
達成の責任を負うかどうかで分かれます。
見ることをやめる話と、目標として背負うのをやめる話は、別のものとして扱ってください。
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目次
目次
- 追う数字と見るだけの数字は、どこで線が分かれるのか
- 外す判断は、理由の型に当てはめて行う
- 自部門で動かせない数字を目標に置くと、何が起きるのか
- まったく関与しない数字と、間接的に関与する数字を分ける
- 媒体の管理画面にある数字を、なぜ目標にしてはいけないのか
- 見ないという話ではなく、目標にしないという話
- 定義が揺れる数字は、なぜ期を通した評価に使えないのか
- 揺れを止められない数字は、目標から外して監視に回す
- 結果の確定が遅すぎる数字は、どう扱えばよいのか
- 代理の指標には、量だけでなく質の条件を添える
- 目標から外しても、見続けなければならない数字はどれか
- 監視する数字にも、担当としきい値を決める
- 外した数字は、誰が引き受けることになるのか
- 評価制度と委託先の契約まで揃える
- 追う数字を外す作業は、何から手をつければいいのか
- よくある質問
- まとめ
達成の責任を負うかどうかで分かれます。
見ることをやめる話と、目標として背負うのをやめる話は、別のものとして扱ってください。
追う数字と見るだけの数字は、どこで線が分かれるのか
達成の責任を負うかどうかで分かれます。
見ることをやめる話と、目標として背負うのをやめる話は、別のものとして扱ってください。
目標にしている数字を減らす提案は、社内でほとんどの場合いったん反発を受けます。
理由は単純で、その数字を見なくてよいという話に聞こえるからです。
追うのをやめることと、見るのをやめることは別の決定です。
この二つを分けないまま議論を始めると、数字の必要性をめぐる感情的なやり取りになります。
追う数字とは、目標値を置き、期末に達成できたかどうかを判定される数字です。
未達だった場合は、原因の特定と次の打ち手の提示まで求められます。
この責任は、その数字を自部門の判断で動かせることが前提になっています。
動かせない数字に達成の責任を負うと、未達のときに出せるのは他部門への要求だけになります。
見る数字は、目標値を置きません。
配信の事故に気づくため、あるいは前提が崩れていないかを確かめるために見ます。
見る数字が想定から外れたときに求められるのは、状況の共有までです。
そこから先に手を打つかどうかは、追う数字への影響を見てから決めます。
この線引きが無い組織では、指標は必ず増えていきます。
経営会議で誰かが「この数字も見たい」と言ったとき、それを目標に足す以外の受け皿が無いからです。
目標が十個近くまで増えると、期中の意思決定が止まります。
四つが未達で三つが達成という状態になったときに、何から手をつけるかを決める根拠が無くなるためです。
絞ると見落としが出ると考えられがちですが、見落としを防ぐのは目標の役割ではありません。
それは監視する数字の役割で、この二つを混ぜていることが増殖の原因になっています。
線引きは、期初に文書として残してください。
口頭の合意だけだと、期中に数字を足したい要望が出たときに戻す場所がありません。
外す判断は、理由の型に当てはめて行う
数字を一つずつ取り上げて必要か不要かを議論すると、その数字を提案した人の判断を否定する形になります。
議論が長引き、結局どれも外れないまま終わります。
先に外す理由の型を決めて、それに当てはまるかどうかだけを判定する形にすると、この行き詰まりを避けられます。
型は、自部門で動かせない、媒体の側の目的で作られている、定義が揺れる、結果の確定が遅すぎるの四つでほぼ足ります。
型に当てはめる作業は、数字の良し悪しを決める作業ではありません。
目標として機能するかどうかだけを見る作業で、当てはまらなかった数字はそのまま残ります。
判定する場は、マーケティング責任者と営業責任者、予算を承認する立場の三者が同席する場にしてください。
