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結果として、需要を作る役割のチャネルが順番に消えます。
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目次
目次
- 全チャネルを同じ指標で評価すると、何が起きるのか
- 媒体の構成も、上流側に寄っている
- チャネルに割り当てる役割は、どう分けるのか
- 1つのチャネルに、2つの役割を持たせない
- 役割は、チャネル単位で決まるのか
- 配信が自動化されている場合の分け方
- 役割ごとに、評価の指標をどう変えるのか
- 全体を見る数字を、1つだけ残す
- 役割が重複しているチャネルは、どう扱うのか
- 空いている役割を埋める順番
- 役割を決めた後、予算をどう動かすのか
- 枠の比率は、どの周期で見直すのか
- 役割分担がうまくいかないときは、何を疑うのか
- 複数の代理店を使っている場合
- チャネルの役割分担は、何から手をつけるのか
- よくある質問
- まとめ
最後に触れたチャネルだけが良く見え、そこに予算が集まります。
結果として、需要を作る役割のチャネルが順番に消えます。
全チャネルを同じ指標で評価すると、何が起きるのか
最後に触れたチャネルだけが良く見え、そこに予算が集まります。
結果として、需要を作る役割のチャネルが順番に消えます。
チャネルごとの成果を並べた表を、毎月見ている組織は多くあります。
その表の指標が全部CPAだと、判断が一方向にしか進みません。
購買の直前に接触するチャネルは、CVが紐づきやすい位置にあります。
指名検索への出稿や、比較サイトからの流入がこれにあたります。
同じ指標で並べれば、この種のチャネルが常に上位に来ます。
上位のチャネルに予算を寄せるのは、その表を見る限り合理的な判断です。
需要を作る役割のチャネルは、CPAでは必ず下位になります。
接触した相手がその場でCVすることは、ほとんどないからです。
興味を広げる役割も、同じく下位に置かれます。
比較の候補に入れた貢献は、CVの記録には残りません。
比較を助ける役割は、中くらいの位置になります。
検討を前に進めている段階なので、一定の割合でCVが紐づきます。
刈り取る役割と再接触する役割は、常に上位です。
どちらも既にある需要を回収する位置にあるためです。
この並びのまま予算配分を続けると、上位2つに集約されます。
そして、削った影響は翌月には出ません。
需要を作るチャネルを止めても、その月の数字はむしろ改善します。
全体のCPAが下がるため、判断が正しかったように見えます。
影響が出るのは、半年後です。
刈り取りの母数が減り、そこで初めて上流を削った結果が現れます。
このとき、原因を半年前の判断に結びつけられる組織は多くありません。
見えるのは、刈り取りのチャネルの効率が落ちたという事実だけです。
媒体の構成も、上流側に寄っている
市場の側でも、上流に寄った面が中心になっています。
電通デジタルの2025年 インターネット広告媒体費 詳細分析では、ビデオ広告が1兆275億円で構成比30%となり、初めて1兆円を超えました。
同じ分析では、ソーシャル広告が1兆3,067億円で構成比39.5%でした。
どちらも、需要を作る側と興味を広げる側で使われることの多い面です。
全部を刈り取りの指標で測っていると、こうした面を使えなくなります。
使えない状態で予算を増やすと、刈り取りの面での入札競争だけが激しくなります。
同じ分析では、運用型広告が2兆9,352億円で構成比88.7%でした。
運用型の比率が高いほど、日次の数字で判断を変えやすくなり、上流が削られる速度も上がります。
同じ指標で並べると、刈り取りのチャネルが構造的に勝ちます。上流を削った影響は翌月には出ず、半年後に母数の減少として現れます。
チャネルに割り当てる役割は、どう分けるのか
購買の段階に沿って4つから5つに分けます。
分け方は細かくせず、社内の全員が同じ言葉で言える粒度にしてください。
役割の分け方に、正解はありません。
必要なのは、全員が同じ分類を使えることです。
細かく分けるほど、分類は正確になります。
同時に、全員が同じ基準で使える確率は下がります。
実務で機能するのは、5つ以内です。
課題に気づかせる、候補に入る、比較で選ばれる、申し込みを取る、離脱を戻すという分け方で、たいていの事業は整理できます。
課題に気づかせる役割の相手は、課題を自覚していない層です。
