
変わるのは在庫の量と価格の傾向であって、自社の顧客の行動ではありません。
市場の数字は、配分を変える理由ではなく、条件の変化として読みます。
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目次
目次
- 動画広告が1兆円を超えたことは、自社の何を変えるのか
- 市場の数字から読めることと、読めないこと
- 構成比30%という数字は、どこの30%なのか
- 社内で数字を引くときに添えるもの
- 市場が伸びている媒体に、予算を寄せるべきなのか
- 試す枠と、主力の枠を分ける
- 動画に配分するとしたら、どの予算から動かすのか
- 動かす金額には下限がある
- 動画の枠を買うときに、何が費用の変数になるのか
- 素材の使用期間を先に決める
- 効果の測り方は、静止画の広告と何が違うのか
- 動画の枠で見る数字と、その間隔
- 市場の数字を社内の説明に使うとき、何に気をつけるのか
- 他社の動きを根拠にしない
- 動画への配分の見直しを、どこから始めるのか
- よくある質問
- まとめ
変わるのは在庫の量と価格の傾向であって、自社の顧客の行動ではありません。
市場の数字は、配分を変える理由ではなく、条件の変化として読みます。
動画広告が1兆円を超えたことは、自社の何を変えるのか
変わるのは在庫の量と価格の傾向であって、自社の顧客の行動ではありません。
市場の数字は、配分を変える理由ではなく、条件の変化として読みます。
電通デジタルが2026年3月5日に公表した2025年のインターネット広告媒体費の詳細分析では、ビデオ広告が1兆275億円となり、初めて1兆円を超えました。
前年比は121.8%で、媒体費全体に占める構成比は30%です。
この数字が出ると、社内で自社も動画に配分すべきかという議論が起きます。
議論の入口が市場の数字になると、結論の向きが先に決まります。
統計が示しているのは、広告主が動画の枠にいくら払ったかの合計です。
自社の顧客が動画を見て購買を決めているかどうかは、この数字からは分かりません。
読み取れるのは、動画の在庫が増え、出稿する側も増えたという供給側の事実です。
この事実は、自社にとって二つの逆向きの意味を持ちます。
一つは、届く範囲が広がったということです。
在庫が増えれば、これまで枠が取れなかった面に出稿できるようになります。
もう一つは、同じ枠を買う相手が増えたということです。
出稿する広告主が増えれば、入札の密度が上がり、単価は上がる方向に動きます。
この二つのどちらが自社に強く効くかは、扱っている商材と対象の層で変わります。
広く届けたい商材では前者が効き、狭い層を狙う商材では後者が効きます。
構成比が30%まで上がったという事実にも、裏側があります。
比率が上がったということは、他の枠の比率が相対的に下がったということです。
配分の議論では、動画を増やす話と何を減らす話が同時に必要になります。
増やす話だけを進めると、期の途中で総額の超過が見つかります。
前年比121.8%という数字も、そのまま有利の証拠にはなりません。
伸び率が高い領域は、参入が増えて競争も激しくなっている領域です。
伸びている市場に入ることが安く買えることを意味しない、というのが実務での見え方です。
むしろ、伸びが止まった後の相場がどこに落ち着くかを見ておくほうが判断に効きます。
市場の数字から読めることと、読めないこと
読めるのは、動画の在庫と出稿額が増えていること、広告主の間で動画への配分が進んだこと、今後の単価が上がりやすいこと、静止画の枠の相対比率が下がったこと、制作の需要が増えていることです。
いずれも市場の側の状態で、自社の外側にある条件です。
読めないのは、自社の顧客が動画で動くか、自社の商材に動画が向くか、自社の獲得単価がどう変わるか、静止画を減らすべきか、自社の制作費がいくら必要かです。
これらは自社の記録からしか出てきません。
この二つを分けずに1枚の資料にすると、市場の伸びが自社の必要性の証拠として読まれます。
読まれた時点で、検証の計画ではなく配分の変更が議題になります。
分けて置く方法は単純です。
市場の数字を左に、自社の記録を右に並べ、その間に何も書かないという形にします。
その上で、この統計から自社が受け取るべき変化を一文で書きます。
書けないなら、まだ配分の議題にする段階ではありません。
一文で書けるのは、たとえば動画の枠の単価が来期に上がる前提で予算を組む、という形です。
