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実際には、どちらも改善できる範囲と、片方を諦める範囲が分かれています。
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目次
目次
- 件数と単価が同時に語られると、議論が止まるのはなぜか
- 議論を動かすのは、境目の一点
- 両方が同時に良くなる領域は、どこにあるのか
- 余地を使い切るまで、交換の議論を始めない理由
- 交換が始まる点は、どうやって見つけるのか
- 測定の期間中に、何を社内で握っておくのか
- 追加の1件に、いくらまで払えるのか
- 上限を1つの数字にしない
- 交換レートは、どの単位で測るのか
- 測った結果を、いつ更新するのか
- 件数を増やす側と単価を守る側で、話が噛み合わないのはなぜか
- 時間軸を、どの場で合意するのか
- 交換の条件を、どう社内の決め事にするのか
- 決め事は、いつ見直すのか
- 交換レートの測定は、何から始めるのか
- 測定の結果を、どこに残すのか
- よくある質問
- まとめ
2つが常に交換関係にあると決めつけているからです。
実際には、どちらも改善できる範囲と、片方を諦める範囲が分かれています。
境目を示さないまま議論すると平行線になります。
件数と単価が同時に語られると、議論が止まるのはなぜか
2つが常に交換関係にあると決めつけているからです。
実際には、どちらも改善できる範囲と、片方を諦める範囲が分かれています。
境目を示さないまま議論すると平行線になります。
予算会議で最もよく起きる膠着が、件数と単価の対立です。
件数を増やしたい側と、単価を守りたい側が、同じ資料を見て違う結論を出します。
対立の正体は、前提の違いにあります。
件数を増やしたい側は、まだ取り切れていない需要があると考えています。
単価を守りたい側は、すでに取り尽くしていると考えています。
どちらが正しいかは、データで確かめられる種類の問いです。
確かめないまま議論すると、決着は声の大きさでつきます。
声の大きさで決まった配分は、翌期にも同じ手続きで覆るため、方針が定着しません。
もう1つの原因が、平均値で話していることです。
月次の平均CPAだけを見ていると、どこまでが安く取れていて、どこから高くなるのかが分かりません。
平均は、安い部分と高い部分を混ぜた結果です。
混ぜたあとの数字からは、次の1件がいくらになるかが読めません。
議論に必要なのは、平均ではなく追加の1件の値段です。
予算を増やす判断は、平均がいくらかではなく、増やした分がいくらで取れるかで決まるからです。
この数字が資料に載っていないと、議論は主観の交換になります。
出せると取れる、いや高くつく、という応酬が毎回繰り返されます。
応酬が長引くほど、決定は先送りになります。
先送りされた予算は、前年と同じ水準で自動的に更新されるのが通例です。
前年踏襲が続くと、市場が伸びている年にも投資が増えません。
膠着の代償は、意思決定の遅さではなく、取れたはずの件数の取りこぼしとして出ます。
会議の形も膠着を助長します。
件数の目標はマーケティング部門が、単価の上限は財務や事業側が持っていると、それぞれが自分の指標を守る動きになります。
指標の持ち主が分かれている状態では、交換の判断をする人がどこにもいません。
判断する人を決めることが、境目を測ることと同じくらい先に要ります。
議論を動かすのは、境目の一点
どこまでは同時に良くなり、どこから交換が始まるのか。
この一点が共有されれば、議論は価値観の対立から配分の計算に変わります。
境目を示す数字は1つで足ります。
現在の予算水準から1割増やしたときに、増えた分の単価がいくらになるかです。
この数字が上限の内側なら、増やす判断は計算で出ます。
上限を超えていれば、増やさない判断も計算で出ます。
計算で出るようになると、会議の時間が短くなります。
議論すべきことが、増やすかどうかから、上限そのものが妥当かどうかに移るためです。
上限の妥当性は、マーケティング部門だけでは決められません。
そこまで議題が上がった時点で、事業側と財務を巻き込む必然性ができます。
膠着の原因は、平均値で語り、追加の1件の値段を持っていないことです。境目の一点を示すと、議論は価値観の対立から配分の計算に変わります。
両方が同時に良くなる領域は、どこにあるのか
無駄を削る余地が残っている間は、件数を増やしながら単価も下がります。
