
媒体費が先に決まる順番になっているからです。
制作は費用ではなく作業と見なされているので、枠として確保されません。
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目次
目次
- 制作費の予算が、媒体費の残りで決まってしまうのはなぜか
- 制作は、成果を生む側として扱われていない
- 比率は、何を基準に置くのか
- 本数から逆算する
- 媒体と配信の面によって、必要な比率はどう変わるのか
- 面の種類が、本数を決める
- 比率が低すぎると、どこから壊れるのか
- 最初に現れるのは、成果の緩やかな低下
- 比率が高すぎる場合に、何が起きているのか
- 作ったが配信されなかった素材を数える
- 動画の比重が上がると、比率はどう動くのか
- 市場全体で、動画の比重が上がっている
- 制作費の中身を、どう分けて管理するのか
- 2つに分けて、比率は継続のほうで見る
- 比率を置き直すときの進み方
- 差し替えの周期の実測が、最も重要
- よくある質問
- まとめ
媒体費が先に決まる順番になっているからです。
制作は費用ではなく作業と見なされているので、枠として確保されません。
制作費の予算が、媒体費の残りで決まってしまうのはなぜか
媒体費が先に決まる順番になっているからです。
制作は費用ではなく作業と見なされているので、枠として確保されません。
広告の予算を組むとき、最初に議論されるのは媒体費です。
制作費は、その後にいくら必要かと聞かれます。
この順番だと、制作費は常に調整弁になります。
制作は、成果を生む側として扱われていない
媒体費は配信量に直結するので、増やせば成果が増えると理解されます。
制作費は、同じ枠の中で何本作るかの話と見なされます。
実際には、素材の数と質が成果を左右します。
削られたことが、後から効く
制作費を削っても、その月の成果は変わりません。
効いてくるのは、素材が古くなってからです。
数か月後に成果が落ちたとき、原因が制作費の削減だと特定されません。
制作費が後回しになる構造
| 段階 | 起きること | 結果 |
|---|---|---|
| 予算の議論 | 媒体費から決まる | 制作費が残りになる |
| 削減の指示 | 制作費が最初に削られる | 当月の成果に影響が出ない |
| 成果の劣化 | 数か月後に現れる | 原因が特定されない |
| 追加の要求 | 効果が説明できない | 認められにくい |
| 翌期の予算 | 前期の実績を基準に組む | 低い比率が固定される |
比率として管理すると、議論が変わる
制作費を金額ではなく、媒体費に対する比率で管理します。
媒体費が増えれば制作費も増えるという関係になり、後回しになりません。
比率を決めることは、上限を決めることでもある
比率は、制作費を守るためだけのものではありません。制作費が膨らんでいるときに、気づく仕組みにもなります。
比率は、何を基準に置くのか
必要な素材の本数から逆算します。
他社の平均や一般的な相場からは決められません。
比率の適正な値は、商材と媒体の構成で変わります。
他社の数字を持ってきても、自社に当てはまりません。
本数から逆算する
配信する面の数と、差し替えの周期から、月に必要な本数が出ます。
その本数に、1本あたりの制作単価を掛けると制作費が出ます。
これを媒体費で割ったものが、自社にとっての比率です。
比率の算出の順番
| 順番 | 出すもの | 計算 |
|---|---|---|
| 1 | 配信する面の数 | 媒体と配信先の組み合わせ |
| 2 | 差し替えの周期 | 成果が落ちるまでの期間 |
| 3 | 月に必要な本数 | 面の数 ÷ 周期の月数 × 面あたりの本数 |
| 4 | 制作費 | 本数 × 1本あたりの単価 |
| 5 | 比率 | 制作費 ÷ 媒体費 |
差し替えの周期は、実測する
何週間で成果が落ちるかは、過去の配信の記録から出せます。
同じ素材の成果が、配信開始からどう推移したかを並べます。
数字は説明のための仮の値です