配分を増やすという結論は、その後に自社の記録から出てくるものです。
市場の統計は在庫と価格の条件が変わったことを示します。自社が動くべきかどうかは、そこからは出てきません。
構成比30%という数字は、どこの30%なのか
インターネット広告媒体費3兆3,093億円に占める割合です。
広告費の全体や、企業の予算に占める割合ではありません。
構成比の数字は、分母を取り違えると意味が変わります。
社内で引用する前に、何に対する割合かを確認します。
日本の広告費の統計には、三段階の分母があります。
総広告費、インターネット広告費、インターネット広告媒体費の三つです。
電通が2026年3月5日に発表した2025年の日本の広告費では、総広告費が8兆623億円で前年比105.1%でした。
そのうちインターネット広告費が4兆459億円、前年比110.8%で、構成比は50.2%となり初めて過半数を超えています。
さらにそのうち媒体費が3兆3,093億円、前年比111.8%です。
ビデオ広告の1兆275億円は、この媒体費に対する構成比が30%という数字です。
総広告費に対して見れば、ビデオ広告の割合はかなり小さくなります。
社内の説明で分母を省略すると、実態より大きい数字として受け取られます。
分母の階層と、それぞれの金額
| 階層 | 金額 | 前年比 |
|---|---|---|
| 総広告費 | 8兆623億円 | 105.1% |
| インターネット広告費 | 4兆459億円 | 110.8% |
| インターネット広告媒体費 | 3兆3,093億円 | 111.8% |
| うちビデオ広告 | 1兆275億円 | 121.8% |
| うちソーシャル広告 | 1兆3,067億円 | 媒体費の39.5% |
分母の階層が分かると、次に出てくるのが分類の重なりです。
ソーシャル広告は1兆3,067億円で、媒体費に占める構成比は39.5%です。
交流サイトの上で配信される動画は、分類のしかたによってはどちらにも関わります。
統計の枠の分け方と、自社が実際に出稿している面の対応は、必ずしも一致しません。
つまり、統計上のビデオ広告が伸びたからといって、自社が買っている動画の枠が同じように伸びたとは限りません。
自社の出稿がどの分類に入るかは、媒体の側の定義で決まります。
もう一つ押さえておくのは、取引の形です。
媒体費のうち運用型は2兆9,352億円で、構成比は88.7%を占めます。
動画の枠の多くも運用型として取引されています。
配分の変更は、枠の買い付けを新たに交渉するのではなく、出稿の設定の範囲で実行できる部分が大きいということです。
社内で数字を引くときに添えるもの
引用するときは、金額、分母、前年比、公表の日付の四つを同時に書きます。
このうち一つでも欠けると、読み手が別の分母を補って読みます。
公表の日付が要るのは、統計と説明の時点に開きがあるからです。
2026年3月5日に公表された数字は、2025年の実績です。
日付を省くと、直近の状況として受け取られます。
半年から1年前の状態に基づいて、今の配分を決めることになります。
前年比だけを抜き出すのも避けます。
121.8%という数字は勢いを示しますが、金額の規模を示しません。
30%はインターネット広告媒体費3兆3,093億円に対する割合です。引用するときは金額、分母、前年比、公表日を必ず揃えてください。
市場が伸びている媒体に、予算を寄せるべきなのか
市場の成長は、寄せる理由にはなりません。
自社の顧客がその面にいるかと、そこでの獲得単価が成立するかで決めます。
市場の成長は、参入の判断材料としては弱いものです。
理由は、成長の中身が一つではないからです。
市場が伸びる理由には、出稿する広告主が増えた、在庫が増えた、単価が上がった、新しい面が増えた、制作費が上がったという複数の要因があります。
どれが主因かによって、自社にとっての意味は逆になります。
出稿する広告主が増えたことが主因なら、競争が激化しているということです。
このときは、早めに試して相場をつかんでおくほうが後で有利になります。
在庫が増えたことが主因なら、届く範囲が広がっているということです。
配分を検討する余地があり、これまで届かなかった層に接触できます。
単価が上がったことが主因なら、自社の獲得単価も上がります。
採算の再計算をしてから配分を決めないと、途中で止めることになります。