このチャネルに期待するのは、接触した人の数と、その後の指名検索の増加です。
候補に入る役割の相手は、課題を自覚した層です。
期待するのは、資料請求と再訪問です。
比較で選ばれる役割の相手は、候補を絞っている層です。
期待するのは、問い合わせと商談化率になります。
申し込みを取る役割の相手は、既に決めている層です。
期待するのは、CV数と獲得単価です。
離脱を戻す役割の相手は、一度離れた層です。
期待するのは、再訪問と再申し込みになります。
この5つに現在のチャネルを割り当てると、空いている場所が見えます。
多くの場合、課題に気づかせる役割が空いています。
空いている理由は、その役割のチャネルを持っていないからとは限りません。
持っていたが、CPAでの評価に耐えられずに過去に止めた場合が多くあります。
止めた履歴が残っていれば、同じ理由で再び止まることを避けられます。
履歴が残っていない場合は、今回の分類をその記録の起点にしてください。
チャネルの役割と、その役割で見るもの
| 役割 | 相手の状態 | このチャネルに期待すること | 効果が現れる時期 |
|---|---|---|---|
| 課題に気づかせる | 課題を自覚していない | 接触した人数とその後の指名検索 | 半年から1年 |
| 候補に入る | 課題を自覚した | 資料請求と再訪問 | 3か月から半年 |
| 比較で選ばれる | 候補を絞っている | 問い合わせと商談化率 | 1か月から3か月 |
| 申し込みを取る | 既に決めている | CV数と獲得単価 | 数日から数週間 |
| 離脱を戻す | 一度離れた | 再訪問と再申し込み | 数週間 |
1つのチャネルに、2つの役割を持たせない
同じ媒体を認知と刈り取りの両方に使うことは、できます。
実際、多くの媒体がどちらの用途にも対応しています。
問題になるのは、評価のときです。
2つの役割が混ざったまま評価すると、どちらの役割も判断できません。
上流の配信が下流の数字を悪く見せ、下流の配信が上流の不足を隠します。
結果として、その媒体全体が中途半端な評価になります。
避けるには、キャンペーンを分けてください。
同じ媒体でも、役割が違うなら別の管理単位にします。
分けたうえで、評価も別々に行います。
媒体単位で集計した数字は、参考値として扱ってください。
役割は5つ以内に絞り、全員が同じ言葉で言える粒度にします。同じ媒体で2つの役割を担わせる場合は、キャンペーンを分けて別々に評価してください。
役割は、チャネル単位で決まるのか
チャネル単位では決まりません。
同じ媒体でも対象と訴求で役割が変わるため、分ける単位はキャンペーンです。
検索広告は刈り取り、動画は認知という分け方は、実務では粗すぎます。
同じ媒体の中に、複数の役割が混ざっているのが普通です。
検索広告で社名や製品名に出稿しているキャンペーンは、申し込みを取る役割です。
既に自社を知っている相手が検索しているためです。
同じ検索広告でも、課題語や一般名詞に出稿しているキャンペーンは違います。
候補を絞っている段階の相手が多いため、比較で選ばれる役割になります。
この2つを検索広告としてまとめて評価すると、課題語への出稿が常に不利になります。
社名への出稿のCPAと並べれば、数倍の差が出るのが普通だからです。
動画も同じです。
広い層への配信は課題に気づかせる役割ですが、サイト訪問者への配信は離脱を戻す役割です。
ソーシャルも、関心での配信と既存リストへの配信では役割が違います。
前者は候補に入る役割で、後者は離脱を戻す役割になります。
したがって、役割を割り当てる単位はキャンペーンです。
媒体の名前で分類すると、判断を誤ります。
キャンペーンの構成そのものを、役割で分けておくと運用が楽になります。
評価がそのまま判断につながるためです。
役割が混ざった構成のままだと、評価のたびに集計し直す手間がかかります。
そして、集計の手間がかかる指標は、数か月で見られなくなります。
配信が自動化されている場合の分け方
配信の最適化が媒体側に委ねられる形式では、役割の線引きが曖昧になります。
どの層に配信されたかを、自社で完全には制御できないためです。
この場合は、配信先ではなく訴求と入口のページで役割を分けてください。
何を見せて、どこに着地させるかは自社で決められます。
課題の説明を見せて資料のページに着地させるなら、候補に入る役割です。
価格と申し込みの導線を見せるなら、申し込みを取る役割になります。
