
作る時期と作る人が違うからです。
事業計画が固まってから渡されるため、マーケ側は前提を検証する時間を持てません。
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目次
目次
- 事業計画とマーケティング計画が、なぜ別々に作られるのか
- 下りてくる数字の中身
- 事業計画の数字を、どこまで分解して受け取るのか
- 既にある売上を先に引く
- 期ズレを、どう計画に織り込むのか
- 2つの期ズレがある
- 予算の額は、どちらから決まるのか
- 必要額の出し方
- 計画の月次への落とし込みは、どう作るのか
- 配分に入れる3つの要素
- 計画の前提が崩れたとき、どこで見直すのか
- 点検する前提を決めておく
- 経営に説明するときに、何を出すのか
- 出す順序
- 2つの計画をつなぐ作業の進め方
- 見る数字を決める
- よくある質問
- まとめ
作る時期と作る人が違うからです。
事業計画が固まってから渡されるため、マーケ側は前提を検証する時間を持てません。
事業計画とマーケティング計画が、なぜ別々に作られるのか
作る時期と作る人が違うからです。
事業計画が固まってから渡されるため、マーケ側は前提を検証する時間を持てません。
多くの組織で、事業計画は経営企画か事業責任者が作ります。
マーケティング計画は、その数字が下りてきてから作られます。
この順番だと、前提が正しいかどうかを確かめる機会がありません。
下りてくる数字の中身
事業計画から下りてくるのは、たいてい売上目標と予算枠の2つです。
その間をつなぐ前提は、明示されていないことがほとんどです。
何件の受注を、どの単価で、どの経路から取る計画なのかが書かれていません。
2つの計画のずれが生まれる場所
| 項目 | 事業計画での扱い | マーケティング計画での扱い | ずれの内容 |
|---|---|---|---|
| 売上 | 年間の総額 | 月次の獲得目標 | 期ズレが考慮されない |
| 単価 | 平均値 | 商材や経路ごとに違う | 平均で計算すると合わない |
| 獲得の経路 | 区別しない | 経路ごとに効率が違う | 新規と既存が混ざる |
| 期間 | 会計年度 | 施策の立ち上がり期間 | 効き始めが翌期になる |
| 予算 | 前年からの増減 | 必要額からの逆算 | 根拠が接続しない |
ずれが表面化する時期
ずれは期初には見えません。
第2四半期あたりで、計画上の数字と実績が合わなくなって表面化します。
そのときには、前提を直す時間が残っていません。
つなぐとは何を指すのか
2つの計画をつなぐとは、資料を1つにすることではありません。売上目標から獲得目標までの計算の経路を、双方が同じものとして持つことです。
事業計画の数字を、どこまで分解して受け取るのか
売上を、既存からの継続と新規獲得に分けるところまでです。
この2つが分かれていないと、マーケティングの目標が置けません。
事業計画の売上目標をそのまま受け取ると、マーケティングが負う範囲が決まりません。
まず、来期の売上のうち何が既にあるものかを分けます。
既にある売上を先に引く
継続契約、繰り返しの取引、受注済みで翌期に計上されるもの。
これらは来期の獲得活動とは関係なく立ちます。
ここを引いた残りが、新しく取りに行く必要のある額です。
売上目標の分解
| 区分 | 中身 | マーケティングの関与 |
|---|---|---|
| 継続する既存売上 | 解約しなければ立つ | 維持のみ |
| 既存顧客からの追加 | 既存への提案で増える | 関与する |
| 受注済みの翌期計上分 | すでに決まっている | 関与しない |
| 新規顧客からの売上 | 新しく獲得する | 主に負う |
| 価格改定による増加 | 単価の変更 | 関与しない |
解約率を引き忘れない
既存売上は、そのまま来期も立つわけではありません。
過去の解約率を当てはめて減らします。
これを忘れると、新規で取るべき額が実際より小さく見積もられます。
分解の結果を事業側と確認する
分解した結果、新規で取るべき額が現在の獲得規模の数倍になることがあります。そのときは、事業計画の前提自体を見直す必要があります。計画が下りてきた直後に気づけるかどうかで、その期の結果が変わります。
期ズレを、どう計画に織り込むのか
獲得から売上計上までの期間を、商材ごとに測って引きます。
リードを取った月と売上が立つ月は違います。
マーケティング計画で最も見落とされるのが、時間のずれです。
