
1つの前提に基づく計画しか作っていないからです。
前提が定まらない状況では、前提そのものを複数持つ形にします。
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目次
目次
- 不透明なときに、予算を決められなくなるのはなぜか
- 単一の計画は、前提が動くと使えなくなる
- 削減が来る前提で組むとは、どういうことか
- 減らせない支出が、削減の幅を決める
- 固定と変動の比率を、どこに置くのか
- 過去の売上の振れ幅を見る
- 契約の解約のしやすさを、どう設計するのか
- 更新の時期が集中していないかを確認する
- シナリオを何通り用意するのか
- 3通りにする理由
- 減らす順番を、いつ決めておくのか
- 順番を決める基準は、回復にかかる時間
- 守りに寄りすぎると、何を失うのか
- 検証を止めると、次の選択肢がなくなる
- 構えを作るまでの段取り
- 契約の一覧が、すべての前提になる
- よくある質問
- まとめ
1つの前提に基づく計画しか作っていないからです。
前提が定まらない状況では、前提そのものを複数持つ形にします。
不透明なときに、予算を決められなくなるのはなぜか
1つの前提に基づく計画しか作っていないからです。
前提が定まらない状況では、前提そのものを複数持つ形にします。
景気の見通しが立たない局面で、予算の議論が止まることがあります。
決められないのではなく、決め方が状況に合っていません。
単一の計画は、前提が動くと使えなくなる
年間の予算を1本の計画として組むと、前提が変わった時点で作り直しになります。
作り直しには時間がかかり、その間は判断が止まります。
決められないまま期が始まると、前年踏襲になる
議論が長引くと、結論を出す期限が来ます。
このとき採用されるのは、前年と同じ金額です。
最も根拠の薄い決め方が、不透明な局面でこそ選ばれます。
不透明な局面で起きること
| 状況 | 起きること | 結果 |
|---|---|---|
| 前提が定まらない | 議論が長引く | 期限が来て前年踏襲になる |
| 下振れを恐れる | 全体を絞る | 回復局面で出遅れる |
| 様子を見る | 判断を先送りする | 機会を逃す |
| 経営から急な削減が来る | 準備なく削る | 高くつくものから削ってしまう |
| 計画を作り直す | 時間がかかる | その間の判断が止まる |
構えを先に作ると、判断が速くなる
どの条件になったら何をするかを先に決めておきます。
条件が来たときに議論せずに動けるので、対応が速くなります。
実際には、横ばいが最も多い
Comexposium Japanが2025年12月に実施した調査では、2026年の予算について増加が38.5%で前年比6.2ポイント増、横ばいが50.5%でした。
Macbee Planetが2025年12月に実施した調査では、予算を増やすとした企業がBtoCで61.3%、BtoBで52.3%でした。
増額も削減も一方向には動いていません。だから、どちらにも動ける構えが要ります。
削減が来る前提で組むとは、どういうことか
期中に減らせる余地を、計画の中にあらかじめ持つことです。
減らせない契約で予算を埋めると、削減の指示に対応できません。
削減への備えは、金額を小さくすることではありません。
減らせる形にしておくことです。
減らせない支出が、削減の幅を決める
年契約のツール、長期の契約、最低出稿額のある取引。
これらは期中に減らせません。
減らせない支出の比率が高いと、削減の指示に対して打つ手がなくなります。
減らしやすさによる支出の分類
| 分類 | 例 | 期中に減らせるか |
|---|---|---|
| 即時に減らせる | 媒体費の日々の配分 | できる |
| 月単位で減らせる | 月契約の外注 | 1か月で |
| 四半期で減らせる | 予告期間のある契約 | 3か月で |
| 期をまたがないと減らせない | 年契約のツール | できない |
| 減らせない | 支払い済みの費用 | できない |
即時に減らせる部分の比率を、決めておく
