
計上は足し算で行われ、増分は引き算でしか出ないからです。
広告がなくても起きた申し込みが、計上の中に混ざっています。
なお、TimeValue株式会社では、広告運用・クリエイティブ制作・LP改善・データ分析・AI導入までを一括で引き受けるWebマーケティング支援「KAIZEN」を提供しています。
現在、オンラインの無料マーケティング診断を毎月10社限定で実施中です。いまの数字を見ながら、どこから直すのが早いかを一緒に整理します。
今月の無料診断は残り4社です
広告からLPまで、まとめて見ます。オンラインで30分から対応しています。
目次
目次
- 計上された成果と、増えた成果はなぜずれるのか
- 足し算と引き算の違い
- ずれが大きくなるのは、どの費目か
- ずれの大きい費目
- 増分で考えると、予算の議論はどう変わるのか
- 議論の対象が変わる
- 効いていない広告費は、どうやって目星をつけるのか
- 費用を配信の対象で分ける
- 確かめ方には、どんな選択肢があるのか
- 3つの方法の違い
- 増分の考え方を入れると、組織で何が起きるのか
- 抵抗が生まれる場所
- 代理店との契約に、どう反映するのか
- 評価指標が噛み合っていない
- 疑う順番をどう置くか
- 増分を測る数字を決める
- よくある質問
- まとめ
計上は足し算で行われ、増分は引き算でしか出ないからです。
広告がなくても起きた申し込みが、計上の中に混ざっています。
計上された成果と、増えた成果はなぜずれるのか
計上は足し算で行われ、増分は引き算でしか出ないからです。
広告がなくても起きた申し込みが、計上の中に混ざっています。
広告の成果は、配信した期間に起きた申し込みのうち、広告に触れたものとして記録されます。
記録の作り方は、関与したものを拾う足し算です。
一方で、投資の判断に必要なのは、広告があったことで増えた分です。
足し算と引き算の違い
足し算は、配信の記録から出せます。
引き算は、広告がなかった場合と比べなければ出せません。
比べる相手がないまま、足し算の数字を増分として扱っているのが通常の状態です。
2つの数字の性質
| 数字 | 出し方 | 使える判断 |
|---|---|---|
| 計上された成果 | 配信の記録から集計 | 運用の良し悪しの確認 |
| 増えた成果 | 比較する対象との差 | 投資を続けるかの判断 |
| 計上された成果の合計 | 媒体ごとの合計 | 全体の規模感 |
| 増えた成果の合計 | 全体での比較 | 予算総額の妥当性 |
予算総額の議論で問題になる
媒体間の配分を微調整する場面では、足し算の数字でもおおむね足ります。
問題が出るのは、予算の総額を増やすか減らすかを決める場面です。
足し算の数字は、総額が正しいかを答えません。
決裁者が置く問い
いまの広告費のうち、なくなっても売上が変わらない部分はいくらか。この問いに答えられる資料が、稟議の場に出てくることはほとんどありません。
ずれが大きくなるのは、どの費目か
既に自社を知っている人に向けた配信です。
指名検索への出稿と、再訪問者向けの配信でずれが最も大きくなります。
すべての広告費で、計上と増分のずれが同じわけではありません。
配信の対象によって、ずれ方に傾向があります。
ずれの大きい費目
自社を知っている人は、広告がなくても別の経路でたどり着く可能性があります。
その人に広告を当てると、計上は増えますが、増分は小さくなります。
配信の対象と、ずれの大きさ
| 配信の対象 | 計上の出やすさ | 増分の大きさ | 疑う優先度 |
|---|---|---|---|
| 指名検索への出稿 | 出やすい | 小さいことがある | 高い |
| 再訪問者向けの配信 | 出やすい | 小さいことがある | 高い |
| 既存顧客向けの配信 | 出やすい | 小さいことがある | 高い |
| 購買意欲が高い層への配信 | 出やすい | 中くらい | 中くらい |
| 比較検討層への配信 | 中くらい | 中くらい | 中くらい |
| 未認知層への配信 | 出にくい | 大きいことがある | 低い |
自動化された配信でも同じことが起きる
配信先の選定が自動化されている場合、成果が出やすい対象に寄ります。
成果が出やすい対象とは、申し込みに近い人です。
つまり自動化は、計上を増やす方向に働きます。
