
達成した目標は、達成できる目標だったと受け取られるからです。
同じ成果を維持するための費用は、新しい取り組みの原資として真っ先に狙われます。
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目次
目次
- 成果が出ている施策ほど、継続の説明を求められるのはなぜか
- 説明の材料は、成果ではなく止めた場合の差で作る
- 目標を達成したから減らしてよいという誤りは、どこから来るのか
- 効率が良いことと、余裕があることは違う
- 止めたときに何が失われるかを、どう示すのか
- 過去に止めた期間の記録も、材料になる
- 効率が落ちてきた施策と、飽和した施策は、どこで見分けるのか
- 切り分けの結果を、そのまま説明の形にする
- 累積で効いている施策の貢献は、どう説明するのか
- 単月の効率で並べる資料の形を、先に変える
- 継続するかどうかの判断は、どの単位で下すのか
- 止める判断にも、戻す条件を書いておく
- 増額を求める場合、説明の中身は何が変わるのか
- 増額の提案には、止める条件を添える
- 継続の根拠は、どの順番で用意するのか
- よくある質問
- まとめ
達成した目標は、達成できる目標だったと受け取られるからです。
同じ成果を維持するための費用は、新しい取り組みの原資として真っ先に狙われます。
成果が出ている施策ほど、継続の説明を求められるのはなぜか
達成した目標は、達成できる目標だったと受け取られるからです。
同じ成果を維持するための費用は、新しい取り組みの原資として真っ先に狙われます。
予算の査定では、うまくいっていない施策よりも、安定して成果を出している施策のほうが説明を求められることがあります。
成果が出ていない施策には改善の余地という説明があり、出ている施策にはそれが無いからです。
目標を達成した施策は、余裕があったと解釈されます。
同じ成果を、より少ない費用で出せるのではないかという問いが立ちます。
この問いは、成果が施策と独立に存在するという前提に立っています。
施策を止めても成果の一部は残るという感覚が、意識されないまま議論の前提になっています。
予算の総額が大きく変わらない環境では、新しい取り組みの原資は既存の配分から出ます。
削る候補として最初に挙がるのは、金額が大きく、成果が安定している施策です。
金額が大きいのは削る効果が大きいからで、成果が安定しているのは止めてもすぐには悪化しないように見えるからです。
どちらも、その施策が機能していることの裏返しです。
予算を取り巻く環境は、全体としては拡大しています。
電通の「2025年 日本の広告費」では、2026年3月5日の発表で総広告費が8兆623億円、インターネット広告費が4兆459億円となり、構成比が50.2%で初めて過半数を超えました。
一方で、Comexposium Japanが2025年12月5日から19日にn=111で実施した調査では、2026年の予算を増やすとした企業が38.5%で前年から6.2ポイント増、横ばいが50.5%でした。
半数の企業は総額が動かないため、新しい取り組みの費用は既存の配分の中から出すことになります。
Macbee Planetが2025年12月5日から12日にn=1,086で実施した調査では、削減の対象としてBtoCでは「イベント・展示会・セミナー」が42.9%、「CRM/リテンション」が40.7%と挙がっています。
どちらも成果が遅れて出る領域で、単月の効率だけを見ると不利になる施策です。
継続の説明が必要になるのは、担当者の力量の問題ではありません。
予算の配分が固定的な環境では、構造として毎期発生します。
そうであれば、説明の材料は査定の場で用意するものではなく、成果が出ているうちに準備しておくものになります。
削減の議論が始まってからでは、必要な材料を測る時間が残っていません。
説明の材料は、成果ではなく止めた場合の差で作る
継続の説明として最初に出されるのは、その施策が出した成果の実績です。
実績は必要ですが、それだけでは継続の根拠になりません。
査定の場で問われているのは、その施策を続けた場合と続けなかった場合の差です。
実績の数字は、続けた場合の値しか示していません。
続けなかった場合の値を示すには、実際に一部を止めて測るか、過去に止めた期間の記録を使うしかありません。
どちらも準備に時間がかかるため、査定の直前には間に合いません。
準備の着手は、査定の半年前が目安になります。