たとえば配信する面が6つ、差し替えの周期が2か月、面あたり3本必要だとします。
月に必要な本数は9本で、1本あたり8万円なら月72万円です。
媒体費が月800万円なら、比率は9%になります。
算出した比率が、現状と大きく違う場合
現状が3%で、算出が9%だったとします。このとき、本数が足りていないか、差し替えの周期が実態より長く運用されています。どちらかを確認してから、予算の議論に進みます。
媒体と配信の面によって、必要な比率はどう変わるのか
面の種類が多いほど、必要な比率は上がります。
1つの媒体に集中している構成のほうが、制作費は少なく済みます。
同じ媒体費でも、どこに配信するかで必要な本数が変わります。
面の種類が、本数を決める
同じ媒体でも、配信される面ごとに求められる形式が違います。
形式が違えば、素材は使い回せません。
構成と、必要な比率の傾向
| 構成 | 必要な本数 | 比率の傾向 |
|---|---|---|
| 検索に集中 | 少ない | 低い |
| 1つの媒体のディスプレイ中心 | 中くらい | 中くらい |
| 複数媒体のディスプレイ | 多い | 高い |
| 動画を含む | 多い | 高い |
| 媒体ごとに訴求を変える | 最も多い | 最も高い |
媒体を増やすときは、制作費も一緒に増やす
新しい媒体を追加するとき、媒体費だけを計上しがちです。
その媒体の面に合わせた素材が必要なので、制作費も同時に増えます。
ソーシャルの比重が高い構成では、本数が多く要る
電通デジタルの2025年インターネット広告媒体費の詳細分析では、ソーシャル広告が1兆3,067億円で構成比39.5%でした。
この領域は面の種類が多く、表示される環境に合わせた素材が求められます。
構成がこちらに寄っているほど、必要な比率は上がります。
比率が低すぎると、どこから壊れるのか
同じ素材の表示回数が増え、成果が落ちます。
媒体費を増やしても成果が伸びない状態は、ここから起きます。
制作費が足りない状態は、すぐには表に出ません。
最初に現れるのは、成果の緩やかな低下
素材が足りないまま媒体費を増やすと、同じ素材が繰り返し表示されます。
反応は徐々に下がります。
月単位では小さな変化なので、気づくのが遅れます。
制作費が足りないときの兆候
| 兆候 | 見る数字 | 判断の目安 |
|---|---|---|
| 素材ごとの反応が落ちている | 配信開始からの推移 | 開始時の7割を下回る |
| 同じ素材の表示回数が多い | 1素材あたりの表示回数 | 前期より大きく増えている |
| 新規素材の投入が減っている | 月あたりの新規本数 | 必要本数を下回る |
| 媒体費を増やしても成果が伸びない | 増額前後の獲得費用 | 増額分に見合わない |
| 配信の面を絞っている | 配信先の数 | 素材不足で面を減らしている |
面を絞る判断が、素材不足から出ていないか
配信の面を絞ると、必要な素材の本数は減ります。
成果のために絞ったのか、素材が足りないから絞ったのか。
後者なら、機会を失っています。
増額の前に、本数を確認する
媒体費を増やす判断をする前に、いまの素材の本数で受けられるかを確認します。受けられないなら、増額分の一部を制作に回します。
比率が高すぎる場合に、何が起きているのか
使われない素材が作られています。
制作の本数と、実際に配信された本数の差を見ると分かります。
比率が高いこと自体は問題ではありません。
問題は、作ったものが使われていないことです。
作ったが配信されなかった素材を数える
制作した本数と、実際に配信された本数を比べます。
差が大きいなら、制作の計画と配信の計画がつながっていません。
比率が高いときに確認することを、項目ごとに見ていきます。
制作数と配信数の差については、問題がある状態は差が3割を超える、対応は制作の計画を配信と揃える。
1本あたりの単価については、問題がある状態は同種の素材で単価がばらつく、対応は単価の基準を作る。
修正の回数については、問題がある状態は1本あたり4回以上、対応は要件の作り方を見直す。