新しい面が増えたことが主因なら、検証の対象が増えたということです。
主力の配分ではなく、試験の枠で扱う話になります。
制作費が上がったことが主因なら、固定費が増えているということです。
同じ配信額でも総額が膨らむため、素材の使用期間で割り直して判断します。
複数の要因が同時に動いているのが普通なので、どれか一つに断定はできません。
それでも、どの要因を前提に配分を決めたかを書いておくと、結果が出たときに振り返れます。
いずれの場合も、先に確かめるのは自社の顧客の所在です。
動画の在庫の多くは、消費者向けの面にあります。
法人向けの商材では、その面に決裁者がいるとは限りません。
いたとしても、その場面で購買の検討をしているとは限りません。
確かめ方は単純で、過去の受注の初回接点を面ごとに分類します。
記録がない場合は、直近の受注について営業に聞き取るところから始めます。
試す枠と、主力の枠を分ける
新しい面に配分するときは、検証の枠から出します。
主力の予算を動かすのは、検証で単価が成立してからです。
市場の数字を根拠に主力の配分を変えると、採算が崩れたときに戻せません。
戻すには元の枠の配信を再び立ち上げる必要があり、立ち上がりに数週間かかります。
検証の枠は、期初に総額の1割前後で固定しておく形が扱いやすくなります。
固定しておくと、新しい面が出てくるたびに稟議を起こす必要がなくなります。
枠を固定する決裁は、マーケティング責任者と予算を承認する立場の二者で行います。
金額ではなく用途で承認する形なので、期の途中で個別の判断が要りません。
この枠の成果は、獲得の件数ではなく判定の数で報告します。
今期にいくつの面について判定を出したか、という報告の形にします。
成長の主因によって自社への意味は逆になります。どの要因を前提に配分を決めたかを書き残してください。
動画に配分するとしたら、どの予算から動かすのか
静止画の枠からではなく、検証用に確保した枠から動かします。
既存の獲得を支えている枠を削ると、短期の数字が先に落ちます。
配分の変更は、どこから取るかで結果が変わります。
取る場所を先に決めておかないと、削りやすい枠から削られます。
削りやすい枠とは、担当者が声を上げない枠のことです。
成果とは無関係に決まるので、この決め方は避けます。
候補の順番は、まず検証用に確保した枠です。
そもそもこの用途のために置いてある枠なので、判断の手続きも要りません。
次が、成果が横ばいで改善の見込みが薄い枠です。
止める前に、その枠が今どれだけの獲得を出しているかを見積もっておきます。
三番目が、役割が他の枠と重複している枠です。
重複しているなら、どちらを残すかを決める作業が先に必要になります。
四番目が、制作費の一部です。
ここから取ると他の制作が止まるため、止まる制作の予定を確認してから決めます。
最後が、成果が出ている枠です。
ここを削ると、その分の獲得が翌月から減ります。
数字は説明のための仮の値です。
月200万円で月50件を獲得している枠を半分に落とすと、翌月の獲得は25件前後まで下がると見ておきます。
この減少は、動画の枠が立ち上がるより先に起きます。
新しい面は学習に数週間かかるため、落ちる分と増える分の時期がずれます。
ずれの期間は、面の種類と配信量によって変わりますが、4週間から8週間を見ておきます。
その間の獲得の落ち込みを誰が説明するかを、移動を決める会議で決めておきます。
時期のずれを埋める資金がない場合、主力の枠からの移動はできません。
できるのは、追加の予算を取るか、検証の枠の範囲で試すかのどちらかです。
動かす金額には下限がある
動画の枠は、配信量が少ないと学習が進まず、単価が安定しません。
検証にならない金額を複数の面に分散させると、判断材料が出ないまま予算だけが消えます。
一つの面に一定量を寄せるほうが、結果が読めます。
面を絞る判断は、事前に一つ選ぶ形で決めておきます。
あわせて、制作費を配分の計算に入れます。
配信の費用だけを移すと、素材がないまま枠だけを買うことになります。
既存の素材の転用で始められるか、新規の制作が必要かを先に確認します。
制作が必要なら、その費用と制作にかかる期間の両方を配分の計算に入れます。
移動元は検証用の枠、横ばいの枠、重複する枠の順です。成果が出ている枠から取ると、落ちる時期と立ち上がる時期がずれます。
動画の枠を買うときに、何が費用の変数になるのか