期末に獲得したリードの売上は、翌期に計上されます。
2つの期ズレがある
1つは、リード獲得から受注までの期間です。
もう1つは、受注から売上計上までの期間です。
どちらも商材によって長さが違います。
期ズレの種類と、計画への影響
| ずれの種類 | 長さの例 | 計画への影響 |
|---|---|---|
| リードから商談まで | 数日から数週間 | 期初の動きが遅れる |
| 商談から受注まで | 1か月から6か月 | 期末の獲得が翌期に回る |
| 受注から売上計上まで | 即時から1年 | 計上時期が読めない |
| 施策の立ち上がり | 1か月から6か月 | 新しい施策が効き始める時期 |
| 認知の積み上がり | 6か月以上 | 効果が翌期以降に出る |
期の後半の獲得は、翌期の売上になる
受注までの期間が3か月なら、期の最後の3か月に獲得したリードは今期の売上になりません。
つまり、今期の売上を作るための獲得活動は、実質的に期の前半に集中します。
この前提を共有していないと、期末に焦って予算を増やすことになります。
前期からの持ち越しを計算に入れる
同じ理由で、前期末に獲得したリードが今期の売上になります。
期初の売上は、前期の活動の結果です。
今期のマーケティングの成果として評価すると、判断を誤ります。
測り方を決めておく
期ズレの長さは、商材ごとに実績から測ります。測っていない場合は、まず直近1年の受注案件で、初回接触から受注までの日数を集計します。
予算の額は、どちらから決まるのか
必要額を先に出し、その後で枠と突き合わせます。
枠から始めると、計画が予算に合わせた作文になります。
予算の決め方には、枠から配分する方法と、必要額を積み上げる方法があります。
実務上は両方を出して突き合わせます。
必要額の出し方
新規で取るべき売上額を、平均単価で割って受注件数を出します。
受注件数を各段階の率で割り戻して、必要なリード数を出します。
そこに現在のリード単価を掛けると、必要な広告費が出ます。
必要額と枠を突き合わせる
| 段階 | 出すもの | 突き合わせで分かること |
|---|---|---|
| 必要額の算出 | 逆算で出た広告費 | 理論上いくら必要か |
| 枠の確認 | 事業計画上の予算枠 | いくら使えるか |
| 差分の確認 | 必要額と枠の差 | どれだけ足りないか |
| 差分の埋め方 | 率の改善か目標の修正か | どちらを動かすか |
| 合意 | 修正後の目標と予算 | 期初に固定する |
差分が出たときの選択肢
必要額が枠を超えた場合、選べるのは3つです。
予算を増やす、途中の率を改善する、目標を下げる。
このどれかを期初に決めないと、期中に未達の説明を繰り返すことになります。
率の改善を前提に置く危うさ
CVRを改善して補う、という計画は通りやすいものです。
ただし、改善の根拠がなければ願望と同じです。
改善を前提に置く場合は、何をどう変えるかと、いつまでに検証するかを計画に書きます。
市場の環境を前提に入れる
Comexposium Japanが2025年12月に実施した調査では、2026年の予算を増やすと答えた企業が38.5%で前年比6.2ポイント増、横ばいが50.5%でした。同時期にMacbee Planetが実施した調査では、削減対象としてBtoCではイベントと展示会が42.9%、CRMとリテンションが40.7%挙がっています。競合も予算配分を動かしているという前提で、必要額を考える必要があります。
計画の月次への落とし込みは、どう作るのか
年間の目標を12で割らず、期ズレと季節性を入れて配分します。
均等割りにすると、毎月未達の計画になります。
年間の獲得目標を12等分した計画は、作るのは簡単ですが機能しません。
需要には季節性があり、施策には立ち上がりの期間があります。
配分に入れる3つの要素
季節性、施策の立ち上がり、期ズレ。
この3つを入れて配分します。
月次への配分で考慮する要素を、項目ごとに見ていきます。
需要の季節性については、影響の出方は月によって需要が2倍以上違う、配分での扱いは過去3年の月別実績で按分。
施策の立ち上がりについては、影響の出方は新規施策は数か月効かない、配分での扱いは立ち上げ月は低く置く。
期ズレについては、影響の出方は期末の獲得は翌期の売上、配分での扱いは期の後半の目標を調整。
予算の消化については、影響の出方は均等に使うとは限らない、配分での扱いは需要期に寄せる。
