす前に、確認の周期と書式を見てください。
決裁の遅れは、いくらの損失として説明できるのか
遅れた期間に動かせなかった金額と、その金額が生むはずだった成果です。
金額に直すと、フローを変える議論が初めて前に進みます。
決裁が遅いという話は、担当者の不満としては何度も出ますが、制度を変える理由にはなりにくいものです。
不便だという主張だけでは、確認を減らす根拠にならないからです。
金額に直すと、この会話の形が変わります。
確認を1工程増やすことの費用が見えるようになります。
計算は単純です。
遅れた日数に、1日あたり動かせたはずの金額を掛け、そこに現在の獲得の効率を当てます。
数字は説明のための仮の値です。
月500万円の配信を追加する申請が20営業日止まったとします。
1営業日あたり25万円が動かせなかったことになるので、20営業日で500万円です。
獲得単価が2万5,000円なら、200件の機会が失われた計算になります。
さらに、その200件から通常どおりの率で受注が出ていたはずです。
成果から受注までの率が5パーセント、受注単価が60万円なら、600万円の売上が後ろにずれます。
ずれるだけで消えないのではないかという反論が出ます。
広告の場合、需要には季節性があるため、後ろにずれた分がそのまま取り返せるとは限りません。
繁忙期の前に出せなかった予算は、繁忙期が終わってから使っても同じ成果になりません。
この点を加えて説明すると、遅れの費用が具体的になります。
計算に使う数字は、すべて社内にあるものだけで足ります。
申請した金額、止まった営業日数、直近の獲得単価、受注率、受注単価の5つです。
この計算を1件だけ出しても説得力は限られます。
直近1年分の申請について同じ計算を行い、合計額を出してください。
集計の単位は、件ではなく金額の帯にしてください。
小さい申請が多数止まっている組織と、大きい申請が少数止まっている組織では、直すべき経路が違います。
帯ごとに合計を出すと、どの帯の遅れが最も金額を生んでいるかが分かります。
件数が多い帯が必ずしも金額の大きい帯とは限らないため、この分解を省くと手をつける場所を誤ります。
合計が年間で数千万円の規模になると、承認の工程を1つ減らす議論が具体的になります。
数十万円にしかならないなら、そのフローは変える必要がありません。
金額で示すときに、やってはいけないこと
この計算を、承認者を批判する材料として使わないでください。
特定の個人の滞留日数を名指しで出すと、その後の協力が得られなくなります。
出すのは、工程ごとの日数と、全体の金額換算です。
誰の机で止まったかではなく、どの工程で止まったかで語ります。
上振れだけを並べるのも避けてください。
最も遅かった1件から年間の損失を推計すると、数字が過大になり、前提を疑われます。
使うのは中央値に近い案件です。
控えめな前提で出した金額のほうが、制度の変更を通す場面では強く働きます。
遅れは日数ではなく金額で示します。直近1年分の申請について同じ計算を行い、合計額で工程の見直しを提案してください。
どの工程で止まっているかを、どうやって特定するのか
申請ごとに、各工程を通過した日付を記録します。
全体の所要日数だけを見ていても、どこが長いかは分かりません。
所要日数を短くする議論は、どこが長いかが分からないまま始まることがほとんどです。
全体で20営業日という数字しか手元になければ、削る場所を誰も指せません。
必要なのは、工程ごとの通過日です。
申請した日、各承認者が受け取った日、承認した日、実行に移した日を記録します。
記録は、既存の申請の仕組みに欄を足すだけで取れます。
新しい道具を導入する必要はありません。
記録を3か月続けると、工程ごとの日数の分布が出ます。
この時点で、長い工程が1つか2つに集中していることが分かります。
集中している工程には、たいてい理由があります。
その承認者の確認の周期が長いか、その工程でだけ追加の資料が求められているかのどちらかです。
前者なら、周期を変えるか、権限を委譲するかの話になります。
後者なら、求められる資料を申請の書式に組み込む話になります。
どちらの対処も、記録が出るまでは選べません。
記録のない状態で経路を変えると、削った工程が実は短かったという結果になります。
決裁の所要日数を工程ごとに分解する記録項目
| 記録する項目 | 取り方 | そこから分かること |
|---|---|---|
| 申請を出した日 | 申請の仕組みに自動で残る | 起点が揃う |
