
聞きたいことではなく、知りたいことを決めていないからです。
質問リストを先に作ると、相手の答えを自社の枠に押し込む場になります。
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目次
目次
- 顧客インタビューから何も出てこないのは、なぜか
- 外したい仮説を、先に三つ書く
- 誰に聞くのかを、どう決めるのか
- 件数の目安と、セグメントの切り方
- 知りたいことを、どう質問に翻訳するのか
- 相手の言葉を、そのまま記録する
- 質問の順序と聞き方は、どう組むのか
- 記録は録音して、後で読む
- やってはいけない聞き方とは、どんなものか
- 営業担当が同席する場合の判断
- 聞いた内容を、どう使える形にするのか
- 一人だけの発言を、そのまま採用しない
- 社内でやるか、外部に頼むか
- 委託するときに確認すること
- インタビューを始めるまでに、何を準備するのか
- 社内で共有する場を作る
- よくある質問
- まとめ
聞きたいことではなく、知りたいことを決めていないからです。
質問リストを先に作ると、相手の答えを自社の枠に押し込む場になります。
顧客インタビューから何も出てこないのは、なぜか
聞きたいことではなく、知りたいことを決めていないからです。
質問リストを先に作ると、相手の答えを自社の枠に押し込む場になります。
インタビューを実施したのに、議事録を読み返しても新しい発見がない。
この状態は珍しくありません。
実施の技術が原因だと考えられがちですが、多くは設計の段階で決まっています。
聞き方を変えても、設計が同じなら結果は同じです。
最初の問題が、仮説を持たずに聞いていることです。
何も決めずに聞くと、相手は当たり障りのない話をします。
満足しているか、不満はないかという問いには、社交辞令が返ります。
相手には、踏み込んだ話をする動機がありません。
仮説を持って聞くと、その仮説が外れたところで会話が深くなります。
外れたことに相手が反応するためです。
二つ目の問題が、意見を聞いてしまっていることです。
どう思うか、あったらいいと思う機能は何か。
こうした問いは意見を求めています。
意見は現場で検証できません。
過去に実際にとった行動を聞くと、検証できる材料が残ります。
行動は事実なので、後からデータと突き合わせられます。
三つ目の問題が、満足度を聞いていることです。
満足度は高めに自己申告されます。
関係を維持したい相手に対して、低い評価を伝える人は多くありません。
直近で困った場面を具体的に聞くほうが、施策に使える情報が残ります。
四つ目が、聞いた内容の使い道が決まっていないことです。
誰が何に使うのかが決まっていないと、議事録がフォルダに残るだけになります。
広告のコピーに使うのか、商品の要件に使うのか、営業のトークに使うのか。
使い道で、聞くべき深さが変わります。
五つ目が、一回で完結させようとすることです。
一度きりの実施では、そのときの市場の状態しか分かりません。
四半期ごとに続けると、前回との差分が情報になります。
差分が出た箇所は、市場か自社の商材が動いた箇所です。
続けるためには、一回あたりの規模を小さくしてください。
大掛かりに設計すると、二回目が始まりません。
外したい仮説を、先に三つ書く
設計の起点は、外したい仮説を書き出すことです。
確かめたい仮説ではなく、外れてほしくない仮説を書きます。
外れると困る仮説ほど、検証の価値があります。
当たっていると思っている前提が崩れたときに、打ち手が変わるからです。
三つに絞ってください。
一時間で聞ける論点は、三つか四つが限界です。
書き出した仮説は、インタビューの前に社内で共有します。
共有しておくと、結果が出たときの解釈が揃います。
共有していないと、結果の解釈が人によって分かれます。
分かれた解釈は、施策に落ちません。
設計の起点は、外したい仮説を三つ書き出すことです。意見や満足度ではなく、過去にとった行動を聞くと、後から検証できる材料が残ります。
誰に聞くのかを、どう決めるのか
利用中の顧客に聞きます。
検討中の見込み客や、失注した相手に聞くのは、目的が別のインタビューです。
インタビューと一口に言っても、相手によって取れる情報がまったく違います。
相手を混ぜると、設計が成立しません。
ここで扱うのは、自社の商材をすでに使っている顧客に聞く場合です。
目的は、課題の中身と、顧客が使う言葉を知ることです。