配信の重複、効かない面、質の低い流入を外すと、両方が改善します。
件数と単価が常に交換関係にあるわけではありません。
土台に無駄がある状態では、両方が同じ方向に動きます。
無駄の形は3つに分かれます。
同じ人に同じ広告を何度も当てている状態、成果に結びつかない配信先に予算が流れている状態、コンバージョンの定義が緩く価値のない獲得を数えている状態です。
1つ目は、表示の偏りとして出ます。
一部の層に表示が集中すると、その層の反応はすでに取り切られているため、追加の表示が費用だけを増やします。
2つ目は、配信先の裾野に出ます。
成果の出ない面や検索語に予算の1割から2割が流れていることは珍しくありません。
3つ目は、定義の問題です。
資料請求も見積依頼も同じ1件として数えていると、安い獲得が増えたときに単価は改善して見えます。
この状態で件数と単価の交換を議論しても、議論の前提が実態と合いません。
見かけ上の単価が動いているだけで、事業に入ってくる金額は変わっていないからです。
余地が残っているかどうかは、配信面や検索語を成果順に並べれば分かります。
下位2割を止めたときに失う獲得件数が、全体の5分の1を大きく下回るなら、無駄が残っています。
逆に、下位2割を止めると獲得も2割近く減る状態は、すでに整理が進んでいる状態です。
この場合は、次に見るのが交換の境目になります。
コンバージョンの定義については、質で分けて数えているかを確かめます。
分けていない場合は、交換の議論より先に定義の整理を終える必要があります。
余地を使い切るまで、交換の議論を始めない理由
無駄が残っている状態で件数と単価の交換を議論すると、本来やるべき整理が後回しになります。
整理は成果が地味で、予算の増減という分かりやすい議題に負けるからです。
もう1つの理由は、交換レートの測定が汚れることです。
無駄が残った状態で予算を増やすと、増えた分がその無駄に流れ、増分の単価が実態より悪く出ます。
悪く出た数字を根拠に上限を決めると、本来は拡大できる事業でも拡大しないという判断になります。
測定の前に土台を整えるのは、判断の精度を守るためでもあります。
整理にかかる期間は、アカウントの規模にもよりますが4週間前後を見込みます。
この期間は件数が一時的に減るため、事前に見込みを共有しておいてください。
整理が終わった時点で、件数と単価の両方が改善していれば、その水準が新しい基準になります。
交換レートの測定は、この基準から始めます。
重複、効かない配信先、緩いCV定義が残っているうちは、件数と単価は同時に改善します。整理を終える前に交換レートを測ると、増分の単価が実態より悪く出ます。
交換が始まる点は、どうやって見つけるのか
予算を段階的に増やし、増やした分で取れた件数を記録します。
追加分の単価が跳ね上がる地点が、交換の始まりです。
交換が始まる点は、理屈では出せません。
実際に予算を動かして測る以外に方法がありません。
見るのは全体の平均ではなく、増えた分だけです。
予算を2割増やして件数が1割しか増えなかったとすると、増やした分の単価はそれまでの平均の2倍になっています。
この計算は、増えた費用を増えた件数で割るだけです。
計算そのものは単純ですが、前後の条件を揃えないと数字が意味を持ちません。
季節要因や競合の出稿が動くと、測定が汚れます。
増額の前後で条件が揃う期間を選び、期末や大型連休をまたぐ測定は避けてください。
測定の刻み方も結果を左右します。
一度に予算を倍にすると、どこで跳ねたかが分かりません。
段を細かく刻むほど境目は正確に出ますが、その分だけ測定に時間がかかります。
1割刻みで3週間ずつ進めると、3段階の測定に9週間かかる計算です。
刻み幅を決めるときは、月の獲得件数から逆算してください。
1割の増額で増える件数が5件に満たない事業では、増分の単価が偶然で大きく振れます。
その場合は刻みを2割にするか、測定の期間を1段あたり6週間に延ばします。
どちらを選ぶかは、測定に割ける期間と予算の余裕で決まります。
測定中は、配信の設定を変えないでください。
予算以外の条件を同時に動かすと、増分の単価が予算のせいなのか設定のせいなのか分からなくなります。
交換が始まる点を探す手順
| 段階 | やること | 記録するもの | 期間の目安 |
|---|---|---|---|
| 1 | 現状の予算と件数を基準として固定する | 基準の件数と単価 | 2週間 |
| 2 | 予算を1割増やす | 増えた件数と増えた費用 | 3週間 |
