
数える範囲、取得元、目標値の根拠、誰の指標かの四つです。
この四つを決めずに数だけを目標にすると、期の途中で定義の議論が起きて比較ができなくなります。
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目次
目次
- 指名検索をKPIに置く前に、何を決めておくのか
- この記事で扱う範囲を先に切っておく
- 指名検索の数は、どの範囲までを数えるのか
- 競合の社名との組み合わせをどう扱うか
- 数字はどこから取るのか
- 生成AI経由の動きが、到達の数字を変えつつある
- 目標値はどうやって置くのか
- 未達のときに何を見直すかを、目標と一緒に決める
- 数字が動いたとき、原因をどう切り分けるのか
- 悪い理由で数字が増える場合がある
- 指名検索をKPIに置くと、何が歪むのか
- 歪みを抑えるための置き方
- 誰の指標として置くのか
- 目標の未達を評価に直結させない
- KPIとして置くまでに、何をやるのか
- よくある質問
- まとめ
数える範囲、取得元、目標値の根拠、誰の指標かの四つです。
この四つを決めずに数だけを目標にすると、期の途中で定義の議論が起きて比較ができなくなります。
指名検索をKPIに置く前に、何を決めておくのか
数える範囲、取得元、目標値の根拠、誰の指標かの四つです。
この四つを決めずに数だけを目標にすると、期の途中で定義の議論が起きて比較ができなくなります。
指名検索の数を目標に置く会社が増えています。
獲得の指標だけでは説明できない部分を、この数字で埋めようとする動きです。
置くこと自体は理にかなっています。
獲得の効率が落ちてきた理由が需要の側にあるのか、配信の側にあるのかを、この数字で切り分けられるからです。
問題は、置き方が決まっていないまま目標だけが先に置かれることです。
期初に数字が置かれ、期の途中で定義の議論が始まります。
指名検索という言葉が指す範囲は、会社によって違います。
社名だけを指す場合、商品名を含む場合、社名と一般語の組み合わせまで含む場合があります。
どれを数えるかで、数字が数倍変わります。
期の途中でこの定義が変わると、達成も未達も判定できません。
取得元も、決めておかないと報告のたびに数字が食い違います。
検索の量を示す数字は複数の場所から取れ、それぞれ集計の仕方が違います。
同じ月でも値が一致しないので、どの数字を正とするかを先に決めます。
決めないまま二つの数字が並ぶと、都合のよいほうが報告に使われます。
目標値の根拠も、置く前に決めます。
根拠のない目標は、達成しても未達でも次の判断につながりません。
四つ目は、誰の指標かです。
持ち主が決まっていない数字は、誰も改善の責任を負わないまま期末を迎えます。
五つ目として、集計の単位も揃えます。
月次と週次では、季節の動きの見え方が変わり、同じ状況でも結論が変わります。
この記事で扱う範囲を先に切っておく
指名検索を増やすための打ち手は、別の論点です。
認知への投資、報道発表、事例の公開といった活動が、どれも指名を動かします。
ここで扱うのは、この数字をKPIとして扱う場合に何をどう測り、どこに注意するかです。
測り方が決まっていない状態で打ち手を議論しても、成果を確かめる手段がありません。
順番としては、測り方を先に決め、その後に打ち手の議論に入ります。
逆にすると、施策を始めてから測定の設計を始めることになり、前年との比較が取れません。
この順番を守る決定は、マーケティング責任者が下します。
担当者に任せると、打ち手の議論のほうが具体的で進めやすいため、そちらが先に進みます。
決めた内容は、KPIを置く稟議の添付として残します。
口頭の合意だけだと、期の途中で別の定義を持ち出す部門が出てきます。
数える範囲、取得元、目標値の根拠、持ち主、集計の単位の五つを期初に文書で固定してください。固定していないと、達成の判定ができません。
指名検索の数は、どの範囲までを数えるのか
自社を特定できる語を含むものに限ります。
社名や商品名を含んでいても、採用や不具合の文脈で検索されたものは、事業の需要としては別に数えます。
範囲を広く取るほど数字は大きくなり、動きも見えにくくなります。
狭く取るほど数は小さくなりますが、意味のはっきりした数字になります。
最初の切り分けは、自社を特定できるかどうかです。
社名、商品名、サービス名、商標として使っている表現を含むものが候補になります。
