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ネット広告費が構成比50.2%を超えた|市場構造の変化

集客・マーケ戦略公開:2026年9月15日更新:2026年9月15日読了 約21分
ネット広告費が構成比50.2%を超えた|市場構造の変化

2025年にインターネット広告費の構成比が50.2%となり、初めて過半数を超えました。
広告予算の議論の起点が、マス中心から運用型中心に移ったことを示す数字です。

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2025年にインターネット広告費の構成比が50.2%となり、初めて過半数を超えました。
広告予算の議論の起点が、マス中心から運用型中心に移ったことを示す数字です。

ネット広告の構成比が過半数を超えたことは、何を意味するのか

2025年にインターネット広告費の構成比が50.2%となり、初めて過半数を超えました。
広告予算の議論の起点が、マス中心から運用型中心に移ったことを示す数字です。

ネット広告の構成比が過半数を超えたことは、何を意味するのか

市場全体の構成比は、個別の企業の判断とは直接つながりません。
それでも、社内で前提を置くときの土台としては働きます。

電通が2026年3月5日に発表した2025年の日本の広告費では、総広告費が8兆623億円で前年比105.1%でした。
インターネット広告費は4兆459億円で前年比110.8%、構成比は50.2%です。

マスコミ四媒体は2兆2,980億円で前年比98.4%でした。
減少はしていますが、減少幅は1.6%にとどまります。

数字としては、50.2%と49.8%の差でしかありません。
この差そのものに意味があるわけではありません。

意味を持つのは、社内の議論での扱われ方です。
主流かどうかの判断に使われる数字が、反対側に移ったということになります。

予算の配分を変える提案は、これまで例外的な扱いを受けてきました。
構成比が過半数を超えたあとは、現状を維持する側が理由を説明する立場に移ります。

この転換は、稟議の通し方に直接効きます。
配分を変える提案の根拠として、市場の構成比を前提に置けるようになったという意味です。

ただし、市場の構成比を自社の目標にすることはできません。
市場の数字は全業種の合計であり、自社の適正な配分とは別に決まるためです。

業種によっては、いまも新聞やテレビが主要な接点であり続けています。
商圏が限られる事業や、意思決定者の年齢層が高い商材では、構成は市場平均と大きく離れます。

市場が50.2%だから自社も半分にする、という議論は成立しません。
成立しない議論を持ち込むと、根拠を問われた時点で提案全体が止まります。

使い方としては、自社の構成比と市場の構成比を並べ、差が業種の事情で説明できるかを確認する形になります。
説明がつかない差だけが、見直しの対象です。

数字を社内で使うときの示し方

2025年の広告費で押さえておく数字

区分金額前年比構成比
総広告費8兆623億円105.1%100%
インターネット広告費4兆459億円110.8%50.2%
マスコミ四媒体2兆2,980億円98.4%金額のみ公表
インターネット広告媒体費3兆3,093億円111.8%媒体費は別集計
うち運用型2兆9,352億円公表なし媒体費の88.7%

社内資料に載せるときは、調査名と発表日を必ず添えてください。
市場データは年次で更新されるため、時点が書かれていないと翌年に比較できません。

数字を出す相手によって、示す桁を変えます。
経営層には構成比と前年比、部門内には金額まで示す形が扱いやすくなります。

構成比だけを大きく示すと、自社も半分にすべきだという読み方を招きます。
前年比と並べて示すと、伸びの話として受け取られます。

前年比で示すことには、もう1つの利点があります。
自社の予算の伸び率と直接比べられるため、相対的な位置が1行で説明できます。

数字を使う場面は、期初の予算編成に限定してください。
期中に持ち出すと、配分を変える根拠としては弱く、議論が長引きます。

過半数を超えたことの意味は、配分を変える提案の立場が入れ替わった点にあります。市場の構成比は自社の目標にはならず、差が業種の事情で説明できるかを見る材料です。

伸びているのは、ネット広告のどの部分なのか

ビデオ広告とソーシャル広告が伸びています。
運用型が媒体費の88.7%を占め、市場のほぼ全体が運用型になりました。

伸びているのは、ネット広告のどの部分なのか

インターネット広告費の内訳を見ないと、どこに市場が動いたかが分かりません。
総額の伸びだけを見て配分を決めると、伸びていない領域に予算を寄せることになります。

電通デジタルが2026年3月5日に公表した詳細分析では、2025年のインターネット広告媒体費が3兆3,093億円で前年比111.8%でした。
このうち運用型が2兆9,352億円で、構成比は88.7%です。