同じ自動化された配信の中で、この2つを1つのキャンペーンに混ぜないでください。
混ぜると、媒体側の最適化が成果の出やすい下流に寄り、上流の配信が実質的に止まります。
役割はキャンペーン単位で割り当て、媒体名で分類しないでください。自動化された配信では、訴求と着地ページで役割を分けます。
役割ごとに、評価の指標をどう変えるのか
上流ほど遅い指標、下流ほど速い指標を使います。
上流に速い指標を当てると、必ず不合格になります。
役割を分ける目的は、評価の指標を分けることにあります。
分類だけして指標が同じなら、何も変わりません。
指標と評価の間隔は、組にして決めてください。
指標だけ分けて評価の間隔が月次のままなら、上流は毎月不合格になります。
課題に気づかせる役割の指標は、到達した人数と指名検索の回数です。
評価の間隔は半期で、予算は別枠で確保します。
候補に入る役割の指標は、資料請求と再訪問率です。
評価の間隔は四半期で、予算の見直しは半期に行います。
比較で選ばれる役割の指標は、問い合わせと商談化率です。
評価は月次と四半期の両方で行い、予算の調整は四半期にします。
申し込みを取る役割の指標は、CV数と獲得単価です。
評価は週次と月次で、予算の調整も月次で行えます。
離脱を戻す役割の指標は、再訪問と再申し込みです。
評価も予算の調整も、月次で足ります。
役割ごとの指標と、評価の間隔と予算の扱い
| 役割 | 主な指標 | 評価の間隔 | 予算の扱い |
|---|---|---|---|
| 課題に気づかせる | 到達した人数と指名検索の回数 | 半期 | 別枠で確保する |
| 候補に入る | 資料請求と再訪問率 | 四半期 | 半期で見直す |
| 比較で選ばれる | 問い合わせと商談化率 | 月次と四半期 | 四半期で調整する |
| 申し込みを取る | CV数と獲得単価 | 週次と月次 | 月次で調整する |
| 離脱を戻す | 再訪問と再申し込み | 月次 | 月次で調整する |
上流の指標は、そのチャネル単体では判定できません。
到達した人数が増えても、それ自体は成果ではないからです。
確かめる方法は、下流の量を見ることです。
半年後に、指名検索と直接流入の量が増えているかを確認します。
この確認の手順を決めておかないと、上流の予算は毎年攻撃されます。
確認の方法が無い支出は、説明できない支出として扱われるためです。
確認の手順には、比較の起点も含めてください。
半年前の同じ月と比べるのか、前年同月と比べるのかで読み方が変わります。
上流の施策には季節性のある接触が含まれることが多いため、前年同月との比較が妥当です。
半年前と比べると、季節要因を施策の成果と取り違えます。
全体を見る数字を、1つだけ残す
役割ごとに指標を分けると、全体を見る数字がなくなります。
役割ごとの数字は全部良好なのに、事業の数字は伸びていないという状態が起き得ます。
これを防ぐため、事業全体では総商談数と総獲得費用の関係を1つだけ残してください。
役割ごとの調整は、この数字が悪化していないことを確認しながら行います。
残す数字を2つ以上にすると、また同じ問題が起きます。
複数の全体指標が矛盾したとき、どちらを優先するかで議論が止まります。
この1つの数字を見る場は、月次の会議です。
役割ごとの指標は、それぞれの評価の間隔で別の場で見てください。
指標と評価の間隔を組にして決め、上流は半期で見ます。役割ごとの指標とは別に、総商談数と総獲得費用の関係を1つだけ残してください。
役割が重複しているチャネルは、どう扱うのか
重複自体は問題ではありません。
同じ相手に同じ役割で重ねて当てているかどうかを確認してください。
複数のチャネルが同じ役割を持つことは、普通に起きます。
重複の是非は、対象が重なっているかで決まります。
役割が同じで対象が違うなら、届く層が広がっています。
この状態は、そのまま維持してください。
役割が同じで対象も同じなら、同じ人に重ねて出しています。
1つに寄せるか、頻度を下げる判断になります。
役割が違うが対象が同じなら、段階に沿って接触できている状態です。
これは望ましい形で、手を入れる必要はありません。
役割が空いている場所があるなら、その段階に接点がありません。
チャネルを追加する判断になります。
役割の定義が人によって違う場合は、重複の判定そのものができません。
この場合に先にやるべきなのは、定義を文書にすることです。
同じ相手に複数回接触すること自体は、無駄ではありません。
