
AI検索の影響だと決める前に、計測と季節性を先に外します。
原因の候補を並べずに結論を出すと、打ち手が全部ずれます。
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目次
目次
- 流入が減ったとき、最初に疑うべきものは何か
- 原因の候補は、性質の違う4種類に分かれる
- AIによる減少と、それ以外の減少をどう見分けるのか
- 順位と流入の対照表を作る
- 検索クエリの種類ごとに、減り方はどう違うのか
- 答えが短いクエリほど、先に失われる
- 減った流入の中身をどう評価するのか
- 2つの数字の組み合わせで判定する
- どこまで下がったら手を打つのか
- 起動条件は、事業の数字に置く
- 打ち手を決める前に揃えておく記録は何か
- 残す対象を絞る
- 原因の説明でよくある誤りは何か
- 起こりがちな結論の飛躍
- 落ち込みの正体を確かめる手順
- 見る数字を決めておく
- よくある質問
- まとめ
AI検索の影響だと決める前に、計測と季節性を先に外します。
原因の候補を並べずに結論を出すと、打ち手が全部ずれます。
流入が減ったとき、最初に疑うべきものは何か
AI検索の影響だと決める前に、計測と季節性を先に外します。
原因の候補を並べずに結論を出すと、打ち手が全部ずれます。
検索からの流入が前年を割った。
この報告が上がったとき、多くの場では最初に生成AIの話が出ます。
ところが実際に調べると、計測の変更や季節要因で説明がつくことがあります。
原因の候補は、性質の違う4種類に分かれる
流入の減少には、起きている場所が違う4つの系統があります。
どれかを特定しないまま施策を決めると、効かない打ち手に予算を使います。
流入減の原因と、現れ方
| 系統 | 起きていること | 現れ方の特徴 |
|---|---|---|
| 計測 | タグや同意設定の変更で記録が減る | ある日を境に段差ができる |
| 季節と市況 | 需要そのものが動いた | 前年同月と比べると説明がつく |
| 検索面の変化 | 要約が答えを返し、クリックが減る | 順位は変わらず流入だけ落ちる |
| 競合と自社 | 順位を落とした、ページを消した | 順位の推移に対応が見える |
計測の変更は、AIの影響と見分けがつきにくい
GA4では2026年6月15日から、広告データ共有の可否が同意モードのad_storageだけで決まるようになりました。
Googleシグナルはレポート上のディメンション表示の可否を制御するだけになっています。
同意モードを実装していない場合はad_storageがgrantedを既定として扱われます。
この種の変更があった月は、チャネルの内訳が動きます。
最初に確認するのは、段差か傾斜か
ある日を境に急に落ちているなら、計測か大きな面の変更です。数か月かけてゆるやかに落ちているなら、検索面の変化か需要の変化です。グラフの形を見るだけで、疑う順番が決まります。
AIによる減少と、それ以外の減少をどう見分けるのか
順位と流入を同じ期間で並べ、順位が維持されているのに流入が落ちた領域を探します。
この組み合わせが出ている場所だけが、検索面の変化の候補です。
生成AIの影響を測る指標は、流入の総量ではありません。
同じ順位で得られる流入が減ったかどうかです。
順位と流入の対照表を作る
キーワード群ごとに、平均順位と流入を同じ期間で並べます。
順位が下がって流入も下がっているなら、原因は順位です。
順位が変わらず流入だけ下がっているなら、検索結果の見え方が変わっています。
見分けのための対照
| 平均順位 | 流入 | 考えられる原因 | 次に見るもの |
|---|---|---|---|
| 下落 | 減少 | 順位の低下 | 競合のページ、内部の変更 |
| 維持 | 減少 | 検索結果での見え方の変化 | 要約の表示有無 |
| 維持 | 維持 | 変化なし | 他チャネルの動き |
| 上昇 | 減少 | 上位表示の価値の低下 | クエリの種類 |
下落の幅は、公表されている水準と比べる