ビデオ広告は1兆275億円で構成比30%、前年比121.8%となり、初めて1兆円を超えました。
ソーシャル広告は1兆3,067億円で構成比39.5%です。

前年比121.8%という数字は、媒体費全体の111.8%を10ポイント上回ります。
市場の伸びの相当部分を、ビデオ広告が作っているということになります。

この伸びが示しているのは、接点の重心が文字から映像に移っていることです。
移動そのものは数年前から続いていますが、1兆円という規模に届いた点が今回の変化です。

規模が1兆円を超えると、扱いが変わります。
試すかどうかの議論ではなく、どの程度の比率で持つかの議論になります。

ソーシャル広告の構成比39.5%も、同じ意味を持ちます。
媒体費の4割がソーシャルに入っている状態では、持たない判断のほうに説明が必要になります。

一方で、映像の比重が増えることには、予算の構造への影響があります。
映像は制作費の比率が高く、媒体費だけを予算として扱うと必要な制作費が確保できません。

静止画であれば、1つの素材で数か月配信できる場面があります。
映像は消耗が速く、同じ期間を回すのに必要な本数が増えます。

つまりビデオ広告に配分を寄せる判断は、制作の供給体制を増やす判断とセットになります。
制作の体制を先に確認せずに媒体費だけを増やすと、配信する素材が足りずに予算が消化できません。

稟議の段階では、媒体費と制作費を分けて示してください。
1つの金額にまとめると、期中に制作費が足りなくなったときに追加の稟議が必要になります。

運用型が9割近いことの意味

インターネット広告媒体費の内訳で見ておく数字

区分金額構成比前年比
インターネット広告媒体費3兆3,093億円100%111.8%
運用型2兆9,352億円88.7%公表なし
ビデオ広告1兆275億円30%121.8%
ソーシャル広告1兆3,067億円39.5%公表なし

運用型が88.7%ということは、市場に流れている予算の大半が日々動かせる性質のものだという意味です。
予約で枠を押さえる形の広告は、市場全体の1割程度になりました。

この構造では、年に1度の配分決定が実態と合わなくなります。
配分を動かせる前提で市場全体が動いているため、動かさない側が機会を落とします。

自社が予約型中心の運用を続けている場合、比較の相手は運用型で動いている競合になります。
同じ予算でも、期中に寄せ直した側のほうが結果が良くなります。

この差は、期末の数字を見ても原因が分かりません。
配分を動かせなかったことによる損失は、実行しなかった施策の成果として記録に残らないためです。

だからこそ、期中に動かせる予算の割合そのものを指標として置いてください。
割合が低い場合は、体制の側に手を入れる材料になります。

伸びているのはビデオとソーシャルで、ビデオは前年比121.8%と市場全体を上回ります。媒体費と制作費を分けて稟議し、期中に動かせる予算の割合を指標として置いてください。

