
日本と米国で公表された調査の結論が食い違っています。
測っている対象と母集団が違うためで、どちらかが誤っているわけではありません。
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目次
目次
- 同じ問いに、なぜ反対の答えが出ているのか
- 公表されている2つの結果
- 2つの調査は、何を測っているのか
- 条件の違いを並べる
- CVRが高く見える理由と、高くならない理由
- 上下の要因を分けて並べる
- 自社で確かめるには、何を揃えればよいのか
- 決めておく項目
- この流入をチャネルとして扱うべきか
- 扱いの段階を分ける
- 高CVRだとしても、投資を増やす理由になるのか
- 判断は3つの条件の組み合わせで決まる
- 判断を誤らせる読み方
- 誤りやすい読み方を並べる
- この判断を社内でどう通すか
- 比較に使う数字を決める
- よくある質問
- まとめ
日本と米国で公表された調査の結論が食い違っています。
測っている対象と母集団が違うためで、どちらかが誤っているわけではありません。
同じ問いに、なぜ反対の答えが出ているのか
日本と米国で公表された調査の結論が食い違っています。
測っている対象と母集団が違うためで、どちらかが誤っているわけではありません。
生成AI経由の流入は転換しやすいという話と、そうでもないという話が同時に流れています。
両方に調査の裏づけがあるため、社内の議論が収束しません。
公表されている2つの結果
PLAN-Bマーケティングパートナーズが2025年2月1日から4月30日にGA4のデータで実施した調査では、生成AI経由のCVRが他チャネルより高かったサイトは35.1%でした。
残りの6割以上では、高くありませんでした。
Criteoが2026年2月に米国の小売500社を対象に実施した調査では、LLM経由のCVRは他のリファラルの約1.5倍でした。
割れている結論の中身
| 調査 | 対象 | 結果 | 示していること |
|---|---|---|---|
| PLAN-B | 日本のサイト、GA4データ | CVRが高いのは35.1% | 高いのは一部にとどまる |
| PLAN-B | 同上 | 生成AI経由の増加は83.0%のサイト | 量は増えている |
| PLAN-B | 同上 | 総流入の1%未満 | 母数が小さい |
| Criteo | 米国の小売500社 | 他リファラルの約1.5倍 | 平均では高い |
結論が割れるのは、珍しいことではない
新しいチャネルの初期には、測り方が定まっていません。
定義がそろっていない段階の数字を並べると、反対の結論が同時に成立します。
決裁の場では、どちらかに決めようとしない
高いか低いかを決める議論は、社内では進みません。どの条件で高くなり、どの条件で高くならないかに問いを変えます。
2つの調査は、何を測っているのか
対象の業種、国、期間、比較の相手が違います。
条件をそろえずに並べると、結論だけが矛盾して見えます。
数字を比べる前に、何と何を比べた数字なのかを確認します。
条件の違いを並べる
2つの調査の条件の違い
| 項目 | PLAN-Bの調査 | Criteoの調査 |
|---|---|---|
| 国 | 日本 | 米国 |
| 対象 | GA4を導入したサイト | 小売500社 |
| 時期 | 2025年2月から4月 | 2026年2月 |
| 比較の相手 | 他のチャネル全般 | 他のリファラル |
| 結果の出し方 | CVRが高かったサイトの割合 | 平均の倍率 |
割合で出すか、平均で出すかの違い
高かったサイトの割合と、全体の平均倍率は、別の性質の数字です。
一部のサイトで極端に高い数字が出ると、平均は上がります。
一方で、高かったサイトの割合は上がりません。
この2つが同時に成り立つ場合、多くのサイトでは高くないが一部で極端に高いという状態になります。
業種の偏りを見る
小売に限った調査と、業種を限定しない調査では、前提が違います。小売は購入までの検討が短く、リファラルからの転換が起きやすい領域です。
CVRが高く見える理由と、高くならない理由
検討が進んだ人だけが来ていればCVRは上がります。
一方で、要約の誤りや情報の古さを確かめに来た流入が混ざると、CVRは下がります。
同じ経路でも、来訪の理由によって転換率は逆方向に動きます。
上下の要因を分けて並べる
CVRが上下する要因
| 要因 | CVRへの向き | 背景 |
|---|---|---|
| 比較検討が外で完了 | 上げる | 決めた状態で訪れる |
| 指名に近い遷移 | 上げる | 社名や商品名を経由している |
| 要約の裏取り | 下げる | 情報の確認だけで離脱する |
| 誤った要約からの流入 | 下げる | 求めている内容と違う |
| 母数が小さいことによる振れ | どちらにも | 数件の差で率が動く |
母数が小さいと、率は当てにならない