| 各承認者が受け取った日 | 通知の日時を残す | 前の工程からの引き継ぎの速さ |
| 各承認者が承認した日 | 承認の操作の日時 | その工程での待ち時間 |
| 差し戻しの回数と理由 | 理由の欄を必須にする | 書式を直すべき箇所 |
| 実行に移した日 | 担当者が入力する | 承認後の着手までの遅れ |
| 申請の金額 | 申請の仕組みに入力済み | 金額の帯ごとの傾向 |
承認の後の遅れも、同じ記録で見つかる
決裁の日数を測るとき、承認された時点を終点にしがちです。
実際には、承認されてから実行されるまでの期間にも遅れが入ります。
媒体側の審査、素材の準備、契約の手続きがここに入ります。
この区間が5営業日あるなら、決裁を3営業日縮めても効果は限られます。
そのため、記録の終点は承認ではなく実行にしてください。
どちらの区間が長いかで、手をつける場所が変わります。
承認後の区間が長い場合は、決裁と並行して準備を進める運用に変えるのが早い対処です。
承認が下りてから素材を作り始める運用をやめるだけで、数営業日が縮みます。
工程ごとの通過日を3か月記録すれば、長い工程は1つか2つに絞られます。記録の終点は承認ではなく、実際に配信が動いた日に置いてください。
承認の経路は、金額の帯でどう分けるのか
すべての申請を同じ経路に流すのをやめ、金額の帯ごとに通す人を変えます。
小さい申請が大きい申請と同じ日数をかけている状態が、最も直しやすい無駄です。
同じ経路にすべての申請を流している組織では、10万円の追加も1,000万円の追加も同じ人数を通ります。
確認の手間は金額に比例しないため、小さい申請ほど相対的に重くなります。
小さい申請の件数は、大きい申請より圧倒的に多くなります。
そのため、承認者の時間の大半が、金額としては小さい案件に使われます。
この状態では、大きい申請の確認も雑になります。
件数に追われて、1件あたりにかけられる時間が減るからです。
金額の帯で経路を分けると、両方が改善します。
小さい申請は担当の責任者までで完結し、大きい申請には確認の時間が確保できます。
帯の切り方は、金額の分布から決めてください。
件数の7割から8割が入る帯を1つ作り、そこを最短の経路にします。
帯の境目を、切りのよい数字にしないでください。
100万円で切ると、99万円の申請が並ぶようになります。
境目のすぐ下に申請が集まる動きが出たら、その帯の運用は失敗しています。
分割して申請することを禁じる規定より、帯の境目を分布に合わせて置き直すほうが効きます。
金額の帯ごとに分けた承認経路の設計
| 金額の帯 | 通す人 | 所要日数の目安 | 事後に見るもの |
|---|---|---|---|
| 月額の変更が10万円未満 | 運用の責任者のみ | 1営業日 | 月次の一覧で確認 |
| 10万円以上100万円未満 | 部門長まで | 3営業日 | 月次の一覧で確認 |
| 100万円以上500万円未満 | 部門長と管理部門 | 5営業日 | 四半期の実績報告 |
| 500万円以上 | 役員会 | 10営業日 | 個別の実績報告 |
| 新規の媒体を使う場合 | 金額にかかわらず部門長と管理部門 | 5営業日 | 3か月後に継続の可否を判断 |
帯を分けるときに、同時に決めること
経路を分けると、下の帯の申請は上位者の目に触れなくなります。
見えなくなること自体が問題になるので、事後に見る仕組みを同時に作ってください。
作り方は、月に1度、下の帯で承認された申請を一覧にして共有するだけです。
1件ずつ承認する代わりに、まとめて振り返る形に置き換えます。
この一覧を出す担当と、出す日を決めておきます。
決めていないと、最初の2か月で出なくなります。
一覧を見た結果、帯の設定を変えることもあります。
下の帯に想定より大きな判断が混ざっていたなら、境目を下げてください。
件数の7割から8割が入る帯を作り、そこを最短の経路にします。下の帯は月次の一覧で事後に見る仕組みとセットで設計してください。
事前に予算枠を承認しておく方式は、どこまで使えるのか
条件を先に承認しておき、条件に合う支出は事後の報告で済ませる形です。
都度の申請そのものをなくすので、日数の短縮としては最も効果が大きくなります。
経路を短くする改善には限界があります。
1工程あたり1営業日まで縮めても、工程が3つあれば3営業日は残ります。
この限界を超える方法が、事前に枠を承認しておく形です。
期初に条件と上限を承認し、その範囲の支出は申請なしで実行します。
