
上位の目標を分解した結果ではなく、各部門が動かしやすい数字を選んでいるからです。
分解から出ていない指標は、足し合わせても事業の目標になりません。
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目次
目次
- 部門ごとにKPIを置くと、衝突が起きるのはなぜか
- 指標が下から積み上がっている
- どの組み合わせが、構造的にぶつかるのか
- 件数と質の組み合わせ
- 衝突は、どこで表面化するのか
- 予算の配分を決める場
- 上位の指標に吊り上げると、何が変わるのか
- 置き換えの考え方
- 交換条件を明文化するとは、どういうことか
- 犠牲にしてよい幅を数字で決める
- 裁く人を、どこに置くのか
- 合議では決まらない
- 調整しても収まらない衝突は、どう扱うのか
- 指標の問題ではないと分かる兆候
- 衝突を裁く仕組みをどう置くか
- 一枚に並べる作業で分かること
- よくある質問
- まとめ
上位の目標を分解した結果ではなく、各部門が動かしやすい数字を選んでいるからです。
分解から出ていない指標は、足し合わせても事業の目標になりません。
部門ごとにKPIを置くと、衝突が起きるのはなぜか
上位の目標を分解した結果ではなく、各部門が動かしやすい数字を選んでいるからです。
分解から出ていない指標は、足し合わせても事業の目標になりません。
部門ごとのKPIは、それぞれ単独で見ると妥当に見えます。
並べた瞬間に、両立しない組み合わせが見つかります。
指標が下から積み上がっている
多くの組織で、部門のKPIは部門の中で決まります。
自部門で動かせる数字、過去から使っている数字、上司に説明しやすい数字が選ばれます。
この選び方には、他部門との関係が入りません。
結果として、一方の達成がもう一方の未達になる組み合わせが残ります。
分解の途中を飛ばしている
事業の目標を部門に割るとき、途中の分解を飛ばすと衝突が起きます。
売上目標をそのまま各部門に配ると、各部門が別々の方法で売上を作ろうとします。
部門のKPIが衝突する仕組み
| 原因 | 起きること | 見分け方 |
|---|---|---|
| 部門の中で指標を決めた | 他部門への影響が考慮されない | 指標の導出の記録がない |
| 上位の目標を分解していない | 同じ結果を別の経路で狙う | 部門の指標を足しても全社の目標にならない |
| 期間の設計が違う | 短期と長期が同じ場で比べられる | 評価の期間が部門で異なる |
| 使うデータが違う | 同じ事象の数字が一致しない | 集計の定義が部門ごと |
| 優先順位が決まっていない | どちらを取るか現場が判断できない | 判断が毎回会議に上がる |
衝突をなくすことは目的にしない
部門の役割が違う以上、指標が完全に一致することはありません。目指すのは衝突をなくすことではなく、衝突が起きたときに早く裁ける状態です。
どの組み合わせが、構造的にぶつかるのか
量を持つ部門と、質や効率を持つ部門の組み合わせです。
片方が数を増やすほど、もう片方の数字が悪化する構造になっています。
衝突する組み合わせは、事業によらずほぼ同じ形をしています。
先に把握しておけば、期首の設計で織り込めます。
件数と質の組み合わせ
マーケティングがリード件数を持ち、営業が商談化率を持つ場合が典型です。
件数を増やすほど、条件の緩い相手が混ざり、商談化率は下がります。
どちらも自部門の指標を守ろうとすると、リードの受け渡しで摩擦が起きます。
獲得と維持の組み合わせ
新規獲得を持つ部門と、既存顧客の維持を持つ部門でも同じことが起きます。
限られた予算の中で、どちらに配分するかの争いになります。
Macbee Planetが二〇二五年十二月五日から十二日に実施した調査では、削減の対象として挙がった項目にBtoCでCRM・リテンションが四十・七パーセントと上位に入っていました。
維持側の予算が削られやすい構造は、指標の持ち方と無関係ではありません。
構造的にぶつかるKPIの組み合わせ
| 一方の部門の指標 | もう一方の部門の指標 | ぶつかる理由 |
|---|---|---|
| リード件数 | 商談化率 | 件数を増やすと条件の緩い相手が混ざる |