PLAN-Bの調査では、生成AI経由は総流入の1%未満でした。
月間10万セッションのサイトなら、1,000セッション未満です。
この規模では、問い合わせが数件動くだけでCVRが大きく振れます。
率ではなく件数で見る時期がある
母数が小さいうちは、CVRの比較に意味がありません。件数の推移と、その件数がどこから来たかを見ます。
自社で確かめるには、何を揃えればよいのか
経由の判定基準と、比較する相手のチャネルを先に決めます。
定義が曖昧なまま集計すると、社内でも結論が割れます。
外部調査の結論を自社に当てはめるより、自社で測るほうが速く決着します。
決めておく項目
自社で測るための準備
| 決める項目 | 内容 | 決めないと起きること |
|---|---|---|
| 経由の判定 | どの参照元を生成AI経由とするか | 集計のたびに数字が変わる |
| 比較の相手 | 検索か、リファラル全体か | 倍率の意味が変わる |
| 集計の単位 | 月次か四半期か | 母数不足で率が振れる |
| CVの定義 | 問い合わせか資料請求か | 他チャネルと比べられない |
| 除外の扱い | 社内アクセスや計測漏れ | 少数の差で結論が動く |
判定基準は、広めに取って記録する
生成AI経由と判定できる参照元は増え続けています。
基準を狭く固定すると、後から追加したときに過去と比較できません。
含めた参照元の一覧を日付つきで残します。
最低限の母数がたまるまで待つ
率を比較するなら、問い合わせが月に一定数出る規模が必要です。そこに届かないうちは、件数の推移だけを見ます。
この流入をチャネルとして扱うべきか
独立したチャネルとして目標を置く段階ではありません。
記録は始め、目標は置かないという扱いが現時点では合理的です。
チャネルとして扱うかどうかは、量と、打ち手の有無で決まります。
扱いの段階を分ける
チャネルとしての扱い方を、項目ごとに見ていきます。
記録のみについては、条件は総流入の1%未満、やることは参照元を識別して残す。
観察については、条件は1%を超える、やることはCVRと件数を月次で見る。
実験については、条件はCVが継続して発生、やることは情報設計の変更を試す。
目標設定については、条件は他チャネルと比較可能な母数、やることはKPIに組み込む。
目標を置くと、判断がゆがむ
母数の小さいチャネルに目標を置くと、達成のために不自然な施策が入ります。
効果が読めない段階で目標を置く実務上の利点はありません。
記録だけは、早く始める
後から過去にさかのぼって識別することはできません。判定基準を決めて記録を始めるのは、量が小さいうちに済ませておきます。
高CVRだとしても、投資を増やす理由になるのか
率の高さだけでは理由になりません。
件数が増える見込みと、増やすための打ち手が存在するかを合わせて判断します。
CVRが他チャネルの1.5倍でも、母数が1%未満なら事業への寄与は小さいままです。
判断は3つの条件の組み合わせで決まる
投資判断の分岐を、項目ごとに見ていきます。
高いについては、流入量は小さい、打ち手の有無はある、判断は小さく試す。
高いについては、流入量は小さい、打ち手の有無はない、判断は記録のみ。
高いについては、流入量は増加中、打ち手の有無はある、判断は配分を検討する。
低いについては、流入量は小さい、打ち手の有無はある、判断は優先度は低い。
高いについては、流入量は大きい、打ち手の有無はある、判断は予算を割り当てる。
打ち手があるかどうかが、実は分岐点
生成AI経由の流入は、広告のように出稿量で増やせるものではありません。
自社の情報がどう扱われるかを通じて間接的に動きます。
打ち手が特定できていない段階で予算を割り当てても、使い道がありません。
増えた場合の備えだけは作る
量が増えたときに、どの数字を見て何を決めるかを先に決めておきます。増えてから議論を始めると、判断が半年遅れます。
判断を誤らせる読み方
増加率の大きさと、事業への寄与を混同することです。
母数が小さいときの伸び率は、判断材料になりません。
この領域の数字は、どれも印象が強く出ます。
社内で使う前に、読み方を整えておきます。
誤りやすい読み方を並べる
誤読と、その訂正を、項目ごとに見ていきます。
605.6%増だから主力になるについては、何が抜けているかは総流入の1%未満、訂正した読み方は伸びてはいるが母数が小さい。
CVRが1.5倍だから有望については、何が抜けているかは対象は米国の小売、訂正した読み方は自社の業種で確かめる。
35.1%だから期待できないについては、何が抜けているかは残りが低いとは限らない、訂正した読み方は高くないサイトが多数という意味。
日米で結論が割れているから信用できないについては、何が抜けているかは条件が違う、訂正した読み方は条件ごとに読む。
外部に説明を求めるときの確認事項
支援会社から生成AI経由の効果を説明されたとき、判定基準と比較相手を確認します。
この2つが示されない数字は、他社の数字と比較できません。
