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他の費用は別の科目や別の部署に散っていて、並べて見る機会がありません。
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目次
目次
- マーケティングの費用が、媒体費だけで語られるのはなぜか
- 集計される単位が、費用の見え方を決める
- 媒体費以外に、どんな費用が出ているのか
- 契約の一覧から探す
- どこまでを、獲得の費用に含めるのか
- 含める基準は、新規の獲得に直接寄与したかどうか
- 人件費は、どう扱うのか
- 稼働の割合を、四半期で決める
- 費用が複数の部署に分かれている場合、どう集めるのか
- 施策を先に列挙する
- 可視化すると、最初に何が見えるのか
- 使われていない契約が、必ず出る
- 全部を見える化すると、投資が止まってしまわないか
- 金額だけを出すと、削減の議論になる
- 費用の全体像を出すところから
- 初版は、精度を求めない
- よくある質問
- まとめ
媒体費だけが月次で集計される仕組みになっているからです。
他の費用は別の科目や別の部署に散っていて、並べて見る機会がありません。
マーケティングの費用が、媒体費だけで語られるのはなぜか
媒体費だけが月次で集計される仕組みになっているからです。
他の費用は別の科目や別の部署に散っていて、並べて見る機会がありません。
マーケティングの費用を聞かれたとき、多くの担当者は媒体費の金額を答えます。
実際に事業が負担している費用は、それより大きくなります。
集計される単位が、費用の見え方を決める
媒体費は、代理店からの請求として月次でまとまって届きます。
ツールの利用料は年契約で、別の科目に入っていることがあります。
人件費は、そもそもマーケティングの費用として扱われていません。
全体が見えないと、比較の議論ができない
媒体費だけで獲得費用を計算すると、実際より小さい数字になります。
その数字を根拠に投資を判断すると、事業の採算と合いません。
媒体費以外で発生している費用
| 区分 | 具体例 | 集計されている場所 |
|---|---|---|
| 制作 | 素材の制作費、撮影、企画 | 媒体費と一緒か、別の請求 |
| 運用の委託 | 代理店の手数料 | 媒体費に含まれることがある |
| ツール | 計測、分析、配信管理、顧客管理 | 情報システムや別部署の契約 |
| 人 | 担当者の人件費、外部の人材 | 人件費として別管理 |
| その他 | 調査、イベント、資料の制作 | 各施策の費用として散在 |
外注の手数料が、媒体費に紛れている
代理店の手数料が媒体費の請求に含まれている場合、分けて見えません。
分けて把握しないと、手数料の水準が妥当かを議論できません。
全体を出すことは、削減のためではない
可視化の目的は、削る対象を探すことではありません。事業に対していくら投じているかを正しく把握し、判断の土台にすることです。
媒体費以外に、どんな費用が出ているのか
制作、委託の手数料、ツール、人、そのほかの施策の5つです。
どれも事業の成果に必要な支出で、見えていないだけです。
費用を5つの区分に分けて、それぞれを洗い出します。
契約の一覧から探す
経理が持っている契約の一覧を見ると、マーケティングに関わる支出が見つかります。
部署の予算に入っていないものが混ざっていることがあります。
費用の洗い出しの手がかり
| 区分 | 探す場所 | 見落としやすいもの |
|---|---|---|
| 制作 | 発注の記録、請求書 | 撮影の費用、素材の購入 |
| 委託の手数料 | 代理店の請求書 | 媒体費と一体になっている分 |
| ツール | 契約の一覧、クレジットカードの明細 | 年契約で自動更新されているもの |
| 人 | 人事の情報 | 兼務している人の稼働分 |
| その他の施策 | 各施策の予算 | 調査、イベント、資料の制作 |
自動更新されているものが、見つけにくい
年契約で自動更新されるツールは、契約時以降に議論されません。
使っていないのに支払いが続いているものが出てきます。