失注した相手に聞くのは、自社が選ばれなかった理由を知るためです。
質問も、聞き手も、時期も別に設計します。
受注直後の顧客に決め手を聞くのも、別の設計です。
決め手は記憶が新しいうちに聞く必要があります。
利用中の顧客の中でも、層によって取れることが違います。
導入から三か月以内の顧客からは、検討時の状況と使った言葉が取れます。
記憶が新しいため、情報の精度が高くなります。
この層は、最も優先して聞くべき対象です。
一年以上使っている顧客からは、運用上の不便と定着の条件が取れます。
長く使っているからこそ見えている論点があります。
利用が止まりかけている顧客からは、期待と実態のずれが取れます。
補助的に含めてください。
聞く相手を選ぶとき、紹介してもらいやすいのは関係の良い顧客です。
その層だけに聞くと、うまくいっている前提の話しか集まりません。
利用頻度が低い顧客や、当初の想定と違う使い方をしている顧客を必ず混ぜてください。
想定と違う使い方には、新しい用途の手がかりがあります。
依頼の経路も、偏りの原因になります。
営業経由でしか依頼していないと、営業が関係を保てている相手に集中します。
サポートの窓口や、利用の記録から直接依頼する経路も作ってください。
経路が複数あると、層の偏りが減ります。
件数の目安と、セグメントの切り方
何件聞けばよいかという問いには、件数ではない答えがあります。
同じ話が繰り返し出てくるようになった時点が、一区切りです。
セグメントを絞れば、一セグメントあたり五件から八件で傾向が見えることが多くなります。
これは経験則であり、商材によって上下します。
セグメントを分けずに件数だけ増やしても、平均的な話にしかなりません。
異なる層の話が混ざり、共通点が消えます。
セグメントの切り方は、分析の目的で決めてください。
広告の設計に使うなら流入経路、商品の要件に使うなら利用の深さで切ります。
切り方を先に決めておくと、依頼する相手の選定も早くなります。
切り方が決まっていないと、依頼できる相手から順に聞くことになります。
聞く相手の選び方
| 相手 | 取れること | このインタビューでの扱い |
|---|---|---|
| 導入から3か月以内の顧客 | 検討時の状況と、使った言葉 | 主な対象 |
| 1年以上使っている顧客 | 運用上の不便と、定着の条件 | 主な対象 |
| 利用が止まりかけている顧客 | 期待と実態のずれ | 補助的に含める |
| 検討中の見込み客 | 現在進行の比較状況 | 別の設計で実施する |
| 失注した見込み客 | 選ばれなかった理由 | 別の設計で実施する |
相手によって取れる情報が違うため、目的ごとに設計を分けてください。セグメントを絞れば一つあたり五件から八件で傾向が見え、同じ話が繰り返された時点が区切りです。
知りたいことを、どう質問に翻訳するのか
そのまま聞いても答えは出ません。
知りたいことを、相手が事実として答えられる形の質問に置き換えます。
なぜ弊社を選んだかと聞けば、選んだ理由が返ってきます。
ただしそれは、本人がその場で再構成した説明です。
再構成された説明は、筋が通っています。
筋が通っているからこそ、実際の経緯とは違うことがあります。
知りたいことと、聞く言葉を分けて設計してください。
翻訳の基準は、相手が事実として答えられるかどうかです。
課題の深刻さを知りたい場合、困っていますかと聞いても程度は分かりません。
直近でその問題が起きた場面を具体的に聞くと、頻度と影響が見えます。
情報収集の経路を知りたい場合、どこで調べますかと聞くと一般論が返ります。
最初に開いたページを覚えている範囲で聞くと、実際の経路が分かります。
比較の軸を知りたい場合、何を重視しますかと聞くと建前が返ります。
候補から外した先と、その場面を聞くと、実際の基準が見えます。
社内の関与者を知りたい場合、誰が決めますかと聞くと役職名が返ります。
検討中に相談した相手を順番に聞くと、実際の関与者が分かります。
導入の決め手を知りたい場合、決め手は何でしたかと聞くと一つに集約されます。
最後に迷った二つと、分けた材料を聞くと、判断の構造が見えます。
使う言葉を知りたい場合、どう呼びますかと聞くと辞書的な答えが返ります。
社内で説明したときの言い方を聞くと、実際の語彙が出ます。
いずれも、行動を軸にした質問に直しています。
いつ、何がきっかけで、誰に、どの順番でという形です。
行動を聞く質問には、もう一つの利点があります。