測定の設計に一か月、実施に三か月、集計と検証に一か月を見込む形です。
成果が出ている施策の継続の説明は、構造として毎期求められます。実績ではなく、止めた場合との差を示す材料を、査定の半年前から用意してください。
目標を達成したから減らしてよいという誤りは、どこから来るのか
成果が施策と独立に存在すると考えているからです。
成果には、施策が続いている間だけ生じるものと、蓄積して残るものの二種類があります。
目標を達成したから予算を減らしてよいという判断は、成果が一度作られれば残ると考えているところから出ています。
実際には、成果の出方は施策によって二つに分かれます。
一つ目は、施策が続いている間だけ生じる成果です。
運用型の広告による獲得が典型で、配信を止めればその日から件数が減ります。
二つ目は、蓄積して残る成果です。
検索で上位に入った記事や、作り込んだ受け皿のページ、認知の蓄積がここに入ります。
この二つを区別せずに減額の判断をすると、どちらの場合も誤ります。
続いている間だけ生じる成果を持つ施策を減らせば、その月から成果が落ちます。
蓄積して残る成果を持つ施策を減らした場合は、減らした月には何も起きません。
影響が出るのは数か月後で、そのときには減額との関係が見えなくなっています。
判断を誤る経路として多いのが、この時間差です。
減らしても何も起きなかったという経験が、さらに減らしてよいという判断を呼びます。
三回目か四回目の減額で成果が崩れたとき、原因は直前の減額ではなく累積の不足にあります。
このとき元の水準に戻しても、成果はすぐには戻りません。
蓄積が減った状態から積み直すには、蓄積にかかった期間と同じかそれ以上の時間が要ります。
記事の順位や認知は、投じた月に戻るものではないからです。
減額の判断をする前に、対象の施策がどちらの型かを確認してください。
確認せずに金額の大きさだけで選ぶと、戻すのに最も時間がかかる施策から削ることになります。
型の判定は、過去に止めた期間があるかどうかで確かめられます。
止めた期間に成果がどう動いたかの記録があれば、判定は一日で終わります。
効率が良いことと、余裕があることは違う
目標を上回って達成した施策には、余裕があったという見方が向きます。
しかし効率が良いことと、削る余地があることは別の話です。
効率が良いのは、狙う層と訴求と受け皿が合っている状態です。
この状態で金額を減らすと、最も効率の良い部分だけが残るのではなく、全体の規模が縮みます。
入札の仕組み上、金額を減らしたときに残るのは競り合いに勝てる範囲です。
その範囲は既存顧客や指名の検索に寄るため、新規の獲得から先に消えます。
減額の影響を、平均の獲得単価だけで見ていると、この変化は見えません。
平均は改善したように見えながら、新規の件数だけが落ちている状態が起きます。
成果には、続いている間だけ生じるものと蓄積して残るものがあります。蓄積型を減らすと影響が数か月遅れて出るため、金額の大きさではなく型で判断してください。
止めたときに何が失われるかを、どう示すのか
一部を止めて測ります。
止めた場合の影響は、推測で示しても説得力を持ちません。
止めた場合に何が失われるかは、言葉では説明できても数字では示せません。
数字で示すには、実際に止めた期間を作る必要があります。
全部を止めて測ることはできません。
その期間の成果が丸ごと失われ、事業の数字に影響が出ます。
範囲を限って止めます。
地域を分ける方法、商品を分ける方法、配信の対象を分ける方法があります。
地域で分ける方法は、事業が複数の地域で展開している場合に使えます。
同じ期間に、止めた地域と止めなかった地域の成果を比べます。
この方法の利点は、市場の環境が同じ期間で比較できることです。
前年同月と比べる方法では、競合の動きや季節の違いが混ざります。
止める範囲は、事業への影響が許容できる大きさに収めてください。
全体の一割から二割が実務的な目安になります。
止める期間は、成果が出るまでの時間より長く取る必要があります。
検討期間が二か月の商材で一か月だけ止めても、差は出ません。
止めている期間は、その範囲の成果が落ちます。
この損失を事前に事業側と合意しておかないと、途中で止めることになります。
合意を取るときは、測定で得られるものを金額で示してください。
この施策の年間の費用がいくらで、継続の可否を数字で判断できるようになることの価値がいくらか、という形です。
測定の結果は、止めた範囲と止めなかった範囲の差として出します。