Ahrefsが2026年7月16日に公表した調査では、AI Overviewsが表示される検索で1位のクリック率の下落率が、日本で2025年12月の38.0%から2026年6月には62.7%に広がっていました。
米国は同じ期間に58.0%から68.8%でした。
同じ調査で日本は、予測クリック率24.1%に対して実測が9.0%でした。
自社の下落がこの水準を大きく超えているなら、AI以外の要因が重なっています。
検索以外のチャネルも同時に見る
検索だけが落ちているのか、全チャネルが落ちているのかで話が変わります。全体が落ちているなら、市況か商品側の問題です。
検索クエリの種類ごとに、減り方はどう違うのか
情報収集型のクエリから先に落ち、指名と取引型は後に残ります。
この順番を知っていると、どのページ群から手を入れるかが決まります。
流入の減少は、サイト全体に均等には起きません。
クエリの性質によって、減る速さが違います。
答えが短いクエリほど、先に失われる
用語の意味、相場、比較の一覧。
この種の問いは、要約で答えが完結します。
一方で、申し込みや在庫確認のように行為が必要な問いは、クリックが残ります。
クエリ種別ごとの減り方
| クエリの種類 | 例の性質 | 減りやすさ | 事業への影響 |
|---|---|---|---|
| 用語や定義 | 意味を知りたい | 大きい | もともと薄い |
| 相場や比較 | 数字を知りたい | 大きい | 中程度 |
| 手順や選び方 | 判断の材料 | 中程度 | 大きい |
| 指名 | 社名や商品名 | 小さい | 大きい |
| 申し込みや来店 | 行為が伴う | 小さい | 大きい |
影響が大きいのは、中間の層
用語ページの流入が半分になっても、受注はほとんど動きません。
問題は、選び方や比較の層です。
ここは検討の入口で、かつ要約に吸われやすい領域です。
ページ単位ではなく、クエリ群単位で見る
ページごとの分析は、量が多くて続きません。クエリを5種類程度に分類し、群ごとの合計で追うと運用に乗ります。
減った流入の中身をどう評価するのか
件数の減少と、問い合わせの減少を分けて見ます。
件数だけが落ちて問い合わせが落ちていないなら、失ったのは事業に効かない流入です。
流入が減ること自体は、損失とは限りません。
比較や下調べの工程が検索側で終わり、決まりかけた人だけが訪れている状態があります。
2つの数字の組み合わせで判定する
セッション数と、そこからの問い合わせ数を同じ期間で並べます。
片方だけが動いているのか、両方が動いているのかで意味が変わります。
減少の質を判定する組み合わせ
| セッション | 問い合わせ | CVR | 判断 |
|---|---|---|---|
| 減少 | 維持 | 上昇 | 薄い流入が減っただけ |
| 減少 | 減少 | 維持 | 検討層ごと失っている |
| 減少 | 大きく減少 | 低下 | 入口と受け皿の両方に問題 |
| 維持 | 減少 | 低下 | 流入の質が変わった |
生成AI経由の流入は、まだ量が小さい
PLAN-Bマーケティングパートナーズが2025年2月1日から4月30日にGA4のデータで実施した調査では、83.0%のサイトで生成AI経由のセッションが増えていました。
2か月で最大605.6%の増加という数字も出ています。
ただし同じ調査で、生成AI経由は総流入の1%未満でした。
増えた分で減った分を埋める段階にはありません。
埋め合わせを期待する前に、質を確かめる
量が小さいうちは、増加率の大きさに意味はありません。見るべきは、その流入が問い合わせにつながっているかどうかです。
どこまで下がったら手を打つのか
流入の減少幅ではなく、問い合わせ件数が計画を割ったかどうかで起動します。
流入の変動だけで動くと、対応が年中止まりません。
流入は常に動きます。
毎回反応していると、施策が積み上がりません。
起動の条件を先に決めておきます。
起動条件は、事業の数字に置く
対応を起動する条件を、項目ごとに見ていきます。
