
計測できた接点を、そのまま成果として数えているからです。
接点があったことと、その接点が結果を生んだことは別です。
この二つが区別されないまま、貢献の数字が積み上がります。
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目次
目次
- 貢献の範囲が曖昧なまま報告されるのは、なぜか
- 計測の都合が、貢献の定義になっている
- 何もしなくても起きた分を、どう見積もるのか
- 止めて測るのが最も確かめやすい
- 指名で来た問い合わせは、誰の成果なのか
- 指名の件数が増えた理由を分ける
- 営業が取った受注のうち、マーケティングの分はどこまでか
- 入口までと、入口から先を分ける
- 複数の接点があるとき、貢献をどう割るのか
- 割り方を選ぶ基準
- 増分を確かめる方法は、どこまで現実的か
- 実験の実行条件
- 貢献の申告に、どんなルールを置くのか
- ルールに入れる項目
- 貢献の線引きを社内で決めるまで
- 重複の洗い出しで分かること
- よくある質問
- まとめ
計測できた接点を、そのまま成果として数えているからです。
接点があったことと、その接点が結果を生んだことは別です。
この二つが区別されないまま、貢献の数字が積み上がります。
貢献の範囲が曖昧なまま報告されるのは、なぜか
計測できた接点を、そのまま成果として数えているからです。
接点があったことと、その接点が結果を生んだことは別です。
この二つが区別されないまま、貢献の数字が積み上がります。
マーケティングの報告には、獲得件数や寄与売上といった数字が並びます。
その数字が何を指しているかを、社内の誰もが同じように理解しているとは限りません。
計測の都合が、貢献の定義になっている
ツールが記録できるのは、接点の有無です。
広告をクリックした、資料をダウンロードした、メールを開いた。
記録された接点を集めると、それらしい貢献の数字になります。
この数字は、接点がなかった場合に何が起きたかを含んでいません。
含んでいない以上、成果の大きさを示す根拠にはなりません。
部門ごとに数字を積み上げると、合計が合わない
マーケティングが寄与売上を報告し、営業も同じ受注を実績として報告します。
販売代理の部門があれば、そこでも同じ受注が数えられます。
合計が全社の売上を超えることがあります。
超えた時点で、貢献の定義が共有されていないことが分かります。
貢献の範囲が曖昧になる場面
| 場面 | 起きること | 抜けている論点 |
|---|---|---|
| 広告経由の受注を報告する | クリックした人の受注を全部数える | 広告がなくても受注したか |
| 指名検索からの問い合わせ | 検索広告の成果として数える | 自然検索で来たはずの分 |
| 展示会で会った相手の受注 | イベントの成果として数える | 営業の既存関係の寄与 |
| 再購入の売上 | メール施策の成果として数える | そのまま買っていた分 |
| 複数部門が同じ受注を報告 | 合計が全社売上を超える | 按分のルール |
曖昧さを放置すると、予算の議論が成立しない
貢献の数字が信用されなくなると、増額の根拠も減額の根拠も失われます。数字の精度を上げる前に、何を貢献と呼ぶかを決めます。
何もしなくても起きた分を、どう見積もるのか
施策を止めた期間か、施策を届けていない地域の実績を使います。
止められない場合は、施策開始前の水準を基準に置きます。
貢献を測るには、施策がなかった場合の水準が要ります。
この水準を置かないと、増分は計算できません。
止めて測るのが最も確かめやすい
一定期間、対象を絞って配信を止めます。
止めた期間の受注が、止めなかった場合と比べてどれだけ減ったかを見ます。
売上が落ちる期間が発生するため、実施には合意が要ります。
止める範囲と期間を限定すれば、影響を抑えられます。
止められない場合の代替
事業の性質上、配信を止められないことがあります。
その場合は、地域や事業部を分けて、片方だけ露出を変える形にします。
施策がない場合の水準を見積もる方法
| 方法 | やること | 分かること | 実施の難しさ |
|---|---|---|---|
| 配信を止める | 一定期間、対象を絞って停止する | 止めた分の減少幅 | 売上が落ちるため合意が要る |
| 地域を分ける | 一部の地域だけ露出を変える | 地域差から見た増分 | 地域の条件差の調整が要る |
| 開始前の水準を使う | 施策開始前の実績を基準にする | おおよその増分 | 他の変化が混ざる |
| 出稿量を段階で変える | 投入量を増減させて反応を見る | 投入と成果の関係 | 測定に期間がかかる |