止めた範囲の成果がゼロにならないことが多く、その残った分が蓄積による成果です。
過去に止めた期間の記録も、材料になる
新たに測定する余裕がない場合は、過去の記録を探してください。
予算の都合で出稿を止めた月、媒体の審査で配信が止まった期間、季節的に出稿を絞った時期が該当します。
これらの期間の成果の動きは、意図しない測定の記録になっています。
当時の記録が残っていれば、あらためて止めなくても差が出せます。
記録を使う場合は、その期間に他の要因が無かったかを確認してください。
同じ時期に別の施策も止まっていたなら、差の原因を切り分けられません。
過去の記録から出した数字は、測定して出した数字より精度が落ちます。
精度の限界を明示したうえで出せば、材料としては使えます。
止めた場合の影響は、範囲を限って止めて測ります。損失を事前に事業側と合意し、測定の余裕がない場合は過去に止まった期間の記録を探してください。
効率が落ちてきた施策と、飽和した施策は、どこで見分けるのか
効率が落ちた理由が、外にあるか内にあるかで見分けます。
競合が増えて単価が上がったのと、狙う層を取り尽くしたのとでは、取るべき手が違います。
継続の説明が最も難しくなるのは、効率が落ちてきている施策です。
数字が悪化しているため、続ける根拠を別に用意する必要があります。
このとき最初にやることは、落ちた理由の切り分けです。
理由が違えば、続けるべきかどうかの結論も変わります。
理由は大きく三つに分かれます。
外部の環境が変わった場合、対象を取り尽くした場合、自社側の訴求や受け皿が劣化した場合です。
外部の環境が変わった場合は、クリック単価の上昇に現れます。
同じ検索語句で、同じ掲載位置を取るための単価が上がっていれば、競合が増えています。
この場合、獲得単価の悪化は運用の失敗ではありません。
市場の価格が上がったということで、許容できる範囲内なら続ける判断になります。
対象を取り尽くした場合は、表示機会のうち取れている割合に現れます。
取れている割合が九割に近づいていれば、その対象の中に伸びしろは残っていません。
この状態は飽和と呼ばれる状態で、同じ対象への投下を増やしても件数は伸びません。
続ける判断は妥当ですが、増額の判断は別の対象を開くこととセットになります。
自社側が劣化した場合は、クリック率と着地後の転換率に現れます。
単価が変わっていないのに転換率だけが下がっていれば、訴求か受け皿の問題です。
この場合は、続けるかどうかより先に、直すことが議題になります。
直さずに続けると、悪化が続きます。
切り分けの結果を、そのまま説明の形にする
三つの理由のどれに当たるかが分かれば、説明の形も決まります。
外部の要因なら、市場の単価の推移を示したうえで許容の範囲内であることを示します。
飽和なら、その対象での上限に達していることと、追加の件数をどこから取るかの案を示します。
劣化なら、原因と直す計画と、直した後の見込みを示します。
どの場合も、原因を示さずに継続だけを求める説明は通りません。
数字が悪化している以上、なぜ続けるのかへの答えが要ります。
切り分けに使う数字は、月次で記録しておいてください。
査定の時期にさかのぼって集めようとすると、過去の管理画面の数字が取れないことがあります。
効率が落ちた理由の切り分け
| 現れる場所 | 見る数字 | 考えられる理由 | 取る手 |
|---|---|---|---|
| 入札の単価 | クリック単価の推移 | 競合が増えた | 許容の範囲を確認する |
| 表示の機会 | 取れている割合 | 対象を取り尽くした | 別の対象を開く |
| 広告の反応 | クリック率 | 訴求が合わなくなった | 素材を入れ替える |
| 着地後 | 転換の率 | 受け皿が劣化した | ページを直す |
| 成果の質 | 商談化の率 | 対象が広がりすぎた | 条件を絞る |
効率の悪化は、外部の要因と飽和と自社の劣化に切り分けます。切り分けの結果がそのまま説明の形になるため、使う数字は月次で記録してください。
累積で効いている施策の貢献は、どう説明するのか
投入した期間の長さと、蓄積した資産の量で示します。
単月の効率だけを見ると、累積で効く施策は常に不利になります。
検索対策や記事の制作、認知への投資は、投じた月の成果として現れません。
単月の費用と成果を並べる形式の資料では、常に効率の悪い施策として表示されます。
この形式のまま査定にかけると、削減の対象として毎期挙がります。