全体のうち、いつでも減らせる部分をどれだけ確保するか。
この比率を期初に決めます。
減らせる余地は、増やす余地でもある
即時に動かせる部分が大きければ、好転したときに増やすこともできます。削減への備えは、機会への備えでもあります。
固定と変動の比率を、どこに置くのか
事業の変動の幅から決めます。
売上の振れが大きい事業ほど、変動できる部分を厚くします。
比率の適正な水準は、事業によって違います。
過去の売上の振れ幅を見る
過去3年で、四半期の売上が計画からどれだけ振れたかを出します。
振れ幅が大きいほど、予算も変動できる形にする必要があります。
事業の性質と、変動部分の目安
| 事業の性質 | 売上の振れ | 変動部分を厚くするか |
|---|---|---|
| 景気の影響を受けやすい | 大きい | 厚くする |
| 継続契約が中心 | 小さい | 通常でよい |
| 季節性が強い | 月ごとに大きい | 時期によって変える |
| 新規事業 | 読みにくい | 厚くする |
| 成熟した事業 | 安定している | 通常でよい |
固定の部分にも、意味がある
すべてを変動にすると、継続的な取り組みができません。
測定の環境、制作の体制、外部パートナーとの関係は、継続が前提です。
固定にするものを、先に決める
事業の継続に必要なものから、固定の枠に入れます。
残りを変動の枠として設計します。
数字は説明のための仮の値です
たとえば年間予算1億2,000万円のうち、固定が4,800万円、変動が7,200万円という配分にしたとします。削減の指示が2割なら2,400万円で、変動の枠の中で対応できます。
契約の解約のしやすさを、どう設計するのか
契約ごとに解約の条件を一覧にし、更新の時期を分散させます。
同じ時期に更新が集中すると、見直しの機会が年1回しかなくなります。
契約の条件は、削減の可否を直接決めます。
更新の時期が集中していないかを確認する
多くの契約が期初にまとまって更新されていると、期中の見直しができません。
更新の時期を分散させると、四半期ごとに見直す機会が生まれます。
契約の条件で確認すること
| 項目 | 確認すること | 備えの取り方 |
|---|---|---|
| 契約の期間 | 年契約か月契約か | 一部は月契約にする |
| 更新の時期 | いつ更新されるか | 時期を分散させる |
| 解約の予告期間 | 何か月前の通知が必要か | 予告期間の短いものを混ぜる |
| 最低の金額 | 下限が設定されているか | 下限の低い条件を交渉する |
| 途中解約の条件 | 違約金があるか | 金額と条件を記録する |
全部を短期契約にはしない
短期の契約は、料率や条件が不利になることがあります。
長期契約による条件の良さと、解約のしやすさは両立しません。
一部を長期、一部を短期にする形で分けます。
予告期間を、一覧で持つ
削減の指示が来たとき、予告期間を調べる時間はありません。契約ごとの予告期間を一覧にして、すぐ見られる状態にします。
シナリオを何通り用意するのか
3通りです。
標準、下振れ、上振れの3つで足り、それ以上は使われません。
シナリオの数は、多ければよいものではありません。
3通りにする理由
2通りだと、下振れへの備えしか作れません。
4通り以上にすると、どれを使うかの判断自体が難しくなります。
3つのシナリオの組み方を、項目ごとに見ていきます。
標準については、前提は計画どおりに推移、予算の水準は100%、切り替えの条件は既定。
下振れについては、前提は売上が計画を下回る、予算の水準は80%前後、切り替えの条件は四半期の売上が計画の何%を下回ったら。
上振れについては、前提は売上が計画を上回る、予算の水準は120%前後、切り替えの条件は四半期の売上が計画の何%を上回ったら。
数字は説明のための仮の値です
上の水準と条件は、形を示すためのものです。
自社の過去の振れ幅から、それぞれの水準を決めます。
切り替えの条件を、数字で書く
状況が悪くなったら、という表現では切り替わりません。
四半期の売上が計画の何%を下回ったら、という形で数字を書きます。
上振れのシナリオを、必ず用意する