一部門だけで外すと、期中に別の部門から同じ数字が戻ってきます。
追う数字は達成の責任を伴い、見る数字は伴いません。外すかどうかは個別の議論ではなく、四つの理由の型に当てはめて判定してください。
自部門で動かせない数字を目標に置くと、何が起きるのか
未達の説明ができなくなります。
原因が他部門の活動にあるため、改善の議論が責任の押しつけ合いに変わります。
外すべき数字として最も多く見つかるのが、自部門の判断では動かない数字です。
受注率、受注単価、解約率、全社の売上あたりが典型になります。
受注に至るかどうかは、提案の内容と価格交渉、そのときの競合の動きで決まります。
広告の配分やクリエイティブを変えても、この比率は直接には動きません。
マーケティング部門が受注率を目標に置くと、達成の可否が営業の活動の結果で決まります。
未達のときに出てくる説明は、営業の提案力が足りないという話になり、そこから先に進みません。
解約率も同じ構造を持ちます。
解約は提供している価値と導入後の支援で決まるもので、獲得段階の設計が影響する部分はあっても主な決定要因は獲得後にあります。
全社の売上を目標に置くと、責任の所在そのものが消えます。
達成しても未達でも、マーケティングの働きがどう寄与したかを説明できません。
一方で有効リード数は、予算の配分とクリエイティブと着地ページで動きます。
同じ逆算の経路上にあっても、責任を負える数字と負えない数字が混在しています。
この二つを分けずに並べると、目標の一覧が事業計画の写しになります。
事業計画の写しは、部門の目標としては機能しません。
動かせない数字を外すと、目標が小さく見えることを気にする声が出ます。
しかし目標の大きさを決めるのは対象の範囲ではなく、目標値の高さです。
有効リード数に高い目標値を置けば、事業への責任は十分に表現できます。
範囲を広げて責任があるように見せる必要はありません。
まったく関与しない数字と、間接的に関与する数字を分ける
動かせない数字の中にも、関与の度合いには差があります。
粗利率のようにマーケティングが手を出す経路の無い数字と、受注率のようにリードの条件を通じて間接的に影響する数字は、扱いを変えるべきです。
間接的に関与する数字は、共有指標として置く方法があります。
両部門が同じ目標値を見て、それぞれの立場から動かす形です。
共有指標にすると、未達のときの会話が変わります。
どちらの部門も未達になるため、押しつけ合いよりも先にリードの中身を一緒に見る動機が生まれます。
共有にするときは、どちらが何を担当するかを一文で決めておいてください。
決めずに共有にすると、両方が相手の担当だと考えて誰も動かない数字になります。
動かせない数字と、本来の持ち主
| 数字 | 主に動かす部門 | マーケティングの関与 | 扱い |
|---|---|---|---|
| 受注率 | 営業 | リードの条件を通じて間接的 | 共有指標にする |
| 受注単価 | 営業と商品企画 | 狙う層の設定を通じて間接的 | 共有指標にする |
| 解約率 | カスタマーサクセス | 獲得の質を通じて間接的 | 四半期で共有する |
| 全社の売上 | 事業責任者 | 一部の経路のみ | 目標にも共有にもしない |
| 粗利率 | 商品と調達 | 関与しない | 目標にしない |
動かせない数字を目標にすると、未達のときに他部門への要求しか出せません。間接的に関与する数字だけを共有指標に移し、関与しない数字は目標からも共有からも外してください。
媒体の管理画面にある数字を、なぜ目標にしてはいけないのか
その数字は、媒体の側の目的に沿って設計されているからです。
自社の事業の成果と一致する保証がありません。
広告の管理画面には、数十の指標が並んでいます。
並んでいるのは自社が必要とする数字ではなく、媒体が自らの成果を説明するために切り出した単位です。
表示回数は在庫の消化状況を表す数字で、クリック率は配信の効率を表す数字です。
どちらも媒体の運営には欠かせませんが、自社の損益とは直接つながっていません。