イベントや調査は、別の部署が持っていることがある
展示会の出展費用が営業の予算、顧客調査が事業企画の予算になっていることがあります。
費用としては別でも、成果への寄与は同じ領域です。
削減の場面で、この構造が問題になる
Macbee Planetが2025年12月に実施した調査では、削減の対象としてBtoCでイベントや展示会、セミナーが42.9%、CRMやリテンションが40.7%で挙がっていました。部署をまたいで費用が散っていると、どこを削ると何が失われるかの判断ができません。
どこまでを、獲得の費用に含めるのか
新規の顧客を得るために直接動いた費用までです。
既存顧客の維持や、全社のブランドに関わる費用は分けます。
費用を全部足して獲得件数で割ると、数字が大きくなりすぎます。
何を含めるかの線引きが要ります。
含める基準は、新規の獲得に直接寄与したかどうか
新規の顧客を得るために動いた費用は含めます。
既存顧客への施策や、事業全体のブランドに関わる費用は別に集計します。
獲得の費用への算入の考え方
| 費用 | 新規獲得に算入するか | 理由 |
|---|---|---|
| 広告の媒体費 | する | 直接の獲得のための支出 |
| 獲得用の素材の制作費 | する | 獲得のために作ったもの |
| 代理店の手数料 | する | 獲得の実行にかかる費用 |
| 獲得を担う人の人件費 | する | 実行に直接かかわる |
| 既存顧客への施策 | しない | 維持の費用として別に見る |
| ブランドの投資 | しない | 期間をまたいで効くため別枠 |
| 全社のイベント | 按分する | 新規と既存の両方に効く |
按分が必要なものは、基準を決めて固定する
展示会のように新規と既存の両方に効くものは、割合を決めて按分します。
基準は毎期変えず、同じ割合を使い続けます。
2つの数字を並べて持つ
媒体費だけで計算した数字と、全部を含めた数字の両方を持ちます。前者は施策の比較に、後者は事業の採算の判断に使います。
人件費は、どう扱うのか
稼働の割合で按分します。
全額を入れると数字が動きすぎ、入れないと採算を誤ります。
人件費の扱いは、可視化の作業で最も議論になる部分です。
稼働の割合を、四半期で決める
担当者が新規の獲得にどれだけの時間を使っているかを、割合で置きます。
毎月測ると手間がかかるので、四半期に一度決めます。
人件費の按分の考え方
| 対象 | 按分の基準 | 見直しの頻度 |
|---|---|---|
| 専任の担当者 | 全額を算入 | 年1回 |
| 兼務の担当者 | 稼働の割合 | 四半期 |
| 管理職 | 担当する領域の割合 | 年1回 |
| 外部の人材 | 契約の内容に応じて | 契約のたび |
| 他部署の関与 | 関与の時間を概算 | 年1回 |
正確さより、続けられることを優先する
按分の精度を上げようとすると、記録の手間が増えて続きません。
おおよその割合で構わないので、毎期同じ方法で出します。
人件費を入れると、内製と外注の比較ができる
人件費を含めない状態では、内製したほうが安く見えます。
含めて初めて、外部に委託した場合との比較ができます。
経理との定義合わせを、先に行う
人件費に何を含めるかは、社内の定義があります。経理の定義に合わせないと、他の資料と数字が合いません。
費用が複数の部署に分かれている場合、どう集めるのか
科目ではなく、施策の単位で集めます。
科目で集めると、部署をまたいだ費用が漏れます。
費用の可視化で難しいのは、集計の作業ではなく、どこにあるかを知ることです。
施策を先に列挙する
いま動いている施策を全部並べます。
それぞれについて、誰が発注し、どこの予算から出ているかを確認します。
部署をまたぐ費用の集め方を、項目ごとに見ていきます。
1については、やることは施策を全部列挙する、相手は自部門。
2については、やることは施策ごとに発注元と予算の出所を確認する、相手は各部署。
3については、やることは経理から契約の一覧を取る、相手は経理。
4については、やることは一覧と施策を突き合わせ、漏れを埋める、相手は経理。
5については、やることは集計の形式を決めて、毎期同じ形で集める、相手は各部署。
