
同じことを続けているだけで数字が落ちます。
悪化の原因が自社にあるのか市場にあるのかを分けないと、打ち手を間違えます。
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目次
目次
- 市場が縮んでいるとき、何が普段と違うのか
- 落ちているのは自社か、市場全体か
- 縮小市場で取れる方向は、いくつあるのか
- 3つの方向
- 残った需要でシェアを取るには、どこを狙うのか
- 動く需要には、時期がある
- 隣接する市場に出る判断は、何で決まるのか
- 転用できるものを数える
- 回収に切り替える場合、広告はどう扱うのか
- 残す部分と止める部分を分ける
- 縮小市場での目標設定は、どう変えるのか
- 相対で置く
- 縮小市場でやってしまいがちな判断
- 2つの極端
- 方向を決めるまでの進め方
- 見る数字を決める
- よくある質問
- まとめ
同じことを続けているだけで数字が落ちます。
悪化の原因が自社にあるのか市場にあるのかを分けないと、打ち手を間違えます。
市場が縮んでいるとき、何が普段と違うのか
同じことを続けているだけで数字が落ちます。
悪化の原因が自社にあるのか市場にあるのかを分けないと、打ち手を間違えます。
市場が縮小している業界では、前年割れが失敗を意味しません。
市場が10%縮むなかで5%の減少に留まれば、シェアは伸びています。
この区別ができていない組織では、打つ必要のない対策に予算が使われます。
落ちているのは自社か、市場全体か
まず分けるべきはここです。
市場全体が落ちているなら、獲得の効率を上げても落ち方は変わりません。
自社だけが落ちているなら、競合に取られています。
市場とシェアの動きの読み分け
| 市場の動き | 自社の動き | 起きていること | 取るべき方向 |
|---|---|---|---|
| 縮小 | 市場より緩やかな減少 | シェアは上がっている | 現状の投資を維持 |
| 縮小 | 市場と同じ減少 | シェアは横ばい | シェア奪取か市場の移動 |
| 縮小 | 市場より速い減少 | シェアを失っている | 競合対策が先 |
| 縮小 | 増加 | シェアを大きく取っている | 投資を増やす余地がある |
| 横ばい | 減少 | 自社の問題 | 市場のせいにしない |
市場の動きは、どこで確かめるのか
業界の出荷統計や、業界団体が出す需要の推移が基本です。
それがない業界では、検索の需要の推移が代わりになります。
主要なキーワードの検索需要を3年分並べると、市場の方向はおおむね見えます。
媒体の構成が変わっていることも影響する
電通が2026年3月5日に発表した2025年の日本の広告費では、マスコミ四媒体が2兆2,980億円で前年比98.4%、インターネット広告費が4兆459億円で前年比110.8%でした。同じ市場に出している競合が、接点の置き場所を変えていることがあります。自社だけが従来の接点に留まっていれば、市場の縮小より速く落ちます。
縮小市場で取れる方向は、いくつあるのか
残った需要でシェアを取る、隣接する市場に出る、投資を抑えて回収する。
この3つで、混ぜると中途半端になります。
縮小市場での選択は、どれが正しいかではなく、自社がどれを選ぶかの問題です。
選ばないまま全部を少しずつやるのが、最も損をします。
3つの方向
縮小市場での3つの方向
| 方向 | 中身 | 向いている条件 | 必要なもの |
|---|---|---|---|
| シェアを取る | 競合の客を取りにいく | 上位で体力がある | 継続的な投資 |
| 隣接に出る | 近い市場に商材を広げる | 技術や販路が転用できる | 立ち上げの期間と費用 |
| 回収する | 投資を抑えて利益を取る | 撤退や承継を見込む | 落ち方の管理 |
混ぜると何が起きるか
シェアを取りに行きながら予算を絞ると、競合に負けます。
隣接に出ながら既存も守ると、どちらにも人が足りません。
回収しながら新しい投資をすると、判断の基準が2つになり社内が混乱します。
選ぶ主体は、マーケ部門ではない
この選択は事業の選択です。
マーケティング部門が単独で決められるものではありません。
だからこそ、3つの方向を整理して経営に選ばせる形にします。