下振れの備えだけを作ると、好転したときに動けません。
増やす場合の行き先も、先に決めておきます。
3つとも、経営と合意しておく
シナリオを部門の中だけで持っていると、切り替えのたびに稟議が必要になります。期初に3つとも合意しておけば、条件が来たときに動けます。
減らす順番を、いつ決めておくのか
期初です。
削減の指示が来てから決めると、判断の時間が足りず、後で高くつくものから削ることになります。
削減の順番は、余裕のあるうちに決めます。
順番を決める基準は、回復にかかる時間
止めた後、元の水準に戻すのにどれだけかかるか。
この時間が短いものから削ります。
削減の順番の考え方を、項目ごとに見ていきます。
1については、対象は成果が測れていない施策、回復にかかる時間はなし。
2については、対象は検証中で結果が出ていない施策、回復にかかる時間は再開すればよい。
3については、対象は効率の悪い媒体の一部、回復にかかる時間は数週間。
4については、対象は制作の本数、回復にかかる時間は1か月から2か月。
5については、対象は継続的な接点の維持、回復にかかる時間は数か月。
6については、対象は測定の環境、回復にかかる時間は再構築に数か月。
真っ先に削られやすいものに、注意する
Macbee Planetが2025年12月に実施した調査では、削減の対象としてBtoCでイベントや展示会、セミナーが42.9%、CRMやリテンションが40.7%で挙がっていました。
既存顧客に関わる取り組みは、削っても当期の新規の数字には出ません。
効いてくるのは、翌期以降の継続率です。
削減の影響を、金額で見積もっておく
各項目について、削った場合に失うものを金額で見積もります。
見積りがあると、どこまで削れるかの議論ができます。
順番を、経営と共有しておく
期初に削減の順番を共有しておくと、指示が来たときの交渉が短くなります。どこまで削ると何が失われるかを、先に伝えられます。
守りに寄りすぎると、何を失うのか
回復の局面での出遅れです。
市場が動くときに動ける状態にないと、先に動いた企業との差が開きます。
不透明な局面で全体を絞る判断は、短期的には安全に見えます。
検証を止めると、次の選択肢がなくなる
削減の対象として、検証中の施策は真っ先に挙がります。
ただし、検証を全部止めると、翌期に使える新しい選択肢がありません。
守りに寄ったときの影響を、項目ごとに見ていきます。
検証を全部止めるについては、短期の効果は費用が減る、長期に失うものは翌期の選択肢がなくなる。
制作を止めるについては、短期の効果は費用が減る、長期に失うものは素材が古くなり効率が落ちる。
既存顧客への接点を減らすについては、短期の効果は費用が減る、長期に失うものは継続率が下がる。
人を減らすについては、短期の効果は費用が減る、長期に失うものは回復時に体制が組めない。
測定を止めるについては、短期の効果は費用が減る、長期に失うものは判断の根拠がなくなる。
最小限の検証枠は、残す
すべての検証を止めるのではなく、1本だけ残す形にします。
費用は小さく抑えても、選択肢は維持できます。
環境の変化は、景気と関係なく進む
媒体や技術の側の変化は、景気の動向とは別に進みます。
Comexposium Japanの調査では、AIの導入について導入済みまたは準備中が80.7%でした。
守りに寄って何も試さない期間が長引くと、変化への追随が遅れます。
構えを作るまでの段取り
契約の条件を一覧にするところからです。
減らせる範囲が分からないと、シナリオの設計ができません。
備えの作業は、期初の予算を組む前に行います。
構えを整える順序を、項目ごとに見ていきます。
1については、やることは契約ごとの期間、更新時期、予告期間を一覧にする、期間の目安は2週間。
2については、やることは支出を、減らしやすさで5つに分類する、期間の目安は1週間。
3については、やることは過去3年の四半期の売上の振れ幅を出す、期間の目安は1週間。
4については、やることは固定と変動の比率を決める、期間の目安は2週間。
5については、やることは3つのシナリオと、切り替えの数値条件を作る、期間の目安は2週間。