相手が答えやすいということです。
意見を求められると、相手は正しい答えを探します。
行動を聞かれると、思い出すだけで済みます。
相手の言葉を、そのまま記録する
顧客は、自社が使っている業界用語で話していません。
別の言葉で、別の枠組みで話しています。
議事録で言葉を整えてしまうと、この情報が消えます。
整えた言葉は、社内の用語に戻ってしまいます。
発言は原文のまま残してください。
広告のコピーや検索の語に使うときに、原文が必要になります。
時系列で聞くことも、記憶を引き出すうえで有効です。
最初のきっかけから順に聞くと、途中の出来事が思い出されます。
いきなり核心を聞くと、まとまった説明が返ってきます。
まとまった説明は、再構成された内容です。
知りたいことと、事実として聞ける質問
| 知りたいこと | そのまま聞くと | 事実として聞ける形 |
|---|---|---|
| 課題の深刻さ | 困っていますかと聞く | 直近でその問題が起きた場面を具体的に |
| 情報収集の経路 | どこで調べますかと聞く | 最初に開いたページを覚えている範囲で |
| 比較の軸 | 何を重視しますかと聞く | 候補から外した先と、その場面 |
| 社内の関与者 | 誰が決めますかと聞く | 検討中に相談した相手を順番に |
| 導入の決め手 | 決め手は何でしたかと聞く | 最後に迷った2つと、分けた材料 |
質問は、相手が事実として答えられる形に翻訳してください。発言は原文のまま残し、時系列で聞くと再構成された説明を避けられます。
質問の順序と聞き方は、どう組むのか
広い質問から入り、具体的な場面に降ります。
1時間で聞けるのは、3つか4つの論点までです。
準備した質問を全部聞こうとすると、どれも浅くなります。
論点を絞り、深さを取ってください。
一時間の配分は、あらかじめ決めておきます。
冒頭の確認に五分、背景の把握に十五分、核心の論点に三十分、補足に十分です。
この配分にしておくと、核心に時間が残ります。
配分を決めずに始めると、背景の把握だけで三十分が過ぎます。
順序は、目的の説明と記録の許可から始めます。
録音の可否を、ここで確認してください。
次に、現在の業務と役割を聞きます。
相手の立場が分かると、後の話の解釈が変わります。
三番目に、探し始めたきっかけと、そのときの状況を聞きます。
ここが最も情報量の多い区間です。
四番目に、検討の経過と相談した相手を聞きます。
関与者の構成が、ここで分かります。
最後に、使ってみて想定と違った点を聞きます。
期待と実態のずれが、ここで出ます。
聞き方には、二つの技術があります。
沈黙を埋めないことと、逸れた先を拾うことです。
相手が考えている間に、次の質問を出してしまうことがあります。
その沈黙の後に出てくる言葉が、準備されていない本音であることが多くなります。
三秒から五秒待ってください。
待つだけで、出てくる内容が変わります。
沈黙が続くのは、相手が記憶を探しているときです。
探している最中に別の質問を入れると、探すのをやめて一般論に戻ります。
準備した質問に戻そうとすると、事前の想定の範囲しか出てきません。
逸れた先に知らなかった話があるなら、そちらを深めてください。
記録は録音して、後で読む
その場でメモを取ることに集中すると、聞くことがおろそかになります。
メモを書いている間に、次の言葉を聞き逃します。
許可を得て録音し、後で文字に起こしてください。
文字起こしがあると、原文のまま残せます。
録音の許可は、冒頭で取ります。
何に使うか、どこまで社内で共有するかも、その場で伝えてください。
顧客のデータを扱う場面では、取り扱いの範囲を先に決めます。
関連する規制は改定されることがあるため、掲載時点の最新の公式ガイドラインで確認してください。
聞き手は二人体制にすると、進行と記録を分けられます。
一人が質問に集中し、もう一人が反応を観察します。
ただし、三人以上にはしないでください。
聞き手が多いと、相手が質問される側として身構えます。
一時間で聞けるのは三つか四つの論点までです。沈黙を三秒から五秒待ち、逸れた先に新しい話があるならそちらを深めてください。
やってはいけない聞き方とは、どんなものか
答えを誘導する聞き方と、評価を求める聞き方は避けます。
どちらも、確認したい仮説を肯定する答えが返ってくるだけです。
インタビューの失敗の多くは、聞き手が無意識に望む答えへ誘導することで起きます。