決めた方向は、期の途中で変えない
方向を期中に変えると、投資の途中で予算が消えます。隣接市場の立ち上げは特に途中で止まりやすくなります。少なくとも1年は変えないことを、決める時点で合意します。
残った需要でシェアを取るには、どこを狙うのか
撤退した競合の顧客と、更新の時期が来る顧客です。
新しい需要を作るより、移動する需要を受け止めるほうが確実です。
縮小市場では、競合も苦しくなります。
撤退や縮小をする事業者が出ると、その顧客が動きます。
この移動を受け止められるかどうかで、シェアの差がつきます。
動く需要には、時期がある
契約の更新、設備の更新、担当者の交代。
需要が動く時期は決まっていることが多いです。
その時期に接点を持てているかが問われます。
需要が動く場面と、備え方
| 動く場面 | 起きること | 備えておくこと |
|---|---|---|
| 競合の撤退や縮小 | 顧客が乗り換え先を探す | 比較で選ばれる情報を出しておく |
| 契約や設備の更新期 | 既存の取引先を見直す | 更新時期の一覧を持つ |
| 担当者の交代 | 取引の見直しが入る | 複数の窓口と接点を持つ |
| 値上げの通知 | 他社の見積を取りにいく | 価格以外の差を説明できる |
| 法令や規格の変更 | 対応可否で選び直す | 掲載時点の最新の公式ガイドラインで確認する |
指名で選ばれる状態を保つ
縮小市場では、新規に市場を教える広告の効率が落ちます。
需要が動いたときに最初に思い出される状態のほうが効きます。
指名検索の件数を維持できているかを、四半期ごとに見ます。
価格で取りにいくと、市場ごと沈む
縮小市場で価格競争を始めると、残った需要の単価が下がります。自社も競合も利益を失い、市場そのものが投資に値しなくなります。取りにいく手段として、価格は最後に置きます。
隣接する市場に出る判断は、何で決まるのか
既存の資産がどれだけ転用できるかです。
商材も販路も顧客も変わるなら、隣接ではなく新規事業になります。
隣接市場への展開は、縮小市場からの現実的な出口です。
ただし、隣接と呼べる範囲を広く取りすぎると、成功率が落ちます。
転用できるものを数える
隣接の近さの判定
| 転用できるもの | 隣接度 | 立ち上げの難易度 |
|---|---|---|
| 顧客はそのまま、商材が変わる | 近い | 低い |
| 商材はそのまま、顧客が変わる | 近い | 低い |
| 技術は共通、顧客も商材も変わる | やや遠い | 中 |
| 販路だけが共通 | 遠い | 高い |
| 何も共通しない | 隣接ではない | 新規事業として扱う |
顧客が同じ場合の利点
既存顧客に別の商材を出す形が、最も近い隣接です。
関係があり、説明のコストが低く、反応が早く返ります。
縮小市場のなかで、売上の単価を上げる道にもなります。
商材が同じ場合の注意
同じ商材を別の業種に出すとき、訴求はそのまま使えません。
業種が変われば、課題の言葉も検討の流れも変わります。
商材が同じだから簡単だと考えると、立ち上げの費用を見誤ります。
出る先の市場が伸びているかを確かめる
縮小市場から出た先が、また縮小市場であることがあります。出る前に、その市場の需要の方向を3年分見ます。縮小から縮小への移動では、同じ問題を繰り返します。
回収に切り替える場合、広告はどう扱うのか
止めるのではなく、効率の高い部分だけ残します。
全部止めると、残っていた需要も他社に流れます。
回収の方向を選んだ場合でも、広告をゼロにする判断は早すぎることが多いです。
利益を取りにいくのであれば、利益が出ている部分は残します。
残す部分と止める部分を分ける
回収期に、残すものと止めるものを、項目ごとに見ていきます。
指名検索への出稿については、扱いは残す、理由は止めると他社に取られる。
既存顧客への案内については、扱いは残す、理由は費用が小さく確実に返る。
需要が明確な検索への出稿については、扱いは残す、理由は採算が合っている。
認知を広げる出稿については、扱いは止める、理由は回収が期間内に間に合わない。
新しい客層の開拓については、扱いは止める、理由は立ち上げの期間がない。
新媒体の試験については、扱いは止める、理由は学習の期間がない。