| モデルで推定する | 複数の要因から統計的に推定する | 要因ごとの寄与 | データ量と設計の負担 |
基準を一度決めたら、期を通して変えない
期中に基準を変えると、貢献の数字が跳ねます。基準の見直しは期首に行います。
指名で来た問い合わせは、誰の成果なのか
一つの部門の成果にはできません。
認知を作った施策、想起させた接点、受け皿を整えた施策が重なった結果です。
指名検索からの問い合わせは、最も単価が安く、最も成果に見えます。
同時に、最も貢献の切り分けが難しい流入です。
指名の件数が増えた理由を分ける
指名の件数が増えたとき、考えられる理由は複数あります。
認知の施策が効いた、既存顧客の紹介が増えた、報道で取り上げられた、競合が減った。
どれが主因かを確かめずに広告の成果として報告すると、次の投資判断が狂います。
指名の検索広告は、増分が小さいことがある
指名の語に広告を出すと、自然検索の枠と重なります。
広告を止めても、同じ人が自然検索の枠から入ってくる場合があります。
一方で、生成AIの普及により検索結果の見え方が変わっています。
Ahrefsが二〇二六年七月十六日に公表した調査では、AI Overviewsが表示される場面で日本の検索一位のCTR下落率が二〇二六年六月に六十二・七パーセントとなり、予測CTR二十四・一パーセントに対して実測が九・〇パーセントでした。
自然検索の枠に頼れる前提が弱まっているため、止めたときの影響は以前より大きくなる可能性があります。
指名の問い合わせを分ける観点
| 分ける観点 | 見るもの | 判断に使うところ |
|---|---|---|
| 流入の経路 | 自然検索か検索広告か | 広告の増分の大きさ |
| 指名の件数の推移 | 認知施策の実施時期との重なり | 認知施策の寄与 |
| 初回接触の経路 | 指名で来る前に何に触れたか | 上流の施策の寄与 |
| 既存顧客との関係 | 紹介か既存取引先か | 営業の寄与 |
| 競合の動き | 競合の出稿や撤退の時期 | 外部要因の寄与 |
指名を上流の成果として扱う
指名の件数そのものを、認知施策の成果指標として置く方法があります。獲得の成果とは別枠にすると、二重に数えずに済みます。
営業が取った受注のうち、マーケティングの分はどこまでか
商談の入口を作ったところまでです。
商談が始まったあとの進み方は、営業の設計と実行で決まります。
受注そのものをマーケティングの成果として報告すると、営業との間に摩擦が生まれます。
入口までと、入口から先を分ける
マーケティングが動かせるのは、商談が始まるまでの部分です。
商談の件数と、商談に入ってきた相手の条件は、マーケティングの設計で変わります。
商談が始まってからの提案、価格交渉、社内調整は営業の領域です。
ここで受注が決まるかどうかは、マーケティングの施策では動きません。
質の責任は、どこまで持つのか
商談の質が低いという指摘は、マーケティングに向けられます。
質の定義が共有されていないと、この指摘は反論のしようがありません。
商談として受け取る条件を事前に定義し、その条件を満たした件数で報告します。
受注までの役割と、申告の範囲
| 段階 | 主に動かす部門 | マーケティングが報告してよい範囲 |
|---|---|---|
| 認知と想起 | マーケティング | 接触の量と想起の水準 |
| 問い合わせの発生 | マーケティング | 件数と条件の内訳 |
| 商談化 | マーケティングと営業 | 条件を満たした商談の件数 |
| 提案と交渉 | 営業 | 報告しない |
| 受注 | 営業 | 受注に至った商談の割合として参照する |
| 受注後の拡大 | 営業とカスタマーサクセス | 報告しない |
参照と申告を分ける
受注の件数を見ないわけではありません。自部門の成果として申告するかどうかと、参照するかどうかを分けます。
複数の接点があるとき、貢献をどう割るのか
割り方に正解はありません。
どの割り方を使うかを先に決め、期を通して変えないことのほうが効きます。
一件の受注に、広告、検索、メール、展示会が関わっていることがあります。
このとき、どの施策の成果として数えるかで報告の姿が変わります。
割り方を選ぶ基準
どの割り方も、特定の施策に有利に働きます。
最初の接点を重く見れば認知施策が有利になり、最後の接点を重く見れば獲得施策が有利になります。
選ぶ基準は、どの判断に使うかです。
予算の配分に使うなら、途中の接点も含めた割り方を選びます。
割り方を変えると、過去との比較ができなくなる
期中に割り方を変えると、数字が動いた理由が施策なのか計算方法なのか分からなくなります。