マス四媒体の減少は、どう読めばいいのか

前年比98.4%で、減少は緩やかです。
急に消えているわけではなく、役割を絞って残すという判断が現実的になります。

マス四媒体の減少は、どう読めばいいのか

構成比の話が先行すると、マス四媒体を全廃するような議論が出ます。
金額の推移を見ると、そこまでの変化ではありません。

2兆2,980億円で前年比98.4%という数字は、1.6%の減少です。
構成比が下がっているのは、インターネット広告のほうが伸びているためです。

分母が増えたことで構成比が下がる動きと、分子が減る動きは別のものです。
この2つを混ぜて読むと、減少の速度を実際より大きく見積もります。

判断の選択肢は4つあります。
役割を絞って残す、段階的に減らす、全廃する、一時的に停止して影響を測る、のいずれかです。

役割を絞って残すのは、認知の確保が必要な事業に向きます。
問題は、効果の測定が難しく、続ける根拠を毎年説明しにくいことです。

段階的に減らすのは、運用型で代替できる見込みがある場合です。
代替先で同じ層に届いているかを実測してから減らさないと、届かない層が生まれます。

全廃は、測定の要求が強い組織で選ばれます。
測れない支出を残さないという方針は一貫していますが、認知を作る手段を失う点が残ります。

一時的に停止して影響を測る方法は、判断の材料がない場合に取ります。
ただし影響が出るまでに時間がかかり、停止期間中の損失も発生します。

測定が難しいことと、効果がないことは違います。
測れないという理由だけで切ると、指名検索の件数が数四半期遅れて落ちることがあります。

この遅れが、判断を難しくします。
切った四半期には何も起きず、2四半期後に落ちるため、原因と結果が結びつきません。

検索の側でも、調べる段階での接点は減っています。
Ahrefsが2026年7月16日に公表した調査では、AI Overviews表示時の日本の検索1位のCTR下落率が2026年6月に62.7%まで拡大していました。

つまり、検索で見つけてもらう経路が細くなっている局面です。
この局面で認知を作る手段を同時に減らすと、入口が両方とも細くなります。

減らすなら、認知の獲得手段を先に決める

マス四媒体を減らす判断をする場合、認知をどこで作るかを先に決めてください。
決めずに減らすと、指名検索の件数が落ちてから気づくことになります。

代替先として最初に検討されるのは、ビデオ広告です。
媒体費の構成比が30%まで来ており、規模としては受け皿になります。

ただし、届く相手の重なりは事前には分かりません。
同じ層に届いているかを確かめるには、停止の前後で指名検索と直接流入を比較します。

比較の期間は、最低でも2四半期を取ります。
1四半期では、季節要因と切り分けられません。

減らす場合の順番は、最も測定しにくい枠からではなく、役割の重なりが大きい枠からにしてください。
測定しにくい枠は、止めたときの影響も測れません。

マス四媒体の減少は1.6%にとどまり、構成比の低下は分母が増えた影響が大きくなっています。減らす場合は、認知をどこで作るかを先に決め、2四半期かけて指名検索の推移を確認してください

市場の伸びと自社の予算は、どうつなげて見るのか

市場が伸びていても、自社の予算が同じだけ伸びるとは限りません。
市場の成長率を自社の目標の根拠に使うと、説明が崩れます。

市場の伸びと自社の予算は、どうつなげて見るのか

市場データは、目標の妥当性を確認する材料としては使えます。
目標そのものの根拠には使えません。

理由は、市場の伸びと自社の伸びをつなぐ因果がないからです。
市場が伸びたから自社の売上が伸びるという説明は、シェアが一定であることを前提にしています。

シェアが一定であるという前提は、検証できません。
検証できない前提に立った目標は、未達のときに原因を切り分けられなくなります。

使えるのは、相対的な比較のほうです。
市場が110.8%で伸びているなかで自社の予算が横ばいなら、相対的な露出は減っています。

この比較は、稟議の材料として機能します。
据え置きという判断が、実質的には後退を意味することを1行で説明できるためです。

他社の動きも、判断の材料になります。
Comexposium Japanが2025年12月5日から19日に111社を対象に実施した調査では、2026年の予算を増やすと答えたのが38.5%で前年比6.2ポイントの増加、横ばいが50.5%でした。

Macbee Planetが2025年12月5日から12日に1,086人を対象に実施した調査では、予算を増やすと答えたのがBtoCで61.3%、BtoBで52.3%でした。
調査によって数字に幅がありますが、増やす側が減らす側を上回っている点は共通しています。