媒体が計測するコンバージョンにも、同じ問題があります。
計測の条件や帰属の期間は媒体側で定義されており、自社が事業の成果として認める条件と一致するとは限りません。
同じ期間の同じ配信でも、媒体の管理画面のコンバージョン数と社内の受注管理にある件数が一致しないのはこのためです。
どちらかが間違っているのではなく、定義が違います。
媒体が公表する機能の効果も、そのまま目標値に引き写すことはできません。
Googleは2025年5月6日に発表したAI Max for Search campaignsについて、コンバージョン数またはコンバージョン値が平均で14%増、完全一致とフレーズ一致中心の場合は27%増としています。
この数字は、その機能を採用した広告主全体の平均として示されたものです。
自社の商材や現在の運用の水準で同じ結果になるかどうかは、この数字からは分かりません。
媒体の仕様が変われば、同じ名前の指標でも中身が変わります。
LINEヤフーでは2025年9月25日に統合が発表され、2026年4月1日にリリースされました。
同社の検索クエリーマッチングは2026年9月14日に提供が完了し、オプトイン方式とされています。
仕様の変更があった月をまたいで前年同月と比較すると、数字の変化が施策の成果に見えてしまいます。
Googleの側でも、自動作成アセットとキャンペーンレベル部分一致が2026年9月に自動アップグレードされる予定が示され、2026年9月以降は新規のDSAキャンペーンが作成できなくなっています。
仕様の移行が予定されている指標を、年度をまたぐ目標に置くべきではありません。
見ないという話ではなく、目標にしないという話
管理画面の数字を目標から外しても、運用では毎日見ます。
配信量の急減やクリック単価の急騰は、管理画面でしか気づけません。
違いは、その数字が未達だったときに説明を求められるかどうかです。
表示回数が計画を下回ったこと自体は、説明を要する事象ではありません。
媒体の公称値は、目標ではなく検討の材料として使ってください。
新しい機能を試すかどうかを決めるときの参考値であって、達成すべき水準ではありません。
社外に運用を委託している場合は、委託先の評価基準にこれらの数字が残っていないかも確認してください。
契約書の成果基準に表示回数やクリック率が残っていると、社内で外した数字が外部経由で戻ってきます。
管理画面の数字は媒体の目的で設計されています。運用の判断には使い、目標としては置かないという線引きを、委託先の契約まで含めて揃えてください。
定義が揺れる数字は、なぜ期を通した評価に使えないのか
達成と未達の判定そのものが、期の途中で変わってしまうからです。
定義が動く数字は、前期との比較にも使えません。
目標として置いた数字が期末に達成できたかどうかを判定するには、期初と期末で同じ定義になっていることが要ります。
この前提が崩れると、数字が動いた理由が施策なのか定義なのか分かりません。
定義が揺れる原因は、社内にある場合と社外にある場合の二つに分かれます。
社内に原因がある場合は手を打てますが、社外に原因がある場合は目標として置くこと自体を避ける判断になります。
社外に原因がある代表が、計測の仕様に依存する数字です。
GA4では2026年6月15日より、広告データ共有の可否が同意モードのad_storageのみで決まる形になりました。
同じ変更で、Googleシグナルはレポート上のディメンションの表示可否のみを制御する役割になっています。
同意モードを実装していない場合は、ad_storageが許可された状態を既定として扱います。
こうした変更があると、自社が設定を一切変えていなくても取れる数字が変わります。
セッション数やユーザー数を年度の目標に置いていると、この変更の月をまたいだ時点で達成判定の根拠が失われます。
社内に原因がある代表は、有効リードと商談の定義です。
どちらも社内の運用で決まるため、担当者の判断や営業の記録の付け方が変われば定義も動きます。
初回訪問を商談と数える運用と、提案書を提出した案件だけを商談と数える運用では、同じ活動でも件数が二倍近く変わります。