条件に入れるのは、上限の金額、使ってよい媒体や目的の範囲、期間、そして報告の頻度です。
この4つが決まっていれば、承認する側は範囲の外に出ないことを確認できます。
最も使いやすいのは、既存の配信の増減です。
すでに実績のある媒体で、月額の上下を一定の幅に収める範囲であれば、都度の判断は要りません。
逆に、新しい媒体を試す支出は枠に入れないでください。
実績のない支出は、金額が小さくても事前の確認に価値があります。
枠の上限は、四半期あたりの総額で置くのが扱いやすくなります。
月単位で置くと、季節の山に合わせた使い方ができません。
報告は月に1度で足ります。
使った金額、使った先、得られた件数の3つを1枚にします。
この報告が出ていない月が2回続いたら、枠を停止する取り決めも入れておいてください。
報告の義務と枠がセットになっていないと、承認する側の不安が残ります。
枠の方式が通らない組織もあります。
内部統制の要件で、一定額以上の支出には個別の承認記録が必要な場合です。
その場合は、枠の中で個別の承認を電子的に即日で行う形に変えます。
記録は残しつつ、待ち時間だけを削る設計です。
枠を使い始めるときの決め方
最初から大きな枠を求めると、承認されません。
四半期の予算の1割程度から始めるのが現実的です。
1四半期運用して、報告が滞りなく出て、範囲の外に出た支出がなければ、次の四半期で枠を広げます。
実績を積んで広げる進め方であれば、管理側も合意しやすくなります。
枠の運用を誰が管理するかも決めます。
使った金額を日々把握している人がいないと、上限を超えたことに月末まで気づきません。
超過したときの扱いも先に決めておいてください。
超過を発見した時点で配信を止めるのか、その月だけ事後承認にするのかで、現場の動き方が変わります。
実績のある配信の増減だけを枠に入れ、新しい媒体は枠の外に置きます。上限は四半期の総額で置き、月次の報告とセットで設計してください。
例外の申請は、どう受け止める設計にするのか
例外のための経路を1本だけ用意します。
例外を認めない設計にすると、正規の経路の外側で物事が進みます。
どれだけ経路を整えても、想定の外の申請は出てきます。
競合が急に大きく出稿した、媒体側が期間限定の条件を出した、といった場面です。
こうした申請を通常の経路に流すと、判断のときには機会が消えています。
そのため、現場は経路の外で話を進めようとします。
外で進んだ支出は、後から帳尻を合わせる形で申請されます。
記録としては残りますが、判断の記録としては残りません。
例外を認めない設計が、記録の質を下げるという逆転が起きています。
だからこそ、例外の経路を先に作っておく必要があります。
例外の経路には、3つの条件を付けます。
承認者を1人に限ること、上限の金額を決めておくこと、そして翌営業日以内に事後の説明を出すことです。
承認者を1人にするのは、速さのためです。
2人以上にすると、通常の経路と同じ待ちが発生します。
上限を決めるのは、例外の経路が常用されるのを防ぐためです。
上限を超える案件は、どれだけ急いでいても通常の経路を通します。
事後の説明を必須にするのは、例外が何件出ているかを見えるようにするためです。
説明の書式は、金額、理由、判断した人、その後の結果の4項目で足ります。
例外の件数は、四半期ごとに数えてください。
件数が増えているなら、通常の経路の設計が実態に合っていません。
例外が全体の1割を超えたら、通常の経路の側を直す合図です。
例外の運用を厳しくする方向に進めると、経路の外に出る動きが戻ってきます。
例外を使った結果を、次の設計に返す
例外の記録を四半期ごとに読み返すと、同じ種類の案件が繰り返し出ていることが分かります。
繁忙期の直前の増額や、媒体側の期間限定の条件がここに入ります。
繰り返し出る種類は、例外ではなく想定の内側です。
次の期からは、通常の経路か事前の枠に組み込んでください。
組み込む作業をしないと、例外の件数が毎期増えていきます。
例外の経路は、設計を更新するための入力として使います。
読み返す担当と時期を決めておいてください。
四半期の終わりに、予算の振り返りと同じ場で見るのが続けやすい形です。
読み返すときに見るのは、件数と金額ではなく理由の欄です。
理由が5種類くらいに収束していれば、そのうち上位の2つを設計に取り込むだけで例外は半分に減ります。
例外の経路は承認者1人、上限つき、翌営業日の事後説明で作ります。同じ種類の例外が繰り返し出たら、それは例外ではなく通常の経路に組み込む対象です。