同じ調査では、削減の対象も出ています。
BtoCの削減対象として、イベントと展示会、セミナーが42.9%、CRMとリテンションが40.7%で上位でした。

この数字は、自社の判断と照らして使ってください。
自社が補完先として考えている接点が、業界全体では削減対象になっている場合があります。

削減対象が重なっている場合、その接点の供給は相対的に余ります。
余った供給は、単価の面では有利に働くこともあります。

逆に、増やす側が集中している接点では、単価が上がります。
どこに需要が集まっているかを見ておくと、来期の単価の見通しが立てやすくなります。

自社の数字を、市場と同じ区分に置き直す

比較をするには、区分をそろえる作業が先に必要です。
自社の広告費が媒体別に管理されていると、市場の区分と対応しません。

そろえる区分は、インターネット広告とマスコミ四媒体、その他の3つで足ります。
細かく分けるほど対応づけが難しくなり、作業が終わりません。

制作費の扱いも、そろえる段階で決めてください。
市場の数字は媒体費と広告制作費が別に集計されているため、自社の数字も分けておきます。

分けておくと、映像の比重を増やす判断のときに制作費の伸びが見えます。
一緒にしていると、媒体費を増やしたのか制作費が増えたのかが分かりません。

この整理は、期初の予算編成の前に1度だけ行います。
期中に区分を変えると、前年との比較ができなくなります。

市場の伸びは目標の根拠にならず、自社の伸び率との相対比較に使います。比較の前に、自社の広告費を市場と同じ3区分に置き直し、媒体費と制作費を分けてください。

運用型が9割近いことは、組織に何を求めるのか

予算の配分を期中に動かせる体制が前提になります。
年に1度の配分決定では、運用型中心の市場に合いません。

運用型が9割近いことは、組織に何を求めるのか

運用型が媒体費の88.7%を占めるということは、予算の大半が日々動かせる性質だという意味です。
動かせる予算を動かさなければ、その分だけ機会を落とします。

体制に必要なものは、大きく5つあります。
期中の配分変更の権限、測定の仕組み、媒体をまたいだ比較、制作の供給体制、意思決定の頻度です。

期中の配分変更の権限は、最初に決める項目です。
配分を動かすたびに稟議が必要な体制では、判断から実行までに数週間かかります。

現実的な形は、一定の範囲内での配分変更を事前に承認しておく方法です。
月予算の2割までは部門の判断で動かしてよい、といった枠を期初に決めます。

枠を決めるときは、上限だけでなく報告の義務も同時に決めます。
動かした事実と理由を月次で報告する形にすれば、承認の頻度を下げても統制は残ります。

測定の仕組みは、配分の根拠を出すために要ります。
どの媒体がどれだけ寄与したかが出せない状態では、配分の変更は感覚で行われます。

媒体をまたいだ比較も、同じ理由で必要です。
媒体ごとの最適化にとどまると、媒体の中では最適でも全体では最適でない配分が残ります。

制作の供給体制は、ビデオ広告の比重が増えるほど制約になります。
配信量を増やしても、素材が足りなければ同じ素材の露出が繰り返され、反応が落ちます。

意思決定の頻度は、月次以上が目安です。
四半期に1度の判断では、運用型の利点がほとんど使えません。

これらが整っていない場合、整えるまでは運用型の比率を上げないほうが結果は安定します。
比率だけを上げると、動かせない予算が増えるだけです。

決裁の頻度と権限を、期初に決める

決裁の設計は、期初の予算編成と同じ場で行ってください。
期中に持ち出すと、権限の話になって決着しません。

決めるのは3つです。
誰が、いくらまで、どの頻度で動かしてよいかです。

金額の上限は、月予算に対する比率で置くほうが扱いやすくなります。
絶対額で置くと、予算規模が変わったときに毎回決め直しになります。

動かした結果の報告は、月次で1枚にまとめます。
どこからどこへ、いくら動かし、その後どうなったかの3項目で足ります。

この記録は、翌期の配分の設計にも使えます。
期中に動かした方向が毎回同じであれば、期初の配分そのものがずれているということです。

運用型が9割近い市場では、期中に配分を動かせる体制が前提になります。誰がいくらまでどの頻度で動かせるかを期初に決め、動かした記録を月次で1枚に残してください

代理店に求めるものは、構造の変化でどう変わるのか

