
値引きの決裁が現場に降りていて、その場での受注が評価されるからです。
一件ごとには合理的な判断でも、積み上がると価格の水準そのものが下がります。
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目次
目次
- 値引きが止まらなくなるのは、どういう構造か
- 方針だけでは止まらない理由
- 値引きをやめる判断は、どの数字で下すのか
- 記録の仕組みを先に作る
- 値引きをやめると、どこまで失注が増えるのか
- 失注の規模を期の前に見積もる
- 値引き以外で、何を比較の材料にするのか
- 材料は会社として用意する
- 一度に上げるのか、段階的に戻すのか
- 戻す期間を先に決めて共有する
- 営業の現場が納得しない場合に、何を変えるのか
- 例外の条件を文書にする
- 値引きを残してよいのは、どんな場面か
- 値引きではなく、内容を変える選択肢を持つ
- 値引きを外す手順を、どう組むのか
- よくある質問
- まとめ
値引きの決裁が現場に降りていて、その場での受注が評価されるからです。
一件ごとには合理的な判断でも、積み上がると価格の水準そのものが下がります。
値引きが止まらなくなるのは、どういう構造か
値引きの決裁が現場に降りていて、その場での受注が評価されるからです。
一件ごとには合理的な判断でも、積み上がると価格の水準そのものが下がります。
値引きをやめられない会社で、誰かが間違った判断をしているわけではありません。
個々の場面では、値引いて受注するほうが正しく見えます。
目の前の商談は、値引けば取れて、値引かなければ失注します。
担当者の判断としては、取るほうが正しくなります。
この判断が積み重なると、値引き後の価格が実勢の価格になります。
定価は残っていても、実際に売れている価格は別の水準に移ります。
移った先の水準は、社内では見えにくくなります。
個別の案件の決裁は通っており、記録は案件ごとに分かれているためです。
次に働くのが、履歴の効果です。
一度値引いた相手は、次も同じ条件を前提に交渉に入ります。
既存顧客の更新のたびに、水準が下がっていきます。
値引き幅が同じでも、下がった価格からさらに引くので、実額は毎回下がります。
新規の商談でも、過去の条件が相手に伝わることがあります。
同じ業界の中で情報が回ると、初回から値引き前提の交渉になります。
さらに、社内の予算の組み方も追随します。
値引き後の価格で予算を組むと、定価は形だけのものになります。
新しく入った担当者は、その時点の価格を標準として認識します。
戻し方を知っている人がいなくなると、構造として固定されます。
もう一つの原因は、値引きの原価が見えていないことです。
値引きは、そのまま利益から引かれます。
売上の数字では小さく見えても、利益への影響は大きくなります。
値引き率と利益率の関係を出していない会社では、この感覚が共有されていません。
方針だけでは止まらない理由
値引きをやめるという方針を出しても、決裁の仕組みと評価の仕組みが同じなら結果は変わりません。
方針は会議で共有され、翌週の商談で例外として扱われます。
例外が数回続くと、方針は実質的に無効になります。
無効になったことは誰も報告しないので、経営の側には守られている前提が残ります。
そのため、止める場所を仕組みの側で決める必要があります。
決裁の権限、評価の基準、例外の条件の三つが対象になります。
この三つを決めるのは、営業責任者と経営です。
マーケティング部門だけで価格の方針を出しても、決裁と評価は動かせません。
決める時期は、次の期の評価の基準を確定させる前です。
評価の基準が固まった後に方針だけを出すと、その期は前年と同じ行動が続きます。
個々の判断は正しく、積み上がった結果だけが誤ります。決裁の権限、評価の基準、例外の条件を変えないと方針は無効になります。
値引きをやめる判断は、どの数字で下すのか
値引き率の分布と、値引きの有無による受注率の差を出します。
平均の値引き率だけを見ていると、どこで何が起きているかが分かりません。
値引きの議論は、感覚で始まることが多い領域です。
実態を数字で出すところから始めます。
最初に出すのは、平均ではなく分布です。
平均の値引き率が5%でも、半分の案件が値引きなしで、残りが10%を超えていることがあります。
どの層に集中しているかを見ないと、対処の場所が決まりません。
平均を下げる指示を出すと、値引きしていない案件にも制限がかかります。