配信の単価だけでなく、素材の本数と長さが費用を左右します。
素材が1本しかない場合、配信量を増やしても効果が頭打ちになります。
動画の出稿では、費用の内訳が静止画と異なります。
変数を把握してから予算を組まないと、途中で制作の追加費用が出ます。
最も効くのは、素材の本数です。
同じ素材が繰り返し表示されると、反応が落ちます。
配信量を増やすなら、素材の本数も増やす必要があります。
本数が増えれば制作費が増え、配信の費用と制作の費用の比率が変わります。
この比率は、静止画の出稿とは桁が違います。
静止画では制作費が配信費の数%で済むことがありますが、動画では数割になる場合があります。
数字は説明のための仮の値です。
月200万円の配信に対して素材の制作に年600万円かかるなら、年間の配信2,400万円に対して制作費は25%に相当します。
この比率を把握しないまま配信額だけを議論すると、総額の見積もりが崩れます。
稟議の段階で配信費だけを書くと、制作費の追加申請が後から必要になります。
費用の変数と、効き方の違い
| 変数 | 費用への効き方 | 判断の目安 |
|---|---|---|
| 配信の単価 | 面と対象の絞り込みで変動する | 絞るほど単価は上がる |
| 素材の本数 | 制作費が本数にほぼ比例する | 配信量に応じて増やす |
| 素材の長さ | 長いほど制作費が上がる | 用途ごとに長さを決める |
| 配信の期間 | 短期に集中させると単価が上がる | 期間を確保して平準化する |
| 作り直しの頻度 | 仕様や訴求の変更で発生する | 使用期間の想定に依存する |
絞り込みと単価の関係も、静止画とは違う動きをします。
対象を細かく絞るほど、その枠の単価は上がり、届く人数は減ります。
動画の枠では、広めに配信して反応で絞るほうが単価が安定することがあります。
最初から細かく絞る設計にすると、量が出ないまま単価だけが高くなります。
期間の確保も、実質的な費用の削減になります。
短期に集中して出すと、同じ量を買うために高い単価を払うことになります。
期初の計画で期間を押さえておくと、同じ金額でより多く届きます。
逆に、期末に余った予算を短期で使い切る形にすると、単価が最も高い買い方になります。
素材の使用期間を先に決める
制作費の評価は、1本あたりの金額ではなく使用期間で割った額で行います。
半年使える素材と1か月で差し替える素材では、同じ制作費でも意味が違います。
使用期間は、訴求の内容と表示される頻度で決まります。
同じ人に何度も表示される設計なら、差し替えの周期は短くなります。
そのため、制作を発注する前に何か月使うかを決めておきます。
決めてから発注すると、作り込みの水準を用途に合わせられます。
決めずに発注すると、どの素材も同じ水準で作ることになります。
短期で差し替える素材に長く使う素材と同じ費用をかける形が、最も無駄が出ます。
費用の変数は配信の単価、素材の本数と長さ、配信の期間です。制作費は1本あたりではなく、使用期間で割った額で評価してください。
効果の測り方は、静止画の広告と何が違うのか
見た直後に行動しない割合が高いため、直接の獲得だけでは評価できません。
指名検索と直接流入の変化を、配信の期間と重ねて見ます。
動画の枠は、クリックによる即時の行動が起きにくい性質があります。
測り方を変えないまま静止画と同じ指標で評価すると、効果がないという結論になります。
動画を見た人が、その場でクリックして問い合わせる割合は低くなります。
多くは、後から社名で検索して訪れます。
この経路は、直接の獲得としては記録されません。
記録上は、検索経由または直接流入の件数として現れます。
そのため、配信の期間と指名検索の件数や直接流入の推移を重ねて見ます。
配信を止めた期間があれば、その前後の差が手がかりになります。
この比較は簡易なものなので、大まかな傾向として読みます。
同じ期間に他の施策や季節の要因が動いていれば、その分は差し引いて解釈します。
止める期間は、季節の要因が小さい時期を選びます。
需要期に止めると、下がった分が季節によるものか配信の停止によるものか区別できません。
止める期間の長さは、指名検索が動くまでの遅れを考えて決めます。
2週間では動きが出ないことが多く、4週間から6週間を確保すると差が見えやすくなります。
止める判断は、営業側にも事前に共有しておきます。
共有していないと、その期間の商談数の落ち込みが別の原因として報告されます。
