
始めた後は、すでに使った金額が判断に混ざるからです。
投じた額が大きいほど、あと少しで成果が出るという見方が強くなり、止める判断が遠ざかります。
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目次
目次
- 撤退ラインを後から決められないのは、なぜか
- 使った金額が、判断を歪める
- 撤退ラインは、何で構成されるのか
- 三つを同時に書く
- 期間は、どう決めるのか
- 施策の性格で、判断できる時期が変わる
- 金額の上限は、どう決めるのか
- 判断に必要な件数から下限を出す
- 指標の条件は、どう置くのか
- 判断の時期に出ている数字を選ぶ
- 条件に達したとき、誰が止めるのか
- 判断者を開始前に指名する
- 撤退ラインを引いても止められない場合、何が起きているのか
- 条件が曖昧だった
- 見直しに入る前に決めること
- 提案書の書式を変える
- よくある質問
- まとめ
始めた後は、すでに使った金額が判断に混ざるからです。
投じた額が大きいほど、あと少しで成果が出るという見方が強くなり、止める判断が遠ざかります。
撤退ラインを後から決められないのは、なぜか
始めた後は、すでに使った金額が判断に混ざるからです。
投じた額が大きいほど、あと少しで成果が出るという見方が強くなり、止める判断が遠ざかります。
新しい施策を始めるとき、止める条件を決めずに始めるのが普通になっています。
始めた後でその条件を決めようとすると、うまくいきません。
使った金額が、判断を歪める
すでに3,000万円を投じた施策と、まだ何も投じていない施策。
今後の見込みが同じでも、前者は止めにくくなります。
使った金額は戻らないため、本来は判断に含めるべきではありません。
関わった人が増えるほど、止めにくくなる
施策が進むと、制作や運用に関わる人が増えます。
止めることが、その人たちの仕事を否定するように見えます。
撤退ラインを先に決める理由
| 先に決める時期 | 判断に含まれるもの | 判断の質 |
|---|---|---|
| 開始前 | 今後の見込みだけ | 冷静に決められる |
| 開始直後 | わずかな支出 | まだ決められる |
| 数か月後 | 投じた金額と関係者 | 止めにくくなる |
| 期末 | 投じた金額と評価への影響 | ほぼ止められない |
決めるのは、始める前の1回だけ
開始前なら、どちらの結論でも誰の判断も否定しません。
この時点で書いておけば、後は条件に当てはまるかを見るだけになります。
この記事で扱うのは、新しく始めるもの
すでに続いている出稿の整理は、別の作業です。ここでは、これから始めるものに条件を付ける話を扱います。
撤退ラインは、何で構成されるのか
期間、金額、指標の三つです。
どれか一つだけでは、条件を満たしていないという理由で続けられてしまいます。
撤退の条件を一つの数字で置くと、抜け道ができます。
三つを同時に書く
いつまでに。
いくらまで使って。
何がどうなっていなければ止める。
この三つを一つの文にします。
撤退ラインの三つの要素
| 要素 | 決めること | 決めていないと |
|---|---|---|
| 期間 | いつ判断するか | 判断の時期が来ない |
| 金額 | いくらまで使うか | 少しずつ増え続ける |
| 指標 | 何がどうなれば継続か | 良い面だけを見て続く |
| 判断者 | 誰が止めるか | 誰も止めない |
| 再開の条件 | どうなれば再開するか | 二度と検討されない |
一つだけだと、抜け道ができる
期間だけを決めると、期間内に使う金額が膨らみます。
金額だけを決めると、判断がいつまでも先送りされます。
指標だけを決めると、その指標が測れないという理由で判断が止まります。
条件は否定形で書く
成果が出たら続ける、という書き方だと、成果の定義が曖昧になります。
何がどうなっていなければ止める、という書き方にします。
書いた文書を、関係者に共有する
自分の手元にだけ置くと、条件が来たときに他の人が知りません。開始時に関係者へ配ります。
期間は、どう決めるのか
その施策が成果を出すまでの時間から決めます。
運用型の広告と、検索対策や記事の制作では、判断できるようになる時期が大きく違います。
期間を一律に3か月と置くと、遅れて効く施策を誤って止めることになります。
施策の性格で、判断できる時期が変わる
出稿した日から数字が出る施策と、半年経ってから出る施策があります。
前者を1年続けるのは長すぎ、後者を3か月で切るのは早すぎます。
施策の性格と、判断の時期
| 施策の性格 | 最初の判断 | 最終の判断 |
|---|---|---|
| 運用型の広告 | 4週間 | 3か月 |
| 新しい媒体の検証 | 6週間 | 3か月 |
| 制作物の入れ替え | 4週間 | 2か月 |
| 検索対策と記事 | 6か月 | 12か月 |
| 認知の形成 | 12か月 | 24か月 |
途中の判断時点を置く
最終の判断だけを置くと、その日まで何も起きません。
途中に判断の時点を置き、そこで見る数字を決めます。
途中の判断では、止めずに直す
最初の判断時点で条件を満たしていない場合、いきなり止めません。
何を変えるかを決めて、次の判断時点まで続けます。
変更を繰り返す回数にも上限を置く