どちらが正しいということはなく、揃っていないことだけが問題になります。
定義を動かせる立場の人が社内にいる数字は、目標としては弱いということになります。
弱さを消す方法は一つで、定義を文書に固定し、変更するときの手続きを先に決めておくことです。
手続きには、誰の承認で変えられるか、変えた場合に過去のデータをどこまでさかのぼって再集計するかを含めます。
再集計の範囲を決めずに定義だけ変えると、率の変化が施策の成果に見えてしまいます。
揺れを止められない数字は、目標から外して監視に回す
調査で測る認知度のように、設計を変えると数字が動く指標もあります。
毎回同じ設計と同じ対象で測り続けられるなら目標にできますが、その担保が無いなら目標には向きません。
媒体が独自の計算式で出しているエンゲージメントの指標も同じです。
計算式は媒体側の都合で変わり、変更が事前に告知されないこともあります。
これらは監視する数字として残し、大きく動いたときに原因を確認する運用にしてください。
目標から外すこと自体が、数字の価値を否定することにはなりません。
定義を固定できた数字とできなかった数字は、期初の文書で区別して記録してください。
翌期に目標を組み直すとき、どの数字が使える状態になったかがすぐ分かります。
定義が揺れる数字は、達成の判定ができません。文書で固定し変更の手続きまで決められる数字だけを目標にし、固定できないものは監視に回してください。
結果の確定が遅すぎる数字は、どう扱えばよいのか
期中の判断に使えないため、目標としては機能しません。
手前の段階に代理の指標を置き、遅い数字は期末の答え合わせに使ってください。
目標として置いた数字は、未達が見えたときに手を打てて初めて意味を持ちます。
確定が期末にしか来ない数字は、未達が分かった時点で打つ手が残っていません。
確定までの時間と、期中に打てる手の回数は直結しています。
月次で確定する数字なら期中に十回前後の調整ができ、四半期で確定する数字なら一回か二回に減ります。
半年以上かかって確定する数字は、その期の中で一度も調整できません。
目標として置いても、実質は期末の報告項目にしかなりません。
受注までの検討期間が長い商材では、この問題が顕著に出ます。
広告に接触してから受注まで九か月かかる商材で受注件数を期の目標に置くと、期の後半の活動は今期の数字に一切反映されません。
逆に、確定が速すぎる数字にも別の問題があります。
日次で確定する数字は、件数が少ないと偶然の振れが大きく、施策の効果と区別がつきません。
日次の数字を目標に置くと、偶然の下振れに反応して設定を変える動きが起きます。
変えた翌日に戻る数字を見て、変更が効いたと解釈する誤りもここから生まれます。
目標として扱いやすいのは、月次で確定する数字です。
母数がある程度そろい、期中に十分な回数の判断ができます。
確定が遅い数字を捨てる必要はありません。
期末に答え合わせをする指標として置き、期中は手前の段階にある速い指標を追う形にします。
このとき、手前の指標が遅い指標を予測できているかを過去のデータで確かめておいてください。
確かめずに代理として置くと、手前の数字だけが達成されて最終の数字が届かない状態になります。
代理の指標には、量だけでなく質の条件を添える
手前の指標を追うと、量を増やす方向に動きます。
有効リード数を代理に置いた場合、条件を緩めれば数字は伸びます。
条件を緩めて増えた有効リードは、商談化率を下げます。
最終の受注件数は変わらないか、対応の工数が増えるぶん悪化します。
これを防ぐには、量の指標に質の条件を添えます。
有効リード数を目標に置くなら、商談化率の下限を同時に置く形です。
下限は、過去十二か月の実績の水準を基準に決めてください。
実績より高い下限を置くと、量の目標と両立しない組み合わせになります。
確定までの時間と、目標への適性
| 確定までの期間 | 期中に判断できる回数 | 目標としての適性 | 置き方 |
|---|---|---|---|