| 新規獲得数 | 既存顧客の維持率 | 予算と工数の取り合いになる |
| 獲得単価 | 認知の到達量 | 認知への投資は短期の単価を悪化させる |
| 受注件数 | 平均受注単価 | 件数を取ると小口が増える |
| 売上 | 粗利率 | 値引きで売上は作れる |
組み合わせを一覧にしておく
どの部門とどの部門が、どの指標でぶつかるか。これを期首に一覧にしておくと、期中の議論が早くなります。
衝突は、どこで表面化するのか
予算の配分と、部門をまたぐ引き渡しの場面です。
この二つの場で起きる議論の大半は、指標の設計に原因があります。
衝突は、期首には見えません。
期中の特定の場面で表に出ます。
予算の配分を決める場
予算の総額が決まっている以上、どこかを増やせばどこかが減ります。
各部門が自部門の指標の達成に必要な額を主張すると、議論は割り振りの綱引きになります。
部門をまたいで何かを引き渡す場
リードを営業に渡す、商談を提案部門に渡す、受注を提供部門に渡す。
引き渡しのたびに、渡す側の指標と受け取る側の指標が衝突します。
渡す側は件数を、受け取る側は条件を重く見ます。
衝突が表面化する場面
| 場面 | 表に出る形 | 根にある設計の問題 |
|---|---|---|
| 予算配分の会議 | 各部門が必要額を主張する | 上位目標からの配分の根拠がない |
| リードの引き渡し | 質が低いという指摘が出る | 受け渡しの条件が定義されていない |
| 施策の優先順位付け | どの施策を先にやるかで割れる | 判断の基準が部門ごとに違う |
| 実績の報告 | 同じ事象の数字が一致しない | 集計の定義が揃っていない |
| 評価の時期 | 一方が達成、一方が未達 | 評価の期間が違う |
表面化した議論を、その場で裁かない
引き渡しの場で出た指摘を、その場の調整で済ませると、翌月も同じ議論になります。指標の設計に遡る場を、別に用意します。
上位の指標に吊り上げると、何が変わるのか
両部門が同じ数字を見るようになります。
どちらかが得をする構造が消え、議論が手段の話に変わります。
衝突する二つの指標を、どちらも包含する上位の指標に置き換える方法があります。
置き換えの考え方
リード件数と商談化率がぶつかるなら、両方を掛けた有効商談数に置き換えます。
件数を増やしても質が落ちれば、上位の数字は増えません。
質を守って件数が減っても、同じく増えません。
両部門が同じ数字を追うと、対立が共同作業になります。
上位指標に置き換えられない場合
部門の責任範囲が離れすぎていると、上位の指標を共有できません。
その場合は、片方を主指標、もう片方を制約条件として扱います。
上位の指標への置き換え
| ぶつかる指標 | 置き換える上位の指標 | 置き換えられないときの扱い |
|---|---|---|
| リード件数と商談化率 | 条件を満たした商談の件数 | 件数を主、商談化率を下限の制約に |
| 新規獲得と維持率 | 期末の稼働顧客数 | 新規を主、解約率を上限の制約に |
| 獲得単価と認知到達 | 回収期間で見た投資効率 | 単価を主、認知は別予算に切り分ける |
| 受注件数と受注単価 | 受注金額の合計 | 件数を主、単価を下限の制約に |
| 売上と粗利率 | 粗利額 | 売上を主、値引き率を上限の制約に |
制約条件の置き方
制約条件は、超えたときに何が起きるかまで決めて初めて機能します。下限を割ったら配信を止めるのか、責任者の承認を取るのか。そこまで書いておきます。
交換条件を明文化するとは、どういうことか
一方の指標を犠牲にしてよい範囲と、その代わりに満たすべき条件を書き出すことです。
書いてあれば、現場が会議を待たずに判断できます。
上位指標に吊り上げられない衝突は、交換の条件で処理します。
犠牲にしてよい幅を数字で決める
商談化率が何ポイント下がるまでなら、リード件数の増加を優先してよいか。
この幅を数字で置きます。
幅がないと、現場はどちらを優先すべきか判断できず、毎回上に上げることになります。
交換の見返りを書く
一方に譲歩を求めるなら、見返りを書きます。
件数を増やす代わりに、条件を満たさないリードは営業の商談化率の計算から外す、といった形です。
交換条件として書いておくことを、項目ごとに見ていきます。