落ち方を管理する
回収は、放置ではありません。
売上がどの速さで落ちるかを予測し、その通りに落ちているかを見ます。
予想より速く落ちる場合は、残した部分にも問題があります。
社内への説明を先に用意する
回収に切り替えると、数字は落ちます。
落ちること自体が計画通りであることを、期初に共有しておきます。
共有していないと、毎月の会議で対策を求められます。
回収の期限を決める
いつまで回収するかを決めていないと、判断が先送りになります。回収の終わりには、撤退か、隣接への移行か、譲渡かの選択があります。その選択をいつ行うかを、切り替えの時点で決めます。
縮小市場での目標設定は、どう変えるのか
前年比ではなく、市場に対する相対で置きます。
前年比で目標を置くと、達成不可能な数字か、意味のない数字のどちらかになります。
市場が縮んでいる前提での目標は、成長市場と同じ形では置けません。
前年比110%という目標は、市場が10%縮むなかでは実質的に120%の難易度になります。
相対で置く
自社の減少率が市場の減少率より小さいこと。
これを目標にすると、市場の動きに関係なく評価ができます。
縮小市場での目標の置き方を、項目ごとに見ていきます。
市場に対する相対のシェアについては、良い点は市場の変動に影響されない、必要になるものは市場規模の推定。
前年比の減少率の上限については、良い点は分かりやすい、必要になるものは市場の減少率の把握。
利益額については、良い点は回収の方向と整合する、必要になるものはコストの正確な配賦。
新しい市場からの売上比率については、良い点は移行の進捗が見える、必要になるものは隣接市場の定義。
既存顧客の維持率については、良い点は守りの成果が見える、必要になるものは顧客単位の集計。
市場規模が推定できない場合
正確な市場規模が分からない業界も多くあります。
その場合は、主要競合の公開情報や、業界の求人の増減など、代わりになる指標を複数置きます。
1つの指標で市場を語らないようにします。
評価の対象を変える
縮小市場では、担当者の評価を売上の増減だけで行うと、誰も引き受け手がいなくなります。シェア、維持率、利益率といった指標を評価に入れます。
縮小市場でやってしまいがちな判断
市場のせいにして分析を止めることと、逆に全部を自社のせいにして無理な目標を置くこと。
この両方が起きます。
市場の縮小は、便利な説明になります。
説明として使いすぎると、自社の問題が見えなくなります。
2つの極端
縮小市場での判断の誤りを、項目ごとに見ていきます。
すべて市場のせいにするについては、起きることはシェア低下に気づかない、防ぎ方は市場とシェアを分けて見る。
すべて自社のせいにするについては、起きることは達成不可能な目標を置く、防ぎ方は市場の減少率を先に確かめる。
方向を選ばず全部やるについては、起きることは人と予算が分散する、防ぎ方は3つの方向から1つ選ぶ。
価格で取りにいくについては、起きることは市場全体の単価が下がる、防ぎ方は価格は最後の手段に置く。
回収と投資を同時にやるについては、起きることは判断の基準が2つになる、防ぎ方は期を区切って片方にする。
市場のせいにできる期間を決めておく
市場の縮小を理由に使えるのは、市場とシェアを分けて示せるときだけです。
示せないまま市場のせいにする説明が2期続いたら、それは分析をしていない状態です。
競合の動きを定点で見る
縮小市場では、競合の撤退と値下げが大きな変化を作ります。競合の出稿状況、価格、人員の動きを四半期ごとに記録します。記録がないと、変化が起きてから半年後に気づきます。
方向を決めるまでの進め方
市場の減少率を確かめ、自社のシェアの動きを出し、3つの方向から1つ選びます。
この順番を飛ばすと、選択が印象で決まります。
縮小市場での意思決定は、材料を揃える作業が大半です。
材料がないまま議論すると、声の大きい意見が通ります。
方向を決めるまでの手順を、項目ごとに見ていきます。
1については、やることは市場の需要の推移を3年分並べる、期間の目安は2週間、必要な人はマーケ。
2については、やることは自社の売上を同じ期間で並べシェアの動きを出す、期間の目安は1週間、必要な人はマーケと経理。