想起の面では、繰り返しの接触に意味があります。
問題になるのは、同じ役割の接触を無制限に重ねた場合です。
同じ訴求を何度も見せても、相手の状態は変わりません。
そのため、頻度の上限を役割ごとに決めてください。
上流の役割では上限を高めに、下流の役割では低めに置くのが実務的です。
寄せる判断をする場合の基準は、成果の良いほうです。
ただし、寄せた結果として1つのチャネルへの依存が進むことがあります。
依存が進んだ状態では、その媒体の仕様変更が事業の数字を直撃します。
どこまで寄せるかは、成果とは別の観点で判断が要ります。
空いている役割を埋める順番
空いている役割が複数見つかった場合、どこから埋めるかの判断が要ります。
上流から順に埋めるのが正しいとは限りません。
判断の材料は、今の事業の詰まりです。
リードはあるが商談にならないなら、比較で選ばれる役割が空いている可能性があります。
リードそのものが足りないなら、候補に入る役割か課題に気づかせる役割です。
どちらかは、指名検索の量が伸びているかで判断できます。
埋める方法は、新しいチャネルの追加だけではありません。
既存のチャネルの中に、その役割のキャンペーンを追加する形でも埋まります。
新しい媒体を足すより、既存の媒体で役割を追加するほうが立ち上がりは早くなります。
運用の知見と計測の仕組みが、既にあるためです。
新しい媒体が必要になるのは、既存の媒体に上流の面が無い場合だけです。
検索だけで運用している事業では、課題に気づかせる役割を既存の媒体で埋められません。
この判断は、媒体の機能の話ではなく到達できる層の話として行ってください。
既存の媒体で到達できない層がいるかどうかが、追加の唯一の根拠になります。
重複の是非は対象が重なっているかで決まり、役割が違えば重複ではありません。空いている役割は、新しい媒体より既存の媒体での追加から検討してください。
役割を決めた後、予算をどう動かすのか
役割の枠を先に決めて、枠の中で配分を調整します。
枠をまたいだ移動は、半期の区切りだけにしてください。
役割を分けても、予算の財布が1つのままなら結果は変わりません。
枠として分けることに、意味があります。
枠に分けると、移動のたびに判断が必要になります。
この摩擦が、反射的な予算移動を止めます。
同じ役割の中でチャネル間を移動する場合は、月次で構いません。
判断するのは運用の担当で、条件は成果の差が明確なときです。
申し込みを取る枠と離脱を戻す枠の間の移動も、月次で行えます。
判断するのはマーケティング責任者で、全体の商談数を維持できることが条件です。
比較で選ばれる枠と下流の枠の間は、四半期です。
商談化率を確認したうえで判断します。
上流の枠から下流への移動は、半期の区切りだけにしてください。
判断するのは決裁者で、理由を記録に残します。
下流の枠から上流への移動も、同じ扱いです。
どちらの方向でも、記録を残す手順を通します。
この手順を置く理由は、四半期の数字が苦しいときに最初に削られるのが上流だからです。
削らないと決めるのではなく、削るなら決裁者の判断を通すという形にします。
手順があるだけで、反射的な削減は減ります。
削る判断そのものを禁止する必要はありません。
記録に残す内容は、金額と移動元と移動先だけでは足りません。
なぜその時点で移す必要があったのかと、戻す予定があるかを1行ずつ書いてください。
戻す予定を書かせると、一時的な移動なのか恒久的な変更なのかが区別されます。
区別されていない移動は、翌期の予算編成でそのまま既定値になります。
この記録を残す場所は、期初の予算配分の資料と同じにしてください。
別の場所に書くと、翌期の配分を決めるときに参照されません。
枠の比率は、どの周期で見直すのか
固定した比率を何年も使うと、市場の変化に合わなくなります。
一方で、毎月見直すと枠に分けた意味がなくなります。
実務で機能するのは、半期ごとに枠の中の配分を見直し、年次で枠そのものの比率を見直す形です。
枠の比率を動かすのは、期初の予算を組む場になります。
見直しの材料は、指名検索と直接流入の推移です。
上流が効いているなら、その枠の比率を維持するか増やす判断になります。
効いていない場合に減らすかどうかは、期間で判断してください。
上流の効果は半年から1年で出るため、2四半期の実績だけで減らすのは早すぎます。
枠をまたぐ移動には手順を置き、上流からの移動は半期と決裁者の判断に限ります。枠の比率は年次で、枠の中の配分は半期で見直してください。