次に出すのは、値引きの有無による受注率の差です。
値引いた案件と値引かなかった案件で、受注率を比べます。
差が小さければ、値引きが受注の理由になっていません。
この場合、値引きは交渉の作法として行われているだけです。
差が大きい場合も、そのまま値引きが効いていることにはなりません。
値引きが必要な案件に偏っているだけの可能性があります。
見分けるには、商品と顧客の規模で分けて比べます。
同じ条件の案件の中で差が出ているなら、値引きが受注を動かしています。
数字は説明のための仮の値です。
利益率が30%の商材で10%値引くと、利益は3分の1が消えます。
同じ利益を保つには、販売数量を5割近く増やす必要があります。
この計算を営業の場で共有すると、値引きの議論の前提が変わります。
値引きの実態を出すために集計する項目
| 出す項目 | 見る単位 | 分かること |
|---|---|---|
| 値引き率の分布 | 案件ごと | どの層に集中しているか |
| 値引きの有無と受注率 | 商品と顧客規模別 | 値引きが効いているか |
| 値引きの理由の記録 | 案件ごと | 競合か予算か関係か |
| 値引き後の利益率 | 案件ごと | 採算の割れている層 |
| 担当者別の値引き率 | 担当ごと | 判断のばらつき |
このうち、最も揃っていないことが多いのが理由の記録です。
競合に対抗したのか、相手の予算に合わせたのか、関係の維持のためか、期末の数字合わせか。
理由を記録していないと、やめてよい値引きとやめられない値引きの区別がつきません。
区別がつかないまま制限すると、必要な値引きまで止まります。
記録の仕組みを先に作る
理由の記録は、案件の登録の時点で選ぶ形にします。
後から入力する形にすると、思い出せないまま空欄が残ります。
選択肢は五つ前後に絞ります。
多すぎると、どれにも当てはまらないという理由で記録が止まります。
記録を始めてから集計に使えるようになるまで、3か月から6か月かかります。
そのため、値引きの見直しを来期に予定しているなら、今期のうちに記録を始めます。
記録の仕組みを作る決定は、営業責任者が下します。
マーケティング部門から依頼しても、入力するのは営業なので合意が要ります。
合意を得やすくするには、記録の用途を先に示します。
値引きを責める材料ではなく、必要な値引きを守るための材料だと示す形です。
実際、理由の記録がないと制限は一律になります。
一律の制限は、交換として成立している値引きまで止めます。
平均ではなく分布と理由を出してください。理由の記録は集計に使えるまで3か月から6か月かかるため、見直しの前の期に始めます。
値引きをやめると、どこまで失注が増えるのか
価格だけで決めている層は失注します。
その層が全体の何割かを先に出しておけば、失注の規模を見積もれます。
値引きをやめる判断の障害は、失注への不安です。
不安の大きさは、実際の規模より大きくなりがちです。
大きくなるのは、失注が個別の顔として見えるからです。
失った案件は名前で記憶に残り、残った利益は数字にしかなりません。
見積もりの方法は、顧客を三つに分けることです。
価格だけで決める層、価格と内容の両方を見る層、内容で決める層です。
この三つで、値引きをやめたときの反応が違います。
既存の顧客がどの層に分布しているかを出します。
価格だけで決める層は、多くが失注します。
ただし、この層は値引き率が高く、利益率が低く、更新率も低い傾向があります。
件数では大きく見えても、利益への貢献は小さい場合があります。
失注した場合の利益への影響を先に計算すると、判断が変わることがあります。
価格と内容の両方を見る層は、一部が失注します。
残るかどうかは、説明の材料があるかで決まります。
内容で決める層は、ほとんど残ります。
この層に対しては、値引きがそもそも受注の理由になっていません。
既存の更新は、条件の再交渉になります。
失注ではなく、説明の期間が必要になる領域です。
紹介による案件は、価格の話になりにくい性質があります。
影響はほぼないので、失注の見積もりからは外せます。
失注の規模を期の前に見積もる
値引きをやめる前に、価格だけで決める層の件数と利益を出します。
この層をすべて失った場合の利益が、現状より下がらないなら実行できます。
下がる場合は、段階的に進めます。
段階の刻み方は、値引き率の上限を期ごとに下げる形が扱いやすくなります。