| 翌日 | 毎日 | 振れが大きく向かない | 監視の数字にする |
| 翌週 | 週次 | 量の指標に向く | 補助の目標にする |
| 翌月 | 月次 | 主目標に向く | 目標値を置く |
| 翌四半期 | 1回から2回 | 補助の指標に向く | 前提の確認に使う |
| 半年以上 | 期中は判断できない | 目標に向かない | 期末の答え合わせにする |
確定の速さで目標への適性が決まります。遅い数字は期末の答え合わせに回し、代理に置く手前の指標には必ず質の下限を添えてください。
目標から外しても、見続けなければならない数字はどれか
事故に気づくための数字と、目標の計算に使った前提が崩れていないかを知らせる数字です。
この二つは、目標から外しても監視からは外しません。
目標を絞る作業では、外した数字がそのまま集計の対象からも消えてしまうことがあります。
消してよい数字と、見続けるべき数字は分けて扱う必要があります。
見続けるべき数字の一つ目は、事故に気づくための数字です。
配信の急停止、計測タグの欠落、流入の急減といった事象は、結果の数字を待っていては手遅れになります。
表示回数や配信量が前日から半分になった場合、原因は運用の巧拙ではありません。
アカウントの停止、審査の却下、決済の失敗といった事象で、どれも当日中に手を打つ性質のものです。
計測の欠落は、さらに気づきにくくなっています。
獲得件数だけを見ていると、実際には取れているのに計測されていない状態と、本当に取れていない状態を区別できません。
この二つを区別するには、媒体側のクリック数と自社サイト側のセッション数を並べて見ます。
片方だけが落ちていれば計測の問題で、両方が落ちていれば配信の問題です。
見続けるべき数字の二つ目は、目標の計算に使った前提です。
目標値は各段階の通過率を仮定して算出しているため、その通過率が変われば目標の意味が変わります。
たとえば商談化率を20%と仮定して有効リード数の目標を置いた場合、実測が12%に下がれば同じ目標を達成しても受注は届きません。
このとき見直すべきは実行ではなく、目標の前提です。
受注単価の分布も、前提として監視する対象になります。
平均値が変わっていなくても、中央値が下がっていれば少数の大型案件が平均を支えている状態で、逆算の前提が崩れかけています。
競合の露出の状況も、四半期に一度は確認してください。
同じ入札で取れる表示機会が減っていれば、費用対効果の悪化は運用の問題ではありません。
監視する数字にも、担当としきい値を決める
監視する数字は、担当を決めないと誰も見ません。
外した数字のうちどれを誰が見るかを、外すと決めた場と同じ場で割り当ててください。
しきい値も同時に決めます。
前日比で三割動いたら当日中に共有する、前月比で二割動いたら月次会議の議題にする、といった線を先に引く形です。
しきい値が無いと、数字を眺めるだけの時間が会議に生まれます。
眺めるだけの数字は、三か月後には誰も開かなくなります。
監視の頻度は、対処にかかる時間から逆算して決めてください。
当日中に手を打つ必要がある事象は毎日、四半期で対応すればよい事象は四半期で足ります。
事故の検知と前提の崩れの検知は、目標から外しても続けます。担当としきい値、頻度の三つを決めて初めて、監視は機能します。
外した数字は、誰が引き受けることになるのか
本来その数字を動かせる部門です。
引き受け先を決めずに外すと、社内の誰も見ない数字が生まれます。
数字を外す議論は、外すと決めた時点で終わってしまうことがあります。
そのあと誰がその数字を持つかまで決めないと、事業として必要な数字が管理の外に落ちます。
受注率を外すなら、営業が持ちます。
解約率を外すなら、カスタマーサクセスが持ちます。
引き受け先を明示すると、外す提案が責任逃れに見えなくなります。
数字を消すのではなく、動かせる部門に移すという説明ができるからです。
移管の打診は、外すと決める前に行ってください。
決めた後に打診すると、押しつけとして受け取られます。
打診の場では、その数字がなぜマーケティングの目標に向かないかを、四つの理由の型で説明します。