役割分担がうまくいかないときは、何を疑うのか
役割の定義が人によって違っている可能性があります。
分類の言葉が揃っていないと、同じ表を見ても違う判断になります。
役割を決めたのに運用が変わらないという状態は、よく起きます。
原因は、決めた内容ではなく共有の仕方にあることが多くなります。
最初に疑うのが、定義のずれです。
確認の方法は、同じチャネルを複数人に分類させてみることです。
結果が割れるなら、定義が共有されていません。
定義を文書にして、判断の例を3つ添えてください。
2つ目が、評価の指標が変わっていないことです。
役割を分けたのに、月次の報告資料が従来のままという状態です。
確認は、月次の報告資料を見れば済みます。
全チャネルがCPAで並んでいるなら、分類は運用に反映されていません。
3つ目が、予算の財布が分かれていないことです。
稟議の単位を見ると、分かれているかどうかが分かります。
4つ目が、上流の効果を確かめる手順が無いことです。
半期の報告に、指名検索と直接流入の推移が含まれているかを確認してください。
5つ目が、代理店と分類が揃っていないことです。
提出される報告の項目を見れば、分類が共有されているかが分かります。
Testifyが2026年5月14日から18日に実施した調査では、9割超の企業が代理店を活用しており、全面委託が37.2%、社内運用との併用が54.4%でした。
運用を委託している場合、役割の分類が共有されていないと報告の形式が合いません。
分類は、契約の段階で渡してください。
運用が始まってから渡すと、報告の様式ごと作り直すことになります。
複数の代理店を使っている場合
チャネルごとに委託先が違う場合、構造的な問題が加わります。
それぞれが、自分の担当するチャネルの成果を最大化しようとするためです。
役割の分担を伝えていないと、全社が刈り取りに寄ります。
上流を担当している委託先も、CPAで評価されると下流の訴求に寄せてきます。
防ぐには、委託先ごとに担当する役割と見る指標を明示してください。
上流を担当する委託先には、半期での評価であることも伝えます。
そのうえで、全体の設計は自社で持ってください。
委託先をまたいだ配分の判断は、どの委託先にもできません。
同じ調査では、代理店を利用する企業の約2割が不満を持っており、マーケティング責任者では成果不振の説明不足が53.1%でした。
役割と指標を渡していない状態では、説明の前提そのものが共有されていません。
この不満は、委託先の報告の質だけの問題ではありません。
何を説明してもらうかを渡していない側にも、原因が残ります。
役割と指標と評価の間隔を渡したうえで、成果が出なかったときに何を報告するかを契約時に決めてください。
決めておけば、半期の報告は数字の確認から始まります。
定義のずれ、報告資料の指標、予算の財布、上流の確認手順、代理店との分類の5つを順に確認します。複数社に委託している場合は、役割と指標を委託先ごとに明示してください。
チャネルの役割分担は、何から手をつけるのか
今あるチャネルを役割に割り当てて、空いている役割を見つけることからです。
新しいチャネルを足すのは、その後になります。
最初の作業は、現状の棚卸しです。
新しい施策を考える前に、今あるものがどの役割を担っているかを確定させます。
この作業をせずに新しいチャネルを足すと、既に埋まっている役割が二重になります。
そして、空いたままの役割は空いたまま残ります。
チャネルの役割分担に着手する順番
| 順番 | やること | 関わる人 | 期間の目安 |
|---|---|---|---|
| 1 | 役割の分類を5つ以内で決めて文書にする | マーケティング | 1週間 |
| 2 | 現在のチャネルとキャンペーンを役割に割り当てる | マーケ・運用担当 | 2週間 |
| 3 | 空いている役割と重複している役割を洗い出す | マーケティング | 1週間 |
| 4 | 役割ごとに評価の指標と評価の間隔を決める | マーケ責任者 | 1週間 |
| 5 | 予算を役割の枠に分けて稟議の単位を変える | 予算の承認者 | 期初に合わせる |
| 6 | 代理店に分類を共有して報告の形式を揃える | マーケ・代理店 | 2週間 |
2をキャンペーン単位で行うことが、この手順の要点です。
媒体単位で割り当てると、同じ媒体の中の役割の違いが見えません。
数字は説明のための仮の値です。