断定的な提案には条件を聞く
この領域で断定的な効果を提示されたら、根拠となる母数を尋ねます。母数が小さければ、率の差に意味はありません。
この判断を社内でどう通すか
結論を出すのではなく、いつ結論を出すかを決めて通します。
判定基準と観察期間を合意しておけば、途中で議論が蒸し返されません。
外部の調査が割れている問いに、社内で早く結論を出す必要はありません。
決めるのは、判断の手続きです。
検証の段取りを、項目ごとに見ていきます。
1については、やることは生成AI経由と判定する参照元を決める、期間の目安は1週間。
2については、やることは比較相手のチャネルとCVの定義を決める、期間の目安は1週間。
3については、やることは過去にさかのぼれる範囲で集計する、期間の目安は1週間。
4については、やることは月次の記録を開始する、期間の目安は継続。
5については、やることは3か月分たまった時点で扱いの段階を判定する、期間の目安は3か月後。
6については、やることは段階に応じて目標設定の可否を決める、期間の目安は1週間。
比較に使う数字を決める
数字は説明のための仮の値です。
たとえば生成AI経由が月800セッション、問い合わせ6件でCVR0.75%、検索経由が月4万セッション、問い合わせ200件でCVR0.5%なら、率では上回ります。
それでも件数では6件と200件で、事業への寄与は比べものになりません。
比較に使う数字を、項目ごとに見ていきます。
生成AI経由のセッション数については、頻度は月次、使い方は量の段階を判定する。
総流入に占める割合については、頻度は月次、使い方は扱いを変える閾値。
生成AI経由の問い合わせ件数については、頻度は月次、使い方は事業への寄与を見る。
他チャネルとのCVRの比については、頻度は四半期、使い方は母数が足りたら比較する。
判定に含めた参照元の一覧については、頻度は変更の都度、使い方は過去との比較を保つ。
期限を切って再検討する
3か月ごとに、扱いの段階を上げるか据え置くかだけを決めます。
毎月議論すると、母数不足の数字で判断することになります。
決めたことを記録に残す
判定基準をいつ変えたかを残さないと、増加が実態なのか基準の変更なのか分からなくなります。
生成AI経由の流入をどう評価するか決めかねる場合は、無料相談で現状の集計を見てもらうところから始められます。計測の設計ごと整える段階ならWeb集客改善サービスもあります。
よくある質問
AI経由の流入はCVRが高いのですか
調査によって結論が分かれています。PLAN-Bマーケティングパートナーズが2025年に日本のGA4データで調べた結果では、生成AI経由のCVRが他チャネルより高かったサイトは35.1%でした。Criteoが2026年2月に米国の小売500社を対象に調べた結果では、LLM経由のCVRは他のリファラルの約1.5倍でした。
なぜ反対の結論が出るのですか
国、業種、時期、比較の相手が違うためです。高かったサイトの割合と全体の平均倍率は別の性質の数字で、一部のサイトで極端に高ければ平均は上がりますが、高かったサイトの割合は上がりません。
自社でCVRを比べるには何が必要ですか
生成AI経由と判定する参照元、比較する相手のチャネル、CVの定義の3つを先に決めます。この3つが曖昧なまま集計すると、社内でも数字が一致しません。含めた参照元の一覧は日付つきで残してください。
CVRが高ければ予算を増やすべきですか
率の高さだけでは理由になりません。流入量が総流入の1%未満であれば、率が高くても事業への寄与は小さいままです。増やすための打ち手が特定できているかも合わせて判断してください。
いつからKPIに入れればいいですか
他チャネルと比較できる母数がたまってからです。それまでは記録と観察にとどめます。母数が小さいチャネルに目標を置くと、達成のために不自然な施策が入ります。
まとめ
- 日本と米国で公表された調査の結論が食い違っています。測っている対象と母集団が違うためで、どちらかが誤っているわけではありません
- 対象の業種、国、期間、比較の相手が違います。条件をそろえずに並べると、結論だけが矛盾して見えます
- 検討が進んだ人だけが来ていればCVRは上がります。一方で、要約の誤りや情報の古さを確かめに来た流入が混ざると、CVRは下がります
- 経由の判定基準と、比較する相手のチャネルを先に決めます。定義が曖昧なまま集計すると、社内でも結論が割れます
- 独立したチャネルとして目標を置く段階ではありません。記録は始め、目標は置かないという扱いが現時点では合理的です
- 率の高さだけでは理由になりません。件数が増える見込みと、増やすための打ち手が存在するかを合わせて判断します
- 増加率の大きさと、事業への寄与を混同することです。母数が小さいときの伸び率は、判断材料になりません
- 結論を出すのではなく、いつ結論を出すかを決めて通します。判定基準と観察期間を合意しておけば、途中で議論が蒸し返されません