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担当の議論の前に、何をさせるのかを決める必要があります。
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目次
目次
- SNSの担当が決まらないまま年が過ぎるのは、なぜか
- 退職時の引き継ぎが、次の担当を遠ざける
- SNSに何をさせるのかを、どう定義するのか
- 役割ごとに、覚悟すべきことが違う
- 内製と外注で、何が変わるのか
- 外注しても、社内の時間はゼロにならない
- 兼任で回す場合、どこまでが限界なのか
- 限界を超えたかどうかを、どう見分けるのか
- 発信の権限と承認の線は、どこに引くのか
- 反応しないことも、先に決めておく
- 炎上と退職のリスクは、どう抑えるのか
- アカウントの権限を、個人に持たせない
- 体制の失敗として、何が多いのか
- 外部に任せる場合の確認事項
- SNSの担当決めは、何から進めるのか
- よくある質問
- まとめ
成果の定義がないため、誰の業務としても正当化できないからです。
担当の議論の前に、何をさせるのかを決める必要があります。
SNSの担当が決まらないまま年が過ぎるのは、なぜか
成果の定義がないため、誰の業務としても正当化できないからです。
担当の議論の前に、何をさせるのかを決める必要があります。
SNSの運用は、やったほうがよいという合意は取れます。
しかし専任を置く稟議は通りません。
理由は、その人の時間が何を生むのかを説明できないからです。
広告の担当者には、獲得件数という説明があります。
SNSの担当者には、それがありません。
フォロワー数を成果にしても、事業との距離が遠すぎて稟議の材料になりません。
結果として、手が空いている人の兼務になります。
兼務の人は他の業務が優先されるため、更新が止まります。
止まったことを咎める根拠も無いので、そのまま放置されます。
そして翌年も、同じ議論が繰り返されます。
2つ目の要因が、業務量が読めないことです。
毎日の更新が前提として語られると、引き受ける人がいなくなります。
実際には、役割によって必要な頻度は違います。
前提を確認しないまま議論すると、負担の見積もりだけが大きくなります。
3つ目が、個人差の大きさです。
SNSの運用は、文章と反応の感覚に個人差が大きく出ます。
組織の誰にでも割り当てられる業務ではありません。
向いている人を探す作業が要りますが、その探し方も決まっていません。
4つ目が、リスクの意識です。
炎上の事例は社内でも話題になり、判断を避ける空気を作ります。
一方で、やらないことの損失は数字になりません。
リスクだけが可視化された状態では、誰も手を挙げません。
退職時の引き継ぎが、次の担当を遠ざける
5つ目の要因が、引き継ぎの難しさです。
属人化した運用が残ると、新しい担当が続けられません。
前任者の文体で読まれていたアカウントは、交代すると反応が落ちます。
落ちた数字が新しい担当の評価になるため、引き受ける動機がさらに下がります。
この構造は、個人名を出して運用するかどうかで変わります。
会社として運用していれば、交代の影響は小さくなります。
どちらの形で運用するかは、始める時点で決めてください。
途中で変えると、それまでの読者との関係が一度切れます。
会社として運用する場合でも、投稿の質が落ちるわけではありません。
落ちるのは、個人への親近感によって読まれていた部分だけです。
役割が獲得や告知であれば、この部分の比重は小さくなります。
役割が想起であれば、語る主体が誰かが内容の価値に直結するため、個人名を出す判断もあり得ます。
担当が決まらないのは、成果の定義と業務量の前提が無いからです。個人名で運用するか会社として運用するかも、始める時点で決めてください。
SNSに何をさせるのかを、どう定義するのか
獲得か、想起か、採用か、顧客への告知かのどれか一つに決めます。
複数を同時に狙うと、投稿の内容も評価の指標も定まりません。
役割を決める作業は、担当を決める前に置いてください。
役割が決まれば、必要な人の種類と時間も決まります。
役割は、4つに整理できます。
新しい見込み客を連れてくる獲得、社名を覚えてもらう想起、人材の採用、既存顧客への告知と関係維持です。
この4つは、投稿の内容も、適した媒体も、評価の指標も違います。
一つのアカウントで兼ねようとすると、どれも弱くなります。
