
1回あたりの金額、取引の頻度、続く期間、そして粗利率の掛け算です。
どれを動かすかを決めずにLTVを伸ばそうとすると、議論が抽象的なまま終わります。
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目次
目次
- LTVは、何の掛け算でできているのか
- 4つの要素に割る
- どの要素を動かすと、最も効くのか
- 動かすまでの時間が違う
- LTVは、獲得の段階でどこまで決まっているのか
- 獲得の条件が、その後を決める
- 最初の期間の体験が、続く期間をどう決めるのか
- 初期の離脱が全体を決める
- 取引の頻度を上げるには、何を変えるのか
- 次の必要が生じる時期を持つ
- 粗利率を落とさずにLTVを伸ばすには
- 売上と粗利で、順位が変わる
- LTVを伸ばす投資は、どう正当化するのか
- 回収期間を一緒に出す
- 着手に入る前に決めること
- 見る数字を決める
- よくある質問
- まとめ
1回あたりの金額、取引の頻度、続く期間、そして粗利率の掛け算です。
どれを動かすかを決めずにLTVを伸ばそうとすると、議論が抽象的なまま終わります。
LTVは、何の掛け算でできているのか
1回あたりの金額、取引の頻度、続く期間、そして粗利率の掛け算です。
どれを動かすかを決めずにLTVを伸ばそうとすると、議論が抽象的なまま終わります。
LTVを伸ばすという目標は、そのままでは打ち手になりません。
何の掛け算でできているかを分解して、動かす対象を一つ選ぶところから始めます。
4つの要素に割る
1回あたりの取引金額、年間の取引回数、取引が続く年数、そして粗利率。
この4つを掛けると、1顧客から得られる粗利の総額になります。
LTVの構成要素
| 要素 | 具体的に測るもの | 主に動かす部門 |
|---|---|---|
| 1回あたりの金額 | 平均取引額 | 営業と商材 |
| 取引の頻度 | 年間の取引回数 | マーケティングと営業 |
| 続く期間 | 平均継続年数 | 納品と支援 |
| 粗利率 | 売上総利益率 | 商材と原価 |
売上で見るか、粗利で見るか
売上ベースのLTVは大きく見えますが、投資の判断には使えません。
獲得にいくらかけてよいかを決めるなら、粗利ベースで持ちます。
事業の型で、効く要素が違う
継続契約が中心の事業では、続く期間の影響が大きくなります。
単発の取引が繰り返される事業では、頻度の影響が大きくなります。
自社がどちらかで、見る順番が変わります。
平均だけで持たない
LTVは、上位の顧客に引っ張られて平均が大きくなります。中央値と、上位2割を除いた平均も一緒に出します。
どの要素を動かすと、最も効くのか
掛け算なので、同じ割合を動かせば効果は同じです。
違うのは、動かすのにかかる時間と、他の要素への影響です。
どの要素から手をつけるかは、効果の大きさではなく、動かしやすさで決まります。
動かすまでの時間が違う
金額と頻度は、提案の仕方を変えれば数か月で動きます。
続く期間は、実際に年数が経たないと結果が出ません。
各要素を1割動かしたときの比較
| 要素 | LTVへの効果 | 結果が出るまで | 他への影響 |
|---|---|---|---|
| 1回あたりの金額 | 1割増 | 3か月から6か月 | 受注率が下がることがある |
| 取引の頻度 | 1割増 | 3か月から6か月 | 1回あたりが小さくなることがある |
| 続く期間 | 1割増 | 1年以上 | すぐには測れない |
| 粗利率 | 1割増 | 6か月から1年 | 価格と原価の両方に関わる |
数字は説明のための仮の値です。
他の要素を削っていないかを確認する
頻度を上げるために取引の単位を小さくすると、1回あたりの金額が下がります。
掛け算全体で増えているかを、必ず確認します。
続く期間は、先行指標で見る
年数の結果を待てないため、更新率や利用の状況を先行指標として置きます。これがないと、期間を動かす施策の評価ができません。
LTVは、獲得の段階でどこまで決まっているのか
かなりの部分が決まっています。
どの層をどの条件で獲得したかが、その後の継続と単価を左右します。
LTVを伸ばす施策は、獲得後の取り組みとして語られがちです。
実際には、獲得の時点で大枠が決まっています。
獲得の条件が、その後を決める
大幅な割引や初回無料で獲得した顧客は、価格を主な理由として選んでいます。
条件が終われば離れる比率が高くなります。
獲得の条件と、その後の傾向
| 獲得の条件 | その後の継続 | その後の単価 |
|---|---|---|
| 通常価格で獲得 | 安定しやすい | 上がりやすい |
| 割引で獲得 | 条件終了時に離れやすい | 上げにくい |
| 紹介で獲得 | 安定しやすい | 標準的 |
| 比較検討を経て獲得 | 安定しやすい | 上がりやすい |