見積もりは、経営と営業責任者の合意として記録します。
記録しておかないと、実際に失注が出たときに判断そのものが疑われます。
失った案件が競合に流れることも、織り込んでおきます。
同じ相手が数年後に戻ることがあるので、戻れるだけの認知が残っているかが次の論点になります。
戻ってくる経路は、契約の更新の時期に自社が候補として思い出されることです。
その時期に接触が途切れていると、比較の候補にすら入りません。
そのため、失注した相手を消さずに残す運用を決めておきます。
残す期間は、その商材の契約の期間に合わせます。
価格だけで決める層の件数と利益を先に出してください。すべて失っても利益が下がらないなら実行でき、下がるなら段階的に進めます。
値引き以外で、何を比較の材料にするのか
検討の場で価格と並べられる材料を用意します。
導入後の総額、失敗したときの損失、対応の速さのように、金額に換算できる形で出します。
価格の話を避けようとすると、抽象的な価値の説明になります。
決裁の場では、金額に換算できない材料は比較の対象になりません。
最初に用意するのは、期間の総額です。
導入時の価格だけでなく、運用にかかる人手、切り替えの費用、期間中の追加の費用を含めた総額で出します。
初期の価格が高くても、総額で下回ることがあります。
この比較は、決裁者が最も納得しやすい形になります。
出す期間は、3年が扱いやすくなります。
1年だと初期費用の差が大きく出すぎ、5年だと前提が動きすぎます。
次に用意するのは、失敗したときの損失です。
安いほうを選んで想定どおりに動かなかった場合、何が起きるか。
やり直しの期間、その間の機会損失、担当者の工数。
これを金額で示すと、価格差との比較になります。
この材料は、脅しの形にしないことが条件になります。
自社の過去の案件で実際にやり直しが起きた例を、一般化して示す形にします。
三つ目は、対応の速さです。
問い合わせから回答までの実績を数字で出します。
この材料は決裁者より実務の担当に効きます。
実務の担当が推す理由になるので、決裁の場に持ち込まれる前の段階で働きます。
四つ目は、実績の数です。
同じ業種や規模での件数を示すと、決裁者と実務の担当の両方に効きます。
五つ目は、移行のしやすさです。
切り替えにかかる期間を示すと、実務の担当の不安が下がります。
材料は会社として用意する
これらの材料を各担当者が個別に作ると、内容がばらつきます。
ばらついた材料は、相手が複数の担当者と話したときに信用を落とします。
会社として用意し、どの商談でも同じものが出る状態にします。
用意するのは、マーケティング部門と営業の合同になります。
材料を渡さずに値引きを禁止すると、失注だけが増えます。
現場は価格の話を止める手段を持たないまま、結果だけを問われます。
そのため、材料の用意が値引きをやめる前の条件になります。
用意にかかる期間は6週間前後を見ておきます。
期間の大半は、数字を集める作業に使われます。
対応の速さの実績も、失敗時の損失の例も、社内の記録から拾う必要があります。
拾えない項目は、その場で作らずに落とします。
根拠のない数字を材料に入れると、商談で問われたときに信用を失います。
金額に換算できない材料は比較の対象になりません。材料を会社として用意してから、値引きの制限に進んでください。
一度に上げるのか、段階的に戻すのか
新規と既存で分けます。
新規は次の期から新しい基準で始められますが、既存は更新の時期に合わせて段階的に戻します。
値引きをやめる進め方には、いくつかの選び方があります。
どれを選ぶかで、当期の売上への影響が変わります。
新規から先に変えるのが、最も摩擦の少ない形です。
新規の商談には、過去の条件がありません。
新しい基準を適用しても、交渉の起点が下がりません。
当期の売上への影響も、既存を動かす場合より小さくなります。
既存は、更新の時期に合わせて順に戻します。
一斉に通知すると、同じ時期に解約の検討が集中します。
集中すると、営業の対応が追いつきません。
対応が追いつかない相手から順に離れるので、失注が想定より増えます。
更新の時期ごとに順に戻すと、対応の負荷が分散します。
1年かけて全体を戻す形になりますが、失注は少なく済みます。
全体を一斉に戻す方法もあります。
当期の売上への影響が大きく、摩擦も大きくなります。
この方法を選ぶのは、採算が割れていて時間の余裕がない場合に限られます。