3については、やることは競合の動きを記録として残す、期間の目安は2週間、必要な人はマーケ。
4については、やることは隣接市場の候補と転用できる資産を書き出す、期間の目安は2週間、必要な人は事業責任者。
5については、やることは3つの方向を1枚にまとめて経営に出す、期間の目安は1週間、必要な人は事業責任者。
6については、やることは1つ選び、1年は変えないことを合意する、期間の目安は1週間、必要な人は決裁者。
見る数字を決める
数字は説明のための仮の値です。
たとえば市場が前年比92%、自社が前年比95%なら、シェアは伸びています。
このとき前年比で未達を責めると、正しい打ち手をしている担当者が評価されません。
縮小市場で継続して追う指標を、項目ごとに見ていきます。
市場の需要の推移については、見る頻度は四半期、使い方は方向の前提が変わっていないか。
自社のシェアの推定については、見る頻度は四半期、使い方は相対で勝てているか。
指名検索の件数については、見る頻度は四半期、使い方は想起が保てているか。
既存顧客の維持率については、見る頻度は月次、使い方は守りが効いているか。
平均単価については、見る頻度は月次、使い方は価格競争に入っていないか。
隣接市場からの売上比率については、見る頻度は四半期、使い方は移行が進んでいるか。
経営に出す1枚の中身
現状の市場とシェアの動き、3つの方向とそれぞれに必要な投資、選ばなかった場合に起きること。
この3点があれば、経営は選べます。
マーケティング部門の推奨案も添えますが、決めるのは事業側です。
選んだ後は、評価の物差しを作り直す
方向を選んだら、目標の形も評価の指標も作り直します。
前の期と同じ指標で評価すると、選んだ方向が実行されません。
市場が縮んでいるのか自社が落ちているのか判断がつかない場合は、無料相談で現状の数字を整理するところから始められます。事業の方向ごと見直す段階ならWeb集客改善サービスもあります。
よくある質問
市場が縮んでいるかどうかは、どう確かめればいいですか
業界の出荷統計や需要の推移が基本です。それがない業界では、主要キーワードの検索需要を3年分並べると方向がおおむね見えます。1つの指標だけで市場を語らないようにしてください。
前年割れが続いていますが、対策を打つべきですか
市場の減少率と自社の減少率を並べてください。市場が10%縮むなかで5%の減少ならシェアは伸びています。この区別をしないと、打つ必要のない対策に予算を使うことになります。
縮小市場では値下げして取りにいくべきですか
価格は最後の手段に置いてください。縮小市場で価格競争が始まると残った需要の単価が下がり、自社も競合も利益を失います。まずは需要が動く時期に接点を持てているかを確かめてください。
隣接市場に出るかどうかは、何で判断すればいいですか
既存の資産がどれだけ転用できるかです。顧客が同じで商材が変わる、あるいは商材が同じで顧客が変わる形が最も近い隣接です。何も共通しないなら、新規事業として別の物差しで扱ってください。
縮小市場での目標は、どう置けばいいですか
前年比ではなく市場に対する相対で置いてください。自社の減少率が市場の減少率より小さいことを目標にすると、市場の変動に左右されずに評価できます。
まとめ
- 同じことを続けているだけで数字が落ちます。悪化の原因が自社にあるのか市場にあるのかを分けないと、打ち手を間違えます
- 残った需要でシェアを取る、隣接する市場に出る、投資を抑えて回収する。この3つで、混ぜると中途半端になります
- 撤退した競合の顧客と、更新の時期が来る顧客です。新しい需要を作るより、移動する需要を受け止めるほうが確実です
- 既存の資産がどれだけ転用できるかです。商材も販路も顧客も変わるなら、隣接ではなく新規事業になります
- 止めるのではなく、効率の高い部分だけ残します。全部止めると、残っていた需要も他社に流れます
- 前年比ではなく、市場に対する相対で置きます。前年比で目標を置くと、達成不可能な数字か、意味のない数字のどちらかになります
- 市場のせいにして分析を止めることと、逆に全部を自社のせいにして無理な目標を置くこと。この両方が起きます
- 市場の減少率を確かめ、自社のシェアの動きを出し、3つの方向から1つ選びます。この順番を飛ばすと、選択が印象で決まります