効率がよく見える施策ほど疑う
管理画面で最もCPAがよい施策は、最も増分が小さい施策であることがあります。
効率の順位と、増分の順位は一致しません。
効率がよい施策を増やし続けると、増分の小さい支出が積み上がります。
未認知層への配信は逆になる
計上が出にくいため、管理画面の評価は低くなります。一方で、その接点がなければ起きなかった申し込みが含まれます。計上値だけで判断すると、増分の大きい支出から先に削ることになります。
増分で考えると、予算の議論はどう変わるのか
総額の議論ができるようになります。
どこを削るかではなく、どこまで増やせるかを数字で話せます。
足し算の数字だけで会議をすると、議論は配分の話に閉じます。
増分の考え方を入れると、話せる範囲が広がります。
議論の対象が変わる
使う数字と、できる議論
| 使う数字 | できる議論 | できない議論 |
|---|---|---|
| 計上されたCVとCPA | 媒体間の配分の調整 | 総額の妥当性 |
| 計上された成果の推移 | 運用の良し悪し | 投資を続けるかの判断 |
| 増分の推定 | 総額の増減 | 日々の運用の改善 |
| 増分と計上の差 | どの費目を疑うか | 個別の配信の調整 |
| 増分あたりの費用 | 追加投資の判断 | 媒体別の順位 |
増やす判断ができるようになる
増分が確認できている施策については、増やす根拠が作れます。
根拠がないと、予算の増額は前年比の議論にしかなりません。
Comexposium Japanが2025年12月に実施した調査では、2026年の予算を増やす企業が38.5%で前年比6.2ポイント増、横ばいが50.5%でした。
増額を通すには、増やした分が増分になるという説明が要ります。
削る場面でも順番が変わる
Macbee Planetが2025年12月に実施した調査では、削減対象としてBtoCでイベントや展示会が42.9%、CRMやリテンションが40.7%挙がっていました。
削る順番を計上値で決めると、増分の大きい支出から削ることがあります。
増分の考え方を持っていると、削る順番の根拠が変わります。
経営との会話が成立する
経営が知りたいのは、その支出をやめたら何が起きるかです。計上値では、この問いに答えられません。
効いていない広告費は、どうやって目星をつけるのか
計上値と、経路の性質を照らし合わせます。
自社を既に知っている人への配信に、どれだけ費用が向いているかを出します。
実際に確かめる前に、目星をつける作業ができます。
既存のデータで足ります。
費用を配信の対象で分ける
媒体別ではなく、配信の対象別に費用を分類します。
自社を知っている人に向けた費用が、全体の何割かを出します。
費用の分類と、見るべき点
| 分類 | 見る数字 | 疑う目安 |
|---|---|---|
| 指名検索への出稿 | 費用と計上CV | 指名検索の総量に対する割合 |
| 再訪問者向けの配信 | 費用と計上CV | 訪問者の総数に対する頻度 |
| 既存顧客向けの配信 | 費用と計上CV | 既存の購買頻度との関係 |
| 購買意欲が高い層 | 費用と計上CV | 自動化の比重 |
| 未認知層への配信 | 費用と計上CV | 費用の絶対額 |
指名検索の総量と比べる
指名検索への出稿は、自社名で検索した人に広告を出す施策です。
広告を出さなくても、多くは自社のサイトにたどり着きます。
出稿していない期間の流入と比べると、目星がつきます。
配信の頻度を見る
同じ人に何度も広告を当てている場合、後半の接触の増分は小さくなります。
1人あたりの接触回数が極端に多い配信は、疑う対象です。
目星の段階では止めない
目星をつけた段階では、まだ仮説です。確かめずに止めると、実は効いていた支出を失います。
確かめ方には、どんな選択肢があるのか
実際に配信を変えて比べる方法と、推定する方法があります。
費用と得られる確かさが違うため、対象によって使い分けます。
増分を確かめる方法は、大きく3つに分かれます。
3つの方法の違い
確かめ方の選択肢を、項目ごとに見ていきます。
配信を変えて比べるについては、得られる確かさは高い、費用は中くらい、向く対象は疑いの強い費目。
集計データから推定するについては、得られる確かさは中くらい、費用は中くらい、向く対象は全体の配分。