| 3 | 増分の単価を計算する | 増分費用 ÷ 増分件数 | 即日 |
| 4 | さらに1割増やして同じ計算をする | 2段目の増分単価 | 3週間 |
| 5 | 増分単価が急に跳ねる段を特定する | 跳ねた地点の予算水準 | 1週間 |
| 6 | 跳ねた手前まで戻す | 通常時の運転水準 | 1週間 |
測定の期間中に、何を社内で握っておくのか
測定の期間は、通常より単価が悪化します。
この悪化を失敗と扱われると、二度と測れなくなります。
測る前に、悪化する期間があることと、その幅の見込みを共有しておいてください。
共有する相手は、月次の数字を見る立場の人すべてです。
見込みの幅は、過去の増額時のデータから粗く置けます。
データがない場合は、基準の単価の3割増しを上限として置き、超えたら測定を止める取り決めにします。
止める条件を先に決めておくと、測定そのものの決裁が通りやすくなります。
無制限に悪化する提案は通りませんが、上限と期間が区切られていれば投資として説明できます。
測定の結果は、跳ねた地点の予算水準として記録します。
この1つの数字が、翌期以降の予算議論の出発点になります。
境目は予算を1割ずつ動かして増分の単価を記録することでしか分かりません。測定中は単価が悪化するため、幅と止める条件を先に社内で握ってください。
追加の1件に、いくらまで払えるのか
その1件が生む粗利から、営業と提供にかかる費用を引いた残りが上限です。
平均の利益ではなく、追加で1件増えたときに残る利益で考えます。
上限は、事業側の数字から決まります。
広告の都合や相場からは決まりません。
平均の利益で計算すると、上限が低く出ます。
平均の利益には固定費が配賦されていますが、追加の1件が増えても固定費は増えないからです。
増える費用だけを引いた残りが、払える上限になります。
この考え方で計算すると、上限は平均の利益から出した数字より高く出ます。
引く費用は2種類です。
受注1件を提供するために追加で発生する費用と、その受注を取るために追加で発生する営業の費用です。
提供の費用には、原価のほかに導入や初期対応の工数が含まれます。
営業の費用には、商談にかかる人件費と移動費が含まれます。
この2つを引いたあとに、事業として残したい利益を引きます。
残したい利益を明示しないまま計算すると、上限が損益分岐と同じ値になります。
損益分岐と同じ上限で運転すると、少しの悪化で赤字になります。
実務では、計算で出た上限の8割を通常の運転水準に置く形が多くなります。
もう1つの制約が資金です。
利益の計算で許されても、回収に時間がかかる場合は資金が先に尽きます。
継続課金の事業では、回収までの期間が実質的な上限を決めます。
回収を12か月以内に収めたいなら、粗利も12か月分で切って計算してください。
数字は説明のための仮の値です。
受注単価が100万円、粗利率が6割なら粗利は60万円です。
提供と営業の追加費用が20万円、残したい利益が20万円なら、払える上限は20万円になります。
この20万円が、追加の1件に出せる金額の天井です。
上限を1つの数字にしない
通常の運転で守る水準と、拡大を狙うときに許す水準を分けてください。
1つの数字にすると、拡大の判断ができなくなります。
通常の水準は、計算した上限の8割程度に置きます。
拡大を狙う期間だけ、上限まで許す形にします。
新しい市場や新商品を試す期間は、さらに上を許すことがあります。
この場合は、期間と総額を先に区切ったうえで、事業責任者の決裁を条件にします。
水準を分けたら、それぞれを誰が判断するかも決めてください。
通常の水準の内側は現場が判断し、超える場合だけ上に上げる形にすると、日々の判断が止まりません。
分けた水準は、期首に見直します。
受注単価や粗利率が変われば、計算の結果も変わるためです。
上限は、追加の1件で増える費用だけを引いた残りから出します。通常の運転、拡大、例外の3水準に分け、それぞれの決裁者を決めてください。
交換レートは、どの単位で測るのか
媒体でも施策でもなく、狙う顧客層の単位で測ります。
同じ媒体の中でも、層が変われば交換の条件が変わります。
交換レートを全社で1つ持つと、精度が落ちます。
分ける単位を先に決めてください。
層ごとに、交換の条件がまったく違います。
指名で検索してくる層は、件数の上限が需要そのもので決まっています。
この層に予算を増やしても件数は増えず、単価だけが上がります。