一般名詞だけの検索は、どれだけ関連が強くても指名には含めません。
含めると、市場全体の検索量の動きが自社の指名の数字に混ざります。
次の切り分けは、文脈です。
社名を含む検索の中には、購入の検討ではないものが混ざります。
採用の応募、既存顧客のサポート、不具合や評判の確認、株主や取引先による調査。
これらを合算すると、需要が増えていないのに数字が増える月が出ます。
検索の内容ごとの、数える範囲の切り分け
| 検索の内容 | 指名として数えるか | 扱い |
|---|---|---|
| 社名のみ | 数える | 中心の指標 |
| 社名と商品名の組み合わせ | 数える | 中心の指標 |
| 社名と料金や比較の語 | 数える | 検討が進んだ状態 |
| 社名と採用や求人の語 | 別に数える | 採用側の指標 |
| 社名と解約やログインの語 | 別に数える | 既存顧客の行動 |
| 社名と不具合や評判の語 | 別に数える | 監視の対象 |
この切り分けを最初に作っておくと、後から内訳を出し直す作業が発生しません。
合算した数字しか残していないと、遡って分けることができません。
表記のゆれの洗い出しも、期初に済ませます。
社名には漢字、ひらがな、カタカナ、英字、略称の表記があります。
誤入力の形も一定量あり、これを落とすと数字が実態より小さくなります。
期初に一覧を作り、集計に含める語をすべて登録します。
一覧は、作った後も増えます。
新しい商品名や、外部で使われ始めた略称が出てくるためです。
追加する場合は、追加した日付と、追加による増加分を記録します。
記録がないと、語を足したことによる増加が需要の増加として報告されます。
競合の社名との組み合わせをどう扱うか
自社名と競合名を並べた検索は、比較の段階に入っている状態です。
指名に含めてよい一方、この量が急に増えたときは別の動きが起きています。
増える理由は二つあります。
自社が比較の候補に入ったか、競合が自社を比較対象として名指しで出稿したかです。
前者なら良い兆候ですが、後者なら受注率が下がる前触れになります。
そのため、中心の指標には含めたうえで、内訳として分けて記録します。
内訳の変化は、営業側の情報と突き合わせると原因が分かります。
商談で競合名が出る頻度が上がっていれば、後者の可能性が高くなります。
突き合わせの手順は、四半期に一度で足ります。
営業責任者に、その四半期の商談で名前の挙がった競合を並べてもらう形です。
この作業を続けると、比較の検索の増加が受注率に出るまでの期間が分かります。
期間が分かれば、次に同じ動きが出たときに先回りできます。
自社を特定できる語に限り、そのうえで採用、サポート、評判の文脈は別に数えてください。合算すると需要の動きが読めません。
数字はどこから取るのか
検索の量そのものを示す数字と、自社への到達を示す数字は別物です。
KPIに置くなら、自社で継続して同じ方法で取れる数字を正にします。
取得元の選び方で、数字の安定性が変わります。
外部のツールから取る数字は、提供側の集計方法の変更で断絶が起きます。
断絶が起きると、その前後の比較ができません。
KPIとして置いている数字で断絶が起きると、期の評価そのものが成立しなくなります。
最初に分けるのは、検索の量と到達の量です。
検索された回数と、その結果として自社に来た回数は別の数字です。
前者は需要の量を示し、後者は需要のうち自社が受け取れた分を示します。
KPIとしてはどちらも置けますが、混ぜて報告すると原因の特定ができません。
検索の実績のデータは、自社が受け取った到達を示します。
表示されなかった分は見えないので、需要の全体は分かりません。
キーワードの推定のツールは、推定の検索量を示します。
提供側の集計の変更で断絶しやすく、KPIの正とするには不安定です。
直接の来訪は、名前を覚えている人の行動を示します。
計測の設定に左右されるため、設定の変更があると段差が出ます。
サイト内の検索は、来訪した後の指名の動きを示します。
母数が小さく振れやすいので、月次のKPIには向きません。
調査での想起は、覚えている人の割合を示します。
実施の頻度が低いため、月次の指標としては使えません。
生成AI経由の動きが、到達の数字を変えつつある
Ahrefsが2026年7月16日に公表した調査では、AI Overviewsが表示される検索で、日本の検索1位のCTRの下落率が2025年12月の38.0%から2026年6月には62.7%に上がっていました。