媒体ごとの専門性より、媒体をまたいだ配分の判断ができるかが問われます。
運用型が中心になると、どこに寄せるかの判断が成果を決めます。

代理店に求めるものは、構造の変化でどう変わるのか

市場の構造が変われば、委託先に求めるものも変わります。
媒体ごとの専門性は、いまも必要ですが、選定の決め手ではなくなりました。

決め手にならない理由は、専門性が前提条件になったからです。
運用型が媒体費の9割近くを占める市場では、主要な媒体を扱えることは差ではありません。

差が出るのは、媒体をまたいで配分を判断できるかどうかです。
どの媒体にいくら寄せるかの判断が、成果の大半を決めます。

この判断ができるかどうかは、報告の形に出ます。
媒体別の実績だけを並べた報告は、配分の判断をしていない証拠になります。

判断をしている報告には、なぜその配分にしたかの説明が入ります。
説明があれば、自社の側でも次の配分を考える材料になります。

測定の設計も、選定の観点として重くなりました。
配分の判断は測定の結果に依存するため、測定が設計されていなければ判断も成立しません。

制作の供給も、以前は別発注として扱われていました。
ビデオの比重が増えたことで、配信の設計と制作を分けると回らなくなっています。

委託先への不満の中身も、この構造と対応しています。
Testifyが2026年5月14日から18日に1,016人を対象に実施した調査では、9割超が代理店を活用しており、満足度は82.6%でした。

一方で約2割が不満を持ち、経営層では費用が成果に見合わないが56.3%、マーケティング責任者では成果不振の説明不足が53.1%でした。
どちらも、配分の判断とその説明に関わる項目です。

運用担当ではレスポンスが遅いが50.8%で、役職によって不満の中身が分かれています。
選定の基準を決めるときは、誰の不満を解消したいのかを先に決めてください。

報告の形を、契約の段階で決める

報告に何を含めるかは、契約の前に文書で決めます。
運用が始まってから追加を求めると、費用の話になります。

含めるのは、媒体別の実績、配分の変更履歴、変更の理由、次の期間の配分案の4つです。
実績だけの報告では、判断の材料になりません。

報告の頻度は、月次が基準になります。
四半期では、配分の変更に対する確認が遅れます。

インハウス化を検討している場合は、残る成果物も決めておきます。
同じ調査では、全面委託している企業の8割超が1年以内のインハウス化を計画または検討しており、決定・予定が52.9%、積極検討が32.8%でした。

移行の動機はノウハウ蓄積が56.7%、コスト削減が46.7%です。
配分の判断の記録が社内にあれば、移行時に引き継ぐのは運用の手順だけで済みます。

選定の観点は媒体の専門性から、媒体をまたいだ配分の判断に移りました。報告に配分の変更履歴と理由を含めることを、契約の段階で決めてください。

市場データを社内で使うとき、どこで誤るのか

市場の構成比を、自社の目標の根拠にすることです。
市場は全業種の合計であり、自社の適正な配分とは別に決まります。

市場データを社内で使うとき、どこで誤るのか

市場データは説得力があるため、社内で単純化されて使われます。
単純化された数字は、反論されたときに支えが残りません。

最も多い誤りは、市場が50.2%だから自社も半分にするという使い方です。
業種による違いを無視しているため、業種の事情を知っている人から反論が出ます。

反論が出た時点で、提案全体の信頼が落ちます。
数字を使った提案ほど、数字の使い方が雑だと全体が疑われます。

2つ目は、市場が伸びているから予算を増やすという使い方です。
市場の伸びと自社の成長は別であり、自社の成果の伸びから要求するほうが通ります。

3つ目は、マス四媒体はもう不要だという結論です。
減少は1.6%であり、不要という結論を支える数字ではありません。

4つ目は、ビデオが伸びているから動画に寄せるという判断です。
制作の供給体制を確認しないまま寄せると、素材が足りず予算が消化できません。

5つ目は、時点を書かずに数字だけを使うことです。
市場データは年次で更新されるため、時点がないと翌年に比較できません。

これらに共通するのは、市場の数字を自社の判断の代わりに使っている点です。
市場の数字は、自社の判断が妥当かを確認する材料にはなりますが、判断そのものにはなりません。