直して続ける、を繰り返すと、いつまでも止まりません。変更は2回までとし、3回目は止めると決めます。
金額の上限は、どう決めるのか
判断に必要な件数が出る最小の金額から、失っても事業に影響しない上限までの範囲で決めます。
少なすぎると判断ができず、多すぎると止められなくなります。
検証の予算は、少なければ安全というものではありません。
判断に必要な件数から下限を出す
数件の結果では、良し悪しが判断できません。
判断に足る件数と、想定される獲得単価を掛けた額が下限です。
金額の決め方
| 考え方 | 出し方 | 役割 |
|---|---|---|
| 下限 | 判断に必要な件数 × 想定単価 | これ未満では判断できない |
| 上限 | 失っても事業計画に影響しない額 | これを超えたら止まらなくなる |
| 段階の区切り | 上限を2回か3回に分ける | 途中で止められる形にする |
| 超過の扱い | 超過は認めないと明記 | 少しずつ増えるのを防ぐ |
段階に分けて出す
上限の全額を最初に渡すと、使い切るまで判断が来ません。
上限を2回か3回に分け、各段階の終わりに継続を判断します。
数字の例で範囲を確認する
数字は説明のための仮の値です。
判断に50件が必要で、想定単価が3万円なら、下限は150万円です。
上限を月額予算の1か月分に相当する500万円と置き、150万円ずつ3段階に分ける形になります。
超過を認めないと書く
あと少しで結論が出るという理由での超過を認めると、上限の意味がなくなります。超過が必要なら、いったん止めて新しい提案として出し直します。
指標の条件は、どう置くのか
最終的な成果ではなく、その段階で見える数字で置きます。
受注までの期間が長い商材で受注件数を条件にすると、判断の時期に数字が出ていません。
条件に使う指標を間違えると、判断の日に何も分からない状態になります。
判断の時期に出ている数字を選ぶ
3か月で判断するなら、3か月の時点で十分な件数が出る指標を選びます。
受注までに6か月かかる商材なら、商談数や有効リード数で置きます。
判断の時期と、使える指標を、項目ごとに見ていきます。
4週間については、使える指標は配信量、獲得単価、使えない指標は受注件数。
3か月については、使える指標は獲得件数、商談化率、使えない指標は受注率、継続率。
6か月については、使える指標は商談数、受注件数、使えない指標は生涯の粗利。
12か月については、使える指標は受注件数、回収の進み、使えない指標は長期の継続率。
上流の指標だけで判断しない
配信量や表示回数だけが条件だと、成果とつながっていない状態で継続が決まります。
少なくとも、獲得単価は条件に含めます。
水準は、既存の施策と比べて置く
新しい施策の条件を、既存の最も効率の良い施策と同じ水準に置くと、まず通りません。
既存の平均の何割まで許容するかで置きます。
測れない指標を条件にしない
測る仕組みがない指標を条件にすると、判断の日に測れないという理由で先送りされます。開始前に、測れることを確認します。
条件に達したとき、誰が止めるのか
提案した本人ではなく、その上の責任者が判断する形にします。
提案者に判断を委ねると、自分の提案を否定することになり、判断が遅れます。
条件を書いていても、誰が引き金を引くかを決めていないと止まりません。
判断者を開始前に指名する
条件に達したとき、誰が止めると決めるのか。
この人を、開始前に書いておきます。
判断の体制を、項目ごとに見ていきます。
実行と報告については、担当は担当者、開始前に決めることは判断時点で数字を出す。
判断については、担当は上位の責任者、開始前に決めることは条件に照らして決める。
記録については、担当は担当者、開始前に決めることは結論と理由を残す。
再開の可否については、担当は上位の責任者、開始前に決めることは条件を満たせば再検討。
判断の会議を、開始時にカレンダーに入れる
判断の日を予定として入れておきます。
入れていないと、その日が過ぎても誰も気づきません。
止めた判断を評価する
条件どおりに止めた担当者が不利にならない形にします。
止めたことが失敗として扱われると、次から条件を甘く書くようになります。
提案者の責任にしない
条件に達したことは、提案が間違っていたことを意味しません。やってみないと分からないから検証したのだ、という前提を共有します。
撤退ラインを引いても止められない場合、何が起きているのか
条件の書き方が曖昧か、判断の場がないかのどちらかです。
続けることに利害を持つ人が判断者になっている場合もあります。
条件を書いたのに止まらなかった事例を振り返ると、原因は限られています。
条件が曖昧だった
成果が不十分なら止める、という書き方では判断できません。
数字と期限が入っていない条件は、条件ではありません。
止まらなかった原因と、対処を、項目ごとに見ていきます。
条件が曖昧については、状態は数字が入っていない、対処は指標と水準と期限を書く。
判断の場がないについては、状態は日程が入っていない、対処は開始時にカレンダーに入れる。
判断者に利害があるについては、状態は続けるほうが得、対処は利害のない人を判断者にする。
測れていないについては、状態は条件の数字が出ない、対処は開始前に測れることを確認。
代替がないについては、状態は止めると枠が空く、対処は止めた後の使い道を先に決める。