誘導は、悪意ではなく設計の不備から生まれます。
最も多いのが、前提を含んだ質問です。
コストが課題だと思いますが、いかがですかという聞き方には前提が入っています。
相手は否定しにくくなります。
そうですねと答えた時点で、その前提が確認されたことになります。
前提を外して、場面を聞いてください。
費用について社内で議論が出た場面はありましたかという形にします。
二つ目が、評価を求める質問です。
満足していますか、使いやすいですかという問いには社交辞令が返ります。
直近の具体的な出来事を聞くほうが、実態が出ます。
先月、使っていて手間だと感じた場面はありましたかという形です。
三つ目が、仮定の質問です。
もしこの機能があったら使いますかという問いには、多くの人が肯定的に答えます。
実際に使うかどうかは別です。
過去にその不便をどう解消していたかを聞くほうが、確かな材料になります。
四つ目が、選択肢を先に示すことです。
選択肢を示すと、想定内の答えしか出ません。
自由に語らせてから、必要なら選択肢を確認してください。
順序が逆になると、相手の枠組みが分からなくなります。
五つ目が、複数の論点を一つの質問に入れることです。
どちらに答えたか分からない答えが返ります。
一問一論点に分けてください。
分ければ、答えの対応関係が明確になります。
営業担当が同席する場合の判断
普段の担当者が同席すると、顧客は不満を言いにくくなります。
関係が良いほど、言いにくさは増します。
関係の維持が目的なら、同席して構いません。
顧客にとっても、担当者がいるほうが話しやすい場面があります。
本音を取りたいなら、外してください。
とくに、期待と実態のずれを聞く場合は外すほうが確実です。
目的に応じて決める、という原則を先に社内で共有してください。
共有していないと、外すこと自体が営業への不信と受け取られます。
外す場合は、聞いた内容をどう共有するかも決めてください。
共有の約束があれば、外すことへの抵抗が減ります。
前提を含む質問、評価を求める質問、仮定の質問は避けてください。営業の同席は、関係の維持が目的なら可、本音を取りたいなら外すという基準で決めます。
聞いた内容を、どう使える形にするのか
議事録のままでは使えません。
発言を論点ごとに並べ替えて、複数人に共通する部分だけを抽出します。
インタビューの価値は、実施後の整理で決まります。
実施が上手でも、整理が甘ければ施策に落ちません。
最もよくある失敗が、一件ごとの要約を作ることです。
要約を作ると、そこで情報が失われます。
失われるのは、顧客が使った言葉と、話の順序です。
どちらも、施策に使ううえで欠かせない情報です。
整理の方法は、論点ごとに発言を並べることです。
件ごとではなく、論点ごとに集めます。
探し始めたきっかけという論点に、八人分の発言を並べます。
並べると、共通する部分とばらつく部分が見えます。
共通する部分は、施策に使えます。
ばらつく部分は、セグメントの切り方の手がかりになります。
発言の使い道は、種類ごとに違います。
探し始めたきっかけの描写は、広告のコピーに使えます。
冒頭でその状況を言い当てると、反応が変わります。
自分のことだと認識されるためです。
顧客が使う言葉は、検索の語とコピーに使います。
自社の用語に翻訳しないでください。
比較して外した理由は、比較コンテンツに使います。
外された側の観点を扱うと、検討の途中にいる相手に届きます。
社内で説明した言い方は、決裁者向けの資料に使います。
稟議の文章にそのまま使えることがあります。
想定と違った点は、導入後の説明資料に使います。
事前の期待値を調整すると、解約が減ります。
一人だけの発言を、そのまま採用しない
印象の強い発言は、一件でも採用したくなります。
とくに、聞き手の仮説を裏づける発言は採用されやすくなります。
複数人から出たかを確認してから使ってください。
一人だけの発言は、次回の確認事項として残します。
確認事項として残しておくと、次のインタビューの設計に組み込めます。
三件で確認できれば、その時点で採用します。
どの発言がどの施策に使われたかも、記録してください。
記録があると、次回のインタビューの設計が精密になります。
使われなかった論点が多いなら、聞く論点の選び方に問題があります。
使い道から逆算して、聞く内容を絞り直してください。
整理にかかる時間は、実施と同じかそれ以上を見込んでください。
八件であれば、文字起こしと論点別の並べ替えで二週間程度かかります。