もう一つの違いは、素材ごとの評価に使う指標です。
視聴の完了率は、投資の可否ではなく素材の良し悪しの手がかりになります。
完了率が低い素材は入れ替えます。
入れ替えの判断は、配信を始めて2週間から4週間で出せます。
この数字を成果として報告すると、事業とのつながりが説明できなくなります。
完了率が上がったという報告に対して、決裁者は次の質問を持てません。
動画の枠で見る数字と、その間隔
指名検索の件数は週次で見ます。
配信の期間と重ねるためで、月次だと配信の開始や停止の時期とずれます。
直接流入の件数も同じく週次です。
指名検索と同じ動きをするので、両方を並べると偶然の振れを見分けやすくなります。
サイト全体の問い合わせ数は月次で見ます。
総量の変化として読む数字なので、週次では母数が足りません。
配信面ごとの単価は月次で見て、相場の把握に使います。
素材ごとの視聴の完了率も月次で見て、素材の入れ替えの判断に使います。
直接の獲得だけでは判定できません。指名検索と直接流入を週次で配信の期間に重ね、4週間以上の停止期間を作って比べてください。
市場の数字を社内の説明に使うとき、何に気をつけるのか
分母と出典の日付を必ず添えます。
数字だけを示すと、配分を変えるべきだという結論に直結して読まれます。
市場の統計は、社内の説明で強い効果を持ちます。
そのぶん、扱いを誤ると誤った合意を作ります。
市場の数字は、環境がどう変わったかを示す材料です。
自社が何をすべきかの答えではありません。
説明の資料では、市場の数字と自社の数字を分けて並べます。
同じ図の中に混ぜると、因果があるように読まれます。
並べるのは五つです。
市場の変化、自社の顧客の所在、自社の獲得単価、検証の計画、判断の時期です。
市場の変化は、公表された統計から引きます。
動画の在庫と出稿額が増えたという事実を、金額と分母と日付を添えて書きます。
自社の顧客の所在は、受注の初回接点の分布から出します。
これは自社の記録で、外部の資料では代替できません。
自社の獲得単価は、面ごとの単価の実績を並べます。
面の粒度は、社内で配分の単位にしているものに揃えます。
検証の計画は、いくらでどこを試すかを書きます。
金額と対象の面を具体的に書くと、承認の判断が早く出ます。
判断の時期は、いつ結論を出すかを書きます。
書いておかないと、検証が終わらないまま予算だけが継続します。
出典の日付を添えるのは、統計と説明の時点に開きがあるからです。
電通デジタルの分析は2026年3月5日の公表で、対象は2025年の実績です。
他社の動きを根拠にしない
競合が動画に配分を始めたという情報は、判断の根拠としては弱いものです。
その会社の顧客層と商材、価格帯が自社と同じとは限りません。
同じ業界でも、単価が違えば許容できる獲得単価が違います。
許容できる単価が違えば、成立する面も変わります。
加えて、他社が始めたという情報は結果を含んでいません。
始めたことと、続いていることと、成果が出ていることは別の話です。
自社の受注の記録から確かめるほうが確実です。
記録がないなら、記録を取り始めるのが最初の投資になります。
市場の数字は背景として置き、自社の記録と分けて並べてください。金額、分母、公表日を欠くと、別の意味で読まれます。
動画への配分の見直しを、どこから始めるのか
自社の受注の初回接点を分類するところから始めます。
市場の数字ではなく、自社の記録が配分の出発点になります。
配分の議論は、市場の資料から始めると結論が先に決まります。
自社の数字から始めると、どの面を試すかが自動的に絞られます。
最初にやるのは、直近12か月の受注について初回の接点を面ごとに分類する作業です。
記録が残っていない案件は、営業に聞き取って埋めます。
配分を組み替えるまでの段取り
| 順番 | やること | 関わる人 | 期間の目安 |
|---|---|---|---|
| 1 | 直近12か月の受注の初回接点を面ごとに分類する | マーケ・営業 | 3週間 |
| 2 | 面ごとの獲得単価を同じ形式で並べる | マーケティング | 2週間 |
| 3 | 検証用の枠をいくら確保できるか決める | 経営・マーケ | 1週間 |
| 4 | 試す面を一つに絞って配信量を決める | マーケティング | 2週間 |
| 5 | 素材を既存の転用で用意する | 制作・マーケ | 4週間 |