止めた後の使い道がないと、止まらない
止めて浮いた金額の行き先が決まっていないと、止める動機が弱くなります。
開始時に、止めた場合の資金の戻し先を書いておきます。
外部に任せている場合の注意
運用を代理店に任せている場合、撤退の条件を先方にも共有します。
共有されていないと、条件に達したことが報告されません。
条件を甘くするのは、書き直しではない
判断の直前に条件を緩める動きが出ることがあります。緩めるなら、その理由を記録に残し、次回の条件設定に反映します。
見直しに入る前に決めること
次に始める施策から適用することです。
すでに走っている施策にさかのぼって条件を付けようとすると、そこで議論が止まります。
撤退ラインは、運用の習慣として定着させるものです。
一度に全部に適用しようとすると、始まりません。
調整の運びを、項目ごとに見ていきます。
1については、やることは提案書に撤退条件の欄を追加する、期間の目安は数日。
2については、やることは次に始める施策で条件を書いてみる、期間の目安は1週間。
3については、やることは判断の日程をカレンダーに入れる、期間の目安は数日。
4については、やることは判断者と記録の担当を決める、期間の目安は数日。
5については、やることは判断の日に結論を出して記録する、期間の目安は該当時期。
6については、やることは記録を次の施策の条件設定に使う、期間の目安は該当時期。
提案書の書式を変える
条件を書く欄を提案書に作ると、書かないと提案が出せなくなります。
個人の心がけではなく、書式で担保します。
手応えを測る観点を、項目ごとに見ていきます。
判断時点での獲得単価については、見る頻度は判断の日、目的は条件との照合。
判断時点での件数については、見る頻度は判断の日、目的は判断に足る規模か。
使った金額と上限の差については、見る頻度は月次、目的は超過の有無。
条件どおり止めた件数については、見る頻度は期ごと、目的は仕組みが機能しているか。
止めて浮いた金額の行き先については、見る頻度は期ごと、目的は資金が再投資されているか。
条件どおり止めた回数を記録する
止めた回数がゼロなら、条件が甘いか、判断が行われていません。
期ごとに件数を確認します。
記録を次の条件設定に使う
前回どの水準で止めたかが分かれば、次の条件が置きやすくなります。
止めた記録は、次の判断の基準になります。
既存の施策には、次の更新時に適用する
走っている施策には、契約の更新時や期の切り替えで条件を付けます。
途中で付けようとすると、そこで議論になります。
どの時点で止めるべきかを決められない場合は、無料相談で現状の施策を見てもらうところから始められます。判断の仕組みごと整えたい段階ならWeb集客改善サービスもあります。
よくある質問
撤退ラインはいつ決めるべきですか
施策を始める前です。始めた後は、すでに使った金額と関わった人の存在が判断に混ざり、あと少しで成果が出るという見方が強くなります。開始前なら今後の見込みだけで判断できます。
撤退の条件には何を書きますか
期間、金額、指標の三つを一つの文にします。どれか一つだけだと、条件を満たしていないという理由で続けられます。あわせて誰が判断するかと、止めた後に資金をどこへ戻すかも書きます。
判断の期間はどれくらいが適切ですか
施策が成果を出すまでの時間で変わります。運用型の広告は最初の判断が4週間、最終が3か月です。検索対策や記事は最初が6か月、最終が12か月です。一律に3か月と置くと遅れて効く施策を誤って止めます。
条件を決めたのに止められませんでした
条件に数字と期限が入っていないか、判断の日程がカレンダーに入っていないか、判断者が続けることに利害を持っているかのいずれかです。止めて浮いた金額の行き先が決まっていない場合も止まりません。
すでに走っている施策にも撤退ラインを付けるべきですか
さかのぼって付けようとすると、そこで議論が止まります。次に始める施策から適用し、既存のものは契約の更新時や期の切り替えで付けてください。提案書に条件の欄を作ると書式で担保できます。
まとめ
- 始めた後は、すでに使った金額が判断に混ざるからです。投じた額が大きいほど、あと少しで成果が出るという見方が強くなり、止める判断が遠ざかります
- 期間、金額、指標の三つです。どれか一つだけでは、条件を満たしていないという理由で続けられてしまいます
- その施策が成果を出すまでの時間から決めます。運用型の広告と、検索対策や記事の制作では、判断できるようになる時期が大きく違います
- 判断に必要な件数が出る最小の金額から、失っても事業に影響しない上限までの範囲で決めます。少なすぎると判断ができず、多すぎると止められなくなります
- 最終的な成果ではなく、その段階で見える数字で置きます。受注までの期間が長い商材で受注件数を条件にすると、判断の時期に数字が出ていません
- 提案した本人ではなく、その上の責任者が判断する形にします。提案者に判断を委ねると、自分の提案を否定することになり、判断が遅れます
- 条件の書き方が曖昧か、判断の場がないかのどちらかです。続けることに利害を持つ人が判断者になっている場合もあります
- 次に始める施策から適用することです。すでに走っている施策にさかのぼって条件を付けようとすると、そこで議論が止まります