経理の協力を、最初に取る
契約の一覧と支出の明細は、経理が持っています。
個別に各部署に聞くより、経理から取るほうが早く正確です。
集める形式を固定する
一度きりの調査で終えると、翌期には同じ作業が必要になります。
集計の形式を決めて、四半期ごとに同じ形で集める運用にします。
他部署の費用を、自部門の予算に移す必要はない
可視化と、予算の移管は別の話です。どこの予算から出ていても、全体として把握できていれば判断はできます。
可視化すると、最初に何が見えるのか
使っていないツールと、二重になっている契約です。
成果の議論より先に、支出の整理で出てくるものがあります。
費用を並べると、想定していなかったものが出てきます。
使われていない契約が、必ず出る
導入したが使われなくなったツール。
担当者が変わって引き継がれなかった契約。
これらは自動更新で支払いが続いています。
可視化で見つかるものを、項目ごとに見ていきます。
使っていないツールについては、確認することは直近3か月の利用の有無、対応は解約か、利用の再開。
用途が重複する契約については、確認することは同じ用途のものが複数ないか、対応は一本化。
自動更新の契約については、確認することは更新日と解約の予告期間、対応は見直しの時期を記録。
成果が測られていない施策については、確認することは何を目的に始めたか、対応は測るか、止めるか。
按分の根拠がない費用については、確認することはなぜその割合か、対応は基準を決め直す。
解約の予告期間を、一覧に入れる
解約したいときに、予告期間が過ぎていて1年更新されることがあります。
契約ごとに、更新日と予告の期限を記録します。
成果が測られていない施策が、可視化で表に出る
費用は出ているが、何を目的にしているかが不明な施策が見つかります。このとき、すぐ止めるのではなく、測る形にするかどうかを先に判断します。
全部を見える化すると、投資が止まってしまわないか
見え方を設計すれば、止まりません。
金額だけを並べると削減の議論になるので、寄与とあわせて出します。
費用を全部出すことに、社内から慎重な意見が出ることがあります。
削減の材料にされるという懸念です。
金額だけを出すと、削減の議論になる
費用の一覧だけを提出すると、大きい順に削る対象として見られます。
何に効いているかを同時に示す必要があります。
出し方による受け取られ方の違いを、項目ごとに見ていきます。
費用の一覧だけについては、受け取られ方は削減の対象の一覧として見られる。
費用と対応する成果については、受け取られ方は投資の配分として見られる。
費用と、止めた場合に失うものについては、受け取られ方は判断の材料として見られる。
前期との比較だけについては、受け取られ方は増えた項目が問題視される。
同じ形式で継続的に出すについては、受け取られ方は変化の傾向として見られる。
止めた場合に失うものを、あわせて書く
各費用について、止めた場合に何が起きるかを1行添えます。
判断が必要な費用と、そうでない費用が分かれます。
増えている項目には、理由を添える
前期より増えている項目は、必ず質問されます。
理由を先に書いておけば、説明の往復が減ります。
予算の環境が、判断の背景にある
Comexposium Japanが2025年12月に実施した調査では、2026年の予算を増やすと答えた企業が38.5%で前年比6.2ポイント増、横ばいが50.5%でした。
横ばいが過半数である以上、増額より配分の組み替えが現実的な選択肢になります。
全体を可視化することは、組み替えの議論の前提になります。
費用の全体像を出すところから
施策の列挙と、経理からの契約の一覧の2つを突き合わせます。
どちらか一方だけでは、必ず漏れます。
最初の1か月で、全体像の初版を作ります。
費用を洗い出す順序を、項目ごとに見ていきます。
1については、やることは動いている施策を全部列挙する、期間の目安は1週間。
2については、やることは経理から契約と支出の一覧を取る、期間の目安は1週間。
3については、やることは施策と契約を突き合わせ、漏れを埋める、期間の目安は2週間。
4については、やることは5つの区分に分類する、期間の目安は1週間。