流入減、問い合わせ維持については、継続期間は3か月、対応の水準は様子見。記録だけ残す。
流入減、問い合わせ微減については、継続期間は2か月、対応の水準はクエリ群別の分析に着手。
流入減、問い合わせ計画未達については、継続期間は1か月、対応の水準は予算配分の見直しを検討。
指名検索の減少については、継続期間は2か月、対応の水準は認知施策の見直し。
指名検索の減少は、別扱いにする
指名検索は、要約に吸われにくい領域です。
ここが減っているなら、原因は検索面ではなく認知にあります。
扱いを分けておかないと、対応がすり替わります。
期初に決めておくと、議論が速い
流入が落ちてから基準を作ると、基準が結論に合わせて動きます。期初の目標設定のときに、どの数字がどれだけ動いたら何をするかを決めておきます。
打ち手を決める前に揃えておく記録は何か
順位、表示のされ方、内部の変更履歴の3つを、同じ時間軸で残します。
後から原因を特定できるかどうかは、記録の有無で決まります。
流入減の分析が行き詰まる理由の大半は、比較できる過去のデータがないことです。
残す対象を絞る
すべてを記録しようとすると続きません。
主要なクエリ群に限って、月次で残します。
そろえておく記録を、項目ごとに見ていきます。
主要クエリ群の平均順位については、頻度は月次、残す理由は順位起因かを切り分ける。
要約が表示されたかどうかについては、頻度は月次、残す理由は検索面の変化を追う。
サイト側の変更履歴については、頻度は変更の都度、残す理由は自社起因を除外する。
計測設定の変更履歴については、頻度は変更の都度、残す理由は段差の説明に使う。
チャネル別の流入と問い合わせについては、頻度は月次、残す理由は検索固有の問題かを見る。
変更履歴は、担当者の記憶に置かない
サイトの改修、タグの入れ替え、コンテンツの削除。
これらは数か月経つと誰も覚えていません。
日付と内容だけの簡単な記録で足ります。
記録は分析のためだけではない
経営に説明するとき、記録がないと推測しか出せません。前年と比べて何が変わったかを示せる状態が、議論の前提になります。
原因の説明でよくある誤りは何か
ひとつの原因ですべてを説明しようとすることです。
流入の減少はたいてい複数の要因が重なっており、割合で示さないと打ち手が決まりません。
社内の報告では、原因をひとつに絞った説明が好まれます。
ところが絞った瞬間に、残りの要因への対応が抜け落ちます。
起こりがちな結論の飛躍
よくある誤った結論を、項目ごとに見ていきます。
生成AIのせいで減ったについては、見落としていることは季節要因と計測変更、確かめる方法は前年同月と設定履歴を確認。
順位が落ちたから減ったについては、見落としていることは順位が同じ群も減っている、確かめる方法はクエリ群別に分解。
競合に取られたについては、見落としていることは市場全体が縮んでいる、確かめる方法は業界全体の需要の動き。
コンテンツが古いからについては、見落としていることは新しいページも同様に減少、確かめる方法は公開時期別に比較。
外部に分析を依頼するときの確認事項
原因の切り分けを外部に任せる場合、成果物の形を先に決めます。
順位と流入の対照、クエリ群別の分解、計測変更の影響の除外。
この3点が入っていない報告は、結論の再現ができません。
断定を求めすぎない
検索面の変化は、外部から完全には観測できません。断定を求めると、根拠の薄い説明が返ってきます。確からしさの幅を含めた説明のほうが、判断には使えます。
落ち込みの正体を確かめる手順
計測、季節、順位、検索面の順に外していきます。
この順番でないと、残った要因が何だったのか分からなくなります。
分析の順番は、除外しやすいものからです。
原因を切り分ける順序を、項目ごとに見ていきます。
1については、やることは計測設定の変更履歴を確認する、期間の目安は3日。
2については、やることは前年同月と季節要因を突き合わせる、期間の目安は3日。
3については、やることは主要クエリ群の順位と流入を並べる、期間の目安は1週間。
4については、やることは順位維持で流入減の群を抽出する、期間の目安は1週間。