需要が天井になっている層では、交換ではなく単なる浪費が起きます。
一方で、課題に気づいたばかりの層は、まだ取り切っていません。
予算を増やせば件数が伸び、単価はそれほど跳ねません。
この2つを混ぜて1つの交換レートを出すと、実態のどちらとも違う数字になります。
その数字で予算を決めると、伸びる層への投資が足りず、天井の層への投資が過剰になります。
媒体別に分ける方法は、扱いやすい代わりに精度が落ちます。
同じ媒体の中に複数の層が混ざっているためです。
商品別に分ける方法は、商品が絞られている事業では有効です。
商品ごとに粗利率が違うと、払える上限も商品ごとに変わるからです。
分けすぎると母数が足りなくなります。
層を細かく分けるほど正確になりますが、各層の件数が減って数字が振れます。
月に20件を下回る層は、独立した単位にしないでください。
その水準では、増分の単価が偶然で2倍にも半分にもなります。
測った結果を、いつ更新するのか
競合の出稿や需要の水準は変わります。
一度測った交換レートは、遅くとも半年で測り直してください。
更新のきっかけになる変化は3つあります。
競合の新規参入、自社の価格改定、そして商品の構成が変わったときです。
このうち価格改定は、払える上限のほうを直接動かします。
値上げをすれば粗利が増え、上限も上がるため、同じ交換レートでも判断が変わります。
測り直しのたびに全段階をやり直す必要はありません。
前回跳ねた地点の前後だけを1割刻みで確かめれば、境目が動いたかどうかは分かります。
測り直しの結果は、前回の数値と並べて残してください。
並べて残すと、市場が厳しくなっているのか自社の効率が落ちたのかを区別できます。
交換レートは顧客層の単位で測ります。月20件を下回る層は独立させず、半年ごと、または価格改定や競合の参入があった時点で測り直してください。
件数を増やす側と単価を守る側で、話が噛み合わないのはなぜか
見ている時間の長さが違うからです。
件数側は来期以降の売上を、単価側は今期の利益を見ています。
どちらの立場にも根拠があります。
噛み合わないのは、前提として置いている時間軸が共有されていないからです。
獲得を絞れば今期の利益は守れます。
その代わり、来期に育つ顧客の母数が減ります。
継続課金の事業では、この差が2年後の売上に効きます。
単発の販売が中心なら、差は小さくなります。
つまり、どちらが正しいかは事業の型で決まります。
型を確認せずに立場を議論するから、議論が価値観の対立に見えます。
もう1つの要因が、評価の期間です。
担当者の評価が単年で行われる組織では、単価を守る側が構造的に強くなります。
投資の回収が3年かかる施策は、誰も言い出せません。
言い出した人が、自分の評価期間の内側で不利になるためです。
この構造は、指標をいくら精緻にしても解けません。
解くには、評価の期間そのものに手を入れる必要があります。
実務的な方法は、拡大のための投資枠を通常の予算から切り離すことです。
切り離した枠は、当年の効率指標の評価対象から外します。
外した枠には、別の評価基準を置きます。
獲得した顧客の12か月後の継続率や、追加購入の発生率といった、時間のかかる数字です。
立場ごとに置いている前提の違い
| 立場 | 見ている期間 | 優先する数字 | 見落としがちなこと |
|---|---|---|---|
| 事業責任者 | 今期 | 営業利益 | 来期の母数の減少 |
| マーケティング責任者 | 1年から3年 | 顧客数の伸び | 今期の資金繰り |
| 財務 | 四半期 | 回収期間 | 市場の機会損失 |
| 営業 | 今月 | 商談の数 | 質の低い商談の負担 |
| 代理店 | 契約期間 | 契約上の指標 | 契約外の事業影響 |
時間軸を、どの場で合意するのか
どの期間で成果を判断するかを先に決めると、議論は数字の話に戻ります。
時間軸を決めずに指標だけを議論すると、同じ対立が毎期起きます。
合意する場は、期初の予算会議です。
期中に持ち出すと、すでに動いている施策の評価の話とまざります。
合意する内容は、通常の予算の評価期間と、拡大枠の評価期間の2つです。
拡大枠の評価期間は、その事業の回収期間に合わせます。
回収期間が分からない場合は、まず既存顧客の継続期間を出してください。
継続期間の実績がないうちは、12か月で区切って始めるのが扱いやすい形になります。
決めた時間軸は、代理店との契約にも反映します。
契約期間が1年で評価指標が当年の単価だけなら、委託先は拡大の提案を出しません。