獲得を役割にすると、投稿の中身は課題と解決の具体例になります。
評価に使うのは、サイトへの遷移と問い合わせです。
向いている担当は、マーケティング部門です。
課題の言葉を持っているためです。
想起を役割にすると、投稿の中身は事業の考え方や視点になります。
評価に使うのは、指名検索と直接流入です。
向いている担当は、経営層に近い人です。
事業の考え方を語れる立場でないと、内容が浅くなります。
採用を役割にすると、投稿の中身は働き方と社内の様子になります。
評価に使うのは、応募数と辞退率で、担当は人事部門です。
顧客への告知を役割にすると、投稿の中身は更新や障害の情報になります。
評価に使うのは到達率と問い合わせの削減で、担当はカスタマーサポートです。
4つのうち複数を兼ねると、方向が定まりません。
指標も決まらないため、続けるかどうかの判断ができなくなります。
SNSの4つの役割と、それぞれの中身と担当
| 役割 | 投稿の中身 | 評価に使う数字 | 向いている担当 |
|---|---|---|---|
| 獲得 | 課題と解決の具体例 | サイトへの遷移と問い合わせ | マーケティング部門 |
| 想起 | 事業の考え方や視点 | 指名検索と直接流入 | 経営層に近い人 |
| 採用 | 働き方と社内の様子 | 応募数と辞退率 | 人事部門 |
| 顧客への告知 | 更新や障害の情報 | 到達率と問い合わせの削減 | カスタマーサポート |
役割ごとに、覚悟すべきことが違う
獲得を狙うなら、費用の覚悟が要ります。
投稿だけで新しい見込み客に届く範囲は、限られているためです。
獲得を役割に置くなら、広告出稿と組み合わせる前提になります。
その場合、SNSの運用は広告の素材づくりに近い業務になります。
想起を狙うなら、時間の覚悟が要ります。
効果は、指名検索や直接流入として遅れて出ます。
半年から1年の単位で見る必要があります。
この時間軸を先に合意しておかないと、3か月で打ち切りの議論になります。
採用を狙うなら、人事部門との分担の合意が要ります。
投稿の内容が人事の方針と食い違うと、応募者の期待とのずれが生まれます。
ずれたまま採用が進むと、入社後の早期離職につながります。
そのため、採用を役割に置く場合の投稿の方針は人事部門が持つ形になります。
マーケティング部門が担うのは、発信の技術と運用の部分です。
この分担を明示しないまま始めると、内容の責任が曖昧になります。
顧客への告知を狙う場合も、同様の分担が要ります。
障害の情報をどこまで出すかは、カスタマーサポートの方針として決まっているべき事項です。
役割は獲得、想起、採用、告知の4つから一つを選びます。獲得なら広告費、想起なら1年の時間、採用なら人事との分担の合意が前提になります。
内製と外注で、何が変わるのか
外注できるのは制作と投稿までで、返信と判断は社内に残ります。
この線引きを曖昧にしたまま委託すると、反応への対応が止まります。
SNSの外注は、範囲の設定が難しい領域です。
できることとできないことを、先に切り分けてください。
外に出せるのは、投稿の企画、画像や動画の制作、投稿の実行です。
方針を渡せば形にできる作業と、専門性が要る作業と、定型の作業が該当します。
数と頻度を安定させたい場合は、外注のほうが確実です。
社内の担当者の繁忙に左右されないためです。
出せないのは、自社の見解を求められる場面です。
商材への質問、不具合への言及、業界の話題への反応が該当します。
質問への返信には、商材の正確な情報が要ります。
外部が推測で答えると、誤った情報が公開の場に残ります。
不具合や苦情への対応には、会社としての判断が要ります。
どこまで認め、どう対応するかは、外部には決められません。
業界の話題への言及は、見解の表明になります。
会社の立場として読まれるため、社内の合意が要ります。
SNSの作業のうち、外注できるものとできないもの
| 作業 | 外注できるか | 理由 | 社内に残る時間 |
|---|---|---|---|
| 投稿の企画 | できる | 方針を渡せば形にできる | 方針の提示と確認 |
| 画像や動画の制作 | できる | 専門性が要る | 完成物の確認 |
| 投稿の実行 | できる | 定型の作業になる | なし |
| 質問への返信 | できない | 商材の正確な情報が要る | 返信の作成 |
| 不具合や苦情への対応 | できない | 会社としての判断が要る | 対応方針の決定 |