月間の広告費が500万円で、刈り取りの役割に400万円が入っているとします。
この場合、上流には100万円しか残っていません。
比率で言えば2割です。
この配分のまま半年続けると、刈り取る母数が先に尽きます。
そして、刈り取りのチャネルのCPAが上がり始めます。
このとき多くの組織が取る対応は、刈り取りへの追加投資です。
CPAが上がっているのは競合の入札が強まったからだと解釈されるためです。
実際には、母数が減っていることが原因です。
上流の構成比を月次で見ていれば、この誤解は起きません。
役割分担が定着しているかを見る数字
| 数字 | 見る頻度 | 目安の考え方 |
|---|---|---|
| 役割ごとの予算構成比 | 月次 | 意図した配分から外れていないか |
| 役割ごとの主指標 | 役割に応じた間隔 | 同じ指標で横並びにしない |
| 総商談数と総獲得費用 | 月次 | 全体が悪化していないか |
| 指名検索と直接流入 | 半期 | 上流が効いているか |
| 空いている役割の有無 | 四半期 | 購買の段階に穴がないか |
指標を分けても、報告資料が従来のままだと議論は変わりません。
役割ごとに区切った資料の形を、先に作ってください。
作る順番は、分類の文書化と同時です。
報告の形が変わると、数字の集計の仕方も変わるためです。
決めた分類は、頻繁に動かさないでください。
分類を変えると、期をまたいだ比較ができなくなります。
変えるのは年度の区切りだけにします。
その場合も、過去のデータを新しい分類で集計し直してから比較してください。
着手点は新しいチャネルの追加ではなく、キャンペーン単位での棚卸しです。役割ごとの予算構成比を月次で見て、上流が細っていないかを確認してください。
チャネルごとの役割が決まっていない場合は、無料相談で現状の配分を一緒に整理するところから始められます。
評価の仕組みごと見直す段階ならWeb集客改善サービスもあります。
よくある質問
チャネルの役割はいくつに分ければいいですか
5つ以内にしてください。課題に気づかせる、候補に入る、比較で選ばれる、申し込みを取る、離脱を戻す、という分け方でたいていの事業は整理できます。細かくするほど分類は正確になりますが、全員が同じ基準で使える確率は下がります。
役割はチャネル単位で決めていいですか
キャンペーン単位で決めてください。同じ媒体でも対象と訴求によって役割が変わります。検索広告を一律に刈り取りと扱うと、課題語への出稿が社名への出稿と並べられ、常に不利な評価になります。
上流のチャネルが効いているかはどう確かめますか
そのチャネル単体では判定できません。半年後に指名検索と直接流入の量が増えているかで確かめます。この確認手順を先に決めて半期の報告に含めておかないと、確認方法の無い支出として毎年削られます。
同じ役割のチャネルが重複していたら統合すべきですか
対象が違うなら届く層が広がっているので維持します。対象も同じなら1つに寄せるか頻度を下げます。ただし寄せすぎると1つのチャネルへの依存が進み、その媒体の仕様変更が事業の数字を直撃するため、成果とは別の観点での判断が要ります。
役割を決めたのに運用が変わりません
同じチャネルを複数人に分類させてみてください。結果が割れるなら定義が共有されていません。あわせて、月次の報告資料が全チャネルCPAの横並びのままになっていないか、予算の稟議の単位が役割で分かれているかを確認してください。
まとめ
- 最後に触れたチャネルだけが良く見え、そこに予算が集まります。結果として、需要を作る役割のチャネルが順番に消えます
- 購買の段階に沿って4つから5つに分けます。分け方は細かくせず、社内の全員が同じ言葉で言える粒度にしてください
- チャネル単位では決まりません。同じ媒体でも対象と訴求で役割が変わるため、分ける単位はキャンペーンです
- 上流ほど遅い指標、下流ほど速い指標を使います。上流に速い指標を当てると、必ず不合格になります
- 重複自体は問題ではありません。同じ相手に同じ役割で重ねて当てているかどうかを確認してください
- 役割の枠を先に決めて、枠の中で配分を調整します。枠をまたいだ移動は、半期の区切りだけにしてください
- 役割の定義が人によって違っている可能性があります。分類の言葉が揃っていないと、同じ表を見ても違う判断になります
- 今あるチャネルを役割に割り当てて、空いている役割を見つけることからです。新しいチャネルを足すのは、その後になります