有効な使い方は2つです。
1つは自社の伸び率との相対比較、もう1つは来期の単価の見通しを立てることです。

単価の見通しは、需要が集まっている領域から推測できます。
出稿側の予算が増えている領域では、単価が上がる方向に動きます。

この見通しを期初に置いておくと、期中に単価が上がったときに想定内として扱えます。
想定していないと、単価の上昇が運用の失敗として扱われます。

社内資料に残すときの書き方

社内資料には、調査名、発表日、数字の3つを必ず並べてください。
このうち1つでも欠けると、翌年に同じ資料を使えなくなります。

数字の解釈は、数字とは別の段落に書きます。
同じ段落に混ぜると、解釈の部分まで調査の結果として読まれます。

自社の数字と市場の数字を並べるときは、区分が同じであることを明記します。
区分が違う数字を並べると、差そのものが区分の違いから来ている可能性を排除できません。

資料の保管先は、翌年の予算編成で使う場所に置いてください。
1年後に探せない資料は、毎年同じ調べ直しを生みます。

前年にどの数字を根拠にどう判断したかも、同じ場所に残します。
記録がないと、毎年同じ議論を最初から繰り返すことになります。

市場データの誤用はすべて、自社の判断の代わりに使うところから起きます。調査名と発表日と数字を並べ、解釈は別の段落に分けて残してください

配分の見直しは、どこから手をつければいいのか

自社の予算の内訳を、市場と同じ区分で出すところからです。
区分がそろっていないと、比較も判断もできません。

配分の見直しは、どこから手をつければいいのか

市場データと自社を比べるには、区分をそろえる作業が先に必要になります。
この作業を飛ばして議論を始めると、数字の定義の話で会議が終わります。

進め方は、区分の統一、前年比の算出、市場との並置、制作費の分離、期中に動かせる予算の決定、決裁の設計の順になります。
順番を入れ替えると、決裁の設計が先行して中身のない権限の議論になります。

広告費の配分を見直すときの段取り

順番やること関わる人期間の目安
1自社の広告費を市場と同じ3区分に分けるマーケティング2週間
2区分ごとの前年比を出すマーケティング1週間
3市場の伸び率と自社の伸び率を並べるマーケティング3日
4媒体費と制作費を分けて把握するマーケ・経理1週間
5期中に動かせる予算の範囲を決める責任者と承認者2週間
6配分変更の決裁の頻度と権限を決める責任者と承認者2週間

数字は説明のための仮の値です。
自社の広告費が年3億円で、そのうちインターネット広告が1億2,000万円なら、構成比は40%になります。

市場の50.2%との差は10ポイントです。
この差が業種の事情で説明できるかを、まず確認します。

商圏が限られる事業や、意思決定者の年齢層が高い商材であれば、説明はつきます。
説明がつかない場合だけが、配分の見直しの対象になります。

前年比も同じように並べます。
自社のインターネット広告費が前年比103%であれば、市場の110.8%を下回っています。

この差は、相対的な露出が減っていることを意味します。
稟議では、構成比の差よりこちらのほうが説明として通りやすくなります。

配分を見直したあとに定点で見る数字

数字見る頻度見るときの観点
自社のインターネット広告の構成比年次市場との位置の差が説明できるか
区分別の前年比年次どの区分が伸びているか
媒体費と制作費の比率四半期供給体制が制約になっていないか
期中に動かした予算の割合四半期運用の柔軟性が確保できているか
配分変更の意思決定の回数四半期決裁の設計が機能しているか