| 業界の話題への言及 | できない | 会社の見解として読まれる | 内容の作成と確認 |
外注しても、社内の時間はゼロにならない
投稿の確認、質問の転送、方針のすり合わせは、外注しても社内に残ります。
月10時間から20時間は見込んでおいてください。
この時間を見込まずに委託すると、確認が滞ります。
確認待ちの投稿が溜まり、投稿の頻度が結局落ちます。
費用の相場は、役割によって変わります。
制作の本数と、動画の有無で大きく動きます。
月額の見積もりを比べるときは、本数、媒体の数、修正の回数を揃えてから比べてください。
揃えずに金額だけを比べると、安い見積もりを選んで本数不足になります。
比べる前に、自社が必要とする本数を決めておいてください。
本数が決まっていないと、提案された本数がそのまま前提になります。
必要な本数は、役割と媒体から決まります。
週1回で足りるなら月4本で、毎日の告知が要る役割なら月20本を超えます。
本数を決めずに委託すると、提案された本数に合わせて運用の負荷も決まります。
確認の時間は本数に比例するため、社内に残る時間も提案側が決めることになります。
企画と制作と投稿は外注でき、返信と判断は社内に残ります。外注しても月10時間から20時間は社内に残るため、その時間を先に確保してください。
兼任で回す場合、どこまでが限界なのか
週1回から2回の投稿と、営業時間内の返信までです。
毎日の投稿や即時の反応を兼任に求めると、数か月で止まります。
多くの会社は、兼任から始めます。
兼任で持続する範囲を先に決めれば、止まらずに続けられます。
投稿の頻度は、週1回から2回が上限です。
これを超えると、数か月で更新が止まります。
毎日更新する必要は、役割によっては最初からありません。
想起や採用が役割なら、週1回でも積み上がります。
頻度を上げて3か月で止まるより、頻度を落として2年続けるほうが効果は出ます。
止まった運用は、再開しても最初からやり直しになるためです。
返信の対応は、営業時間内に限定してください。
即時の反応を求めると、担当の負荷が休日にまで及びます。
媒体の数は、1つか2つに絞ります。
複数の媒体を同時に始めると、それぞれの作法に合わせる手間が増えます。
どの媒体かは、自社の顧客の職種と年代から決めてください。
競合が使っているかどうかは、判断の材料になりません。
制作の手間は、既存資料の転用で抑えます。
投稿のたびに新しく作ると、時間が尽きます。
既存の資料、事例、ウェビナーの内容から切り出す形にしてください。
この転用の経路を作っておくことが、兼任を続ける条件になります。
数字の確認は、月1回で足ります。
週次にすると、確認の作業そのものが目的化します。
週1回の投稿では、週次で見ても母数が足りません。
反応の差が偶然の範囲に収まり、判断の材料になりません。
月1回でも、見るのは投稿1本あたりの反応の平均です。
突出した1本に引きずられないよう、中央値も並べて見てください。
限界を超えたかどうかを、どう見分けるのか
兼任の限界は、更新が止まってから気づくことが多くなります。
止まる前に気づくには、制作にかけた時間を毎月記録してください。
記録する項目は、企画、制作、確認、返信の4つです。
合計が月20時間を超えた月が3か月続けば、限界に近づいています。
このときの選択肢は、頻度を下げるか、外注に出すか、専任を置くかの3つです。
何もしなければ、次の繁忙期に止まります。
判断するのは、担当者本人ではなくその上長です。
本人は、自分の力量の問題として受け止めて申告しないことが多いためです。
上長が見る材料は、記録した時間と投稿の実施率の2つです。
実施率が落ちる前に時間が増えていれば、限界に近づいている合図になります。
逆に、時間は変わらないのに実施率が落ちている場合は、別の原因があります。
題材が尽きているか、確認の工程で滞留しているかのどちらかです。
兼任の上限は週1回から2回の投稿と営業時間内の返信です。制作にかけた時間を毎月記録し、月20時間超が3か月続いたら上長が判断してください。
発信の権限と承認の線は、どこに引くのか
定型の告知は担当者の判断、見解を含む発信は上長の確認とします。
すべてを承認制にすると、投稿の速度が落ちて運用が止まります。
承認のルールは、運用の速度を決めます。
細かくしすぎると回らず、緩すぎると事故が起きます。
線は、内容の種類で引いてください。
発信者の役職で引くと、同じ人が定型の告知でも確認待ちになります。