この時間を計画に入れていないと、実施したまま整理されずに終わります。
整理されていない記録は、半年後には誰も開きません。
件ごとの要約ではなく、論点ごとに発言を並べ替えてください。一人だけの発言は採用せず、次回の確認事項として残します。
社内でやるか、外部に頼むか
本音を引き出す必要があるなら外部が向きます。
言葉をそのまま施策に使いたいなら、使う本人が聞くほうが早く回ります。
インタビューを外部に委託するかどうかは、費用だけで決める話ではありません。
聞き手が誰かで、出る話が変わるためです。
自社の人間が聞くと、顧客は配慮した話し方をします。
取引が続いている相手に、率直な不満を伝える人は多くありません。
一方で、自社の人間は商材を理解しています。
理解しているぶん、深い質問ができます。
外部が聞くと、本音は出やすくなります。
利害関係がないため、相手も話しやすくなります。
その代わり、事前の理解に依存します。
商材を理解していない聞き手では、話が表層で止まります。
費用の面では、社内は人件費のみ、外部は一件あたりの費用が発生します。
ただし、社内でも実施には相応の時間がかかります。
施策への反映速度は、社内のほうが速くなります。
外部は報告書を介するため、時間差が生まれます。
継続のしやすさでは、外部が有利です。
社内は、業務が詰まると止まります。
どちらか一方に決める必要はありません。
本音が要る論点は外部、言葉を集める論点は社内という分け方もできます。
最初の数件を外部に依頼し、設計を学んでから社内に移す方法もあります。
設計の型が社内に残れば、その後は自社で続けられます。
委託するときに確認すること
設計を誰が行うか、聞き手が誰か、録音と文字起こしを納品物に含めるか。
この三つを、依頼前に確認してください。
要約だけを受け取る形にすると、顧客が使った言葉が失われます。
文字起こしの原文を、必ず納品物に含めてください。
原文がなければ、コピーにも検索の語にも使えません。
要約は、社内の言葉に翻訳された後の状態です。
アンケート調査を主業務とする会社と、定性のインタビューを扱う会社では進め方が異なります。
依頼前に、過去にどういう論点でどう設計したかを聞いておいてください。
顧客のデータを渡す場合は、取り扱いの範囲を取り決めます。
関連する規制は改定されることがあるため、掲載時点の最新の公式ガイドラインで確認してください。
本音が要る論点は外部、言葉を集める論点は社内という分け方ができます。委託する場合は、文字起こしの原文を必ず納品物に含めてください。
インタビューを始めるまでに、何を準備するのか
対象の選定と、外したい仮説の言語化からです。
依頼と日程調整に時間がかかるため、目的の確定を先に済ませます。
実施までのリードタイムは、想定より長くかかります。
逆算して動いてください。
最初に決めるのは、聞いた結果を誰が何に使うかです。
使い道が決まっていないと、聞く論点も決まりません。
次に、外したい仮説を三つ書き出します。
外れると打ち手が変わる仮説を選んでください。
三番目に、対象のセグメントと件数を決めます。
分析の目的から、切り方を決めます。
四番目に、質問の設計と聞く順序を作ります。
一時間の配分も、ここで決めます。
五番目が、依頼と日程調整です。
ここに三週間を見込んでください。
最後に、実施と文字起こし、論点ごとの整理を行います。
八件であれば、五週間程度かかります。
インタビューを始めるまでの段取り
| 順番 | やること | 関わる人 | 期間の目安 |
|---|---|---|---|
| 1 | 聞いた結果を誰が何に使うかを決める | マーケ責任者 | 1週間 |
| 2 | 外したい仮説を3つ書き出す | マーケ責任者・営業 | 1週間 |
| 3 | 対象のセグメントと件数を決める | マーケ責任者 | 1週間 |
| 4 | 質問の設計と、聞く順序を作る | マーケ担当 | 1週間 |
| 5 | 依頼と日程調整 | 営業・マーケ担当 | 3週間 |
| 6 | 実施と文字起こし、論点ごとの整理 | マーケ担当 | 5週間 |
依頼の仕方で、承諾率が変わります。
調査への協力という依頼より、製品の改善のために話を聞きたいという依頼のほうが通ります。
所要時間と、聞く内容の範囲を先に伝えてください。
何を聞かれるか分からない依頼は、断られやすくなります。
謝礼の有無は、社内の規程に従ってください。