その場合でも、価格以外の材料は先に用意しておきます。
値引き率の上限を下げる方法は、影響が最も小さくなります。
一度に禁止せず、現場で決裁できる上限を期ごとに下げます。
決裁の権限を上げる方法も、同じ効果があります。
上限を超える値引きは、上位の決裁に回す形にします。
戻す期間を先に決めて共有する
何年かけてどこまで戻すかを、期初に示します。
期間が見えていないと、現場は一時的な方針だと受け取ります。
一時的だと受け取られると、様子を見るという行動になります。
数か月で元に戻る前例があるほど、この受け取り方は強くなります。
示すのは、最終的な水準と、そこに至るまでの各期の上限です。
数字で示すと、現場は期ごとの目標として扱えます。
示す相手は、営業の全員です。
責任者だけに共有すると、現場では例外の判断が続きます。
共有の場は、期初の方針を伝える会議に含めます。
別枠の説明会にすると、参加しなかった人に伝わりません。
新規から先に変え、既存は更新の時期に合わせて順に戻してください。最終的な水準と各期の上限を、期初に営業の全員へ示します。
営業の現場が納得しない場合に、何を変えるのか
評価の仕組みです。
受注件数だけで評価している状態で値引きを禁止すると、担当者にとって不利益だけが残ります。
値引きをやめる方針が現場で守られない理由の大半は、評価の仕組みにあります。
仕組みを変えないまま説得を続けても、行動は変わりません。
受注の件数や売上の金額で評価していると、値引いてでも取るほうが担当者に有利です。
値引きを控えて失注すれば、その担当者の評価だけが下がります。
つまり、方針は会社の利益になり、実行の不利益は個人が負う構造です。
この構造では、方針が守られないほうが自然になります。
値引き後の利益額で評価すると、値引きの判断が変わります。
同じ売上でも、値引き幅が小さいほうが評価されます。
この変更は、評価の期の途中では行いません。
期の途中で基準を変えると、それまでの実績の扱いが決まりません。
抵抗の理由は、評価だけではありません。
価格の話を止める材料がないことが、二つ目の理由です。
材料が未整備なら、会社として用意します。
これは前の段階で済ませておく作業です。
三つ目は、競合が値引いてくるという情報です。
競合の価格の記録が共有されていないと、この主張の真偽が確かめられません。
記録を集める仕組みを作ると、実際には値引きが必要でない案件が見えてきます。
失注した案件の最終価格を可能な範囲で記録する形が現実的です。
四つ目は、既存の顧客との関係が壊れるという懸念です。
説明の手順がないことが原因なので、説明の型を用意します。
五つ目は、上司が例外を認めることです。
決裁の基準が曖昧なまま個別に判断していると、条件が形だけになります。
例外の条件を文書にする
値引きを認める場面を、条件として書き出します。
条件に合わない値引きは通らない状態にします。
文書にしないと、判断が決裁者の個人差に依存します。
個人差があると、現場は通りやすい決裁者を選ぶようになります。
条件の文書は、営業責任者と経営の連名で出します。
連名にしておくと、期の途中で緩める判断が出にくくなります。
あわせて、最初の数か月は数字が落ちる前提で計画します。
戻し始めた直後は、受注の件数が落ちます。
この期間を織り込んだ計画にしておかないと、数か月でもとに戻ります。
織り込む期間は、商談の長さによりますが3か月から6か月を見ておきます。
織り込むというのは、その期間の受注件数の目標を下げることを意味します。
目標を据え置いたまま値引きを制限すると、現場は達成不能な条件に置かれます。
下げ幅は、価格だけで決める層の比率から計算できます。
その層の件数がそのまま減ると仮定した水準を、下限として置きます。
評価の仕組みを利益基準に変えないと、方針は個人の不利益になります。例外の条件は文書にし、営業責任者と経営の連名で出してください。
値引きを残してよいのは、どんな場面か
単価ではなく取引の総量が変わる場合です。
数量の増加、契約期間の延長、支払いの条件のように、こちらの得るものが増える交換であれば値引きは成立します。
値引きをすべてなくす必要はありません。
交換として成立しているかで区別します。
判断の基準は単純で、値引きの見返りに何を得ているかです。
数量、期間、支払いの条件、事例としての公開、紹介。
何も得ていない値引きは、単なる価格の引き下げです。
引き下げた分は、そのまま利益から消えます。