自社の更新やイベントの告知は、事実の伝達です。
担当者の判断で出して問題ありません。
既存の公開資料の紹介も、内容は確認済みです。
これも担当者の判断で足ります。
業界の動向への見解は、会社の立場として読まれます。
上長の確認を通してください。
他社や競合への言及も、上長の確認が要ります。
比較の表現には、注意が必要になるためです。
苦情や不具合への返信は、担当部門と上長の両方の確認が要ります。
対応方針の統一が必要だからです。
この線引きで重要なのは、確認が遅れたときの影響が種類ごとに違う点です。
告知の確認が遅れると、告知の時期そのものを逃します。
業界の動向への見解は、話題の旬を逃すと出す意味が薄れます。
他社への言及は、遅れてもほとんど影響がありません。
苦情や不具合への返信は、遅れがそのまま批判の対象になります。
そのため、この種類だけは確認の期限を時間単位で決めてください。
具体的には、営業時間内であれば2時間以内に一次の返信を出す形です。
一次の返信は、事実の確認中であることを伝えるだけで構いません。
反応しないことも、先に決めておく
すべての言及に返信する必要はありません。
どの種類の投稿に反応し、どれを放置するかを先に決めてください。
決めていないと、担当者が個別に判断することになります。
判断の負荷が増え、返信の基準も回ごとに変わります。
実務で機能するのは、質問には答え、評価には反応しないという線です。
評価に反応すると、否定的な評価にだけ反応しない形になり、姿勢が問われます。
例外として扱うのが、事実と異なる内容が書かれている場合です。
この場合は評価ではなく事実の訂正なので、対応の対象になります。
訂正するかどうかの判断は、上長が行ってください。
担当者が個別に判断すると、訂正の基準が回ごとに変わります。
商材によっては、表現に制約があります。
医療や金融、人材に関わる領域では特に注意が要ります。
表現の可否は、掲載時点の最新の公式ガイドラインで確認してください。
自治体で運用が異なる制度については、自治体の窓口で確認してください。
承認の線は役職ではなく内容の種類で引き、告知は担当者の判断にします。質問には答え評価には反応しないという線も、先に決めてください。
炎上と退職のリスクは、どう抑えるのか
事前の取り決めと、アカウントの管理権限の分離で抑えます。
起きてから考えると、対応の速度が遅れて被害が広がります。
リスクの大半は、運用の設計で減らせます。
担当者の資質の問題にしないことが、前提になります。
最初に決めるのが、起きたときの流れです。
誰が最初に気づくか、誰に連絡するか、いつ投稿を止めるかを1枚にしておきます。
対応の是非よりも、判断までの時間が結果を分けます。
連絡先が決まっていないと、担当者が一人で数時間抱えることになります。
発見の経路は、誰がどの頻度で確認するかを決めます。
決めていないと、気づくのが翌日になります。
連絡先は、担当から誰に上げるかです。
上長が不在の場合の代理も、あわせて決めてください。
投稿の停止は、誰の判断で止めるかです。
止める権限が明示されていないと、判断を待つ間も投稿が予約配信で出続けます。
外部への説明は、誰が窓口になるかです。
決めていないと、複数の回答が出て事態が長引きます。
再開の条件は、いつから通常運用に戻すかです。
決めていないと、止まったままになります。
止まったままの状態は、何も発信しないことと同じではありません。
過去の投稿は残るため、更新が止まった状態が外から見えます。
再開の条件は、時期ではなく状態で決めてください。
事実関係の確認が終わり、必要な説明を出し終えた時点が目安になります。
再開の最初の投稿の内容も、事前に方針を決めておいてください。
何も触れずに通常の投稿に戻ると、対応していないと受け取られます。
アカウントの権限を、個人に持たせない
担当者の個人アカウントで管理していると、退職時に引き継げません。
管理権限は、複数人が持つ形にしてください。
兼任の場合でも、上長がアクセスできる状態を維持します。
担当が突然休んだ場合にも、投稿を止められる状態になります。
登録に使う連絡先も、個人のものにしないでください。
部門の共有の連絡先にしておくと、担当の交代で作業が発生しません。
属人化した文体は、引き継げません。
担当者の個性で読まれているアカウントは、交代で反応が落ちます。
これは避けられない現象です。
個人名を出して運用するか、会社として運用するかを、最初に決めておいてください。