規程がない場合は、先に決めてから依頼に入ります。
依頼のタイミングも、承諾率に影響します。
導入の直後や、支援の区切りの直後は応じてもらいやすくなります。
数字は説明のための仮の値です。
十五件に依頼して八件の承諾が得られれば、承諾率は五割強になります。
承諾率が三割を下回るなら、依頼文か対象の選び方に問題があります。
依頼する相手の選定を、営業と一緒に見直してください。
インタビューの運用を点検する数字
| 数字 | 見る頻度 | 判断の目安 |
|---|---|---|
| 四半期あたりの実施件数 | 四半期 | ゼロの四半期を作らない |
| 依頼に対する承諾率 | 四半期 | 低いなら依頼文と対象を見直す |
| 発言が施策に反映された件数 | 四半期 | ゼロなら用途が決まっていない |
| 複数人から出た論点の数 | 四半期 | 少ないなら対象の絞り込みが甘い |
| 前回と比べて新しく出た論点 | 半期 | 出なくなったら対象を変える |
一回だけ実施しても、そのときの市場の状態しか分かりません。
四半期に数件ずつでも続けると、変化が見えます。
続けることで、前回との差分が情報になります。
差分は、市場が動いた箇所を示します。
社内で共有する場を作る
文字起こしを配っても読まれません。
分量が多く、読む動機もないためです。
論点ごとの発言集を、四半期の振り返りの場で読み合わせてください。
読み合わせると、解釈が揃います。
読み合わせの場には、営業と商品企画も入れてください。
使い道が複数あるほど、実施が継続します。
その場で、次に確認したい論点も決めます。
決めておけば、次回の設計がすぐ始められます。
共有の場がないと、インタビューはマーケティング部門の内部作業として終わります。
内部作業として扱われると、業務が詰まった時点で止まります。
着手点は、使い道の確定と外したい仮説の言語化です。依頼と日程調整に三週間かかるため、実施までを逆算して計画してください。
顧客の話をどう聞けばよいか分からない場合は、無料相談で設計から見てもらうところから始められます。
顧客理解の仕組みごと見直す段階ならWeb集客改善サービスもあります。
よくある質問
顧客インタビューは何件やればいいですか
同じ話が繰り返し出てくるようになった時点が一区切りです。セグメントを絞れば一つあたり五件から八件で傾向が見えることが多くなります。セグメントを分けずに件数だけ増やしても、平均的な話にしかなりません。
何を聞けば新しい発見がありますか
意見ではなく過去の行動を聞いてください。いつ何がきっかけで探し始めたか、最初に何を調べたか、誰に相談したかは事実として答えられ、後からデータと突き合わせて検証もできます。
営業担当が同席してもいいですか
関係の維持が目的なら同席して構いません。期待と実態のずれを引き出したいなら外してください。外す場合は、聞いた内容をどう共有するかを先に決めておくと、営業側の抵抗が減ります。
満足度を聞くのは意味がありませんか
高めの自己申告が返るため、単独では材料になりません。直近で手間だと感じた場面を具体的に聞くほうが、施策に使える情報が残ります。前提を含んだ質問も、否定しにくいため避けてください。
議事録は要約してよいですか
要約すると顧客が使った言葉と話の順序が失われます。録音して文字に起こし、原文のまま残してください。整理は、件ごとではなく論点ごとに発言を並べ替える形で行います。
まとめ
- 聞きたいことではなく、知りたいことを決めていないからです。質問リストを先に作ると、相手の答えを自社の枠に押し込む場になります
- 利用中の顧客に聞きます。検討中の見込み客や、失注した相手に聞くのは、目的が別のインタビューです
- そのまま聞いても答えは出ません。知りたいことを、相手が事実として答えられる形の質問に置き換えます
- 広い質問から入り、具体的な場面に降ります。1時間で聞けるのは、3つか4つの論点までです
- 答えを誘導する聞き方と、評価を求める聞き方は避けます。どちらも、確認したい仮説を肯定する答えが返ってくるだけです
- 議事録のままでは使えません。発言を論点ごとに並べ替えて、複数人に共通する部分だけを抽出します
- 本音を引き出す必要があるなら外部が向きます。言葉をそのまま施策に使いたいなら、使う本人が聞くほうが早く回ります
- 対象の選定と、外したい仮説の言語化からです。依頼と日程調整に時間がかかるため、目的の確定を先に済ませます