この区別を文書にすると、現場での判断が速くなります。
交換になっているかどうかは、その場で確認できるためです。
値引きの理由と、残すかどうかの判断
| 値引きの理由 | 交換として成立するか | 扱い |
|---|---|---|
| 数量が増える | する | 残す |
| 契約期間が延びる | する | 残す |
| 支払い条件が良くなる | する | 残す |
| 事例として公開できる | する | 条件つきで残す |
| 競合が安いから | しない | やめる |
| 期末の数字合わせ | しない | やめる |
| 関係の維持のため | しない | やめる |
このうち、期末の数字合わせは最も高くつきます。
期末に数字を作るための値引きは、翌期の価格の起点を下げます。
その期の数字は埋まりますが、翌期以降に影響が残ります。
翌期も同じ時期に同じ値引きを求められるので、毎年の慣行になります。
関係の維持のための値引きも、交換にはなっていません。
関係が価格で保たれているなら、それは価格で切れる関係です。
事例としての公開を見返りにする場合は、条件を詰めます。
公開の範囲、掲載の期間、社名を出すかどうかを契約に書きます。
書かないまま値引くと、公開の段階で断られることがあります。
その場合、値引きだけが残ります。
断られる理由の多くは、相手の社内の広報の判断です。
担当者が同意しても、公開の承認は別の部署が持っていることがあります。
そのため、公開を条件にする値引きは、相手の承認の経路を確認してから決めます。
確認できない場合は、値引きではなく別の交換に切り替えます。
値引きではなく、内容を変える選択肢を持つ
価格を下げる代わりに、提供する範囲を狭める選択肢を用意します。
同じ内容で価格だけ下げると、価格の水準が下がります。
範囲を変えれば、価格の基準は維持されます。
相手の予算に合わせる必要がある案件では、この形が使えます。
用意するのは、標準の内容から何を外した形かを明記した組み合わせです。
組み合わせを事前に決めておかないと、案件ごとに個別の設計になります。
個別の設計は、原価が読めません。
読めないまま値引きの代わりに使うと、値引きより損失が大きくなることがあります。
組み合わせを決めるのは、商品を持つ部門と営業です。
外す範囲が提供の品質に響くかどうかは、商品側でしか判断できません。
決めた組み合わせは、価格表と同じ場所に置きます。
別の資料にすると、商談の場で使われないまま個別の設計が続きます。
見返りのない値引きは価格の引き下げです。予算に合わせる必要があるなら、価格ではなく提供する範囲を変えてください。
値引きを外す手順を、どう組むのか
実態の把握と材料の用意が先で、値引きの制限は最後です。
順番を逆にすると、失注だけが増えて数か月で元に戻ります。
値引きからの脱却は、方針の宣言ではなく手順の設計です。
宣言から始めると、材料も評価の仕組みもないまま現場が制限を受けます。
値引きを縮小するまでの工程
| 順番 | やること | 関わる人 | 期間の目安 |
|---|---|---|---|
| 1 | 過去12か月の値引き率の分布と理由を集計する | 営業・経営企画 | 3週間 |
| 2 | 顧客を価格重視と内容重視に分けて利益を出す | 営業・経営企画 | 2週間 |
| 3 | 価格以外の比較材料を会社として作る | マーケ・営業 | 6週間 |
| 4 | 例外として認める条件を文書にする | 営業責任者と経営 | 2週間 |
| 5 | 評価の仕組みを利益基準に変える | 経営・人事 | 4週間 |
| 6 | 新規から新しい基準を適用する | 営業 | 次の期から |
この工程は、着手から適用までで4か月前後が目安になります。
期初から適用するには、前の期の第3四半期には1を始めます。
材料の用意の6週間は、飛ばさないようにします。
比較材料がないまま制限を始めると、現場に不利益だけが残ります。
この6週間が、全体の成否を分けます。
飛ばした場合、数か月後に例外が増えて元の水準に戻ります。
既存顧客への説明は、更新の3か月前から始めます。
更新の直前に条件の変更を伝えると、解約の検討に入られます。
3か月前から、変更の理由と提供する内容を説明します。
説明の型は会社として用意し、担当者ごとの言い方の差をなくします。
型に入れるのは、変更の理由、変更の時期、提供する内容の三つです。