体制の変化については、影響の出方は増員や外注の開始時期、配分での扱いは体制が整う月から上げる。
季節性は過去3年で見る
1年分だけだと、その年固有の事情が混ざります。
3年分の月別の実績を並べ、平均的な形を作ります。
そのうえで、来期に予定されている変化を加えます。
予算も同じ形で配分する
目標だけ季節性を入れて、予算を均等に配ると、需要期に足りなくなります。
目標の配分と予算の配分を同じ考え方で作ります。
月次の未達を、どう扱うかを先に決める
需要期の未達と閑散期の未達では、意味が違います。どの月の未達なら計画の見直しに入るかを、期初に決めておきます。
計画の前提が崩れたとき、どこで見直すのか
四半期ごとに、前提の数値だけを点検します。
目標を動かすのではなく、前提が生きているかを確かめます。
計画は前提の上に立っています。
前提が変われば計画も変わりますが、毎月見直すと計画の意味がなくなります。
点検する前提を決めておく
四半期に点検する前提を、項目ごとに見ていきます。
平均受注単価については、点検の方法は直近の実績の平均、崩れたときの影響は必要な受注件数が変わる。
商談化率と受注率については、点検の方法は直近3か月の実績、崩れたときの影響は必要なリード数が変わる。
リード単価については、点検の方法は直近3か月の実績、崩れたときの影響は必要な予算が変わる。
解約率については、点検の方法は直近の実績、崩れたときの影響は新規で取るべき額が変わる。
期ズレの長さについては、点検の方法は直近の受注案件の日数、崩れたときの影響は月次配分が変わる。
市場の需要については、点検の方法は検索需要や業界の指標、崩れたときの影響は全体の前提が変わる。
目標と前提を分けて扱う
目標は期中に動かしません。
前提は点検して更新します。
前提が大きくずれた場合に、目標の見直しを提起するという順序にします。
見直しの提起は、誰がするのか
前提の点検はマーケティング部門が行い、目標の見直しは事業責任者に提起します。
提起の基準を期初に決めておくと、判断が個人の裁量になりません。
たとえば、前提のいずれかが計画値から20%以上ずれた場合、という形です。
見直した記録を残す
何を、いつ、なぜ見直したかを残します。記録がないと、翌期の計画で同じ前提を使ってしまいます。
経営に説明するときに、何を出すのか
売上目標から獲得目標までの計算の経路と、その前提が崩れた場合の影響です。
達成の前提だけを示すと、未達のときに説明がつきません。
マーケティング計画の説明が通らないのは、内容ではなく構成の問題であることが多いです。
施策の一覧を先に出すと、その施策が必要かどうかの議論になります。
出す順序
売上目標、分解した内訳、必要な獲得数、必要な予算、前提と感度。
この順で出すと、施策の議論に入る前に必要額の合意が取れます。
経営向けの資料に載せる内容を、項目ごとに見ていきます。
売上目標の分解については、中身は既存と新規の内訳、なぜ必要かはマーケが負う範囲を示す。
獲得目標については、中身は必要なリードと商談の数、なぜ必要かは活動量の根拠。
必要な予算については、中身は逆算した額と枠との差、なぜ必要かは増額の議論の土台。
前提の一覧については、中身は使った率と単価、なぜ必要かは後で点検できるようにする。
感度については、中身は前提がずれた場合の影響、なぜ必要かは未達の可能性を先に示す。
四半期の点検項目については、中身は何をいつ確認するか、なぜ必要かは途中の議論の枠を作る。
感度を示す意味
受注率が5ポイント下がると、必要なリード数がどれだけ増えるか。
これを先に示しておくと、期中に未達が出たときの議論が短くなります。
どの前提が崩れたかを確認する話になるからです。
役職によって知りたいことが違う
Testifyが2026年5月に実施した調査では、代理店への不満の内容が役職で分かれていました。経営層は費用が成果に見合わないが56.3%、マーケ責任者は成果不振の説明不足が53.1%です。社内の説明でも同じ構造が起きます。経営層には費用と成果の関係を、責任者には前提が崩れた場合の説明の枠組みを用意します。
2つの計画をつなぐ作業の進め方
事業計画が固まる前に、前提の確認に入ります。
固まってから受け取ると、直す余地がありません。
つなぐための作業の多くは、事業計画が確定する前に行うものです。
確定後に始めると、翌期も同じずれが起きます。
期初までの作業の並びを、項目ごとに見ていきます。
1については、やることは直近1年の単価と各段階の率を集計する、時期の目安は期末の3か月前、相手はマーケ。
