
解約は性質の違うものの合計だからです。
時期、理由、顧客層の3つで分けない限り、どこに手を入れるかが決まりません。
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目次
目次
- 解約率を一つの数字で見ていると、なぜ打ち手が決まらないのか
- 合計の数字は、改善の対象にならない
- いつ解約が起きているのかを、時期で分ける
- 経過月数ごとに並べる
- 解約の理由を、対処できるものとできないものに分ける
- 理由を、3つに仕分ける
- 打ち手の優先順位は、どう決めるのか
- 金額に換算する
- 解約は、獲得の段階でどこまで防げるのか
- 獲得のメッセージと提供内容を突き合わせる
- 解約の予兆は、どの数字に出るのか
- 事業の型によって、予兆の出方が違う
- 打ち手の効果は、どう確かめるのか
- 対象を分けて実施する
- 実行に入る前に決めること
- 見る数字を決める
- よくある質問
- まとめ
解約は性質の違うものの合計だからです。
時期、理由、顧客層の3つで分けない限り、どこに手を入れるかが決まりません。
解約率を一つの数字で見ていると、なぜ打ち手が決まらないのか
解約は性質の違うものの合計だからです。
時期、理由、顧客層の3つで分けない限り、どこに手を入れるかが決まりません。
年間の解約率が15%という数字からは、何をすべきかが出てきません。
その15%の中に、契約直後に離れた顧客と、数年続いた末に離れた顧客が混ざっています。
両者は原因も打ち手も違います。
合計の数字は、改善の対象にならない
解約率を下げるという目標を置いても、施策の候補は無数に出ます。
どれから手をつけるかを決めるには、分けた数字が要ります。
解約の分け方
| 分け方 | 何が見えるか | 打ち手への影響 |
|---|---|---|
| 時期別 | いつ離れているか | 初期か後期かで対処が変わる |
| 理由別 | 対処できるかどうか | 手を入れる余地の有無 |
| 顧客層別 | どの層が離れているか | 獲得の条件を変えるか |
| 金額別 | 失っている金額 | 優先順位の根拠 |
件数ではなく、金額でも見る
件数で見ると小口の解約が目立ち、金額で見ると大口の解約が目立ちます。
どちらか一方だけでは、優先順位を誤ります。
分けるのは、3つまでにする
軸を増やすほど各区分の母数が減り、判断できなくなります。時期、理由、金額の3つで足ります。
いつ解約が起きているのかを、時期で分ける
契約からの経過期間ごとに解約率を並べます。
初期に集中しているのか、更新の時期に集中しているのかで、手を入れる先が変わります。
解約は期間を通じて均等には起きません。
偏りのある場所に、原因があります。
経過月数ごとに並べる
契約から3か月、6か月、12か月、24か月といった区切りで、どれだけ残っているかを並べます。
落ち込みが大きい区切りが、対処すべき時期です。
時期別の解約と、原因の候補
| 時期 | 落ちている場合の原因の候補 | 手を入れる先 |
|---|---|---|
| 契約から3か月以内 | 立ち上げが完了していない | 導入の支援 |
| 3か月から12か月 | 想定した成果が出ていない | 期待値と運用の支援 |
| 更新の時期 | 価値が伝わっていない | 更新前の関与 |
| 2年目以降 | 担当者の交代や方針変更 | 関係の複層化 |
初期の解約は、獲得に原因がある場合が多い
契約直後に離れる場合、提供内容と販売時の説明にずれがあることが多くあります。
支援を厚くしても解決しません。
更新の時期の解約は、直前では防げない
更新の1か月前に動いても、判断はすでに固まっています。更新の数か月前からの関与が要ります。
解約の理由を、対処できるものとできないものに分ける
事業の縮小や方針変更による解約には、手が打てません。
対処できる理由がどれだけを占めるかで、投資できる金額が決まります。
解約の理由をすべて減らそうとすると、効かない施策に資源を使います。
先に仕分けます。
理由を、3つに仕分ける
自社の提供に起因するもの、顧客の事情によるもの、競合に移ったもの。
この3つに分けます。
解約理由の分類
| 分類 | 例 | 対処の余地 |
|---|---|---|
| 自社の提供に起因 | 成果が出ない、対応の質 | 大きい |
| 顧客の事情 | 事業縮小、担当者の交代、予算削減 | 小さい |
| 競合への移行 | 価格、機能、提案 | 中程度 |
| 不明 | 理由が記録されていない | まず記録する |
不明が多い場合は、記録から始める
解約理由の半分が不明という状態は珍しくありません。
この状態では、どの施策が効くかを判断できません。
理由は、解約の手続きの中で取る
後から聞き取ろうとしても回答が得られません。
解約の手続きの過程で、選択式と自由記述の両方を取ります。