使い回しの度合いについては、問題がある状態は1本を1面でしか使っていない、対応は展開の設計を入れる。
撮影や企画の費用については、問題がある状態は継続的に高い水準、対応は償却の考え方を入れる。
修正の回数が、単価を押し上げている
制作の要件が曖昧だと、修正が繰り返されます。
修正の回数は、単価に直結します。
要件の書き方を整えるだけで、比率が下がることがあります。
撮影の費用は、単月で見ない
撮影を伴う制作は、1回の費用が大きくなります。その素材を何か月使うかで割ると、月あたりの負担が見えます。単月で見ると、比率が跳ね上がって見えます。
動画の比重が上がると、比率はどう動くのか
上がります。
1本あたりの単価が高く、面ごとの形式の違いも大きいためです。
配信の構成が動画に寄ると、制作費の構造が変わります。
市場全体で、動画の比重が上がっている
電通デジタルの2025年インターネット広告媒体費の詳細分析では、ビデオ広告が1兆275億円で初めて1兆円を超えました。
構成比は30%、前年比は121.8%です。
自社の構成が同じ方向に動いているなら、制作費の比率も見直しが要ります。
静止画中心と動画を含む構成の違いを、項目ごとに見ていきます。
1本あたりの単価については、静止画中心は低い、動画を含むは高い。
制作にかかる期間については、静止画中心は短い、動画を含むは長い。
面ごとの形式の違いについては、静止画中心は少ない、動画を含むは多い。
使い回しのしやすさについては、静止画中心は高い、動画を含むは条件による。
制作の体制については、静止画中心は内製しやすい、動画を含むは外部が要ることが多い。
長い素材から短い素材を切り出す
1本の長い素材から、複数の短い素材を作る形があります。
撮影の費用を複数の面で分担できます。
動画に移るときは、体制も一緒に検討する
制作の期間が長くなるので、計画から配信までの時間が延びます。月ごとの差し替えの周期に間に合うかを確認します。
制作費の中身を、どう分けて管理するのか
継続的に発生するものと、一度きりのものに分けます。
混ぜて管理すると、比率が月ごとに大きく振れます。
制作費には性質の違う支出が混ざっています。
2つに分けて、比率は継続のほうで見る
毎月の差し替えのための制作は、継続的な費用です。
撮影、企画、ブランドの素材は、一度きりの費用です。
比率として管理するのは、前者だけにします。
制作費の分け方を、項目ごとに見ていきます。
継続については、内容は差し替え用の素材制作、管理の仕方は媒体費に対する比率で管理。
継続については、内容は既存素材の改変と展開、管理の仕方は比率に含める。
一度きりについては、内容は撮影と企画、管理の仕方は使用する期間で割って見る。
一度きりについては、内容はブランドの基本素材、管理の仕方は投資として別枠で扱う。
一度きりについては、内容は新商品の立ち上げ、管理の仕方は立ち上げの費用として別枠。
一度きりの費用は、使用する期間で割る
撮影に300万円かかり、その素材を12か月使うなら、月あたりは25万円です。
この形で見ると、継続の制作費と並べて議論できます。
数字は説明のための仮の値です
上の金額は、考え方を示すためのものです。
自社の撮影の費用と、素材の使用期間から同じ形で計算します。
別枠にしたものは、必ず期限を決める
一度きりの費用を別枠にすると、金額の管理が緩くなります。何年で回収するとみなすかを、計上の時点で決めます。
比率を置き直すときの進み方
必要な本数を実測するところからです。
比率の数字だけを先に決めても、根拠がないので守られません。
比率の見直しは、期初の予算を組む前に行います。
比率を見直す順序を、項目ごとに見ていきます。
1については、やることは配信している面の数を全部数える、期間の目安は1週間。
2については、やることは素材ごとの成果の推移から差し替えの周期を出す、期間の目安は2週間。
3については、やることは月に必要な本数を算出する、期間の目安は1週間。
4については、やることは1本あたりの制作単価を種類別に出す、期間の目安は1週間。