同じ調査では、日本の予測CTR24.1%に対して実測が9.0%と報告されています。
つまり、検索そのものは行われていても、自社への到達が減る形が出ています。
到達の数字だけをKPIに置くと、需要が横ばいでも未達になります。
未達の報告に対して、社内では出稿を増やす判断が出やすくなります。
原因が到達の構造の変化であれば、出稿を増やしても数字は戻りません。
そのため、到達をKPIに置く場合は、検索の量も並べて報告します。
二つを並べると、需要が減ったのか受け取れなくなったのかを区別できます。
取得元を途中で変えないことも、規則として決めておきます。
ツールを乗り換えると、同じ月の数字が変わります。
変えるなら、過去12か月分を新しい取得元で取り直します。
そのうえで、両方の数字を並べて記録し、いつ切り替えたかを残します。
取り直しができない取得元は、KPIの正には選びません。
過去を再現できない数字は、定義を変えた瞬間に比較の土台を失います。
検索の量と到達の量は別の数字です。到達をKPIに置くなら、検索の量も並べて報告しないと未達の原因を読み違えます。
目標値はどうやって置くのか
前年同月に対する比率で置きます。
絶対数で置くと、季節の動きが大きい事業では毎月の達成と未達が意味を持たなくなります。
指名検索の量には、強い季節の動きがあります。
この動きを織り込まない目標は、期の途中で機能しなくなります。
絶対数で置くと、需要期の月は自動的に達成し、閑散期の月は自動的に未達になります。
どちらの月も、施策の良し悪しとは関係なく判定が決まります。
前年の同じ月を基準にすると、季節の影響が打ち消されます。
前年の数字がない場合は、最初の1年は測定に使い、目標は2年目から置きます。
1年目に目標を置くと、根拠のない数字を追うことになります。
測定に使う年として位置づけたほうが、2年目以降の目標の質が上がります。
もう一つの論点は、月次で置くか通期で置くかです。
月ごとの目標を置くと、報道や競合の動きで簡単に上下します。
上下するたびに施策の議論が起きるので、期の途中で方針が何度も変わります。
通期または四半期で目標を置き、月次は進捗の確認に使う形にします。
置き方の選択肢は五つあります。
前年同月比、四半期の合計、獲得の件数との比率、市場の検索量に対する比率、絶対数です。
前年同月比は、季節の動きがある事業に向きます。
弱点は、前年の数字が同じ定義で揃っている必要があることです。
四半期の合計は、月次の振れが大きい事業に向きます。
弱点は、途中の判断が遅れることです。
獲得の件数との比率は、事業の規模が期の中で変わる場合に向きます。
弱点は、獲得側の変動の影響を受けることです。
市場の検索量に対する比率は、市場そのものが動いている場合に向きます。
弱点は、市場側の数字の精度に依存することです。
数字は説明のための仮の値です。
前年同月比で月10%増を目標に置いた場合、四半期の合計で前年比110%に届いているかを見て、個々の月の上下は原因の記録にとどめます。
未達のときに何を見直すかを、目標と一緒に決める
指名検索は、当月の施策では動かせません。
未達になったときに広告費を増やしても、その月の数字は戻りません。
戻らないのに対応を求められると、短期で数字を作る動きが出ます。
既存顧客への一斉の連絡や、社名への出稿の増額がこれにあたります。
そのため、未達のときに何を見直すのかを、目標と一緒に決めておきます。
選択肢は、認知への投資の水準、受け皿の状態、目標そのものの置き直しの三つです。
この三つのどれを検討するかは、未達の続いた期間で分けます。
単月なら記録にとどめ、2四半期続いたら投資の水準、1年続いたら目標の置き直しを検討します。
この段階分けを決めるのは、KPIの持ち主と予算を承認する立場です。
決めずに置くと、最初の未達の月から施策の変更の議論が始まります。
目標は前年同月比で置き、四半期の合計で判定してください。未達時に見直す対象を、目標と同じ文書に書いておきます。
数字が動いたとき、原因をどう切り分けるのか
自社の活動、外部の出来事、計測の変更の三つに分けて記録します。
記録がないと、翌月の会議で原因の推測が始まり、結論が出ません。
指名検索は、自社の施策以外の理由でも動きます。
動いた理由を後から探すのは難しいので、毎月その時点で記録を残します。
残すのは三つです。
その月に実施した自社の活動、その月に起きた外部の出来事、計測や集計に加えた変更です。