対立の正体は時間軸の違いです。拡大のための投資枠を通常予算から切り離し、その枠だけ評価期間を回収期間に合わせてください。
交換の条件を、どう社内の決め事にするのか
段階ごとに許す単価と、そのときに満たすべき条件を書き出します。
どの水準までなら現場が判断でき、どこから決裁が要るかを分けます。
交換を認めるかどうかを都度議論すると、判断が遅れます。
先に条件を決めておけば、現場は会議を待たずに動けます。
分ける段階は3つです。
通常の運転で守る水準、拡大を狙うときに許す水準、それを超える例外の水準です。
それぞれで、判断する人を変えます。
通常の水準の内側は運用の担当、拡大まではマーケティング責任者、例外は事業責任者か役員会という形になります。
段階を分ける効果は、判断の速さだけではありません。
どの段階にいるかを言うだけで、現在の状態が全員に伝わるようになります。
単価の悪化を認めるときは、引き換えに確かめる条件をつけてください。
条件をつけずに水準だけを緩めると、悪化が固定されます。
つける条件は2つです。
増えた分の質が落ちていないことと、一定期間で元の水準に戻す計画があることです。
質の確認は、増分の商談化率で行います。
件数が増えても商談にならない層が増えているだけなら、単価の悪化に見合う価値がありません。
戻す計画は、期間と手段を書きます。
期間だけ書いて手段を書かないと、期限が来たときに延長の議論が始まります。
下限側の条件も置いてください。
単価が上限の5割を大きく下回っている状態は、取り切れていない需要を放置している可能性があります。
この場合は、配信を広げる余地を先に探します。
安すぎる状態を成果として報告し続けると、機会損失が数字に出ません。
決め事は、いつ見直すのか
前期に決めた水準は、事業の前提が変われば合わなくなります。
期首に見直す場を設けてください。
見直しで確認するのは3点です。
粗利率が変わっていないか、回収期間の前提が変わっていないか、交換レートの境目が動いていないかです。
このうち1つでも動いていれば、段階ごとの水準を置き直します。
置き直した理由も同時に記録に残してください。
記録がないと、翌期に同じ議論をゼロから始めることになります。
議論をやり直すたびに、水準は前回より保守的な方向に寄ります。
決め事を書く先は、予算の稟議書と同じ文書にします。
別の文書に書くと、予算を決める場で参照されません。
通常、拡大、例外の3段階に分け、それぞれの決裁者と満たすべき条件を書き出します。下限側の条件も置かないと、機会損失が数字に出ません。
交換レートの測定は、何から始めるのか
測定の期間を確保することからです。
予算を段階的に動かす3か月を、あらかじめ計画に入れておきます。
交換レートは、平常運転のデータからは出ません。
意図的に予算を動かした期間が要ります。
この期間を計画に入れていないと、測定は毎年先送りになります。
どの月にも「今は動かせない理由」があるからです。
最初にやるのは、無駄が残っていないかの確認です。
残っていれば先に整理し、整理後の水準を測定の基準にします。
次に、追加の1件に払える上限を事業側から出してもらいます。
この数字がないと、測定して境目が分かっても、それが高いのか安いのかを判断できません。
上限を出す作業には、事業責任者と財務が関わります。
広告側で仮に置くと、測定の結果が出たあとに前提から議論し直すことになります。
交換レートの測定を始める段取り
| 順番 | やること | 判断する人 | 期間の目安 |
|---|---|---|---|
| 1 | 無駄が残っていないかを確かめる | 運用の担当 | 2週間 |
| 2 | 残っていれば先に整理する | 運用の担当 | 4週間 |
| 3 | 追加の1件に払える上限を事業側から出す | 事業責任者と財務 | 3週間 |
| 4 | 測定に使う予算の幅と期間を決める | マーケティング責任者 | 1週間 |
| 5 | 1割ずつ増やして増分の単価を記録する | 運用の担当 | 9週間 |
| 6 | 跳ねた地点を特定し、段階別の水準を決める | マーケティング責任者 | 2週間 |
この6工程は、着手から段階別の水準の決定まで5か月前後が目安になります。
期首から新しい水準で運転したい場合は、前の期の後半に着手する必要があります。
代理店に運用を委託している場合は、測定の計画を事前に共有してください。
測定の期間中は、委託先の評価指標も一時的に悪化します。