形式を変える必要があり、それが説明の第一歩になります。
示すのは四つです。
蓄積した資産の量、その資産から今月得られている成果、止めた場合の減り方、そして元に戻すのに要する期間です。
蓄積した資産の量は、件数で示せます。
上位に入っている記事の本数、指名の検索の件数、既存の見込み客の名簿の規模といった単位です。
その資産から得られている成果は、資産経由の獲得件数で示します。
今月の投入とは関係なく発生している件数で、これが累積の成果にあたります。
止めた場合の減り方は、過去に投入を絞った期間の記録から出します。
記録がなければ、一部を止めて測る方法に戻ります。
元に戻すのに要する期間は、最初に積み上げたときの期間から推定します。
ゼロから今の水準まで二年かかっているなら、半分に落ちた状態から戻すには一年前後を見込むことになります。
この四つを並べると、減額の判断が別の形になります。
今月の費用を削る判断ではなく、一年分の積み上げを手放す判断として見えるからです。
外部の環境も、この説明の材料になります。
Ahrefsが2026年7月16日に公表した調査では、AI Overviewsが表示される検索で日本の検索1位のCTR下落率が2025年12月の38.0%から2026年6月には62.7%まで拡大し、予測CTR24.1%に対し実測は9.0%でした。
順位が同じでも流入が減る局面では、蓄積を維持するための投入量が以前より多く要ります。
同じ成果を保つための費用が上がっているという説明は、この数字で裏づけられます。
単月の効率で並べる資料の形を、先に変える
累積で効く施策を単月の効率で並べる資料は、その形式自体が判断を歪めます。
査定の場で説明を尽くすより、資料の形式を期初に変えておくほうが確実です。
形式の変更は、累積で効く施策を別の枠に分ける形が扱いやすくなります。
今月の獲得を目的とする枠と、蓄積を目的とする枠を分け、それぞれ別の指標で評価します。
蓄積を目的とする枠の指標は、獲得単価ではありません。
資産の増加量と、資産経由の成果の伸びを置きます。
枠を分ける提案は、査定の直前ではなく期初の予算編成の場で出してください。
査定の場で形式の変更を求めると、説明から逃げていると受け取られます。
累積で効く施策は、資産の量と資産経由の成果、止めた場合の減り方、戻すのに要する期間で示します。単月の効率で並べる資料の形式は、期初に変えてください。
継続するかどうかの判断は、どの単位で下すのか
施策の全体ではなく、それを構成する要素ごとに下します。
まとめて判断すると、効いている部分まで一緒に止まります。
継続の議論は、施策の名前を単位にして行われがちです。
この広告を続けるか、この媒体を続けるかという形です。
しかし一つの施策の中には、効いている部分と効いていない部分が混在しています。
まとめて判断すると、どちらかに寄せた極端な結論しか出せません。
判断の単位は、成果が別々に測れるところまで下げてください。
媒体の単位ではなく、キャンペーンの単位、対象の単位、訴求の単位です。
単位を下げると、継続の議論が配分の議論に変わります。
全部を続けるか止めるかではなく、どこを残してどこを止めるかという話になります。
この形にすると、査定の場での立場も変わります。
削減の提案を受ける側から、削減の案を出す側に移れるからです。
効いていない部分の削減案を自分から出すと、残す部分の根拠が強まります。
全部を守ろうとすると、全体が精査の対象になります。
単位を下げるには、成果を分解して測れる状態が要ります。
媒体ごとの合計しか出ていない状態では、この判断はできません。
分解の軸は、対象の層、訴求の型、配信の面の三つが基本になります。
どの軸で分けるかは、その施策で何を変えられるかによって決めます。
分解した結果、件数が少なすぎて判断できない単位が出てきます。
その単位は、判断できる件数がたまるまで統合して扱ってください。
判断できない単位を残したまま継続を主張すると、その部分が全体の説明の弱点になります。
測れていないことを先に認めて、測る計画を添えるほうが通ります。
止める判断にも、戻す条件を書いておく
効いていない部分を止めるとき、止めたきりにするかどうかを決めておいてください。
条件が変われば戻す価値がある部分と、二度と戻さない部分があります。
戻す価値がある部分については、戻す条件を書きます。
クリック単価がこの水準まで下がったら、あるいは新しい素材が用意できたら、という形です。