媒体が提供する比較の仕組みについては、得られる確かさは中くらい、費用は小さい、向く対象は媒体内の施策。
過去の出稿停止期間との比較については、得られる確かさは低い、費用は小さい、向く対象は参考としての確認。
実際に変えて比べる方法
配信の範囲を区切って変え、変えなかった範囲と比べる方法です。
最も確かな結果が得られますが、設計と期間の管理が必要になります。
疑いが強く、金額の大きい費目から順に当てます。
集計データから推定する方法
出稿量と売上の時系列から、各チャネルの寄与を推定する方法があります。
Googleはオープンソースのマーケティングミックスモデルとして、Meridianを提供しています。
地域単位の実験を扱うMeridian GeoXは近日公開とされています。
順番を決める
すべてを確かめる必要はありません。金額が大きく、ずれが大きそうな費目から順に、年に1つか2つずつ確かめます。確かめた結果は蓄積され、翌年以降の判断が速くなります。
増分の考え方を入れると、組織で何が起きるのか
現場の評価が下がって見えます。
評価の基準を同時に変えないと、確かめること自体に抵抗が生まれます。
増分で見ると、これまで高く評価されていた施策の評価が下がります。
担当者にとっては、自分の成果が否定されるように見えます。
抵抗が生まれる場所
増分の導入で起きる反応を、項目ごとに見ていきます。
運用の担当者については、起きやすい反応は評価が下がることへの抵抗、事前に伝えることは評価の基準も変えること。
代理店については、起きやすい反応は計上値での実績が使えなくなる、事前に伝えることは契約の評価指標の変更。
経営については、起きやすい反応は数字が減ったことへの疑問、事前に伝えることは減ったのは記録であること。
営業については、起きやすい反応はリードが減る期間への不安、事前に伝えることは期間と範囲の事前共有。
経理については、起きやすい反応は費用の説明の変更、事前に伝えることは報告の形の変更。
評価の基準を同時に変える
増分で判断しながら、評価は計上値のまま続けると、現場は計上値を増やす行動を取ります。
判断の基準と評価の基準を揃えます。
確かめる期間の位置づけを説明する
増分を確かめる期間は、短期の数字が悪化することがあります。
この期間を失敗として扱わない合意を、先に取ります。
一度に全部を変えない
年に1つか2つの費目から始めます。全社の評価を一度に変えると、運用が止まります。
代理店との契約に、どう反映するのか
計上値だけを評価指標にした契約は、増分の議論と噛み合いません。
評価指標の見直しを、契約の更新時に行います。
Testifyが2026年5月に実施した調査では、代理店を活用している企業が9割を超え、全面委託が37.2%、併用が54.4%でした。
同じ調査で、代理店への不満として経営層の56.3%が費用が成果に見合わないことを挙げていました。
評価指標が噛み合っていない
計上CPAを評価指標にすると、代理店は計上値を増やす配信を選びます。
その選択は契約上は正しく、増分の観点では逆になります。
噛み合っていないのは、担当者ではなく契約です。
契約に入れておくことを、項目ごとに見ていきます。
評価に使う指標については、内容は計上値と自社の申し込み総数の両方。
確かめる期間の扱いについては、内容は短期の数字の悪化を許容する範囲。
配信対象別の費用の報告については、内容は自社を知っている層への費用の内訳。
実験への協力については、内容は範囲を区切った検証への協力の義務。
報告に含める前提については、内容は計上の基準と変更の履歴。
配信対象別の費用を報告してもらう
媒体別の報告だけでは、どの層に費用が向いているかが分かりません。
配信対象別の内訳を、定例の報告に入れてもらいます。
実験に協力する義務を書いておく
範囲を区切って配信を変える検証は、代理店の協力が要ります。契約に書いていないと、都度の交渉になります。
疑う順番をどう置くか
配信対象別に費用を分けることからです。
金額が大きく、自社を既に知っている層に向いている費用から疑います。
いきなり確かめる作業に入らず、順番をつけます。
見直しの進め方を、項目ごとに見ていきます。
1については、やることは媒体別ではなく配信対象別に費用を分ける、関わる人は実務担当、期間の目安は3週間。
2については、やることは自社を知っている層への費用の割合を出す、関わる人は実務担当、期間の目安は1週間。