この三つを、数字と同じ表に残します。
記録があれば、数か月後の振り返りで原因を突き合わせられます。
記録がない場合、会議での議論は推測になります。
推測で原因を決めると、次の施策の根拠も推測の上に乗ります。
指名の増減を生む要因と、数字への出方
| 分類 | 具体例 | 数字への出方 |
|---|---|---|
| 自社の活動 | 出稿、報道発表、展示会 | 数週間で上がり、その後減衰する |
| 外部の出来事 | 業界の話題、競合の動き、報道 | 急に上下する |
| 計測の変更 | 語の追加、ツールの変更、期間の定義 | 段差として現れる |
| 季節の動き | 需要期、年度替わり | 毎年同じ月に出る |
| 市場の構造 | 検索から生成AIへの移動 | 数か月かけて緩やかに下がる |
切り分けの手がかりは、変化の形です。
ある月から急に水準が変わる動きは、計測の変更か外部の出来事です。
数か月かけて緩やかに変わる動きが、投資の積み上がりです。
この二つを分けずに平均すると、どちらの判断もできません。
段差が出た月は、まず計測の変更を疑います。
語を追加した、ツールを変えた、集計の期間の定義を変えたのいずれかであることが多くあります。
計測の変更でないと確認できた段差は、外部の出来事です。
その月の報道や業界の動きを記録から探します。
悪い理由で数字が増える場合がある
不具合や評判に関する報道があると、社名の検索は増えます。
数字だけを見て達成と報告すると、事業の状態を取り違えます。
このとき、到達の数字も同時に増えます。
サイトへの来訪が増えるので、報告上はすべての指標が良く見えます。
見分けるには、文脈で分けた内訳を必ず一緒に見ます。
不具合や評判の語を含む検索が増えていれば、良い増加ではありません。
内訳が悪い理由で増えている月は、KPIの達成としては扱いません。
扱いを事前に決めておかないと、その月だけ判定の基準の議論が起きます。
自社の活動、外部の出来事、計測の変更を毎月その時点で記録してください。段差は計測か外部、緩やかな変化が投資の積み上がりです。
指名検索をKPIに置くと、何が歪むのか
数字を上げやすい方法に寄ります。
既存顧客への接触や、社名を含む広告への出稿で数字は動きますが、新しい需要は増えていません。
KPIに置いた数字は、必ず上げにいく動きが生まれます。
その動きが事業の目的とずれる形を、先に想定しておきます。
最も起きやすいのは、既存顧客の行動で数字を作る形です。
既存顧客にメールを送れば、社名の検索は増えます。
新しい需要は増えていません。
既存と新規を分けずに数えていると、この動きが達成として報告されます。
次に起きやすいのは、社名を含む語への出稿を増やす形です。
社名を含む語に広告を出すと、自社への到達は増えます。
検索そのものの量は変わっていません。
到達の数字をKPIに置いている場合、広告費で数字を作れてしまいます。
この出稿が無駄だとは限りません。
競合が自社名で出稿している場合は、防衛のために必要な支出になります。
ただし、KPIの達成として報告するのは別の話です。
費用を使って到達を買った分は、内訳として分けて示します。
三つ目は、数える語の範囲を広げる形です。
範囲を広げれば数字は大きくなりますが、前年との比較が崩れます。
四つ目は、採用や不具合の検索を合算する形です。
数字は増えますが、事業の状態を取り違えます。
五つ目は、短期の話題作りに寄る形です。
一時的に急増しますが、翌月には戻ります。
歪みを抑えるための置き方
抑え方は三つあります。
新規のみを数えるか、新規と既存を分けて両方に目標を置くことが一つ目です。
二つ目は、到達ではなく検索の量を正にするか、両方を並べて報告することです。
到達だけを見ていると、費用で数字を作れる状態が続きます。
三つ目は、語の範囲を期中に変えないことを運用の規則として文書にすることです。
文書にしておくと、変更の提案が出たときに次期からという判断になります。
この三つを決めるのは、KPIの持ち主と予算を承認する立場の二者です。
担当者の判断に委ねると、報告しやすい形に寄っていきます。
決めた内容は、月次の報告の様式に反映させます。
様式に新規と既存の欄、検索の量と到達の欄があれば、埋めない選択ができなくなります。
既存顧客への接触と社名への出稿で数字は作れます。新規と既存を分け、検索の量と到達を並べて報告してください。
誰の指標として置くのか
一つの部門の単独の指標にはできません。