チャネル別にLTVを持つ
同じ獲得単価でも、チャネルによってその後のLTVが違います。
獲得単価が安いチャネルのLTVが低ければ、安いチャネルほど損をしていることになります。
獲得の指標に、LTVを織り込む
獲得件数と獲得単価だけを見ていると、LTVの低い層を集める動きが止まりません。
チャネル別のLTVを四半期ごとに出し、獲得の配分に反映させます。
見込みの薄い層を、獲得しない判断
短期の件数目標があると、LTVの低い層でも取りにいきます。件数の目標と、LTVの目標が衝突している状態を放置しないようにします。
最初の期間の体験が、続く期間をどう決めるのか
取引開始からの数か月で、続くかどうかの大半が決まります。
ここに手を入れると、続く期間が動きます。
離脱は、期間を通じて均等に起きるわけではありません。
初期に集中します。
初期の離脱が全体を決める
最初の1年の離脱が全体の離脱の大半を占める事業は多くあります。
初期を越えた顧客は、その後長く続く傾向があります。
初期の設計で見るもの
| 時期 | 見るもの | 手を入れる先 |
|---|---|---|
| 契約直後 | 立ち上げの完了率 | 導入の支援体制 |
| 最初の3か月 | 利用や取引の有無 | 接点の設計 |
| 最初の6か月 | 想定した成果が出たか | 期待値の擦り合わせ |
| 1年目の更新 | 更新率 | 更新前の関与 |
期待値のずれが、初期の離脱を生む
販売時に説明した内容と、実際の提供にずれがあると、初期に離れます。
獲得のメッセージと提供内容の一致は、LTVに直結します。
初期の支援は、費用ではなく投資として扱う
初期の支援にかける費用は、その期の費用として計上されます。LTVへの効果は翌期以降に出るため、費用としてだけ見ると削られます。
取引の頻度を上げるには、何を変えるのか
顧客が次に必要とする時期を把握し、その前に接点を作ります。
頻度は、案内の回数ではなく、必要な時期との一致で決まります。
頻度を上げようとして案内を増やすと、反応が下がることがあります。
回数ではなく、時期を合わせます。
次の必要が生じる時期を持つ
前回の取引から何か月後に次の需要が生じるかは、過去のデータから出ます。
顧客ごとにこの時期を持てば、接点の設計ができます。
頻度を動かす要素を、項目ごとに見ていきます。
次の需要の時期については、見る数字は前回からの経過月数、打ち手の方向は時期に合わせた接点。
提案の範囲については、見る数字は取引している商材の数、打ち手の方向は扱っていない領域の提案。
担当の関与については、見る数字は接触の回数と内容、打ち手の方向は定期的な接点の設計。
きっかけについては、見る数字は再取引の理由の内訳、打ち手の方向はきっかけの再現。
扱っていない領域を把握する
既存顧客が自社から買っていない商材を一覧にします。
頻度を上げる余地は、ここに集中しています。
頻度を上げても、単価を落とさない
小口の取引を増やして頻度を上げると、1回あたりが下がります。頻度と単価の積で確認します。
粗利率を落とさずにLTVを伸ばすには
売上ベースのLTVだけを追うと、値引きや対応工数の増加で粗利が薄くなります。
LTVは粗利ベースで持ちます。
LTVを伸ばす施策の多くは、費用を伴います。
費用を織り込まないと、見かけのLTVだけが伸びます。
売上と粗利で、順位が変わる
売上ベースで上位の顧客が、粗利ベースでは下位に来ることがあります。
対応の工数が大きい顧客では、この逆転が起きます。
売上ベースと粗利ベースの違いを、項目ごとに見ていきます。
売上ベースのLTVについては、含むものは取引金額のみ、使える判断は規模の把握。
粗利ベースのLTVについては、含むものは原価を引いた額、使える判断は獲得単価の上限。
対応工数を引いたLTVについては、含むものは人件費も引く、使える判断は顧客ごとの採算。
顧客ごとの対応工数を、粗く把握する
正確な原価計算は難しいため、対応の回数や時間で代用します。
上位と下位の顧客で工数が何倍違うかが分かれば、判断には足ります。
採算の合わない顧客の扱いを決める
粗利ベースでLTVが負の顧客が見つかることがあります。取引条件の見直しか、対応範囲の限定かを決めます。
LTVを伸ばす投資は、どう正当化するのか
回収までの期間で説明します。
LTVが伸びても、回収が数年先なら資金繰りの制約に当たります。
LTVへの投資は、効果が出るまでの時間が長いという弱点があります。
この点を先に扱わないと、予算がつきません。
回収期間を一緒に出す
獲得単価をLTVで割った比率だけでなく、何か月で獲得費用を回収するかを出します。
資金繰りの制約は、比率ではなく期間で効きます。
LTV投資の判断の枠を、項目ごとに見ていきます。
効率については、出す数字は粗利LTV ÷ 獲得単価、判断は投資の妥当性。