変えるなら期首で、過去の数字も同じ方法で計算し直します。
複数接点があるときの割り方を、項目ごとに見ていきます。
最初の接点に寄せるについては、有利になる施策は認知と集客、向いている判断は新規の獲得経路の評価。
最後の接点に寄せるについては、有利になる施策は獲得と再訪促進、向いている判断は刈り取り施策の評価。
均等に分けるについては、有利になる施策はすべての接点、向いている判断は接点の量の把握。
段階に重みをつけるについては、有利になる施策は設計した重みによる、向いている判断は予算配分の議論。
分けずに件数で数えるについては、有利になる施策はなし、向いている判断は接点ごとの関与の把握。
割った数字を合計しない
割った結果を部門ごとに合計すると、全社の売上を超えます。割った数字は配分の議論に使い、全社の成果としては合計しません。
増分を確かめる方法は、どこまで現実的か
実験と統計的な推定の二つがあります。
実験は精度が高い代わりに機会損失が出て、推定は負担が小さい代わりに前提に依存します。
増分を確かめる手段は限られています。
どの手段なら自社で回せるかを決めます。
実験の実行条件
配信を止める、地域を分ける、投入量を段階で変える。
どれも、一定期間の成果を犠牲にします。
実施の判断には事業側の合意が要ります。
合意を得るには、測らなかった場合に何が分からないままかを示します。
統計的な推定を使う場合
複数の要因から成果への寄与を推定する手法があります。
Googleはオープンソースのマーケティング効果測定モデルとしてMeridianを提供しており、地域単位の実験を扱うMeridian GeoXも近日公開とされています。
推定は過去のデータから行うため、成果を犠牲にせずに済みます。
その代わり、十分な期間のデータと、要因の設計が要ります。
増分を確かめる手段と実行しやすさを、項目ごとに見ていきます。
配信の停止実験については、精度は高い、成果の犠牲は大きい、必要なものは事業側の合意と期間。
地域を分ける実験については、精度は高い、成果の犠牲は中程度、必要なものは地域の条件が近いこと。
投入量の段階変更については、精度は中程度、成果の犠牲は小さい、必要なものは三か月以上の測定期間。
統計的な推定については、精度は中程度、成果の犠牲はなし、必要なものは二年以上のデータと設計。
開始前との比較については、精度は低い、成果の犠牲はなし、必要なものは他の変化が少ないこと。
一度で終わらせない
市場と競合の状況は変わります。一度測った増分の比率は、半年から一年で測り直します。
貢献の申告に、どんなルールを置くのか
何を数え、何を数えないかを文書にします。
数え方だけでなく、他部門と重複したときの扱いまで決めておきます。
ルールがないと、報告のたびに定義が揺れます。
揺れると、数字そのものが信用されなくなります。
ルールに入れる項目
数える対象の定義、除外する条件、按分の方法、重複したときの優先順位、基準の見直し時期。
この五つを書いておけば、報告の形が安定します。
除外の条件を明示する
既存顧客からの再購入、営業が独自に開拓した案件、紹介で来た案件。
これらを数えるかどうかを決めておかないと、期によって数字が跳ねます。
貢献の申告ルールに入れる項目を、項目ごとに見ていきます。
数える対象については、決めることはどの段階までを成果とするか、決めないと起きることは部門間で範囲が食い違う。
除外の条件については、決めることは既存顧客や紹介をどう扱うか、決めないと起きることは期ごとに数字が跳ねる。
按分の方法については、決めることは複数接点をどう割るか、決めないと起きることは施策の評価が恣意的になる。
重複の優先順位については、決めることは同じ案件を複数部門が報告した場合、決めないと起きることは合計が全社売上を超える。
見直しの時期については、決めることはいつルールを変えられるか、決めないと起きることは期中に都合よく変更される。
ルールは他部門と一緒に作る
マーケティング部門だけで作ったルールは、営業側に受け入れられません。作る段階から営業と財務を入れておきます。
貢献の線引きを社内で決めるまで
現状の報告で二重に数えている部分を洗い出すことからです。
重複が見えると、ルールを作る動機が共有されます。
線引きの議論は、理屈から始めると進みません。
現状の数字の矛盾から始めます。
線引きを決めるまでの進め方を、項目ごとに見ていきます。
1については、やることは各部門の報告数字を同じ期間で並べる、関わる部門はマーケティングと営業と財務、期間の目安は二週間。
2については、やることは同じ案件が複数部門で数えられている箇所を特定する、関わる部門は財務、期間の目安は二週間。