広告、広報、営業、採用のいずれの活動でも動くため、持ち主を決めたうえで共有指標として扱います。
指名検索は、部門をまたいだ活動の結果として動きます。
一部門の評価指標にすると、押しつけ合いか、数字を作る動きのどちらかが起きます。
分けて考えるのは、集計して報告する責任と、数字を動かす活動です。
報告の責任は一つの部門が持ちます。
動かす活動は、複数の部門にまたがります。
この二つを混同すると、報告する部門だけが未達の責任を負うことになります。
持ち主の候補は四つあります。
マーケティング部門、広報部門、経営企画、複数部門の共有指標です。
マーケティング部門が持つのは、出稿が動きの主因である場合です。
弱点は、広報や採用の影響を説明できないことです。
広報部門が持つのは、報道の影響が大きい場合です。
弱点は、広告の効果と切り分けにくいことです。
経営企画が持つのは、部門をまたぐ活動が多い場合です。
弱点は、日次の実務から遠く、原因の記録が薄くなることです。
複数部門の共有指標にすると、活動が分散している状況に合います。
弱点は、責任の所在が曖昧になりやすいことです。
どれを選んでも弱点は残るので、弱点への対処を同時に決めます。
たとえばマーケティング部門が持つなら、広報と採用の活動の記録を毎月受け取る手順を作ります。
受け取る形式も揃えておきます。
実施した日、対象の範囲、規模の三つが書かれていれば、数字との突き合わせに足ります。
形式を揃えないと、部門ごとに粒度の違う報告が集まります。
粒度が違うと、どの活動がどの月の増加に対応するかを特定できません。
目標の未達を評価に直結させない
指名検索は、当期の努力では動かない部分が大きい数字です。
未達を個人の評価に直結させると、短期に数字を作る動きが必ず出ます。
作られた数字は翌月に戻るので、期を通せば何も改善していません。
それでも、評価の期間内では達成として記録されます。
そのため、評価には使わず、投資の判断に使う数字として位置づけます。
位置づけは、KPIを置く稟議に明記します。
報告の場も一つに決めます。
部門ごとに別の集計を出すと、数字が一致しません。
月次の報告の場を一つに決め、そこに出た数字だけを正とします。
別の場で出た数字は参考値として扱い、判断には使いません。
報告の責任と数字を動かす活動を分けてください。未達を評価に直結させると、翌月に戻る数字を作る動きが出ます。
KPIとして置くまでに、何をやるのか
語の一覧と過去12か月の実績を先に作ります。
定義と過去の数字が揃っていない状態で目標を置くと、期の途中で必ず作り直しになります。
準備にかかる時間は2か月から3か月です。
期初に間に合わせるには、前の期のうちに始めます。
作業の順番は、語の一覧、分類の規則、取得元、再集計、目標の置き方、持ち主の決定になります。
順番を入れ替えると、後の工程で前の工程をやり直すことになります。
指名検索をKPI化するまでの作業
| 順番 | やること | 関わる人 | 期間の目安 |
|---|---|---|---|
| 1 | 数える語の一覧を作り、表記のゆれを登録する | マーケティング | 2週間 |
| 2 | 文脈ごとの分類の規則を決める | マーケ・広報 | 1週間 |
| 3 | 取得元を決めて、正とする数字を一つにする | マーケティング | 1週間 |
| 4 | 過去12か月を新しい定義で集計し直す | マーケティング | 3週間 |
| 5 | 季節の動きを確認して目標の置き方を決める | マーケ責任者 | 2週間 |
| 6 | 持ち主と報告の場、未達時の扱いを決める | 責任者と決裁者 | 2週間 |
過去12か月の再集計は、省かないようにします。
新しい定義で過去を集計し直さないと、初年度の達成の判定ができません。
ここを省くと、1年目は数字を眺めるだけの期になります。
2年目にようやく比較が始まるので、判断が1年遅れます。
再集計の作業量は、語の一覧の大きさで決まります。
一覧が数十語であれば、集計そのものは数日で終わります。
未達時の扱いも、目標と一緒に書きます。
当月の施策で戻らない数字なので、対応を先に決めておかないと場当たりの対応になります。
書く選択肢は、認知への投資の水準を見直すのか、受け皿を直すのか、目標そのものを置き直すのかです。
どの条件でどれを選ぶかまで書くと、期中の議論が短く済みます。
月次の会議で確認する項目
| 項目 | 見る単位 | 使いどころ |