| 6 | 停止の期間を含む3か月の検証計画を作る | マーケティング | 1週間 |
この6工程は、着手から検証の開始までで3か月前後が目安になります。
期初から検証を回すには、前の期の第4四半期のうちに1と2を終えておく必要があります。
素材は、既存の転用から始めます。
新規の制作を前提にすると、開始が数か月遅れます。
転用元になるのは、展示会で使った映像、製品の説明動画、既存の写真と図版です。
面が成立することが分かってから、制作に投資します。
検証の期間中に追う数字
| 数字 | 見る頻度 | 判断に使うところ |
|---|---|---|
| 配信面ごとの獲得単価 | 毎月 | 主力に移すかどうか |
| 指名検索と直接流入 | 毎週 | 直接の獲得に出ない効果 |
| 配信費と制作費の比率 | 四半期 | 総額の見積もりの精度 |
| 素材ごとの視聴の完了率 | 毎月 | 素材の入れ替えの要否 |
| 停止の期間の前後差 | 検証ごと | 効果の大まかな規模 |
判定の時期は、検証を始める前に決めます。
検証を始めると、途中の数字で判断したくなります。
3か月後に判定すると決めておき、その間は続けます。
短期の変動で止めると、その面の相場をつかめないまま終わります。
主力に移すときも、一度に大きく動かしません。
配信量を増やすと、単価は上がる方向に動くのが普通です。
段階的に増やし、増やすたびに単価の変化を確認します。
単価が許容の上限に触れた時点で、その面の適正な配分額が決まります。
出発点は市場の資料ではなく、直近12か月の受注の初回接点です。判定の時期を先に決めて、その間は続けてください。
動画への配分をどう決めるか迷う場合は、無料相談で現状を見てもらうところから始められます。
出稿の構成ごと見直す段階ならWeb集客改善サービスもあります。
よくある質問
動画広告が1兆円を超えたので、自社も配分すべきですか
市場の数字は配分を変える理由にはなりません。示しているのは在庫と出稿額が増えたという供給側の変化です。自社の顧客がその面にいるかと、そこでの獲得単価が成立するかで決めてください。判断の材料は自社の受注の記録から出します。
構成比30%というのは何に対する割合ですか
インターネット広告媒体費3兆3,093億円に占める割合です。総広告費8兆623億円に対して見れば割合はもっと小さくなります。社内で引用するときは金額、分母、前年比、公表日の四つを必ず添えてください。
動画の予算はどこから持ってくればいいですか
検証用に確保した枠、成果が横ばいの枠、役割が重複する枠の順です。成果が出ている枠を削ると、その分の獲得が翌月から減り、動画が立ち上がる時期とずれます。あわせて素材の制作費も配分の計算に入れてください。
動画の効果はどう測ればいいですか
見た直後にクリックする割合が低いため、直接の獲得だけでは評価できません。配信の期間と指名検索や直接流入の推移を週次で重ね、季節の要因が小さい時期に4週間以上止めた前後の差を大まかな傾向として読みます。
視聴の完了率を成果として報告してもいいですか
完了率は素材の良し悪しの手がかりであって、投資の判定には使いません。成果として報告すると、決裁者が次の質問を持てず、事業とのつながりも説明できなくなります。素材の入れ替えの判断に使ってください。
まとめ
- 変わるのは在庫の量と価格の傾向であって、自社の顧客の行動ではありません。市場の数字は、配分を変える理由ではなく、条件の変化として読みます
- インターネット広告媒体費3兆3,093億円に占める割合です。広告費の全体や、企業の予算に占める割合ではありません
- 市場の成長は、寄せる理由にはなりません。自社の顧客がその面にいるかと、そこでの獲得単価が成立するかで決めます
- 静止画の枠からではなく、検証用に確保した枠から動かします。既存の獲得を支えている枠を削ると、短期の数字が先に落ちます
- 配信の単価だけでなく、素材の本数と長さが費用を左右します。素材が1本しかない場合、配信量を増やしても効果が頭打ちになります
- 見た直後に行動しない割合が高いため、直接の獲得だけでは評価できません。指名検索と直接流入の変化を、配信の期間と重ねて見ます
- 分母と出典の日付を必ず添えます。数字だけを示すと、配分を変えるべきだという結論に直結して読まれます
- 自社の受注の初回接点を分類するところから始めます。市場の数字ではなく、自社の記録が配分の出発点になります