決裁を短くすると、何が犠牲になるのか
確認の目が減ります。
その分を、事前の条件と事後の点検で補う設計にしてください。
工程を減らせば、これまで見ていた人が見なくなります。
見落としが増えるかどうかは、減らし方によって決まります。
見落としで実際に起きるのは、大きく3つです。
予算の総額の超過、目的の重複、そして規制のある表現の見逃しです。
総額の超過は、事前に上限を設定しておけば仕組みで防げます。
承認者が毎回計算する必要はありません。
目的の重複は、複数の部門が同じ層に別々の配信を出している状態です。
これは承認の場では見つかりにくく、月次の一覧を横に並べたときに初めて見えます。
規制のある表現の見逃しは、確認の目を減らすと最も影響が出やすい箇所です。
医療や金融、人材など、表現に制約がある領域では、承認の工程が実質的な確認の場になっていることがあります。
この場合は、決裁の工程ではなく、制作の工程に確認を移してください。
配信を出す前の素材の確認として独立させれば、決裁を短くしても確認の目は減りません。
確認の基準は、掲載時点の最新の公式ガイドラインで確認してください。
自治体で運用が異なる制度を扱う場合は、自治体の窓口での確認も併せて行ってください。
事後の点検も、確認の目の代わりになります。
月に1度、承認済みの申請を一覧にして、想定の外の支出が入っていないかを見ます。
点検で何も出ない月が続いたら、点検の頻度を四半期に落として構いません。
逆に、毎月何かが見つかるなら、経路を短くしたこと自体が早すぎた合図です。
短くしてはいけない工程を、先に決める
すべての工程を短縮の対象にすると、議論が発散します。
先に、短くしない工程を決めてください。
短くしない工程は、判断の内容が金額では測れないものです。
規制のある表現の確認、契約の条件の確認、個人情報の取り扱いに関わる確認がここに入ります。
この3つは、通す時間ではなく、通す担当を専任にすることで速くなります。
確認の質を落とさずに待ち時間だけを削る方法です。
残りの工程については、日数の目標を置いてください。
1工程あたり2営業日という目標があれば、超えた工程が自動的に見直しの対象になります。
目標を置くときは、守れなかった場合の扱いも決めてください。
超えた工程を誰が確認し、いつまでに直すのかが決まっていないと、目標は数字の表示だけになります。
目標の見直しは年1回で足ります。
四半期ごとに目標を動かすと、前の期と比べられなくなります。
短くしてよい工程と、担当を専任にして速くする工程を分けます。規制のある表現の確認は決裁ではなく制作の工程に移してください。
決裁フローの見直しは、何から手をつければいいのか
工程ごとの通過日を3か月記録するところからです。
どこで止まっているかが分からないまま経路を変えても、日数は変わりません。
見直しの作業は、記録、金額換算、経路の設計、枠の導入、例外の設計、点検の仕組みという順で進みます。
記録を飛ばして経路の設計から入ると、短くした工程が実は短かったという結果になります。
記録の3か月は待ち時間ではありません。
その間に、金額換算の計算と、帯の分布の確認を並行して進めます。
決裁フローを短くする着手の順番
| 順番 | やること | 関わる人 | 期間の目安 |
|---|---|---|---|
| 1 | 工程ごとの通過日を記録する欄を作る | 管理部門・情報システム | 2週間 |
| 2 | 記録を貯めながら分布を確認する | マーケティング・管理部門 | 3か月 |
| 3 | 直近1年の遅れを金額に換算する | マーケティング | 2週間 |
| 4 | 金額の帯と経路を設計する | 管理部門・経営 | 3週間 |
| 5 | 事前の枠を1割分から始める | 経営・マーケティング | 1四半期 |
| 6 | 例外の経路と事後説明の書式を決める | 管理部門 | 2週間 |
| 7 | 月次の一覧による点検を始める | 管理部門 | 継続 |
この順番で進めると、最初の変更が効き始めるのは着手から4か月後です。
早く見えますが、記録のない状態で経路を変えた場合のやり直しを含めれば、こちらのほうが短くなります。
急ぐ場合は、記録と並行して確認の周期だけを先に変えてください。
週1回の確認を毎営業日に変える変更は、記録がなくても実行できて効果が出ます。
数字は説明のための仮の値です。
所要が20営業日で、月500万円の配信の追加が止まっていたとします。
1営業日あたり25万円、獲得単価2万5,000円なら、20営業日で200件の機会が失われた計算です。