顧客の事情でも、記録は残す
対処できない理由でも、特定の業種や規模に偏っていれば、獲得の条件を見直す材料になります。
打ち手の優先順位は、どう決めるのか
失っている金額と、実行までの速さの2軸で並べます。
解約率の高さだけで選ぶと、金額の小さい領域に資源を使います。
打ち手の候補が出揃ったら、順位をつけます。
ここで金額を使わないと、目についた問題から手をつけることになります。
金額に換算する
その区分の解約を何割減らせると、年間いくらの粗利が残るか。
この金額が、打ち手の上限予算にもなります。
調整の流れ
| 打ち手の候補 | 失っている粗利 | 実行までの期間 | 順位の考え方 |
|---|---|---|---|
| 導入支援の強化 | 大 | 3か月 | 先に着手 |
| 更新前の関与の設計 | 中 | 1か月 | 早く着手 |
| 価格の見直し | 大 | 6か月以上 | 時間がかかる |
| 獲得条件の変更 | 中 | 次の期から | 期首に反映 |
| 対応の質の改善 | 小 | 継続 | 並行して進める |
数字は説明のための仮の値です。
速く効くものを、先に1つ入れる
期間のかかる打ち手だけを選ぶと、当期に何も変わりません。
1か月で始められるものを1つ混ぜます。
同時に進めるのは、2つまで
打ち手を3つ以上同時に入れると、どれが効いたか判別できません。
効果の検証まで含めて計画します。
上位顧客の解約は、別枠で扱う
金額の大きい顧客の解約は、率ではなく個別の事案として扱います。一般的な施策では防げません。
解約は、獲得の段階でどこまで防げるのか
初期の解約の多くは、獲得の条件と期待値の設定で決まっています。
入口を変えるほうが、後から支援するより効きます。
解約対策は、契約後の取り組みとして設計されがちです。
入口の側に原因があると、後工程でいくら支援しても戻りません。
獲得のメッセージと提供内容を突き合わせる
販売時の資料と、実際の提供範囲を並べます。
ずれている箇所が、初期の解約の理由になります。
入口で解約を減らす方法を、項目ごとに見ていきます。
期待値を揃えるについては、やることは提供範囲と制約を事前に明示する、効き方は初期の解約が減る。
対象を絞るについては、やることは合わない条件の顧客を獲得しない、効き方は件数は減る。
獲得条件を見直すについては、やることは過度な割引での獲得をやめる、効き方は条件終了時の離脱が減る。
初期の手順を定めるについては、やることは開始までの流れを標準化する、効き方は立ち上げの失敗が減る。
件数が減ることを、先に合意する
入口を絞れば、獲得件数は減ります。
件数の目標をそのままにして入口を絞ると、現場が従いません。
合わない顧客を、事前に見分ける
過去に解約した顧客の属性を集計すると、傾向が出ます。その条件に合う見込み客には、提案の時点で確認する項目を増やします。
解約の予兆は、どの数字に出るのか
取引や利用の頻度、接触の減少、問い合わせの内容の変化に出ます。
解約の意思表示より数か月早く動く指標を持ちます。
解約の連絡を受けてから動いても、判断は覆りません。
前に気づく仕組みが要ります。
事業の型によって、予兆の出方が違う
継続利用がある事業では利用の頻度に出ます。
取引が断続的な事業では、前回からの経過期間に出ます。
予兆として見る指標を、項目ごとに見ていきます。
利用や取引の頻度については、見る内容は前期比での減少、どれくらい前に出るかは3か月から6か月前。
接触の回数については、見る内容はこちらからの接触への反応、どれくらい前に出るかは3か月前。
問い合わせの内容については、見る内容は不満や確認の増加、どれくらい前に出るかは1か月から3か月前。
担当者の交代については、見る内容は窓口の変更、どれくらい前に出るかは変更直後から。
支払いの状況については、見る内容は遅延や条件の変更、どれくらい前に出るかは数か月前。
予兆が出たときの動きを決めておく
指標だけ作っても、誰が何をするかが決まっていなければ機能しません。
閾値と、その後の対応を先に決めます。
予兆の精度は、高くなくてよい
外れることを前提にします。拾いすぎて対応が回らない場合は、金額の大きい顧客から対象にします。
打ち手の効果は、どう確かめるのか
実施した群と実施していない群で解約率を比べます。
全体の解約率の推移だけでは、季節要因と区別がつきません。
解約率は、顧客構成の変化でも動きます。
打ち手が効いたのかどうかは、比較しないと分かりません。
対象を分けて実施する
同じ時期に契約した顧客を2つに分け、片方にだけ施策を実施します。
規模が小さい場合は、時期をずらして比較します。
効果の確かめ方を、項目ごとに見ていきます。
群を分けるについては、条件は対象数が十分にある、分かることは施策の純粋な効果。
時期をずらすについては、条件は季節要因が小さい、分かることはおおまかな差。