事前に共有していないと、委託先は単価を守る方向に動きます。
予算を増やしても入札や配信範囲を絞られ、測定そのものが成立しません。
共有する内容は、測定の期間、許容する悪化の幅、その期間の評価をどう扱うかの3点です。
評価の扱いを明示しないと、契約上の指標が優先されます。
交換の判断に使う数字
| 数字 | 見る頻度 | 使いどころ |
|---|---|---|
| 増分の獲得単価 | 月次 | 予算を増やすかどうか |
| 増分の商談化率 | 月次 | 増えた分が商談になっているか |
| 払える上限 | 四半期 | 事業側の前提が変わっていないか |
| 段階別の運転水準 | 毎週 | 現場が判断できる範囲内か |
| 上位配信先への集中度 | 月次 | まだ整理の余地があるか |
測定の結果を、どこに残すのか
測定の結果を文書にしないと、担当者が変わったときに同じ議論が再開します。
測った条件と数値を、期ごとの資料に残してください。
残すのは4項目です。
測定した期間、そのときの予算水準、段階ごとの増分単価、跳ねた地点です。
このうち測定した期間は、後から結果を評価し直すときに要ります。
競合の大型キャンペーンと重なっていた期間の測定は、割り引いて見る必要があるためです。
結果は、予算の稟議書に添付する形にしておくと参照されます。
別の資料として保管すると、予算を決める場に持ち込まれません。
最初の測定が終われば、翌期以降は更新だけで済みます。
前回跳ねた地点の前後を確かめるだけなら、測定にかかる期間は6週間まで短くなります。
着手点は、測定のための3か月を計画に入れることです。無駄の整理と払える上限の算出を先に終え、代理店には悪化の幅と評価の扱いまで事前に共有してください。
件数と単価のどちらを優先するかで判断に迷う場合は、無料相談で現状の配分を見てもらうところから始められます。
予算の組み立てごと見直す段階ならWeb集客改善サービスもあります。
よくある質問
獲得件数と獲得単価は必ずトレードオフになりますか
なりません。配信の重複、成果の出ない配信先、質の低い獲得を数えている状態が残っているうちは、件数を増やしながら単価も下がります。交換が始まるのは、この余地を使い切ったあとです。
交換が始まる点はどう見つけますか
予算を1割ずつ段階的に増やし、増やした分で取れた件数を記録します。増分の費用を増分の件数で割った単価が急に跳ねる地点が境目です。全体の平均CPAからは読み取れません。
追加の1件にいくらまで払えますか
その1件が生む粗利から、追加で発生する提供費用と営業費用、事業として残したい利益を引いた残りが上限です。固定費を含んだ平均の利益で計算すると、上限が低く出ます。回収に時間がかかる事業では、資金繰りのほうが先に制約になります。
交換レートはどの単位で測ればいいですか
狙う顧客層の単位です。指名で検索する層は予算を増やしても件数が伸びませんが、課題に気づいたばかりの層はまだ取り切っていません。ただし月に20件を下回る層は、母数が足りず独立した単位にしません。
件数側と単価側の対立はどう収めますか
時間軸を先に合意します。件数側は来期以降の売上を、単価側は今期の利益を見ているため、同じ資料から違う結論が出ます。拡大のための投資枠を通常予算から切り離し、その枠だけ評価期間を回収期間に合わせると、議論は数字の話に戻ります。
まとめ
- 2つが常に交換関係にあると決めつけているからです。実際には、どちらも改善できる範囲と、片方を諦める範囲が分かれています。境目を示さないまま議論すると平行線になります
- 無駄を削る余地が残っている間は、件数を増やしながら単価も下がります。配信の重複、効かない面、質の低い流入を外すと、両方が改善します
- 予算を段階的に増やし、増やした分で取れた件数を記録します。追加分の単価が跳ね上がる地点が、交換の始まりです
- その1件が生む粗利から、営業と提供にかかる費用を引いた残りが上限です。平均の利益ではなく、追加で1件増えたときに残る利益で考えます
- 媒体でも施策でもなく、狙う顧客層の単位で測ります。同じ媒体の中でも、層が変われば交換の条件が変わります
- 見ている時間の長さが違うからです。件数側は来期以降の売上を、単価側は今期の利益を見ています
- 段階ごとに許す単価と、そのときに満たすべき条件を書き出します。どの水準までなら現場が判断でき、どこから決裁が要るかを分けます
- 測定の期間を確保することからです。予算を段階的に動かす3か月を、あらかじめ計画に入れておきます