理由の型で説明すると、相手の部門の能力に関する話にならずに済みます。
移管した数字も、月次の会議では共有を続けます。
マーケティングの目標ではないが事業として見る数字、という位置づけです。
共有の頻度は数字の性質で変えてください。
受注率や全社の売上は月次、受注単価や解約率は四半期が実務的な間隔になります。
どの部門も引き受けないという結論になる数字もあります。
その場合、その数字は社内の誰の判断にも使われていないということです。
使われていない数字は、集計そのものを止める候補になります。
集計には人の時間がかかっており、誰も使わない数字を出し続けることには費用が発生しています。
止める判断をする前に、過去一年の会議の資料でその数字が言及された回数を確認してください。
回数がゼロなら、止めても誰も困りません。
評価制度と委託先の契約まで揃える
目標から外した数字が、人事の評価基準に残っていることがあります。
評価に残っている限り、現場は外したはずの数字を追い続けます。
この不一致は、期中に気づくと修正できません。
評価基準の変更には人事部門の手続きが要るため、目標を組み替える時期と合わせて動かす必要があります。
代理店との契約にも、同じ確認が要ります。
契約書の成果基準に外した数字が残っていると、委託先はその数字を上げる運用を続けます。
契約の見直しは、更新の時期に合わせて行ってください。
期中に基準だけを変えると、報酬の計算方法との整合が取れなくなります。
外す前に引き受け先を打診し、外した後は評価制度と委託先の契約まで揃えます。どこも引き受けない数字は、集計そのものを止める候補になります。
追う数字を外す作業は、何から手をつければいいのか
現在の目標と報告している数字を一覧にし、四つの理由に当てはめるところからです。
当てはまった数字から、引き受け先の打診に入ります。
外す作業は、今どれだけの数字を追っているかを可視化するところから始まります。
一覧を作るまで、数が多すぎるという共通認識自体が生まれません。
一覧には、目標として置いている数字だけでなく、月次の報告資料に載せている数字も含めてください。
報告に載っている数字は、目標でなくても実質的に説明を求められています。
一覧ができたら、四つの理由に当てはめます。
動かせるか、媒体が作った数字か、定義が固定されているか、確定は月次までに来るかの四点を、数字ごとに判定します。
判定は一人で行わず、データの集計を担当している人を必ず入れてください。
定義と確定の速さは、集計の実務を知らないと正しく判定できません。
外す作業の進め方
| 順番 | やること | 関わる人 | 期間の目安 |
|---|---|---|---|
| 1 | 目標と報告中の数字を一覧にする | マーケティング責任者 | 1週間 |
| 2 | 自部門で動かせるかで分類する | マーケティング責任者 | 1週間 |
| 3 | 定義の固定状況と確定の速さを確認する | データ担当 | 2週間 |
| 4 | 外す候補の引き受け先を各部門に打診する | 各部門の責任者 | 3週間 |
| 5 | 残す数字と目標値を決め、報告の様式を直す | 3者 | 2週間 |
| 6 | 評価制度と委託先の契約との整合を確認する | 人事と調達 | 2週間 |
外す提案は、必ず代案とセットで出してください。
外す話だけを持っていくと、負う責任を減らそうとしていると受け取られます。
数字は説明のための仮の値です。
受注件数を目標から外す代わりに、提案書の提出まで進んだ商談の件数を目標に置き、受注件数は共有の数字として月次で報告を続ける、といった形になります。
この置き換えで、目標の水準が下がるわけではありません。
受注件数60件を受注率25%で割り戻した240件の商談が、そのまま新しい目標値になります。
外した理由は、数字ごとに一行で記録してください。
記録が無いと、担当者が交代した数年後に同じ数字が同じ経緯で戻ってきます。
外したあとに残る数字の区分
| 区分 | 数字の性質 | 置くもの | 見る頻度 |