犠牲にしてよい幅については、内容の例は商談化率の下落は三ポイントまで、書かないと起きることは毎回判断が上に上がる。
幅を超えたときの手続きについては、内容の例は責任者の承認を取る、書かないと起きることは超えても放置される。
見返りの内容については、内容の例は条件外のリードは分母から外す、書かないと起きることは一方的な譲歩になる。
適用する期間については、内容の例は当該四半期のみ、書かないと起きることは恒久的な条件として固定される。
効果の確認方法については、内容の例は翌月に両指標を並べて確認、書かないと起きることは条件が守られたか分からない。
明文化は、部門の長どうしで行う
現場どうしの合意は、担当者が変わると消えます。部門の長が署名する形で残します。
裁く人を、どこに置くのか
衝突する両部門の上位にいる一人です。
委員会や合議にすると、決まらないまま期が終わります。
交換条件で処理できない衝突は、誰かが決める必要があります。
合議では決まらない
両部門から出た代表者が集まる場では、譲る側が損をします。
損をする側が合意しないため、結論が先送りされます。
決める権限を持つ一人を置きます。
裁く人に渡す材料を決めておく
判断を依頼するときに、何を出すかを決めておきます。
現状の数字、両案を取った場合の見込み、判断が遅れた場合の損失。
材料が揃っていないと、判断が保留になります。
衝突を裁く役割の置き方を、項目ごとに見ていきます。
両部門の上位者一人については、決まる速さは速い、納得の得られ方は権限が明確、向いている場面は日常的な衝突。
事業責任者については、決まる速さは速い、納得の得られ方は事業の観点で判断できる、向いている場面は予算配分。
役員会については、決まる速さは遅い、納得の得られ方は全社の合意が得られる、向いている場面は期首の設計変更。
合議の委員会については、決まる速さは遅い、納得の得られ方は合意形成に時間がかかる、向いている場面は制度の設計。
現場の協議については、決まる速さは不定、納得の得られ方は担当者が変わると消える、向いている場面は軽微な運用調整。
判断の記録を残す
裁いた結果を記録しておかないと、同じ衝突が数か月後に再燃します。判断の内容と、そのときの前提を残します。
調整しても収まらない衝突は、どう扱うのか
組織の設計か、事業の方針に原因があります。
指標の調整で収めようとすると、担当者の負担だけが増えます。
すべての衝突が、指標の調整で解決するわけではありません。
指標の問題ではないと分かる兆候
同じ衝突が三期以上続いている。
担当者が変わっても同じ議論が起きる。
交換条件を決めても守られない。
このどれかに当てはまるなら、原因は指標の外にあります。
組織の設計に遡る
一つの成果に対して責任を持つ部門が二つに分かれていると、衝突は構造として残ります。
指標をいくら調整しても収まりません。
調整で収まらない衝突の扱いを、項目ごとに見ていきます。
三期以上同じ衝突が続くについては、考えられる原因は組織の分け方、対応の方向は責任の範囲を引き直す。
交換条件が守られないについては、考えられる原因は評価制度との不一致、対応の方向は評価の基準を合わせる。
数字が一致しないについては、考えられる原因はデータの定義と基盤、対応の方向は定義と集計の統一。
優先順位が毎回変わるについては、考えられる原因は事業の方針が定まっていない、対応の方向は方針の確認を先に行う。
担当者だけが疲弊するについては、考えられる原因は権限が現場にない、対応の方向は決定権の所在を変える。
指標の調整で先送りしない
構造の問題を指標で処理しようとすると、複雑な例外規定が積み上がります。例外が増えるほど、運用が破綻します。
衝突を裁く仕組みをどう置くか
期首に、ぶつかる組み合わせを一覧にすることからです。
起きてから考えると、そのつど議論が最初からになります。
仕組みは、衝突が起きる前に作ります。
調整の仕組みを作る手順を、項目ごとに見ていきます。
1については、やることは全部門のKPIを一枚に並べる、関わる人はマーケティング責任者、期間の目安は一週間。
2については、やることはぶつかる組み合わせを特定する、関わる人は各部門の長、期間の目安は二週間。
3については、やることは上位指標に置き換えられるものを置き換える、関わる人は事業責任者、期間の目安は二週間。