発見、連絡、停止、窓口、再開の5つを1枚にしておきます。管理権限と登録の連絡先は個人ではなく部門で持ち、交代に備えてください。
体制の失敗として、何が多いのか
フォロワー数を目標に置いたことです。
数字が増えても、事業に関係のない層が集まると何も起きません。
SNSの体制づくりで繰り返される失敗には、いくつか型があります。
最も多いのが、目標を数の増加に置くことです。
フォロワー数は、増やす方法が数字として分かりやすい指標です。
そのため、目標に置かれやすくなります。
しかし自社の顧客ではない層が増えても、商談にも採用にもつながりません。
置き換えるべきなのは、役割ごとに決めた一つの数字です。
2つ目が、毎日の投稿を義務にすることです。
数か月で止まり、止まった状態が翌年まで残ります。
置き換えるのは、継続できた週数です。
続いていること自体を、初年度の評価に入れてください。
3つ目が、複数媒体を同時に始めることです。
どれも中途半端になり、どの媒体が合っているかも分かりません。
置き換えるのは、1媒体あたりの反応です。
1つに絞って反応を見てから、2つ目を検討します。
4つ目が、全投稿を承認制にすることです。
速度が落ちて形骸化し、担当者が投稿そのものを避けるようになります。
5つ目が、外注に全部任せることです。
質問に答えられない状態になり、公開の場で対応の遅れが見えます。
置き換えるのは、社内に残す作業を契約の時点で明確にすることです。
残す作業が書かれていない委託契約は、実務では必ず揉めます。
この5つの型は、どれも最初の設計で避けられます。
運用が始まってから直そうとすると、担当者の負荷が一時的に倍になります。
そのため、役割を決める段階でこの5つを確認してください。
確認の場に、担当者本人を必ず入れます。
外部に任せる場合の確認事項
委託先を選ぶとき、フォロワー数の増加を成果として提案されることがあります。
その数字がどう集められるかを、確認してください。
自社の顧客層と関係のない集め方であれば、増えても意味がありません。
確認の方法は、過去の運用実績でどの層が増えたかを聞くことです。
答えられない場合は、集め方が自社の役割と合っていない可能性があります。
契約の前に、役割と評価する数字を渡してください。
渡していない状態で提案を受けると、提案の指標がそのまま目標になります。
そして1年後に、事業の数字が動いていない状態で継続の判断を求められます。
フォロワー数、毎日の投稿、複数媒体、全件承認、全面委託の5つが失敗の型です。初年度は続いていること自体を評価に入れてください。
SNSの担当決めは、何から進めるのか
役割を一つに決めることから始めます。
役割が決まれば、必要な人の種類とかけてよい時間が自動的に決まります。
体制の議論を先に始めると、決まりません。
誰がやるかという問いには、役割が決まるまで答えがないためです。
役割の決定を、先に置いてください。
決めるのは、マーケティング責任者と、その役割に関わる部門の責任者です。
SNSの体制を決めるまでの手順
| 順番 | やること | 関わる人 | 期間の目安 |
|---|---|---|---|
| 1 | 獲得か想起か採用か告知かを一つ決める | マーケ責任者と関連部門 | 2週間 |
| 2 | 評価に使う数字を一つ決める | マーケ責任者 | 1週間 |
| 3 | 顧客の職種と年代から媒体を絞る | マーケティング | 2週間 |
| 4 | 兼任で持続する頻度の上限を決める | 担当者の上長 | 1週間 |
| 5 | 承認の線と炎上時の連絡経路を文書にする | マーケ責任者と法務 | 3週間 |
| 6 | 既存資料からの転用の経路を作る | マーケティング | 4週間 |
6を最後に置いているのは、役割と媒体が決まらないと転用の形が決まらないためです。
同じ事例でも、獲得向けと採用向けでは切り出す部分が違います。
専任を置く判断は、1年後にしてください。
最初から専任を置く必要はありません。
兼任で1年続けて、反応と負荷の実態が見えてから判断します。
このとき、稟議の材料になる数字が手元に揃っています。
数字は説明のための仮の値です。
週1回の投稿を1年続けて、制作と対応に月15時間かかっていたとします。
年間で180時間です。
担当者の社内単価が1時間あたり5,000円なら、年間90万円分の時間を使っている計算になります。