2については、やることは初回接触から受注までの日数を測る、時期の目安は期末の3か月前、相手はマーケと営業。
3については、やることは来期の既存売上を解約率を引いて見積もる、時期の目安は期末の2か月前、相手は営業と経理。
4については、やることは新規で取るべき額から必要予算を逆算する、時期の目安は期末の2か月前、相手はマーケ。
5については、やることは必要額と予算枠の差を事業責任者と詰める、時期の目安は期末の1か月前、相手は事業責任者。
6については、やることは季節性と期ズレを入れて月次に配分する、時期の目安は期末の1か月前、相手はマーケ。
7については、やることは前提と感度を1枚にまとめて経営に出す、時期の目安は期初、相手は決裁者。
見る数字を決める
数字は説明のための仮の値です。
たとえば来期の売上目標が20億円、既存からの継続が12億円、解約率10%を引くと10.8億円になります。
新規で取るべき額は9.2億円で、平均単価500万円なら184件の受注が必要です。
受注率25%なら商談736件、商談化率20%ならリード3,680件という計算になります。
期を通して確認する項目を、項目ごとに見ていきます。
各段階の率については、確認の頻度は四半期、使い方は前提が生きているか。
平均受注単価については、確認の頻度は四半期、使い方は必要件数が変わっていないか。
期ズレの日数については、確認の頻度は四半期、使い方は月次配分の修正が要るか。
リード単価については、確認の頻度は月次、使い方は必要予算のずれ。
月次目標に対する進捗については、確認の頻度は月次、使い方は需要期か閑散期かを見て判断。
解約率については、確認の頻度は四半期、使い方は新規で取るべき額の修正。
計画書は2種類作らない
事業側とマーケ側で別々の資料を持つと、数字が食い違います。
前提の部分は同じ1枚を共有し、それぞれの資料から参照する形にします。
期末に、前提と実績の差を残す
期が終わったら、期初の前提と実績の差を一覧にします。
この一覧が、翌期の計画の精度を上げる材料になります。
事業計画の数字をマーケティングの目標にどう翻訳するか迷う場合は、無料相談で前提の整理から始められます。計画の作り方ごと見直す段階ならWeb集客改善サービスもあります。
よくある質問
事業計画の売上目標が下りてきたら、まず何をすればいいですか
売上を既存の継続分と新規獲得分に分けてください。継続分には過去の解約率を当てはめて減らします。ここを引いた残りが、新しく取りに行く必要のある額です。
年間目標を12で割って月次計画にしてはいけませんか
均等割りにすると毎月未達の計画になります。過去3年の月別実績から季節性を出し、施策の立ち上がり期間と期ズレを入れて配分してください。予算も同じ考え方で配分します。
期末に獲得したリードが今期の売上にならないのですが
受注までの期間が3か月なら、期の最後の3か月の獲得は翌期の売上です。今期の売上を作る活動は実質的に期の前半に集中します。この前提を期初に共有しておいてください。
必要な予算が枠を超えてしまいます
予算を増やす、途中の率を改善する、目標を下げるの3つから期初に選んでください。率の改善を前提に置く場合は、何をどう変えるかと、いつまでに検証するかを計画に書いてください。
計画は期中に見直してよいですか
目標は動かさず、前提の数値だけを四半期ごとに点検してください。前提が計画値から大きくずれた場合に、目標の見直しを事業責任者に提起する順序にすると、判断が個人の裁量になりません。
まとめ
- 作る時期と作る人が違うからです。事業計画が固まってから渡されるため、マーケ側は前提を検証する時間を持てません
- 売上を、既存からの継続と新規獲得に分けるところまでです。この2つが分かれていないと、マーケティングの目標が置けません
- 獲得から売上計上までの期間を、商材ごとに測って引きます。リードを取った月と売上が立つ月は違います
- 必要額を先に出し、その後で枠と突き合わせます。枠から始めると、計画が予算に合わせた作文になります
- 年間の目標を12で割らず、期ズレと季節性を入れて配分します。均等割りにすると、毎月未達の計画になります
- 四半期ごとに、前提の数値だけを点検します。目標を動かすのではなく、前提が生きているかを確かめます
- 売上目標から獲得目標までの計算の経路と、その前提が崩れた場合の影響です。達成の前提だけを示すと、未達のときに説明がつきません
- 事業計画が固まる前に、前提の確認に入ります。固まってから受け取ると、直す余地がありません