5については、やることは必要な制作費と、媒体費に対する比率を出す、期間の目安は1週間。
6については、やることは継続の費用と一度きりの費用を分ける、期間の目安は1週間。
7については、やることは現状の比率との差を、経営に示す、期間の目安は2週間。
8については、やることは期初の予算に、比率として計上する、期間の目安は期初。
差し替えの周期の実測が、最も重要
周期が分からないと、必要な本数が出せません。
過去に配信した素材の成果を、配信開始からの週ごとに並べます。
見る数字を決める
数字は説明のための仮の値です。
たとえば媒体費が月800万円、必要な本数が9本、1本8万円なら制作費は72万円で比率は9%です。
現状が月24万円の3%なら、本数は3本しか作れていません。
この差が、素材の不足の実態です。
制作と媒体の釣り合いを測る数字を、項目ごとに見ていきます。
媒体費に対する制作費の比率については、見る頻度は月次、何が分かるかは水準が保たれているか。
月あたりの新規素材の本数については、見る頻度は月次、何が分かるかは必要本数に届いているか。
制作した本数と配信された本数の差については、見る頻度は四半期、何が分かるかは作ったものが使われているか。
1素材あたりの表示回数については、見る頻度は月次、何が分かるかは同じ素材が使われすぎていないか。
素材の成果が開始時から落ちた割合については、見る頻度は月次、何が分かるかは差し替えの時期が来ているか。
制作数と配信数の差を、必ず見る
比率を上げても、作ったものが配信されていなければ意味がありません。
両方の数字を並べて確認します。
比率は、四半期ごとに確認する
媒体費が変動すると、比率も動きます。
四半期ごとに、実績の比率が計画から外れていないかを見ます。
制作費と媒体費の釣り合いが分からない場合は、無料相談で現状の本数と配信の構成を見てもらうところから始められます。予算の配分ごと見直す段階ならWeb集客改善サービスもあります。
よくある質問
制作費は媒体費の何%が適正ですか
一般的な相場からは決められません。配信する面の数と差し替えの周期から月に必要な本数を出し、1本あたりの単価を掛けた制作費を媒体費で割ることで、自社にとっての比率が出ます。
制作費が毎年削られます
金額ではなく、媒体費に対する比率として管理してください。比率で管理すると、媒体費が増えれば制作費も増える関係になり、調整弁として扱われにくくなります。
制作費が足りているかは、どう分かりますか
素材ごとの成果が配信開始時の7割を下回っていないか、1素材あたりの表示回数が前期より大きく増えていないかを見ます。媒体費を増やしても成果が伸びない場合は、素材不足を疑ってください。
比率が高い場合は削ってよいですか
まず制作した本数と実際に配信された本数の差を見てください。差が3割を超えるなら、制作の計画が配信とつながっていません。あわせて1本あたりの修正回数も確認してください。
撮影費のような大きな支出はどう扱いますか
毎月の差し替えのための制作と分けて管理し、使用する期間で割って月あたりの負担として見ます。別枠にする場合は、何年で回収するとみなすかを計上の時点で決めてください。
まとめ
- 媒体費が先に決まる順番になっているからです。制作は費用ではなく作業と見なされているので、枠として確保されません
- 必要な素材の本数から逆算します。他社の平均や一般的な相場からは決められません
- 面の種類が多いほど、必要な比率は上がります。1つの媒体に集中している構成のほうが、制作費は少なく済みます
- 同じ素材の表示回数が増え、成果が落ちます。媒体費を増やしても成果が伸びない状態は、ここから起きます
- 使われない素材が作られています。制作の本数と、実際に配信された本数の差を見ると分かります
- 上がります。1本あたりの単価が高く、面ごとの形式の違いも大きいためです
- 継続的に発生するものと、一度きりのものに分けます。混ぜて管理すると、比率が月ごとに大きく振れます
- 必要な本数を実測するところからです。比率の数字だけを先に決めても、根拠がないので守られません