この金額に対して、役割ごとに決めた数字がどれだけ動いたかを並べます。
並べて初めて、専任を置くか外注に出すか続けるかの判断ができます。
SNSの運用で見る数字
| 数字 | 見る頻度 | 判断に使うところ |
|---|---|---|
| 役割ごとに決めた指標 | 四半期 | 続けるかどうか |
| 継続できた週数 | 毎月 | 運用が持続しているか |
| 投稿1本あたりの反応 | 毎月 | 内容が合っているか |
| 社内で制作にかけた時間 | 毎月 | 兼任の限界を超えていないか |
| 質問や苦情の発生件数 | 毎月 | 対応の体制が足りているか |
制作と対応にかけた時間は、毎月必ず記録してください。
これが無いと、専任を置く議論のときに根拠が出せません。
時間の記録は、担当者を守る材料にもなります。
負荷が可視化されていない業務は、際限なく増えます。
引き継ぎの資料も、運用と同時に作ってください。
投稿の方針、承認の線、過去の判断の経緯を、運用しながら書き足していきます。
担当が変わるときにまとめようとすると、必ず間に合いません。
書き足す場所は、承認の線を書いた文書と同じにしてください。
同じ場所にあれば、引き継ぎの資料を別に作る必要がありません。
承認の線と過去の判断の経緯が並んでいれば、新しい担当が基準を読み取れます。
この文書は、四半期に一度は見直してください。
判断の経緯だけが増えていくと、読む量が多すぎて参照されなくなります。
見直しの作業は、似た判断をまとめて基準の形に直すことです。
基準に直せた判断は、経緯の記述から外して構いません。
着手点は体制の議論ではなく、役割を一つ決めることです。制作にかけた時間を毎月記録し、専任の判断は1年後に数字を揃えてから行ってください。
SNSの体制をどう組むか判断がつかない場合は、無料相談で現状を見てもらうところから始められます。
発信の設計ごと見直す段階ならWeb集客改善サービスもあります。
よくある質問
SNSは誰が担当するのが正解ですか
役割によって変わります。獲得ならマーケティング部門、想起なら経営層に近い人、採用なら人事部門、顧客への告知ならカスタマーサポートが向きます。担当を決める前に、何をさせるのかを一つに絞ることが先になります。
兼任でどこまで回せますか
週1回から2回の投稿と、営業時間内の返信までです。媒体は1つか2つに絞り、制作は既存資料からの転用で抑えてください。毎日の投稿や即時の反応を求めると数か月で止まり、止まった運用は再開しても最初からやり直しになります。
外注に任せればいいのではないですか
企画と制作と投稿までは外注できます。質問への返信、苦情への対応、業界の話題への言及は会社としての判断が要るため社内に残ります。確認と転送の時間も月10時間から20時間は残るので、その時間を先に確保してください。
フォロワー数を目標にしてはいけませんか
自社の顧客ではない層が増えても商談にも採用にもつながりません。役割ごとに決めた一つの数字、たとえば獲得ならサイトへの遷移、想起なら指名検索を目標に置いてください。初年度は、続けられた週数も評価に入れます。
炎上が心配で始められません
発見の経路、連絡先、投稿を止める権限、外部への窓口、再開の条件を1枚にしておきます。対応の是非よりも判断までの時間が結果を分けます。あわせて、管理権限と登録の連絡先を個人ではなく部門で持つ形にしてください。
まとめ
- 成果の定義がないため、誰の業務としても正当化できないからです。担当の議論の前に、何をさせるのかを決める必要があります
- 獲得か、想起か、採用か、顧客への告知かのどれか一つに決めます。複数を同時に狙うと、投稿の内容も評価の指標も定まりません
- 外注できるのは制作と投稿までで、返信と判断は社内に残ります。この線引きを曖昧にしたまま委託すると、反応への対応が止まります
- 週1回から2回の投稿と、営業時間内の返信までです。毎日の投稿や即時の反応を兼任に求めると、数か月で止まります
- 定型の告知は担当者の判断、見解を含む発信は上長の確認とします。すべてを承認制にすると、投稿の速度が落ちて運用が止まります
- 事前の取り決めと、アカウントの管理権限の分離で抑えます。起きてから考えると、対応の速度が遅れて被害が広がります
- フォロワー数を目標に置いたことです。数字が増えても、事業に関係のない層が集まると何も起きません
- 役割を一つに決めることから始めます。役割が決まれば、必要な人の種類とかけてよい時間が自動的に決まります