期中に動かした予算の割合は、体制が機能しているかを見る数字です。
割合がゼロに近い場合、権限は決めたが使われていない状態です。

使われていない原因は、報告の負担が重いか、動かす根拠になる測定がないかのどちらかです。
どちらであるかは、担当者に聞けばその場で分かります。

見直しそのものは、年次の予算編成に合わせてください。
期中に構成を大きく変えると、前年との比較ができなくなります。

前年の判断の理由も、同じ場所に記録します。
記録がないと、翌年も同じ議論を最初から繰り返すことになります。

着手点は、自社の広告費を市場と同じ3区分に置き直すことです。構成比の差より前年比の差のほうが稟議では通りやすく、期中に動かした予算の割合で体制を点検してください

広告予算の配分をどう変えるべきか判断がつかない場合は、無料相談で現状の内訳を見てもらうところから始められます。
媒体の構成ごと組み直す段階ならWeb集客改善サービスもあります。

よくある質問

インターネット広告費の構成比はどうなりましたか

電通が2026年3月5日に発表した2025年の日本の広告費では、インターネット広告費が4兆459億円で前年比110.8%、構成比50.2%となり初めて過半数を超えました。総広告費は8兆623億円で前年比105.1%です。

自社も予算の半分をネット広告にすべきですか

市場の構成比は全業種の合計であり、自社の適正な配分とは別に決まります。商圏が限られる事業や意思決定者の年齢層が高い商材では、構成は市場平均と離れます。差が業種の事情で説明できるかを確認し、説明がつかない差だけを見直しの対象にしてください。

マス四媒体はもう不要ですか

2025年のマスコミ四媒体は2兆2,980億円で前年比98.4%と、減少は1.6%にとどまります。構成比が下がっているのはインターネット広告のほうが伸びているためです。減らす場合は認知をどこで作るかを先に決め、2四半期かけて指名検索の推移を確認してください。

ネット広告の中ではどこが伸びていますか

電通デジタルが2026年3月5日に公表した分析では、ビデオ広告が1兆275億円で構成比30%、前年比121.8%となり初めて1兆円を超えました。ソーシャル広告は1兆3,067億円で構成比39.5%です。ビデオに寄せる場合は、制作の供給体制を先に確認してください。

運用型が中心になると組織は何を変える必要がありますか

期中に予算配分を動かせる体制です。配分を変えるたびに稟議が必要な状態では、判断から実行まで数週間かかります。月予算の一定割合までは部門の判断で動かせる枠を期初に決め、動かした事実と理由を月次で報告する形にしてください。

Webマーケティング支援

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まとめて任せる。

戦略設計、Meta・Google・TikTok等の広告運用、クリエイティブ制作、LP改善、レポート自動化、AI導入までを一気通貫で支援します。

  • 無料マーケ診断は毎月10社限定
  • オンライン30〜45
  • 事前資料の準備は不要

お見積りまでの4段階で費用は発生しません。媒体費(広告費)とサービス費用は別勘定です。

まずは無料で相談する>>>

まとめ

  • 2025年にインターネット広告費の構成比が50.2%となり、初めて過半数を超えました。広告予算の議論の起点が、マス中心から運用型中心に移ったことを示す数字です
  • ビデオ広告とソーシャル広告が伸びています。運用型が媒体費の88.7%を占め、市場のほぼ全体が運用型になりました
  • 前年比98.4%で、減少は緩やかです。急に消えているわけではなく、役割を絞って残すという判断が現実的になります
  • 市場が伸びていても、自社の予算が同じだけ伸びるとは限りません。市場の成長率を自社の目標の根拠に使うと、説明が崩れます
  • 予算の配分を期中に動かせる体制が前提になります。年に1度の配分決定では、運用型中心の市場に合いません
  • 媒体ごとの専門性より、媒体をまたいだ配分の判断ができるかが問われます。運用型が中心になると、どこに寄せるかの判断が成果を決めます
  • 市場の構成比を、自社の目標の根拠にすることです。市場は全業種の合計であり、自社の適正な配分とは別に決まります
  • 自社の予算の内訳を、市場と同じ区分で出すところからです。区分がそろっていないと、比較も判断もできません