3については、やることは金額とずれの大きさで疑う順位をつける、関わる人はマーケ責任者、期間の目安は2週間。
4については、やることは評価の基準を変えることを関係者に共有する、関わる人はマーケ責任者、期間の目安は2週間。
5については、やることは上位の1つか2つについて確かめ方を決める、関わる人はマーケ責任者、期間の目安は3週間。
6については、やることは結果を翌期の予算の根拠に反映する、関わる人はマーケ責任者と事業責任者、期間の目安は1か月。
増分を測る数字を決める
数字は説明のための仮の値です。
たとえば月間の広告費が2,000万円で、自社を既に知っている層への配信が700万円なら、全体の35%です。
このうち増分が半分だったとすると、350万円が判断の対象になります。
増分を測る数字を、項目ごとに見ていきます。
配信対象別の費用の内訳については、見る頻度は月次、目安の考え方はどこに費用が向いているか。
自社を知っている層への費用の割合については、見る頻度は四半期、目安の考え方は疑う対象の規模。
自社の申し込み総数については、見る頻度は月次、目安の考え方は計上値に依存しない基準。
確かめた費目の数と金額については、見る頻度は年次、目安の考え方は検証の進み方。
確かめた結果と計上値の差については、見る頻度は検証のたび、目安の考え方はずれの実際の大きさ。
一度で終わらせない
市場も配信の仕組みも変わります。
年に1つか2つずつ確かめ、数年で主要な費目を一巡させます。
確かめた結果を残す
確かめた費目と結果を一覧にして残します。
残っていないと、担当者が変わるたびに同じ疑問から始まります。
疑わない費目も決める
金額が小さい費目や、既に確かめた費目は対象から外します。
全部を疑い続けると、運用が止まります。
効いていない広告費がどこにあるか分からない場合は、無料相談で現状の費用構成を整理するところから始められます。予算の配分ごと見直す段階ならWeb集客改善サービスもあります。
よくある質問
管理画面のCVは増分ではないのですか
計上は配信に関与したものを拾う足し算で、広告がなくても起きた申し込みが含まれます。増えた分は比較する対象がなければ出せないため、計上値をそのまま増分として扱うことはできません。
どの費目から疑えばいいですか
自社を既に知っている人に向けた配信です。指名検索への出稿、再訪問者向けの配信、既存顧客向けの配信は計上が出やすく、増分が小さいことがあります。媒体別ではなく配信対象別に費用を分けて金額の大きい順に見てください。
効率のよい施策は増やすべきではないのですか
管理画面で最もCPAがよい施策が、最も増分が小さいことがあります。効率の順位と増分の順位は一致しないため、効率だけを根拠に増額を続けると増分の小さい支出が積み上がります。
確かめるにはどんな方法がありますか
配信の範囲を区切って変えて比べる方法、集計データから推定する方法、媒体が提供する比較の仕組みがあります。確かさと費用が違うため、金額が大きく疑いの強い費目から年に1つか2つずつ当ててください。
社内の反発が心配です
増分で見ると既存の評価が下がって見えるため、判断の基準だけを変えると現場は計上値を増やす行動を続けます。評価の基準も同時に変え、確かめる期間の数字の悪化を失敗として扱わない合意を先に取ってください。
まとめ
- 計上は足し算で行われ、増分は引き算でしか出ないからです。広告がなくても起きた申し込みが、計上の中に混ざっています
- 既に自社を知っている人に向けた配信です。指名検索への出稿と、再訪問者向けの配信でずれが最も大きくなります
- 総額の議論ができるようになります。どこを削るかではなく、どこまで増やせるかを数字で話せます
- 計上値と、経路の性質を照らし合わせます。自社を既に知っている人への配信に、どれだけ費用が向いているかを出します
- 実際に配信を変えて比べる方法と、推定する方法があります。費用と得られる確かさが違うため、対象によって使い分けます
- 現場の評価が下がって見えます。評価の基準を同時に変えないと、確かめること自体に抵抗が生まれます
- 計上値だけを評価指標にした契約は、増分の議論と噛み合いません。評価指標の見直しを、契約の更新時に行います
- 配信対象別に費用を分けることからです。金額が大きく、自社を既に知っている層に向いている費用から疑います