条件を書いておくと、翌期に同じ検討を最初からやり直さずに済みます。
書いていないと、止めた理由も忘れられます。
止めた部分の費用がどこに行くかも、同時に決めてください。
行き先が決まっていないと、止めた金額はそのまま予算の削減として扱われます。
継続の判断は、成果が別々に測れる単位まで下げます。効いていない部分の削減案を自分から出し、止める部分には戻す条件と費用の行き先を書いてください。
増額を求める場合、説明の中身は何が変わるのか
追加分で何が取れるかを示す必要があります。
現状の効率の説明だけでは、増額の根拠になりません。
継続の説明と増額の説明は、求められている内容が違います。
継続では現状を維持する価値を示しますが、増額では追加分の効果を示す必要があります。
現状の獲得単価が良いことは、増額の根拠になりません。
追加した分が同じ単価で取れるとは限らないからです。
広告の配信では、追加した分の効率は現状より悪くなるのが通常です。
反応の良い層から順に取っているため、範囲を広げると反応の弱い層が含まれます。
したがって増額の説明には、追加分の獲得単価の見込みが要ります。
現状の平均ではなく、増やした分だけを取り出した単価です。
この数字は、過去に増額した期間の記録から出せます。
増やした月の費用の増分を、件数の増分で割ると、そのときの追加分の単価が出ます。
数字は説明のための仮の値です。
月200万円で100件取れていた状態から月300万円に増やして130件になったなら、追加分の単価は100万円を30件で割った33,333円で、平均の20,000円とは別の数字になります。
この追加分の単価が、許容できる上限の内側にあるかどうかが増額の可否を決めます。
上限を超えていれば、増やすべきではないという結論になります。
増額の方法によっても、追加分の単価は変わります。
同じ対象への投下を増やす場合は入札の競り合いで単価が上がり、新しい対象を開く場合は下がることもあります。
どちらの方法で増やすのかを説明に含めてください。
方法が書かれていない増額の提案は、金額だけの要求として扱われます。
受け止める側の体制も、増額の説明に含める必要があります。
問い合わせが増えても営業が対応できなければ、増やした分は成果になりません。
増額の提案には、止める条件を添える
増額の提案が通りにくい理由の一つは、増やした後に戻せるかどうかが見えないことです。
増やした費用が固定費のように扱われることへの警戒があります。
これを解くには、増額の提案に止める条件を添えます。
追加分の獲得単価がこの水準を超えたら元の金額に戻す、という形です。
条件を添えると、増額の判断が取り消せる判断になります。
取り消せる判断は、取り消せない判断より通りやすくなります。
止める条件には、判断の時期も書いてください。
増額の三か月後に追加分の単価を確認する、といった日程を入れます。
増額の説明には、追加分の獲得単価の見込みと増やす方法、受け止める体制、そして止める条件と判断の時期を含めてください。
継続の根拠は、どの順番で用意するのか
成果が出ているうちに、止めた場合の見込みを測るところからです。
削減の議論が始まってからでは、測る時間が残っていません。
継続の根拠を用意する作業は、査定の時期から逆算して組みます。
最も時間がかかるのが止めた場合の測定で、ここを起点に日程を引きます。
測定には、設計に一か月、実施に三か月、集計と検証に一か月を見込みます。
査定の一か月前に材料をそろえるとすると、着手は査定の六か月前になります。
着手の順番は、施策の型の判定、分解できる単位への整理、測定の設計、測定の実施、説明の形への整理という流れです。
この順番を入れ替えると、測定の対象を決められません。
継続の根拠を用意する工程
| 順番 | やること | 関わる人 | 期間の目安 |
|---|---|---|---|
| 1 | 施策を継続型と蓄積型に分類する | マーケティング責任者 | 1週間 |
| 2 | 成果が別々に測れる単位まで分解する | 運用の担当とデータ担当 | 2週間 |
| 3 | 止める範囲と期間を決めて事業側と合意する | マーケティング責任者と事業責任者 | 3週間 |
| 4 | 一部を止めて測定する | 運用の担当 | 3か月 |
| 5 | 差を集計し、効いていない部分の削減案を作る | マーケティング責任者 | 3週間 |
| 6 | 資料の形式を枠ごとに分けて整える | マーケティング責任者 | 2週間 |