|---|---|---|
| 指名の検索量の前年同月比 | 月次 | 需要が動いているか |
| 新規と既存の内訳 | 月次 | 数字の中身が変わっていないか |
| 文脈別の内訳 | 月次 | 採用や不具合が混ざっていないか |
| 自社の活動と外部の出来事の記録 | 月次 | 増減の原因の突き合わせ |
| 四半期の合計の進捗 | 四半期 | 目標に対する位置 |
月次の会議では、単月の上下の原因をその場で推測しません。
記録を突き合わせて説明できる分だけを報告し、説明できない分は保留として残します。
保留を残すことに抵抗がある場合は、保留の扱いを先に決めておきます。
3か月続けて説明できない動きは、計測の設計を疑う対象にする、という形です。
疑う順番は、語の一覧、取得元、集計の期間の定義です。
この三つのどれかが期中に変わっていれば、記録に残っているはずです。
三つとも変わっていないのに説明できないなら、外部の要因を探す範囲を広げます。
業界の話題、制度の変更、検索の仕様の変化がこれにあたります。
定義の文書は、更新の履歴つきで残します。
語の一覧、分類の規則、取得元、目標の置き方を一つの文書にまとめます。
変更した日付を残すと、担当が変わったときに数字の意味が変わるのを防げます。
履歴がないと、前年との差が定義の変更によるものかどうかを確かめられません。
文書の保管場所も、部門の共有の場所に置きます。
個人の手元にあると、担当の交代で失われます。
着手点は語の一覧と過去12か月の再集計です。再集計を省くと、1年目は判定ができず、判断が1年遅れます。
指名検索をKPIとして置くかどうかで判断に迷う場合は、無料相談で現状の数字の取り方を見てもらうところから始められます。
指標の設計ごと見直す段階ならWeb集客改善サービスもあります。
よくある質問
指名検索として数える範囲はどこまでですか
自社を特定できる語を含むものに限ります。そのうえで採用、サポート、不具合や評判の文脈で検索されたものは別に数えてください。合算すると需要が増えていない月に数字が増え、事業の状態を取り違えます。
目標は絶対数で置くべきですか
前年同月比で置くほうが安全です。指名検索には強い季節の動きがあり、絶対数だと需要期は自動的に達成し、閑散期は自動的に未達になります。前年の数字がない場合は、最初の1年を測定に使ってください。
検索の量と自社への到達のどちらをKPIにすべきですか
需要の量を見たいなら検索の量、自社が受け取れた分を見たいなら到達です。到達だけを置くと、生成AIの影響で検索が同じでも数字が下がることや、社名への広告出稿で数字を作れてしまうことが起きます。
指名検索はどの部門のKPIにすればよいですか
広告、広報、営業、採用のいずれの活動でも動くため、一部門の単独指標にはできません。集計と報告の持ち主を一つ決めたうえで、共有指標として扱ってください。持ち主の弱点への対処も同時に決めます。
未達だった月はどう扱えばよいですか
当月の施策では戻らない数字なので、単月の未達で施策を変えません。四半期の合計で進捗を見て、2四半期続いたら投資の水準、1年続いたら目標の置き直しを検討します。未達を個人の評価に直結させないでください。
まとめ
- 数える範囲、取得元、目標値の根拠、誰の指標かの四つです。この四つを決めずに数だけを目標にすると、期の途中で定義の議論が起きて比較ができなくなります
- 自社を特定できる語を含むものに限ります。社名や商品名を含んでいても、採用や不具合の文脈で検索されたものは、事業の需要としては別に数えます
- 検索の量そのものを示す数字と、自社への到達を示す数字は別物です。KPIに置くなら、自社で継続して同じ方法で取れる数字を正にします
- 前年同月に対する比率で置きます。絶対数で置くと、季節の動きが大きい事業では毎月の達成と未達が意味を持たなくなります
- 自社の活動、外部の出来事、計測の変更の三つに分けて記録します。記録がないと、翌月の会議で原因の推測が始まり、結論が出ません
- 数字を上げやすい方法に寄ります。既存顧客への接触や、社名を含む広告への出稿で数字は動きますが、新しい需要は増えていません
- 一つの部門の単独の指標にはできません。広告、広報、営業、採用のいずれの活動でも動くため、持ち主を決めたうえで共有指標として扱います
- 語の一覧と過去12か月の実績を先に作ります。定義と過去の数字が揃っていない状態で目標を置くと、期の途中で必ず作り直しになります