回収については、出す数字は獲得費用を回収する月数、判断は資金繰りの可否。
確度については、出す数字は継続率の実績の幅、判断は前提の堅さ。
時期については、出す数字は効果が出始める時期、判断は当期への影響。
前提の幅を示す
LTVは将来の継続を前提に計算します。
継続率が想定を下回ったときにLTVがいくらになるかを、併せて出します。
当期の数字への影響を明示する
LTVへの投資は、当期の獲得件数を減らすことがあります。この影響を先に共有しておかないと、期中に方針が覆ります。
着手に入る前に決めること
LTVを4つの要素に分けて、チャネル別に出すことからです。
平均のLTVを1つ持っているだけでは、動かす対象が決まりません。
LTVを伸ばす作業は、まず分けて持つところから始まります。
調整の順序を、項目ごとに見ていきます。
1については、やることはLTVを4要素に分解して定義する、期間の目安は1週間。
2については、やることは粗利ベースで計算し直す、期間の目安は2週間。
3については、やることは獲得チャネル別にLTVを出す、期間の目安は2週間。
4については、やることは初期の離脱が起きる時期を特定する、期間の目安は2週間。
5については、やることは動かす要素を1つ選ぶ、期間の目安は1週間。
6については、やることは先行指標を決めて四半期で追う、期間の目安は継続。
見る数字を決める
数字は説明のための仮の値です。
1回あたり50万円、年2回、平均3年、粗利率40%なら、粗利ベースのLTVは120万円です。
このとき獲得単価が40万円なら、回収は初年度の取引2回でほぼ終わります。
継続が2年に縮むと、粗利LTVは80万円になります。
手応えを測る指標を、項目ごとに見ていきます。
平均取引金額については、周期は月次、LTVとの関係は1回あたりの要素。
年間の取引回数については、周期は四半期、LTVとの関係は頻度の要素。
更新率と継続率については、周期は四半期、LTVとの関係は期間の先行指標。
チャネル別のLTVについては、周期は四半期、LTVとの関係は獲得の配分の判断。
粗利ベースのLTVについては、周期は四半期、LTVとの関係は獲得単価の上限。
初期の離脱率については、周期は月次、LTVとの関係は期間を左右する部分。
要素を1つに絞る
4要素すべてに同時に手を入れると、どれが効いたか分かりません。
1つ選び、半期は同じ要素を追います。
定義を先に固定する
継続の定義、取引の数え方、粗利の範囲。
これが揺れると、LTVの数字が毎回変わります。
LTVのどこを動かすべきか判断に迷う場合は、無料相談で顧客の取引構造を見てもらうところから始められます。獲得から継続までの設計ごと見直す段階ならWeb集客改善サービスもあります。
よくある質問
LTVを伸ばすには何から手をつけますか
1回あたりの金額、取引の頻度、続く期間、粗利率の4つに分解し、チャネル別に出してください。分けて持たない限り、動かす対象が決まりません。
LTVは売上と粗利のどちらで持つべきですか
獲得にいくらかけてよいかを決める用途なら粗利ベースです。売上ベースでは上位に来る顧客が、対応工数を引くと採算が合わないことがあります。
獲得したあとの施策でLTVは変えられますか
変えられますが、獲得の時点で大枠が決まっています。割引で獲得した顧客は条件終了時に離れやすいため、チャネル別と獲得条件別にLTVを見てください。
続く期間を伸ばす施策は、効果の測定に何年もかかりませんか
更新率や初期の離脱率を先行指標として置きます。最初の1年の離脱が全体の大半を占める事業が多いため、初期の数字で方向は判断できます。
LTVへの投資が社内で通りません
効率の比率だけでなく、獲得費用を何か月で回収するかを出してください。資金繰りの制約は比率ではなく期間で効くため、回収期間を示すと議論が進みます。
まとめ
- 1回あたりの金額、取引の頻度、続く期間、そして粗利率の掛け算です。どれを動かすかを決めずにLTVを伸ばそうとすると、議論が抽象的なまま終わります
- 掛け算なので、同じ割合を動かせば効果は同じです。違うのは、動かすのにかかる時間と、他の要素への影響です
- かなりの部分が決まっています。どの層をどの条件で獲得したかが、その後の継続と単価を左右します
- 取引開始からの数か月で、続くかどうかの大半が決まります。ここに手を入れると、続く期間が動きます
- 顧客が次に必要とする時期を把握し、その前に接点を作ります。頻度は、案内の回数ではなく、必要な時期との一致で決まります
- 売上ベースのLTVだけを追うと、値引きや対応工数の増加で粗利が薄くなります。LTVは粗利ベースで持ちます
- 回収までの期間で説明します。LTVが伸びても、回収が数年先なら資金繰りの制約に当たります
- LTVを4つの要素に分けて、チャネル別に出すことからです。平均のLTVを1つ持っているだけでは、動かす対象が決まりません