測定を待たずに進められる工程もあります。
分解と分類は測定と並行して行えるため、着手は同時で構いません。
数字は説明のための仮の値です。
年間3,600万円の施策で、一割にあたる範囲を三か月止めて測り、その範囲の成果が四割減ったとすれば、施策全体で年間の成果の四割が投入に依存しているという推定になります。
残りの六割は、蓄積によって生じている成果です。
この比率が分かれば、減額したときに何が起きるかを金額で示せます。
説明の資料は、継続の可否だけでなく配分の案まで含めて作ってください。
可否だけの資料は、判断を相手に預ける形になります。
継続の判断に使う数字
| 数字 | 見る頻度 | 見るときの観点 |
|---|---|---|
| 追加分の獲得単価 | 増額の検討時 | 許容の上限の内側にあるか |
| 資産経由の成果の件数 | 月次 | 蓄積が減っていないか |
| 表示機会のうち取れている割合 | 月次 | 飽和に近づいていないか |
| クリック単価の推移 | 月次 | 外部の要因で悪化していないか |
| 止めた範囲との差 | 測定の実施時 | 投入に依存している比率はどれだけか |
これらの数字は、査定の時期だけ集めても間に合いません。
月次の記録に組み込んで、常に直近十二か月分が取れる状態にしておいてください。
記録が整っていれば、次の期の査定の準備は測定の実施だけで済みます。
準備の期間は六か月から四か月に短くなります。
着手は査定の六か月前です。止めた場合の測定を起点に日程を引き、分解と分類は並行して進めてください。
成果の出ている施策の継続を説明する材料が足りない場合は、無料相談で現状の成果の内訳を見てもらうところから始められます。投資の評価の仕組みごと見直す段階ならWeb集客改善サービスもあります。
よくある質問
目標を達成した施策が、なぜ減額の対象になるのですか
達成したことが、余裕があった証拠として受け取られるためです。予算の総額が大きく変わらない環境では、新しい取り組みの原資は既存の配分から捻出されます。削る候補として最初に挙がるのは、金額が大きく、止めてもすぐには悪化しないように見える施策です。
止めた場合の影響はどう示せばよいですか
地域や商品や配信の対象を一部に限って止め、止めなかった部分と比べます。推測では説得力を持ちません。止める範囲は全体の一割から二割、期間は成果が出るまでの時間より長く取り、その期間の損失は事前に事業側と合意しておいてください。
効率が落ちてきた施策はどう説明しますか
落ちた理由を切り分けます。クリック単価が上がっていれば競合の増加、表示機会のうち取れている割合が九割に近ければ飽和、単価が変わらず転換率だけが下がっていれば自社側の劣化です。原因を示さずに継続だけを求めても通りません。
成果が蓄積する施策は、どう評価してもらえばよいですか
蓄積した資産の量、その資産から今月得られている成果、止めた場合の減り方、元に戻すのに要する期間の四つを示します。単月の費用と成果を並べる資料の形式では常に不利になるため、形式そのものを期初の予算編成で変えてください。
継続の説明はいつから準備すべきですか
成果が出ているうちです。止めて測る工程だけで設計から検証まで五か月前後かかるため、着手は査定の六か月前になります。効いていない部分の削減案を自分から出すと、残す部分の根拠が強まります。
まとめ
- 達成した目標は、達成できる目標だったと受け取られるからです。同じ成果を維持するための費用は、新しい取り組みの原資として真っ先に狙われます
- 成果が施策と独立に存在すると考えているからです。成果には、施策が続いている間だけ生じるものと、蓄積して残るものの二種類があります
- 一部を止めて測ります。止めた場合の影響は、推測で示しても説得力を持ちません
- 効率が落ちた理由が、外にあるか内にあるかで見分けます。競合が増えて単価が上がったのと、狙う層を取り尽くしたのとでは、取るべき手が違います
- 投入した期間の長さと、蓄積した資産の量で示します。単月の効率だけを見ると、累積で効く施策は常に不利になります
- 施策の全体ではなく、それを構成する要素ごとに下します。まとめて判断すると、効いている部分まで一緒に止まります
- 追加分で何が取れるかを示す必要があります。現状の効率の説明だけでは、増額の根拠になりません
- 成果が出ているうちに、止めた場合の見込みを測るところからです。削減の議論が始まってからでは、測る時間が残っていません