|---|---|---|---|
| 追う数字 | 自部門で動かせて確定が早い | 目標値 | 週次から月次 |
| 制約の数字 | 追う数字の副作用を抑える | 下限または上限 | 月次 |
| 監視の数字 | 事故や異常に気づくため | しきい値 | 日次 |
| 前提の数字 | 目標の計算の土台 | 想定値との差 | 月次から四半期 |
| 共有の数字 | 他部門が持つが事業として見る | なし | 月次から四半期 |
この五つの区分に全部の数字を割り当てると、どこにも入らない数字が残ります。
残った数字が、集計を止める候補です。
作業全体の期間は、着手から運用開始までで十週間前後が目安になります。
期初から新しい目標で走らせるには、前の期の第三四半期のうちに一覧の作成を終えておく必要があります。
着手点は一覧の作成です。判定にはデータ担当を入れ、外す提案は代案と引き受け先の打診をセットにしてください。
どの数字を目標から外すべきかで判断に迷う場合は、無料相談で現状の指標の並びを見てもらうところから始められます。
目標と評価の仕組みごと見直す段階ならWeb集客改善サービスもあります。
よくある質問
マーケティングが追うべきでない数字は、どう見分けますか
自部門で動かせない、媒体の側の目的で作られている、定義が揺れる、結果の確定が遅すぎるという四つの理由で整理できます。どれかに当てはまる数字は、目標としては機能しません。数字ごとに良し悪しを議論するのではなく、この四つに当てはまるかどうかだけを判定してください。
受注率や解約率を目標にしてはいけませんか
主に動かすのは営業やカスタマーサクセスであり、未達のときに他部門への要求しか出せなくなります。ただし関与がまったく無いわけではないので、両部門が同じ目標値を見る共有指標として置く方法があります。共有にする場合は、どちらが何を担当するかを一文で決めてください。
媒体の管理画面にある数字はなぜ目標に向かないのですか
その数字は媒体が自らの成果を説明するために切り出した単位で、自社の損益とは直接つながっていないためです。媒体が公表する機能の効果も採用企業全体の平均であり、自社で同じ結果になる保証はありません。仕様の変更で同じ名前の指標の中身が変わることもあります。
目標から外した数字は見なくてよくなりますか
別の話です。配信の事故に気づくための数字と、目標の計算に使った前提が崩れていないかを知らせる数字は、目標でなくても見続けます。監視する数字には担当としきい値と頻度を決めてください。決めないと、三か月後には誰も開かなくなります。
数字を外す提案は、どう出せば通りますか
外す代わりに何を追うかを同時に示し、外す数字の引き受け先を先に打診しておきます。外す提案だけを出すと責任を減らそうとしていると受け取られ、引き受け先が決まっていないと社内の誰も見ない数字が生まれます。評価制度と委託先の契約との整合も同時に確認してください。
まとめ
- 達成の責任を負うかどうかで分かれます。見ることをやめる話と、目標として背負うのをやめる話は、別のものとして扱ってください
- 未達の説明ができなくなります。原因が他部門の活動にあるため、改善の議論が責任の押しつけ合いに変わります
- その数字は、媒体の側の目的に沿って設計されているからです。自社の事業の成果と一致する保証がありません
- 達成と未達の判定そのものが、期の途中で変わってしまうからです。定義が動く数字は、前期との比較にも使えません
- 期中の判断に使えないため、目標としては機能しません。手前の段階に代理の指標を置き、遅い数字は期末の答え合わせに使ってください
- 事故に気づくための数字と、目標の計算に使った前提が崩れていないかを知らせる数字です。この二つは、目標から外しても監視からは外しません
- 本来その数字を動かせる部門です。引き受け先を決めずに外すと、社内の誰も見ない数字が生まれます
- 現在の目標と報告している数字を一覧にし、四つの理由に当てはめるところからです。当てはまった数字から、引き受け先の打診に入ります