5については、やることは問い合わせ件数の推移と重ねる、期間の目安は3日。
6については、やることは起動条件に照らして対応を決める、期間の目安は1週間。
見る数字を決めておく
数字は説明のための仮の値です。
たとえば主要クエリ群の流入が前年比70%まで落ち、問い合わせが前年比98%なら、失われたのは事業に効かない流入です。
同じ流入減でも問い合わせが前年比80%なら、検討層ごと失っています。
週次で追う数字を、項目ごとに見ていきます。
クエリ群別の流入については、頻度は週次、判断への使い方はどの層が減っているか。
検索経由の問い合わせ数については、頻度は週次、判断への使い方は事業への影響の有無。
検索経由のCVRについては、頻度は月次、判断への使い方は流入の質が変わったか。
指名検索の流入については、頻度は月次、判断への使い方は認知側の問題かどうか。
主要クエリ群の平均順位については、頻度は月次、判断への使い方は順位起因かどうか。
分析を止める条件も決める
原因が特定できないまま分析を続けると、対応が遅れます。
2週間で結論が出なければ、暫定の仮説で動き出します。
一度作った切り分けは、次も使う
同じ手順を毎回使うと、比較ができます。
分析のやり方が毎回変わると、前回との違いが分かりません。
流入減の原因が切り分けられない場合は、無料相談で現状のデータを一緒に見てもらうところから始められます。検索経由の集客そのものを見直す段階ならWeb集客改善サービスもあります。
よくある質問
流入が減ったら、まず何を見ればいいですか
計測設定の変更履歴と前年同月の推移です。この2つで説明がつく減少は珍しくありません。それを外してから、順位と検索面の話に進みます。
生成AIの影響かどうかは、どう判断しますか
平均順位が維持されているのに流入だけが落ちているクエリ群を探します。順位も一緒に落ちているなら原因は順位側です。順位維持で流入減という組み合わせが出た領域だけが、検索面の変化の候補になります。
流入が減っても問い合わせが減っていません。対応は必要ですか
急ぐ必要はありません。比較検討の工程が検索側で終わり、検討が進んだ人だけが来ている状態です。記録だけ残し、問い合わせ件数が動き始めたときに着手します。
生成AI経由の流入で埋め合わせられますか
現時点では量が足りません。PLAN-Bマーケティングパートナーズが2025年にGA4で調べた結果では、83.0%のサイトで生成AI経由のセッションが増えていた一方、総流入の1%未満にとどまっていました。増加率の大きさと事業への寄与は別に見てください。
分析を外部に任せる場合、何を確認すればいいですか
成果物に順位と流入の対照、クエリ群別の分解、計測変更の影響の除外が入っているかです。この3点がない報告は結論を再現できません。断定的な説明よりも、確からしさの幅を示す説明のほうが判断に使えます。
まとめ
- AI検索の影響だと決める前に、計測と季節性を先に外します。原因の候補を並べずに結論を出すと、打ち手が全部ずれます
- 順位と流入を同じ期間で並べ、順位が維持されているのに流入が落ちた領域を探します。この組み合わせが出ている場所だけが、検索面の変化の候補です
- 情報収集型のクエリから先に落ち、指名と取引型は後に残ります。この順番を知っていると、どのページ群から手を入れるかが決まります
- 件数の減少と、問い合わせの減少を分けて見ます。件数だけが落ちて問い合わせが落ちていないなら、失ったのは事業に効かない流入です
- 流入の減少幅ではなく、問い合わせ件数が計画を割ったかどうかで起動します。流入の変動だけで動くと、対応が年中止まりません
- 順位、表示のされ方、内部の変更履歴の3つを、同じ時間軸で残します。後から原因を特定できるかどうかは、記録の有無で決まります
- ひとつの原因ですべてを説明しようとすることです。流入の減少はたいてい複数の要因が重なっており、割合で示さないと打ち手が決まりません
- 計測、季節、順位、検索面の順に外していきます。この順番でないと、残った要因が何だったのか分からなくなります