6については、やることは削減の順番と、各項目で失うものを見積もる、期間の目安は2週間。
7については、やることは3つのシナリオを経営と合意する、期間の目安は1か月。
8については、やることは四半期ごとに条件を確認し、切り替えを判断する、期間の目安は継続。
契約の一覧が、すべての前提になる
減らせる範囲が分からなければ、シナリオも削減の順番も作れません。
最初の2週間で、経理と協力して一覧を作ります。
見る数字を決める
数字は説明のための仮の値です。
たとえば年間予算1億2,000万円のうち、即時に減らせる部分が6,000万円、3か月で減らせる部分が2,400万円、期中に減らせない部分が3,600万円だとします。
2割の削減の指示なら2,400万円で、即時に減らせる範囲で対応できます。
4割の削減なら4,800万円となり、3か月で減らせる部分まで手をつけることになります。
環境の変化を測る数字を、項目ごとに見ていきます。
四半期の売上の計画に対する比率については、見る頻度は四半期、何を判断するかはシナリオを切り替えるか。
即時に減らせる支出の比率については、見る頻度は四半期、何を判断するかは備えが維持されているか。
期中に減らせない契約の金額については、見る頻度は四半期、何を判断するかは固定が増えていないか。
残している検証の本数については、見る頻度は四半期、何を判断するかは選択肢が残っているか。
契約の更新時期の分散の状況については、見る頻度は年1回、何を判断するかは見直しの機会が確保されているか。
固定の部分が増えていないかを、四半期で見る
年契約のツールや長期の取引は、気づかないうちに増えます。
四半期ごとに、期中に減らせない金額を確認します。
シナリオは、期中に作り直さない
条件が来たら切り替えるだけにします。
作り直しを始めると、その間の判断が止まります。
不透明な局面で予算をどう組むか迷う場合は、無料相談で現状の契約と支出の構成を見てもらうところから始められます。予算の組み立てごと見直す段階ならWeb集客改善サービスもあります。
よくある質問
景気が読めないときは、予算を絞るべきですか
全体を絞ると回復の局面で出遅れます。金額を小さくするのではなく、期中に減らせる部分の比率を高めて、どちらにも動ける形にしてください。
固定と変動の比率はどう決めますか
過去3年で四半期の売上が計画からどれだけ振れたかを出し、振れ幅が大きいほど変動できる部分を厚くします。測定の環境や制作の体制のように継続が前提のものは、固定の枠に入れてください。
シナリオは何通り作ればよいですか
標準、下振れ、上振れの3通りです。切り替えの条件は、四半期の売上が計画の何%を下回ったらという形で数字で書き、期初に経営と合意しておいてください。
削減の順番はいつ決めますか
期初です。指示が来てから決めると判断の時間が足りず、後で高くつくものから削ることになります。止めた後に元の水準へ戻すまでの時間が短いものから順に並べてください。
検証の予算は削ってよいですか
全部止めると、翌期に使える新しい選択肢がなくなります。費用を小さく抑えてでも1本は残し、変化への追随が止まらない状態を保ってください。
まとめ
- 1つの前提に基づく計画しか作っていないからです。前提が定まらない状況では、前提そのものを複数持つ形にします
- 期中に減らせる余地を、計画の中にあらかじめ持つことです。減らせない契約で予算を埋めると、削減の指示に対応できません
- 事業の変動の幅から決めます。売上の振れが大きい事業ほど、変動できる部分を厚くします
- 契約ごとに解約の条件を一覧にし、更新の時期を分散させます。同じ時期に更新が集中すると、見直しの機会が年1回しかなくなります
- 3通りです。標準、下振れ、上振れの3つで足り、それ以上は使われません
- 期初です。削減の指示が来てから決めると、判断の時間が足りず、後で高くつくものから削ることになります
- 回復の局面での出遅れです。市場が動くときに動ける状態にないと、先に動いた企業との差が開きます
- 契約の条件を一覧にするところからです。減らせる範囲が分からないと、シナリオの設計ができません