4については、やることは置き換えられないものに交換条件を書く、関わる人は各部門の長、期間の目安は三週間。
5については、やることは裁く人と、判断に渡す材料を決める、関わる人は事業責任者、期間の目安は一週間。
6については、やることは判断の記録の残し方を決める、関わる人はマーケティング責任者、期間の目安は一週間。
一枚に並べる作業で分かること
数字は説明のための仮の値です。
マーケティングがリード件数月三百件、営業が商談化率三十パーセントを持っているとします。
掛け合わせた商談数は九十件ですが、両部門の合計としてこの数字を見ている人がいないことがあります。
並べる作業だけで、誰も全体を見ていなかったことが分かります。
衝突の兆しを捉える数字を、項目ごとに見ていきます。
部門間の引き渡し件数と条件充足率については、見る頻度は月次、気づけることは受け渡しで摩擦が起きていないか。
上位指標と部門指標の乖離については、見る頻度は月次、気づけることは部門の達成が全社に効いていないか。
交換条件の適用回数については、見る頻度は四半期、気づけることは条件が実態に合っているか。
判断を上位に上げた回数については、見る頻度は四半期、気づけることは現場で判断できる範囲が狭すぎないか。
同じ議題の再燃回数については、見る頻度は半期、気づけることは構造の問題が残っていないか。
期中に増やすKPIにも同じ手続きを踏む
期中に新しい指標を足すときは、既存の指標とぶつからないかを先に確認します。
確認の手続きを省くと、期末に新しい衝突が出ます。
代理店や外部委託先も対象に入れる
委託先の評価基準が自社の部門指標とぶつかることがあります。
契約の評価条項も、同じ一覧に入れて確認します。
部門をまたぐ指標の設計で判断に迷う場合は、無料相談で現状の指標の並びを見てもらうところから始められます。組織と指標の関係ごと見直す段階ならWeb集客改善サービスもあります。
よくある質問
部門別のKPIが衝突するのは、どんな組み合わせですか
量を持つ部門と、質や効率を持つ部門の組み合わせです。リード件数と商談化率、新規獲得と維持率、受注件数と平均受注単価などが典型で、片方が数を増やすほどもう片方の数字が悪化します。
衝突はなくすべきですか
部門の役割が違う以上、完全になくすことはできません。目指すのは、衝突が起きたときに早く裁ける状態です。ぶつかる組み合わせを期首に一覧にしておくと、期中の議論が早くなります。
上位の指標に吊り上げるとは、どういうことですか
ぶつかる二つの指標を、どちらも包含する指標に置き換えることです。リード件数と商談化率なら、条件を満たした商談の件数に置き換えます。両部門が同じ数字を追うと、対立が共同作業に変わります。
衝突を裁くのは誰にすべきですか
両部門の上位にいる一人です。合議の場では譲る側が損をするため、合意されないまま先送りされます。判断を依頼するときに渡す材料も先に決めておいてください。
調整しても同じ衝突が繰り返されます
指標ではなく組織の設計か事業方針に原因があります。三期以上続く、交換条件が守られない、担当者が変わっても同じ議論が起きるといった状態なら、責任の範囲そのものを引き直す必要があります。
まとめ
- 上位の目標を分解した結果ではなく、各部門が動かしやすい数字を選んでいるからです。分解から出ていない指標は、足し合わせても事業の目標になりません
- 量を持つ部門と、質や効率を持つ部門の組み合わせです。片方が数を増やすほど、もう片方の数字が悪化する構造になっています
- 予算の配分と、部門をまたぐ引き渡しの場面です。この二つの場で起きる議論の大半は、指標の設計に原因があります
- 両部門が同じ数字を見るようになります。どちらかが得をする構造が消え、議論が手段の話に変わります
- 一方の指標を犠牲にしてよい範囲と、その代わりに満たすべき条件を書き出すことです。書いてあれば、現場が会議を待たずに判断できます
- 衝突する両部門の上位にいる一人です。委員会や合議にすると、決まらないまま期が終わります
- 組織の設計か、事業の方針に原因があります。指標の調整で収めようとすると、担当者の負担だけが増えます
- 期首に、ぶつかる組み合わせを一覧にすることからです。起きてから考えると、そのつど議論が最初からになります