これを直近1年の申請すべてで合計すると、経路を変える議論の材料になります。
変更した後に、何を見続けるのか
決裁の速さを測る数字
| 数字 | 見る頻度 | 使いどころ |
|---|---|---|
| 申請から実行までの中央値 | 毎月 | 経路の変更が効いているか |
| 最も遅い1割の日数 | 毎月 | 長い尾が残っていないか |
| 差し戻しの件数と理由 | 毎月 | 書式を直すべき箇所があるか |
| 例外の経路を通った件数 | 四半期 | 通常の経路が実態に合っているか |
| 枠の中で使った金額 | 毎月 | 上限に対する消化の速さ |
| 承認から実行までの日数 | 毎月 | 決裁の外側に遅れが移っていないか |
中央値と最も遅い1割を両方見るのは、平均では長い尾が消えてしまうからです。
中央値が縮んでいても、遅い1割が変わっていなければ、現場の感覚は改善しません。
承認から実行までの日数を並べて見るのは、遅れが移動していないかを確かめるためです。
決裁を短くした分、準備の工程に待ちが移っていることがあります。
これらの数字を見る場は、月次の予算の会議で足ります。
決裁の改善のためだけに新しい会議を作ると、その会議自体が負担になります。
見る担当は管理部門に置いてください。
マーケティング部門が自分で測ると、都合の良い区間の数字だけが残ります。
着手点は工程ごとの通過日の記録です。記録の3か月と並行して金額換算を進めれば、4か月目から経路の変更に入れます。
決裁に時間がかかって機会を逃している場合は、無料相談で現状の進め方を見てもらうところから始められます。
予算の運用ごと見直す段階ならWeb集客改善サービスもあります。
よくある質問
承認者を減らせば決裁は速くなりますか
人数を減らすより、確認の周期を変えるほうが効きます。判断そのものは数分で終わっており、日数の大半は各承認者の手元で順番を待つ時間です。週1回の確認を毎営業日に変えるだけで、同じ人数のまま待ち時間が大きく縮みます。
決裁の遅れを社内で説明するには、どう示せばよいですか
遅れた営業日数に1日あたり動かせたはずの金額を掛け、獲得単価で件数に直し、受注率と受注単価で売上に換算します。1件だけではなく直近1年分の申請を合計してください。上振れの案件ではなく、中央値に近い案件を前提に置くほうが通ります。
事前に予算枠を承認してもらう形は現実的ですか
実績のある媒体の増減に限れば現実的です。上限の金額、使ってよい範囲、期間、報告の頻度の4つを決めて承認を得ます。最初は四半期予算の1割程度から始め、報告が滞りなく出た実績を積んでから広げてください。新しい媒体を試す支出は枠に入れないでください。
急ぎの申請はどう扱えばよいですか
例外のための経路を1本だけ作り、承認者は1人、上限の金額を決め、翌営業日以内に事後の説明を出す形にします。例外を認めない設計にすると、正規の経路の外で支出が進み、判断の記録が残りません。例外が全体の1割を超えたら通常の経路の側を直してください。
工程を減らすと確認が甘くなりませんか
減らしてよい工程と、担当を専任にして速くする工程を分けてください。規制のある表現の確認や契約条件の確認は、決裁ではなく制作や契約の工程に移します。総額の超過は上限の設定で防げ、目的の重複は月次の一覧を横に並べたときに見つかります。
まとめ
- 人数そのものより、各承認者の手元で待っている時間の合計が原因です。承認者が3人でも、それぞれの机で5営業日止まれば3週間かかります
- 遅れた期間に動かせなかった金額と、その金額が生むはずだった成果です。金額に直すと、フローを変える議論が初めて前に進みます
- 申請ごとに、各工程を通過した日付を記録します。全体の所要日数だけを見ていても、どこが長いかは分かりません
- すべての申請を同じ経路に流すのをやめ、金額の帯ごとに通す人を変えます。小さい申請が大きい申請と同じ日数をかけている状態が、最も直しやすい無駄です
- 条件を先に承認しておき、条件に合う支出は事後の報告で済ませる形です。都度の申請そのものをなくすので、日数の短縮としては最も効果が大きくなります
- 例外のための経路を1本だけ用意します。例外を認めない設計にすると、正規の経路の外側で物事が進みます
- 確認の目が減ります。その分を、事前の条件と事後の点検で補う設計にしてください
- 工程ごとの通過日を3か月記録するところからです。どこで止まっているかが分からないまま経路を変えても、日数は変わりません