5については、やることは人件費の按分の基準を経理と合わせる、期間の目安は2週間。
6については、やることは獲得の費用に含める範囲を決める、期間の目安は1週間。
7については、やることは止めた場合に失うものを各項目に添える、期間の目安は2週間。
8については、やることは四半期ごとに同じ形式で更新する運用にする、期間の目安は継続。
初版は、精度を求めない
最初から正確な数字を出そうとすると、完成しません。
おおよその金額で全体を並べ、精度は次の期で上げます。
見る数字を決める
数字は説明のための仮の値です。
たとえば媒体費が年9,600万円、制作費1,000万円、手数料1,500万円、ツール600万円、人件費の按分が2,400万円だとします。
合計は1億5,100万円で、媒体費だけで見た場合の1.57倍です。
年間の新規獲得が2,000件なら、媒体費ベースの獲得費用は4.8万円、全体では7.55万円になります。
費用の全体像で見る数字を、項目ごとに見ていきます。
媒体費以外を含めた総額については、見る頻度は四半期、何に使うかは事業の採算の判断。
媒体費に対する総額の倍率については、見る頻度は四半期、何に使うかは見えていない費用の大きさ。
媒体費ベースと全体ベースの獲得費用については、見る頻度は四半期、何に使うかは施策の比較と採算の両方。
使われていない契約の件数と金額については、見る頻度は半年、何に使うかは整理の余地。
費用の区分ごとの構成比については、見る頻度は年1回、何に使うかは配分が偏っていないか。
倍率を、指標として持つ
媒体費に対する総額の倍率を見ると、見えていない費用の大きさが一目で分かります。
この倍率が期ごとに大きく動くなら、集計の方法が揺れています。
四半期ごとに、同じ形で更新する
一度作って終えると、翌期には使えない資料になります。
形式を固定し、四半期ごとに同じ手順で更新します。
マーケティングの費用の全体像がつかめていない場合は、無料相談で現状の支出を整理するところから始められます。費用の組み立てごと見直す段階ならWeb集客改善サービスもあります。
よくある質問
媒体費以外に何が発生していますか
制作、委託の手数料、ツール、人、そのほかの施策の5つです。ツールは年契約で自動更新されているもの、手数料は媒体費の請求に含まれているものが見落とされやすくなります。
獲得の費用にはどこまで含めますか
新規の顧客を得るために直接動いた費用までです。既存顧客への施策やブランドの投資は別に集計し、展示会のように両方に効くものは割合を決めて按分してください。
人件費はどう扱えばよいですか
稼働の割合で按分します。精度を上げようとすると記録の手間で続かなくなるので、四半期に一度おおよその割合を決め、毎期同じ方法で出してください。
費用が他部署に分かれていて集められません
科目ではなく施策の単位で集めます。まず動いている施策を全部列挙し、経理から契約と支出の一覧を取って突き合わせると、漏れが埋まります。
費用を全部出すと、削減の議論になりませんか
金額の一覧だけを出すと大きい順に削る対象として見られます。各費用に対応する成果と、止めた場合に失うものを1行添えて、判断の材料として出してください。
まとめ
- 媒体費だけが月次で集計される仕組みになっているからです。他の費用は別の科目や別の部署に散っていて、並べて見る機会がありません
- 制作、委託の手数料、ツール、人、そのほかの施策の5つです。どれも事業の成果に必要な支出で、見えていないだけです
- 新規の顧客を得るために直接動いた費用までです。既存顧客の維持や、全社のブランドに関わる費用は分けます
- 稼働の割合で按分します。全額を入れると数字が動きすぎ、入れないと採算を誤ります
- 科目ではなく、施策の単位で集めます。科目で集めると、部署をまたいだ費用が漏れます
- 使っていないツールと、二重になっている契約です。成果の議論より先に、支出の整理で出てくるものがあります
- 見え方を設計すれば、止まりません。金額だけを並べると削減の議論になるので、寄与とあわせて出します
- 施策の列挙と、経理からの契約の一覧の2つを突き合わせます。どちらか一方だけでは、必ず漏れます