3については、やることは数える対象と除外の条件の案を作る、関わる部門はマーケティング、期間の目安は二週間。
4については、やることは営業と財務で案を検証する、関わる部門は営業と財務、期間の目安は三週間。
5については、やることは按分の方法と重複の優先順位を決める、関わる部門は事業責任者、期間の目安は二週間。
6については、やることはルールを文書にし、報告の形式を揃える、関わる部門はマーケティング、期間の目安は二週間。
重複の洗い出しで分かること
数字は説明のための仮の値です。
全社の新規受注が年間二百件で、マーケティングが百四十件、営業の独自開拓が八十件、紹介が四十件と報告されていれば、合計は二百六十件になります。
差の六十件が、重複して数えられている部分です。
決めたあとに起きる反発
ルールを作ると、これまで成果として報告していた分が減る部門が出ます。
評価の制度が前の数字を前提にしていると、反発が出ます。
ルールの導入と評価制度の調整は、同じ時期に進めます。
貢献の妥当性を確かめる数字を、項目ごとに見ていきます。
部門別の申告件数の合計については、見る頻度は四半期、確かめることは全社の実績と一致しているか。
除外条件に該当した件数については、見る頻度は四半期、確かめることは除外の運用が守られているか。
増分の推定値と申告値の差については、見る頻度は半期、確かめることは申告が実態から離れていないか。
指名経由の件数については、見る頻度は月次、確かめることは上流の施策の効果が出ているか。
按分方法を変えた場合の差については、見る頻度は期首、確かめることは方法の選択が結論を左右していないか。
ルールは薄く作って運用で足す
最初から細かいルールを作ると、例外の処理で止まります。
数える対象と除外の条件だけを先に決め、按分は運用しながら詰めます。
外部に委託している施策の扱い
代理店に任せている部分の成果も、同じルールで数えます。
委託先の報告する数字と自社のルールが違うと、二重の基準が残ります。
貢献の範囲をどこで区切るかで判断に迷う場合は、無料相談で現状の報告の重なりを見てもらうところから始められます。成果の測り方ごと見直す段階ならWeb集客改善サービスもあります。
よくある質問
マーケティングの貢献は、どこまでを自社の成果と呼べますか
施策がなかった場合に起きなかった分までです。接点があったことと、その接点が結果を生んだことは別で、計測できた接点をそのまま数えると増分を含まない数字になります。
指名検索からの問い合わせは誰の成果ですか
一つの部門の成果にはできません。認知を作った施策、想起させた接点、受け皿を整えた施策が重なった結果です。指名の件数そのものを認知施策の指標として別枠に置くと、二重に数えずに済みます。
受注件数をマーケティングの実績として報告してよいですか
商談の入口を作ったところまでが申告の範囲です。商談が始まってからの提案や交渉はマーケティングの施策では動きません。受注は参照する数字として扱い、申告とは分けてください。
複数の接点があるときの割り方に正解はありますか
ありません。最初の接点に寄せれば認知施策が、最後に寄せれば獲得施策が有利になります。どの判断に使うかで選び、期を通して変えないことのほうが効きます。
増分を測るには配信を止めるしかありませんか
地域を分ける、投入量を段階的に変える、統計的に推定するという手段もあります。Googleはオープンソースの効果測定モデルとしてMeridianを提供しており、成果を犠牲にせずに推定できますが、十分な期間のデータと要因の設計が要ります。
まとめ
- 計測できた接点を、そのまま成果として数えているからです。接点があったことと、その接点が結果を生んだことは別です。この二つが区別されないまま、貢献の数字が積み上がります
- 施策を止めた期間か、施策を届けていない地域の実績を使います。止められない場合は、施策開始前の水準を基準に置きます
- 一つの部門の成果にはできません。認知を作った施策、想起させた接点、受け皿を整えた施策が重なった結果です
- 商談の入口を作ったところまでです。商談が始まったあとの進み方は、営業の設計と実行で決まります
- 割り方に正解はありません。どの割り方を使うかを先に決め、期を通して変えないことのほうが効きます
- 実験と統計的な推定の二つがあります。実験は精度が高い代わりに機会損失が出て、推定は負担が小さい代わりに前提に依存します
- 何を数え、何を数えないかを文書にします。数え方だけでなく、他部門と重複したときの扱いまで決めておきます
- 現状の報告で二重に数えている部分を洗い出すことからです。重複が見えると、ルールを作る動機が共有されます