契約時期ごとの残存を比べるについては、条件は数か月の経過が要る、分かることは初期施策の効果。
解約理由の構成の変化については、条件は理由が記録されている、分かることは狙った理由が減ったか。
見る期間を、先に決める
初期の解約に効く施策なら3か月、更新に効く施策なら1年です。
期間を決めずに始めると、効いていない施策が続きます。
効かなかった施策を、やめる
解約対策は、やめる判断がしにくい領域です。開始時に、いつ判定してどうなればやめるかを決めておきます。
実行に入る前に決めること
解約を時期と理由で分けて、金額に換算することからです。
分けた数字がないまま施策を始めると、効かない領域に資源を使います。
最初の1か月は、施策ではなく集計の作業になります。
調整の組み立てを、項目ごとに見ていきます。
1については、やることは契約からの経過期間別に残存を並べる、期間の目安は2週間。
2については、やることは解約理由を仕分けて構成を出す、期間の目安は2週間。
3については、やることは区分ごとに失っている粗利を出す、期間の目安は1週間。
4については、やることは金額と実行の速さで打ち手を並べる、期間の目安は1週間。
5については、やることは上位2つに絞って開始する、期間の目安は1週間。
6については、やることは比較の方法と判定の時期を決める、期間の目安は1週間。
見る数字を決める
数字は説明のための仮の値です。
年間解約率15%のうち、契約から6か月以内が9ポイント、更新時が4ポイント、それ以外が2ポイントなら、手を入れるのは初期です。
初期の解約を3分の1減らせれば、解約率は12%になります。
手応えを測る項目を、項目ごとに見ていきます。
経過期間別の残存率については、周期は月次、使い道はどの時期に落ちているか。
解約理由の構成については、周期は四半期、使い道は対処できる比率。
区分別の失った粗利については、周期は四半期、使い道は優先順位の根拠。
予兆の指標に該当した件数については、周期は月次、使い道は早期の対応の量。
施策実施群と非実施群の差については、周期は四半期、使い道は効果の判定。
解約理由の不明の比率については、周期は月次、使い道は記録の運用状況。
理由の記録が整っていない場合
まず記録の運用を整えます。
不明が半分を超えている状態では、どの施策も選べません。
目標は、全体の解約率で置かない
初期の解約率、更新時の解約率といった区分ごとに置きます。
全体の数字は、顧客構成の変化でも動くためです。
解約のどこから手をつけるべきか判断に迷う場合は、無料相談で解約の構成を見てもらうところから始められます。獲得から定着までの設計ごと見直す段階ならWeb集客改善サービスもあります。
よくある質問
解約率を下げるには何から始めますか
契約からの経過期間別の残存と、解約理由の構成を出すことからです。全体の解約率を一つの数字で見ていても、手を入れる先は決まりません。
打ち手の優先順位はどう決めますか
その区分で失っている粗利の金額と、実行までにかかる期間の2軸で並べます。解約率の高さだけで選ぶと、金額の小さい領域に資源を使うことになります。
解約理由の記録が取れていません
記録の運用を整えるのが先です。解約の手続きの過程で選択式と自由記述の両方を取ってください。後から聞き取ろうとしても回答は得られません。
契約直後の解約が多いのですが、支援を厚くすれば減りますか
販売時の説明と提供内容にずれがある場合は、支援では解決しません。獲得のメッセージと提供範囲を突き合わせ、期待値の設定から見直してください。
施策が効いたかどうかをどう判定しますか
実施した群と実施していない群で解約率を比べます。全体の解約率の推移は顧客構成の変化でも動くため、季節要因や構成の変化と区別がつきません。
まとめ
- 解約は性質の違うものの合計だからです。時期、理由、顧客層の3つで分けない限り、どこに手を入れるかが決まりません
- 契約からの経過期間ごとに解約率を並べます。初期に集中しているのか、更新の時期に集中しているのかで、手を入れる先が変わります
- 事業の縮小や方針変更による解約には、手が打てません。対処できる理由がどれだけを占めるかで、投資できる金額が決まります
- 失っている金額と、実行までの速さの2軸で並べます。解約率の高さだけで選ぶと、金額の小さい領域に資源を使います
- 初期の解約の多くは、獲得の条件と期待値の設定で決まっています。入口を変えるほうが、後から支援するより効きます
- 取引や利用の頻度、接触の減少、問い合わせの内容の変化に出ます。解約の意思表示より数か月早く動く指標を持ちます
- 実施した群と実施していない群で解約率を比べます。全体の解約率の推移だけでは、季節要因と区別がつきません
- 解約を時期と理由で分けて、金額に換算することからです。分けた数字がないまま施策を始めると、効かない領域に資源を使います