理由を省くと、値上げの通知としてだけ受け取られます。
縮小の期間中に監視する数字
| 数字 | 見る頻度 | 判断に使うところ |
|---|---|---|
| 平均の値引き率 | 毎月 | 水準が戻っているか |
| 値引きなしの案件の比率 | 毎月 | 変化が定着しているか |
| 受注率 | 毎月 | 失注がどこまで増えたか |
| 案件あたりの利益額 | 毎月 | 売上が落ちても利益が保てているか |
| 既存の更新率 | 四半期 | 既存が離れていないか |
受注率と利益額は、必ず一緒に見ます。
受注率だけを見ると、値引きをやめた直後は必ず悪化して見えます。
利益額と並べて、売上が落ちても利益が保てているかで判断します。
この並べ方を報告の様式に入れておくと、途中で方針が揺れません。
あわせて、認知への投資を並行して進めます。
価格で戦わない状態を保つには、比較の前の段階で選ばれる必要があります。
比較の場に入ってからでは、価格以外の材料は補助的にしか働きません。
値引きをやめる判断と、認知への投資の判断は同じ時期に行います。
同じ時期に行うということは、同じ会議で決めるということです。
別々に決めると、値引きの制限だけが先に走り、失注が増えた時点で止まります。
会議に出るのは、営業責任者、マーケティング責任者、予算を承認する立場の三者です。
このうち一人でも欠けた場で決めた方針は、期中に前提を問い直されます。
着手点は宣言ではなく実態の集計です。材料の用意の6週間を飛ばすと、数か月で元の水準に戻ります。
値引きをどこまで戻せるかで判断に迷う場合は、無料相談で現状の値引きの実態を整理するところから始められます。
集客の設計ごと見直す段階ならWeb集客改善サービスもあります。
よくある質問
値引きをやめるとどれくらい失注が増えますか
価格だけで決めている層は多くが失注します。その層の件数と利益を先に集計し、すべて失った場合でも利益が現状を下回らないかを確認してください。下回る場合は、値引き率の上限を期ごとに下げる形で段階的に進めます。
何から始めればよいですか
過去12か月の値引き率の分布と、値引きの理由の集計です。平均だけを見ていると、どの層に集中しているかが分かりません。理由の記録が仕組みとして無い場合は、記録を始めてから集計に使えるまで3か月から6か月かかります。
現場が値引きをやめてくれません
受注件数や売上で評価している限り、担当者にとっては値引いて取るほうが有利です。方針は会社の利益になり、実行の不利益は個人が負う構造になっています。値引き後の利益額での評価に変えたうえで、価格以外の比較材料を会社として用意してください。
既存の顧客にはどう伝えればよいですか
一斉に通知せず、更新の時期に合わせて順に戻します。一斉に伝えると解約の検討が同じ時期に集中し、対応が追いつかない相手から離れます。更新の3か月前から、変更の理由と提供する内容を説明してください。
値引きを残してよい場面はありますか
数量が増える、契約期間が延びる、支払い条件が良くなるといった、こちらが得るものがある交換なら残します。競合が安いから、期末の数字合わせ、関係の維持という理由の値引きはやめます。予算に合わせる必要があるなら、価格ではなく提供する範囲を変えてください。
まとめ
- 値引きの決裁が現場に降りていて、その場での受注が評価されるからです。一件ごとには合理的な判断でも、積み上がると価格の水準そのものが下がります
- 値引き率の分布と、値引きの有無による受注率の差を出します。平均の値引き率だけを見ていると、どこで何が起きているかが分かりません
- 価格だけで決めている層は失注します。その層が全体の何割かを先に出しておけば、失注の規模を見積もれます
- 検討の場で価格と並べられる材料を用意します。導入後の総額、失敗したときの損失、対応の速さのように、金額に換算できる形で出します
- 新規と既存で分けます。新規は次の期から新しい基準で始められますが、既存は更新の時期に合わせて段階的に戻します
- 評価の仕組みです。受注件数だけで評価している状態で値引きを禁止すると、担当者にとって不利益だけが残ります
- 単価ではなく取引の総量が変わる場合です。数量の増加、契約期間の延長、支払いの条件のように、こちらの得るものが増える交換であれば値引きは成立します
- 実態の把握と材料の用意が先で、値引きの制限は最後です。順番を逆にすると、失注だけが増えて数か月で元に戻ります